(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015581
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】半導体用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240130BHJP
C11D 7/22 20060101ALI20240130BHJP
C11D 7/32 20060101ALI20240130BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20240130BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240130BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240130BHJP
C11D 3/26 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
C11D7/22
C11D7/32
C11D1/722
C11D1/72
C11D3/37
C11D3/26
H01L21/304 647A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117728
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(72)【発明者】
【氏名】張替 尊子
【テーマコード(参考)】
4H003
5F157
【Fターム(参考)】
4H003DA09
4H003DA12
4H003DA15
4H003DB01
4H003DC02
4H003EB30
4H003EB32
4H003FA04
4H003FA28
5F157AA70
5F157AA96
5F157BC04
5F157BC07
5F157BC54
5F157BE33
5F157BF52
5F157BF53
5F157BF54
5F157BF58
5F157BF59
5F157DB03
5F157DB18
(57)【要約】
【課題】基板上に残存する金属残渣であるセリアに対し、高い除去性を発現する、半導体用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】重合体とpH調整剤を含む半導体用洗浄剤組成物であって、該重合体の重量平均分子量は4100以上であり、該重合体に含まれるアクリル酸に由来する構造単位が42質量%以上であり、該pH調整剤に水酸化アンモニウムを含む、pHが7以上である、半導体用洗浄剤組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体とpH調整剤を含む半導体用洗浄剤組成物であって、
該重合体の重量平均分子量は4100以上であり、
該重合体に含まれるアクリル酸に由来する構造単位が42質量%以上であり、
該pH調整剤に水酸化アンモニウムを含む、pHが7以上である、半導体用洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記重合体の重量平均分子量が29500以下である請求項1に記載の半導体用洗浄剤組成物。
【請求項3】
下記一般式(1)及び/または一般式(2)である化合物を含む、請求項1又は2に記載の半導体用洗浄剤組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1、R
2およびR
3は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R
4及びR
5は、同一又は異なって、アルキレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【化2】
(式(2)中、R
6、R
7、R
8及びR
9は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は、同一又は異なって、アルキレン基、又は、アルキニレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造プロセスにおいて、半導体素子の微細化や高集積化に伴い、基板表面の平坦化がおこなわれる。平坦化工程では、基板表面に、砥粒や研磨屑などの金属残渣が残存するために、それらを除去するために洗浄剤組成物を用いた洗浄がおこなわれている。例えば、特許文献1には、特定のポリカルボン酸を含有する洗浄剤組成物が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り、半導体用の洗浄剤組成物では、基板に残存する金属残渣の除去について、改善の余地があった。特に、セリア(酸化セリウム:CeO2)粒子を含む研磨剤を用いた場合、セリア砥粒がウエハ上に残存しやすい傾向にあることから、従来の半導体用洗浄剤組成物ではセリア粒子の除去能力が不足しており、ウエハ上に残存する金属残渣を除去する必要があった。
【0005】
よって、本発明は、重合体とpH調整剤を含む半導体用洗浄剤組成物であって、該重合体の重量平均分子量は4100以上であり、該重合体に含まれるアクリル酸に由来する構造単位が42質量%以上であり、該pH調整剤に水酸化アンモニウムを含む、pHが7以上である、半導体用洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、基板上に残存する金属残渣のセリア粒子に高い除去性を発現することできる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[半導体用洗浄剤組成物]
<重合体>
本開示の半導体用洗浄剤組成物には、アクリル酸に由来する構造単位を有する重合体を含む。本開示のアクリル酸に由来する構造単位とは、アクリル酸が重合して形成される構造と同じ構造を有する構造単位を言い、通常は単量体に含まれる、炭素炭素不飽和二重結合の少なくとも1つが、炭素炭素単結合に置き換わった構造である。なお、単量体に由来する構造単位とは、実際に単量体が重合することにより形成された構造単位である必要は無く、単量体が重合して形成される構造と同じ構造であれば、単量体が重合する以外の方法で形成された構造単位であっても、単量体に由来する構造単位に含まれる。アクリル酸、CH2=CH(-COOH)について、アクリル酸に由来する構造単位は、-CH2-CH(-COOH)-、で表すことができる。
