IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社半導体エネルギー研究所の特許一覧

<>
  • 特開-電子機器 図1
  • 特開-電子機器 図2
  • 特開-電子機器 図3
  • 特開-電子機器 図4
  • 特開-電子機器 図5
  • 特開-電子機器 図6
  • 特開-電子機器 図7
  • 特開-電子機器 図8
  • 特開-電子機器 図9
  • 特開-電子機器 図10
  • 特開-電子機器 図11
  • 特開-電子機器 図12
  • 特開-電子機器 図13
  • 特開-電子機器 図14
  • 特開-電子機器 図15
  • 特開-電子機器 図16
  • 特開-電子機器 図17
  • 特開-電子機器 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155862
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20241024BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241024BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20241024BHJP
   H10K 59/128 20230101ALI20241024BHJP
   H10K 50/88 20230101ALI20241024BHJP
   H10K 59/80 20230101ALI20241024BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20241024BHJP
   H10K 50/87 20230101ALI20241024BHJP
   H10K 59/95 20230101ALI20241024BHJP
   H10K 59/121 20230101ALI20241024BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20241024BHJP
   H10K 59/123 20230101ALI20241024BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241024BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G09F9/30 308A
G09F9/30 308Z
G09F9/30 330
G09F9/00 350Z
H10K77/10
H10K59/128
H10K50/88
H10K59/80
H10K59/131
H10K50/87
H10K59/95
H10K59/121 213
H10K59/35
H10K59/123
H05K5/02 A
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068134
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2023069961
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】塚本 洋介
(72)【発明者】
【氏名】及川 欣聡
【テーマコード(参考)】
3K107
4E360
5C094
5E322
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107CC42
3K107CC43
3K107CC45
3K107DD17
3K107EE04
3K107EE57
3K107EE62
3K107EE63
3K107EE65
3K107EE66
3K107FF15
3K107GG53
3K107HH00
3K107HH05
4E360AB05
4E360ED06
4E360ED07
5C094AA14
5C094AA15
5C094AA51
5C094BA03
5C094BA23
5C094BA27
5C094BA43
5C094DA06
5C094DA09
5C094FB14
5C094HA08
5E322AA02
5E322AB06
5E322FA04
5G435AA18
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE02
5G435LL07
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減可能な表示装置または電子機器を提供する。筐体内の空間を有効利用することのできる電子機器を提供する。
【解決手段】表示パネルは、筐体の正面に位置する第1の表示部、筐体の側面のうち、隣接する2つの側面のそれぞれに沿って設けられる第2の表示部及び第3の表示部、並びに、第1の表示部の裏側に折り返された第1の部分を有する。第1の部分は、表示パネルを展開した際に、第2の表示部を挟んで第1の表示部と対向する。第1の部分には外部接続端子、または駆動回路を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、当該筐体の内部に設けられ、可撓性を有する表示パネルと、を有し、
前記表示パネルは、第1の表示部、第2の表示部、第3の表示部、及び第1の部分を有し、
前記第1の表示部は、前記筐体の正面に位置する部分であり、
前記第2の表示部は、前記第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、前記筐体の第1の側面に位置する部分であり、
前記第3の表示部は、前記第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、前記筐体の前記第1の側面に隣接する第2の側面に位置する部分であり、
前記第1の部分は、前記表示パネルを展開したときに前記第2の表示部を挟んで前記第1の表示部と対向して設けられ、且つ、前記第1の表示部の裏側に折り返された部分であり、
前記第1の部分は、端子部を有する、
電子機器。
【請求項2】
筐体と、当該筐体の内部に設けられ、可撓性を有する表示パネルと、を有し、
前記表示パネルは、第1の表示部、第2の表示部、第3の表示部、及び第1の部分を有し、
前記第1の表示部は、前記筐体の正面に位置する部分であり、
前記第2の表示部は、前記第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、前記筐体の第1の側面に位置する部分であり、
前記第3の表示部は、前記第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、前記筐体の前記第1の側面に隣接する第2の側面に位置する部分であり、
前記第1の部分は、前記表示パネルを展開したときに前記第2の表示部を挟んで前記第1の表示部と対向して設けられ、且つ、前記第1の表示部の裏側に折り返された部分であり、
前記第1の部分は、回路部を有する、
電子機器。
【請求項3】
請求項2において、
前記回路部は、シフトレジスタ回路、デマルチプレクサ回路、ラッチ回路、及びレベルシフタ回路のうち、一以上を有する、
電子機器。
【請求項4】
請求項2において、
前記回路部は、信号線駆動回路を有する、
電子機器。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、
前記表示パネルは、第4の表示部を有し、
前記第4の表示部は、前記第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、前記筐体の前記第1の側面とは反対側であって前記第2の側面に隣接する第3の側面に位置する部分である、
電子機器。
【請求項6】
請求項1または請求項2において、
前記表示パネルは、第5の表示部を有し、
前記第5の表示部は、前記第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、前記筐体の前記第2の側面とは反対側であって前記第1の側面に隣接する第4の側面に位置する部分である、
電子機器。
【請求項7】
請求項1または請求項2において、
前記第2の表示部は、第1の曲率で湾曲する部分を有し、
前記第3の表示部は、第2の曲率で湾曲する部分を有し、
前記第1の曲率と前記第2の曲率とは異なる、
電子機器。
【請求項8】
請求項1または請求項2において、
前記第2の表示部は、第1の曲率で湾曲する部分を有し、
前記第3の表示部は、第2の曲率で湾曲する部分を有し、
前記第1の曲率は前記第2の曲率より大きい、
電子機器。
【請求項9】
請求項1または請求項2において、
前記第1の部分は、前記第1の表示部の裏面に固定される部分を有する、
電子機器。
【請求項10】
請求項1において、
前記第1の表示部は、第1の画素領域、第2の画素領域、及び第3の画素領域を有し、
前記第1の画素領域は、複数の画素を有し、
前記第2の画素領域は、複数の画素と、走査線駆動回路と、を有し、
前記第3の画素領域は、複数の画素と、信号線駆動回路と、を有する、
電子機器。
【請求項11】
請求項1または請求項2において、
前記第1の表示部は、第1の画素領域及び第2の画素領域を有し、
前記第1の画素領域は、複数の画素を有し、
前記第2の画素領域は、複数の画素と、走査線駆動回路と、を有する、
電子機器。
【請求項12】
請求項1または請求項2において、
前記第1の部分は、センサ部を有し、
前記センサ部は、感圧センサを有し、
前記第1の部分は、前記センサ部が前記第1の表示部の裏面に位置するように、固定される部分を有する、
電子機器。
【請求項13】
請求項2において、
前記筐体内に、放熱板を有し、
前記放熱板は、前記第1の部分に熱伝導性を有する粘着材を介して接着される、
電子機器。
【請求項14】
請求項13において、
前記筐体内に、バッテリを有し、
前記バッテリは、前記放熱板に熱伝導性を有する粘着材を介して接着される、
電子機器。
【請求項15】
請求項1または請求項2において、
前記第1の表示部は、複数の画素を有し、
前記画素は、表示素子と、トランジスタと、を有し、
前記トランジスタは、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を有し、且つ、ソースとドレインが異なる高さに位置する、
電子機器。
【請求項16】
請求項2において、
前記第1の表示部は、複数の画素を有し、
前記画素は、表示素子と、第1のトランジスタと、を有し、
前記回路部は、第2のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、それぞれチャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を有し、且つ、ソースとドレインが異なる高さに位置する、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。本発明の一態様は、表示装置を備える電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
可撓性を有する基板上に表示素子と駆動回路を設け、湾曲させることのできるフレキシブルディスプレイが実用化されている。また、フレキシブルディスプレイは、薄型、軽量であることから、スマートフォンなどの携帯情報端末機に適している。
【0004】
特許文献1には、可撓性を有する表示装置の一部を湾曲させることで、接続端子を表示面とは反対側に折り返す構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-197181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様は、部品点数を削減可能な表示装置または電子機器を提供することを課題の一とする。または、筐体内の空間を有効利用することのできる電子機器を提供することを課題の一とする。または、薄型化が可能な電子機器を提供することを課題の一とする。または、表示領域を拡大することのできる表示装置または電子機器を提供することを課題の一とする。または、多様な表示を行うことのできる表示装置または電子機器を提供することを課題の一とする。
【0007】
また、本発明の一態様は、新規な半導体装置、表示装置、または電子機器を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、先行技術の問題点の少なくとも一を、少なくとも軽減することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、筐体と、当該筐体の内部に設けられ、可撓性を有する表示パネルと、を有する電子機器である。表示パネルは、第1の表示部、第2の表示部、第3の表示部、及び第1の部分を有する。第1の表示部は、筐体の正面に位置する部分である。第2の表示部は、第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、筐体の第1の側面に位置する部分である。第3の表示部は、第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、筐体の第1の側面に隣接する第2の側面に位置する部分である。第1の部分は、表示パネルを展開したときに第2の表示部を挟んで第1の表示部と対向して設けられ、且つ、第1の表示部の裏側に折り返された部分である。さらに第1の部分は、端子部を有する。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、筐体と、筐体の内部に設けられ、可撓性を有する表示パネルと、を有する電子機器である。表示パネルは、第1の表示部、第2の表示部、第3の表示部、及び第1の部分を有する。第1の表示部は、筐体の正面に位置する部分である。第2の表示部は、第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、筐体の第1の側面に位置する部分である。第3の表示部は、第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、筐体の第1の側面に隣接する第2の側面に位置する部分である。第1の部分は、表示パネルを展開したときに第2の表示部を挟んで第1の表示部と対向して設けられ、且つ、第1の表示部の裏側に折り返された部分である。さらに第1の部分は、回路部を有する。
【0011】
また、上記において、回路部は、シフトレジスタ回路、デマルチプレクサ回路、ラッチ回路、及びレベルシフタ回路のうち、一以上を有することが好ましい。
【0012】
また、上記において、回路部は、信号線駆動回路を有することが好ましい。
【0013】
また、上記いずれかにおいて、表示パネルは、第4の表示部を有することが好ましい。このとき、第4の表示部は、第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、筐体の第1の側面とは反対側であって第2の側面に隣接する第3の側面に位置する部分である。
【0014】
また、上記いずれかにおいて、表示パネルは、第5の表示部を有することが好ましい。このとき、第5の表示部は、第1の表示部と継ぎ目なく連続し、且つ、筐体の第2の側面とは反対側であって第1の側面に隣接する第4の側面に位置する部分である。
【0015】
また、上記いずれかにおいて、第2の表示部は第1の曲率で湾曲する部分を有し、第3の表示部は第2の曲率で湾曲する部分を有することが好ましい。さらに第1の曲率と第2の曲率とは異なることが好ましい。または、第1の曲率は第2の曲率より大きいことが好ましい。
【0016】
また、上記いずれかにおいて、第1の部分は、第1の表示部の裏面に固定される部分を有することが好ましい。
【0017】
また、上記において、第1の表示部は、第1の画素領域、第2の画素領域、及び第3の画素領域を有することが好ましい。このとき、第1の画素領域は複数の画素を有し、第2の画素領域は複数の画素と走査線駆動回路と、を有し、第3の画素領域は複数の画素と信号線駆動回路と、を有することが好ましい。
【0018】
また、上記いずれかにおいて、第1の表示部は、第1の画素領域及び第2の画素領域を有することが好ましい。このとき、第1の画素領域は複数の画素を有し、第2の画素領域は複数の画素と走査線駆動回路と、を有することが好ましい。
【0019】
また、上記いずれかにおいて、第1の部分は、センサ部を有することが好ましい。このとき、センサ部は感圧センサを有することが好ましい。さらに、第1の部分はセンサ部が第1の表示部の裏面に位置するように固定される部分を有することが好ましい。
【0020】
また、上記において、筐体内に放熱板を有することが好ましい。このとき、放熱板は第1の部分に熱伝導性を有する粘着材を介して接着されることが好ましい。
【0021】
また、上記において、さらに筐体内にバッテリを有することが好ましい。このとき、バッテリは放熱板に熱伝導性を有する粘着材を介して接着されることが好ましい。
【0022】
また、上記いずれかにおいて、第1の表示部は複数の画素を有することが好ましい。このとき、画素は、表示素子と、トランジスタと、を有する。さらに、トランジスタは、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を有し、且つ、ソースとドレインが異なる高さに位置することが好ましい。
【0023】
また、上記において、第1の表示部は複数の画素を有することが好ましい。このとき、画素は、表示素子と、第1のトランジスタと、を有する。さらに回路部は、第2のトランジスタを有することが好ましい。また、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタは、それぞれチャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を有し、且つ、ソースとドレインが異なる高さに位置することが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、部品点数を削減可能な表示装置または電子機器を提供できる。または、筐体内の空間を有効利用することのできる電子機器を提供できる。または、薄型化が可能な電子機器を提供できる。または、表示領域を拡大することのできる表示装置または電子機器を提供できる。または、多様な表示を行うことのできる表示装置または電子機器を提供できる。
【0025】
また、本発明の一態様によれば、新規な半導体装置、表示装置、電子機器、または表示システムを提供できる。また、本発明の一態様によれば、先行技術の問題点の少なくとも一を、少なくとも軽減できる。
【0026】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1(A)乃至図1(C)は、電子機器の構成例である。
図2図2(A)乃至図2(C)は、電子機器の構成例である。
図3図3(A)乃至図3(D)は、電子機器の構成例である。
図4図4(A)乃至図4(D)は、電子機器の構成例である。
図5図5(A)乃至図5(D)は、電子機器の構成例である。
図6図6(A)及び図6(B)は、電子機器の構成例である。
図7図7(A)乃至図7(D)は、電子機器の構成例である。
図8図8(A)乃至図8(D)は、電子機器の構成例である。
図9図9(A)乃至図9(D)は、電子機器の構成例である。
図10図10は、表示装置の構成例である。
図11図11(A)及び図11(B)は、表示装置の構成例である。
図12図12(A)及び図12(B)は、半導体装置の構成例である。
図13図13は、表示装置の構成例である。
図14図14は、表示装置の構成例である。
図15図15は、表示装置の構成例である。
図16図16は、表示装置の構成例である。
図17図17は、表示装置の構成例である。
図18図18(A)乃至図18(F)は、表示装置の作製方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチングパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0030】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0031】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0032】
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
【0033】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクタが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0034】
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を表示する機能と、表示面に指またはスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様である。
【0035】
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセンサ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる。または、表示パネルの内部または表面にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもできる。
【0036】
