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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155891
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】内部パラメータ試験
(51)【国際特許分類】
   H04N 17/00 20060101AFI20241024BHJP
   G06T 7/80 20170101ALI20241024BHJP
【FI】
H04N17/00 200
G06T7/80
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024068398
(22)【出願日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】18/137,661
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524029149
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・エーイーアイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・トーマス
(57)【要約】
【課題】先行技術の問題に対処する、被試験カメラの内部パラメータのための内部パラメータ試験ツールおよび方法を提供すること。
【解決手段】方位角回転の複数のコリメータケーブルを使用することによって、処理時間を様々に短縮し得る、かつ様々な波長範囲の光を選択的に供給するために、該コリメータまたは各コリメータに関連する、独立して作動可能な照明手段を設けることによって、色収差に対処し得る、内部パラメータ試験装置および方法。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験カメラに関する内部パラメータを測定するためのまたは内部パラメータ較正を検証するための内部パラメータ試験ツールであって、
前記被試験カメラを、その光軸が所定の方向にそこから外向きに伸びるように取り付けるためのカメラ支持体と、
無限遠合焦コリメータであり、前記カメラ支持体上に取り付けられている前記カメラが、前記コリメータを通過する光から標的表面の画像を得ることができるように、前記カメラ支持体に対して配置されている、無限遠合焦コリメータと、
を含み、
前記コリメータは、それが前記カメラ支持体上に取り付けられている間に、前記コリメータに関連するレチクルの画像を前記カメラに投影するために、第1の照明手段および第2の照明手段を含み、前記第1の照明手段は第1の波長範囲内で発光するように構成されており、前記第2の照明手段は第2の波長範囲内で発光するように構成されており、前記第1の波長範囲と前記第2の波長範囲とは異なる、
内部パラメータ試験ツール。
【請求項2】
前記コリメータは前記レチクルを含む、請求項1に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項3】
前記第1の照明手段と前記第2の照明手段とは独立して制御可能である、請求項1に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項4】
前記第1の照明手段と前記第2の照明手段とはそれぞれのLEDを含む、請求項1に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項5】
コリメータ支持体を含み、無限遠ベースの前記コリメータは前記コリメータ支持体上に取り付けられており、前記コリメータ支持体は、それが前記カメラ支持体上に取り付けられると、前記カメラの前記光軸に実質的に直交する回転軸を中心として回転し得るように、可動に取り付けられている、請求項1に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項6】
前記コリメータ支持体は、前記カメラ支持体上に取り付けられると、それが前記カメラの前記光軸に実質的に平行な方位角回転軸を中心として独立して回転し得るように、可動に取り付けられている、請求項5に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項7】
前記コリメータ支持体上に取り付けられている少なくとも1つの追加無限遠合焦コリメータを含み、前記カメラ支持体上に取り付けられている前記カメラが、前記少なくとも1つの追加コリメータを通過する光から標的表面の画像を得ることができるように、前記少なくとも1つの追加コリメータは前記カメラ支持体に対して配置されている、請求項5に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項8】
