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特開2024-155813液晶パッケージおよびその製造方法、これを含む光学積層体、およびこれを含むスマートウィンドウ
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  • 特開-液晶パッケージおよびその製造方法、これを含む光学積層体、およびこれを含むスマートウィンドウ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155813
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】液晶パッケージおよびその製造方法、これを含む光学積層体、およびこれを含むスマートウィンドウ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20241024BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20241024BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241024BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241024BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20241024BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20241024BHJP
   B60J 7/00 20060101ALI20241024BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241024BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
G02B5/30
G02F1/1335 510
G02F1/13 505
E06B9/24 C
B60J1/00 J
B60J7/00 P
G09F9/30 309
G02F1/1343
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066730
(22)【出願日】2024-04-17
(31)【優先権主張番号】10-2023-0052525
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 亨 勳
(72)【発明者】
【氏名】金 珍 浩
(72)【発明者】
【氏名】許 燮
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H149
2H189
2H291
5C094
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088FA29
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA03
2H088HA18
2H088JA05
2H088JA09
2H088JA10
2H088MA17
2H092HA04
2H092PA02
2H092PA03
2H092PA11
2H092QA07
2H092QA08
2H092QA09
2H092QA10
2H149AA27
2H149AB26
2H149BA02
2H149CA02
2H149DA02
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA12
2H149FA02X
2H149FA04X
2H149FA05X
2H149FA08X
2H149FA12X
2H149FA13X
2H149FA61
2H149FC04
2H149FC08
2H149FD47
2H189DA04
2H189DA07
2H189DA76
2H189DA77
2H189DA78
2H189DA79
2H189FA61
2H189FA81
2H189HA11
2H189HA12
2H189HA14
2H189JA05
2H189JA08
2H189JA10
2H189LA01
2H189LA05
2H291FA10X
2H291FA10Z
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA94X
2H291FA94Z
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291GA05
5C094BA43
5C094DA06
5C094DA07
5C094EB01
5C094EB02
5C094EB10
5C094HA05
5C094HA08
5C094HA10
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】液晶層形成のためのシーラントを含むことにより発生するギャップ(gap)不均一現象あるいはシーラント破裂による製品不良を最小化する。
【解決手段】本発明は、第1保護フィルムと、前記第1保護フィルムの一面上に形成される、第1配向膜と、前記第1保護フィルムに対向する、第2保護フィルムと、前記第2保護フィルムの一面上に形成され、前記第1配向膜に対向する、第2配向膜と、前記第1配向膜および第2配向膜の間に備えられる、液晶層とを含み、外周面がシール(sealing)された密封構造を有する、液晶パッケージおよびその製造方法、これを含む光学積層体、およびこれを含むスマートウィンドウに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1保護フィルムと、
前記第1保護フィルムの一面上に形成される、第1配向膜と、
前記第1保護フィルムに対向する、第2保護フィルムと、
前記第2保護フィルムの一面上に形成され、前記第1配向膜に対向する、第2配向膜と、
前記第1配向膜および第2配向膜の間に備えられる、液晶層とを含み、
外周面がシール(sealing)された密封構造を有する、液晶パッケージ。
【請求項2】
前記シール(sealing)された密封構造は、熱融着シール(sealing)によって密封された構造である、請求項1に記載の液晶パッケージ。
【請求項3】
前記シール(sealing)された外周面の少なくとも一部の領域は、液晶パッケージの外側に突出した形状を有する、請求項1に記載の液晶パッケージ。
【請求項4】
前記シール(sealing)された外周面の少なくとも一部の領域は、液晶パッケージの外周面に曲面が形成されるように屈曲した形状を有する、請求項1に記載の液晶パッケージ。
【請求項5】
前記第1保護フィルムおよび第2保護フィルムのうちの少なくとも1つの保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)、ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyethyl methacrylate;PEMA)および環状オレフィン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の液晶パッケージ。
【請求項6】
前記第1保護フィルムおよび第2保護フィルムのうちの少なくとも1つの保護フィルムは、50μm以下の厚さを有する、請求項1に記載の液晶パッケージ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の液晶パッケージの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の液晶パッケージを含む透過率可変光学積層体であって、
前記第1保護フィルムの上面上に積層された第1透明導電層および第1偏光板と、
前記第2保護フィルムの上面上に積層された第2透明導電層および第2偏光板と、を含む、透過率可変光学積層体。
【請求項9】
