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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155800
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】コイル電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01F17/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066347
(22)【出願日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】10-2023-0052055
(32)【優先日】2023-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梁 主 歡
(72)【発明者】
【氏名】文 炳 チョル
(72)【発明者】
【氏名】徐 秀 旻
(72)【発明者】
【氏名】金 範 錫
(72)【発明者】
【氏名】金 材 勳
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070BA08
5E070BB03
5E070CA03
5E070EA06
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】体積に対する容量を増加させたコイル電子部品を提供する。
【解決手段】本発明によるコイル電子部品は、磁性物質を含む本体と、少なくとも一部が本体の内部に埋設される巻線型コイル(coil)と、巻線型コイルの両側端部にそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を有し、本体の幅方向に垂直な断面において、本体の厚さ(T1)の1/2地点で本体の長手方向に沿って測定した、本体の長手方向の端部面と巻線型コイルの最外側ターン(turn)コイルの間の平均距離である第1距離(D1)は、本体の長さ(L1)の2%以上であり、7.5%以下である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性物質を含む本体と、
少なくとも一部が前記本体の内部に埋設される巻線型コイル(coil)と、
前記巻線型コイルの両側端部にそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を有し、
前記本体の幅方向に垂直な断面において、前記本体の厚さ(T1)の1/2地点で前記本体の長手方向に沿って測定した、前記本体の長手方向の端部面と前記巻線型コイルの最外側ターン(turn)コイルの間の平均距離である第1距離(D1)は、前記本体の長さ(L1)の2%以上であり、7.5%以下であることを特徴とするコイル電子部品。
【請求項2】
前記本体は、厚さ方向に沿って互いに離隔した第1面及び第2面をさらに含み、
前記巻線型コイルは、前記第1面と対向する第1コイル面及び前記第2面と対向する第2コイル面を含み、
前記第1及び第2外部電極は、前記第2面側に配置され、
前記第1面と前記第1コイル面との間の距離である第2距離(D2)は、前記第2面と前記第1及び第2外部電極との間の距離である第3距離(D3)と異なることを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項3】
前記第2距離(D2)は、前記第3距離(D3)より小さいことを特徴とする請求項2に記載のコイル電子部品。
【請求項4】
前記第1及び第2外部電極は、前記本体の厚さ方向に沿って互いに離隔した第1電極面と第2電極面と、を含み、
前記第2電極面は、前記第2面と接することを特徴とする請求項3に記載のコイル電子部品。
【請求項5】
前記第2電極面は、前記第2面から露出することを特徴とする請求項4に記載のコイル電子部品。
【請求項6】
前記第3距離(D3)は、前記第2面と前記第1電極面との間の距離であることを特徴とする請求項4に記載のコイル電子部品。
【請求項7】
前記第1及び第2外部電極は、前記第1電極面と前記第2電極面を互いに接続する第3電極面を含み、
前記第3電極面は、前記本体の長手方向の端部面と対向し、前記端部面から第4距離(D4)だけ離隔することを特徴とする請求項4に記載のコイル電子部品。
【請求項8】
前記第4距離(D4)は、前記第1距離(D1)より大きいことを特徴とする請求項7に記載のコイル電子部品。
【請求項9】
前記第2電極面に接続される前記第1及び第2外部電極の残りの面の内の少なくとも一部は、前記本体の内部に埋設されることを特徴とする請求項4に記載のコイル電子部品。
【請求項10】
前記巻線型コイルは、N(Nは1以上の自然数)個のターン(turn)を含み、
前記第2距離(D2)は、それぞれのターンに対応するコイルの第1コイル面(first coil surface)上の三つの地点と前記第1面との間の距離を測定して得られた算術平均値であることを特徴とする請求項3に記載のコイル電子部品。
【請求項11】
前記第3距離(D3)は、それぞれのターンに対応するコイルの第2コイル面(second coil surface)上の三つの地点と前記第1及び第2外部電極との間の距離を測定して得られた算術平均値であることを特徴とする請求項10に記載のコイル電子部品。
【請求項12】
前記巻線型コイルは、第1コイルと、前記第1コイルに接続され前記第1コイルに積層される第2コイルと、を含み、
前記第2距離(D2)は、前記第1面と前記第2コイルの第1コイル面との間の距離であり、
前記第3距離(D3)は、前記第1コイルの第2コイル面と前記第1及び第2外部電極との間の距離であることを特徴とする請求項11に記載のコイル電子部品。
【請求項13】
前記第1コイルのターン数と前記第2コイルのターン数は、同じであることを特徴とする請求項12に記載のコイル電子部品。
【請求項14】
前記第1コイルのターン数と前記第2コイルのターン数は、異なることを特徴とする請求項12に記載のコイル電子部品。
【請求項15】
前記磁性物質は、金属磁性粒子を含み、
前記金属磁性粒子は、組成が異なる二つ以上の粉末粒子で構成されることを特徴とする請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項16】
前記金属磁性粒子は、鉄(Fe)を含むことを特徴とする請求項15に記載のコイル電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル電子部品に関し、特に、体積に対する容量を増加させたコイル電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の機能の多様化に伴い消費電力が増加するにつれ、モバイル機器内のバッテリ使用時間を増やすために電力半導体(power management integrated circuit:PMIC)周辺に損失が少なく効率に優れる受動部品を採用している。
