(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155889
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】人工関節およびこれを備えたシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61F2/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024068379
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】10 2023 110 011.4
(32)【優先日】2023-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】521389815
【氏名又は名称】エースクラップ・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Aesculap AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ボリンガー,アルトゥール
(72)【発明者】
【氏名】レンツェンフーバー,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ベルナ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC01
4C097EE08
4C097SC07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生体内での関節負荷の測定を可能にする人工関節を提供する。
【解決手段】人工関節(10)は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料などのプラスチックで少なくとも部分的に作られているか、又は、該プラスチックを含む。人工関節(10)は、人工関節(10)の摺動面に作用する圧縮力などの力を検知するための圧力センサなどの少なくとも1つのセンサデバイスと、前記少なくとも1つのセンサデバイスによって検知されたデータを取得するための電子的手段と、前記少なくとも1つのセンサデバイス及び前記電子的手段にエネルギーを供給するためのエネルギー供給デバイスと、を備える。前記少なくとも1つのセンサデバイスは、人工関節(10)内、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料などのプラスチック内に、埋め込まれている。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に人工膝関節などの人工関節(10)であって、
前記人工関節(10)は、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料などのプラスチックで少なくとも部分的に作られているか、又は、該プラスチックを含んでおり、
前記人工関節(10)は、
前記人工関節(10)の摺動面に作用する特に圧縮力などの力を検知するための特に圧力センサなどの少なくとも1つのセンサデバイス(36)と、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)によって検知されたデータを取得するための電子的手段(34,54)と、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)及び前記電子的手段(34,54)にエネルギーを供給するためのエネルギー供給デバイス(44,56)と、を備え、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)は、前記人工関節(10)内、特に、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料などのプラスチック内に、埋め込まれている、
人工関節。
【請求項2】
前記エネルギー供給デバイス(44,56)の全部若しくは一部、及び/又は、前記電子的手段(34,54)の全部若しくは一部は、前記人工関節(10)内、特に、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料などのプラスチック内に、埋め込まれている、
請求項1に記載の人工関節。
【請求項3】
前記エネルギー供給デバイス(44,56)は、エネルギー貯蔵部(44)と、特に電磁誘導充電のための手段などの、前記エネルギー貯蔵部(44)を充電するための手段(56)と、を備える、
請求項1または請求項2に記載の人工関節。
【請求項4】
前記人工関節(10)は、特に前記電子的手段(34)において、データ送信デバイスを備え、
前記データ送信デバイスは、特に外部の受信デバイスに、無線でデータを送信可能に構成されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の人工関節。
【請求項5】
前記人工関節(10)は、人工膝関節(10)であるか、又は、人工膝関節(10)の少なくとも一部を形成し、
前記人工関節(10)は、例えば大腿骨コンポーネント(12)、脛骨コンポーネント、又は半月板コンポーネントなどの、少なくとも1つの第1の関節コンポーネント(12)であるか、又は、該少なくとも1つの第1の関節コンポーネント(12)を含む、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の人工関節。
