IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-洗濯機 図1
  • 特開-洗濯機 図2
  • 特開-洗濯機 図3
  • 特開-洗濯機 図4
  • 特開-洗濯機 図5
  • 特開-洗濯機 図6
  • 特開-洗濯機 図7
  • 特開-洗濯機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015588
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/10 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
D06F39/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117737
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】井上 益明
(72)【発明者】
【氏名】飛田 達成
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AA05
3B166AB06
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB32
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA48
3B166BA56
3B166CA02
3B166CA03
3B166CA04
3B166CA08
3B166CA17
3B166CA21
3B166CA24
3B166CB02
3B166CB12
3B166CB13
3B166CC02
3B166CC04
3B166CD02
3B166CD15
3B166DA04
3B166DB02
3B166DB08
3B166DB17
3B166DC03
3B166DC13
3B166DC23
3B166DC33
3B166DD01
3B166DD02
3B166DE01
3B166DE02
3B166DE06
3B166EA03
3B166EA12
3B166EB17
3B166EB24
3B166EC02
3B166EC13
3B166EC22
3B166EC40
3B166ED01
3B166ED02
3B166ED05
3B166EE01
3B166GA02
3B166GA14
(57)【要約】
【課題】異物トラップの取付性を悪化させることなく、糸くずの捕集を可能とする洗濯機を提供する。
【解決手段】筐体と、筐体に収容されて水を溜める外槽と、外槽に内包されて衣類を収容するドラムと、外槽内の洗濯水を排出する排水ホースと、外槽内の洗濯水をドラム内に戻す循環ポンプ20と、循環ポンプ20の上流に設けられて異物を捕集する異物トラップ40と、を備える。異物トラップ40は、異物を捕集する異物捕集部41cと、異物捕集部を着脱可能に収容するフィルタケース42と、を備える。異物捕集部41cの下面側収容部41c1の角度αは、フィルタケース42に対する異物捕集部41cの挿入角度βよりも小さい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に収容されて水を溜める外槽と、前記外槽に内包されて衣類を収容する内槽と、前記外槽内の洗濯水を排出する排水経路と、前記外槽内の洗濯水を前記内槽の内側に戻す循環ポンプと、前記循環ポンプの上流に設けられて異物を捕集する異物トラップと、を備え、
前記異物トラップは、異物を捕集する異物捕集部と、前記異物捕集部を着脱可能に収容する捕集ケースと、を備え、
前記異物捕集部の最下面の角度は、前記捕集ケースに対する前記異物捕集部の挿入角度よりも小さいことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記異物捕集部は、メッシュ状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記捕集ケースは、前記循環ポンプの駆動時に洗濯水を吸い込む吸込口を備え、