前記少なくとも1つの追加コリメータは、それが前記カメラ支持体上に取り付けられている間に、前記それぞれの少なくとも1つの追加コリメータに関連するそれぞれのレチクルの画像を前記カメラに投影するために、それぞれの追加の第1の照明手段および追加の第2の照明手段を含み、各それぞれの追加の第1の照明手段はそれぞれの第1の波長範囲内で発光するように構成されており、前記それぞれの追加の第2の照明手段はそれぞれの第2の波長範囲内で発光するように構成されており、前記それぞれの第1の波長範囲と前記それぞれの第2の波長範囲とは異なる、請求項7に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項9】
被試験カメラの内部パラメータを測定するかまたは測定された内部パラメータを検証する、前記被試験カメラを試験する方法であって、
i) 内部パラメータ試験ツールを設けるステップであって、前記内部パラメータ試験ツールはカメラ支持体および無限遠合焦コリメータを含み、前記コリメータは、それが前記カメラ支持体上に取り付けられている間に、前記コリメータに関連するレチクルのそれぞれの画像を前記カメラに投影するために、第1の照明手段および第2の照明手段を含み、前記第1の照明手段は第1の波長範囲内で発光するように構成されており、前記第2の照明手段は第2の波長範囲内で発光するように構成されており、前記第1の波長範囲と前記第2の波長範囲とは異なる、設けるステップと、
ii) 前記カメラを、その光軸が所定の方向にそこから外向きに伸びるように、前記カメラ支持体上に取り付けるステップと、
iii) 前記第1の照明手段と前記第2の照明手段との第1の組み合わせがオンにされている間に、前記カメラを使用して、前記コリメータ経由で標的表面の第1の画像を得るステップと、
iv) 前記第1の照明手段と前記第2の照明手段との第2の組み合わせがオンにされている間に、前記カメラを使用して、前記コリメータ経由で前記標的表面の第2の画像を得るステップであって、前記第1の組み合わせと前記第2の組み合わせとは異なる、使用するステップと、
v) 前記標的表面の前記第1の画像および前記第2の画像を実際の標的表面と比較するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記ステップiii)および前記ステップiv)は、前記第1の画像および前記第2の画像が得られている間に、前記コリメータを、前記光軸に直交する回転軸を中心として回転させるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップiv)の後に、前記光軸に平行な方位角回転軸を中心として前記カメラと前記コリメータとを相対的に回転させるステップと、前記ステップiii)および前記ステップiv)を繰り返すステップと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記内部パラメータ試験ツールはコリメータ支持体を含み、無限遠ベースの前記コリメータは前記コリメータ支持体上に取り付けられており、少なくとも1つの追加無限遠合焦コリメータが前記コリメータ支持体上に取り付けられており、前記カメラ支持体上に取り付けられている前記カメラが、前記少なくとも1つの追加コリメータを通過する光から、標的表面の画像を得ることができるように、前記少なくとも1つの追加コリメータは前記カメラ支持体に対して配置されている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
被試験カメラに関する内部パラメータを測定するかまたは内部パラメータ較正を検証するための内部パラメータ試験ツールであって、
前記被試験カメラを、その光軸が所定の方向にそこから外向きに伸びるように取り付けるためのカメラ支持体と、
コリメータ支持体と、
前記コリメータ支持体上に取り付けられている複数の無限遠合焦コリメータであり、前記カメラ支持体上に取り付けられている前記カメラが標的表面の画像を得ることができるように、前記複数のコリメータの各コリメータは前記コリメータ支持体に対して配置されており、前記画像は、前記標的表面の下位領域に対応する複数の下位画像を含み、各下位画像は、前記複数のコリメータのそれぞれのコリメータを通過する光から得られる、複数の無限遠合焦コリメータと、
を含み、