【請求項6】
前記第1の関節コンポーネントは大腿骨コンポーネント(12)であり、前記大腿骨コンポーネント(12)は、少なくとも1つの大腿骨顆部(18,20)を備え、
前記人工関節(10)の摺動面に作用する力を検知するための前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)が、前記大腿骨顆部(18,20)の遠位領域(38)に設けられ、
前記大腿骨顆部(18,20)は、大腿骨関節面(14,16)を備え、
前記大腿骨関節面(14,16)は、前記人工関節(10)の摺動面を形成しており、前記大腿骨顆部(18,20)の前記遠位領域(38)において前記大腿骨関節面(14,16)に作用する力が、前記センサデバイス(36)によって検知可能である、
請求項5に記載の人工関節。
【請求項7】
前記第1の関節コンポーネントは大腿骨コンポーネント(12)であり、前記大腿骨コンポーネント(12)は、少なくとも1つの膝蓋後部のスライド溝状のトロクリア領域(32)を備え、
前記エネルギー供給デバイス(44,56)の少なくとも一部は、前記トロクリア領域(32)に設けられている、
請求項5または請求項6に記載の人工関節。
【請求項8】
前記第1の関節コンポーネントは大腿骨コンポーネント(12)であり、前記大腿骨コンポーネント(12)は、少なくとも1つの大腿骨顆部(18,20)及び/又は少なくとも1つのトロクリア領域(32)を備え、
前記人工関節(10)の摺動面に作用する力を検知するための前記センサデバイス(36)又は別のセンサデバイス(36)が、前記大腿骨顆部(18,20)の後部領域(24)及び/又は前記トロクリア領域(32)に設けられている、
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の人工関節。
【請求項9】
前記人工関節(10)は、
特にC反応性タンパクを検知することによって、前記人工関節(10)における感染および/または前記人工関節(10)の移植領域における感染を検出するための少なくとも1つのセンサデバイス(58)、及び/又は、
温度を検知するための少なくとも1つのセンサデバイス(60)、及び/又は、
加速度を検知するための少なくとも1つのセンサデバイス(62)、を備える、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の人工関節。
【請求項10】
前記人工関節(10)は、骨空洞に挿入可能なシャフト(64)を備え、
前記エネルギー供給デバイス(44,56)の全部若しくは一部、及び/又は、前記電子的手段(34,54)の全部若しくは一部は、前記シャフト(68)内に配置されている、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の人工関節。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の人工関節(10)を用いて、前記人工関節(10)の摺動面に作用する特に圧縮力などの力を検知するための方法であって、
前記人工関節(10)の摺動面に作用する特に圧縮力などの力が、特に圧力センサ(36)などの前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)によって検知され、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)によって検知されたデータが、前記電子的手段(34,54)によって取得され、
前記エネルギー供給デバイス(44,56)によって、前記センサデバイス(36)及び前記電子的手段(34,54)にエネルギーが供給され、
前記人工関節(10)内、特に、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料などのプラスチック内に前記センサデバイス(36)が埋め込まれている、
方法。
【請求項12】
前記検知されたデータは、前記データ送信デバイスによって送信され、
前記データ送信デバイスによって送信されたデータに基づいて、表示デバイス(68)によって表示可能な情報の項目が提供される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記人工関節(10)の電子機器(34)は、非アクティブモード及びアクティブモードで動作可能であり、
前記非アクティブモードと前記アクティブモードとの間の切り替えは、加速度センサ(62)によって検知されたデータに従って実行される、
請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の人工関節(10)と、
前記人工関節(10)によって検知されたデータに基づいた情報の項目を表示するための表示デバイス(68)と、
を備えるシステム。
【請求項15】
コンピュータプログラムを有するコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータプログラムは、
演算装置での実行によって、前記人工関節(10)によって検知されたデータに基づいた情報の項目を、請求項14に記載のシステムの前記表示デバイス(68)に表示させる、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に人工膝関節などの人工関節に関する。
【背景技術】
【0002】
