(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155810
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】V2X通信環境においてセンサデータおよびオブジェクト認識結果の共有を通じた道路状況の判断方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G08G1/09 H
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066682
(22)【出願日】2024-04-17
(31)【優先権主張番号】10-2023-0052736
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503257778
【氏名又は名称】コリア エレクトロニクス テクノロジ インスティチュート
【住所又は居所原語表記】25,Saenari-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do 13509 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】アン ビョンマン
(72)【発明者】
【氏名】ユン サンフン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】シン デキョ
(72)【発明者】
【氏名】チャン スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チャン チョンヒュク
(72)【発明者】
【氏名】リム キテ
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB15
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】V2X環境においてセンサデータおよびオブジェクト認識結果の共有を通じた道路状況の判断方法が提供される。
【解決手段】センサデータを獲得し、獲得したセンサデータを分析し、オブジェクトを認識し、外部端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信し、受信されたオブジェクト認識結果と、センサデータに対する信頼性を判断し、獲得されたセンサデータ、オブジェクト認識結果、信頼性が与えられたオブジェクト認識結果、センサデータを基に、道路状況を判断する。それにより、V2X環境においてセンサデータおよびオブジェクト認識結果の共有を通じて、道路状況を正確に判断することで、自律走行の性能を向上させる一方で、共有を通じて外部から受信されるセンサデータとオブジェクト認識結果に対し、信頼性の判断を基に道路状況の判断に活用するか否かを決定することで、道路状況判断の正確度をより向上させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサデータを獲得するステップと、
獲得したセンサデータを分析し、オブジェクトを認識するステップと、
外部端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信するステップと、
受信されたオブジェクト認識結果に対する信頼性を判断する第1の判断ステップと、
受信されたセンサデータに対する信頼性を判断する第2の判断ステップと、
獲得ステップから獲得されたセンサデータ、認識ステップから獲得されたオブジェクト認識結果、第1の判断ステップから信頼性が与えられたオブジェクト認識結果、第2の判断ステップから信頼性が与えられたセンサデータを基に、道路状況を判断する第3の判断ステップと
を含むことを特徴とする道路状況の判断方法。
【請求項2】
外部端末は、
周辺車両の端末、インフラ、歩行者端末を含むことを特徴とする請求項1に記載の道路状況の判断方法。
【請求項3】
受信ステップは、
V2X通信を介して、周辺の端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信することを特徴とする請求項2に記載の道路状況の判断方法。
【請求項4】
第1の判断ステップは、
オブジェクト認識結果の受信遅延時間を測定するステップと、
測定された遅延時間が閾値以下なら、オブジェクト認識結果に信頼性を与えるステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の道路状況の判断方法。
【請求項5】
信頼性を与えるステップは、