前記コリメータ支持体は、それが2つの回転軸を中心として独立して回転し得るように、可動に取り付けられており、前記カメラ支持体上に取り付けられると、前記第1の方位角回転軸は前記カメラの前記光軸に平行であり、前記第2の回転軸は前記第1の回転軸に実質的に直交している、
内部パラメータ試験ツール。
【請求項14】
前記第1の回転軸および前記第2の回転軸を中心として前記コリメータ支持体を回転させるようになされているそれぞれのアクチュエータを含む、請求項13に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項15】
前記複数のコリメータのうちの少なくとも1つのコリメータが、それが前記カメラ支持体上に取り付けられている間に、前記コリメータに関連するレチクルのそれぞれの画像を前記カメラに投影するために、第1の照明手段と第2の照明手段とを含む、請求項13に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項16】
前記第1の照明手段と前記第2の照明手段とは独立して制御可能である、請求項15に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項17】
前記第1の照明手段は第1の波長範囲内で発光し、前記第2の照明手段は第2の波長範囲内で発光し、前記第1の波長範囲と前記第2の波長範囲とは異なる、請求項15に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項18】
前記第1の照明手段と前記第2の照明手段とはそれぞれのLEDを含む、請求項15に記載の内部パラメータ試験ツール。
【請求項19】
被試験カメラの内部パラメータを測定するか、または測定された内部パラメータを検証する、前記被試験カメラを試験する方法であって、
i) 内部パラメータ試験ツールを設けるステップであって、前記内部パラメータ試験ツールはカメラ支持体、コリメータ支持体、および前記コリメータ支持体上に取り付けられている複数の無限遠合焦コリメータを含む、設けるステップと、
ii) 前記カメラを、その光軸が所定の方向にそこから外向きに伸びるように、前記カメラ支持体上に取り付けるステップと、
iii) 前記光軸に直交する回転軸を中心として前記コリメータ支持体を回転させている間に、前記カメラを使用して、前記複数のコリメータの各々経由で標的表面の画像を得るステップと、
iv) 前記光軸に平行な方位角回転軸を中心として、前記コリメータ支持体を回転させるステップと、
v) 前記光軸に直交する回転軸を中心として前記コリメータ支持体を回転させている間に、前記カメラを使用して、前記複数のコリメータの各々経由で前記標的表面のさらなる画像を得るステップと、
vi) 前記標的表面の前記画像を実際の標的表面と比較するステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記複数のコリメータのうちの少なくとも1つのコリメータが、それが前記カメラ支持体上に取り付けられている間に、前記コリメータに関連するレチクルのそれぞれの画像を前記カメラに投影するために、第1の照明手段と第2の照明手段とを含み、前記ステップiii)は、前記第1の照明手段と前記第2の照明手段との第1の組み合わせがオンにされている間に、前記カメラを使用して、前記コリメータ経由で標的表面の第1の画像を得るステップと、前記第1の照明手段と前記第2の照明手段との第2の組み合わせがオンにされている間に、前記カメラを使用して、前記コリメータ経由で前記標的表面の第2の画像を得るステップと、を含み、前記第1の組み合わせと前記第2の組み合わせとは異なる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験カメラの内部パラメータのための内部パラメータ試験ツールおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、カメラの内部パラメータ(すなわち、例えばカメラの姿勢または位置に関する「外部パラメータ」と対照的に、カメラ自体に関連するパラメータ)の測定または決定に関し、また、以前に決定された内部パラメータの独立検証に関する。本文献を通じて、「内部パラメータ試験」という用語は、内部パラメータの測定または決定と、また以前に決定された内部パラメータの検証の両方を指すのに用いられるであろう。そのような内部パラメータの測定は、例えば、被試験カメラが必要な品質閾値を満たすかどうかを評価するのに使用されることが可能であり、カメラのその後の較正または修正にも使用され得る。
【0003】
従来の内部パラメータ試験システムでは、光学的に識別可能な特徴を有する少なくとも1つの光学ターゲットが使用され、試験プロセスは、測定されるカメラに対する特徴の位置の正確な知識を必要とする。