人工関節、特に人工膝関節は、先行技術から知られている。従来技術から、例えば手術中または実際のプロテーゼ(人工関節)の移植前に、患者の関節領域に一時的に移植される器具または移植コンポーネント(移植部品)も、先行技術から知られている。例えば、特許文献1(国際公開第2021/014313号)は、スペーサコンポーネント(スペーサ部品)を開示している。該スペーサコンポーネントは、人工関節の交換のため、及び、新しい人工関節の移植前に患者の関節領域の寸法または空間を保存するために、関節領域に一時的に移植されることを目的としたものである。該スペーサコンポーネントは、例えば、一時的な期間中のデータ(例えば、温度)の検知を可能にする種々のセンサを備える。
【0003】
本発明の目的は、生体内での関節負荷の測定を可能にする人工関節を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する人工関節によって達成される。請求項1によれば、前記人工関節は、特にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料などのプラスチックで少なくとも部分的に作られているか、又は、該プラスチックを含んでいる。
【0006】
ここで、選択されるプラスチックは、生体適合性プラスチックであることが好ましい。有利には、ヒトの骨の弾性率と非常に類似しているか又はほぼ同一の弾性率を有するプラスチックが選択される。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、上記と同様の弾性率を有する。これにより、荷重下で関節に作用する力が、ひずみなくセンサデバイスに伝達され得る。このことは、例えば金属インプラントの場合には容易になし得ない。金属の弾性率は、ヒトの骨の弾性率とは大きく異なる。
【0007】
さらに、前記人工関節は、前記人工関節の摺動面に作用する力(特に、圧縮力)を検知するための少なくとも1つのセンサデバイス(特に、圧力センサ)と、前記少なくとも1つのセンサデバイスによって検知されたデータを取得するための電子的手段と、前記少なくとも1つのセンサデバイス及び前記電子的手段にエネルギー(電力)を供給するためのエネルギー供給デバイスと、を備える。前記人工関節の摺動面に作用する力(特に、荷重下で作用する力)を検知するための前記センサデバイス(特に、圧力センサ)は、例えば、ばね体の力センサであってもよい。この場合、前記ばね体の変形は、ひずみゲージ式または圧電式の力センサによって検知され、センサの材料(圧電材料)が変形するときに電圧が検知され得る。
【0008】
前記電子的手段は、例えば、センサデバイスによって検知されたデータを記憶(特に、一時的に記憶)するメモリデバイス(データ記憶部)、及び/又は、記憶されたデータ(検知されたデータ)を送信するデータ送信デバイスを備える。前記電子的手段は、例えば、センサデバイス及び/又はメモリデバイス及び/又はデータ送信デバイスの間で検知データを送信するために、センサデバイス及び/又はメモリデバイス及び/又はデータ送信デバイスの間における電子接続部(電子接続手段)を備える。前記エネルギー供給デバイスは、例えば、エネルギー貯蔵部(特に、例えば電池または蓄電池など、充電可能なエネルギー貯蔵部)であり、任意選択で、エネルギー貯蔵部をセンサデバイスに接続するための電気接続部が設けられる。
【0009】
本発明によれば、前記少なくとも1つのセンサデバイスが、前記人工関節内、特にプラスチック(特に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料)内に、埋め込まれることが提供される。例えば、前記センサデバイスが挿入されるように対応するキャビティ(空洞)が前記人工関節に設けられる。例えば、前記キャビティは、例えば射出成形および/または3Dプリントによって、前記人工関節の製造中に提供(形成)される。あるいは、前記人工関節の射出成形中または3Dプリント中にすでに、前記センサデバイスが前記人工関節に一体化(いわば、前記プラスチックに成形、且つ/又は、前記プラスチックでオーバーモールド)されてもよい。
【0010】
このようにして、作用力が検知される人工関節の摺動面の領域に前記センサデバイスが設けられ得る。ヒトの骨の弾性率と非常に類似しているか又はほぼ同一の弾性率を有する人工関節のプラスチック材料により、荷重下で人工関節の摺動面に作用する力が、ひずみなく直接的にセンサデバイスに伝達されて、センサデバイスによって検知され得る。
【0011】
また、前記エネルギー供給デバイスの全部若しくは一部、及び/又は、前記電子的手段の全部若しくは一部は、前記人工関節内、特にプラスチック(特に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料)内に、埋め込まれていると、有利になり得る。例えば、この目的のために、対応するキャビティが設けられる。例えば、人工関節の射出成形中に、既に、対応する部品が人工関節に一体化(いわば、成形)されてもよい。
【0012】
有利な実施形態によれば、前記エネルギー供給デバイスは、エネルギー貯蔵部と、前記エネルギー貯蔵部を充電するための手段(特に、電磁誘導充電のための手段)と、を備える。例えば、電磁誘導充電のための手段は、受電コイルを備え、この場合、受電コイルには、患者の身体の外側に近接され得る送電コイルによって、電圧が誘導され得る。このようにして、エネルギー貯蔵部は、特に必要に応じて、充電され得る。
【0013】
有利な実施形態によれば、前記人工関節(特に、前記人工関節の前記電子的手段)は、データ送信デバイスを備え、前記データ送信デバイスは、特に外部の受信デバイスに、無線(ワイヤレス)でデータを送信可能に構成される。このような無線(ワイヤレス)でのデータ送信は、例えば、Bluetooth(登録商標)又はNFCに基づくデータ送信によって行われる。データは、例えば、携帯無線デバイスに送信される。