測定された遅延時間が閾値以下なら、オブジェクト認識結果を伝送した外部端末のオブジェクト認識率を確認するステップと、
確認されたオブジェクト認識率が閾値以上なら、オブジェクト認識結果に信頼性を与えるステップと
を含むことを特徴とする請求項4に記載の道路状況の判断方法。
【請求項6】
信頼性を与えるステップは、
確認されたオブジェクト認識率が閾値未満なら、オブジェクト認識結果に信頼性を与えないことを特徴とする請求項5に記載の道路状況の判断方法。
【請求項7】
第1の判断ステップは、
測定された遅延時間が閾値を超過すると、オブジェクト認識結果に信頼性を与えないことを特徴とする請求項4に記載の道路状況の判断方法。
【請求項8】
第2の判断ステップは、
センサデータの受信遅延時間を測定するステップと、
測定された遅延時間が閾値以下なら、センサデータに信頼性を与えるステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の道路状況の判断方法。
【請求項9】
信頼性を与えるステップは、
測定された遅延時間が閾値を超過すると、センサデータに信頼性を与えないことを特徴とする請求項8に記載の道路状況の判断方法。
【請求項10】
センサデータを獲得する獲得部と、
獲得したセンサデータを分析し、オブジェクトを認識する認識部と、
外部端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信する受信部と、
受信されたオブジェクト認識結果に対する信頼性を判断する第1の判断部と、
受信されたセンサデータに対する信頼性を判断する第2の判断部と、
獲得部から獲得されたセンサデータ、認識部から獲得されたオブジェクト認識結果、第1の判断部から信頼性が与えられたオブジェクト認識結果、第2の判断部から信頼性が与えられたセンサデータを基に、道路状況を判断する第3の判断部と
を含むことを特徴とする道路状況の判断システム。
【請求項11】
外部端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信するステップと、
受信されたセンサデータとオブジェクト認識結果に対する信頼性を判断するステップと、
内部的に獲得されたセンサデータ、内部的に獲得されたオブジェクト認識結果、および判断ステップから信頼性が与えられたセンサデータとオブジェクト認識結果を基に、道路状況を判断するステップと、
判断された道路状況を基に、車両走行を制御するステップと
を含むことを特徴とする車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、V2Xベースの自律走行制御に関し、より詳細には、V2X通信環境において情報共有を通じて、道路状況を判断して車両走行を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自律走行は、それぞれの車が自車センサとアルゴリズムを用いて、オブジェクトを認知して判断し、オブジェクト情報とオブジェクトの状況を分析している。WAVEやLTEなどの通信環境では、高容量、低遅延のデータ共有に限界があるため、他人の車や周辺のインフラから伝達される情報を用いて、リアルタイムでオブジェクトを認知して状況を判断するのに限界があるためである。
それにより、それぞれの車がモノを認識して判断するため、車両別に認知/判断された結果が異なり、特定の車両の場合は、誤った認知/判断をしてしまう場合が発生しかねない。
例えば、信号機が赤などに変わる際、前方の車両は当該信号機の情報を認知/判断して止まるが、後続車の場合、信号機の情報が前方の車両で塞がって見えにくくなり、前方の車両が止まったため前方の車両との車間距離が狭まる部分を認知/判断し、スピードを落とす状況が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、V2X環境においてセンサデータおよびオブジェクト認識結果の共有を通じた道路状況の判断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明の一実施例に係る道路状況の判断方法は、センサデータを獲得するステップと、獲得したセンサデータを分析し、オブジェクトを認識するステップと、外部端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信するステップと、受信されたオブジェクト認識結果に対する信頼性を判断する第1の判断ステップと、受信されたセンサデータに対する信頼性を判断する第2の判断ステップと、獲得ステップから獲得されたセンサデータ、認識ステップから獲得されたオブジェクト認識結果、第1の判断ステップから信頼性が与えられたオブジェクト認識結果、第2の判断ステップから信頼性が与えられたセンサデータを基に、道路状況を判断する第3の判断ステップとを含む。