【0003】
一方、製品をスリム(slim)化し、部品配置の自由度を高めるためにロープロファイル(low profile)パワーインダクタ(power inductor)に対する要求が高まっている。
パワーインダクタは、大きく構造及び工法によって積層型、薄膜型、巻線型に分けることができる。
【0004】
巻線型インダクタの場合、本体の長手方向の端部面とコイルとの間の間隔が大きいため、体積に対する容量確保が不十分な場合がある。
また、外部電極が本体の下面に形成される構造では、外部電極が本体の長手方向の端部に露出すると基板を実装する際にショート(short)発生の危険性が高くなる、という問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の巻線型インダクタにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、体積に対する容量を増加させたコイル電子部品を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、回路基板を実装する際のショート(short)発生の可能性を低減したコイル電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明によるコイル電子部品は、磁性物質を含む本体と、少なくとも一部が前記本体の内部に埋設される巻線型コイル(coil)と、前記巻線型コイルの両側端部にそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を有し、前記本体の幅方向に垂直な断面において、前記本体の厚さ(T1)の1/2地点で前記本体の長手方向に沿って測定した、前記本体の長手方向の端部面と前記巻線型コイルの最外側ターン(turn)コイルの間の平均距離である第1距離(D1)は、前記本体の長さ(L1)の2%以上であり、7.5%以下であることを特徴とする。
【0007】
前記本体は、厚さ方向に沿って互いに離隔した第1面及び第2面をさらに含み、前記巻線型コイルは、前記第1面と対向する第1コイル面及び前記第2面と対向する第2コイル面を含み、前記第1及び第2外部電極は、前記第2面側に配置され、前記第1面と前記第1コイル面との間の距離である第2距離(D2)は、前記第2面と前記第1及び第2外部電極との間の距離である第3距離(D3)と異なることが好ましい。
前記第2距離(D2)は、前記第3距離(D3)より小さいことが好ましい。
前記第1及び第2外部電極は、前記本体の厚さ方向に沿って互いに離隔した第1電極面と第2電極面と、を含み、前記第2電極面は、前記第2面と接することが好ましい。
前記第2電極面は、前記第2面から露出することが好ましい。
前記第3距離(D3)は、前記第2面と前記第1電極面との間の距離であることが好ましい。
前記第1及び第2外部電極は、前記第1電極面と前記第2電極面を互いに接続する第3電極面を含み、前記第3電極面は、前記本体の長手方向の端部面と対向し、前記端部面から第4距離(D4)だけ離隔することが好ましい。
前記第4距離(D4)は、前記第1距離(D1)より大きいことが好ましい。
前記第2電極面に接続される前記第1及び第2外部電極の残りの面の内の少なくとも一部は、前記本体の内部に埋設されることが好ましい。
【0008】
前記巻線型コイルは、N(Nは1以上の自然数)個のターン(turn)を含み、前記第2距離(D2)は、それぞれのターンに対応するコイルの第1コイル面(first coil surface)上の三つの地点と前記第1面との間の距離を測定して得られた算術平均値であることが好ましい。
前記第3距離(D3)は、それぞれのターンに対応するコイルの第2コイル面(second coil surface)上の三つの地点と前記第1及び第2外部電極との間の距離を測定して得られた算術平均値であることが好ましい。
前記巻線型コイルは、第1コイルと、前記第1コイルに接続され前記第1コイルに積層される第2コイルと、を含み、前記第2距離(D2)は、前記第1面と前記第2コイルの第1コイル面との間の距離であり、前記第3距離(D3)は、前記第1コイルの第2コイル面と前記第1及び第2外部電極との間の距離であることが好ましい。
前記第1コイルのターン数と前記第2コイルのターン数は、同じであることが好ましい。
前記第1コイルのターン数と前記第2コイルのターン数は、異なることが好ましい。
前記磁性物質は、金属磁性粒子を含み、前記金属磁性粒子は、組成が異なる二つ以上の粉末粒子で構成されることが好ましい。
前記金属磁性粒子は、鉄(Fe)を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るコイル電子部品によれば、本体の長手方向の端部面とコイルの間の間隔を減らして体積に対する容量を増加させることができる。
また、下部カバー層の厚さを上部カバー層の厚さより大きくして外部電極のランドパターンを本体内部に配置することによって回路基板を実装する際のショート発生の危険性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す斜視図である。
図2図1のコイル電子部品の基底部を示す平面図である。
図3図1のコイル電子部品の基底部を示す底面斜視図である。
図4a図1のII-II’線に沿って切断した断面図である。
図4b図1のII-II’線に沿って切断した断面図である。
図5a】本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す断面図である。
図5b】本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す断面図である。
図6図1に示したコイル電子部品が回路基板に実装した形態を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係るコイル電子部品を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0012】
図面では本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付けた。
また、添付図面において一部の構成要素は誇張或いは省略するか、又は概略的に示し、各構成要素の大きさは実際の大きさを完全に反映するものではない。
添付する図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解できるようにするためのものであり、本明細書に開示された技術的思想は添付する図面によって制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。
第1、第2等のように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために使用できるが、構成要素は用語によって限定されない。