【0008】
本開示の重合体に含まれる、アクリル酸に由来する構造単位は、重合体総量に対して、42質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは、45質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%である。一方、100質量%以下であることが好ましく、より好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは85質量%以下である。
【0009】
(その他の単量体に由来する構造単位)
本開示の重合体には、上記アクリル酸に由来する構造単位以外の単量体に由来する構造単位(以下、「その他の単量体に由来する構造単位」ともいう)を1種または2種以上含んでいても良い。本開示のその他の単量体に由来する構造単位とは、単量体が重合して形成される構造と同じ構造を有する構造単位を言い、通常は単量体に含まれる、炭素炭素不飽和二重結合の少なくとも1つが、炭素炭素単結合に置き換わった構造である。なお、単量体に由来する構造単位とは、実際に単量体が重合することにより形成された構造単位である必要は無く、単量体が重合して形成される構造と同じ構造であれば、単量体が重合する以外の方法で形成された構造単位であっても、単量体に由来する構造単位に含まれる。
【0010】
本開示のその他の単量体としては、特に限定されないが、メタクリル酸、α-ヒドロキシアクリル酸、α-ヒドロキシメチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、2-メチレングルタル酸等の不飽和カルボン酸類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α-ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸のアルキル基のエステルであるアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級化物等のアミノ基含有アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルピロリドン等のその他の官能基含有単量体類;ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドが1~300モル付加した構造を有する単量体等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体およびその塩等が挙げられる。
【0011】
本開示の重合体に含まれる、その他の単量体に由来する由来する構造単位は、重合体総量に対して、0質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは、5質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上である。一方、58質量%以下であることが好ましく、より好ましくは55質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。種類や量を変更することで、半導体用洗浄剤組成物における、重合体の溶解性や洗浄性能を適宜調整することが可能である。
【0012】
本開示の重合体の重量平均分子量は、4100以上であることが好ましく、より好ましくは4500以上であり、さらに好ましくは4800以上である。一方、29500以下であることが好ましく、より好ましくは29000以下であり、さらに好ましくは28000以下である。
【0013】
本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれる重合体の含有量は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上である。一方、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0014】
<pH調整剤>
本開示の半導体用洗浄剤組成物には、pH調整剤を含むことが好ましい。本開示のpH調整剤としては、特に制限されないが、水酸化アンモニウムを含むことが好ましい。本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれるpH調整剤は、水酸化アンモニウム以外に任意の塩基性化合物(以下、その他の塩基性化合物という場合もある)を含んでいてもよい。
【0015】
本開示のその他の塩基性化合物としては、特に限定されないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などの金属水酸化物;アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩などの金属炭酸水素塩;アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩などの金属炭酸塩;アミン化合物などの有機塩基性化合物が挙げられる。
【0016】
アミン化合物としては、特に限定されないが、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキルアミン;アニリン、トルイジン等の芳香族アミンや、ピロール、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジアザビシクロウンデセン等の含窒素複素環式化合物等の有機アミン; モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール等のアルカノールアミン;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)、ジメチルビス(2―ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、メチルトリス(2―ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0017】