外部端末は、周辺車両の端末、インフラ、歩行者端末を含んでよい。受信ステップは、V2X通信を介して、周辺の端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信してよい。
第1の判断ステップは、オブジェクト認識結果の受信遅延時間を測定するステップと、測定された遅延時間が閾値以下なら、オブジェクト認識結果に信頼性を与えるステップとを含んでよい。信頼性を与えるステップは、測定された遅延時間が閾値以下なら、オブジェクト認識結果を伝送した外部端末のオブジェクト認識率を確認するステップと、確認されたオブジェクト認識率が閾値以上なら、オブジェクト認識結果に信頼性を与えるステップとを含んでよい。信頼性を与えるステップは、確認されたオブジェクト認識率が閾値未満なら、オブジェクト認識結果に信頼性を与えなくてよい。第1の判断ステップは、測定された遅延時間が閾値を超過すると、オブジェクト認識結果に信頼性を与えなくてよい。
第2の判断ステップは、センサデータの受信遅延時間を測定するステップと、測定された遅延時間が閾値以下なら、センサデータに信頼性を与えるステップとを含んでよい。信頼性を与えるステップは、測定された遅延時間が閾値を超過すると、センサデータに信頼性を与えなくてよい。
本発明の別の実施例に係る道路状況の判断システムは、センサデータを獲得する獲得部と、獲得したセンサデータを分析し、オブジェクトを認識する認識部と、外部端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信する受信部と、受信されたオブジェクト認識結果に対する信頼性を判断する第1の判断部と、受信されたセンサデータに対する信頼性を判断する第2の判断部と、獲得部から獲得されたセンサデータ、認識部から獲得されたオブジェクト認識結果、第1の判断部から信頼性が与えられたオブジェクト認識結果、第2の判断部から信頼性が与えられたセンサデータを基に、道路状況を判断する第3の判断部とを含む。
本発明の更に別の実施例に係る道路状況の判断方法は、外部端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信するステップと、受信されたセンサデータとオブジェクト認識結果に対する信頼性を判断するステップと、内部的に獲得されたセンサデータ、内部的に獲得されたオブジェクト認識結果、および判断ステップから信頼性が与えられたセンサデータとオブジェクト認識結果を基に、道路状況を判断するステップと、判断された道路状況を基に、車両走行を制御するステップとを含む。
本発明の更に別の実施例に係る道路状況の判断システムは、外部端末からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信する受信部、受信されたセンサデータとオブジェクト認識結果に対する信頼性を判断する第1の判断部と、内部的に獲得されたセンサデータ、内部的に獲得されたオブジェクト認識結果、および第1の判断部から信頼性が与えられたセンサデータとオブジェクト認識結果を基に、道路状況を判断する第2の判断部と、判断された道路状況を基に、車両走行を制御する制御部とを含む。
【発明の効果】
【0005】
以上説明したように、本発明によれば、V2X環境においてセンサデータおよびオブジェクト認識結果の共有を通じて、道路状況を正確に判断することで、自律走行の性能を向上させることができるようになる。
なお、本発明の実施例によると、共有を通じて外部から受信されるセンサデータとオブジェクト認識結果に対し、信頼性判断を基に道路状況の判断に活用するか否かを決定することで、道路状況判断の正確度をより向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施例が適用可能なV2X通信環境を示す図である。
【
図2】自律走行車端末の構成の詳細を示す図である。
【
図3】外部から受信されたオブジェクト認識結果に対する信頼性の判断方法を示すフローチャートである。
【
図4】外部から受信されたセンサデータに対する信頼性の判断方法を示すフローチャートである。
【
図5】V2Xを通じて共有した情報を活用した車両制御の例を示す図である。
【
図6】信頼性の判断を活用した車間距離の減少による道路利用率の向上を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下では、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