用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用する。
また、層、膜、領域、板等の部分が他の部分「上に」又は「の上に」あるというとき、これは他の部分の「すぐ上に」ある場合だけでなくその中間にまた他の部分がある場合も含む。
逆にある部分が他の部分の「すぐ上に」あるというときには中間に他の部分が存在しないことを意味する。
また、基準になる部分「上に」又は「の上に」あるというのは基準になる部分の上又は下に位置することであり、必ずしも重力の逆方向側に「上に」又は「の上に」位置することを意味するものではない。
【0013】
明細書全体で、「含む」又は「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性をあらかじめ排除しないものとして理解されなければならない。
したがって、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
また、明細書全体で、「平面上」というとき、これは対象部分を上から見たときを意味し、「断面上」というとき、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見たときを意味する。
また、明細書全体で、「接続される」というとき、これは二つ以上の構成要素が直接接続されることだけを意味するものではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を介して間接的に接続されること、物理的に接続されることだけでなく電気的に接続されること、又は位置や機能によって異なる名称で称されたが一体であることを意味する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1のコイル電子部品の基底部を示す平面図であり、図3は、図1のコイル電子部品の基底部を示す底面斜視図であり、図4a及び4bは、図1のII-II’線に沿って切断した断面図である。
図1図2図3図4a及び図4bを参照すると、本発明の実施形態によるコイル電子部品1000は、本体100、巻線型コイル200、第1外部電極500及び第2外部電極600を含む。
【0015】
本体100は、略六面体状からなるが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
焼成(sintering)時の磁性粉末等の収縮により、本体100は完全な六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
例えば、本体100は、略直六面体状であるが、角や頂点に相当する部分が丸い形状を有してもよい。
本実施形態では、説明の便宜上、厚さ方向Tに対向する2つの面をそれぞれ第1面110及び第2面120と定義し、長手方向Lに沿って対向する2つの面をそれぞれ第1端部面130及び第2端部面140と定義し、幅方向Wに沿って互いに対向する2つの面をそれぞれ第1側面150及び第2側面160と定義する。
【0016】
コイル電子部品1000の長さは、コイル電子部品1000の幅方向Wの中央部での長手方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示すコイル電子部品1000の長手方向Lに対向する2個の最外側境界線をそれぞれ接続し、長手方向Lと平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の長さは、前述した断面写真に示すコイル電子部品1000の長手方向Lに対向する2個の最外側境界線をそれぞれ接続し、長手方向Lと平行な複数の線分の長さの内の最小値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の長さは、前述した断面写真に示すコイル電子部品1000の長手方向Lに対向する2個の最外側境界線をそれぞれ接続し、長手方向Lと平行な複数の線分の内の少なくとも2個の線分の長さの算術平均値を意味する。
【0017】
コイル電子部品1000の厚さは、コイル電子部品1000の幅方向Wの中央部での長手方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示すコイル電子部品1000の厚さ方向Tに対向する2個の最外側境界線をそれぞれ接続し、厚さ方向Tと平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の厚さは、前述した断面写真に示すコイル電子部品1000の厚さ方向Tに対向する2個の最外側境界線をそれぞれ接続し、厚さ方向Tと平行な複数の線分の長さの内の最小値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の厚さは、前述した断面写真に示すコイル電子部品1000の厚さ方向Tに対向する2個の最外側境界線をそれぞれ接続し、厚さ方向Tと平行な複数の線分の内の少なくとも2個の線分の長さの算術平均値を意味する。
【0018】
コイル電子部品1000の幅は、コイル電子部品1000の厚さ方向Tの中央部での長手方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡又はSEM(Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示すコイル電子部品1000の幅方向Wに対向する2個の最外側境界線をそれぞれ接続し、幅方向Wと平行な複数の線分の長さの内の最大値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の幅は、前述した断面写真に示すコイル電子部品1000の幅方向Wに対向する2個の最外側境界線をそれぞれ接続し、幅方向Wと平行な複数の線分の長さの内の最小値を意味する。
又は、コイル電子部品1000の幅は、前述した断面写真に示すコイル電子部品1000の幅方向Wに対向する2個の最外側境界線をそれぞれ接続し、幅方向Wと平行な複数の線分の内の少なくとも2個の線分の長さの算術平均値を意味する。
【0019】
なお、コイル電子部品1000の長さ、幅、及び厚さそれぞれは、マイクロメータ(micrometer)測定法で測定することもできる。
マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップの間に本実施形態によるコイル電子部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定する。
一方、マイクロメータ測定法によりコイル電子部品1000の長さを測定するとき、コイル電子部品1000の長さは、1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。
これは、コイル電子部品1000の幅及び厚さの測定にも同様に適用することができる。
【0020】
本体100は、コイル電子部品1000の外観をなして、第1及び第2外部電極(500、600)を介して巻線型コイル200に電流が印加される時、巻線型コイル200で誘導される磁束が通る経路である磁路(magnetic path)が形成される空間である。