前記第1透明導電層および第2透明導電層のうちの少なくとも1つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のいずれか1つの偏光板と直接接触して形成される、請求項8に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項10】
前記第1透明導電層および第2透明導電層のうちの少なくとも1つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インク、およびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含む、請求項8に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項11】
前記第1偏光板および第2偏光板のうちの少なくとも1つの偏光板は、保護層、位相差調整層、および屈折率調整層からなる群より選択される1種以上を含む、請求項8に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項12】
前記第1偏光板および第2偏光板のうちの少なくとも1つの偏光板は、30~200μmの厚さを有する、請求項8に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項13】
前記透過率可変光学積層体は、オーバーコート層、粘接着層および紫外線吸収層からなる群より選択される1種以上をさらに含む、請求項8に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項14】
請求項8~13のいずれか1項に記載の透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウ。
【請求項15】
請求項14に記載のスマートウィンドウを含む、交通手段。
【請求項16】
請求項14に記載のスマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りのうちの少なくとも1つ以上に適用した、自動車。
【請求項17】
請求項14に記載のスマートウィンドウを含む、ウェアラブル装置。
【請求項18】
請求項14に記載のスマートウィンドウを含む、建築用建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パッケージおよびその製造方法、これを含む光学積層体、およびこれを含むスマートウィンドウに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両などの移動手段の窓ガラスに外光遮断コーティングをする場合が多い。しかし、従来の移動手段の窓ガラスは透過率が固定されており、外光遮断コーティングも透過率が固定されている。したがって、このような従来の移動手段のウィンドウは全体透過率が固定されていて、事故を誘発することがある。例えば、全体的な透過率が低く設定されていれば、周辺に光量の十分な昼間には問題がないが、周辺に光量の十分でない夜間などの場合は、運転者などが移動手段の周辺をきちんと確認する上で困難を経験しうるという問題点があった。あるいは、全体的な透過率が高く設定されていれば、周辺に光量の十分な昼間には運転者などの眩しさを引き起こしうるという問題点があった。そこで、電圧が印加されれば光の透過性を変化させることができる透過率可変光学積層体が開発された。
【0003】
前記透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって液晶を駆動させて透過率を可変させることにより駆動されるが、現在まで開発された透過率可変光学積層体は、上側積層体、下側積層体、およびシーラントによって定義される領域に液晶層を形成し、前記液晶の駆動のための導電層を別の基材上に形成した後、これを偏光板などの他の素子と結合して作製された。
【0004】
例えば、日本国特開第2018-010035号公報も、上側積層体、下側積層体、およびシール材によって定義される領域に液晶層を形成し、所定の厚さを有するポリカーボネート(PC)基板などに形成された透明電極層を含む透過率可変光学積層体を開示している。
【0005】
しかし、このように液晶層が備えられる空間を提供するためにシーラントを含む場合、上側積層体および下側積層体の接合時、シーラントの高さが十分に圧着されず、ギャップ(gap)不均一現象あるいはシーラント破裂などの製品不良が発生する問題があった。また、導電層を形成するために別の基材を含む場合、作製工程の複雑化とともに製造費用が上昇し、積層体の厚さが厚くなり、位相差が発生することにより透過率が変化する問題があった。
【0006】
したがって、シーラントを備えることにより発生する製品不良を防止できながらも、導電層形成のための別の基材を含まず、作製工程が簡素化され、厚さを減少させることができる透過率可変光学積層体に対する開発が必要なのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特開第2018-010035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、液晶層形成のためのシーラントを含むことにより発生するギャップ(gap)不均一現象あるいはシーラント破裂による製品不良を最小化することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、導電層形成のための別の基材を含むことにより製造費用が上昇する問題を解決し、薄型化あるいは透過率向上などの製品品質をさらに向上させることを目的とする。
【0010】
しかし、本発明が解決しようとする課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は以下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1保護フィルムと、前記第1保護フィルムの一面上に形成される、第1配向膜と、前記第1保護フィルムに対向する、第2保護フィルムと、前記第2保護フィルムの一面上に形成され、前記第1配向膜に対向する、第2配向膜と、前記第1配向膜および第2配向膜の間に備えられる、液晶層とを含み、外周面がシール(sealing)された密封構造を有する、液晶パッケージに関する。
【0012】
本発明は、その第1観点において、前記シール(sealing)された密封構造は、熱融着シール(sealing)によって密封された構造であってもよい。
【0013】
本発明は、その第2観点において、前記シール(sealing)された外周面の少なくとも一部の領域は、液晶パッケージの外側に突出した形状を有するものであってもよい。
【0014】
本発明は、その第3観点において、前記シール(sealing)された外周面の少なくとも一部の領域は、液晶パッケージの外周面に曲面が形成されるように屈曲した形状を有するものであってもよい。
【0015】
本発明は、その第4観点において、前記第1保護フィルムおよび第2保護フィルムのうちの少なくとも1つの保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)、ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyethyl methacrylate;PEMA)および環状オレフィン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0016】
本発明は、その第5観点において、前記第1保護フィルムおよび第2保護フィルムのうちの少なくとも1つの保護フィルムは、50μm以下の厚さを有するものであってもよい。
【0017】
また、本発明は、前記液晶パッケージの製造方法に関する。
【0018】
また、本発明は、前記第1保護フィルムの上面上に積層された第1透明導電層および第1偏光板と、前記第2保護フィルムの上面上に積層された第2透明導電層および第2偏光板と、を含む、透過率可変光学積層体に関する。
【0019】