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、コネクタまたはICが実装されたものを、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネル、及び表示パネルを有する電子機器の構成例について説明する。
【0038】
本発明の一態様は、可撓性を有する表示パネルを有する。表示パネルは、その一部が湾曲した状態で電子機器の筐体の内部に設けられる。表示パネルは、湾曲した部分にも画像を表示することができる。
【0039】
より具体的には、例えば表示パネルは、筐体の正面に位置する第1の表示部、筐体の側面のうち、隣接する2つの側面のそれぞれに沿って設けられる第2の表示部及び第3の表示部、並びに、第1の表示部の裏側(表示面とは反対側)に折り返された第1の部分を有する構成とすることができる。第1の表示部と第2の表示部とは、継ぎ目なく連続した表示を行うことができる。第1の表示部と第3の表示部も同様である。
【0040】
第1の部分は、表示パネルを展開した際に、第2の表示部を挟んで第1の表示部と対向する。第1の部分には、表示パネルに電力、信号などを供給するための複数の外部接続端子を有する端子部が設けられる。端子部には、FPC(Flexible Printed Circuit)、ケーブル、コネクタ、またはICなどを接続することができる。
【0041】
上述のように、第1の部分は第1の表示部に隣接して設けられるのではなく、これらの間に第2の表示部を挟んで設けられることが好ましい。第2の表示部を有さない場合、第1の部分を小さな曲率半径で約180度湾曲させる必要がある。曲率半径が小さく、且つ湾曲角度が大きいと、表示パネルを構成する膜にクラックが生じ、信頼性に影響する恐れがある。一方、第2の表示部を有する場合は、第1の表示部と第2の表示部との間、または第2の表示部自体が湾曲した構成となるため、湾曲する箇所を分散させることができ、高い信頼性を実現することができる。
【0042】
また、第1の部分には、表示パネルを駆動するための駆動回路が設けられていることが好ましい。例えば、信号線駆動回路(ソースドライバともいう)、走査線駆動回路(ゲートドライバともいう)、またはこれらの一部を設けることができる。例えば、信号線駆動回路を構成する、シフトレジスタ回路、デマルチプレクサ回路、ラッチ回路、及びレベルシフタ回路のうち、一以上を設けることが好ましい。
【0043】
また、第1の部分に設けられる回路を構成するトランジスタと、第1の表示部等の画素に設けられる回路を構成するトランジスタとは、同一の作製工程を経て作製されることが好ましい。特に、当該トランジスタとして、チャネルが形成される半導体に酸化物半導体を用いたトランジスタを適用することが好ましい。さらに、ソースとドレインとが、異なる高さに位置する、縦型トランジスタとすることが好ましい。これにより、極めて高いスイッチング特性を実現することができるため、画素回路だけでなく、上述した駆動回路についても高い駆動性能を実現することができる。例えば、ICを用いることなく、画素と、ゲートドライバと、ソースドライバとを実装した表示パネルを実現することもできる。
【0044】
フラットパネルディスプレイの量産装置と、LSIの量産装置とでは、例えば配線の幅については2桁以上サイズが異なる場合がある。そのため、第1の部分に回路を作りこむ場合、ICを実装する場合と比較して、面積が大きくなる。しかしながら、第1の部分は第1の表示部の裏面(背面)側に折り返して配置することができるため、筐体内の占有スペースを縮小することができる。さらに、表示パネルの駆動回路の一部または全部を回路部に配置することができるため、表示モジュールの部品点数を削減することができる。
【0045】
以下では、より具体的な例について、図面を参照して説明する。
【0046】
[構成例1]
図1(A)に、電子機器10の斜視概略図を示す。電子機器10は、筐体12と、筐体12内に組み込まれた表示モジュール11を有する。電子機器10は、スマートフォンなどの携帯情報端末機として用いることができる。なお図1(A)では、カメラ、物理ボタン、外部接続端子などの要素を省略している。これらの要素は、筐体12の表示モジュール11が設けられない部分に、または表示モジュール11と重ねて配置することができる。
【0047】
表示モジュール11は、筐体12の正面に位置する表示部11Cを有する。また、表示モジュール11は、筐体12の正面を縦長に見た場合に、筐体12の正面に対して右側面に位置する表示部11R、左側面に位置する表示部11L、上側面に位置する表示部11T、及び下側面(底面ともいう)に位置する表示部11Bを有する。
【0048】
表示部11C、11R、11L、11T、及び11Bには、それぞれマトリクス状に配置された複数の画素が設けられている。画素には少なくとも一の表示素子と、少なくとも一のトランジスタと、が設けられている。表示部11R、11L、11T、及び11Bは、それぞれ表示部11Cに継ぎ目なく連続しており、表示部11Cとの間で継ぎ目のない画像を表示することができる。なお表示部が継ぎ目なく連続しているとは、例えば、隣接する2つの表示部において、画素、表示素子、及びトランジスタが同一面上に同じ周期で設けられている状態と言い換えてもよい。
【0049】
表示部11Cと、表示部11R、11L、11T、及び11Bとは継ぎ目なく連続するため、これらの境界は厳密に決定できない場合がある。例えば、表示部11Cが平坦である場合には、表示部11Cと、表示部11R、11L、11T、及び11Bとの境界は、曲率が変化する点を繋いだ直線(または曲線)が、これらの境界とみなすことができる。
【0050】
表示部11R、11L、11T、及び11Bは、それぞれ筐体12の側面に位置する曲面に沿って湾曲するように設けられている。なおこれに限られず、表示部11R、11L、11T、及び11Bはそれぞれ、平坦面を有していてもよい。
【0051】
図1(B)及び図1(C)には、表示モジュール11の斜視概略図を示す。図1(B)は、正面、右側面、及び底面を示し、図1(C)は背面、左側面、及び底面を示している。ここでは、筐体12に組み込まれる状態の表示モジュール11の形状を示している。表示モジュール11は、表示パネルと、FPC14とを有する。表示パネルは、表示モジュール11のFPC14を除く部分に相当し、表示部11C、表示部11T、表示部11B、表示部11L、表示部11R、及び非表示部13、及びFPC14との接続部等を有する。
【0052】
表示モジュール11は、表示部11Bに隣接する非表示部13を有する。非表示部13は表示部11Cの裏側と重なるように折り返されている。非表示部13は、回路部13Cと、FPC14と接続する接続部と、を有する。なお、非表示部13の一部または全部に、画像を表示可能な領域(表示部)を配置することもできる。非表示部13の一部または全部を表示部とすることで、表示面積を増加させることができる。
【0053】
図2(A)に、表示モジュール11を展開したときの平面図を示す。表示部11Cに対して四方にそれぞれ表示部11R、11L、11T、及び11Bが設けられている。また、非表示部13は、表示部11Bを挟んで表示部11Cと対向して設けられている。非表示部13の端部には、FPC14と接続するための端子部13Bが設けられる。端子部13Bは、例えば、異方性導電シート、異方性導電ペーストなどを介してFPC14と接続されている。
【0054】
回路部13Cは、各表示部に設けられた画素を駆動するための駆動回路を有する。回路部13Cには、例えば走査線駆動回路の一部または全部、もしくは信号線駆動回路の一部または全部を備えることができる。例えば、回路部13Cには、シフトレジスタ回路、デマルチプレクサ回路、ラッチ回路、及びレベルシフタ回路のうち、一以上を有する構成とすることが好ましい。
【0055】
図2(A)では、走査線駆回路として機能する回路部15a、15b、及び15cを有する例を示している。回路部15aは表示部11R及び表示部11Lの長辺に沿って配置され、表示部11C、11R、及び11Lの駆動を制御する。回路部15b、15cはそれぞれ表示部11T、表示部11Bの短辺に沿って配置され、それぞれ表示部11T、11Bの駆動を制御する。そのため、回路部13Cは、走査線駆動回路としての機能を有さず、信号線駆動回路の一部または全部を備える構成である。
【0056】
回路部13Cには、表示部11C等が有するトランジスタと同一工程を経て形成されるトランジスタを有することが好ましい。これにより、別途作製された駆動回路のICをボンディング等により実装する場合と比較して、大幅にコストを削減することができる。特に、回路部13Cに信号線駆動回路を実装する場合には、高いスイッチング特性、すなわち大きな電流を流すことが可能で、且つ、高速なスイッチング動作が可能であるトランジスタを用いることが好ましい。
【0057】
例えば、トランジスタの半導体層に単結晶シリコン、または多結晶シリコンなどの結晶性シリコンを用いた構成とすることができる。また、トランジスタの半導体層に酸化物半導体を用いた構成とすることができる。さらに、トランジスタの構造として、平面状に半導体層を配置した、いわゆるプレーナ型のトランジスタとしてもよいが、ソースとドレインが異なる高さに配置される、いわゆる縦型のトランジスタを適用することが好ましい。このような縦型のトランジスタは、露光装置に起因する解像度の限界によらず、チャネル長を極めて短くすることが可能である。そのため、縦型トランジスタを結晶性シリコンまたは酸化物半導体などの高移動度半導体材料と組み合わせることにより、極めて高いスイッチング特性を示すトランジスタを実現することができる。特に、酸化物半導体は結晶性シリコンに比べて製造コストが安価であり、安定して大面積に形成可能であるため、特に好ましい。
【0058】
図2(B)は、電子機器10を長手方向に切断したときの断面模式図である。図2(B)では、筐体12と表示モジュール11のみを示し、他の要素(回路基板、バッテリなど)は省略している。
【0059】
筐体12は、上面(正面)から側面にかけて湾曲した形状を有する。表示部11T及び11Bは、それぞれ当該側面の曲面に沿って設けられている。表示部11Bに隣接する非表示部13は、表示部11Bよりもさらに大きな曲率で湾曲し、表示部11Cと重なるように折り返されている。表示部11T及び11Bは、断面が約90度の円弧状である。なお、表示部11R及び表示部11Lも同様の形状とすることができる。
【0060】
なお、図2(C)に示すように、表示モジュール11の表示部11Cの背面に、非表示部13を固定させてもよい。図2(C)では、例えば図示しない接着テープ等により表示部11Cの背面に非表示部13が固定されている。このように、非表示部13を、表示モジュール11の背面の空間に収納することで、筐体12内の空間をより有効に利用することが可能となる。その結果、電子機器10を小型化、または薄型化することが可能となる。または、筐体12内の限られた空間内に、多くのICまたはモジュールを配置することができ、電子機器10の多機能化を実現できる。
【0061】
[構成例2]
以下では、上記構成例1とは異なる構成例について説明する。なお、上記構成例1と重複する部分については説明を省略する場合がある。
【0062】
〈構成例2-1〉
図3(A)、(B)に、以下で例示する表示モジュールの斜視図を示す。図3(A)は、表示モジュールの正面、右側面、及び底面を示し、図3(B)は背面、左側面、及び底面を示している。図3(A)、(B)に示す構成は、主に表示部11R、11L、11T、及び11Bの形状が異なる点で、上記構成例と相違している。
【0063】
表示部11R、11L、11T、及び11Bは、それぞれ湾曲部と平坦部とを有し、湾曲部における曲率が、構成例1よりも大きい(曲率半径が小さい)構成となっている。例えばこれらの湾曲部における曲率半径は、0.05mm以上1mm以下、好ましくは0.1mm以上0.8mm以下、より好ましくは0.1mm以上0.6mm以下、さらに好ましくは0.1mm以上0.5mm以下、さらに好ましくは0.1mm以上0.3mm以下とすることが好ましい。湾曲部の曲率半径を小さくすることで、電子機器の正面及び側面に隙間なく画像を表示することが可能となり、意匠性に優れた表示装置を実現できる。
【0064】
〈構成例2-2〉
図3(C)、(D)に示す構成は、主に表示部11R、11L、11T、及び11Bの形状が異なる点で、上記構成例と相違している。
【0065】
構成例1では、表示部11R、11L、11T、及び11Bの断面が約90度の円弧状である例を示したが、図3(C)、(D)ではその断面が約180度の円弧状である例を示している。このような構成とすることで、電子機器のどの角度から見ても画像を見ることが可能であり、利便性と優れた意匠性を兼ね備えた電子機器を実現できる。
【0066】
〈構成例2-3〉
図4(A)、(B)に示す構成は、主に表示部11Bを有さない点で、上記構成例と相違している。
【0067】
筐体12の4つの側面の全てに表示部を配置するのではなく、表示部が設けられない側面を設けることで、外部接続端子、物理ボタンなどを配置するスペースを確保することができる。例えば図4(A)、(B)に示す構成では、筐体12の底面側に外部接続端子を配置する構成とすることができる。なお、ここでは表示部11Bを設けない例を示したが、表示部11R、11L、11T、及び11Bのうちの1つ乃至3つを設けない構成とすることもできる。
【0068】
なお、ここでは、表示部11Bを有さないため、非表示部13は表示部11Tに隣接して設けられている。
【0069】
〈構成例2-4〉
図4(C)、(D)に示す構成は、主に表示部11B及び11Tの形状が異なる点で、上記構成例1と相違している。
【0070】
図4(C)、(D)では、表示部11B及び11Tの湾曲部における曲率が、表示部11L及び11Rにおける曲率よりも大きい(曲率半径が小さい)場合の例である。また、表示部11B及び11Tは、表示部11Cとの境界の長さよりも、反対側の辺の長さの方が長い形状を有する。このような形状とすることで、筐体12の背面を除くほぼ全ての面に画像を表示することができるため、意匠性の優れた電子機器とすることができる。
【0071】
〈構成例2-5〉
図5(A)、(B)に示す構成は、主に表示部11B及び表示部11Rを有さない点で、上記構成例1と相違している。また、図5(C)、(D)に示す構成は、表示部11B及び表示部11Lを有さない例である。
【0072】
このように、筐体12の4つの側面のうちの、隣接する2つの側面に表示部を配置し、残る2つの側面を露出させる構成とすることもできる。このとき、長手方向に沿った側面は筐体12を把持した際に指が触れやすいため、物理ボタンを配置することが好ましい。一方、短手方向に沿った側面は筐体12を把持したときに指が触れにくいため、例えば電源、イヤホンなどのケーブルを接続するための外部接続端子をここに配置すると、ケーブルが使用の邪魔にならないため、好ましい。
【0073】
〈構成例2-6〉
図6(A)、(B)に示す構成は、非表示部13が筐体12の長手方向の側面に位置する表示部に隣接して設けられる場合の例である。ここでは、非表示部13は表示部11Rに隣接して設けられている。また、表示部11B及び表示部11Tに隣接して、それぞれ走査線駆回路として機能する回路部15dが設けられている。また、表示部11L、表示部11Rには、それぞれに隣接して一対の回路部15f、一対の回路部15eが設けられている。
【0074】
このような構成とすることで、端子部13Bの幅を大きくできる。これにより、端子部13Bに配置する端子を大きくできるため、FPC14等との接続不良を低減できる。また、端子部13Bに配置する端子数を増やすことができるため、外部から入力する信号の数が増えることにより、回路部13Cに用いる回路を簡略化できる。
【0075】
[構成例3]
以下では、上記構成例1及び構成例2とは異なる例について説明する。
【0076】
図7(A)、(B)に示す例は、非表示部13に回路部13Cを有さない例である。さらに、走査線駆動回路と、信号線駆動回路とが、表示部に配置されている例である。具体的には、表示部が、画素のみが配置される画素領域と、画素と走査線駆動回路が配置される画素領域と、画素と信号線駆動回路とが配置される画素領域と、を有する。
【0077】
ここで、表示部11C、11R、11L、11T、及び11Bが設けられる領域をまとめて表示部11Aと呼ぶ。表示部11Aには、走査線駆動回路を含む領域16G_1及び16G_2と、信号線駆動回路を含む領域16S_1及び16S_2が設けられている。
【0078】
領域16G_1は表示部11Rと11Cに重なるように設けられ、領域16G_2は、表示部11Cと11Lに重なるように設けられる。また、領域16S_1は表示部11Tと11Cに重なるように設けられ、領域16S_2は表示部11Cと11Bに重なるように設けられる。領域16G_1、16G_2、16S_1、及び16S_2は、互いに重畳しないように設けられている。
【0079】
なお、ここでは走査線駆動回路を含む領域と信号線駆動回路を含む領域とが重畳しないように、それぞれ2つの領域に分割して配置した例を示すが、これに限られず、それぞれ3つ以上に分割して配置してもよい。
【0080】
領域16G_1、16G_2、16S_1、及び16S_2は、それぞれ画素回路と、駆動回路と、が設けられている。例えば駆動回路を構成するトランジスタ、配線等は、画素回路を構成するトランジスタ、配線等が設けられない隙間に配置される。例えば、一本の走査線または信号線に対応する回路は、当該走査線または信号線の延伸方向に沿った複数の画素が設けられる領域の隙間を利用して配置される。
【0081】
ここで、各表示部に設けられるトランジスタに、上述の縦型トランジスタを用いることで、トランジスタのスイッチング性能を向上できるだけでなく、トランジスタの占有面積を縮小することが可能となるため、高精細な表示モジュールであっても、表示部に駆動回路を実装することが可能となる。
【0082】
また、走査線駆動回路と信号線駆動回路の一方を表示部11Aに配置し、他方を非表示部13に配置してもよい。図7(C)、(D)に示す例は、走査線駆動回路は表示部11Aに配置し、信号線駆動回路は非表示部13に配置する場合の例である。
【0083】
図7(C)では、表示部11R、11C、及び11Lにわたって走査線駆動回路を含む領域16Gが配置されている。また、非表示部13に設けられる回路部13Cには信号線駆動回路が設けられている。このような構成とすることで、領域16Gを分割する必要がないため、設計が容易となり、好ましい。
【0084】
[構成例4]
以下では、センサを備える電子機器について説明する。
【0085】
図8(A)に示す表示モジュールは、センサ17を有する。図8(B)に示すように、センサ17が表示部11Cの背面に固定されるように、表示モジュールが筐体12内に実装される。図8(A)には筐体12に実装したときに、センサ17が位置する領域17Sを破線で示している。非表示部13のうち、センサ17が設けられる部分をセンサ部と呼ぶことができる。
【0086】
センサ17としては、感圧センサ(圧力センサ)を適用することができる。図8(B)に示すように、画面のセンサ17と重なる部分を指18で押した際に、その強さを検出する。これにより、押し込みの強さに応じた処理を実行することができる。
【0087】
センサ17としては、表示モジュール11とは異なる工程を経て別途作製されたセンサモジュールを用いることができ、非表示部13に実装することができる。または、表示モジュール11にセンサ素子を作りこむ構成としてもよい。後者とすることで部品点数を削減できるため好ましい。
【0088】
感圧センサとしては、ひずみゲージ式の圧力センサ、圧電効果を利用した圧力センサ、機械式の圧力センサ、静電容量式の圧力センサ、または抵抗膜式の圧力センサなどを用いることができる。特に、静電容量式または抵抗膜式の圧力センサは、半導体プロセスとの親和性が高いため、表示モジュール11に作り込みやすい。
【0089】
または、センサ17として、指紋センサまたは静脈センサなどの生体情報を取得するための光学センサを適用することもできる。例えば、光電変換素子をマトリクス状に配置した撮像装置を、センサ17に適用することができる。また、可視光、紫外光または赤外光を被写体に照射するための光源を有していてもよい。
【0090】
また、センサ17として、カメラ(イメージセンサ)を用いてもよい。このとき、表示部11Cを透過してセンサ17に入射する外光により撮像を行うため、光量が不足すること、画素の周期性に起因した回折によるノイズが生じること、などが懸念される。そのため、撮像した画像を最適化するために画像処理を施すことが好ましい。例えば学習モデルを利用した画像処理を用いることが好ましい。また、センサ17として、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)を用いた距離画像センサ、光飛行時間(Time Of Flight:TOF)法を用いた距離画像センサなどを用いることができる。TOF法は、被検出物に対して一定期間の赤外光を照射し、反射光を光センサにて取得する。光の照射を開始した時刻と、反射光が光センサに到達した時刻との時間差を利用して、照射期間、検出信号、及び光速から距離情報を算出できる。
【0091】
図8(C)、(D)には、表示部11R、11L、11T及び11Bを設けない場合の例を示している。図8(C)、(D)に示す表示モジュールは、表示部11Dを有する。
【0092】
図8(C)に示すように、表示部11Dの長辺に沿った一対の端部のそれぞれに隣接して、一対の回路部15dが設けられている。回路部15dは走査線駆動回路として機能する。
【0093】
また、表示部11Bを有さないため、表示部11Dと非表示部13とは隣接して設けられている。
【0094】
[構成例5]