【0014】
このデータは、研究及び科学の目的、並びに、さらなる開発のために利用され得る。作用する力に関するデータ、及び、任意の更なるデータは、さらなる開発や、(例えば、人工関節の異常や破損の場合における)原因究明に利用され得る。
【0015】
好ましい実施形態によれば、前記人工関節は、人工膝関節であるか、又は、人工膝関節の少なくとも一部を形成する。前記人工関節は、少なくとも1つの第1の関節コンポーネント(例えば、大腿骨コンポーネント、脛骨コンポーネント、又は半月板コンポーネントなど)であるか、又は、該少なくとも1つの第1の関節コンポーネントを含む。また、前記人工関節は、大腿骨コンポーネント、脛骨コンポーネント、及び、半月板コンポーネント(特に、脛骨コンポーネント上に成形された半月板コンポーネント)を備えてもよい。有利なことに、少なくとも大腿骨コンポーネントは、プラスチック(特に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料)からなる。
【0016】
前記人工関節の前記第1の関節コンポーネントは、例えば、大腿骨コンポーネントであり、前記大腿骨コンポーネントは、少なくとも1つの大腿骨顆部を備える。前記大腿骨顆部の遠位領域には、前記人工関節の摺動面に作用する力を検知するための前記少なくとも1つのセンサデバイスが設けられる。前記大腿骨顆部は、大腿骨関節面を備え、前記大腿骨関節面は、前記人工関節の摺動面を形成しており、前記大腿骨顆部の前記遠位領域において前記大腿骨関節面に作用する力が、前記センサデバイスによって検知可能である。片側表面置換の場合、大腿骨コンポーネントは、大腿骨の外側顆部または内側顆部のいずれか一方を備える。全置換術の場合、大腿骨コンポーネントは、大腿骨の外側顆部および内側顆部を備える。この場合、大腿骨顆部の対応する遠位領域に、少なくとも1つのセンサデバイスが設けられる。膝関節では、脛骨と大腿骨との間での力の伝達は、大腿骨の内側顆部と外側顆部とを介して行われる。両側にセンサが設けられることで、作用する力は、それぞれの顆部で個別に検知され得る。
【0017】
前記大腿骨コンポーネントは、例えば、膝蓋後部のスライド溝状のトロクリア領域(滑車溝領域)を備える。前記エネルギー供給デバイスの少なくとも一部(例えば、電磁誘導充電のための受電コイル)は、前記トロクリア領域に設けられると有利である。これにより、患者の身体の外側に近接され得る送電コイルが、受電コイルに比較的近接され得る。
【0018】
前記人工関節の前記第1の関節コンポーネントは、例えば大腿骨コンポーネントであり、前記大腿骨コンポーネントは、少なくとも1つの大腿骨顆部及び/又は少なくとも1つのトロクリア領域を備える。有利には、前記人工関節の摺動面に作用する力を検知するための前記センサデバイス又は別のセンサデバイスが、前記大腿骨顆部の後部領域及び/又は前記トロクリア領域に設けられてもよい。大腿骨顆部の後部領域では、膝関節の屈曲時(例えば、階段昇降時)に患者の大腿骨関節面に比較的大きな力が作用する。トロクリア領域では、トロクリア領域と膝蓋骨との間の表面に作用する力(「膝蓋骨圧」ともいう)が測定され得る。膝蓋骨圧の値は、人工関節の位置決めの正否を示す。基本的に、今日に至るまで、膝蓋骨圧や圧力プロファイルに関する研究はほとんどなされていない。本発明で検知されるデータは、研究や科学にとって重要な知見を提供し得る。例えば、当該データは、人工関節の改良に役立ち得る。
【0019】
前記人工関節は、特にC反応性タンパクを検知することによって前記人工関節における感染および/または前記人工関節の移植領域における感染を検出するための少なくとも1つのセンサデバイス、及び/又は、温度を検知するための少なくとも1つのセンサデバイス、及び/又は、加速度を検知するための少なくとも1つのセンサデバイス、を備えてもよい。CRPセンサにより、例えば、C反応性タンパクの存在または濃度を検知することが可能である。C反応性タンパクは感染を示し得る。温度センサにより、例えば温度が検知される。体温の上昇は、同様に感染を示すことがある。
【0020】
加速度センサは、例えば、動作または加速度を検知する。例えば、加速度センサによって検知されたデータは、人工関節の電子機器を非アクティブモード及びアクティブモードで作動させるために使用され、電子機器は、加速度センサによって検知されたデータに従って、非アクティブモードとアクティブモードとの間で切り替えられ得る。例えば、アクティブモードは、動作/加速度の検知に基づいて作動(始動)され得る。アクティブモードにおいて、データは、例えば、圧力センサによって、さらに任意で、存在する別のセンサ(例えば、CRPセンサ、温度センサ)によって、またさらに任意で、追加の圧力センサによって検知され、任意で、データ送信デバイスによって送信される。例えば、加速度センサは、マイクロムーブメント(微小動き)とも呼ばれる、非常に小さく、ほとんど目に見えない動きも検出可能である。このようなマイクロムーブメントは、例えば、人工関節の意図しない緩みを示す。
【0021】
例えば、所定期間にわたって、動作/加速度が検出されない場合、非アクティブモードが作動(始動)され得る。非アクティブモードでは、圧力センサによって、また任意で、存在する別のセンサ(例えば、CRPセンサ、温度センサ)によって、またさらに任意で、追加の圧力センサによってデータは検知されず、また、データは送信されない。
【0022】