本発明は、その第6観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうちの少なくとも1つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のうちのいずれか1つの偏光板と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0020】
本発明は、その第7観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうちの少なくとも1つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インク、およびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0021】
本発明は、その第8観点において、前記第1偏光板および第2偏光板のうちの少なくとも1つの偏光板は、保護層、位相差調整層、および屈折率調整層からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0022】
本発明は、その第9観点において、前記第1偏光板および第2偏光板のうちの少なくとも1つの偏光板は、30~200μmの厚さを有するものであってもよい。
【0023】
本発明は、その第10観点において、前記透過率可変光学積層体は、オーバーコート層、粘接着層、および紫外線吸収層からなる群より選択される1種以上をさらに含むものであってもよい。
【0024】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウに関する。
【0025】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む、交通手段に関する。
【0026】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りのうちの少なくとも1つ以上に適用した、自動車に関する。
【0027】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む、ウェアラブル装置または建築用建具に関する。
【発明の効果】
【0028】
本発明による液晶パッケージによれば、シーラントを含まないことにより、シーラント圧着不良によるギャップ(gap)不均一現象あるいはシーラント破裂による製品不良が発生しないという面で利点がある。
【0029】
また、本発明による透過率可変光学積層体によれば、偏光板の一面上に直接導電層が形成されて導電層形成のための別の基材を含まないことにより、積層体の薄型化あるいは透過率向上の面で利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一または複数の実施例による液晶パッケージを示す図である。
図2】本発明の一または複数の実施例による液晶パッケージを示す図である。
図3A】本発明の一実施例による液晶パッケージの製造工程を示す図である。
図3B】本発明の一実施例による液晶パッケージの製造工程を示す図である。
図3C】本発明の一実施例による液晶パッケージの製造工程を示す図である。
図4】本発明の一実施例による透過率可変光学積層体を示す図である。
図5】本発明の一実施例によるスマートウィンドウの積層構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、液晶層形成のためのシーラントを含まないことにより、シーラントを含む場合に発生しうる技術的問題、例えば、シーラント圧着不良によるギャップ(gap)不均一現象あるいはシーラント破裂による製品不良を防止できる液晶パッケージおよびその製造方法;および前記液晶パッケージを含む。
【0032】
より具体的には、本発明は、偏光板の一面上に液晶駆動のための導電層を直接形成することにより、導電層形成のための別の基材を含まず、積層体の厚さが減少し、透光モードでの透過率が向上した透過率可変光学積層体に関する。
【0033】
さらに詳しくは、本発明は、第1保護フィルムと、前記第1保護フィルムの一面上に形成される、第1配向膜と、前記第1保護フィルムに対向する、第2保護フィルムと、前記第2保護フィルムの一面上に形成され、前記第1配向膜に対向する、第2配向膜と、前記第1配向膜および第2配向膜の間に備えられる、液晶層とを含み、外周面がシール(sealing)された密封構造を有する、液晶パッケージおよびその製造方法、およびこれを含む透過率可変光学積層体に関する。
【0034】
前記液晶パッケージを含む本発明の透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって光の透過性を変化させることができる技術分野に特に好適であり、例えば、スマートウィンドウ(smart window)などに使用可能である。
【0035】
スマートウィンドウ(smart window)とは、電気的信号の印加によって光の透過性を変化させて通過する光または熱の量を制御する光学構造物を意味する。すなわち、スマートウィンドウ(smart window)は、電圧によって透明、不透明または半透明状態に変化可能に備えられ、透過度可変ガラス、調光ガラス、またはスマートガラス(smart glass)などとも呼ばれる。
【0036】
スマートウィンドウ(smart window)は、車両および建築物の内部空間の区画用または私生活保護用仕切りとして活用されたり、建築物の開口部に配置された採光窓として活用されてもよく、高速道路表示板、掲示板、点数板、時計または広告スクリーンとしても活用可能であり、自動車、バス、航空機、船舶または列車などの交通手段の窓(windows)またはサンルーフのような運送手段のガラスを代替して活用可能である。
【0037】
本発明の透過率可変光学積層体も、上述した様々な技術分野のスマートウィンドウ(smart window)として活用が可能であるが、導電層が偏光板に直接形成されることにより、導電層形成のための別の基材を含まず、厚さが薄くて屈曲特性に有利で、車両用または建物用スマートウィンドウ(smart window)に特に好適に使用可能である。一または複数の実施例において、本発明の透過率可変光学積層体が適用されたスマートウィンドウ(smart window)は、交通手段、例えば、自動車の前面窓、後面窓、側面窓およびサンルーフ窓、または建築用建具などに使用可能であり、外光遮断用途以外にも、内部仕切りなどのように自動車または建物などの内部空間区画用または私生活保護用にも使用可能であり、ヘルメット、メガネ、または時計などのウェアラブル(wearable)装置にも使用可能である。
【0038】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付した以下の図面は本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、上述した発明の内容とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるので、本発明はその図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはならない。
【0039】
本明細書で使用される用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文言で特に言及しない限り、複数形も含む。例えば、本明細書で使用される「偏光板」は、第1偏光板および第2偏光板のうちの少なくとも1つの偏光板を意味するものであり、「透明導電層」は、第1透明導電層および第2透明導電層のうちの少なくとも1つの透明導電層を意味するものであり、「保護フィルム」は、第1保護フィルムおよび第2保護フィルムのうちの少なくとも1つの保護フィルムを意味するものであり、「配向膜」は、第1配向膜および第2配向膜のうちの少なくとも1つの配向膜を意味するものであってもよい。
【0040】