前記異物捕集部は、側面視において前記吸込口と重ならず、かつ当該異物捕集部の一部が当該吸込口の上方に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、循環ポンプを搭載したドラム式洗濯機において、循環ポンプのランナ部(羽根車)への異物詰まり抑制のために、循環経路の上流側には異物トラップを設ける構成が一般的であった。そして、この異物トラップは、糸くずや汚れも同時に絡めとれるように格子やクシなどで構成されているものが多い(特許文献1,2参照)。また、この異物トラップは、ドラム式洗濯機の下部に設置されており、使用者が取り外してお手入れする部品であるため、取り付け時の角度(取付性)にも一定の制約がある(例えば、約30°)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-56263号公報
【特許文献2】特開2018-153374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載のように、格子やクシなどの目の粗い捕集構成においては、細かい糸くずの捕集(蓄積)は難しく、衣類への再付着および排水することで洗濯運転を実施していた。衣類への再付着は、使用者からのクレームに直結する問題であり、糸くずの排水は排水トラップの詰まりによる排水不良に繋がる懸念があり対策が必要である。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、異物トラップの取付性を悪化させることなく、糸くずの捕集を可能とする洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体と、前記筐体に収容されて水を溜める外槽と、前記外槽に内包されて衣類を収容する内槽と、前記外槽内の洗濯水を排出する排水経路と、前記外槽内の洗濯水を前記内槽の内側に戻す循環ポンプと、前記循環ポンプの上流に設けられて異物を捕集する異物トラップと、を備え、前記異物トラップは、異物を捕集する異物捕集部と、前記異物捕集部を着脱可能に収容する捕集ケースと、を備え、前記異物捕集部の最下面の角度は、前記捕集ケースに対する前記異物捕集部の挿入角度よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異物トラップの取付性を悪化させることなく、糸くずの捕集を可能とする洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の洗濯機の内部を示す構成図である。
図2】循環ポンプ駆動時における洗濯水の流れを示す模式図である。
図3】糸くずフィルタ装置を示す斜視図である。
図4】フィルタ部の上面図である。
図5】糸くずフィルタ装置をフィルタ部の前後方向の途中で切断して手前側から見たときの断面図である。
図6】糸くずフィルタ装置をフィルタ部の左右方向の中央で切断して側方から見たときの断面図である。
図7】本実施形態のフィルタ部での排水時の糸くずの動きを示す模式図である。
図8】比較例のフィルタ部での排水時の糸くずの動きを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例もその範囲に含むものである。なお、以下では、図1に示す方向を基準にして説明する。また、図1の紙面に垂直な方向は左右方向である。
図1は、本実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機の内部を示す構成図である。
図1に示すように、ドラム式洗濯乾燥機(以下、洗濯機と略記する)100は、筐体1、筐体1に収容されて水を溜める外槽2と、外槽2に内包されて衣類を収容するドラム3(内槽)と、外槽2内の洗濯水をドラム3内に戻す循環ポンプ20と、循環ポンプ20の上流に設けられて異物(糸くず)を捕集する異物トラップ40と、を備える。
【0010】
筐体1は、ベース1hの上部に、主に鋼板と樹脂成形品で作られた側板(図示せず)及び補強材(図示せず)を組み合わせて骨格を構成し、さらにその上に樹脂成形品で作られた前面カバー1a、下部前面カバー1b、上面カバー1cを取り付けることで構成している。また、前面カバー1aには、洗濯物(衣類)を出し入れする際に開閉されるドア9が設けられている。
【0011】
ドア9は、樹脂製のドア枠9bに、ドアガラス9aを固定したものであり、ヒンジ(図示せず)によって筐体1に開閉自在に取り付けられている。また、ドア9は、ドア枠9bが筐体1に形成された円形の開口1sの周縁部に当接するようになっている。また、ドアガラス9aは、筐体1の開口1sよりも奥側(後側)に入り込むように凸形状を成すように構成されている。