本開示のpH調整剤に含まれるその他塩基性化合物は、1種であってもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0018】
本開示のpH調整剤に含まれる水酸化アンモニウムは、pH調整剤の総量の対し、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。一方、100質量%以下であることが好ましく、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である。
【0019】
本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれるpH調整剤は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である。一方、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0020】
<その他成分>
本開示の半導体用洗浄剤組成物には、その他成分を含んでいてもよい。その他成分としては、特に限定されないが、例えば、色移り防止剤、柔軟剤、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、分散剤、溶媒、ポリマーなどの表面改質剤などがあげられる。
【0021】
本開示の半導体用洗浄剤組成物には、任意であるが、分散剤を含むことが好ましい。分散剤としては特に限定されないが、ノニオン性分散剤を含むことが好ましい。
【0022】
ノニオン性分散剤(以下、ノニオン性重合体という場合もある)としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリグリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。特に下記一般式(1)、(2)で示されるような化合物及びN-ビニルピロリドンに代表されるN―ビニルラクタム系重合体を含むことが好ましい。
【0023】
【0024】
(式(1)中、R1、R2およびR3は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R4及びR5は、同一又は異なって、アルキレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【0025】
【0026】
(式(2)中、R6、R7、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R10、R11、R12、R13及びR14は、同一又は異なって、アルキレン基、又は、アルキニレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
上記一般式(1)において、R1、R2およびR3で表されるアルキル基は、直鎖状であっても良く、分岐状であっても良い。上記一般式(3)のアルキル基の炭素数は、1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは3以上である。一方、20以下であることが好ましく、より好ましくは18以下であり、さらに好ましくは12以下である。
【0027】
上記一般式(1)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、オクチル基、メチルヘプチル基、ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、トリメチルペンチル基、3-エチル-2-メチルペンチル基、2-エチル-3-メチルペンチル基、2,2,3,3-テトラメチルブチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
【0028】
上記一般式(3)において、R4およびR5で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても良く、分岐状であってもよい。上記一般式(3)において、R4およびR5で表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、2-プロピレン基、n-ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基等が挙げられる。好ましくは、炭素数2~4のアルキレン基であり、さらに好ましくは、炭素数2~3のアルキレン基である。ウェハ表面への金属残渣の付着を低減する傾向にある。
【0029】
上記一般式(1)において、x及びyは、同一又は異なってもよく、0~50の数であり、好ましくは0~40であり、より好ましくは0~30であり、さらに好ましくは0~25であり、よりさらに好ましくは0~20である。
【0030】
xは、アルキレンオキシド(R4O)の平均付加モル数を表し、yは、アルキレンオキシド(R5O)の平均付加モル数を表す。x及びyは、いずれのアルキレンオキシドにおいて同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0031】
xは、0~30の数であることが好ましく、より好ましくは0~25であり、さらに好ましくは0~20である。yは、0~20の数あることが好ましく、より好ましくは0~15であり、さらに好ましくは、0~10である。ここで、x及びyは、1以上の整数であることが好ましい。親水性および疎水性を制御し易い傾向にある。
【0032】
上記一般式(1)において、分子構造がコンパクトになり高い浸透性が発現しうる点で、R1、R2及びR3のうち2つ以上がアルキル基であることが好ましい。
【0033】