本明細書で使用される、含む(comprises)および/または含む(comprising)は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子以外の1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない意味で使用する。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
【0041】
空間的に相対的な用語である「下」、「底面」、「下部」、「上」、「上面」、「上部」などは、図面に示されているように、1つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用できる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時または動作時に素子の互いに異なる方向を含む用語で理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下」または「下部」と記述された素子は、他の素子の「上」に置かれてもよい。したがって、例示的な用語である「下」は、下と上の方向をすべて含むことができる。素子は他の方向にも配向可能であり、これによって空間的に相対的な用語は配向によって解釈される。
【0042】
本明細書内で使用された、「平面方向」は、偏光板および/または透明導電層の厚さ方向、すなわち使用者の視認側から眺める方向と解釈される。
【0043】
本明細書内で使用された、「実質的に」は、物理的に完全に同一あるいは一致するものだけでなく、測定あるいは製造工程上の誤差範囲以内のものを含むと解釈され、例えば、誤差範囲1%以下であると解釈される。
【0044】
<液晶パッケージ>
図1および2は、本発明の一または複数の実施例による液晶パッケージを示す図である。
【0045】
図1および2を参照すれば、本発明の一実施例による液晶パッケージ100は、第1保護フィルム11と、第2保護フィルム12と、第1配向膜21と、第2配向膜22と、液晶層30とを含むものであってもよい。
【0046】
前記保護フィルム11、12は、配向膜21、22および液晶層30形成のための構造的基地を提供するためのものであり、後述のように、シール(sealing)によって密封された構造を形成するための部材としての役割を果たすためのものである。
【0047】
前記保護フィルム11、12は、図1および2に示されるように、単層の形態で使用されるものであってもよいが、これに限定されるものではなく、使用者の必要に応じて2以上の保護フィルムが連続的に積層された複層の形態で使用されるものであってもよい。
【0048】
一または複数の実施例において、前記保護フィルム11、12は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)、ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyethyl methacrylate;PEMA)および環状オレフィン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいし、入手容易性および加工便宜性などの面で、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、環状オレフィン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)が好ましく使用できる。
【0049】
一または複数の実施例において、前記保護フィルム11、12は、50μm以下の厚さを有するものであってもよいし、好ましくは、1~30μmの厚さを有するものであってもよく、さらに好ましくは、1~10μmの厚さを有するものであってもよい。保護フィルムの厚さが過度に小さい場合は、液晶パッケージ自体の耐久性が低下したり、後述するシール(sealing)工程によって密封された構造を形成しにくいことがあり、厚さが過度に厚い場合は、後述する透過率可変光学積層体の作製のために液晶パッケージの外側に配置される透明導電層間の距離が過度に遠くなるにつれて光学積層体の円滑な駆動が難しいことがある。
【0050】
前記配向膜21、22は、保護フィルム11、12を基準として液晶パッケージの内側に位置して液晶層30に備えられる液晶化合物に配向性を付与するためのものである。
【0051】
前記配向膜21、22は、液晶化合物に配向性を付与できるものであれば特に制限されず、例えば、物理配向膜または光配向膜が使用できる。
【0052】
前記物理配向膜は、ポリイミド(PI)などの配向物質を塗布した後、ラビング(rubbing)工程によって配向性が付与された配向膜を意味するものであってもよい。
【0053】
前記光配向膜は、光配向性あるいは光硬化性高分子などを含むものであってもよい。例えば、前記光配向膜は、光配向性あるいは光硬化性高分子、光重合開始剤および溶剤を含む配向膜コーティング組成物を塗布および硬化することにより作製できる。
【0054】
前記光配向性あるいは光硬化性高分子は、特に限定されないが、シンナメート系高分子、ポリイミド系高分子などを使用することができ、例えば、poly(vinyl cinnamate)(PVCi)、poly(siloxane cinnamate)(PSCN)、poly(ω(4-chalconyloxy)alkoxyphenylmaleimide、6-FDA-HAB-Clなどを使用することができ、従来または後に開発される配向性を示す高分子を使用することができる。
【0055】
一または複数の実施例において、前記配向膜21、22は、30~100nmの厚さを有するものであってもよいし、さらに好ましくは、50~100nmの厚さを有するものであってもよい。配向膜の厚さが前記範囲を満足する場合、液晶化合物の配向性の付与が容易であるだけでなく、液晶パッケージの薄型化の面で利点があり得る。
【0056】
前記液晶層30は、電界によって一または複数の方向から入射する光の透過度を調整することにより、後述する偏光板と結合して光学積層体の駆動モードを変更させることができる。
【0057】
前記液晶層30は、液晶化合物(図示せず)およびスペーサ(図示せず)を含むものであってもよいし、例えば、第1保護フィルム11および第2保護フィルム12の間に備えられる第1配向膜21および第2配向膜22の間に配置されるものであってもよいし、一部の実施例において、シール(sealing)によって接合された保護フィルムの内壁と界面を形成するものであってもよい。
【0058】
前記液晶化合物は、電界によって駆動されるもので光の透過率を制御できるものであれば特に制限されず、従来または後に開発される液晶化合物を使用することができる。
【0059】
前記液晶化合物は、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、また、重合性官能基を1つ以上含む化合物を意味することができる。このような液晶化合物は、いわゆるRM(Reactive Mesogen)という名称で多様に公知である。前記液晶化合物は、光または熱によって重合されて液晶配列が維持されながら高分子ネットワークが形成された硬化膜を構成することができる。
【0060】
前記液晶化合物は、単官能性または多官能性反応性液晶化合物であってもよい。前記単官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を1個有する化合物であり、多官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を2個以上含む化合物を意味することができる。
【0061】
前記液晶化合物の液晶挙動方式は特に制限されるものではなく、例えば、TN(Twisted nematic)モード、STN(Super twisted nematic)モード、VA(Vertical alignment)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モードなどが使用できる。
【0062】