【0004】
従来のプロセスが、その内部パラメータが試験されているカメラに対する既知の角度分離を有して、2つのターゲットを配置するステップを含み、このプロセスは図1に概略的に示されている。例えば、試験が、以前に測定された内部パラメータの検証を含む場合、被試験カメラ1からの1つの画像が、2つのターゲット2、3間の実際の距離を、カメラ1の内部パラメータを使用する計算値と比較することによって、カメラ1の総視野の1つの小部分を検証する。この従来の方法におけるターゲット2、3間の該角度分離θは、カメラ1から各ターゲット2、3までの距離を測定して決定され、ターゲット2、3間の距離はレーザを使用して測定される。カメラ視野全体に亘って確認するために、カメラ1は回転させられ(該回転はそのレンズ瞳孔の上下、左右、または周囲であると考えられる)、その結果、ターゲット2、3は画像の異なる領域内に出現する。得られた画像のセットは、その総視野に亘る、カメラ1の内部パラメータの精度を確認するのに使用され得る。しかし、そのようなプロセスに関連する様々な問題がある。例えば、そのような試験プロセスは、通常、約10m離れたターゲット2、3を有する設定を必要とし、各ターゲット2、3は被試験カメラ1から約15mから20mまでの所にある。結果として生じる大設置面積は試験機を設計することを実行不可能にするため、プロセスは、代わりに、通常、何らかの開床において実施される。該大設置面積はそれ自体、試験プロセスの自動化の妨げであり、また、試験に影響を及ぼす照明および画質に関する問題をもたらす可能性がある。たった1つのカメラ1の試験が最長1時間かかる可能性があり、カメラ間の切替えが、必要とされる回転機構に因り、困難である可能性がある。
【0005】
これらの問題のいくつかに対処する代替的装置すなわち内部パラメータ試験ツールが、図2に概略的に示されている。ここで、被試験カメラ1は、それが無限遠合焦コリメータ5の下方に配置されるように、方位角回転テーブル4上に支持されており、該無限遠合焦コリメータは、所定の方向に外向きに、ここでは垂直に上方に伸びているカメラ1の光軸7に実質的に直交する回転軸を中心として、カメラ1の視野に亘って+/-100度、コリメータ5が移動することを可能にする昇降回転支持体6に取り付けられている。この回転は、昇降回転アクチュエータ8によって引き起こされる。方位角回転テーブル4は、方位角回転アクチュエータ9によって、光軸7に実質的に平行なかつそれと一致している方位角回転軸を中心として回転して、昇降スキャンの位置を変更することができる。回転テーブル4上で無限遠合焦コリメータ5を使用することによって、ターゲット間の角度分離が、被試験カメラ1から得られる画像間で、昇降回転アクチュエータ8を使用してコリメータ5を回転させるだけのことによって、正確に制御され得る。無限遠合焦コリメータ5は、レチクルをそれが無限に離れているかのように投影する集束レンズを備えた、バックライト付きレチクルを含む。これは、画像上での線形変換(linear translation)による全影響を除去する。図1に示されている角度分離θに等しい角度分離は、昇降回転アクチュエータ8を使用する、コリメータ5の回転により作り出される。2つの画像キャプチャが、一対の画像を作り出すのに必要とされる。画像ターゲット位置のスキャンの例が図3に示されており、いくつかの画像対が作り出される。方位角回転アクチュエータ9を作動させることによって、画像間の方位角回転を引き起こすことにより、スキャンが、カメラ画像のより多くの関心領域に亘って実施されることが可能になる。そのようなスキャンの例が図4に示されている。
【0006】
これにより、物理的ターゲットを使用するよりも遥かに小さい設置面積内で、特定のカメラ1の内部パラメータを試験する方法が提供され、プロセスの完全な自動化が実用的になる。
【0007】
そのような問題に対処しようと試みる代替的装置が、特許文献1から既知である。当該装置では、標的表面上に複数のマーカを投影する複数のコリメータが設けられている。被試験カメラが該標的表面の複数の画像をキャプチャし、該カメラは各画像キャプチャ間で回転する。
【0008】
これらのシステムの全てを用いても、照明は非常に制御し難い可能性がある。しばしば、プロセスが、例えば蛍光照明または他の周囲光を使用して様々な目的のために使用され得ると考えられる、任意の利用可能な開放空間内で実施される。これは、ターゲット2、3の画像の質に影響を及ぼす可能性がある。また、カメラレンズは色収差を示す可能性があるため、試験の結果は周囲光の色の影響を受ける可能性がある。具体的には、色収差からの横方向の色は、該色に応じて、該光にカメラセンサ上の僅かに異なる点に焦点を合わせさせる。これは任意の歪み計算の精度に影響を及ぼすであろう。