【0012】
外槽2は、有底円筒状に形成され、下部に設けられた複数個のダンパ(図示せず)によって弾性支持されている。外槽2には、前面側に形成された前面開口(ドア9側)に外槽カバー4が取り付けられている。
【0013】
外槽カバー4は、後側が外槽2の前面開口と接続され、前側に洗濯物が出し入れされる円形の開口部4aが形成されている。また、外槽カバー4には、弾性体からなるゴム製のドアパッキン(ベローズともいう)10が取り付けられている。このドアパッキン10は、略円環状に形成され、奥側(後側)の開口縁部が外槽カバー4の開口部4aに取り付けられ、手前側(前側)の開口縁部が筐体1の開口1sの縁部に取り付けられている。ドア9を閉じることで、ドアガラス9aがドアパッキン10に密着し、外槽2とドア9との水密性を維持する役割をしている。これにより、洗い、すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。
【0014】
ドラム3は、有底円筒状に形成された洗濯物(衣類)を収容可能であり、前側に開口3aが位置している。また、ドラム3の開口3aの外周には、脱水時の洗濯物のアンバランスによる振動を低減するための、流体バランサ(図示せず)が設けられている。また、ドラム3の内側には、洗濯物を持ち上げる複数個のリフタ(図示せず)が設けられている。また、ドラム3は、ドラム駆動用のモータ(図示せず)に直結されている。また、ドラム3は、側壁である円筒部に遠心脱水および通風用の多数の小孔(図示せず)を有している。また、ドラム3の回転軸Oは、前側が後側よりも高くなるように傾斜している。なお、ドラム3の回転軸は、略水平となるように構成されていてもよい。
【0015】
また、外槽2の背部には、外槽2と送風ファン26(送風手段)とを接続する送風ダクト25(循環風路)が設けられている。送風ダクト25は、ドラム3内の洗濯物に気流を導くものであり、一端が外槽2の背面下部に接続されている。送風ファン26は、乾燥フィルタ27を介して送風ダクト25の他端と接続されている。また、送風ファン26および乾燥フィルタ27は、筐体1に固定されている。送風ファン26によって生成された風は、ヒータ28によって加熱された後に温風となって、吹出しノズル29からドラム3内に吐出される。洗濯物に吹き付けられた温風は、高温多湿の空気となって、送風ダクト25に吸い込まれ、送風ダクト25に設けられた水冷除湿機構(不図示)で冷却除湿されて低温空気となる。なお、ヒータ、水冷除湿機構の代わりにヒートポンプを用いてもよい。
【0016】
循環ポンプ20は、外槽2の下方に設けられ、筐体1のベース1h側に固定されている。洗濯水は、外槽2の下部に設けられた水受け部2a(図2参照)の排水口2bから配管21を通して異物トラップ40に送られる。また、排水口2bは、異物トラップ40と排水弁23を介して、排水ホース24(排水経路)に通じており、外槽2内の水を機外に排水できるようになっている。
【0017】
図2は、循環ポンプ駆動時における洗濯水の流れを示す模式図である。なお、図2には、排水経路については図示していない。
図2に示すように、循環ポンプ20は、電動機20aと羽根車20bとを備えて構成されている。洗い時やすすぎ時に電動機20aの駆動力によって羽根車20bが回転することで、矢印で示すように、外槽2の底部の排水口2bから洗濯水を吸込み、配管21、循環路31を通って外槽カバー4(図1参照)の上部からドラム3内へシャワー状に供給される。
【0018】
図3は、糸くずフィルタ装置を示す斜視図である。
図3に示すように、異物トラップ40は、糸くずを捕集するフィルタ部41と、フィルタ部41を着脱可能に収容するフィルタケース42(捕集ケース)と、を備えて構成されている。フィルタ部41にはつまみ部41aが形成され、つまみ部41aを一方向に回すことでフィルタ部41をフィルタケース42に取り付けることができ、つまみ部41aを他方向に回すことでフィルタ部41をフィルタケース42から取り外すことができるようになっている。なお、図3は、フィルタ部41がフィルタケース42に取り付けられた状態を示している。
【0019】