本発明の実施例では、V2X通信環境でセンサデータおよびオブジェクト認識結果の共有を通じた道路状況の判断方法を提示する。
本発明の実施例において、V2X通信は、V2V(Vehicle to Vehicle)通信、V2I(Vehicle to Infra)通信、V2P(Vehicle To Pedestrian)通信、V2C(Vehicle to Cloud)通信を含む。なお、V2X通信方式は、WAVE、LTE、5G-Uu、5G-NR-V2X、6Gなどはもちろん、その他の通信方式も適用できる。
【0008】
図1は、本発明の実施例が適用可能なV2X通信環境を示す図である。本発明の実施例が適用可能なV2X通信環境は、図示のように、自律走行車端末100、周辺車両端末10、インフラ20および歩行者端末30がV2X通信を介して相互接続されて構築される。
自律走行車端末100は、本発明の実施例において、周辺端末10、20、30と情報を共有しながら、車を制御するためのV2X端末である。
周辺車両端末10は、自律走行車端末100の周辺に位置する車に設置されたV2X端末である。周辺車両端末10も、情報共有を通じて車を制御することにおいて自律走行車端末100と共通しているが、本発明の実施例では、情報共通を通じた車両制御は、自律走行車端末100のみに対して限って説明する。
【0009】
インフラ20は、道路脇、交差点などで他の端末10、30、100に交通関連情報を伝送する信号制御器、RSU(Road Side Unit)などをいう。歩行者端末30は、歩行者が持ち歩く端末にV2X通信のためのアプリケーションがインストールされている。
一方、
図1において、周辺車両端末10、インフラ20および歩行者端末30の多くは例示するためのものとして、実際にこれらは、図示しているより多いのが一般的である。
【0010】
図2は、
図1に示す自律走行車端末100の構成の詳細を示す図である。図示のように、自律走行車端末100は、センサ入力部110と、オブジェクト認識部120と、保存部130と、通信部140と、判断部150および車両制御部160を含んで構成される。
センサ入力部110は、車両100に装着されたセンサが周りの環境をセンシングして生成したセンサデータを入力されるための構成である。センサには、カメラ、LiDAR、Radarなどが含まれてよい。
【0011】
オブジェクト認識部120は、センサ入力部110を介して入力されるセンサデータを分析してオブジェクトを検出し、検出されたオブジェクトを認識して分類する。認識の対象になるオブジェクトには、周辺車両、人、動物、建物、信号機、歩行者などを含む。
保存部130は、センサ入力部110を介して入力されるセンサデータとオブジェクト認識部120によるオブジェクト認識結果が保存される。
通信部140は、保存部130に保存されたセンサデータとオブジェクト認識結果を周辺車両端末10、インフラ20,歩行者端末30に伝送する。
【0012】
なお、通信部140は、周辺車両端末10、インフラ20、歩行者端末30からセンサデータとオブジェクト認識結果を受信してよい。受信されたセンサデータとオブジェクト認識結果も保存部130に保存される。
判断部150は、図示のように、オブジェクト認識結果の信頼性判断部151と、センサデータの前処理部152およびセンサデータの信頼性判断部153、および道路状況判断部154を含んで構成される。
【0013】
オブジェクト認識結果の信頼性判断部151は、保存部130に保存された外部(周辺車両)端末10、インフラ20,歩行者端末30から受信したオブジェクト認識結果に対する信頼性を判断する。
センサデータの前処理部152は、保存部130に保存されているセンサデータに対して前処理を行う。センサデータの信頼性判断部153は、センサデータの前処理部152によって前処理されたセンサデータのうち、外部から受信されたセンサデータに対する信頼性を判断する。
道路状況判断部154は、1)自律走行車端末100が設置された車両の内部から生成されたオブジェクト認識結果、2)オブジェクト認識結果の信頼性判断部151によって信頼性があると判断された外部から受信したオブジェクト認識結果、3)車両の内部から生成されたセンサデータ、4)センサデータの信頼性判断部153によって信頼性があると判断された外部から受信したセンサデータを基に、道路状況を判断する。
車両制御部160は、道路状況判断部154によって判断された道路状況を基に車両の走行を制御する。
【0014】
以下では、外部から受信されたオブジェクト認識結果に対する信頼性の判断方法について、
図3を参照して詳細に説明する。