【0009】
そのような試験プロセスの期待精度は約0.05%であり、当該較正精度が0.3%より良いことが通常の目標である。いくつかの自動車カメラレンズでは、色収差は結果的に赤色光と緑色光との間に0.15%の差をもたらす可能性がある。これは測定の期待精度を小さくし、それにより、結果的に誤検出または検出漏れをもたらす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2021/150689号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこれらの問題に対処しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、本目的は、方位角回転ができる複数のコリメータを使用することによって、処理時間を様々に短縮し得る、かつ様々な波長範囲の光を選択的に供給するために、独立して作動可能な照明手段を設けることによって、色収差に対処し得る、新規の内部パラメータ試験装置および方法によって達成される。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、被試験カメラの、内部パラメータを測定するためのまたは内部パラメータ較正を検証するための内部パラメータ試験ツールであって、
該被試験カメラを、その光軸が所定の方向にそこから外向きに伸びるように取り付けるためのカメラ支持体と、
無限遠合焦コリメータであり、該カメラ支持体上に取り付けられている該カメラが、該コリメータを通過する光から標的表面の画像を得ることができるように、該カメラ支持体に対して配置されている、無限遠合焦コリメータと、 を含み、
コリメータは、それがカメラ支持体上に取り付けられている間に、該コリメータに関連するレチクルの画像をカメラに投影するために、第1の照明手段および第2の照明手段を含み、該第1の照明手段は第1の波長範囲内で発光するように構成されており、該第2の照明手段は第2の波長範囲内で発光するように構成されており、該第1の波長範囲と該第2の波長範囲とは異なる、
内部パラメータ試験ツールが提供されている。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、被試験カメラの内部パラメータを測定するかまたは測定された内部パラメータを検証する、該被試験カメラを試験する方法であって、
i) 内部パラメータ試験ツールを設けるステップであって、該内部パラメータ試験ツールはカメラ支持体および無限遠合焦コリメータを含み、該コリメータは、それが該カメラ支持体上に取り付けられている間に、コリメータに関連するレチクルのそれぞれの画像を該カメラに投影するために、第1の照明手段および第2の照明手段を含み、該第1の照明手段は第1の波長範囲内で発光するように構成されており、該第2の照明手段は第2の波長範囲内で発光するように構成されており、該第1の波長範囲と該第2の波長範囲とは異なる、設けるステップと、
ii) カメラを、その光軸が所定の方向にそこから外向きに伸びるように、カメラ支持体上に取り付けるステップと、
iii) 第1の照明手段と第2の照明手段との第1の組み合わせがオンにされている間に、カメラを使用して、コリメータ経由で標的表面の第1の画像を得るステップと、
iv) 第1の照明手段と第2の照明手段との第2の組み合わせがオンにされている間に、カメラを使用して、コリメータ経由で該標的表面の第2の画像を得るステップであって、該第1の組み合わせと該第2の組み合わせとは異なる、使用するステップと、
v) 標的表面の該第1の画像および該第2の画像を実際の標的表面と比較するステップと、
を含む、方法が提供されている。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、被試験カメラの、内部パラメータを測定するかまたは内部パラメータ較正を検証するための内部パラメータ試験ツールであって、
該被試験カメラを、その光軸が所定の方向にそこから外向きに伸びるように取り付けるためのカメラ支持体と、
コリメータ支持体と、
該コリメータ支持体上に取り付けられている複数の無限遠合焦コリメータであり、該カメラ支持体上に取り付けられているカメラが標的表面の画像を得ることができるように、該複数のコリメータの各コリメータはコリメータ支持体に対して配置されており、該画像は、該標的表面の下位領域に対応する複数の下位画像を含み、各下位画像は、複数のコリメータのそれぞれのコリメータを通過する光から得られる、複数の無限遠合焦コリメータと、