前記人工関節は、骨空洞に挿入可能なシャフトを備え、前記エネルギー供給デバイスの全部若しくは一部、及び/又は、前記電子的手段の全部若しくは一部は、前記シャフト内に配置されてもよい。
【0023】
さらなる実施形態は、上述の実施形態に係る人工関節を用いて、前記人工関節(10)の摺動面に作用する力(特に、圧縮力)を検知するための方法に関する。本方法は、前記人工関節の摺動面に作用する力(特に、圧縮力)が、前記少なくとも1つのセンサデバイス(特に、圧力センサ)によって検知され、前記少なくとも1つのセンサデバイスによって検知されたデータが、前記電子的手段によって取得され、前記エネルギー供給デバイスによって、前記センサデバイス及び前記電子的手段にエネルギー(電力)が供給され、前記人工関節内、特にプラスチック(特に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料)内に前記センサデバイスが埋め込まれることを提供する。
【0024】
前記データは、研究及び科学目的、並びに、さらなる開発のために提供され得る。作用する力に関するデータ、及び、任意の更なるデータは、さらなる開発や、(例えば、人工関節の異常や破損の場合における)原因究明に利用され得る。
【0025】
本方法の一実施形態によれば、前記検知されたデータは、データ送信デバイスによって送信され、前記データ送信デバイスによって送信されたデータに基づいて、表示デバイスによって表示可能な情報の項目が提供される。表示可能な情報の項目は、例えば、患者に情報を提供し得る。
【0026】
本方法の一実施形態によれば、前記人工関節の電子機器は、非アクティブモード及びアクティブモードで動作可能であり、前記非アクティブモードと前記アクティブモードとの間の切り替えは、加速度センサによって検知されたデータに従って実行される。アクティブモードは、動作/加速度の検知に基づいて作動(始動)され得る。アクティブモードにおいて、データは、例えば、圧力センサによって、さらに任意で、存在する別のセンサ(例えば、CRPセンサ、温度センサ)によって、またさらに任意で、追加の圧力センサによって検知され、任意で、データ送信デバイスによって送信される。
【0027】
例えば、所定期間にわたって、動作/加速度が検出されない場合、非アクティブモードが作動(始動)される。非アクティブモードでは、圧力センサによって、また任意で、存在する別のセンサ(例えば、CRPセンサ、温度センサ)によって、またさらに任意で、追加の圧力センサによってデータは検知されず、また、データは送信されない。
【0028】
さらなる実施形態は、上述の実施形態に係る人工関節と、前記人工関節によって検知されたデータに基づいた情報の項目を表示するための表示デバイスと、を備えるシステムに関する。前記表示デバイスは、例えば、前記人工関節からデータを受信する携帯無線デバイスのディスプレイである。
【0029】
さらなる実施形態は、コンピュータプログラムを有するコンピュータプログラム製品に関し、前記コンピュータプログラムは、演算装置(コンピュータデバイス)での実行によって、前記人工関節によって検知されたデータに基づいた情報の項目を、システムの表示デバイスに表示させる。前記演算装置は、例えば、前記人工関節からデータを受信する携帯無線デバイスのプロセッサである。
【0030】
さらなる実施形態は、上述の実施形態に係る人工関節(特に、例えば大腿骨コンポーネント又は脛骨コンポーネントなどの人工膝関節)を製造するための製造方法に関する。本製造方法は、射出成形プロセス又は3Dプリントプロセスを備えることが提供される。前者の場合、射出成形プロセスにおいて少なくとも1つのセンサデバイスがプラスチック(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料)でオーバーモールドされ、後者の場合、3Dプリントプロセスにおいて少なくとも1つのセンサデバイスがプラスチック(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料)に埋め込まれる。すなわち、センサデバイスは、人工関節の成形製造工程において直接埋め込まれるのが有利である。特に、人工関節の成形製造工程の後には、センサデバイスが人工関節内に埋め込まれたり人工関節に取り付けられたりすることはない。
【0031】
以下の説明および添付図面において、さらなる利点が見出される。本発明の実施の形態は、添付図面に示されており、以下の説明においてより詳細に説明される。この場合、異なる図面における同じ参照符号は、同じ要素または少なくとも機能的に同等の要素を示す。個々の図面の説明において、他の図面の要素が参照されることもある。各図には、以下のものが概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1a】本発明に係る第1の実施形態の人工関節を示す図である。
【
図2a】本発明に係る
図1a~
図1cの人工関節における関節本体を形成する部分を示す図である。
【
図2b】同人工関節における関節本体を形成する部分を示す別の図である。
【
図4】同人工関節の
図3の電子コンポーネントの一部を示す分解斜視図である。
【
図5a】本発明に係る第2の実施形態の人工関節を示す図である。
【
図6a】本発明に係る第3の実施形態の人工関節を示す図である。
【
図7】
図6a及び
図6bの人工関節の電子コンポーネントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1a~