表示モジュールの非表示部に走査線駆動回路または信号線駆動回路を配置した場合、駆動回路が発熱する場合がある。特に信号線駆動回路は、走査線駆動回路と比較して高速動作が必要であるため、発熱による影響は比較的大きくなる。そのため、表示モジュールの非表示部に放熱板を設けることが好ましい。
【0095】
図9(A)は、放熱板19を非表示部13に設けた場合の例である。放熱板19としては、金属または合金を含む導電性のフィルムまたは板を用いることができる。例えばステンレス鋼、アルミニウム、銅などのフィルムを用いることが好ましい。
【0096】
放熱板19と、非表示部13とは、熱伝導性を有する接着剤または接着テープ(粘着材)で貼り合されることが好ましい。熱伝導性を有する接着テープとしては、有機樹脂からなる基材中に、熱伝導性の高い粒子が分散したものを用いることができる。熱伝導性の高い粒子としては金属、合金、またはセラミックスを用いることができる。
【0097】
図9(A)では、放熱板19が非表示部13の表示部11C側の面に設けられている。一方図9(B)では、放熱板19がこれとは反対側の面に設けられている。なお、放熱板19は、非表示部13を挟むように、その両面に設ける構成としてもよい。
【0098】
図9(C)は、非表示部13を表示部11Cの背面に近づくように配置した場合の例を示している。このとき、放熱板19は表示部11Cとは反対側に配置し、且つ、表示部11Cと非表示部13との間に空間を設けることが好ましい。これにより、非表示部13の熱が表示部11Cに伝わることを抑制することができる。
【0099】
図9(D)は、バッテリ20を設けた場合の例である。このとき、放熱板19の熱をバッテリ20に伝えるように、放熱板19とバッテリ20の外装とを熱伝導性を有する粘着材により固定することが好ましい。一般に、リチウムイオン電池に代表される二次電池は、低温(例えば5℃以下)の状態で充電及び放電を繰り返すと劣化が促進される恐れがあるため、電子機器10の使用中はバッテリ20の温度が10℃以上40℃未満の温度範囲となるように、放熱板19の熱を利用することが好ましい。
【0100】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0101】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で例示した表示モジュールに適用することのできる表示パネル、及び駆動回路の構成例について説明する。
【0102】
図10に、表示パネルのブロック図を示す。図10には、表示部11A、駆動回路30、及び駆動回路15を示している。
【0103】
表示部11Aは、マトリクス状に配置された複数の画素PIXを有する。また、表示部11Aには駆動回路30と接続される複数のソース線SLと、駆動回路15と接続される複数のゲート線GLが設けられている。駆動回路30は、例えば上記回路部13C、領域16S_1、または領域16S_2等に設けることのできる信号線駆動回路に適用することができる。
【0104】
駆動回路30は、シフトレジスタ回路31、ラッチ回路部41、レベルシフタ回路部42、D-A変換部43、及びアナログバッファ回路部44等を有する。
【0105】
ラッチ回路部41は、複数のラッチ回路32と、複数のラッチ回路33とを有する。レベルシフタ回路部42は、複数のレベルシフタ回路34を有する。D-A変換部43は、複数のDAC回路35を有する。アナログバッファ回路部44は、複数のアナログバッファ回路36を有する。
【0106】
シフトレジスタ回路31には、クロック信号CLK及びスタートパルス信号SPが入力される。シフトレジスタ回路31は、クロック信号CLK及びスタートパルス信号SPにしたがって、パルスが順次シフトするタイミング信号を生成し、ラッチ回路部41の各ラッチ回路32に出力する。
【0107】
ラッチ回路部41には、ビデオ信号S、及びラッチ信号LATが入力される。
【0108】
ラッチ回路32にタイミング信号が入力されると、当該タイミング信号のパルスにしたがって、ビデオ信号Sがサンプリングされ、各ラッチ回路32に順に書き込まれる。このとき、各ラッチ回路32へのビデオ信号Sの書き込みが一通り終了するまでの期間を、ライン期間と呼ぶことができる。
【0109】
1順目のライン期間が終了すると、各ラッチ回路33に入力されるラッチ信号LATのパルスにしたがって、各ラッチ回路32に保持されているビデオ信号が、各ラッチ回路33に一斉に書き込まれ、保持される。ビデオ信号をラッチ回路33に送り出し終えたラッチ回路32は、再びシフトレジスタ回路31からのタイミング信号に従って、次のビデオ信号の書き込みが順次行われる。この2順目のライン期間中に、ラッチ回路33に書き込まれ、保持されているビデオ信号がレベルシフタ回路部42の各レベルシフタ回路34に出力される。
【0110】
各レベルシフタ回路34に入力されたビデオ信号は、レベルシフタ回路34によってその信号の電圧の振幅が増幅された後、D-A変換部43内の各DAC回路35に送られる。DAC回路35に入力されたビデオ信号は、アナログ変換され、一のアナログ信号としてアナログバッファ回路部44に出力される。アナログバッファ回路部44に入力されたビデオ信号は、各アナログバッファ回路36を介して、各ソース線SLに出力される。
【0111】
一方、駆動回路15は、各ゲート線GLを順次選択する。駆動回路30からソース線SLを介して表示部11Aに入力されたビデオ信号は、駆動回路15によって選択されたゲート線GLに接続される各画素PIXに入力される。
【0112】
なお、シフトレジスタ回路31の代わりに、パルスが順次シフトする信号を出力することのできる他の回路を用いてもよい。
【0113】
駆動回路30及び駆動回路15に設けられるトランジスタは、高いスイッチング性能が要求される。特に駆動回路30が有するシフトレジスタ回路31は早いスイッチング速度が要求される。そのため、本発明の一態様の縦型トランジスタを適用することにより、高速動作が可能となり、より高いフレーム周波数で画像を表示することができる。
【0114】
〔変形例〕
図10で例示した駆動回路30は、デジタル信号をアナログ信号に変換して表示部11Aに出力する構成であったが、入力信号としてアナログ信号を用いることで、駆動回路30の構成をより簡素化することができる。
【0115】
図11(A)に示す駆動回路30aは、シフトレジスタ回路31、ラッチ回路部41、及びソースフォロア回路部45を有する。ソースフォロア回路部45は、複数のソースフォロア回路37を有する。
【0116】
ラッチ回路32は、シフトレジスタ回路31からのタイミング信号に従って、アナログのビデオ信号Sをアナログデータとしてサンプリングする。また各ラッチ回路32は、ラッチ信号LATに従って、一斉に各ラッチ回路33に保持されたビデオ信号を出力する。
【0117】
ラッチ回路33に保持されたビデオ信号はソースフォロア回路37を介して1つのソース線SLに出力される。なお、ソースフォロア回路37に代えて、上記アナログバッファ回路を用いてもよい。
【0118】
図11(B)に示す駆動回路30bは、シフトレジスタ回路31と、デマルチプレクサ回路46とを有する。
【0119】
デマルチプレクサ回路46は、複数のサンプリング回路38を有する。各サンプリング回路38には、複数の配線から複数のアナログのビデオ信号Sが入力され、シフトレジスタ回路31から入力するタイミング信号に従って、複数のソース線SLに同時にビデオ信号を出力する。シフトレジスタ回路31は、複数のサンプリング回路38を順次選択するように、タイミング信号を出力する。
【0120】
例えば、表示部11Aに接続されるソース線SLの本数を2160本、ビデオ信号Sが供給される配線を54本とした場合、デマルチプレクサ回路46に40個のサンプリング回路38を設けることで、1ライン期間を40分割し、それぞれの期間内に54本のソース線SLに同時にビデオ信号を出力することができる。
【0121】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0122】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示モジュールに適用することのできる半導体装置の構成例について説明する。以下では、本発明の一態様の半導体装置の一例として、トランジスタの構成例について説明する。
【0123】
本発明の一態様のトランジスタは、半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極、第1の電極、及び第2の電極を有する。第1の電極は、ソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、第2の電極はその他方として機能する。
【0124】
第2の電極は、第1の電極よりも上方に設けられる。第1の電極と第2の電極との間には、スペーサとして機能する絶縁層が設けられる。スペーサには、第1の電極に達する開口が設けられており、半導体層は、第1の電極、第2の電極、および絶縁層の開口内の側壁(側面ともいう)に接して設けられている。そして、半導体層を覆ってゲート絶縁層とゲート電極とが設けられている。
【0125】
ここで、第1の電極及び第2の電極は、それぞれ半導体層とは異なる電極であってもよいし、半導体層の一部が第1の電極または第2の電極として機能してもよい。
【0126】
上記のような構成のトランジスタは、ソース電極とドレイン電極とが、異なる高さに位置しているため、半導体層を流れる電流は高さ方向に流れることとなる。すなわち、チャネル長方向が高さ方向(縦方向)の成分を有するということができるため、本発明の一態様のトランジスタは、VFET(Vertical Field Effect Transistor)、縦型トランジスタ、縦型チャネルトランジスタ、などとも呼ぶことができる。
【0127】
上記トランジスタは、ソース電極、半導体層、及びドレイン電極を、それぞれ重ねて設けることが可能となるため、半導体層を平面上に配置した、いわゆるプレーナ型のトランジスタ(横型トランジスタ、LFET(Lateral FET)などとも呼ぶことができる)と比較して、大幅に占有面積を縮小することができる。
【0128】
また、トランジスタのチャネル長は、絶縁層の厚さによって精密に制御することが可能となるため、プレーナ型のトランジスタと比較して、チャネル長のばらつきを極めて小さくできる。さらには、絶縁層を薄くすることで、極めてチャネル長の短いトランジスタも作製することができる。例えばチャネル長が2μm以下、1μm以下、500nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、50nm以下、30nm以下、または20nm以下であって、5nm以上、7nm以上、または10nm以上のトランジスタを作製することができる。そのため、従来のフラットパネルディスプレイの量産用の露光装置(例えば最小線幅2μmまたは1.5μm程度)では実現できなかった、極めて小さいチャネル長のトランジスタを実現することができる。また、最先端のLSI技術で用いられる極めて高額な露光装置を用いることなく、チャネル長が10nm未満のトランジスタを実現することもできる。
【0129】
半導体層としては、特に半導体特性を有する金属酸化物(酸化物半導体ともいう)膜を用いると、高い性能と、高い生産性を両立できるため好ましい。特に結晶性を有する酸化物半導体膜を用いることで、高い信頼性を付与することができるためより好ましい。
【0130】
以下では、より具体的な例について、図面を参照して説明する。
【0131】
図12(A)は、トランジスタ300の上面図であり、図12(B)は図12(A)中の切断線A-Bにおける断面図である。なお、図12(A)では一部の構成要素(絶縁層など)を省略している。
【0132】
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、半導体層321、絶縁層322、導電層323、導電層324、及び導電層331を有する。
【0133】
図12(B)に示すように、基板311上に導電層324が設けられ、導電層324を覆って絶縁層329a、絶縁層328、及び絶縁層329bがこの順で設けられている。さらに、絶縁層329b上に導電層331が設けられている。また、導電層331、絶縁層329b、絶縁層328、及び絶縁層329aには、導電層324に達する開口320が設けられている。例えば、導電層331、絶縁層329b、絶縁層328、及び絶縁層329aの、開口320における側壁(側面)は、導電層324と重なっているということもできる。
【0134】
半導体層321は、開口320の底に位置する導電層324の上面、開口320における絶縁層329aの側面、絶縁層328の側面、絶縁層329bの側面、及び導電層331の側面、並びに導電層331の上面と接する。半導体層321の、導電層331と接する部分はソース領域及びドレイン領域の一方として機能し、導電層324と接する部分はその他方として機能し、これらの間の領域(特に絶縁層328と接する領域)はチャネルが形成される領域(チャネル形成領域)として機能する。半導体層321の、絶縁層329aと接する領域、及び絶縁層329bと接する領域は、チャネル形成領域よりもキャリア濃度が高く、低抵抗であることが好ましい。
【0135】
絶縁層329b、導電層331、及び半導体層321を覆って、ゲート絶縁層として機能する絶縁層322が設けられている。さらに絶縁層322を覆って、ゲート電極として機能する導電層323が設けられている。
【0136】
半導体層321は、絶縁層328の側面と接し、チャネル形成領域として機能する部分を有する。開口320において、絶縁層322は半導体層321を介して絶縁層328の側面と対向する部分を有する。また導電層323は、半導体層321及び絶縁層322を介して、絶縁層328の側面と対向する部分を有する。半導体層321と絶縁層322との界面及び絶縁層322と導電層323との界面は、絶縁層328の側面と平行である部分を有する。
【0137】
半導体層321は、金属酸化物(酸化物半導体)を有することが好ましい。
【0138】
半導体層321に用いることができる金属酸化物として、例えば、In酸化物、Ga酸化物、及びZn酸化物が挙げられる。金属酸化物は、少なくともInまたはZnを含むことが好ましい。また、金属酸化物は、Inと、元素Mと、Znと、の中から選ばれる二または三を有することが好ましい。なお、元素Mは、酸素との結合エネルギーが高い金属元素又は半金属元素であり、例えば、酸素との結合エネルギーがInよりも高い金属元素又は半金属元素である。元素Mとして、具体的には、Al、Ga、Sn、Y、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Mo、Hf、Ta、W、La、Ce、Nd、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Ge、及びSbなどが挙げられる。金属酸化物が有する元素Mは、上記元素のいずれか一種または複数種であることが好ましく、特に、Al、Ga、Y、及びSnから選ばれた一種または複数種であることが好ましく、Gaがより好ましい。なお、Inと、Mと、Znと、を有する金属酸化物を、以降ではIn-M-Zn酸化物と呼ぶ場合がある。なお、本明細書等において、金属元素と半金属元素をまとめて「金属元素」と呼ぶことがあり、本明細書等に記載の「金属元素」には半金属元素が含まれることがある。
【0139】
金属酸化物がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。例えば、このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:3、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5、またはこれらの近傍の組成等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。金属酸化物中のインジウムの原子数比を大きくすることで、トランジスタのオン電流、または電界効果移動度などを高めることができる。
【0140】
また、In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比未満であってもよい。例えば、このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:3、In:M:Zn=1:3:4、またはこれらの近傍の組成等が挙げられる。金属酸化物中のMの原子数比を大きくすることで、酸素欠損の生成を抑制することができる。
【0141】
半導体層321は、例えば、In-Zn酸化物、In-Ga酸化物、In-Sn酸化物、In-Ti酸化物、In-Ga-Al酸化物、In-Ga-Sn酸化物、In-Ga-Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、In-Al-Zn酸化物、In-Ti-Zn酸化物、In-Ga-Sn-Zn酸化物、In-Ga-Al-Zn酸化物などを用いることができる。また、Ga-Zn酸化物を用いてもよい。
【0142】
なお、金属酸化物は、インジウムに代えて、又は、インジウムに加えて、周期の数が大きい金属元素の一種または複数種を有してもよい。金属元素の軌道の重なりが大きいほど、金属酸化物におけるキャリア伝導は大きくなる傾向がある。よって、周期の数が大きい金属元素を含むことで、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる場合がある。周期の数が大きい金属元素として、第5周期に属する金属元素、及び第6周期に属する金属元素などが挙げられる。当該金属元素として、具体的には、Y、Zr、Ag、Cd、Sn、Sb、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、及びEuなどが挙げられる。なお、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、及びEuは、軽希土類元素と呼ばれる。
【0143】
また、金属酸化物は、非金属元素の一種または複数種を有してもよい。金属酸化物が非金属元素を有することで、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる場合がある。非金属元素として、例えば、炭素、窒素、リン、硫黄、セレン、フッ素、塩素、臭素、及び水素などが挙げられる。
【0144】
金属酸化物の形成は、スパッタリング法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法を好適に用いることができる。なお、金属酸化物をスパッタリング法で形成する場合、成膜後の金属酸化物の組成はターゲットの組成と異なる場合がある。特に亜鉛は、成膜後の金属酸化物における含有率が、ターゲットと比較して50%程度にまで減少する場合がある。
【0145】
本明細書等において、金属酸化物のある金属元素の含有率とは、金属酸化物に含まれる金属元素の原子数の総数に対する、その元素の原子数の割合をいう。例えば金属酸化物が金属元素X、金属元素Y、金属元素Zを含み、当該金属酸化物に含まれる金属元素X、金属元素Y、金属元素Zのそれぞれの原子数をA、A、Aとしたとき、金属元素Xの含有率は、A/(A+A+A)で示すことができる。また、金属酸化物中の金属元素X、金属元素Y、金属元素Zのそれぞれの原子数の比(原子数比)が、B:B:Bで示されるとき、金属元素Xの含有率は、B/(B+B+B)で示すことができる。
【0146】
例えば、Inを含む金属酸化物の場合、Inの含有率を高くすることにより、オン電流の大きいトランジスタを実現することができる。
【0147】
半導体層321にGaを含まない、またはGaの含有率の低い金属酸化物を用いることにより、正バイアス印加に対する信頼性が高いトランジスタとすることができる。つまり、PBTS(Positive Bias Temperature Stress)試験でのしきい値電圧の変動量が小さいトランジスタとすることができる。また、Gaを含む金属酸化物を用いる場合は、Inの含有率よりも、Gaの含有率を低くすることが好ましい。これにより、高移動度で且つ信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0148】
一方、Gaの含有率を高くすることにより、光に対する信頼性の高いトランジスタとすることができる。つまり、NBTIS(Negative Bias Temperature Illumination Stress)試験でのしきい値電圧の変動量が小さいトランジスタとすることができる。具体的には、Gaの原子数比がInの原子数比以上である金属酸化物はバンドギャップがより大きくなり、トランジスタのNBTIS試験でのしきい値電圧の変動量を小さくすることができる。
【0149】
また、亜鉛の含有率を高くすることにより、結晶性の高い金属酸化物となり、金属酸化物中の不純物の拡散を抑制できる。したがって、トランジスタの電気特性の変動が抑制され、信頼性を高めることができる。
【0150】
半導体層321は、2以上の金属酸化物層を有する積層構造としてもよい。半導体層321が有する2以上の金属酸化物層は、組成が互いに同じ、または概略同じであってもよい。組成が同じ金属酸化物層の積層構造とすることで、例えば、同じスパッタリングターゲットを用いて形成できるため、製造コストを削減できる。なお、異なる組成の酸化物半導体層を2以上積層した積層構造としてもよい。
【0151】