を含み、
コリメータ支持体は、それが2つの回転軸を中心として独立して回転し得るように、可動に取り付けられており、カメラ支持体上に取り付けられると、第1の方位角回転軸はカメラの光軸に平行であり、第2の回転軸は該第1の回転軸に実質的に直交している、
内部パラメータ試験ツールが提供されている。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、被試験カメラの内部パラメータを測定するかまたは測定された内部パラメータを検証する、被試験カメラを試験する方法であって、
i) 内部パラメータ試験ツールを設けるステップであって、該内部パラメータ試験ツールは、カメラ支持体、コリメータ支持体、および該コリメータ支持体上に取り付けられている複数の無限遠合焦コリメータを含む、設けるステップと、
ii) 該カメラを、その光軸が所定の方向にそこから外向きに伸びるように、該カメラ支持体上に取り付けるステップと、
iii) 該光軸に直交する回転軸を中心としてコリメータ支持体を回転させている間に、カメラを使用して、複数のコリメータの各々経由で標的表面の画像を得るステップと、
iv) 光軸に平行な方位角回転軸を中心として、コリメータ支持体を回転させるステップと、
v) 光軸に直交する回転軸を中心としてコリメータ支持体を回転させている間に、カメラを使用して、複数のコリメータの各々経由で該標的表面のさらなる画像を得るステップと、
vi) 標的表面の該画像を実際の標的表面と比較するステップと、
を含む、方法が提供されている。
【0017】
本発明の他の特定の態様および特徴が添付の特許請求の範囲に示されている。
【0018】
ここで、本発明を、(縮尺通りでない)添付の図面を参照して、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】既知の内部パラメータ試験設定の概略図である。
図2】既知の内部パラメータ試験ツールの上方からの概略斜視図である。
図3】様々な内部パラメータ試験ツールを使用して得られた画像の図である。
図4】様々な内部パラメータ試験ツールを使用して得られた画像の図である。
図5】様々な内部パラメータ試験ツールを使用して得られた画像の図である。
図6】本発明の内部パラメータ試験ツールと共に使用するための、5つのコリメータを備え付けられているコリメータ支持体の概略斜視図である。
図7】本発明の実施形態による内部パラメータ試験ツールの概略側面図である。
図8】本発明の内部パラメータ試験ツールと共に使用するための、2つの異なる照明手段を備え付けられているコリメータの概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
遥かに速いスキャンを実現する、本発明の第1の実施形態が、図5から図7までを参照して説明されている。
【0021】
本実施形態では、複数の無限遠合焦コリメータ11を含む内部パラメータ試験ツール10が使用されている。各無限遠合焦コリメータ11は、レチクルをそれが無限に遠くはなれているかのように投影する集束レンズを備えた、バックライト付きレチクルを含む。図6に示されているように、ここでは5つのコリメータ11が使用されており、各々はコリメータ支持体12に取り付けられており、その結果、該コリメータ支持体12の回転がコリメータ11の全ての回転を一斉に引き起こす。図7は、内部パラメータ試験ツール10の詳細、およびコリメータ支持体12がその中にどのように取り付けられると考えられるかを概略的に示す。被試験カメラ1は、その光軸7が所定の方向にそこから外向きに、ここでは垂直に上方に伸びるように、カメラ支持体16上に取り付けられている。剛性フレーム13がコリメータ装置を支持している。コリメータ支持体12は、光軸7に実質的に直交する昇降回転軸を中心として、すなわち図示のように水平に、コリメータ支持体12を回転させるように作動可能な昇降回転アクチュエータ14に取り付けられている。該昇降回転アクチュエータ14は、フレーム13によって支持されている方位角回転アクチュエータ15から垂下するように取り付けられている。該方位角回転アクチュエータ15は、光軸7に実質的に平行な方位角回転軸を中心として、昇降回転アクチュエータ14、およびしたがってコリメータ支持体12の回転を引き起こすようになされている。コリメータ支持体12は、それがこれら2つの回転軸17、18を中心として独立して回転し得るように、可動に取り付けられている。
【0022】
カメラ支持体16上に取り付けられているカメラ1が標的表面の画像を得ることができるように、コリメータ支持体12上に取り付けられている複数のコリメータの各コリメータ11はコリメータ支持体12に対して配置されており、該画像は、標的表面の下位領域に対応する複数の下位画像を含み、各下位画像は、複数のコリメータのそれぞれのコリメータ11を通過する光から得られる。