図1cは、本発明に係る人工関節を示す。該人工関節には、全体として参照符号10が付されている。本実施形態において、人工関節10は、人工膝関節である。本実施形態において、人工膝関節10は、大腿骨に固定可能な大腿骨コンポーネント12を備える。また、人工膝関節10は、図示しない脛骨コンポーネント及び半月板コンポーネント(特に、脛骨コンポーネント上に形成された半月板コンポーネント)も備えてもよい。
【0034】
本実施形態において、大腿骨コンポーネント12は、内側大腿骨関節面14と外側大腿骨関節面16とを備える。内側大腿骨関節面14及び外側大腿骨関節面16は、大腿骨コンポーネント12の2つの大腿骨顆部18,20(内側顆部18及び外側顆部20)の外面を形成している。具体的に、内側大腿骨関節面14は、内側顆部18の外面を形成し、外側大腿骨関節面16は、外側顆部20の外面を形成している。内側大腿骨関節面14及び外側大腿骨関節面16は、半月板コンポーネントの半月板関節面と協働するように対応して又は実質的に対応して構成されている。
【0035】
内側大腿骨関節面14及び外側大腿骨関節面16は、それぞれ球面の一部を形成していてもよい。内側大腿骨関節面14は、半月板関節面との着座状態において互いに摺動可能且つ/又は転動可能なように構成されている。同様に、外側大腿骨関節面16は、半月板関節面との着座状態において互いに摺動可能且つ/又は転動可能なように構成されている。
【0036】
本実施形態において、内側顆部18と外側顆部20との後端24間に安定化要素22が設けられている。安定化要素22は、内側顆部18の後端24と外側顆部20との後端24とを内外方向(横方向)に互いに接続する。内側顆部18の前端26と外側顆部20との前端26とは、互いに対して直接接続されている。これにより、全体として、貫通孔30の形態の空隙28が画定されている(
図2a及び
図2b参照)。空隙28は、内側顆部18と外側顆部20とによって側方および前方が画定され、安定化要素22によって後方が画定されている。
【0037】
内側顆部18及び外側顆部20の前端26の領域には、トロクリア領域(「トロクリアスライド溝」、「滑車溝」、「滑車溝領域」、又は「トロクリア」ともいう)32が形成されている。
【0038】
本実施形態において、大腿骨コンポーネント12自体(すなわち、大腿骨コンポーネント12の物理的形状を形成する部分)は、プラスチック(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)複合材料)からなる。大腿骨コンポーネント12の製造は、例えば、射出成形プロセス又は3Dプリントプロセスで行われてもよい。
【0039】
本実施形態において、人工関節10は、電子コンポーネント(電子部品)34を備える。
図3には、電子コンポーネント34が個別に示されている。
図1a~
図1cにおいて、電子コンポーネント34は、人工関節10上、又は、部分的には人工関節10内にも配置されている。
【0040】
図1a~
図1c及び
図3に示すように、電子コンポーネント34は、人工関節10の摺動面に作用する力(特に、圧縮力)を検知するための2つのセンサデバイス36を備える。センサデバイス36は、簡略化して圧力センサ36とも呼ばれる。本実施形態において、内側顆部18の遠位領域38と外側顆部20の遠位領域38とに、それぞれ1つの圧力センサ36が配置されている。内側顆部18及び外側顆部20の遠位領域38では、患者の立位中および歩行動作中において、比較的大きな力が内側大腿骨関節面14及び外側大腿骨関節面16に作用する。
【0041】
本実施形態において、圧力センサ36は、人工関節10における対応するキャビティ(空洞)40内に埋め込まれ(組み込まれ)ている。キャビティ40は、例えば、電子コンポーネント34のない状態で人工関節10を示す
図2aにも示されている。
【0042】
また、電子コンポーネント34は、圧力センサ36によって検知されたデータを取得するための電子的手段と、圧力センサ36及び前記電子的手段にエネルギー(電力)を供給するためのエネルギー供給デバイスとを備える。
【0043】
本実施形態において、電子コンポーネントの一部は、ハウジング42内に配置されている(
図3及び
図4参照)。ハウジング42内には、エネルギー貯蔵部44、2つの回路基板46,48(特に、詳細には示されていない追加の電子機器を含む)、及び、支持要素50が、ポッティングコンパウンド52とともに配置される。また、ハウジング42内には、例えば、データ記憶部(特に、圧力センサ36によって検知されたデータを記憶且つ/又は一時的に記憶するためのデータ記憶部(データメモリ))、並びに、記憶または検知されたデータを送信するためのデータ送信デバイスも設けられる。該データ送信デバイスは、(特に、外部の受信デバイスに)ワイヤレスでデータを送信するように構成されている。ワイヤレスでのデータ送信は、例えば、Bluetooth(登録商標)又はNFCに基づくデータ送信によって行われる。データは、例えば、携帯無線デバイスに送信される。
【0044】
本実施形態において、圧力センサ36は、対応する電子接続手段(電子的手段)54によって、ハウジング42内の電子機器(特に、エネルギー貯蔵部、データ記憶部、及び/又は、データ送信デバイス)に接続される。例えば、電子接続手段54によって、エネルギー貯蔵部44からエネルギー(電力)が供給されたり、圧力センサ36とデータ記憶部及び/又はデータ送信デバイスとの間でデータが送信されたりする。
【0045】