本体100は、基底部101とカバー部103を含む。
基底部101は、突出部105を含む。
基底部101は、幅方向Wに対向する前面101aと背面101b、及び厚さ方向Tに対向する底面101cと上面101dを含む。
基底部101の底面101cは、本体100の第2面120をなす。
【0021】
基底部101の上面101dに突出部105が備えられ、突出部105は、基底部101と一体であり得る。
厚さ方向Tからみた突出部105の形状は、特に制限されず、円形、楕円形、三角形、四角形等多角形であり得る。
突出部105は、巻線型コイル200のコアに収容され得る公知の多様な形状を有し得る。
例えば、突出部の形状は、巻線型コイルのコアの断面形状のような形状であり得る。
基底部101は、金型に磁性物質を充填して形成される。
基底部101は、金型に磁性物質と絶縁性樹脂を含む複合物質を充填することによって形成することもできる。
【0022】
カバー部103は、図1を基準として基底部101の上側に配置されて基底部101の底面101cを除くすべての表面を囲む。
したがって、カバー部103が本体100の第1面110、第1端部面130、第2端部面140、第1側面150及び第2側面160をなし、基底部101とカバー部103が共に本体100の第2面120をなす。
基底部101とカバー部103の内の少なくとも一つは磁性物質を含み、磁性粒子と磁性粒子の間に介在する絶縁性樹脂からなる。
【0023】
磁性粒子は、磁気特性を示すフェライト(ferrite)粒子や金属磁性粒子である。
フェライト粒子は、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系等のスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系等の六方晶系フェライト類、Y系等のガーネット型フェライト、及びLi系フェライトの内の少なくとも一つ以上であり得る。
金属磁性粒子は、組成が異なる二つ以上の粉末で構成され得、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群より選ばれた1種以上を含み得る。
例えば、金属磁性粒子は、純鉄、Fe-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Ni-Mo系合金、Fe-Ni-Mo-Cu系合金、Fe-Co系合金、Fe-Ni-Co系合金、Fe-Cr系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Cu-Nb系合金、Fe-Ni-Cr系合金、Fe-Cr-Al系合金の内の少なくとも一つ以上であり得る。
【0024】
金属磁性粒子は、非晶質又は結晶質である。
例えば、金属磁性粒子は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金であるが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
金属磁性粒子は、平均直径が約0.1μm~30μmであり得るが、これに限定されるものではない。
本明細書上で、粒径又は平均直径は、D90又はD50等で表現される粒度分布を意味する。
金属磁性粒子は、2種類以上の異なる金属磁性粒子であり得る。
ここで、金属磁性粒子の種類が異なるということは、金属磁性粒子が平均直径、組成、成分比、結晶性及び形状の内の少なくとも一つにより互いに区別されることを意味する。
絶縁性樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)等を単独で又は混合して含み得るが、これに限定されるものではない。
【0025】
本体100を形成する方法は特に制限されない。
例えば、巻線型コイル200の上部及び下部に磁性体シートを配置した後これを圧着及び硬化して本体100を形成することができる。
他の例として、巻線型コイル200と第1及び第2外部電極(300、400)の一部を囲むように磁性体粉末を充填した後モールドによる加圧及び硬化工程を経て本体100を形成することもできる。
【0026】
巻線型コイル200は、本体100に埋設され、コイル電子部品1000の特性を発現する。
例えば、本実施形態のコイル電子部品1000がパワーインダクタとして用いられる場合、巻線型コイル200は、電場を磁場として蓄えて出力電圧を維持することにより電子機器の電源を安定させる役割をおこなう。
巻線型コイル200は、表面が絶縁物質で被覆された金属(例えば銅(Cu)又は銀(Ag))線を螺旋状に巻いた形態である。
巻線型コイル200は、単線に限定されるものではなく、撚り線や2本以上の線からなる。
巻線型コイル200は、空心コイル(air coil)であって、基底部101の突出部105を中心に巻かれた形態である。
巻線型コイル120は、円形コイルであり得るが、これに限られない。
例えば、巻線型コイル120は、長方形コイル等公知の多様なコイルであり得る。
他の例として、巻線型コイル200は、磁性体や鉄心フェライトをコアとして使用するコイルであり得る。
巻線型コイル200の個別線(wire)の断面は、四角形、円形、楕円形等公知の多様な形状を有することができる。
【0027】
巻線型コイル200の個別線の断面形状が略四角形である場合、第1コイル面210、第2コイル面220、第3コイル面230及び第4コイル面240を有する。
第1コイル面210と第2コイル面220は、本体100の厚さ方向Tに沿って互いに対向する。
第3コイル面230と第4コイル面240は第1コイル面210と第2コイル面220を接続し、本体100の長手方向Lに沿って互いに対向する。
巻線型コイル200は、複数の層で構成される。
巻線型コイル200は、第1コイル201と第2コイル203を含む。
第2コイル203は、第1コイル201と接続され、第1コイル201の上側、すなわち、本体100の第1面110の側に配置されて層をなす。
第1コイル201のターン数と第2コイル203のターン数は同一又は異なってもよい。
【0028】
巻線型コイル200は、平面螺旋状に形成され、複数のターン(turn)を有する。
すなわち、第1コイル201は、本体100の長さL1の中間地点から第1端部面130方向に順に最内側ターンコイルC1、少なくとも一つの中間ターンコイルC2、及び最外側ターンコイルC3を有する。
第2コイル203もまた、本体100の長さL1の中間地点から第2端部面140方向に順に最内側ターンコイルC1、少なくとも一つの中間ターンコイルC2、及び最外側ターンコイルC3を有する。
第1コイル201の最外側ターンコイルC3の端部から第1引出部207が延長され、第2コイル203の最外側ターンコイルC3の端部から第2引出部209が延長される。
巻線型コイル200の複数のターンそれぞれの表面に沿って絶縁膜IFが配置される。
絶縁膜IFは、各巻線型コイル200の複数のターンを保護し、絶縁させるためのものであり、パリレン等公知の絶縁性物質を含む。