半導体層321は、結晶性を有する金属酸化物層を用いることが好ましい。例えば、CAAC(c-axis aligned crystal)構造、多結晶構造、微結晶(nc:nano-crystal)構造等を有する金属酸化物層を用いることができる。結晶性を有する金属酸化物層を半導体層321に用いることにより、半導体層321中の欠陥準位密度を低減でき、信頼性の高い半導体装置を実現できる。
【0152】
半導体層321に用いる金属酸化物層の結晶性が高いほど、半導体層321中の欠陥準位密度を低減できる。一方、結晶性の低い金属酸化物層を用いることで、大きな電流を流すことができるトランジスタを実現することができる。
【0153】
酸化物半導体を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと記す)は、非晶質シリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が極めて高い。また、OSトランジスタは、オフ状態におけるソース-ドレイン間のリーク電流(オフ電流ともいう)が著しく小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを適用することで、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0154】
また、OSトランジスタは、シリコンを用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタと記す)と比較して、ソース-ドレイン間において耐圧が高いため、OSトランジスタのソース-ドレイン間には高い電圧を印加することができる。さらに、トランジスタが飽和領域で動作する場合において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも、ゲート-ソース間電圧の変化に対して、ソース-ドレイン間電流の変化を小さくすることができる。
【0155】
OSトランジスタは、放射線照射による電気特性の変動が小さい、つまり放射線に対する耐性が高いため、放射線が入射しうる環境においても好適に用いることができる。OSトランジスタは、放射線に対する信頼性が高いともいえる。例えば、X線のフラットパネルディテクタの画素回路に、OSトランジスタを好適に用いることができる。また、OSトランジスタは、宇宙空間で使用する半導体装置に好適に用いることができる。放射線として、電磁放射線(例えば、X線、及びガンマ線)、及び粒子放射線(例えば、アルファ線、ベータ線、陽子線、及び中性子線)が挙げられる。
【0156】
なお、半導体層321に用いることができる半導体材料は、酸化物半導体に限定されない。例えば、単体元素よりなる半導体、または化合物半導体を用いることができる。単体元素よりなる半導体としては、シリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、非晶質シリコンを含む)またはゲルマニウムなどが挙げられる。化合物半導体として、例えば、ヒ化ガリウム、シリコンゲルマニウムなどが挙げられる。化合物半導体として、有機半導体、窒化物半導体、または酸化物半導体などが挙げられる。なお、これらの半導体材料に、ドーパントとして不純物が含まれてもよい。
【0157】
または、半導体層321は、半導体として機能する層状物質を有してもよい。層状物質とは、層状の結晶構造を有する材料群の総称である。層状の結晶構造は、共有結合またはイオン結合によって形成される層が、ファンデルワールス結合のような、共有結合またはイオン結合よりも弱い結合を介して積層している構造である。層状物質は、単位層内における電気伝導性が高く、つまり、2次元電気伝導性が高い。半導体として機能し、かつ、2次元電気伝導性の高い材料をチャネル形成領域に用いることで、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。
【0158】
上記層状物質として、例えば、グラフェン、シリセン、カルコゲン化物などが挙げられる。カルコゲン化物は、カルコゲン(第16族に属する元素)を含む化合物である。また、カルコゲン化物として、遷移金属カルコゲナイド、13族カルコゲナイドなどが挙げられる。トランジスタの半導体層として適用可能な遷移金属カルコゲナイドとして、具体的には、硫化モリブデン(代表的にはMoS)、セレン化モリブデン(代表的にはMoSe)、モリブデンテルル(代表的にはMoTe)、硫化タングステン(代表的にはWS)、セレン化タングステン(代表的にはWSe)、タングステンテルル(代表的にはWTe)、硫化ハフニウム(代表的にはHfS)、セレン化ハフニウム(代表的にはHfSe)、硫化ジルコニウム(代表的にはZrS)、セレン化ジルコニウム(代表的にはZrSe)などが挙げられる。
【0159】
半導体層321に用いる半導体材料の結晶性は特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(多結晶半導体、微結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0160】
導電層324、及び導電層331は、それぞれ上面が半導体層321と接する。ここで、半導体層321として酸化物半導体を用いた場合、導電層324または導電層331に例えばアルミニウムなどの酸化しやすい金属を用いると、導電層324または導電層331と半導体層321との間に絶縁性の酸化物(例えば酸化アルミニウム)が形成され、これらの導通を妨げる恐れがある。そのため、導電層324及び導電層331には、酸化しにくい導電材料、酸化しても電気抵抗が低く保たれる導電材料、または酸化物導電性材料を用いることが好ましい。
【0161】
導電層324、及び導電層331には、透光性の酸化物導電材料を用いることができる。例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、In-Sn酸化物、In-Zn酸化物、In-W酸化物、In-W-Zn酸化物、In-Ti酸化物、In-Ti-Sn酸化物、シリコンを含むIn-Sn酸化物、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。特にインジウムを含む導電性酸化物は、導電性が高いため好ましい。
【0162】
また、導電層324は必ずしも透光性を有する必要はないため、可視光の一部を吸収、または反射する導電材料を用いてもよい。例えば窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることができる。または、チタン、ルテニウム、タングステンなどを用いることもできる。これらは、酸化されにくい導電性材料、または、酸化しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0163】
絶縁層322はゲート絶縁層として機能する。半導体層321に酸化物半導体を用いた場合、絶縁層322の少なくとも半導体層321と接する膜には、酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、及びGa-Zn酸化物の一または複数を用いることができる。このほか、絶縁層322として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜を用いることもできる。また、絶縁層322は積層構造を有していてもよく、例えば酸化物絶縁膜と窒化物絶縁膜とをそれぞれ1以上有する積層構造としてもよい。
【0164】
なお、本明細書等において、酸化窒化物は窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指す。窒化酸化物は酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
【0165】
導電層323はゲート電極として機能し、様々な導電性材料を用いることができる。導電層323としては、例えばクロム、銅、アルミニウム、金、銀、亜鉛、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、マンガン、ニッケル、鉄、コバルト、モリブデン、及びニオブの一または複数、もしくは前述した金属の一または複数を成分とする合金を用いてそれぞれ形成することができる。また導電層323には、上記導電層324及び導電層331に用いることができる、窒化物、及び酸化物を適用してもよい。
【0166】
絶縁層328は、半導体層321と接する部分を有する。半導体層321に酸化物半導体を用いた場合、半導体層321と絶縁層328との界面特性を向上させるため、絶縁層328の少なくとも半導体層321と接する部分には酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを好適に用いることができる。
【0167】
また、絶縁層328には、加熱により酸素を放出する膜を用いるとより好ましい。これにより、トランジスタ300の作製工程中にかかる熱により半導体層321に酸素を供給することができ、半導体層321中の酸素欠損の低減を図ることができ、信頼性を高めることができる。絶縁層328に酸素を供給する方法としては、酸素雰囲気下における加熱処理、酸素雰囲気下におけるプラズマ処理などが挙げられる。また、絶縁層328の上面に対してスパッタリング法により、酸素雰囲気下で酸化物膜を成膜することで酸素を供給してもよい。その後、当該酸化物膜を除去してもよい。
【0168】
絶縁層328は、スパッタリング法、またはプラズマCVD法などの成膜方法で形成することが好ましい。特に、スパッタリング法を用い、成膜ガスに水素ガスを用いない成膜方法で成膜することで、水素の含有量の極めて少ない膜とすることができる。そのため、半導体層321に水素が供給されることを抑制し、トランジスタ300の電気特性の安定化を図ることができる。
【0169】
絶縁層329a及び絶縁層329bは、酸素が拡散しにくい膜を用いることが好ましい。これにより、絶縁層328に含まれる酸素が、加熱により絶縁層329aを介して基板311側に透過すること、及び、絶縁層329bを介して絶縁層322側に透過することを防ぐことができる。言い換えると、酸素が拡散しにくい絶縁層329a及び絶縁層329bで絶縁層328の上下を挟むことで、絶縁層328に含まれる酸素を閉じ込めることができる。これにより、半導体層321に効果的に酸素を供給することができる。
【0170】
絶縁層329a及び絶縁層329bとしては、例えば窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、及びハフニウムアルミネートの一または複数を用いることができる。特に窒化シリコン及び、窒化酸化シリコンは自身からの不純物(例えば、水及び水素)の放出が少なく、酸素及び水素が透過しにくい特徴を有するため、絶縁層329a及び絶縁層329bとして好適に用いることができる。
【0171】
本明細書等においては、トランジスタ300のチャネル長Lは、図12(B)に示すように、半導体層321における導電層324と接する部分と導電層331と接する部分との間の最短距離を言うこととする。絶縁層329a、絶縁層328、及び絶縁層329bの開口320における側面が、基板面に対して垂直に近いほど、チャネル長Lは短くなる。
【0172】
また、トランジスタ300のチャネル幅Wは、開口320の周長と一致する。図12(A)に示すように開口320の上面形状が円形であり、且つその直径がRである場合、トランジスタ300のチャネル幅Wは、開口320の円周の長さと一致し、π×Rとなる。開口320の上面形状が円形のとき、最もチャネル幅Wの小さいトランジスタとすることができる。
【0173】
なお、本明細書等において、ある構成要素の上面形状とは、その平面視における当該構成要素の輪郭形状のことを言う。また平面視とは、当該構成要素の被形成面、または当該構成要素が形成される支持体(例えば基板)の表面の法線方向から見ることを言う。
【0174】
なお、実際には開口320の径は深さ方向で変わる場合が多い。この場合、断面視における絶縁層328の最も高い位置の径、最も低い位置の径、及びこれらの中間点の位置の径の3つの平均値を、開口320の径とすることができる。なお、これに限られず、絶縁層328の最も高い位置の径、最も低い位置の径、またはこれらの中間点の位置の径の、いずれかの径を、開口320の径としてもよい。
【0175】
なお、上記では、開口320の形状を円形としたが、これに限られず様々な形状とすることができる。例えば、円形の他、楕円形、角の丸い四角形などとすることができる。また、正三角形、正方形、正五角形をはじめとした正多角形、正多角形以外の多角形としてもよい。また、星形多角形などの、少なくとも一つの内角が180度を超える多角形である、凹多角形とすると、チャネル幅を大きくできる。
【0176】
図12(B)に示すように、開口320において、絶縁層328、絶縁層329a、及び絶縁層329bの側面が、それぞれ上向きに傾斜している、いわゆるテーパ形状である場合の例である。このとき、開口320内における絶縁層328の側面と、開口320の底部に位置する導電層324の上面との成す角を角度θとしたとき、例えば角度θは、90度以上であって、135度以下、好ましくは125度以下、より好ましくは120度以下、より好ましくは110度以下である部分を有することが好ましい。角度θが直角に近いほど、すなわち、絶縁層328の側面が垂直に近いほど、トランジスタ300の占有面積を縮小することができる。なお、半導体層321、絶縁層322、及び導電層323の積層体が、絶縁層328の側面を被覆できる場合は、角度θが90未満であってもよい。
【0177】
また、半導体層321は、絶縁層329a、絶縁層328、及び絶縁層329bの開口における側面に沿って成膜される。このとき、例えばスパッタリング法、またはプラズマCVD法などの成膜方法を用いて成膜される膜は、基板面に対して水平な面に成膜される膜の厚さと比較して、基板面に対して傾斜している面または垂直な面に成膜される膜の厚さが薄くなる傾向がある。そのため、半導体層321をスパッタリング法により形成した場合、絶縁層328と接する部分の厚さは、導電層324の上面と接する部分の厚さ、及び導電層331の上面と接する部分の厚さよりも薄くなる場合がある。
【0178】
なお、絶縁層322及び導電層323も同様に、絶縁層328等の開口における側面に沿って成膜される部分の厚さが、導電層324及び導電層331の上面に形成される部分よりも薄く形成されうる。
【0179】
一方、ALD法などで形成する場合には、被形成面の傾斜角によらず、均一な厚さの膜を成膜することができるため、半導体層321、絶縁層322、及び導電層323等は、厚さの違いがほとんど生じない場合がある。
【0180】
本実施の形態で例示したトランジスタは、高いスイッチング特性を実現可能なトランジスタである。そのため、当該トランジスタを本発明の一態様の表示モジュールに適用することにより、高解像度で、且つ高いフレームレートで高品位な画像を表示することのできる電子機器を実現することができる。
【0181】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0182】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示モジュールに適用可能な表示装置について説明する。
【0183】
本実施の形態の表示装置は、高解像度の表示装置または大型な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、及び、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、及び、音響再生装置の表示部に用いることができる。
【0184】
また、本実施の形態の表示装置は、高精細な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、腕時計型、及び、ブレスレット型などの情報端末機(ウェアラブル機器)の表示部、並びに、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などのVR向け機器、及び、メガネ型のAR向け機器などの頭部に装着可能なウェアラブル機器の表示部に用いることができる。
【0185】
本発明の一態様のトランジスタは、表示装置、または、当該表示装置を有するモジュールに用いることができる。当該表示装置を有するモジュールとしては、当該表示装置にフレキシブルプリント回路基板(FPC:Flexible printed circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)等のコネクタが取り付けられたモジュール、COG(Chip On Glass)方式もしくはCOF(Chip On Film)方式等により集積回路(IC)が実装されたモジュール等が挙げられる。
【0186】
[表示装置100A]
図13に、表示装置100Aの斜視図を示す。
【0187】
表示装置100Aは、基板152と基板151とが貼り合わされた構成を有する。図13では、基板152を破線で示している。
【0188】
表示装置100Aは、表示部162、接続部140、回路部164、配線165、回路部173等を有する。図13では表示装置100AにFPC172が実装されている例を示している。そのため、図13に示す構成は、表示装置100Aと、FPCと、を有する表示モジュールということもできる。
【0189】
接続部140は、表示部162の外側に設けられる。接続部140は、表示部162の一辺または複数の辺に沿って設けることができる。接続部140は、単数であっても複数であってもよい。図13では、表示部162の周囲を囲むように接続部140が設けられている例を示す。接続部140では、表示素子の共通電極と、導電層とが電気的に接続されており、共通電極に電位を供給することができる。
【0190】
回路部164は、例えば走査線駆動回路(ゲートドライバともいう)を有する。また、回路部173は、信号線駆動回路(ソースドライバともいう)を有する。
【0191】
配線165は、表示部162、回路部164、及び回路部173に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から配線165に入力される。
【0192】
なお、COG方式またはCOF方式等により、基板151にICが設けられていてもよい。ICには、例えば、走査線駆動回路及び信号線駆動回路のうち一方または双方を有するICを適用できる。なお、表示装置100A及び表示モジュールは、ICを設けない構成を示している。また、ICは、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0193】
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示装置100Aの表示部162、回路部164、及び回路部173のうち、一以上に適用することができる。また、ICを実装する場合、本発明の一態様の半導体装置は当該ICにも適用することもできる。
【0194】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示装置の画素回路に適用する場合、画素回路の占有面積を縮小することができ、高精細の表示装置とすることができる。また、例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示装置の駆動回路(例えば、ゲート線駆動回路及びソース線駆動回路の一方または双方)に適用する場合、駆動回路の占有面積を縮小することができ、狭額縁の表示装置とすることができる。また、本発明の一態様の半導体装置は、電気特性が良好であるため、表示装置に用いることで表示装置の信頼性を高めることができる。
【0195】
表示部162は、表示装置100Aにおける画像を表示する領域であり、周期的に配列された複数の画素210を有する。図13には、1つの画素210の拡大図を示している。
【0196】
本実施の形態の表示装置における画素の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用することができる。画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ペンタイル配列などが挙げられる。
【0197】
図13に示す画素210は、赤色の光を呈する副画素210R、緑色の光を呈する副画素210G、及び、青色の光を呈する副画素210Bを有する。
【0198】
表示素子としては、様々な素子を用いることができ、例えば、液晶素子及び発光素子が挙げられる。その他、シャッター方式または光干渉方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、または電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いることもできる。また、光源と、量子ドット材料による色変換技術と、を用いたQLED(Quantum-dot LED)を用いてもよい。
【0199】
液晶素子を用いた表示装置としては、例えば、透過型の液晶表示装置、反射型の液晶表示装置、及び、半透過型の液晶表示装置が挙げられる。
【0200】
発光素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED)、半導体レーザなどの、自発光型の発光素子が挙げられる。LEDとして、例えば、ミニLED、マイクロLEDなどを用いることができる。
【0201】