前記スペーサは、ボールスペーサ(ball spacer)およびカラムスペーサ(column spacer)のうちの少なくとも1つ以上のスペーサを含むことができ、特に、ボールスペーサ(ball spacer)であることが好ましい。前記ボールスペーサ(ball spacer)は、1つ以上であってもよく、直径が1~10μmであることが好ましい。また、平面方向からみて、前記ボールスペーサ(ball spacer)が液晶層に占める面積は、使用者の視認性および透光モードでの透過率向上の面で、液晶層の面積に対して0.01~10%であることが好ましい。
【0063】
一実施例において、本発明の液晶パッケージ100は、外周面がシール(sealing)された密封構造を有するものであってもよいし、例えば、前記シール(sealing)された密封構造は、熱融着シール(sealing)によって密封されたものであってもよい。
【0064】
前記シール(sealing)された密封構造の外周面の形状は特に制限されず、例えば、図1に示されるように、少なくとも一部の領域に液晶パッケージ100の外側に突出した形状を有するものであってもよい。また、図2に示されるように、液晶パッケージ100の外周面に曲面が形成されるように屈曲した形状を有するものであってもよい。
【0065】
本発明の液晶パッケージ100によれば、液晶層30形成のためのシーラントを含まず、シーラント圧着不良によるギャップ(gap)不均一現象あるいはシーラント破裂による製品不良が発生しないという面で利点があり得る。
【0066】
図3は、本発明の一実施例による液晶パッケージの製造工程を示す図である。
【0067】
図3を参照すれば、本発明の一実施例による液晶パッケージの製造工程は、第1積層体および第2積層体をそれぞれ作製するステップ(S1、図3A参照)と、第1積層体および第2積層体の間に液晶層30を形成するステップ(S2、図3B参照)と、シール(sealing)工程によって外周面を密封するステップ(S3、図3C参照)と、を含むものであってもよい。
【0068】
前記ステップ(S1)は、第1保護フィルム11の一面上に第1配向膜21を形成して、第1積層体を作製するステップであってもよい。
【0069】
前記第1配向膜21は、上述のように、物理配向膜形成用組成物を塗布した後、ラビング(rubbing)工程によって形成され、光配向膜形成用組成物を塗布および乾燥した後、乾燥した塗膜上にUVを照射して形成されてもよい。
【0070】
一実施例において、前記第1保護フィルム11と第1配向膜21との密着性向上のために、第1保護フィルム11の第1配向膜21が形成される一面上にコロナ処理またはプラズマ処理などの前処理を実施した後、第1配向膜21が形成されるものであってもよい。
【0071】
一実施例において、前記第1配向膜21は、第1保護フィルム11の面積より小さいように、すなわち第1保護フィルム11の幅より狭い幅を有するように形成されるものであってもよいし、好ましくは、第1保護フィルム11の外端部上には形成されないものであってもよい。第1配向膜21がこのように形成される場合、ステップ(S3)で保護フィルム11、12のシール(sealing)によって外周面を密封する上で工程性がさらに向上できる。
【0072】
一方、図3Aは、第2積層体については示されていないが、第2積層体も、前記第1積層体と実質的に同一の方法によって作製できる。
【0073】
前記ステップ(S2)は、第1積層体および第2積層体の間に液晶層形成用組成物を注入して、液晶層30を形成するステップであってもよい。
【0074】
一実施例において、前記液晶層30は、第1積層体の第1配向膜21上に液晶層形成用組成物をODF(One Drop Filling)方式によって注入した後、第1積層体および第2積層体を所定の圧力で加圧して接合することにより形成される。前記第1積層体および第2積層体の接合のための圧力は、特に制限されないが、1.0~3.0kg/cmであってもよいし、さらに好ましくは、1.5~2.0kg/cmであってもよい。
【0075】
一実施例において、ステップ(S2)は、液晶層30形成のための液晶層形成用組成物を注入する前に、ボールスペーサを散布するステップを含むものであってもよい。
【0076】
前記ボールスペーサを散布する方法は特に制限されないが、例えば、IPAなどの溶媒にボールスペーサを混合した混合溶媒を製造した後、下部積層体、例えば、第1積層体の第1配向膜21上に前記ボールスペーサを散布するものであってもよい。
【0077】
他の実施例において、前記液晶層形成用組成物は、ボールスペーサを含むものであってもよいし、この場合は、前記ボールスペーサを散布するステップを省略可能である。
【0078】
前記ステップ(S3)は、シール(sealing)工程によって保護フィルム11、12を密封して、液晶パッケージを作製するステップであってもよい。
【0079】
一実施例において、前記シール(sealing)工程は、熱融着シール(sealing)によるものであってもよいし、この場合、第1保護フィルム11および第2保護フィルム12を加熱および加圧して行われる。
【0080】
前記熱融着シール(sealing)の実施温度は、保護フィルムの種類によって使用者が適宜選択可能であるが、例えば、30~400℃であってもよいし、好ましくは、50~380℃であってもよい。
【0081】
一実施例において、前記加圧は、第1保護フィルム11および第2保護フィルム12の外端部に対応する領域にそれぞれ圧力P1、P2を加えることにより行われる。
【0082】
前記第1保護フィルム11および第2保護フィルム12の第1外端部に印加される圧力P1と、第2外端部に印加される圧力P2は、互いに実質的に同一であるか、異なっていてもその差が相対的に小さいことが好ましい。
【0083】
<透過率可変光学積層体>
図4は、本発明の一実施例による透過率可変光学積層体を示す図である。
【0084】
図4を参照すれば、本発明の一実施例による透過率可変光学積層体は、上述した液晶パッケージ100と、第1透明導電層210と、第2透明導電層220と、第1偏光板310と、第2偏光板320とを含むものであってもよい。例えば、液晶パッケージ100に備えられる第1保護フィルム11の上面上に第1透明導電層210および第1偏光板310が順次積層されてもよいし、第1保護フィルム11の上面上に第1偏光板310および第1透明導電層210が順次積層されてもよい。前記第2保護フィルム12の上面上に第2透明導電層220および第2偏光板320が順次積層されてもよいし、前記第2保護フィルム12の上面上に第2偏光板320および第2透明導電層220が順次積層されてもよい。
【0085】
前記透明導電層210、220は、液晶パッケージ100に備えられる液晶層30の駆動のために備えられるもので、前記偏光板310、320と直接接触して形成されるものであってもよい。例えば、図4に示されるように、第1透明導電層210および第2透明導電層220は、それぞれ第1偏光板310および第2偏光板320に直接接触して形成されるものであってもよい。
【0086】
従来のスマートウィンドウ(smart window)などの製造に用いられる光学積層体は、液晶駆動のための導電層を基材の一面上に形成し、前記基材の他面を偏光板と貼合することにより製造された。しかし、本発明による透過率可変光学積層体は、導電層形成のための別の基材を含まず、偏光板の一面上に導電層を直接形成することにより、積層体の厚さを減少させながら透光モードでの透過率および屈曲特性を向上させることを特徴とする。
【0087】
一実施例において、前記透明導電層210、220は、前記偏光板310、320の一面上に直接蒸着されて形成されるものであってもよい。この時、前記透明導電層210、220は、偏光板310、320との接着力向上のために、偏光板310、320の一面上にコロナ処理またはプラズマ処理などの前処理を実施した後、前記偏光板310、320の前処理を実施した面と直接接触して形成されるものであってもよい。前記前処理は、コロナ処理またはプラズマ処理に限定されるものではなく、本発明の目的を阻害しない範囲内で、従来または後に開発される前処理工程を使用することができる。
【0088】