絶縁膜IFに含まれる絶縁性物質は、いかなるものでも可能であり、特に制限はない。
例えば、絶縁膜IFは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂であり得る。
絶縁膜IFは、気相蒸着等の方法で形成されるが、これに限定されない。
【0029】
巻線型コイル200は、螺旋部205、第1引出部207及び第2引出部209、第1及び第2引出端子(300、400)を含む。
螺旋部205は、巻線型コイル200の線(wire)が巻かれた部分である。
第1引出部207及び第2引出部209は、螺旋部205からそれぞれ延長される。
例えば、第1及び第2引出部(207、209)は、基底部101の背面101b側から前面101aを経て底面101c側に延長される。
ただし、本実施形態はこれに限定されず、第1及び第2引出部は、多様な方向に延長され得る。
第1引出端子300は、第1引出部207から幅方向Wに延長され、基底部101の底面101cに引き出される形状を有する。
第2引出端子400は、第2引出部209から幅方向Wに延長され、基底部101の底面101cに引き出される形状を有する。
【0030】
基底部101は、溝(groove)(107、108)が配置される。
例えば、長手方向Lの両側に基底部101の前面101a、底面101c、及び背面101bにわたって溝(107、108)が形成される。
溝(107、108)は、引出端子(300、400)をガイドする。
溝(107、108)は、引出端子(300、400)を収容できる深さと幅を有する。
例えば、溝(107、108)の深さは、引出端子(300、400)の厚さ以下であり、溝(107、108)の幅は、引出端子(300、400)の幅以上である。
ただし、基底部には必ずしも溝が形成される必要はなく、溝は基底部の形成方法や引出端子の配置方法によっては、なくてもよい。
【0031】
基底部101の底面101cの内の突出部105と向かい合う部分に凹部109が形成される。
凹部109が形成されれば、圧縮成形により突出部105の金属粒子の充填率をより大きくする。
基底部101の底面側からみた凹部109の形状は、特に制限しない限り、円形、楕円形、三角形、四角形等の多角形、帯形であり得る。
凹部109は、外部電極(500、600)間に存在する。
外部電極(500、600)間に凹部109を設けることによって、外部電極(500、600)間の経路長さ(基底部の表面に沿った距離)が大きくなって、両外部電極間の電気的な絶縁性を向上させることができ、信頼性が高くなる。
また、凹部109を外部電極(500、600)間に設けることによって、基板等に実装した際に基板等と基底部101の底面との最小距離を大きくすることができるので、信頼性が高くなる。
絶縁層を凹部に収容することもできるので、凹部を形成しない場合と比較してコイル電子部品の厚さを小さくすることができる。
【0032】
本体100の長手方向Lに沿った第1引出端子300の断面形状は、略四角形である。
すなわち、第1引出端子300の断面は、第1端子面310、第2端子面320、第3端子面330、及び第4端子面340を有する。
第1端子面310と第2端子面320は、本体100の厚さ方向Tに沿って互いに対向し、第3端子面330と第4端子面340は、本体100の長手方向Lに沿って互いに対向する。
第1端子面310は、本体100の内部に埋設されて巻線型コイル200の第1引出部207に接続される。
第2端子面320は、本体100の第2面120と接するか第2面120から露出する。
第2端子面320に接続される残りの面の内の少なくとも一部は、本体100の内部に埋設される。
例えば、第3端子面330と第4端子面340は、本体100の内部に埋設される。
【0033】
本体100の長手方向Lに沿った第2引出端子400の断面形状も略四角形である。
すなわち、第2引出端子400の断面は、第1端子面410、第2端子面420、第3端子面430、及び第4端子面440を有する。
第1端子面410と第2端子面420は、本体100の厚さ方向Tに沿って互いに対向し、第3端子面430と第4端子面440は、本体100の長手方向Lに沿って互いに対向する。
第1端子面410は、本体100の内部に埋設されて巻線型コイル200の第2引出部209に接続される。
第2端子面420は、本体100の第2面120と接するか第2面120から露出する。
第2端子面420に接続される残りの面の内の少なくとも一部は、本体100の内部に埋設される。
例えば、第3端子面430と第4端子面440は、本体100の内部に埋設される。
【0034】
第1引出端子300と第2引出端子400は、本体100の長手方向Lに沿って互いに離隔して互いに平行である。
第1及び第2外部電極(500、600)は、コイル電子部品1000の本体100の第2面120に配置される。
第1及び第2外部電極(500、600)は、それぞれ基底部101の底面101cに引き出された巻線型コイル200の第1及び第2引出端子(300、400)の表面に配置される。
すなわち、第1及び第2外部電極(500、600)は、巻線型コイル200の第1及び第2引出端子(300、400)にそれぞれ電気的に接続される。
第1及び第2外部電極(500、600)は、巻線型コイル200の第1及び第2引出端子(300、400)の表面に配置されることに限られない。
例えば、第1及び第2引出端子(300、400)の表面周囲の基底部101の底面101cまで延長され得る。
この場合、第1及び第2外部電極(500、600)は、本体100の第2面120に配置される。
【0035】
他の例として、第1及び第2外部電極(500、600)は、それぞれ本体100の第1及び第2端部面(130、140)まで延長される。
この場合、第1外部電極500は、本体100の第2面120と第1端部面130にわたって配置され、第2外部電極600は、本体100の第2面120と第2端部面140にわたって配置される。
また他の例として、第1及び第2外部電極(500、600)は、それぞれ本体100の第1及び第2端部面(130、140)と第1面110まで延長される。
この場合、第1外部電極500は、本体100の第1面110、第2面120と第1端部面130にわたって配置され、第2外部電極600は、本体100の第1面110、第2面120と第2端部面140にわたって配置される。
また他の例として、第1及び第2外部電極(500、600)は、それぞれ本体100の第1及び第2端部面(130、140)、第1面110及び第1及び第2側面(150、160)まで配置される。
この場合、第1外部電極500は、本体100の第1面110、第2面120、第1端部面130及び第1及び第2側面(150、160)にわたって配置され、第2外部電極600は、本体100の第1面110、第2面120、第2端部面140及び第1及び第2側面(150、160)にわたって配置される。
【0036】