本実施形態では、圧力センサ36に加えて、他の電子コンポーネント(例えば、電子接続手段54の一部)が、人工関節10における対応するキャビティに埋め込まれ(組み込まれ)ている。例えば、該キャビティは、例えば射出成形および/または3Dプリントによる人工関節の製造中に形成される。あるいは、人工関節10の射出成形中における人工関節10に、対応する電子コンポーネントが既に埋め込まれ(組み込まれ)(成形され)てもよい。また、人工関節10は、シャフト(図示せず)の領域に、ハウジング42のためのキャビティを備える。
【0046】
本実施形態において、人工関節10は、電磁誘導充電によってエネルギー貯蔵部44を充電するための受電コイル56を備える。受電コイル56には、患者の身体の外側に近づけられ得る送電コイルによって、電圧が誘導され得る。このようにして、エネルギー貯蔵部44は、特に必要に応じて、充電され得る。
【0047】
本実施形態において、人工関節10の電子コンポーネント34は、追加の検知機器を備える。
【0048】
例えば、感染症の早期発見を可能にするセンサが設けられる。例えば、CRPセンサ58によって、C反応性タンパク(CRP)の存在または濃度を検知することが可能である。例えば、温度センサ60によって温度が検知される。体温の上昇も、同様に感染症を示し得る。
【0049】
さらに、追加の圧力センサ(図示せず)が設けられてもよい。例えば、内側顆部18及び外側顆部20の後端24の領域に、1つ又は複数の圧力センサが設けられてもよい。この領域では、患者の膝関節の屈曲中(例えば、階段を上る際)に、比較的大きな力が大腿骨関節面14,16に作用する。例えば、トロクリア領域32に、1つ又は複数の圧力センサが設けられてもよい。この領域では、トロクリア領域32と膝蓋骨との間の表面に作用する力(「膝蓋骨圧」ともいう)が測定され得る。膝蓋骨圧の値は、人工関節の正しい位置決め又は間違った位置決めを示し得る。
【0050】
本実施形態において、人工関節10は、加速度センサ62を備える。加速度センサ62は、例えば、動き又は加速度を検知する。例えば、加速度センサ62によって検知されたデータは、人工関節10の電子機器を非アクティブモード及びアクティブモードで動作させるために使用され、当該電子機器は、加速度センサ62によって検知されたデータに従って非アクティブモードとアクティブモードとの間で切り替えられ得る。
【0051】
図5a及び
図5bは、別の実施形態に係る人工関節10を示す。
図5a及び
図5bに示すように、受電コイル56は、トロクリア領域32に配置されている。
【0052】
図6a及び
図6bは、別の実施形態に係る人工関節10を示す。人工関節10は、骨空洞(例えば、大腿骨の空洞)に挿入され得るシャフト64を備える。本実施形態では、電子コンポーネント34の一部がシャフト64内に配置されている。
図7は、シャフト64を除いた状態で電子コンポーネント34を示す。アダプタ部66を用いることで、シャフト64内に配置された電子コンポーネント34の部分は、シャフト64の外側に配置された電子コンポーネント34の部分に結合され得る。シャフト64は、その中に配置される電子機器のためのハウジングを形成している(
図6a及び
図6b参照)。
【0053】
図8は、表示デバイス68を示す。表示デバイス68は、例えば、携帯無線デバイスである。例えば、表示デバイス68は、人工関節10のデータ送信デバイスからデータを受信する。適切なアプリケーション(又はアプリ)によって、表示デバイス68のディスプレイ上に、受信されたデータに基づいて情報の項目が表示される。例えば、3つの異なる情報の項目(I_1,I_2,I_3)が、合計3つの表示フィールド(表示欄)に表示される。第1の表示フィールドA_1には、例えば、人工関節10の温度センサ60によって検知された温度に関する情報の項目が表示される。第2の表示フィールドA_2には、例えば、人工関節10の圧力センサ36によって検知された力または圧縮力に関する情報の項目が表示される。第3の表示フィールドA_3には、例えば、人工関節10のCRPセンサ58によって検知されたCRP濃度に関する情報の項目が表示される。情報の項目は、絶対値として表示されてもよいし、対応する限界値に応じて、「OK(可)」、「critical(危機)」、又は「not OK(不可)」として表示されてもよい。また、これらの表示には、何らかの目印及び/又は色(例えば、緑、オレンジ、赤など)が組み合わされてもよい。このアプリケーションは、例えばリハビリテーション又は回復などに役立ち得る。例えば、患者は、情報の項目の表示によって関節にかかる現在の負荷について知ることができる。許容荷重や屈曲角度などの情報の項目と組み合わせた使用も可能である。これらの情報の項目を使用することにより、患者は、人工関節10の取り扱いを学習して改善することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工関節(10)であって、
前記人工関節(10)は、プラスチックで少なくとも部分的に作られているか、又は、該プラスチックを含んでおり、
前記人工関節(10)は、
前記人工関節(10)の摺動面に作用する力を検知するための少なくとも1つのセンサデバイス(36)と、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)によって検知されたデータを取得するための電子的手段(34,54)と、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)及び前記電子的手段(34,54)にエネルギーを供給するためのエネルギー供給デバイス(44,56)と、を備え、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)は、前記人工関節(10)の前記プラスチック内に、埋め込まれている、
人工関節。