他の実施例において、前記透明導電層210、220は、偏光板310、320との接着力向上のために、偏光板310、320の一面上に備えられた易接着層(図示せず)を挟んで、偏光板310、320と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0089】
前記透明導電層210、220は、可視光に対する透過率が50%以上であることが好ましく、例えば、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、伝導性高分子、導電性インク、およびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいが、これに限定されるものではなく、従来または後に開発される透明導電層の材料が使用できる。
【0090】
一または複数の実施例において、前記透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、フッ素スズ酸化物(FTO)および亜鉛酸化物(ZnO)などからなる群より選択される1種以上を含むことができる。また、前記金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、およびこれらのうちの少なくとも1つを含む合金などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいし、例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金または銅-カルシウム(CuCa)合金を含むことができる。前記炭素系物質は、カーボンナノチューブ(CNT)およびグラフェン(graphene)などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよいし、前記伝導性高分子は、ポリピロール(polypyrrole)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリアセチレン(polyacetylene)、ピードット(PEDOT)およびポリアニリン(polyaniline)などからなる群より選択される1種以上を含むことができる。前記導電性インクは、金属パウダーと硬化性高分子バインダーとが混合されたインクであってもよく、ナノワイヤは、例えば、シルバーナノワイヤ(AgNW)であってもよい。
【0091】
また、前記透明導電層210、220は、前記物質を組み合わせて、2層以上の構造に形成される。例えば、入射光の反射率を低下させ、透過率を高めるように金属層および透明導電性酸化物層を含む2層構造に形成される。
【0092】
前記透明導電層210、220は、当該分野で通常用いられる方法によって形成され、例えば、スピンコート法、ローラコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法などのコート工程;スクリーン印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法などの印刷工程;およびCVD(chemical vapor deposition)、PVD(physical vapor deposition)、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)などの蒸着工程などの方式のうち適切な工程を選択して形成できる。
【0093】
前記偏光板310、320は、偏光子(図示せず)を含み、前記偏光子の一面または両面上に、保護層、位相差調整層、および屈折率調整層などのような機能層をさらに含むものであってもよい。例えば、偏光板310、320は、偏光子と、前記偏光子の一面または両面上に積層された保護層とを含むものであってもよく、偏光子と、前記偏光子の一面上に積層された保護層と、前記偏光子の前記一面に対向する他面上に積層された位相差調整層とを含むものであってもよく、偏光子と、前記偏光子の一面上に積層された保護層と、前記偏光子の前記一面に対向する他面上に順次に積層された位相差調整層および屈折率調整層とを含むものであってもよく、偏光子と、前記偏光子の一面上に積層された保護層と、前記偏光子の前記一面に対向する他面上に順次に積層された保護層および位相差調整層とを含むものであってもよい。
【0094】
前記偏光子は、従来または後に開発される偏光子を用いることができ、例えば、延伸型偏光子またはコーティング型偏光子などを用いることができる。
【0095】
一実施例において、前記延伸型偏光子は、延伸されたポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂を含むことができる。前記ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化して得たポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。前記他の単量体としては、不飽和カルボン酸系、不飽和スルホン酸系、オレフィン系、ビニルエーテル系、アンモニウム基を有するアクリルアミド系単量体などであってもよい。また、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は、変性されたものを含み、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマルやポリビニルアセタールであってもよい。
【0096】
一実施例において、前記コーティング型偏光子は、液晶コーティング用組成物によって形成され、この時、前記液晶コーティング用組成物は、反応性液晶化合物および二色性染料などを含むことができる。
【0097】
前記反応性液晶化合物は、電界によって駆動されるもので光の透過率を制御できるものであれば特に制限されず、上述した液晶層の液晶化合物において述べた内容と実質的に同一であってもよい。
【0098】
前記二色性染料は、液晶コーティング用組成物に含まれて偏光特性を付与する成分であって、分子の長軸方向での吸光度と、短軸方向での吸光度とが異なる性質を有する。前記二色性染料は、従来または後に開発される二色性染料を使用することができ、例えば、アゾ染料(azo dyes)、アントラキノン染料(anthraquinone dyes)、ペリレン染料(perylene dyes)、メロシアニン染料(merocyanine dyes)、アゾメチン染料(azomethine dyes)、フタロペリレン染料(phthaloperylene dyes)、インディゴ染料(indigo dyes)、ジオキサジン染料(dioxadine dyes)、ポリチオフェン染料(polythiophene dyes)およびフェノキサジン染料(phenoxazine dyes)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0099】
前記液晶コーティング用組成物は、前記反応性液晶化合物および前記二色性染料を溶解させる溶剤をさらに含むことができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン(xylene)およびクロロホルム(chloroform)などが使用できる。また、前記液晶コーティング用組成物は、コーティング膜の偏光特性を阻害しない範囲内でレベリング剤、重合開始剤などをさらに含むことができる。
【0100】
前記保護層は、後工程および外部環境から偏光子の偏光特性を保存するためのもので、保護フィルムなどの形態で実現できる。
【0101】
前記保護層は、偏光子の一面または両面上に直接接触して形成されるが、これに限定されるものではない。例えば、前記保護層は、1つ以上の保護層が連続的に積層された複層構造で使用されてもよいし、他の部材上に形成されるものであってもよい。
【0102】
前記保護層は、上述した液晶パッケージの保護フィルムにおいて述べた内容と実質的に同一であってもよい。
【0103】