フィルタケース42は、フィルタ部41が装着される略円筒状の収容部42aと、外槽2(図1参照)から延びる配管21(図2参照)と接続される接続部42bと、排水ホース24(図1参照)と接続される接続部42c(図6参照)と、を備えている。また、フィルタケース42の側面には循環ポンプ20が取り付けられている。
【0020】
循環ポンプ20は、羽根車20b(図2参照)が収容される羽根車ケース20cを有する。この羽根車ケース20cには、循環路31(図2参照)と接続される接続部20dが形成されている。また、羽根車ケース20cは、フィルタケース42の収容部42aの側面と連通するように構成されている。
【0021】
図4は、フィルタ部の上面図である。
図4に示すように、フィルタ部41は、フィルタケース42の収容部42a(図3参照)に挿入される略円筒形状の基部41bと、この基部41bから奥側(後方)に延びる異物捕集部41cと、を備えている。また、基部41bには、フィルタ部41がフィルタケース42に取り付けられたときに、フィルタケース42とフィルタ部41との隙間から洗濯水が漏れ出るのを防止する環状のパッキン(シール部材)41dが設けられている。
【0022】
異物捕集部41cは、糸くずなどの異物を捕集するものであり、下面側捕集部41c1と、下面側捕集部41c1の左右縁部から起立する一対の側面側捕集部41c2,41c2と、下面側捕集部41c1の前端縁部から起立して、側面側捕集部41c2と接続される前面部41c3と、を有し、上面が矩形状に開放した凹形状を有している。
【0023】
下面側捕集部41c1および左右の側面側捕集部41c2は、例えば金属製のメッシュ部材がインサート成形によって一体に構成されている(側面側捕集部41c2のメッシュ形状については、図6を参照)。なお、メッシュとは、主に糸くずを捕捉可能な目開きのものである。また、メッシュ部材は、金属製に限定されず、化学繊維を網状にしたものであってもよい。
【0024】
前面部41c3は、メッシュ部材が設けられておらず、孔の空いていない壁になっている。また、前面部41c3に対向する基部41bの壁面41b1も孔の空いていない壁になっている。
【0025】
図5は、糸くずフィルタ装置をフィルタ部の前後方向の途中で切断して手前側から見たときの断面図である。なお、図5は、フィルタ部41を水平にした状態を図示している。また、図5は、電動機20aおよび羽根車20bの図示を省略している。
図5に示すように、フィルタケース42は、フィルタ部41の上方に、接続部42bからの洗濯水が流入する断面視扇形状の流入部43が形成されている。また、フィルタケース42は、フィルタ部41の下方に、フィルタ部41を通過した洗濯水が流出する流出部44が形成されている。また、流出部44は、接続部42cと連通している。また、流出部44は、吸込口42dを介して羽根車ケース20cと連通している。
【0026】
フィルタ部41は、側面側捕集部41c2とフィルタケース42の側面42eとの間に若干の隙間42fが形成されている。また、側面側捕集部41c2は、上端から下端に向けて隙間42fが広くなるように傾斜している。
【0027】
図6は、糸くずフィルタ装置をフィルタ部の左右方向の中央で切断して側方から見たときの断面図である。
図6に示すように、異物トラップ40は、フィルタケース42の接続部42b,42cが前後方向に延びて水平になるように筐体1(図1参照)内に配置される。また、接続部42bは、接続部2cの上方に位置している。また、接続部42b,42cは、同じ方向(後方)に延びて形成されている。また、異物トラップ40は、フィルタケース42の収容部42aが手前側(前側)が奥側(後側)よりも高くなるように傾斜している。また、異物トラップ40は、筐体1の下部に設置されるので、フィルタ部41が上向きに所定角度(例えば、30°)において配置され、利用者はフィルタ部41の着脱の操作性が損なわれることがない。つまり、異物トラップ40は、フィルタ部41の着脱方向(挿入角度)が80°、90°のような角度や、0°、10°のような角度にならないように利用者が操作し易い角度に設定されている。
【0028】