図示のように、まず外部からオブジェクト認識結果が受信されると(S210-Y)、オブジェクト認識結果の信頼性判断部151は、自律走行車端末100とオブジェクト認識結果を伝送した外部端末10、20、30との間の時間同期化を行い(S220)、受信遅延時間(t
L)を測定する(S230)。ステップS220における時間同期化は、GPS受信機のPPS値を基準に行ってよい。
ステップS230において測定された遅延時間(t
L)が閾値(t
th)、例えば、3msを超過する場合(S240-N)、オブジェクト認識結果の信頼性判断部151は当該外部端末10、20、30から受信されるオブジェクト認識結果に対しては、信頼性を与えない。それにより、当該外部端末10、20、30から受信されるオブジェクト認識結果は活用されない。
【0015】
一方、ステップS230において測定された遅延時間(tL)が閾値(tth)以下である場合(S240-Y)、オブジェクト認識結果の信頼性判断部151は当該外部端末10、20、30のオブジェクト認識率(Pr)を確認する(S250)。
オブジェクト認識率(Pr)は、当該外部端末10、20、30から受信して確認してよい。センサの性能に優れ、オブジェクト認識モデルの性能が優れるほど、外部端末10、20、30のオブジェクト認識率は高くなる。
【0016】
ステップS250において確認されたオブジェクト認識率(Pr)が閾値(Pth)、例えば、90%未満である場合(S260-N)、オブジェクト認識結果の信頼性判断部151は当該外部端末10、20、30から受信されるオブジェクト認識結果に対しては、信頼性を与えない。それにより、当該外部端末10、20、30から受信されたオブジェクト認識結果は活用されない。
【0017】
一方、ステップS250において確認されたオブジェクト認識率(Pr)が閾値(Pth)以上である場合(S260-Y)、オブジェクト認識結果の信頼性判断部151は当該外部端末10、20、30から受信されるオブジェクト認識結果に対しては、信頼性を与える(S270)。
信頼性が与えられた外部端末10、20、30から受信されるオブジェクト認識結果に対しては、道路状況判断部154による道路状況判断に活用される。
もし、オブジェクト認識率(Pr)が閾値以上である外部端末10、20、30が複数ある場合、オブジェクト認識率(Pr)が最も高い外部端末10、20、30のオブジェクト認識結果のみを活用できてよい。
【0018】
更に、複数の外部端末10、20、30に対するオブジェクト認識率が同じか等しい水準である場合、アクシデントの把握のためのオブジェクト認知結果は自律走行車端末100と距離の近い外部端末10、20、30から受信したオブジェクト認知結果を活用する。自律走行車端末100と外部端末10、20、30との間の距離は、外部端末10、20、30から受信される位置情報を活用して算出可能である。
【0019】
以下では、外部から受信されたセンサデータに対する信頼性の判断方法について、
図4を参照して詳しく説明する。
図示のように、まず、外部からセンサデータが受信されると(S310-Y)、センサデータの前処理部152は受信されるセンサデータに対し、データCleaning、Integration、Transformation、Reduction、Discretization、Descriptive Charateristics Miningなどの前処理を行う(S320)。
【0020】
次に、センサデータの信頼性判断部153は、センサデータの受信遅延時間(tL)を測定する(S330)。
ステップS330において測定された遅延時間(tL)が閾値(tth)、例えば、3msを超過する場合(S340-N)、センサデータの信頼性判断部153は、当該外部端末10、20、30から受信されるセンサデータに対しては、信頼性を与えない。それにより、当該外部端末10、20、30から受信されるセンサデータは活用されない。
【0021】
一方、ステップS330において測定された遅延時間(tL)が閾値(tth)以下である場合(S340-Y)、センサデータの信頼性判断部153は当該外部端末10、20、30から受信されるセンサデータに対しては、信頼性を与える(S350)。
信頼性が与えられた外部端末10、20、30から受信されるセンサデータに対しては、道路状況判断部154による道路状況判断に活用される。
もし、受信遅延時間(tL)が閾値以下である外部端末10、20、30が複数ある場合、受信遅延時間(tL)が最も短い外部端末10、20、30のセンサデータのみを活用できてよい。
【0022】
更に、複数の外部端末10、20、30に対する受信遅延時間(t