前記位相差調整層は、光学積層体の光学特性を補うためのもので、位相差フィルムなどの形態で実現可能であり、従来または後に開発される位相差フィルムなどを使用することができる。例えば、光の位相を遅延させるための四分の一波長板(1/4波長板)または半波長板(1/2波長板)などを使用することができ、これらを単独でまたは組み合わせて使用可能である。
【0104】
前記位相差調整層は、偏光子の一面上に直接接触して形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、位相差調整層が保護層の一面上に形成されて、偏光子、保護層、および位相差調整層が順次に積層されるものであってもよい。
【0105】
前記位相差調整層は、延伸によって光学異方性を付与できる高分子フィルムを適切な方式で延伸した高分子延伸フィルムまたは液晶重合フィルムを使用することができる。
【0106】
一実施例において、前記高分子延伸フィルムは、ポリエチレン(polyethylene;PE)またはポリプロピレン(polypropylene;PP)などのポリオレフィン、ポリノルボルネン(polynorbornene)などの環状オレフィンポリマー(COP:cyclo olefin polymer)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride;PVC)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリスルホン(polysulfone;PSU)、アクリル樹脂(acryl resin)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)などのポリエステル、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl acholol;PVA)またはトリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)などのセルロースエステル系ポリマーや、前記ポリマーを形成する単量体のうち2種以上の単量体の共重合体などを含む高分子層を使用することができる。
【0107】
前記高分子延伸フィルムを得る方法は特に制限されず、例えば、前記高分子材料をフィルム状に成形した後、延伸することにより得ることができる。前記フィルム状への成形方法は特に制限されるものではなく、射出成形、シート成形、ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形、キャスト成形など公知の方法でフィルムに成形することが可能であり、圧空成形、真空成形などの2次加工成形法も利用可能である。なかでも、押出成形、キャスト成形が好ましく用いられる。この時、例えば、Tダイ、円形ダイなどが装着された押出機などを用いて未延伸フィルムを押出成形することができる。押出成形によって成形品を得る場合は、事前に各種樹脂成分、添加剤などを溶融混練した材料を用いてもよければ、押出成形時に溶融混練を経て成形してもよい。また、各種樹脂成分に共通した溶媒、例えば、クロロホルム、2塩化メチレンなどの溶媒を用いて各種樹脂成分を溶解後、キャスト乾燥固体化することにより、未延伸フィルムをキャスト成形してもよい。
【0108】
前記高分子延伸フィルムは、前記成形されたフィルムを機械的流れ方向(MD;Mechanical Direction、縦方向または長手方向)に一軸延伸、機械的流れ方向の横方向(TD;Transverse Direction、横方向または幅方向)に一軸延伸することができ、また、ロール延伸とテンター延伸の順次二軸延伸法、テンター延伸による同時二軸延伸法、チューブラー延伸による二軸延伸法などによって延伸することにより、二軸延伸フィルムを製造してもよい。
【0109】
前記液晶重合フィルムは、反応性液晶化合物を重合された状態で含むことができる。前記反応性液晶化合物は、上述した液晶層の液晶化合物において述べた内容と実質的に同一であってもよい。
【0110】
一または複数の実施例において、前記位相差調整層の厚さは、高分子延伸フィルムの場合は10μm~100μmであってもよく、液晶重合フィルムの場合は0.1μm~5μmであってもよい。
【0111】
前記屈折率調整層は、前記透明導電層210、220による光学積層体の屈折率差を補償するために備えられるもので、屈折率差を減少させることにより視認特性などを改善させるための役割を果たすものであってもよい。また、前記屈折率調整層は、前記透明導電層210、220に起因する色相を補正するために備えられるものであってもよい。一方、前記透明導電層がパターンを有する場合は、前記屈折率調整層を介して前記パターンが形成されているパターン領域とパターンが形成されない非パターン領域との間の透過率差を補償することができる。
【0112】
具体的には、前記透明導電層210、220は、これと屈折率の異なる他の部材(例えば、偏光子など)に隣接して積層され、隣接した他層との屈折率差によって光透過率の差が誘発されることがあり、特に透明導電層にパターンが形成された場合、パターン領域と非パターン領域とが区分されて視認される問題点が発生することがある。したがって、前記屈折率調整層を含むことにより、屈折率を補償させて光学積層体の光透過率の差を減少させることができるようにし、特に透明導電層にパターンが形成された場合は、パターン領域および非パターン領域が区分されて視認されないようにする。
【0113】
一実施例において、前記屈折率調整層の屈折率は、隣接した他の部材の材料によって適宜選択可能であるが、1.4~2.6であることが好ましく、さらに好ましくは、1.4~2.4であってもよい。この場合、前記偏光子などの他の部材と透明導電層210、220との間の急激な屈折率差による光損失を防止することができる。
【0114】
前記屈折率調整層は、偏光子などの他の部材と透明導電層210、220との間の急激な屈折率差を防止できるものであれば、特に制限されず、従来または後に開発される屈折率調整層の形成に用いられる化合物を使用することができ、例えば、重合性イソシアヌレート化合物を含む屈折率調整層形成組成物から形成されるものであってもよい。
【0115】
一実施例において、前記偏光板310、320は、上述した機能層以外にも、偏光子の特性を補助あるいは強化するための他の機能層をさらに含むことができ、例えば、機械的耐久性をさらに向上させるために、オーバーコート層などをさらに含むものであってもよい。
【0116】
一または複数の実施例において、前記偏光板310、320は、30~200μmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、30~170μmであってもよいし、さらに好ましくは、50~150μmであってもよい。この場合、前記偏光板310、320は、光学特性を維持しながらも、薄い厚さの光学積層体の製造が可能である。
【0117】
本発明の透過率可変光学積層体は、本発明の目的を損なわない範囲内で他の部材をさらに含むものであってもよいし、例えば、粘接着層をさらに含むものであってもよく、紫外線吸収層、ハードコート層などをさらに含むものであってもよい。
【0118】
前記粘接着層は、接着剤または粘着剤を用いて形成され、光学積層体の取扱時に剥離、気泡などが発生しないように適切な粘接着力を有すると同時に、透明性および熱安定性を有することが好ましい。
【0119】
前記接着剤は、従来または後に開発される接着剤を使用することができ、例えば、光硬化性接着剤を使用することができる。
【0120】
前記光硬化性接着剤は、紫外線(Ultraviolet、UV)、電子線(Electron Beam、EB)などの活性エネルギー線を受けて架橋および硬化して強い接着力を示すもので、反応性オリゴマー、反応性モノマー、光重合開始剤などで構成される。
【0121】
前記反応性オリゴマーは、接着剤の特性を決定する重要な成分で、光重合反応によって高分子結合を形成して硬化被膜を形成する。使用可能な反応性オリゴマーは、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
【0122】