【0023】
カメラ1が、その光軸7が所定の方向にそこから外向きに伸びるように、カメラ支持体16上に取り付けられると、該カメラ1は、コリメータ支持体12を昇降回転軸17を中心として回転させている間に、複数のコリメータ11の各々経由で標的表面の画像を得るのに使用される。該コリメータ支持体12は、次いで、方位角回転軸18を中心として回転してもよく、カメラ1は、コリメータ支持体12をそのように回転させている間に、複数のコリメータ11の各々経由で標的表面のさらなる画像を得るのに使用される。図5に示されている、標的表面のそのように得られた画像は、次いで、内部パラメータを測定するかまたは以前に測定された内部パラメータの精度を決定するかどちらかのために、実際の標的表面と比較され得る。
【0024】
複数の無限遠合焦コリメータ11の使用により、同数の画像で、カメラの視野のより多くに亘ってスキャンが実施されることが可能になる。これらの追加コリメータ11を使用することにより、20秒未満での全視野に亘る内部パラメータの試験が可能になる。
【0025】
本方法は、精度を向上させると同時に、内部パラメータカメラ較正を試験するための、設置面積、設定の努力および時間を大幅に低減する。内部パラメータ試験ツール10の設置面積は1平方メートル未満であり得る。さらに、被試験カメラ1への依存が非常に小さく、ツール10は、設定変更を必要とせずに、20度~180度の視野を有するカメラ1を収容し得る。無限遠合焦コリメータ11の使用により非常に正確な角度変位がもたらされ、実際、これは、物理的ターゲット2、3およびそれらの間の距離を測定するレーザを使用して達成され得るよりも遥かに正確であり得る。
【0026】
カメラよりもむしろコリメータを回転させる様々な利点が存在する。例えば、カメラ1と、得られた画像を分析するのに使用されるコンピュータなどの処理手段(図示せず)とを相互接続することが必要とされる配線が任意の回転支持体を通過させられる必要がないので、カメラと相互作用することが簡易化される。さらに、昇降支持体質量を釣り合わせ、運動安定性を向上させることが比較的簡単である。
【0027】
色収差の試験を実現する本発明の第2の態様が、図8を参照して、説明されている。この図は、図2を参照して説明されている既知のコリメータ5と同様の方法でレチクル21と集束レンズ22とを有する無限遠合焦コリメータ20を概略的に示す。該コリメータ20は、例えば図7のツール10、または例えば図2に示されているツールなどの内部パラメータ試験ツール内に設けられ得る。さらに、コリメータ20は、それが内部パラメータ試験ツールのカメラ支持体上に取り付けられている間に、レチクル21の画像をカメラ1に投影するために、第1の照明手段と第2の照明手段と、ここでは第1のLED23と第2のLED24とを含む。該第1の照明手段は、第1の波長範囲内で発光するように構成されており、該第2の照明手段は、第2の波長範囲内で発光するように構成されており、該第1の波長範囲と該第2の波長範囲とは異なる。図8に示されていないが、コリメータは、他の異なる波長範囲内で発光するように構成されている、LEDなどの追加照明手段を随意に含む。照明手段は独立して制御可能であり、その結果、コリメータ20によって発生させられる光の波長は制御可能である。これにより、コリメータ20がレチクル21の画像を様々な色でカメラ1に投影することが可能になる。これにより、内部パラメータ試験の精度への色収差の影響の評価が可能になる。
【0028】
例えば、試験が、以前に測定された内部パラメータの検証に関連する場合、内部パラメータ検証試験は、2つのコリメータ位置の画像キャプチャのカメラ画像上の位置を使用する。これらの点間の距離(該距離は好都合に画素で測定され得る)は、コリメータが2つの画像間で移動する実際の角度距離と比較される角度距離に変換される。色収差(または横方向の色)は、光の色に応じて、コリメータ画像間の距離を画像空間(すなわち画素)内で変化させる。例えば、2つのコリメータ画像は、物理的コリメータ位置間の同一角度距離を有して、緑色光(560nm)で1000画素の分離を有し得るが、赤色光(650nm)で1001画素であろう。これは、0.3%未満であることが多いエラーバジェットに対して非常に影響力が高い可能性がある0.1%の差である。
【0029】