上記一般式(2)において、R8、R9およびR10で表されるアルキル基は、直鎖状であっても良く、分岐状であっても良い。上記一般式(2)のアルキル基の炭素数は、1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは3以上である。一方、20以下であることが好ましく、より好ましくは18以下であり、さらに好ましくは12以下である。
【0034】
上記一般式(2)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、オクチル基、メチルヘプチル基、ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、トリメチルペンチル基、3-エチル-2-メチルペンチル基、2-エチル-3-メチルペンチル基、2,2,3,3-テトラメチルブチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
【0035】
上記一般式(2)において、R11及びR12で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても良く、分岐状であってもよい。上記一般式(2)において、R11およびR12で表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、2-プロピレン基、n-ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基等が挙げられる。好ましくは、炭素数2~4のアルキレン基であり、さらに好ましくは、炭素数2~3のアルキレン基である。ウェハ表面への金属残渣の付着を低減する傾向にある。
【0036】
上記一般式(2)において、x及びyは、同一又は異なってもよく、0~50の数であり、好ましくは0~40であり、より好ましくは0~30であり、さらに好ましくは0~25であり、よりさらに好ましくは0~20である。
【0037】
xは、アルキレンオキシド(R11O)の平均付加モル数を表し、yは、アルキレンオキシド(R12O)の平均付加モル数を表す。x及びyは、いずれのアルキレンオキシドにおいて同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0038】
xは、0~30の数であることが好ましく、より好ましくは0~25であり、さらに好ましくは0~20である。yは、0~20の数あることが好ましく、より好ましくは0~15であり、さらに好ましくは、0~10である。ここで、x及びyは、1以上の整数であることが好ましい。親水性および疎水性を制御し易い傾向にある。
【0039】
上記一般式(2)において、R6、R7、R8およびR9で表されるアルキル基は、上述したR1、R2およびR3で表されるアルキル基と同様のものが挙げられる。上記一般式(2)のアルキル基の炭素数は、1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上である。一方、20以下であることが好ましく、より好ましくは18以下であり、さらに好ましくは12以下である。
【0040】
上記一般式(2)において、R10、R11、R12、R13及びR14で表されるアルキレン基は、上述したR4およびR5で表されるアルキレン基と同様のものが挙げられる。アルキレン基として好ましくは、炭素数が2~4であり、さらに好ましくは、炭素数2~3のアルキレン基である。
【0041】
上記一般式(2)において、x及びyは、同一又は異なってもよく、0~50の数であり、好ましくは0~40であり、より好ましくは0~30であり、さらに好ましくは0~25であり、よりさらに好ましくは0~20である。
【0042】
xは、アルキレンオキシド(R10O)および(R12O)の平均付加モル数を表し、yは、アルキレンオキシド(R11O)および(R13O)の平均付加モル数を表す。x及びyは、いずれのアルキレンオキシドにおいて同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0043】
xは、1~30の数であることが好ましく、より好ましくは1~20であり、さらに好ましくは1~18である。yは、0~30の数あることが好ましく、より好ましくは0~20であり、さらに好ましくは、0~10である。ここで、x及びyは、1以上の整数であることが好ましい。
【0044】
本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれるその他成分は、半導体用洗浄剤組成物の総量に対し、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.02質量%以上である。一方、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0045】
本開示の半導体用洗浄剤組成物に含まれる、重合体、pH調整剤、その他成分などの各成分の含有量とは、一又は複数の実施形態において、洗浄工程に使用される、すなわち、洗浄への使用を開始する時点(使用時又は洗浄時という場合もある)での半導体用洗浄剤用組成物の各成分の含有量をいう。
【0046】
本開示の半導体用洗浄剤組成物は、分離や析出等を起こして保管安定性を損なわない範囲での量を減らした濃縮物として調製してもよい。半導体用洗浄剤組成物の濃縮タイプは、輸送コストの観点から5倍以上であることが好ましく、保存安定性の観点から100倍以下が好ましい。
【0047】
本開示の半導体用洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分が上述した含有量(すなわち、洗浄時の含有量)になるよう水で希釈して使用することができる。さらに半導体用洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分を別々に添加して使用することもできる。本開示において半導体用洗浄剤組成物の濃縮物の「使用時」又は「洗浄時」とは、半導体用洗浄剤組成物の濃縮物が希釈された状態をいう。
【0048】