第1及び第2外部電極(500、600)は、基底部101に全部又は一部埋め込まれ、基底部101の底面101cで厚さ方向Tに突出する。
第1及び第2外部電極(500、600)は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はこれらの合金等の導電性物質で形成されるが、これに限定されるものではない。
第1及び第2外部電極(500、600)は、導電性ペーストの印刷、導電性物質の蒸着、スパッタリング、導電性金属のメッキ等の方法によって形成され得る。
例えば、導電性ペーストは、銀(Ag)、銀(Ag)-パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の金属を含み得る。
第1及び第2外部電極(500、600)は、複数の層からなる。
一例として、第1及び第2外部電極(500、600)は、巻線型コイル200の両端部に接続される第1メッキ層、第1メッキ層を覆う導電性樹脂層、導電性樹脂層を覆う第2メッキ層、及び第2メッキ層を覆う第3メッキ層をそれぞれ含む。
ここで、第1メッキ層は、プレめっき層の役割をする。
【0037】
他の例として、第1及び第2外部電極(500、600)は、巻線型コイルの両端部に接続される導電性樹脂層、導電性樹脂層を覆う第1メッキ層、及び第1メッキ層を覆う第2メッキ層をそれぞれ含むこともできる。
第1及び第2外部電極(500、600)の第1メッキ層、第2メッキ層、第3メッキ層は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、又はこれらの混合物をそれぞれ含み得る。
第1及び第2外部電極(500、600)の導電性樹脂層は、樹脂及び導電性金属を含む。
導電性樹脂層に含まれる樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストにできるものであれば、特に制限されない。
例えば、樹脂は、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂を含み得る。
導電性樹脂層に含まれる導電性金属は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、又はこれらの混合物を含み得る。
【0038】
図4a及び図4bを参照すると、本体100の厚さT1の1/2地点で、本体100の長手方向Lに沿って(すなわち、A-A’線に沿って)測定した、本体100の第1端部面130と巻線型コイル(200、201)の最外側ターン(turn)コイルC3の間の平均距離である第1距離D1は、本体100の長さL1の2%以上であり、7.5%以下である。
例えば、第1距離D1は、巻線型コイル(200、201)の最外側ターンコイルC3の第3コイル面230と本体100の第1端部面130の間の平均距離である。
第1距離D1が本体100の長さL1の2%未満の場合、巻線型コイル(200、201)と本体100の第1端部面130との間が過度に近く、巻線型コイル(200、201)が本体100の外部に露出される問題が発生する可能性がある。
後述するが、コイルが図4a及び図4bの図とは異なり、斜めに配置される場合があるが、その場合は、コイルが本体の端部面から露出することを防止するためには第1距離D1が本体100の長さL1の2%以上でなければならない。
【0039】
第1距離D1が本体100の長さL1の7.5%を超えると巻線型コイル(200、201)と本体100の第1端部面130の間が過度に遠くなる。
本体100の長さL1が同じ条件で第1距離D1がさらに大きくなると、その分巻線型コイル200が本体100の中心側にさらに偏る。
その結果、磁路(magnetic path)の面積がそれだけ減って容量が減少する問題が発生する可能性がある。
例えば、第1距離が平均8%である従来のコイル電子部品は、体積に対する容量を十分に確保できないか、飽和電流(Isat)、巻線の直流抵抗(Rdc,copper loss)、コイルのターン数等において限界を有する。
本実施形態によるコイル電子部品では第1距離D1を本体100の長さL1の7.5%以下に設定して従来のコイル電子部品の問題を解決することができる。
【0040】
巻線型コイル200と本体100の第1面110の間の距離である第2距離D2は、巻線型コイル200の螺旋部205と第1引出端子300(又は第2引出端子400)との間の距離である第3距離D3と異なる。
第2距離D2は、巻線型コイル(200、203)の第1コイル面210と本体100の第1面110との間の距離である。
例えば、第2距離D2は、第1コイル面210上の三つの地点で測定した本体100の第1面110までの距離を算術平均した値である。
第3距離D3は、巻線型コイル(200、201)の螺旋部205の第2コイル面220と引出端子(300、400)の第1端子面(310、410)との間の距離である。
例えば、第3距離D3は、第2コイル面220上の三つの地点で測定した引出端子(300、400)の第1端子面(310、410)までの距離を算術平均した値である。
【0041】
第2距離D2は、第3距離D3より小さい。
言い換えると、巻線型コイル200と本体100の第1面110との間の領域を第1カバー層170とし、巻線型コイル200の螺旋部205と引出端子(300、400)との間の領域を第2カバー層180とする時、第1カバー層170よりも第2カバー層180をより厚く形成される。
この場合、本体100の厚さが一定の条件で、巻線型コイル200が本体100の第1面110側により近づき、巻線型コイル200の螺旋部205が引出端子300側からより遠くなる。
巻線型コイル200の螺旋部205が引出端子(300、400)から遠くなると、巻線型コイル200の螺旋部205と引出端子300の間の寄生容量(parasitic capacitance)がそれだけ減少する。
言い換えると、第1カバー層170よりも第2カバー層180をより厚くすると、巻線型コイル200の螺旋部205と引出端子(300、400)との間の寄生容量を減少させる。
【0042】
このように寄生容量が減少できるので、引出端子(300、400)を本体100の長手方向Lの内側に配置する。
すなわち、第1引出端子300の第3端子面330が本体100の第1端部面130と第4距離D4だけ離隔する。
第4距離D4は、第1距離D1より大きい。
第1引出端子300と同様に、第2引出端子400の第3端子面430が本体100の第2端部面140と第4距離D4だけ離隔する。
第4距離D4は、第1距離D1より大きい。
この場合、引出端子(300,400)の第3端子面(330、430)が巻線型コイル200の最外側ターンコイルC3の第3コイル面230よりも本体100の長手方向Lの内側に配置される。
このように第1及び第2引出端子(300、400)の第3端子面(330、430)が本体100の第1端部面130で外部に露出されず、巻線型コイル200の最外側ターンコイルC3よりも内側に配置されると、コイル電子部品1000を回路基板に実装する際のショート(short)発生の危険性が減少する。