L)が同じか等しい水準である場合、自律走行車端末100と距離の近い外部端末10、20、30から受信したセンサデータを活用する。
上記実施例によって自律走行車を制御する応用例を
図5に示す。
図5に示した応用例は、前方の車両が信号機の認識結果とV2Iを介して信号制御器から受信した信号機情報を活用し、交差点の前に停車した状況、後続車が前方の車両によって視野が塞がって信号機を認知できなかったが、前方との車間距離の減少を認識し、V2Vを介して前方の車両から受信した信号機情報を通じて信号機を認識して停車している状況を示している。
【0023】
上記応用例は、車が発進する状況でも適用可能である。例えば、信号待機後、車の発進の際に前方の車両を除く後続車は信号機が見えなくなることもあるが、このような状況で前方の車両から信号情報をV2Vで提供されて認識して発進するものである。この場合、信号待機後、後続車が次々と発進する際、できるだけ多くの車が信号が変わらないうちに通過できるため、円滑な交通と省エネ両方を可能とし、システマチックに自律走行ができるようになる。
上述の実施例において、信頼性の付与に利用した受信遅延時間の閾値は、
図5でt1とt2との間の時間を増加させることも減少させることもできるため、応用サービスの状況によって適正な値を適用しなければならない。
上記実施例によって、自律走行車を制御すると、道路の利用率の増加が可能である。従来のV2X方法は自分の車から得た情報を主に判断するが、上記実施例では、周辺の車、インフラなどの情報を受信して情報を活用するうえで、当該情報に対する信頼性の判断結果が反映されるためである。
【0024】
例えば、
図6に示すように、d1の場合、前方の車両に信頼性が与えられ、自分の車で判断するオブジェクトの結果に近いか等しい水準の信頼できるデータ受信が継続的に行われている。このような状況では、前方の車両を信頼する状況になるため、車の接近走行で自律走行が可能であり、それは車間距離の減少、道路利用率がよくなる状況を予想できる。
これまで、V2X通信環境でセンサデータおよびオブジェクト認識結果の共有を通じた道路状況の判断方法について、好適な実施例を挙げて詳細に説明してきた。
従来の技術は、それぞれの車が自分の車のセンサとアルゴリズムを用いて、オブジェクトを認知して判断し、オブジェクト情報とオブジェクトの状況を分析して自律走行を行うため、それぞれの車がモノを認知して判断するため車両別に認知/判断された結果が異なり、特定の車の場合は、誤った認知/判断する場合を発生してきた。例えば、信号機が赤などに変更される際、前方の車両は当該信号機の情報を認知/判断してブレーキを踏み停車するが、後続車は信号機の情報を前方の車両に塞がって見えない場合、前方の車両が止まったため、前方の車両との距離が狭まる部分を認知/判断してスピードを落としてブレーキを踏む状況が発生する。
【0025】
本発明の実施例では、該当する状況を解決すべく、同様の状況で前方の車両は認知/判断したオブジェクトの状況変化(信号機の変化)情報を後続車にV2X通信を介して伝達する。それにより、後続車は前方の車両から伝達されたオブジェクトの状況情報を受信すると、自ら判断したオブジェクトの状況/認知情報、そして前方の車両に塞がって判断できなかった前方のオブジェクトの状況情報などを総合し、周りの状況を従来自らのセンサだけで認識した情報と比較および活用することで、従来より正確に周りの状況を認知して従来より早めにブレーキを踏むことができるようになる。
【0026】
一方、本実施例に係る装置及び方法の機能を行わせるコンピュータプログラムを組み込んだコンピュータで読み取り可能な記録媒体にも、本発明の技術的思想が適用され得る。なお、本発明の多様な実施例に係る技術的思想は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータで読み取り可能なコード形式で実現されてよい。コンピュータで読み取り可能な記録媒体とは、コンピュータによって読み取ることができ、データを保存することができる如何なるデータ保存装置でも可能である。例えば、コンピュータで読み取り可能な記録媒体とは、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスクドライブなどであってよい。なお、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存されたコンピュータで読み取り可能なコード又はプログラムは、コンピュータ間で接続されたネットワークを介して伝送されてよい。
【0027】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。