前記反応性モノマーは、前述した反応性オリゴマーの架橋剤、希釈剤としての役割をし、接着特性に影響を及ぼす。使用可能な反応性モノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル類、環状エーテル類などが挙げられる。
【0123】
前記光重合開始剤は、光エネルギーを吸収してラジカルあるいは陽イオンを生成させて光重合を開始する役割を果たすもので、光重合樹脂によって好適なものを選択して使用することができる。
【0124】
前記粘着剤は、従来または後に開発される粘着剤を使用することができ、一または複数の実施例において、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを使用することができる。前記粘着剤は、粘着力と粘弾性を有するものであれば特に制限されないが、入手容易性などの面で、好ましくは、アクリル系粘着剤であってもよく、例えば、(メタ)アクリレート共重合体、架橋剤および溶剤などを含むものであってもよい。
【0125】
前記架橋剤は、従来または後に開発される架橋剤を使用することができ、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマーなどを含むものであってもよく、好ましくは、ポリイソシアネート化合物を含むものであってもよい。
【0126】
前記溶剤は、樹脂組成物分野で使用される通常の溶媒を含むことができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールメトキシアルコールなどのアルコール系化合物;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトンなどのケトン系化合物;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメトキシアセテートなどのアセテート系化合物;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブなどのセロソルブ系化合物;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系化合物などの溶媒が使用できる。これらは単独であるいは2種以上が組み合わされて使用可能である。
【0127】
前記粘接着層の厚さは、粘接着体の役割を果たす樹脂の種類、粘接着強度、粘接着剤が用いられる環境などによって適宜決定可能である。一実施例において、前記粘接着層は、十分な粘接着力を確保し、光学積層体の厚さを最小化するために、0.01~50μmであってもよく、好ましくは、0.05~20μm、さらに好ましくは、0.1~10μmの厚さを有するものであってもよい。
【0128】
前記紫外線吸収層は、紫外線による光学積層体の劣化を防止するためのものであれば特に制限されず、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェニルサリシレート、p-tert-ブチルサリシレートなど)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンなど)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(1-メチル-1-フェニルエチル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートと2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートとの混合物など)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2’-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3-(3’,4’-メチレンジオキシフェニル)-アクリレートなど)、トリアジン系紫外線吸収剤などを使用することができ、透明性が高く、偏光板や透過率可変層の劣化を防止する効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、分光吸収スペクトルがより適切なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ビス(Bis)化したものであってもよいし、例えば、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノール)、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール)などであってもよい。
【0129】
前記ハードコート層は、外部の物理的、化学的衝撃から偏光板、透過率可変層などの部材を保護するためのものであれば特に制限されず、従来または後に開発されるハードコート層が使用可能である。
【0130】
一実施例において、前記ハードコート層は、他の部材上にハードコート層形成用組成物を塗布した後、光または熱によって硬化させて形成される。前記ハードコート層形成用組成物は特に制限されず、例えば、光硬化性化合物および光開始剤を含むことができる。
【0131】
前記光硬化性化合物および光開始剤は、当分野で一般的に用いられるものを制限なく使用可能であり、例えば、前記光硬化性化合物は、光重合性モノマー、光重合性オリゴマーなどであってもよく、例えば、単官能および/または多官能(メタ)アクリレートが挙げられ、光開始剤は、オキシムエステル系などが挙げられる。
【0132】
<スマートウィンドウ、およびこれを含む製品>
図5は、本発明の一実施例によるスマートウィンドウの積層構造を示す図である。
【0133】
図5を参照すれば、本発明の一実施例によるスマートウィンドウは、上述した透過率可変光学積層体と、第1ガラス部材510と、第2ガラス部材520とを含むものであってもよいし、例えば、透過率可変光学積層体に備えられる第1偏光板310の上面上に第1ガラス部材510が積層され、前記第2偏光板320の上面上に第2ガラス部材520が積層されたものであってもよい。
【0134】
一部の実施例において、前記偏光板310、320およびガラス部材510、520の間に粘接着層410、420が配置されるものであってもよい。前記粘接着層は、上述した透過率可変光学積層体の粘接着層において述べた内容と実質的に同一であってもよいし、EVAフィルム、PVBフィルムなど当業界で通常用いられる粘接着フィルムの形態で実現できる。
【0135】
前記ガラス部材510、520は、特に制限されず、後述する交通手段、自動車、ウェアラブル装置および建築用建具などに用いられる通常のガラス部材が使用できる。
【0136】
一実施例において、自動車に用いられるスマートウィンドウの場合、透過率可変光学積層体の両面上に車両用ガラスを接合したものであってもよく、例えば、光学積層体の両面上に車両用ガラスを載せた後、プレス(press machine)を用いて、温度90℃および1barの真空状態で10~20分間加熱して作製されたものであってもよいし、この時、EVAフィルム、PVBフィルムなどの接着フィルムが使用できる。
【0137】
他の実施例において、建築用建具に用いられるスマートウィンドウの場合、透過率可変光学積層体の一面または両面上に建物用ガラスを接合したものであってもよく、例えば、光学積層体の一面上に建物用ガラスをラミネート方式で接合したものであってもよく、光学積層体の両面上に建物用ガラスをUV接着剤の塗布後、接合およびUV硬化して作製されたものであってもよい。
【0138】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む交通手段、例えば、前記スマートウィンドウを、前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りのうちの少なくとも1つ以上に適用した自動車、前記スマートウィンドウを含むウェアラブル装置および建築用建具を含む。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5