発光素子が有する発光物質としては、例えば、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、及び、無機化合物(量子ドット材料等)が挙げられる。
【0202】
発光素子の発光色は、赤外、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、または白などとすることができる。また、発光素子にマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度を高めることができる。
【0203】
発光素子が有する一対の電極のうち、一方の電極は陽極として機能し、他方の電極は陰極として機能する。なお、本発明の一態様の表示装置は、発光素子が形成されている基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)、発光素子が形成されている基板側に光を射出する下面射出型(ボトムエミッション型)、両面に光を射出する両面射出型(デュアルエミッション型)のいずれであってもよい。
【0204】
図14に、表示装置100Aの、FPC172を含む領域の一部、回路部173の一部、表示部162の一部、接続部140の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0205】
図14に示す表示装置100Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ205D、205R、205G、205B、発光素子130R、発光素子130G、発光素子130B等を有する。発光素子130Rは、赤色の光を呈する副画素210Rが有する表示素子であり、発光素子130Gは、緑色の光を呈する副画素210Gが有する表示素子であり、発光素子130Bは、青色の光を呈する副画素210Bが有する表示素子である。
【0206】
表示装置100Aには、SBS構造が適用されている。SBS構造は、発光素子ごとに材料及び構成を最適化することができるため、材料及び構成の選択の自由度が高まり、輝度の向上及び信頼性の向上を図ることが容易となる。
【0207】
また、表示装置100Aは、トップエミッション型である。トップエミッション型は、トランジスタ等を発光素子の発光領域と重ねて配置できるため、ボトムエミッション型に比べて画素の開口率を高めることができる。
【0208】
トランジスタ205D、205R、205G、205Bは、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の工程により作製することができる。
【0209】
本実施の形態では、トランジスタ205D、205R、205G、205Bには、半導体に酸化物半導体が適用された、本発明の一態様のトランジスタを用いる例を示す。例えばトランジスタ205R、205G、及び205Bは、発光素子に流れる電流を制御するための、駆動トランジスタとして機能する。回路部173に設けられたトランジスタ205Dは、駆動回路の一部を構成するトランジスタである。なお、回路部164にも、トランジスタ205Dと同様のトランジスタを設けることができる。
【0210】
具体的には、トランジスタ205D、205R、205G、205Bは、それぞれ、ゲートとして機能する導電層104、ゲート絶縁層として機能する絶縁層106、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能する導電層109、その他方として機能する導電層107、半導体層108、絶縁層110などを有する。導電層109及び導電層107は、半導体層108と接する。また、導電層107と接する導電層112aと、導電層109と接する導電層112bが設けられる。導電層112a及び導電層112bは、それぞれ導電層107及び導電層109よりも低抵抗な導電性材料を含み、配線として機能する。ここでは、同一の膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。
【0211】
このように、表示装置100Aは、表示部162及び回路部173の双方に、本発明の一態様のトランジスタを有する。またここでは示さないが、回路部164にも本発明の一態様のトランジスタを適用できる。表示部162に本発明の一態様のトランジスタを用いることで、画素サイズを縮小でき、高精細化を図ることができる。また、回路部164及び回路部173に本発明の一態様のトランジスタを用いることで、回路部164及び回路部173の占有面積を小さくでき、狭額縁化を図ることができる。また表示部162、回路部164、及び回路部173の一以上に本発明の一態様のトランジスタを用いることで、配線の負荷を低減できるため、高速動作が可能な表示装置、大型の表示装置、または解像度の高い(画素数の多い)表示装置を実現できる。本発明の一態様のトランジスタについては、先の実施の形態の記載を参照できる。
【0212】
なお、本実施の形態の表示装置が有するトランジスタは、縦型のトランジスタのみに限定されない。例えば、縦型のトランジスタと、他の構造のトランジスタと、を組み合わせて有していてもよい。
【0213】
本実施の形態の表示装置は、例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタのいずれか一以上を有していてもよい。本実施の形態の表示装置が有するトランジスタは、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれとしてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0214】
本実施の形態の表示装置は、シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタ(Siトランジスタ)を有してもよい。シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン等が挙げられる。特に、半導体層にLTPSを有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう)を用いることができる。LTPSトランジスタは、電界効果移動度が高く、周波数特性が良好である。また、非晶質シリコンは、大面積のガラス基板上に均一に成膜することができるため、半導体層に非晶質シリコンを有するトランジスタは生産性に優れる。
【0215】
また、本実施の形態の表示装置は、In-Ga-Zn酸化物(IGZOとも表記する)に代表される酸化物半導体(OS:Oxide Semiconductor)をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(OSトランジスタ)を有していてもよい。例えば、チャネルが形成される半導体にシリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタとが混在した表示装置としてもよい。
【0216】
回路部173が有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路部173が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。なお、回路部164についても同様である。
【0217】
表示部162が有するトランジスタの全てをOSトランジスタとしてもよく、表示部162が有するトランジスタの全てをSiトランジスタとしてもよく、表示部162が有するトランジスタの一部をOSトランジスタとし、残りをSiトランジスタとしてもよい。
【0218】
例えば、表示部162にLTPSトランジスタとOSトランジスタとの双方を用いることで、消費電力が低く、駆動能力の高い表示装置を実現することができる。また、LTPSトランジスタと、OSトランジスタとを、組み合わせる構成をLTPOと呼称する場合がある。なお、より好適な例としては、配線間の導通、非導通を制御するためのスイッチとして機能するトランジスタ等にOSトランジスタを適用し、電流を制御するトランジスタ等にLTPSトランジスタを適用する構成が挙げられる。
【0219】
例えば、表示部162が有するトランジスタの一は、発光素子に流れる電流を制御するためのトランジスタとして機能し、駆動トランジスタとも呼ぶことができる。駆動トランジスタのソース及びドレインの一方は、発光素子の画素電極と電気的に接続される。
【0220】
一方、表示部162が有するトランジスタの他の一は、画素の選択、非選択を制御するためのスイッチとして機能し、選択トランジスタとも呼ぶことができる。選択トランジスタのゲートはゲート線と電気的に接続され、ソース及びドレインの一方は、ソース線(信号線)と電気的に接続される。選択トランジスタには、OSトランジスタを適用することが好ましい。これにより、フレーム周波数を著しく小さく(例えば1fps以下)しても、画素の階調を維持することができるため、静止画を表示する際にドライバを停止することで、消費電力を低減することができる。
【0221】
トランジスタ205D、205R、205G、205Bを覆うように、絶縁層218が設けられ、絶縁層218上に絶縁層235が設けられている。
【0222】
絶縁層218は、トランジスタの保護層として機能することが好ましい。絶縁層218には、水及び水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層218をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0223】
絶縁層218は、1層以上の無機絶縁膜を有することが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜が挙げられる。これらの無機絶縁膜の具体例は、前述の通りである。
【0224】
絶縁層235は、平坦化層としての機能を有することが好ましく、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。また、絶縁層235を、有機絶縁膜と、無機絶縁膜との積層構造にしてもよい。絶縁層235の最表層は、エッチング保護層としての機能を有することが好ましい。これにより、画素電極111R、111G、111Bなどの加工時に、絶縁層235に凹部が形成されることを抑制することができる。または、絶縁層235には、画素電極111R、111G、111Bなどの加工時に、凹部が設けられてもよい。
【0225】
絶縁層235上に、発光素子130R、130G、130Bが設けられている。
【0226】
発光素子130Rは、絶縁層235上の画素電極111Rと、画素電極111R上のEL層113Rと、EL層113R上の共通電極115と、を有する。図14に示す発光素子130Rは、赤色の光(R)を発する。EL層113Rは、赤色の光を発する発光層を有する。
【0227】
同様に、発光素子130Gは、画素電極111G、EL層113G、及び共通電極115を有する。発光素子130Gは緑色の光(G)を発し、EL層113Gは緑色の光を発する発光層を有する。
【0228】
同様に、発光素子130Bは、画素電極111B、EL層113B、及び共通電極115を有する。発光素子130Bは青色の光(B)を発し、EL層113Bは青色の光を発する発光層を有する。
【0229】
なお、図14では、EL層113R、113G、113Bを全て同じ厚さのように示すが、これに限られない。EL層113R、113G、113Bのそれぞれの膜厚は異なっていてもよい。例えば、EL層113R、113G、113Bの膜厚を、それぞれの発する光を強める光路長に対応して設定することが好ましい。これにより、マイクロキャビティ構造を実現し、各発光素子から射出される光の色純度を高めることができる。
【0230】
画素電極111Rは、絶縁層106、絶縁層218、及び絶縁層235に設けられた開口を介して、トランジスタ205Rが有する導電層112bと電気的に接続されている。同様に、画素電極111Gは、トランジスタ205Gが有する導電層112bと電気的に接続され、画素電極111Bは、トランジスタ205Bが有する導電層112bと電気的に接続されている。
【0231】
画素電極111R、111G、111Bのそれぞれの端部は、絶縁層237によって覆われている。絶縁層237は、隔壁(土手、バンク、スペーサともいう)として機能する。絶縁層237は、無機絶縁材料及び有機絶縁材料の一方または双方を用いて、単層構造または積層構造で設けることができる。絶縁層237には、例えば、絶縁層218に用いることができる材料及び絶縁層235に用いることができる材料を適用できる。絶縁層237により、画素電極と共通電極とを電気的に絶縁することができる。また、絶縁層237により、隣接する発光素子同士を電気的に絶縁することができる。
【0232】
共通電極115は、発光素子130R、130G、130Bに共通して設けられる一続きの膜である。複数の発光素子が共通して有する共通電極115は、接続部140に設けられた導電層123と電気的に接続される。導電層123には、画素電極111R、111G、111Bと同じ材料及び同じ工程で形成された導電層を用いることが好ましい。
【0233】
本発明の一態様の表示装置において、画素電極と共通電極のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0234】
また、光を取り出さない側の電極にも可視光を透過する導電膜を用いてもよい。この場合、反射層と、EL層との間に当該電極を配置することが好ましい。つまり、EL層の発光は、当該反射層によって反射されて、表示装置から取り出されてもよい。
【0235】
発光素子の一対の電極を形成する材料としては、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを適宜用いることができる。当該材料としては、具体的には、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、インジウム、スズ、モリブデン、タンタル、タングステン、パラジウム、金、白金、銀、イットリウム、ネオジムなどの金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金が挙げられる。また、当該材料としては、インジウムスズ酸化物(In-Sn酸化物、ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、及びIn-W-Zn酸化物などを挙げることができる。また、当該材料としては、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、並びに、銀とマグネシウムの合金(Mg-Ag)、及び、銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)等の銀を含む合金が挙げられる。その他、当該材料としては、上記例示のない元素周期表の第1族または第2族に属する元素(例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム)、ユウロピウム、イッテルビウムなどの希土類金属及びこれらを適宜組み合わせて含む合金、グラフェン等が挙げられる。
【0236】
発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光素子が有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)であることが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)であることが好ましい。発光素子がマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光素子から射出される光を強めることができる。
【0237】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光素子の透明電極には、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0238】
EL層113R、113G、113Bは、それぞれ、島状に設けられている。図14では、隣り合うEL層113Rの端部とEL層113Gの端部とが重なっており、隣り合うEL層113Gの端部とEL層113Bの端部とが重なっており、隣り合うEL層113Rの端部とEL層113Bの端部とが重なっている。ファインメタルマスクを用いて島状のEL層を成膜する場合、図14に示すように、隣り合うEL層の端部同士が重なることがあるが、これに限られない。つまり、隣り合うEL層同士は重ならず、互いに離隔されていてもよい。また、表示装置において、隣り合うEL層同士が重なっている部分と、隣り合うEL層同士が重ならず離隔されている部分と、の双方が存在してもよい。
【0239】
EL層113R、113G、113Bは、それぞれ、少なくとも発光層を有する。発光層は、1種または複数種の発光物質を有する。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0240】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、及び量子ドット材料などが挙げられる。
【0241】
発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性の高い物質(正孔輸送性材料)及び電子輸送性の高い物質(電子輸送性材料)の一方または双方を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質、バイポーラ性材料ともいう)、またはTADF材料を用いてもよい。
【0242】
発光層は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光素子の高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0243】
EL層は、発光層の他に、正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層)、正孔輸送性材料を含む層(正孔輸送層)、電子ブロック性の高い物質を含む層(電子ブロック層)、電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層)、電子輸送性材料を含む層(電子輸送層)、及び、正孔ブロック性の高い物質を含む層(正孔ブロック層)のうち一つまたは複数を有することができる。その他、EL層は、バイポーラ性材料及びTADF材料の一方または双方を含んでいてもよい。
【0244】
発光素子には低分子化合物及び高分子化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光素子を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0245】
発光素子には、シングル構造(発光ユニットを1つだけ有する構造)を適用してもよく、タンデム構造(発光ユニットを複数有する構造)を適用してもよい。発光ユニットは、少なくとも1層の発光層を有する。タンデム構造は、複数の発光ユニットが電荷発生層を介して直列に接続された構成である。電荷発生層は、一対の電極間に電圧を印加したときに、2つの発光ユニットの一方に電子を注入し、他方に正孔を注入する機能を有する。タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光素子とすることができる。また、タンデム構造は、シングル構造と比べて、同じ輝度を得るために必要な電流を低減できるため、信頼性を高めることができる。なお、タンデム構造をスタック構造と呼んでもよい。
【0246】
図14において、タンデム構造の発光素子を用いる場合、EL層113Rは、赤色の光を発する発光ユニットを複数有する構造であり、EL層113Gは、緑色の光を発する発光ユニットを複数有する構造であり、EL層113Bは、青色の光を発する発光ユニットを複数有する構造であると好ましい。
【0247】
発光素子130R、130G、130B上には保護層131が設けられている。保護層131と基板152は接着層142を介して接着されている。基板152には、遮光層117が設けられている。発光素子の封止には、例えば、固体封止構造または中空封止構造が適用できる。図14では、基板152と基板151との間の空間が、接着層142で充填されており、固体封止構造が適用されている。または、当該空間を不活性ガス(窒素またはアルゴンなど)で充填し、中空封止構造を適用してもよい。このとき、接着層142は、発光素子と重ならないように設けられていてもよい。また、当該空間を、枠状に設けられた接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0248】
保護層131は、少なくとも表示部162に設けられており、表示部162全体を覆うように設けられていることが好ましい。発光素子130R、130G、130B上に保護層131を設けることで、発光素子の信頼性を高めることができる。保護層131は、表示部162だけでなく、接続部140、回路部173、及び回路部164を覆うように設けられていることが好ましい。また、保護層131は、表示装置100Aの端部にまで設けられていることが好ましい。一方で、接続部204には、FPC172と導電層166とを電気的に接続させるため、保護層131が設けられていない部分が生じる。
【0249】