本開示の半導体用洗浄剤組成物のpHは、7以上であることが好ましく、より好ましくは8以上であり、さらに好ましくは9以上である。一方、14以下であることが好ましく、より好ましくは、13.8以下であり、さらに好ましくは13.6以下である。
【0049】
[半導体用洗浄剤組成物の製造方法]
<重合方法>
上記重合体を製造する方法は、カルボキシ基含有単量体に由来する構造単位(A)、及び必要に応じて使用されるその他の単量体から上記重合体が製造されることになる限り特に制限されず、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれの重合反応を用いるものであってもよい。また重合反応は光重合、熱重合のいずれであってもよい。
【0050】
重合方法としては、特に限定されないが、例えば、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光重合開始剤存在下に光を照射する方法等が挙げられる。上記重合工程では、重合開始剤を用いることが好ましい。
【0051】
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン二塩酸塩)、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾジイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アスコルビン酸と過酸化水素、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤等が好適である。これらの重合開始剤のうち、残存単量体が減少する傾向にあることから、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ系化合物が好ましく、より好ましくは過硫酸塩である。
【0052】
これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。上記重合開始剤の使用量としては、単量体の使用量100gに対して、0.1g以上、30g以下であることが好ましく、0.2g以上、20g以下であることがより好ましく、0.25g以上、15g以下であることが更に好ましい。
【0053】
上記重合工程では、必要に応じ重合体の分子量調整剤として連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤として具体的には、チオグリコール酸(メルカプト酢酸)、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸(チオ乳酸)、4-メルカプトブタン酸、チオリンゴ酸及びこれらの塩等のメルカプトカルボン酸やメルカプトエタノール、チオグリセロール、2-メルカプトエタンスルホン酸等;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、次亜リン酸塩及びこれらの水和物等;亜硫酸水素(塩)や亜硫酸水素(塩)を発生し得る化合物(重亜硫酸(塩)、ピロ亜硫酸(塩)、亜ジチオン酸(塩)、亜硫酸(塩)等);等が挙げられる。中でも亜硫酸水素(塩),亜リン酸(塩),メルカプトカルボン酸等のメルカプト基を有する化合物が好ましく、より好ましくは亜硫酸水素(塩),亜リン酸(塩)である。
【0054】
本発明の共重合体の製造における連鎖移動剤の使用量としては、単量体(全単量体)の使用量100モル%に対して、0モル%以上、30モル%以下が好ましく、より好ましくは0モル%以上、25モル%以下であり、更に好ましくは0モル%以上、20モル%以下であり、最も好ましくは0モル%以上、10モル%以下である。
【0055】
上記重合工程において、重合温度としては、40℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは55℃以上である。また、より好ましくは120℃以下であり、更に好ましくは110℃以下である。
【0056】
上記重合工程において単量体成分の反応容器への投入方法は特に限定されず、全量を反応容器に初期に一括投入する方法;全量を反応容器に分割又は連続投入する方法;一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割又は連続投入する方法等が挙げられる。なお、ラジカル重合開始剤を使用する場合、反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
【0057】
重合時間としては、特に制限されないが、好ましくは30~600分であり、より好ましくは30~500分であり、更に好ましくは30~400分である。
【0058】
<本開示の半導体用洗浄剤組成物の好ましい形態の例示>
[1]重合体とpH調整剤を含む半導体用洗浄剤組成物であって、該重合体の重量平均分子量は4100以上であり、該重合体に含まれるアクリル酸に由来する構造単位が42質量%以上であり、該pH調整剤に水酸化アンモニウムを含む、pHが7以上である、半導体用洗浄剤組成物。
[2]前記重合体の重量平均分子量が29500以下である前記[1]に記載の半導体用洗浄剤組成物。
[3]下記一般式(1)及び/または一般式(2)である化合物を含む、前記[1]又は[2]に記載の半導体用洗浄剤組成物。
【0059】
【化3】
(式(1)中、R
1、R
2およびR
3は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R
4及びR
5は、同一又は異なって、アルキレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【0060】
【化4】
(式(2)中、R
6、R
7、R
8及びR
9は、同一又は異なって、水素原子、又は、アルキル基を表す。R
10、R
11、R
12、R
13及びR
14は、同一又は異なって、アルキレン基、又は、アルキニレン基を表す。x及びyは、同一又は異なって、0~50の整数を表す。(x+y)は1以上の整数である。)
【実施例0061】
[重量平均分子量分析方法]
<重量平均分子量(Mw)の測定条件1>HL415
装置:Waters Alliance e2695(RI:2414 PDA:2998)