【請求項2】
前記エネルギー供給デバイス(44,56)の全部若しくは一部、及び/又は、前記電子的手段(34,54)の全部若しくは一部は、前記人工関節(10)の前記プラスチック内に、埋め込まれている、
請求項1に記載の人工関節。
【請求項3】
前記エネルギー供給デバイス(44,56)は、エネルギー貯蔵部(44)と、前記エネルギー貯蔵部(44)を充電するための手段(56)と、を備える、
請求項1に記載の人工関節。
【請求項4】
前記人工関節(10)は、データ送信デバイスを備え、
前記データ送信デバイスは、無線でデータを送信可能に構成されている、
請求項1に記載の人工関節。
【請求項5】
前記人工関節(10)は、人工膝関節(10)であるか、又は、人工膝関節(10)の少なくとも一部を形成し、
前記人工関節(10)は、少なくとも1つの第1の関節コンポーネント(12)であるか、又は、該少なくとも1つの第1の関節コンポーネント(12)を含む、
請求項1に記載の人工関節。
【請求項6】
前記第1の関節コンポーネントは大腿骨コンポーネント(12)であり、前記大腿骨コンポーネント(12)は、少なくとも1つの大腿骨顆部(18,20)を備え、
前記人工関節(10)の摺動面に作用する力を検知するための前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)が、前記大腿骨顆部(18,20)の遠位領域(38)に設けられ、
前記大腿骨顆部(18,20)は、大腿骨関節面(14,16)を備え、
前記大腿骨関節面(14,16)は、前記人工関節(10)の摺動面を形成しており、前記大腿骨顆部(18,20)の前記遠位領域(38)において前記大腿骨関節面(14,16)に作用する力が、前記センサデバイス(36)によって検知可能である、
請求項5に記載の人工関節。
【請求項7】
前記第1の関節コンポーネントは大腿骨コンポーネント(12)であり、前記大腿骨コンポーネント(12)は、少なくとも1つの膝蓋後部のスライド溝状のトロクリア領域(32)を備え、
前記エネルギー供給デバイス(44,56)の少なくとも一部は、前記トロクリア領域(32)に設けられている、
請求項5に記載の人工関節。
【請求項8】
前記第1の関節コンポーネントは大腿骨コンポーネント(12)であり、前記大腿骨コンポーネント(12)は、少なくとも1つの大腿骨顆部(18,20)及び/又は少なくとも1つのトロクリア領域(32)を備え、
前記人工関節(10)の摺動面に作用する力を検知するための前記センサデバイス(36)又は別のセンサデバイス(36)が、前記大腿骨顆部(18,20)の後部領域(24)及び/又は前記トロクリア領域(32)に設けられている、
請求項5に記載の人工関節。
【請求項9】
前記人工関節(10)は、
前記人工関節(10)における感染および/または前記人工関節(10)の移植領域における感染を検出するための少なくとも1つのセンサデバイス(58)、及び/又は、
温度を検知するための少なくとも1つのセンサデバイス(60)、及び/又は、
加速度を検知するための少なくとも1つのセンサデバイス(62)、を備える、
請求項1に記載の人工関節。
【請求項10】
前記人工関節(10)は、骨空洞に挿入可能なシャフト(64)を備え、
前記エネルギー供給デバイス(44,56)の全部若しくは一部、及び/又は、前記電子的手段(34,54)の全部若しくは一部は、前記シャフト(68)内に配置されている、
請求項1に記載の人工関節。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の人工関節(10)を用いて、前記人工関節(10)の摺動面に作用する力を検知するための方法であって、
前記人工関節(10)の摺動面に作用する力が、前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)によって検知され、
前記少なくとも1つのセンサデバイス(36)によって検知されたデータが、前記電子的手段(34,54)によって取得され、
前記エネルギー供給デバイス(44,56)によって、前記センサデバイス(36)及び前記電子的手段(34,54)にエネルギーが供給され、
前記人工関節(10)の前記プラスチック内に前記センサデバイス(36)が埋め込まれている、
方法。
【請求項12】
前記検知されたデータは、前記データ送信デバイスによって送信され、
前記データ送信デバイスによって送信されたデータに基づいて、表示デバイス(68)によって表示可能な情報の項目が提供される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記人工関節(10)の電子機器(34)は、非アクティブモード及びアクティブモードで動作可能であり、
前記非アクティブモードと前記アクティブモードとの間の切り替えは、加速度センサ(62)によって検知されたデータに従って実行される、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の人工関節(10)と、
前記人工関節(10)によって検知されたデータに基づいた情報の項目を表示するための表示デバイス(68)と、
を備えるシステム。
【請求項15】
コンピュータプログラムを有するコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータプログラムは、
演算装置での実行によって、前記人工関節(10)によって検知されたデータに基づいた情報の項目を、請求項14に記載のシステムの前記表示デバイス(68)に表示させる、
コンピュータプログラム製品。
【外国語明細書】