保護層131は単層構造、または2層以上の積層構造とすることができる。また、保護層131の導電性は問わない。保護層131としては、絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜の少なくとも一種を用いることができる。保護層131が無機膜を有することで、共通電極115の酸化を防止する、発光素子に不純物(水分及び酸素等)が入り込むことを抑制する、等、発光素子の劣化を抑制し、表示装置の信頼性を高めることができる。保護層131には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。これらの無機絶縁膜の具体例は、前述の通りである。特に、保護層131は、窒化絶縁膜または窒化酸化絶縁膜を有することが好ましく、窒化絶縁膜を有することがより好ましい。
【0250】
また、保護層131には、ITO、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、またはIGZO等を含む無機膜を用いることもできる。当該無機膜は、高抵抗であることが好ましく、具体的には、共通電極115よりも高抵抗であることが好ましい。当該無機膜は、さらに窒素を含んでいてもよい。
【0251】
発光素子の発光を、保護層131を介して取り出す場合、保護層131は、可視光に対する透過性が高いことが好ましい。例えば、ITO、IGZO、及び、酸化アルミニウムは、それぞれ、可視光に対する透過性が高い無機材料であるため、好ましい。
【0252】
保護層131としては、例えば、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上の窒化シリコン膜と、の積層構造、または、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上のIGZO膜と、の積層構造を用いることができる。当該積層構造を用いることで、不純物(水及び酸素等)がEL層側に入り込むことを抑制できる。
【0253】
さらに、保護層131は、有機膜を有していてもよい。例えば、保護層131は、有機膜と無機膜の双方を有していてもよい。保護層131に用いることができる有機膜としては、例えば、絶縁層235に用いることができる有機絶縁膜などが挙げられる。
【0254】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が、導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。配線165は、導電層112bと同一の導電膜を加工して得られた導電層の単層構造である例を示す。導電層166は、画素電極111R、111G、111Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層の単層構造である例を示す。接続部204の上面では、導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0255】
表示装置100Aは、トップエミッション型である。発光素子が発する光は、基板152側に射出される。基板152には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。画素電極111R、111G、111Bは可視光を反射する材料を含み、対向電極(共通電極115)は可視光を透過する材料を含む。
【0256】
基板152の基板151側の面には、遮光層117を設けることが好ましい。遮光層117は、隣り合う発光素子の間、接続部140、回路部173、及び回路部164などに設けることができる。
【0257】
また、基板152の基板151側の面、または、保護層131上に、カラーフィルタなどの着色層を設けてもよい。発光素子に重ねてカラーフィルタを設けると、画素から射出される光の色純度を高めることができる。
【0258】
また、基板152の外側(基板151とは反対側の面)には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、例えば、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルムが挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等の表面保護層を配置してもよい。例えば、表面保護層として、ガラス層またはシリカ層(SiO層)を設けることで、表面汚染及び傷の発生を抑制することができ、好ましい。また、表面保護層としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、酸化アルミニウム(AlO)、ポリエステル系材料、またはポリカーボネート系材料などを用いてもよい。なお、表面保護層には、可視光に対する透過率が高い材料を用いることが好ましい。また、表面保護層には、硬度が高い材料を用いることが好ましい。
【0259】
基板151及び基板152としては、それぞれ、ガラス、石英、セラミックス、サファイア、樹脂、金属、合金、半導体などを用いることができる。発光素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。基板151及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高め、フレキシブルディスプレイを実現することができる。また、基板151及び基板152の少なくとも一方として偏光板を用いてもよい。
【0260】
基板151及び基板152としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板151及び基板152の少なくとも一方に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0261】
なお、表示装置に円偏光板を重ねる場合、表示装置が有する基板には、光学等方性の高い基板を用いることが好ましい。光学等方性が高い基板は、複屈折が小さい(複屈折量が小さい、ともいえる)。光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリルフィルム等が挙げられる。
【0262】
接着層142としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0263】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0264】
[表示装置100B]
図15に示す表示装置100Bは、各色の副画素に共通のEL層113を有する発光素子と、着色層(カラーフィルタなど)と、が用いられている点、ボトムエミッション型の表示装置である点などで、表示装置100Aと主に異なる。なお、以降の表示装置の説明では、先に説明した表示装置と同様の部分については説明を省略することがある。
【0265】
発光素子が発する光は、基板151側に射出される。基板151には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。一方、基板152に用いる材料の透光性は問わない。
【0266】
図15に示す表示装置100Bは、基板151と基板152の間に、トランジスタ205D、205R、205G、205B(図示しない)、発光素子130R、130G、130B、赤色の光を透過する着色層132R、緑色の光を透過する着色層132G、及び、青色の光を透過する着色層132B等を有する。
【0267】
発光素子130Rは、画素電極111Rと、画素電極111R上のEL層113と、EL層113上の共通電極115と、を有する。発光素子130Rの発光は、着色層132Rを介して表示装置100Bの外部に赤色の光として取り出される。
【0268】
発光素子130Gは、画素電極111Gと、画素電極111G上のEL層113と、EL層113上の共通電極115と、を有する。発光素子130Gの発光は、着色層132Gを介して表示装置100Bの外部に緑色の光として取り出される。
【0269】
発光素子130Bは、画素電極111Bと、画素電極111B上のEL層113と、EL層113上の共通電極115と、を有する。発光素子130Bの発光は、着色層132Bを介して表示装置100Bの外部に青色の光として取り出される。
【0270】
発光素子130R、130G、130Bは、EL層113と、共通電極115と、をそれぞれ共有して有する。各色の副画素に共通のEL層113を設ける構成は、各色の副画素にそれぞれ異なるEL層を設ける構成に比べて、作製工程数の削減が可能である。
【0271】
例えば、図15に示す発光素子130R、130G、130Bは、白色の光を発する。発光素子130R、130G、130Bが発する白色の光が、着色層132R、132G、132Bを透過することで、所望の色の光を得ることができる。
【0272】
基板151とトランジスタとの間には、遮光層117を形成することが好ましい。図15では、基板151上に遮光層117が設けられ、遮光層117上に絶縁層153が設けられ、絶縁層153上にトランジスタ205D、トランジスタ205R、トランジスタ205G、及びトランジスタ205B(図示しない)などが設けられている例を示す。また、絶縁層218上に、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bが設けられ、着色層132R、着色層132G、及び着色層132B上に絶縁層235が設けられている。
【0273】
画素電極111R、111G、111Bには、それぞれ、可視光に対する透過性が高い材料を用いる。共通電極115には可視光を反射する材料を用いることが好ましい。ボトムエミッション型の表示装置では、共通電極115に抵抗の低い金属等を用いることができるため、共通電極115の抵抗に起因する電圧降下が生じることを抑制でき、高い表示品位を実現できる。
【0274】
本発明の一態様のトランジスタは微細化が可能であり、占有面積を小さくできるため、ボトムエミッション構造の表示装置において、画素の開口率を高めること、または、画素のサイズを小さくすることができる。
【0275】
発光素子130R、130G、130Bにマイクロキャビティが適用されている場合には、それぞれEL層113が呈する白色光のうち、所定の波長の光が強められた光を発する。ここでは、このようにマイクロキャビティが適用されている発光素子であっても、白色の光を発するEL層が適用された場合には、白色の光を発する発光素子と呼ぶこととする。
【0276】
白色の光を発する発光素子は、2つ以上の発光層を含むことが好ましい。2つの発光層を用いて白色発光を得る場合、2つの発光層の発光色が補色の関係となるような発光層を選択することができる。例えば、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する構成を得ることができる。また、3つ以上の発光層を用いて白色発光を得る場合、3つ以上の発光層の発光色が合わさることで、発光素子全体として白色発光する構成とすることができる。
【0277】
EL層113は、例えば、青色の光を発する発光物質を有する発光層、及び、青色よりも長波長の可視光を発する発光物質を有する発光層を有することが好ましい。EL層113は、例えば、黄色の光を発する発光層、及び、青色の光を発する発光層を有することが好ましい。または、EL層113は、例えば、赤色の光を発する発光層、緑色の光を発する発光層、及び、青色の光を発する発光層を有することが好ましい。
【0278】
白色の光を発する発光素子には、タンデム構造を用いることが好ましい。具体的には、黄色の光を発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットとを有する2段タンデム構造、赤色と緑色の光を発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットとを有する2段タンデム構造、青色の光を発する発光ユニットと、黄色、黄緑色、または緑色の光を発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットとをこの順で有する3段タンデム構造、または、青色の光を発する発光ユニットと、黄色、黄緑色、または緑色の光と、赤色の光とを発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットと、をこの順で有する3段タンデム構造などを適用することができる。例えば、発光ユニットの積層数と色の順番としては、陽極側から、B、Yの2段構造、Bと発光ユニットXとの2段構造、B、Y、Bの3段構造、B、X、Bの3段構造が挙げられ、発光ユニットXにおける発光層の積層数と色の順番としては、陽極側から、R、Yの2層構造、R、Gの2層構造、G、Rの2層構造、G、R、Gの3層構造、または、R、G、Rの3層構造などとすることができる。また、2つの発光層の間に他の層が設けられていてもよい。
【0279】
または、例えば、図15に示す発光素子130R、130G、130Bは、青色の光を発する構成としてもよい。このとき、EL層113は、青色の光を発する発光層を1層以上有する。青色の光を呈する副画素210Bにおいては、発光素子130Bが発する青色の光を取り出すことができる。また、赤色の光を呈する副画素210R及び緑色の光を呈する副画素210Gにおいては、発光素子130Rまたは発光素子130Gと、基板151との間に、色変換層を設けることで、発光素子130Rまたは発光素子130Gが発する青色の光をより長波長の光に変換し、赤色または緑色の光を取り出すことができる。さらに、発光素子130Rの発光の光路上には、色変換層と基板151との間に着色層132Rを設け、発光素子130Gの発光の光路上には、色変換層と基板151との間に着色層132Gを設けることが好ましい。発光素子が発する光の一部は、色変換層で変換されずにそのまま透過してしまうことがある。色変換層を透過した光を、着色層を介して取り出すことで、所望の色の光以外を着色層で吸収し、副画素が呈する光の色純度を高めることができる。
【0280】
[表示装置100C]
図16に示す表示装置100Cは、MML(メタルマスクレス)構造が適用された表示装置の一例である。つまり、表示装置100Cは、ファインメタルマスクを用いずに作製された発光素子を有する。なお、基板151から絶縁層235までの積層構造、及び保護層131から基板152までの積層構造は、表示装置100Aと同様のため、説明を省略する。
【0281】
図16において、絶縁層235上に、発光素子130R、130G、130Bが設けられている。
【0282】
発光素子130Rは、絶縁層235上の導電層124Rと、導電層124R上の導電層126Rと、導電層126R上の層133Rと、層133R上の共通層114と、共通層114上の共通電極115と、を有する。図16に示す発光素子130Rは、赤色の光(R)を発する。層133Rは、赤色の光を発する発光層を有する。発光素子130Rにおいて、層133R、及び、共通層114をまとめてEL層と呼ぶことができる。また、導電層124R及び導電層126Rのうち一方または双方を画素電極と呼ぶことができる。
【0283】
同様に発光素子130Gは、絶縁層235上の導電層124Gと、導電層124G上の導電層126Gと、導電層126G上の層133Gと、層133G上の共通層114と、共通層114上の共通電極115と、を有する。図16に示す発光素子130Gは、緑色の光(G)を発する。層133Gは、緑色の光を発する発光層を有する。
【0284】
同様に発光素子130Bは、絶縁層235上の導電層124Bと、導電層124B上の導電層126Bと、導電層126B上の層133Bと、層133B上の共通層114と、共通層114上の共通電極115と、を有する。図16に示す発光素子130Bは、青色の光(B)を発する。層133Bは、青色の光を発する発光層を有する。
【0285】
本明細書等では、発光素子が有するEL層のうち、発光素子ごとに島状に設けられた層を層133B、層133G、または層133Rと示し、複数の発光素子が共有して有する層を共通層114と示す。なお、本明細書等において、共通層114を含めず、層133R、層133G、及び層133Bを指して、島状のEL層、島状に形成されたEL層などと呼ぶ場合もある。
【0286】
層133R、層133G、及び層133Bは、互いに離隔されている。EL層を発光素子ごとに島状に設けることで、隣接する発光素子間のリーク電流を抑制することができる。これにより、クロストークに起因した意図しない発光を防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。
【0287】
なお、図16では、層133R、133G、133Bを全て同じ膜厚で示すが、これに限られない。層133R、133G、133Bのそれぞれの膜厚は異なっていてもよい。
【0288】
導電層124Rは、絶縁層106、絶縁層218、及び絶縁層235に設けられた開口を介して、トランジスタ205Rが有する導電層112bと電気的に接続されている。同様に、導電層124Gは、トランジスタ205Gが有する導電層112bと電気的に接続され、導電層124Bは、トランジスタ205Bが有する導電層112bと電気的に接続されている。
【0289】
導電層124R、124G、124Bには、絶縁層235に設けられた開口を覆うように形成される。導電層124R、124G、124Bの凹部には、それぞれ、層128が埋め込まれている。
【0290】
層128は、導電層124R、124G、124Bの凹部を平坦化する機能を有する。導電層124R、124G、124B及び層128上には、導電層124R、124G、124Bと電気的に接続される導電層126R、126G、126Bが設けられている。したがって、導電層124R、124G、124Bの凹部と重なる領域も発光領域として使用でき、画素の開口率を高めることができる。導電層124R及び導電層126Rに反射電極として機能する導電層を用いることが好ましい。
【0291】
層128は、絶縁層であってもよく、導電層であってもよい。層128には、各種無機絶縁材料、有機絶縁材料、及び導電材料を適宜用いることができる。特に、層128は、絶縁材料を用いて形成されることが好ましく、有機絶縁材料を用いて形成されることが特に好ましい。層128には、例えば前述の絶縁層237に用いることができる有機絶縁材料を適用することができる。
【0292】
図16では、層128の上面が平坦部を有する例を示すが、層128の形状は、特に限定されない。層128の上面は、凸曲面、凹曲面、及び平面の少なくとも一つを有することができる。
【0293】
また、層128の上面の高さと、導電層124Rの上面の高さと、は、一致または概略一致していてもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、層128の上面の高さは、導電層124Rの上面の高さより低くてもよく、高くてもよい。
【0294】
導電層126Rの端部は、導電層124Rの端部と揃っていてもよく、導電層124Rの端部の側面を覆っていてもよい。導電層124R及び導電層126Rのそれぞれの端部は、テーパ形状を有することが好ましい。具体的には、導電層124R及び導電層126Rのそれぞれの端部はテーパ角90°未満のテーパ形状を有することが好ましい。画素電極の端部がテーパ形状を有する場合、画素電極の側面に沿って設けられる層133Rは傾斜した部分を有する。画素電極の側面をテーパ形状とすることで、画素電極の側面に沿って設けられるEL層の被覆性を良好にすることができる。
【0295】
導電層124G、126G、及び、導電層124B、126Bについては、導電層124R、126Rと同様であるため詳細な説明は省略する。
【0296】
導電層126Rの上面及び側面は、層133Rによって覆われている。同様に、導電層126Gの上面及び側面は、層133Gによって覆われており、導電層126Bの上面及び側面は、層133Bによって覆われている。したがって、導電層126R、126G、126Bが設けられている領域全体を、発光素子130R、130G、130Bの発光領域として用いることができるため、画素の開口率を高めることができる。
【0297】
層133R、層133G、及び層133Bそれぞれの上面の一部及び側面は、絶縁層125、127によって覆われている。層133R、層133G、層133B、及び、絶縁層125、127上に、共通層114が設けられ、共通層114上に共通電極115が設けられている。共通層114及び共通電極115は、それぞれ、複数の発光素子に共通して設けられるひと続きの膜である。
【0298】
図16において、導電層126Rと層133Rとの間には、図14等に示す絶縁層237が設けられていない。つまり、表示装置100Cには、画素電極に接し、かつ、画素電極の上面端部を覆う絶縁層(隔壁、バンク、スペーサなどともいう)が設けられていない。そのため、隣り合う発光素子の間隔を極めて狭くすることができる。したがって、高精細、または、高解像度の表示装置とすることができる。また、当該絶縁層を形成するためのマスクも不要となり、表示装置の製造コストを削減することができる。
【0299】
前述の通り、層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層を有する。層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリア輸送層(電子輸送層または正孔輸送層)と、を有することが好ましい。または、層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリアブロック層(正孔ブロック層または電子ブロック層)と、を有することが好ましい。または、層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリアブロック層と、キャリアブロック層上のキャリア輸送層と、を有することが好ましい。層133R、層133G、及び層133Bの表面は、表示装置の作製工程中に露出するため、キャリア輸送層及びキャリアブロック層の一方または双方を発光層上に設けることで、発光層が最表面に露出することを抑制し、発光層が受けるダメージを低減することができる。これにより、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0300】