カラム:Asahipak GF-7M HQ×2、Asahipak GF-1G 7B
溶離液:0.1M 酢酸ナトリウム水溶液(pH 7.4)
流速:0.5mL/min
温度:40℃
検量線:American Polymer Standards Corporation製 Polyacrylic acid standard
<重量平均分子量(Mw)の測定条件2> TS052
重量平均分子量(Mw)は、下記条件にて測定した。
装置:東ソー製 HLC-8320GPC
検出器:RI
カラム:東ソー製 TSK-GEL G3000PWXL
カラム温度:35℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学社製 POLY SODIUM ACRYLATE STANDARD
溶離液:リン酸二水素ナトリウム12水和物/リン酸水素二ナトリウム2水和物(34.5g/46.2g)の混合物を純水にて5000gに希釈した溶液。
【0062】
[重合体の合成]
<合成例1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量5LのSUS製反応容器に、イオン交換水1785gを仕込み、攪拌しながら沸点還流状態まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に、80%アクリル酸(以下AA) 504g、15%過硫酸ナトリウム(以下NaPS)167gをそれぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は80%AAが180分、15%NAPSが185分、イオン交換水が170分であった。15%NaPS溶液滴下終了後、更に30分間、上記反応液を沸点還流状態に保持(熟成)し、重合を完結させた。このようにして本発明の重合体を含む重合体水溶液1を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は14,000(測定条件1)であった。
【0063】
<合成例2>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水329.0gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80質量%アクリル酸水溶液(以下「80%AA」と称する)900.0g(すなわち10.0mol)を180分間、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下「15%NaPS」と称する)59.2gを195分間、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下「45%SHP」と称する)21.4gを18分間と更に続いて84.8gを162分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に純水411.8gを投入して重合体水溶液2を得た。。得られた重合体の重量平均分子量は4100(測定条件2)だった
<合成例3>
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量5リットルのSUS製セパラブルフラスコにイオン交換水1120gを仕込み、攪拌しながら沸点還流状態まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に、37%アクリル酸ナトリウム(以下SA)1480g、15%NaPS水溶液65g、イオン交換水を157gをそれぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は37%SAが140分、15%NAPS、イオン交換水が145分であった。得られた重合体の重量平均分子量は3000(測定条件1)であった。
【0064】
[実施例1~3、比較例1~2]
表1に示すように、水、重合体、その他添加剤としてノニオン性分散剤を混合し、所定のpHになるようにpH調整剤を添加し、洗浄剤組成物を調整した。
(汚染クーポン作成方法)
九州セミコンダクター社から購入したTEOS膜付ウエハを1.5cm角にカットした。
昭和電工マテリアルより購入したCeO2スラリー(昭和電工マテリアルズ社製HS0220)を100倍に希釈し、汚染溶液を作成した。カットしたウエハを汚染溶液に1min浸漬させた。浸漬後、超純水を入れたPFAポットに30秒浸漬し、その後超純水で5分以上すすいだ。
上記ウエハを乾燥させ、汚染クーポンを作成した。
(洗浄処理)
実施例毎に調整した洗浄剤組成物30mlをPFA容器に入れ、上述の汚染基板を洗浄剤組成物中に浸漬して、超音波装置(BRANSON社製S8500)を用いて2分間超音波照射(処理条件:出力40KHz)して洗浄を実施した。超音波処理後、超純水で5minすすぎ洗いを行い、自然乾燥させて洗浄を実施した。
(洗浄率算出方法)
洗浄前後のTEOS膜基板の表面分析を X線光電分光機で以下の条件にて測定した。
装置:SHIMADZU社製AXIS-NOVA
測定条件/励起源:Al Kα 12mA 12kV、Pass Energy:160eV
分析の結果、洗浄を実施する前後の基板表面に存在するCe元素の差(%)で洗浄性能を判断した。なお、洗浄率は以下の式に従って算出した。
洗浄率(%)=(洗浄前基板のCe比率-洗浄後基板のCe比率)/洗浄前基板のCe比率×100
また、洗浄率は以下の判断基準に従って洗浄度を判定した。
洗浄率判断基準:洗浄率
95%超~100%:◎
90%超~95%以下:○
86%超~90%以下:△
86%以下:×
【0065】
【0066】
表1中の化合物は、以下の通りである。
ノニオン性分散剤(i)
【0067】
【化5】
(式中、R
1:H、R
2及びR
3はいずれも炭素数1~12の直鎖アルキル基であり、R
2とR
3の炭素数の合計が11~13、R
4:-C
2H
4-、R
5:-CH
2CH(CH
3)-、x=12、y=3、xとyは平均付加モル数を表す。)を満たす複数の化合物の混合物)。
表1の結果から、高いセリア粒子の除去性を持つことが明らかとなった。