【0043】
一方、図に示していないが、本実施形態によるコイル電子部品1000は、本体100の第2面120の内の外部電極(500、600)が配置された領域を除いた領域に絶縁層をさらに含む。
これとは異なり、本体100の第2面120で引出端子(300、400)が露出した部分を除いた残り部分に絶縁層が存在し得る。
絶縁層は、電解メッキで外部電極(500、600)を形成する際にレジスト(resist)として用いられるが、これに限定されるものではない。
絶縁層は、本体100の第1面110、第1端部面130、第2端部面140、第1側面150、及び第2側面160の内の少なくとも一部に配置されて他の電子部品と外部電極(500、600)との間の電気的ショートを防止することができる。
【0044】
図5a及び図5bは、本発明の他の実施形態によるコイル電子部品の概略構成を示す断面図である。
図5a及び図5bに示したコイル電子部品の構成要素の内の図1に示したコイル電子部品の構成要素と同一であるか、それに対応する構成要素には同じ図面符号を付け、該当構成要素に関する重複する説明は省略する。
図5a及び図5bを参照すると、本発明の他の実施形態によるコイル電子部品2000は、本体100、巻線型コイル200、第1引出端子300及び第2引出端子400を含む。
【0045】
巻線型コイル200は、複数の層で構成される。
巻線型コイル200は、第1コイル201と第2コイル203を含む。
第2コイル203は、第1コイル201と接続され、第1コイル201の上側、すなわち、本体100の第1面110の側に配置されて層をなす。
第1コイル201と第2コイル203が互いに接する面が水平面をなさない。
第1コイル201の最内側ターンコイルC1と第2コイル203の最内側ターンコイルC1は、本体100の厚さ方向Tに互いに接し、中間ターンコイルC2もそれと同様に配置される。
しかし、最内側ターンコイルC1が互いに接する面と中間ターンコイルC2が互いに接する面は、本体100の第2面120から測定した高さが異なる。
すなわち、該当面は段差を有する。
さらに、最外側ターンコイルC3は、本体100の厚さ方向Tと鋭角をなすように斜めに配置される。
【0046】
図5a及び図5bを参照すると、本体100の厚さT1の1/2地点で本体100の長手方向Lに沿って(すなわち、A-A’線に沿って)測定した、本体100の第1端部面130と巻線型コイル(200、201、203)の最外側ターン(turn)コイルC3の間の平均距離である第1距離D1は、本体100の長さL1の2%以上であり、7.5%以下である。
例えば、第1距離D1は、第1コイル201の最外側ターンコイルC3の第3コイル面230と本体100の第1端部面130との間の平均距離である。
また、第1距離D1は、第2コイル203の最外側ターンコイルC3の第4コイル面240と本体100の第2端部面140との間の平均距離である。
【0047】
巻線型コイル200と本体100の第1面110の間の距離である第2距離D2は、巻線型コイル200と第1引出端子300(又は第2引出端子400)との間の距離である第3距離D3と異なる。
第2距離D2は、巻線型コイル200の第1コイル面210と本体100の第1面110との間の距離である。
例えば、第2距離D2は、第1コイル面210上の三つの地点で測定した本体100の第1面110までの距離を算術平均した値である。
第2距離D2は、第3距離D3より小さい。
言い換えると、巻線型コイル200と本体100の第1面110との間の領域を第1カバー層170とし、巻線型コイル200の螺旋部205と引出端子(300、400)との間の領域を第2カバー層180とする時、第1カバー層170よりも第2カバー層180をより厚く形成する。
【0048】
この場合、本体100の厚さが一定の条件で巻線型コイル200が本体100の第1面110側により近づき、巻線型コイル200の螺旋部205が引出端子300側からより遠くなる。
巻線型コイル200の螺旋部205が引出端子(300、400)から遠くなると、巻線型コイル200の螺旋部205と引出端子300との間の寄生容量(parasitic capacitance)がそれだけ減少する。
言い換えると、第1カバー層170よりも第2カバー層180をより厚くすれば巻線型コイル200の螺旋部205と引出端子(300、400)との間の寄生容量を減少させることができる。
【0049】
このように寄生容量が減少できるので、引出端子(300、400)を本体100の長手方向Lの内側に配置する。
すなわち、第2引出端子400の第3端子面430が本体100の第2端部面140と第4距離D4だけ離隔する。
特に、第4距離D4は、第1距離D1より大きい。
第2引出端子300と同様に、第1引出端子300の第3端子面330が本体100の第1端部面130と第4距離D4だけ離隔する。
第4距離D4は、第1距離D1より大きい。
この場合、引出端子(300、400)の第3端子面(330、430)が巻線型コイル200の最外側ターンコイルC3の第3コイル面230よりも本体100の長手方向Lの内側に配置される。
このように第1及び第2引出端子(300、400)の第3端子面(330、430)が本体100の第1端部面130で外部に露出されず、巻線型コイル200の最外側ターンコイルC3よりも内側に配置されればコイル電子部品1000を回路基板に実装する際のショート(short)発生の危険性を減少させることができる。
【0050】
図6は、図1に示したコイル電子部品が基板に実装した形態を示す概略断面図である。
図6を参照すると、コイル電子部品1000は、回路基板700の上面に備えられた第1及び第2電極パッド(711、713)に導電性接合部材715を介して接続される。
すなわち、コイル電子部品1000は、回路基板700上で第1及び第2電極パッド(711、713)を介して実装される。
【0051】
第1及び第2電極パッド(711、713)は、回路基板700の上面で互いに離隔して配置される。
コイル電子部品1000の第1及び第2外部電極(500、600)は、第1及び第2電極パッド(711、713)と接触するように配置された状態で導電性接合部材715を用いて回路基板700に固定される。
そのため、コイル電子部品1000は、回路基板700の第1及び第2電極パッド(711、713)に電気的に接続される。
導電性接合部材715は、一例としてソルダ(solder)を含む。
本実施形態で、コイル電子部品1000の第1及び第2外部電極(500、600)それぞれは、導電性接合部材715により第1及び第2電極パッド(711、713)に固定されることによって回路基板700に実装される。
【0052】
回路基板上の電子部品の集積度が高くなると、隣接する電子部品同士が接触する可能性も高くなる。
この場合、電子部品の外部電極が実装面の縁に設置されていれば、隣接する他の外部電極とショート(short)を起こす可能性が高い。
本実施形態によるコイル電子部品1000の第1及び第2外部電極(500、600)は、本体100の第1端部面130及び第2端部面140から外部に露出されない状態で本体100の長手方向Lの内側に配置される。