横方向の色の影響を理解するために、内部パラメータ試験ツールは、光の様々な色を使用して、試験することができる。1つの色の2つの画像の代わりに赤色光および緑色光を用いた前の例では、緑の2つの画像および赤の2つの画像を有する4つの画像が取られ得る。これにより、緑と赤の両方に関する、内部パラメータの性能の数量化が可能になり、0.1%の差は理解されると考えられる。これはユーザが要求するのと同数の画像対および色まで拡張され得る。ユーザは、様々な色の内部パラメータの異なるセットを使用し得るか、または(これはより可能性が高く)それらが、重要な全ての波長および色スペクトルに亘って許容可能な性能をもたらす1セットの内部パラメータを使用することを確実にし得ると考えられる。
【0030】
理想的には、コリメータ20は様々な色で照明を設けて、被試験カメラ1によって見られ得ると考えられる、可能性のある照明条件をシミュレーションすることができる。これにより、ツールが、内部パラメータの精度への色収差の影響を試験することが可能になる。現在の内部パラメータ試験スキームが、照明の制御がゼロかそれに近く、色収差が測定の全体的な精度に大きな影響を及ぼし得る。照明手段は、例えば、正午および日の出などの実世界の照明条件に対応する、赤、近赤外線、および白のいくつかの色を含み得ると考えられる。
【0031】
より詳細には、この装置は、被試験カメラ1の内部パラメータ測定が、カメラが使用されると考えられる予想条件に亘って正確であることを確実にするのに使用され得る。例えば、そのようなカメラは、光条件の広範な設定が試験されるべきである自動車用途において使用されることが多い。そのような用途では、内部パラメータは、赤い尾灯および交通信号灯(650nm)または緑の交通信号灯(560nm)を見るために、正確であるべきである。いくつかの場合には、また、カメラが、運転者監視のための近赤外線(850nm~1000nm)用途において使用される。また、カメラは、様々な色温度スペクトルを有する様々な日光条件下で、環境を正確に反映することが期待される。例えば、夕暮れ(約3400K)、正午(約5500K)、またはさらには明るい雪の降る日(8000K)。
【0032】
いくつかの設定において、照明手段の様々な組み合わせをオンにすることによって、ある照明効果を作り出すことが有用であり得る。例えば、第1の照明手段が本質的に白色光を発生させ、かつ第2の照明手段が着色光を発生させる場合、該第1の照明手段は継続的にオンにされていてもよく、一方、該第2の照明手段は、一日中色を変化させることの影響を評価する必要に応じて、オンにされる。
【0033】
様々な拡張または代替案が可能である。例えば、そのようなコリメータが、図6および図7に示されているものなどのマルチコリメータ装置内で使用される場合、複数のコリメータの各コリメータ内に同一色の照明手段または異なる色の照明手段を含むことが可能である可能性がある。
【0034】
しかし、全ての場合において、基本的な方法が類似している:どの種類の内部パラメータ試験ツールが設けられても、カメラは、その光軸が所定の方向にそこから外向きに伸びるように、該ツールのカメラ支持体上に取り付けられるであろう。第1の照明手段と第2の照明手段との第1の組み合わせがオンにされている間に、カメラは、次いで、コリメータ経由で、標的表面の第1の画像を得るのに使用される。該第1の照明手段と該第2の照明手段との第2の組み合わせがオンにされている間に、カメラは、次いで、コリメータ経由で、該標的表面の第2の画像を得るのに使用され、該第1の組み合わせと該第2の組み合わせとは異なる。このように得られた該標的表面の該第1の画像および該第2の画像は、次いで、内部パラメータを測定するかまたは以前に測定された内部パラメータの精度を決定するかどちらかのために、実際の標的表面と比較される。
【0035】
前述の実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲内に入る他の可能性および代替案が当業者に明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0036】
1 カメラ
2、3 ターゲット、物理的ターゲット
4 方位角回転テーブル
5 無限遠合焦コリメータ
6 昇降回転支持体
7 光軸
8、14 昇降回転アクチュエータ
9、15 方位角回転アクチュエータ
10 内部パラメータ試験ツール
11 (複数の)コリメータ、(複数の)無限遠合焦コリメータ
12 コリメータ支持体
13 フレーム、剛性フレーム
16 カメラ支持体
17 昇降回転軸
18 方位角回転軸
20 コリメータ、無限遠合焦コリメータ
21 レチクル
22 集束レンズ
23 第1のLED
24 第2のLED
θ 角度分離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】