また、異物トラップ40は、フィルタ部41がフィルタケース42の収容部42aに挿入されることで、フィルタ部41が手前側(前側)が奥側(後側)よりも高くなるように傾斜して配置される。このとき、フィルタ部41の下面側捕集部41c1は、フィルタ部41の挿入角度よりも小さくなるように配置される。すなわち、下面側捕集部41c1は、フィルタ部41(異物捕集部41c)の最下面であり、水平面Sに対して角度α(異物捕集部の最下面の角度)となるように配置されている。例えば、角度αは、20°である。また、フィルタ部41は、フィルタケース42に対する挿入角度が、水平面Sに対して挿入角度β(異物捕集部の挿入角度)となるように配置されている。例えば、挿入角度βは、30°である。このように、フィルタ部41の下面側捕集部41c1の角度α(異物捕集部の最下面の角度)は、フィルタケース42に対する異物捕集部41cの挿入角度βよりも小さくなるように構成されている。なお、角度αは、異物捕集部41cでの異物捕集量を損なうことがない範囲において適宜設定される。
【0029】
また、フィルタケース42の収容部42aの側面には、循環ポンプ20に通じる吸込口42dが形成されている。この吸込口42dは、例えば円形状の孔であり、図6の側面視(吸込口42dの軸方向からの側面視)において、異物捕集部41cと重ならない位置に配置されている。換言すると、異物捕集部41cの一部は、吸込口42dの上方に位置している。なお、本実施形態では、異物捕集部41cの一部が吸込口42dの上方に位置しているが、異物捕集部41cの全体が吸込口42dの上方に位置していてもよい。
【0030】
また、接続部42bは、軸方向が水平となるように管状に形成され、収容部42aの上部に連通している。また、接続部42bの収容部42aに対する開口部42b1は、前方の延長線上に基部41bの壁面41b1が位置している。また、接続部42cは、軸方向が水平となるように管状に形成され、収容部42aの下部に連通している。また、接続部42cの収容部42aに対する開口部42c1は、該開口部42c1の上部が前面部41c3に対向している。
【0031】
このように構成された異物トラップ40では、洗い又はすすぎ工程において、循環ポンプ20が駆動(ON)すると、外槽2内に貯水した水(洗濯水)が接続部42bからフィルタ部41の異物捕集部41cに導入される。洗濯水に同伴する糸くずなどの異物は、異物捕集部41cで捕集、蓄積され、洗濯水が異物捕集部41cのメッシュ部分から流出部44に抜け出る。そして、洗濯水は、吸込口42dから吸い込まれ、循環ポンプ20によって循環路31(図2参照)を通ってドラム3内に向けて吐出される。そして、洗い、すすぎが終了すると、循環ポンプ20の停止後、排水弁23(図1参照)が開弁され、洗濯水が接続部42c、排水ホース24(図1参照)を通って、洗濯機100の外部の排水口に排出される。
【0032】
図7は、本実施形態のフィルタ部での排水時の糸くずの動きを示す模式図である。図8は、比較例のフィルタ部での排水時の糸くずの動きを示す模式図である。なお、図8のフィルタ部もメッシュである。
図7の上図に示すように、洗いやすすぎにおける循環ポンプ20の駆動時、接続部42bから異物捕集部41cに導入された洗濯水は、例えば、フィルタ部41の壁面41b1に当たって異物捕集部41cの壁面41b1側(根本側)に異物50(糸くず)が蓄積される。また、排水前は、水面60が異物トラップ40よりも上部に位置しており、異物トラップ40が完全に水没した状態である。
【0033】
図7の下図に示すように、排水弁23(図1参照)が開弁されて洗濯水が排水されると、洗濯水の水面60が洗濯機100の設置面(床面)に平行な状態を保ちながら徐々に低下する。このとき、異物捕集部41cに捕集、蓄積された異物50(糸くず)は、水面60の低下とは切り離されて、異物50が異物捕集部41cの根本側の壁面41b1側(上部側)に留まることができる。これは、異物捕集部41cの下面側捕集部41c1の角度αが異物捕集部41cの挿入角度βよりも小さいためである。
【0034】