共通層114は、例えば電子注入層、または正孔注入層を有する。または、共通層114は、電子輸送層と電子注入層とを積層して有していてもよく、正孔輸送層と正孔注入層とを積層して有していてもよい。共通層114は、発光素子130R、130G、130Bで共有されている。
【0301】
層133R、層133G、及び層133Bのそれぞれの側面は、絶縁層125によって覆われている。絶縁層127は、絶縁層125を介して、層133R、層133G、及び層133Bのそれぞれの側面を覆っている。
【0302】
層133R、層133G、及び層133Bの側面(さらには、上面の一部)が、絶縁層125及び絶縁層127の少なくとも一方によって覆われていることで、共通層114(または共通電極115)が、画素電極、及び、層133R、133G、133Bの側面と接することを抑制し、発光素子のショートを抑制することができる。これにより、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0303】
絶縁層125は、層133R、層133G、及び層133Bのそれぞれの側面と接することが好ましい。絶縁層125が層133R、層133G、及び層133Bと接する構成とすることで、層133R、層133G、及び層133Bの膜剥がれを防止でき、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0304】
絶縁層127は、絶縁層125の凹部を充填するように、絶縁層125上に設けられる。絶縁層127は、絶縁層125の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0305】
絶縁層125及び絶縁層127を設けることで、隣り合う島状の層の間を埋めることができるため、島状の層上に設ける層(例えばキャリア注入層、及び共通電極など)の被形成面の高低差の大きな凹凸を低減し、より平坦にすることができる。したがって、キャリア注入層及び共通電極などの被覆性を高めることができる。
【0306】
共通層114及び共通電極115は、層133R、層133G、層133B、絶縁層125、及び絶縁層127上に設けられる。絶縁層125及び絶縁層127を設ける前の段階では、画素電極及び島状のEL層が設けられる領域と、画素電極及び島状のEL層が設けられない領域(発光素子間の領域)と、に起因する段差が生じている。本発明の一態様の表示装置は、絶縁層125及び絶縁層127を有することで当該段差を平坦化させることができ、共通層114及び共通電極115の被覆性を向上させることができる。したがって、段切れによる接続不良を抑制することができる。また、段差によって共通電極115が局所的に薄膜化して電気抵抗が上昇することを抑制することができる。
【0307】
絶縁層127の上面は平坦性の高い形状を有することが好ましい。絶縁層127の上面は、平面、凸曲面、及び、凹曲面のうち、少なくとも一つを有していてもよい。例えば、絶縁層127の上面は、平坦性の高い、滑らかな凸曲面形状を有することが好ましい。
【0308】
絶縁層125は、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層125には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。これらの無機絶縁膜の具体例は、前述の通りである。絶縁層125は単層構造であってもよく積層構造であってもよい。特に、酸化アルミニウムは、エッチングにおいて、EL層との選択比が高く、絶縁層127の形成において、EL層を保護する機能を有するため、好ましい。特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、または酸化シリコン膜等の無機絶縁膜を絶縁層125に適用することで、ピンホールが少なく、EL層を保護する機能に優れた絶縁層125を形成することができる。また、絶縁層125は、ALD法により形成した膜と、スパッタリング法により形成した膜と、の積層構造としてもよい。絶縁層125は、例えば、ALD法によって形成された酸化アルミニウム膜と、スパッタリング法によって形成された窒化シリコン膜と、の積層構造であってもよい。
【0309】
絶縁層125は、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア絶縁層としての機能を有することが好ましい。また、絶縁層125は、水及び酸素の少なくとも一方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁層125は、水及び酸素の少なくとも一方を捕獲、または固着する(ゲッタリングともいう)機能を有することが好ましい。
【0310】
なお、本明細書等において、バリア絶縁層とは、バリア性を有する絶縁層のことを示す。また、本明細書等において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。または、対応する物質を、捕獲、または固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
【0311】
絶縁層125が、バリア絶縁層としての機能、またはゲッタリング機能を有することで、外部から各発光素子に拡散しうる不純物(代表的には、水及び酸素の少なくとも一方)の侵入を抑制することが可能な構成となる。当該構成とすることで、信頼性の高い発光素子、さらには、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0312】
また、絶縁層125は、不純物濃度が低いことが好ましい。これにより、絶縁層125からEL層に不純物が混入し、EL層が劣化することを抑制することができる。また、絶縁層125において、不純物濃度を低くすることで、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性を高めることができる。例えば、絶縁層125は、水素濃度及び炭素濃度の一方、好ましくは双方が十分に低いことが望ましい。
【0313】
絶縁層125上に設けられる絶縁層127は、隣接する発光素子間に形成された絶縁層125の高低差の大きな凹凸を平坦化する機能を有する。換言すると、絶縁層127を有することで共通電極115を形成する面の平坦性を向上させる効果を奏する。
【0314】
絶縁層127としては、有機材料を有する絶縁層を好適に用いることができる。有機材料としては、感光性の有機樹脂を用いることが好ましく、例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いることが好ましい。なお、本明細書などにおいて、アクリル樹脂とは、ポリメタクリル酸エステル、またはメタクリル樹脂だけを指すものではなく、広義のアクリル系ポリマー全体を指す場合がある。
【0315】
また、絶縁層127として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等を用いてもよい。また、絶縁層127として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂等の有機材料を用いてもよい。また、感光性の有機樹脂としてはフォトレジストを用いてもよい。感光性の有機樹脂として、ポジ型の材料及びネガ型の材料のどちらを用いてもよい。
【0316】
絶縁層127には可視光を吸収する材料を用いてもよい。絶縁層127が発光素子からの発光を吸収することで、発光素子から絶縁層127を介して隣接する発光素子に光が漏れること(迷光)を抑制することができる。これにより、表示装置の表示品位を高めることができる。また、表示装置に偏光板を用いなくても、表示品位を高めることができるため、表示装置の軽量化及び薄型化を図ることができる。
【0317】
可視光を吸収する材料としては、黒色などの顔料を含む材料、染料を含む材料、光吸収性を有する樹脂材料(例えばポリイミドなど)、及び、カラーフィルタに用いることのできる樹脂材料(カラーフィルタ材料)が挙げられる。特に、2色、または3色以上のカラーフィルタ材料を積層または混合した樹脂材料を用いると、可視光の遮蔽効果を高めることができるため好ましい。特に3色以上のカラーフィルタ材料を混合させることで、黒色または黒色近傍の樹脂層とすることが可能となる。
【0318】
[表示装置100D]
上記では、表示素子に発光素子を適用した場合の例を示したが、以下では、表示素子に液晶素子を適用した液晶表示装置について説明する。
【0319】
表示装置が有する液晶素子としては、様々な構成の素子を用いることができる。代表的には、VA(Vertical Alignment)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、またはIPS(In-Plane-Switching)モード等が適用された液晶素子を用いることができる。また、液晶素子を用いた表示装置として、透過型だけでなく、反射型または半透過型の液晶表示装置としてもよい。また表示装置は、ノーマリーブラック型の液晶表示装置であることが好ましい。
【0320】
例えばVAモードとしては、MVA(Multi-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
【0321】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えばVAモード、FFSモード、IPSモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、ゲストホストモード等が適用された液晶素子を用いることができる。
【0322】
ここで、液晶表示装置は、偏光と液晶の光学的変調作用を利用して、光の透過または非透過を制御する表示装置である。液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。液晶素子に用いることのできる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶などを用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相などを示す。また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、適用するモードまたは設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0323】
図17に示す表示装置100Dは、FFSモードの液晶表示装置である。
【0324】
基板151と基板152とは、接着層144によって貼り合わされている。また、基板151、基板152、及び接着層144に囲まれた領域に、液晶262が封止されている。基板152の外側の面には偏光板260aが位置し、基板151の外側の面には、偏光板260bが位置している。また、図示しないが、偏光板260aよりも外側、または偏光板260bよりも外側に、バックライトを設けることができる。
【0325】
基板151には、トランジスタ205D、205R、205G、205B(図示しない)、接続部204、スペーサ224などが設けられている。トランジスタ205Dは、回路部173に設けられるトランジスタであり、トランジスタ205R、205Gは、表示部162に設けられるトランジスタである。トランジスタ205R、205Gが有する導電層112bは、液晶素子60の画素電極111と電気的に接続されている。
【0326】
基板152には、着色層132R、132G、遮光層117、絶縁層225などが設けられている。
【0327】
トランジスタ205D、205R、205Gは、それぞれ、導電層112a、導電層112b、半導体層108、導電層107、導電層109、絶縁層106、導電層104などを有する。導電層112aは、ソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、導電層112bはその他方として機能する。導電層107はソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、導電層109はその他方として機能する。導電層104は、ゲート電極として機能する。絶縁層106は、その一部がゲート絶縁層として機能する。
【0328】
また、トランジスタ205D、205R、205Gは、絶縁層218に覆われている。絶縁層218は、トランジスタ205D、205R、205Gの保護層として機能する。
【0329】
表示部162が有する副画素は、トランジスタと、液晶素子60と、着色層と、を有する。例えば、赤色の光を呈する副画素は、トランジスタ205Rと、液晶素子60と、赤色の光を透過する着色層132Rと、を有する。また、緑色の光を呈する副画素は、トランジスタ205Gと、液晶素子60と、緑色の光を透過する着色層132Gと、を有する。図示しないが、青色の光を呈する副画素は、同様に、トランジスタと、液晶素子60と、青色の光を透過する着色層と、を有する。
【0330】
液晶素子60は、共通電極115、画素電極111、及び液晶262を有する。絶縁層218上に共通電極115が設けられ、共通電極115上に、絶縁層214が設けられている。また、絶縁層214上に画素電極111が設けられている。
【0331】
画素電極111及び共通電極115は可視光を透過する。つまり、表示装置100Dは、透過型の液晶表示装置とすることができる。例えばバックライトを基板151側に配置した場合、偏光板260bにより偏光されたバックライトからの光は、基板151、液晶素子60、及び、基板152を透過し偏光板260aに達する。このとき、画素電極111と共通電極115との間に与える電圧によって液晶262の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板260aを介して射出される光の強度を制御することができる。また入射される光は着色層によって特定の波長領域以外の光が吸収されることにより、取り出される光は例えば赤色を呈する光となる。
【0332】
ここで、偏光板260aとして直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。偏光板260aに円偏光板を用いることで、外光反射を抑制することができる。
【0333】
なお、偏光板260aとして円偏光板を用いた場合、偏光板260bにも円偏光板を用いてもよいし、通常の直線偏光板を用いることもできる。偏光板260a、偏光板260bに適用する偏光板の種類に応じて、液晶素子60に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストが実現されるようにすることができる。
【0334】
基板151の端部に近い領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。配線165は、絶縁層110に設けられた開口を介して、配線165と接続されている。図17に示す構成では、配線165は、導電層112a及び導電層107と同一の材料、同一の工程で形成する例を示し、導電層166は、導電層112bと同一の材料、同一の工程で形成する例を示す。
【0335】
画素電極111は、平面視において櫛歯状の形状、またはスリットが設けられた形状を有する。また、画素電極111は共通電極115と重ねて配置されている。また着色層と重なる領域において、共通電極115上に画素電極111が配置されていない部分を有する。
【0336】
なお、液晶素子60において、画素電極111と共通電極115との双方を、櫛歯状の上面形状としてもよい。一方で、表示装置100Dに示すように、液晶素子60において、画素電極111と共通電極115のうち、一方のみを櫛歯状の上面形状とすることで、画素電極111と共通電極115とが部分的に重なる構成となる。これにより、画素電極111と共通電極115との間の容量を保持容量として用いることができ、容量素子を別途設ける必要がなく、表示装置の開口率を高めることができる。
【0337】
基板152側において、着色層132R、132G、遮光層117を覆って絶縁層225が設けられている。絶縁層225は、着色層132R、132G等に含まれる成分が、液晶262に拡散することを防ぐオーバーコートとして機能する。また絶縁層225は、平坦化膜としての機能を有していてもよい。絶縁層225は、透光性を有する有機樹脂を用いて形成することができる。
【0338】
なお、画素電極111、絶縁層214、絶縁層225等において、液晶262と接する面には、液晶262の配向を制御するための配向膜が設けられていてもよい。
【0339】
以上が表示装置の構成例についての説明である。
【0340】
[表示装置の作製方法例]
以下では、MML(メタルマスクレス)構造が適用された表示装置の作製方法について説明する。ここでは、ファインメタルマスクを用いずに発光素子を作製する工程について詳述する。図18には、各工程における、表示部162が有する3つの発光素子と接続部140との断面図を示す。
【0341】
発光素子の作製には、蒸着法などの真空プロセス、及び、スピンコート法、インクジェット法などの溶液プロセスを用いることができる。蒸着法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD法)、及び、化学蒸着法(CVD法)等が挙げられる。特にEL層に含まれる機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層など)については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、または、マイクロコンタクト法等)などの方法により形成することができる。
【0342】
以下で説明する表示装置の作製方法で作製される島状の層(発光層を含む層)は、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、発光層を一面に成膜した後、フォトリソグラフィ法を用いて加工することで形成される。したがって、これまで実現が困難であった高精細な表示装置または高開口率の表示装置を実現することができる。さらに、発光層を各色で作り分けることができるため、極めて鮮やかでコントラストが高く、表示品位の高い表示装置を実現できる。また、発光層上に犠牲層を設けることで、表示装置の作製工程中に発光層が受けるダメージを低減し、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0343】
例えば、表示装置が、青色の光を発する発光素子、緑色の光を発する発光素子、及び赤色の光を発する発光素子の3種類で構成される場合、発光層の成膜、及び、フォトリソグラフィによる加工を3回繰り返すことで、3種類の島状の発光層を形成することができる。
【0344】
まず、トランジスタ205R、205G、205B等(図示しない)が設けられた基板151上に、画素電極111R、111G、111B、及び導電層123を形成する。(図18(A))。
【0345】
画素電極となる導電膜の形成には、例えば、スパッタリング法または真空蒸着法を用いることができる。当該導電膜上にフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成した後、当該導電膜を加工することにより、画素電極111R、111G、111B、及び導電層123を形成することができる。当該導電膜の加工には、ウェットエッチング法及びドライエッチング法の一方または双方を用いることができる。
【0346】
続いて、後に層133Bとなる膜133Bfを、画素電極111R、111G、111B上に形成する(図18(A))。膜133Bf(後の層133B)は、青色の光を発する発光層を含む。
【0347】
なお、本実施の形態では、まず、青色の光を発する発光素子が有する島状のEL層を形成した後、他の色の光を発する発光素子が有する島状のEL層を形成する例を示す。
【0348】
島状のEL層を形成する工程において、形成順が2番目以降の色の発光素子における画素電極は、先の工程によりダメージを受けることがある。これにより、2番目以降に形成した色の発光素子の駆動電圧は高くなることがある。
【0349】
そこで、本発明の一態様の表示装置を作製する際には、最も短波長の光を発する発光素子(例えば、青色の発光素子)の島状のEL層から作製することが好ましい。例えば、島状のEL層の作製順を、青色、緑色、赤色の順、または、青色、赤色、緑色の順にすることが好ましい。
【0350】
これにより、青色の発光素子において画素電極とEL層の界面の状態を良好に保ち、青色の発光素子の駆動電圧が高くなることを抑制できる。また、青色の発光素子の寿命を長くし、信頼性を高めることができる。なお、赤色及び緑色の発光素子は、青色の発光素子に比べて、駆動電圧の上昇等の影響が小さいため、表示装置全体として、駆動電圧を低くでき、信頼性を高くすることができる。
【0351】
なお、島状のEL層の作製順は上記に限定されず、例えば、赤色、緑色、青色の順としてもよい。
【0352】