したがって、コイル電子部品1000を回路基板700に実装する際に隣接する他の外部電極とショートを起こす可能性を減らすことができる。
【0053】
以下では本発明の具体的な実施例を提示する。
ただし、下記に記載した実施例は、発明の具体的な例示や説明をするためのものに過ぎなく、発明の範囲はこれにより制限されない。
【0054】
[製造例:コイル電子部品の製造]
(実施例1)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、本体の長手方向の端部面と巻線型コイルの最外側ターン(turn)コイルの間の平均距離(D1、以下「L方向マージン」という)の比率が2.0%であるコイル電子部品を製造する。
(実施例2)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が2.5%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例3)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が3.0%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例4)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が3.5%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例5)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が4.0%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例6)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が4.5%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例7)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が5.0%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例8)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が5.5%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例9)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が6.0%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例10)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が6.5%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例11)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が7.0%であることを除いては実施例1と同一である。
(実施例12)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が7.5%であることを除いては実施例1と同一である。
(比較例1)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が0.0%であることを除いては実施例1と同一である。
(比較例2)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が0.5%であることを除いては実施例1と同一である。
(比較例3)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が1.0%であることを除いては実施例1と同一である。
(比較例4)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が1.5%であることを除いては実施例1と同一である。
(比較例5)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が8.0%であることを除いては実施例1と同一である。
(比較例6)
コイル電子部品の本体の長さL1に対する、L方向マージンD1の比率が8.5%であることを除いては実施例1と同一である。
【0055】
[実験例:コイル電子部品のインダクタンスが不良か否か]
実施例(1~12)と比較例(1~6)のコイル電子部品をそれぞれ30個ずつ製造した後、コイル電子部品の長さL1に対する、L方向マージンD1の比(D1/L1)を測定し、コイル電子部品のインダクタンス(Ls)が許容範囲(0.33±10%、0.297~0.363(μH))内にあるのかを確認した後、その結果を表1に整理する。
【0056】
【表1】
【0057】
表1を参照すると、比較例(1~4)で製造されたコイル電子部品のインダクタンスが過度に高く、許容範囲(0.33±10%、0.297~0.363)を外れたことが確認される。
一方で、実施例(1~12)で製造されたコイル電子部品のインダクタンスは、許容範囲(0.33±10%、0.297~0.363)内にあることが確認される。
比較例(5~6)で製造されたコイル電子部品のインダクタンスが過度に低く、許容範囲(0.33±10%、0.297~0.363)を外れたが、これはコア部分の磁性体の体積及び磁路(magnetic path)面積が相対的に減少して容量が減少したからである。
【0058】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 本体
101 基底部
103 カバー部
105 突出部
107、108 溝
109 凹部
110 第1面
120 第2面
130 第1端部面
140 第2端部面
150 第1側面
160 第2側面
170 第1カバー層
180 第2カバー層
200 巻線型コイル
201 第1コイル
203 第2コイル
205 螺旋部
207 第1引出部
209 第2引出部
210 第1コイル面
220 第2コイル面
230 第3コイル面
240 第4コイル面
300 第1引出端子
310、410 第1端子面
320、420 第2端子面
330、430 第3端子面
340、440 第4端子面
400 第2引出端子
500、600 外部電極
700 基板
711、713 電極パッド
715 導電性接合部材
1000、2000 コイル電子部品
C1 最内側ターンコイル
C2 中間ターンコイル
C3 最外側ターンコイル
IF 絶縁膜
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6