一方、比較例として、図8の上図に示す異物トラップ200は、フィルタケース110と、このフィルタケース110に装着されるフィルタ部と、を備えている。フィルタ部の異物捕集部120の下面側捕集部120aの角度α100は、異物捕集部120の挿入角度β100と同じ(例えば、30°)である。このように構成された比較例としての異物トラップ200では、図8の上図に示すように、異物トラップ200が水没している場合、異物捕集部120の下面側捕集部120aの根本側(図示右側)に異物50が捕集、蓄積される。そして、排水弁が開弁されて洗濯水が排水されると、洗濯水の水面60が洗濯機100の設置面(床面)に平行な状態を保ちながら徐々に低下する。このとき、図8の下図に示すように、異物捕集部120に蓄積された異物50は、水面60の低下とともに異物捕集部120の奥側(図示左側)に流れ、矢印で示すように、最終的に異物捕集部120の外側に洗濯水とともに流れ出て、排水ホースを通って機外に排出される。このため、異物が排水トラップに詰まって、排水トラップのつまりの原因となるおそれがある。
【0035】
また、異物トラップ200では、異物捕集部120が側面視において循環ポンプの吸込口110aと重なる位置に配置されている。このため、洗濯水が異物捕集部120の側面から吸われ、異物捕集部120から流れ出て、吸込口110aから異物50が流れるおそれがある。そこで、本実施形態では、図6に示すように、側面視において異物捕集部41cが吸込口42dと重ならないように、かつ、異物捕集部41cの一部が吸込口42dの上方に位置するように配置した。これにより、洗濯水が主に異物捕集部41cの下面(下面側捕集部41c1)を通って吸込口42dに流れるようにできるため、異物50を異物捕集部41cに確実に捕集、蓄積させることができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の洗濯機100は、筐体1と、筐体1に収容されて水を溜める外槽2と、外槽2に内包されて衣類を収容するドラム3と、外槽2内の洗濯水を排出する排水ホース24と、外槽2内の洗濯水をドラム3の内側に戻す循環ポンプ20と、循環ポンプ20の上流に設けられて異物50を捕集する異物トラップ40と、を備える。異物トラップ40は、異物50を捕集する異物捕集部41cと、異物捕集部41cを着脱可能に収容するフィルタケース42と、を備える。異物捕集部41cの下面側捕集部41c1(最下面)の角度αは、フィルタケース42に対する異物捕集部41cの挿入角度βよりも小さい(図6図7参照)。これによれば、排水時に異物捕集部41cに異物(糸くず)50を留まらせることができ、異物50の機外への排出を抑えて、排水トラップの詰まりを抑制できる。また、異物捕集部41cの挿入角度βは、従来と同様の角度に設定できるので、利用者による着脱の操作性が損なわれることはない。
【0037】
また、本実施形態では、異物捕集部41cは、メッシュ状に構成されている。これによれば、格子状やくし歯状の異物捕集部よりも、細かい糸くず(異物)を捕集することができる。
【0038】
また、本実施形態では、フィルタケース42は、循環ポンプ20の駆動時に洗濯水を吸い込む吸込口42dを備え、異物捕集部41cは、側面視において吸込口42dと重ならず、かつ当該異物捕集部41cの一部が当該吸込口42dの上方に位置する。これによれば、異物捕集部41cの側面から吸われるのを抑えて、異物捕集部41c内に異物50を確実に捕集させることができる。
【0039】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、本実施形態では、ドラム式の洗濯乾燥機を例に挙げて説明したが、乾燥機能を備えていないドラム式洗濯機に適用することもできる。また、本実施形態では、フィルタ部41をねじ込むように回してフィルタケース42に取り付ける構成のものを例に挙げて説明したが、フィルタ部41をねじ込んで取り付ける構成でなくてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 筐体
2 外槽
3 ドラム(内槽)
4 外槽カバー
20 循環ポンプ
20a 電動機
20b 羽根車
20c 羽根車ケース
20d 接続部
23 排水弁
24 排水ホース(排水経路)
40 異物トラップ
41 フィルタ部
41a つまみ部
41b 基部
41b1 壁面
41c 異物捕集部
41c1 下面側捕集部
41c2 側面側捕集部
41c3 前面部
42 フィルタケース(捕集ケース)
42a 収容部
42b,42c 接続部
42d 吸込口
50 異物
60 水面
100 ドラム式洗濯乾燥機(洗濯機)
α 角度(異物捕集部の最下面の角度)
β 挿入角度(異物捕集部の挿入角度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8