図18(A)に示すように、導電層123上には、膜133Bfを形成していない。例えば、エリアマスクを用いることで、膜133Bfを所望の領域にのみ成膜することができる。エリアマスクを用いた成膜工程と、レジストマスクを用いた加工工程と、を採用することで、比較的簡単なプロセスにて発光素子を作製することができる。
【0353】
膜133Bfに含まれる化合物の耐熱温度は、それぞれ、100℃以上180℃以下であることが好ましく、120℃以上180℃以下が好ましく、140℃以上180℃以下がより好ましい。これにより、発光素子の信頼性を高めることができる。また、表示装置の作製工程において許容される温度の上限を高めることができる。したがって、表示装置に用いる材料及び形成方法の選択の幅を広げることができ、歩留まりの向上及び信頼性の向上が可能となる。
【0354】
耐熱温度としては、例えば、ガラス転移点、軟化点、融点、熱分解温度、及び、5%重量減少温度のうちいずれかの温度、好ましくはこれらのうち最も低い温度とすることができる。
【0355】
膜133Bfは、例えば、蒸着法、具体的には真空蒸着法により形成することができる。また、膜133Bfは、転写法、印刷法、インクジェット法、または塗布法等の方法で形成してもよい。
【0356】
続いて、膜133Bf上、及び導電層123上に、犠牲層118Bを形成する(図18(A))。犠牲層118Bとなる膜上にフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成した後、当該膜を加工することにより、犠牲層118Bを形成することができる。
【0357】
膜133Bf上に犠牲層118Bを設けることで、表示装置の作製工程中に膜133Bfが受けるダメージを低減し、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0358】
犠牲層118Bは、画素電極111R、111G、111Bのそれぞれの端部を覆うように設けることが好ましい。これにより、後の工程で形成される層133Bの端部は、画素電極111Bの端部よりも外側に位置することとなる。画素電極111Bの上面全体を発光領域として用いることが可能となるため、画素の開口率を高くすることができる。また、層133Bの端部は、層133B形成後の工程で、ダメージを受ける可能性があるため、画素電極111Bの端部よりも外側に位置する、つまり、発光領域として用いないことが好ましい。これにより、発光素子の特性のばらつきを抑制することができ、信頼性を高めることができる。
【0359】
また、層133Bが画素電極111Bの上面及び側面を覆うことにより、層133B形成後の各工程を、画素電極111Bが露出していない状態で行うことができる。画素電極111Bの端部が露出していると、エッチング工程などにおいて腐食が生じる場合がある。画素電極111Bの腐食を抑制することで、発光素子の歩留まり及び特性を向上させることができる。
【0360】
また、犠牲層118Bを、導電層123と重なる位置にも設けることが好ましい。これにより、導電層123が表示装置の作製工程中にダメージを受けることを抑制できる。
【0361】
犠牲層118Bには、膜133Bfの加工条件に対する耐性の高い膜、具体的には、膜133Bfとのエッチングの選択比を大きくできる膜を用いる。
【0362】
犠牲層118Bは、膜133Bfに含まれる各化合物の耐熱温度よりも低い温度で形成する。犠牲層118Bを形成する際の基板温度としては、代表的には、200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
【0363】
膜133Bfに含まれる化合物の耐熱温度が高いと、犠牲層118Bの成膜温度を高くでき好ましい。例えば、犠牲層118Bを形成する際の基板温度を100℃以上、120℃以上、または140℃以上とすることもできる。無機絶縁膜は、成膜温度が高いほど緻密でバリア性の高い膜とすることができる。したがって、このような温度で犠牲層を成膜することで、膜133Bfが受けるダメージをより低減でき、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0364】
なお、膜133Bf上に形成する他の各層(例えば絶縁膜125f)の成膜温度についても、上記と同様のことがいえる。
【0365】
犠牲層118Bの形成には、例えば、スパッタリング法、ALD法(熱ALD法、PEALD法を含む)、CVD法、真空蒸着法を用いることができる。また、前述の湿式の成膜方法を用いて形成してもよい。
【0366】
犠牲層118B(犠牲層118Bが積層構造の場合は、膜133Bfに接して設けられる層)は、膜133Bfへのダメージが少ない形成方法を用いて形成されることが好ましい。例えば、スパッタリング法よりも、ALD法または真空蒸着法を用いることが好ましい。
【0367】
犠牲層118Bは、ウェットエッチング法またはドライエッチング法により加工することができる。犠牲層118Bの加工は、異方性エッチングにより行うことが好ましい。
【0368】
ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲層118Bの加工時に、膜133Bfに加わるダメージを低減することができる。ウェットエッチング法を用いる場合、例えば、現像液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液、希フッ酸、シュウ酸、リン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの2以上を含む混合溶液等を用いることが好ましい。また、ウェットエッチング法を用いる場合、水、リン酸、希フッ酸、及び硝酸を含む混酸系薬液を用いてもよい。なお、ウェットエッチング処理に用いる薬液は、アルカリ性であってもよく、酸性であってもよい。
【0369】
犠牲層118Bとしては、例えば、金属膜、合金膜、金属酸化物膜、半導体膜、無機絶縁膜、及び、有機絶縁膜のうち一種または複数種を用いることができる。
【0370】
犠牲層118Bには、例えば、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、及びタンタル等の金属材料、または該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
【0371】
犠牲層118Bには、In-Ga-Zn酸化物、酸化インジウム、In-Zn酸化物、In-Sn酸化物、インジウムチタン酸化物(In-Ti酸化物)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In-Sn-Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In-Ti-Zn酸化物)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In-Ga-Sn-Zn酸化物)、シリコンを含むインジウムスズ酸化物等の金属酸化物を用いることができる。
【0372】
なお、上記ガリウムに代えて元素M(Mは、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)を用いてもよい。
【0373】
例えば、半導体の製造プロセスと親和性の高い材料として、シリコンまたはゲルマニウムなどの半導体材料を用いることができる。または、上記半導体材料の酸化物または窒化物を用いることができる。または、炭素などの非金属材料、またはその化合物を用いることができる。または、チタン、タンタル、タングステン、クロム、アルミニウムなどの金属、またはこれらの一以上を含む合金が挙げられる。または、酸化チタンもしくは酸化クロムなどの上記金属を含む酸化物、または窒化チタン、窒化クロム、もしくは窒化タンタルなどの窒化物を用いることができる。
【0374】
また、犠牲層118Bとして、保護層131に用いることができる各種無機絶縁膜を用いることができる。特に、酸化絶縁膜は、窒化絶縁膜に比べて膜133Bfとの密着性が高く好ましい。例えば、犠牲層118Bには、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化シリコン等の無機絶縁材料を用いることができる。犠牲層118Bとして、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することができる。ALD法を用いることで、下地(特に膜133Bf)へのダメージを低減できるため好ましい。
【0375】
例えば、犠牲層118Bとして、ALD法を用いて形成した無機絶縁膜(例えば、酸化アルミニウム膜)と、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、In-Ga-Zn酸化物膜、シリコン膜、またはタングステン膜)と、の積層構造を用いることができる。
【0376】
なお、犠牲層118Bと、後に形成する絶縁層125との双方に、同じ無機絶縁膜を用いることができる。例えば、犠牲層118Bと絶縁層125との双方に、ALD法を用いて形成した酸化アルミニウム膜を用いることができる。ここで、犠牲層118Bと、絶縁層125とで、同じ成膜条件を適用してもよく、互いに異なる成膜条件を適用してもよい。例えば、犠牲層118Bを、絶縁層125と同様の条件で成膜することで、犠牲層118Bを、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性の高い絶縁層とすることができる。一方で、犠牲層118Bは後の工程で大部分または全部を除去する層であるため、加工が容易であることが好ましい。そのため、犠牲層118Bは、絶縁層125と比べて、成膜時の基板温度が低い条件で成膜することが好ましい。
【0377】
犠牲層118Bに、有機材料を用いてもよい。例えば、有機材料として、少なくとも膜133Bfの最上部に位置する膜に対して化学的に安定な溶媒に溶解しうる材料を用いてもよい。特に、水またはアルコールに溶解する材料を好適に用いることができる。このような材料の成膜の際には、水またはアルコール等の溶媒に溶解させた状態で、湿式の成膜方法で塗布した後に、溶媒を蒸発させるための加熱処理を行うことが好ましい。このとき、減圧雰囲気下での加熱処理を行うことで、低温且つ短時間で溶媒を除去できるため、膜133Bfへの熱的なダメージを低減することができ、好ましい。
【0378】
犠牲層118Bには、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、アルコール可溶性のポリアミド樹脂、または、パーフルオロポリマーなどのフッ素樹脂等の有機樹脂を用いてもよい。
【0379】
例えば、犠牲層118Bとして、蒸着法または上記湿式の成膜方法のいずれかを用いて形成した有機膜(例えば、PVA膜)と、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、窒化シリコン膜)と、の積層構造を用いることができる。
【0380】
なお、本発明の一態様の表示装置には、犠牲膜の一部が犠牲層として残存する場合がある。
【0381】
続いて、犠牲層118Bをハードマスクに用いて、膜133Bfを加工して、層133Bを形成する(図18(B))。
【0382】
これにより、図18(B)に示すように、画素電極111B上に、層133B、及び、犠牲層118Bの積層構造が残存する。また、画素電極111R及び画素電極111Gは露出する。また、接続部140に相当する領域では、導電層123上に犠牲層118Bが残存する。
【0383】
膜133Bfの加工は、異方性エッチングにより行うことが好ましい。特に、異方性のドライエッチングが好ましい。または、ウェットエッチングを用いてもよい。
【0384】
その後、膜133Bfの形成工程、犠牲層118Bの形成工程、及び、層133Bの形成工程と同様の工程を、少なくとも発光物質を変えて、2回繰り返すことで、画素電極111R上に、層133R、及び、犠牲層118Rの積層構造を形成し、画素電極111G上に、層133G、及び、犠牲層118Gの積層構造を形成する(図18(C))。具体的には、層133Rは、赤色の光を発する発光層を含むように形成し、層133Gは、緑色の光を発する発光層を含むように形成する。犠牲層118R、118Gには、犠牲層118Bに用いることができる材料を適用することができ、いずれも同一の材料を用いてもよく、互いに異なる材料を用いてもよい。
【0385】
なお、層133B、層133G、層133Rの側面は、それぞれ、被形成面に対して垂直または概略垂直であることが好ましい。例えば、被形成面と、これらの側面との成す角度を、60度以上90度以下とすることが好ましい。
【0386】
上記のように、フォトリソグラフィ法を用いて形成した層133B、層133G、及び層133Rのうち隣接する2つの間の距離は、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下、または、1μm以下にまで狭めることができる。ここで、当該距離とは、例えば、層133B、層133G、及び層133Rのうち、隣接する2つの対向する端部の間の距離で規定することができる。このように、島状のEL層の間の距離を狭めることで、高い精細度と、大きな開口率を有する表示装置を提供することができる。
【0387】
続いて、画素電極、層133B、層133G、層133R、犠牲層118B、犠牲層118G、及び犠牲層118Rを覆うように、後に絶縁層125となる絶縁膜125fを形成し、絶縁膜125f上に絶縁層127を形成する(図18(D))。
【0388】
絶縁膜125fとしては、3nm以上、5nm以上、または、10nm以上、かつ、200nm以下、150nm以下、100nm以下、または、50nm以下の厚さの絶縁膜を形成することが好ましい。
【0389】
絶縁膜125fは、例えば、ALD法を用いて形成することが好ましい。ALD法を用いることで、成膜ダメージを小さくすることができ、また、被覆性の高い膜を成膜可能なため好ましい。絶縁膜125fとしては、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することが好ましい。
【0390】
そのほか、絶縁膜125fは、ALD法よりも成膜速度が速いスパッタリング法、CVD法、または、プラズマCVD法を用いて形成してもよい。これにより、信頼性の高い表示装置を生産性高く作製することができる。
【0391】
絶縁層127となる絶縁膜は、例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いて、前述の湿式の成膜方法(例えばスピンコート)で形成することが好ましい。成膜後には、加熱処理(プリベークともいう)を行うことで、当該絶縁膜中に含まれる溶媒を除去することが好ましい。続いて、可視光線または紫外線を当該絶縁膜の一部に照射し、絶縁膜の一部を感光させる。続いて、現像を行って、絶縁膜の露光させた領域を除去する。続いて、加熱処理(ポストベークともいう)を行う。これにより、図18(D)に示す絶縁層127を形成できる。なお、絶縁層127の形状は図18(D)に示す形状に限定されない。例えば、絶縁層127の上面は、凸曲面、凹曲面、及び平面のうち一つまたは複数を有することができる。また、絶縁層127は、絶縁層125、犠牲層118B、犠牲層118G、及び、犠牲層118Rのうち少なくとも一つの端部の側面を覆っていてもよい。
【0392】
続いて、図18(E)に示すように、絶縁層127をマスクとして、エッチング処理を行って、絶縁膜125f、及び、犠牲層118B、118G、118Rの一部を除去する。これにより、犠牲層118B、118G、118Rそれぞれに開口が形成され、層133B、層133G、層133R、及び導電層123の上面が露出する。なお、絶縁層127及び絶縁層125と重なる位置に犠牲層118B、118G、118Rの一部が残存することがある(犠牲層119B、119G、119R参照)。
【0393】
エッチング処理は、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって行うことができる。なお、絶縁膜125fを、犠牲層118B、118G、118Rと同様の材料を用いて成膜していた場合、エッチング処理を一括で行うことができるため、好ましい。
【0394】
上記のように、絶縁層127、絶縁層125、犠牲層118B、犠牲層118G、及び、犠牲層118Rを設けることにより、各発光素子間において、共通層114及び共通電極115に、分断された箇所に起因する接続不良、及び局所的に膜厚が薄い箇所に起因する電気抵抗の上昇が発生することを抑制できる。これにより、本発明の一態様の表示装置は、表示品位を向上させることができる。
【0395】
続いて、絶縁層127、層133B、層133G、及び、層133R上に、共通層114、共通電極115をこの順で形成する(図18(F))。
【0396】
共通層114は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0397】
共通電極115の形成には、例えば、スパッタリング法または真空蒸着法を用いることができる。または、蒸着法で形成した膜と、スパッタリング法で形成した膜を積層させてもよい。
【0398】
以上のように、本発明の一態様の表示装置の作製方法では、島状の層133B、島状の層133G、及び島状の層133Rは、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、膜を一面に成膜した後に加工することで形成されるため、島状の層を均一の厚さで形成することができる。そして、高精細な表示装置または高開口率の表示装置を実現することができる。また、精細度または開口率が高く、副画素間の距離が極めて短くても、隣接する副画素において、層133B、層133G、及び、層133Rが互いに接することを抑制できる。したがって、副画素間にリーク電流が発生することを抑制することができる。これにより、クロストークに起因した意図しない発光を防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。
【0399】
また、隣り合う島状のEL層の間に、端部にテーパ形状を有する絶縁層127を設けることで、共通電極115の形成時に段切れが生じることを抑制し、また、共通電極115に局所的に膜厚が薄い箇所が形成されることを防ぐことができる。これにより、共通層114及び共通電極115において、分断された箇所に起因する接続不良、及び局所的に膜厚が薄い箇所に起因する電気抵抗の上昇が発生することを抑制できる。したがって、本発明の一態様の表示装置は、高精細化と高い表示品位の両立が可能となる。
【0400】
以上が、表示装置の作製方法例についての説明である。
【0401】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0402】
10:電子機器、11A:表示部、11B:表示部、11C:表示部、11D:表示部、11L:表示部、11R:表示部、11T:表示部、11:表示モジュール、12:筐体、13B:端子部、13C:回路部、13:非表示部、14:FPC、15a:回路部、15b:回路部、15c:回路部、15d:回路部、15e:回路部、15f:回路部、15:駆動回路、16G:領域、16G_1:領域、16G_2:領域、16S_1:領域、16S_2:領域、17S:領域、17:センサ、18:指、19:放熱板、20:バッテリ、30a:駆動回路、30b:駆動回路、30:駆動回路、31:シフトレジスタ回路、32:ラッチ回路、33:ラッチ回路、34:レベルシフタ回路、35:DAC回路、36:アナログバッファ回路、37:ソースフォロア回路、38:サンプリング回路、41:ラッチ回路部、42:レベルシフタ回路部、43:D-A変換部、44:アナログバッファ回路部、45:ソースフォロア回路部、46:デマルチプレクサ回路、60:液晶素子、100A:表示装置、100B:表示装置、100C:表示装置、100D:表示装置、104:導電層、106:絶縁層、107:導電層、108:半導体層、109:導電層、110:絶縁層、111B:画素電極、111G:画素電極、111R:画素電極、111:画素電極、112a:導電層、112b:導電層、113B:EL層、113G:EL層、113R:EL層、113:EL層、114:共通層、115:共通電極、117:遮光層、118B:犠牲層、118G:犠牲層、118R:犠牲層、119B:犠牲層、119G:犠牲層、123:導電層、124B:導電層、124G:導電層、124R:導電層、125f:絶縁膜、125:絶縁層、126B:導電層、126G:導電層、126R:導電層、127:絶縁層、128:層、130B:発光素子、130G:発光素子、130R:発光素子、131:保護層、132B:着色層、132G:着色層、132R:着色層、133B:層、133Bf:膜、133G:層、133R:層、140:接続部、142:接着層、144:接着層、151:基板、152:基板、153:絶縁層、162:表示部、164:回路部、165:配線、166:導電層、172:FPC、173:回路部、204:接続部、205B:トランジスタ、205D:トランジスタ、205G:トランジスタ、205R:トランジスタ、210B:副画素、210G:副画素、210R:副画素、210:画素、214:絶縁層、218:絶縁層、224:スペーサ、225:絶縁層、235:絶縁層、237:絶縁層、242:接続層、260a:偏光板、260b:偏光板、262:液晶、300:トランジスタ、311:基板、320:開口、321:半導体層、322:絶縁層、323:導電層、324:導電層、328:絶縁層、329a:絶縁層、329b:絶縁層、331:導電層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18