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特開2024-15591表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015591
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240130BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240130BHJP
   G02B 3/00 20060101ALN20240130BHJP
   G02B 3/06 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
G02B3/00 A
G02B3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117742
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】吹野 陽平
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA30
2H199DA34
2H199DA43
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】表示像の表示品位を向上させることができる表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】表示装置10は、光を発する光源19と、光源19からの光に基づき表示像を表示する表示部13と、光源19からの光を平行光とするコリメートレンズ17と、平行光を表示部13に向けて配光する配光レンズ20と、を備える。配光レンズ20は、Y方向に並べられ、Z方向に位置が互いにずれるように階段状に配置される複数のレンズ分断部21a~21nを備える。複数のレンズ分断部21a~21nそれぞれの入射面21Iは、入射する平行光に対する向きが互いに同一となるように形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する光源と、
前記光源からの光に基づき表示像を表示する表示部と、
前記光源からの光を平行光とするコリメートレンズと、
前記平行光を前記表示部に向けて配光する配光レンズと、を備え、
前記配光レンズは、前記配光レンズの厚さ方向に交わる並列方向に並べられ、前記厚さ方向に位置が互いにずれるように階段状に配置される複数のレンズ分断部を備え、
前記複数のレンズ分断部それぞれの入射面は、入射する前記平行光に対する向きが互いに同一となるように形成されている、
表示装置。
【請求項2】
前記表示装置は、複数の前記光源が前記並列方向にn個並んで実装される実装面を有する光源基板を備え、
前記複数のレンズ分断部は、前記n個と同数以上の数で前記並列方向に並べられる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示装置と、
前記表示装置の前記表示部により表示された前記表示像からの表示光を被投射部材に導くことにより虚像を表示する光学リレーと、を備える、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の表示器は、光を発する複数のLED(Light Emitting Diode)と、LEDからの光が透過するレンズと、レンズを透過した光を受けて像を表す表示光を出射する液晶パネルと、を備える。この液晶パネルは、LEDからの光の光軸方向に対して傾斜した向きで設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-147016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、複数のLED毎の位置の違いにより、1つのLEDを点灯させたときの液晶パネルへの照明範囲及び照度が複数のLED毎に異なる。このため、液晶パネルの面方向の位置によって、照明範囲及び/又は照度にバラツキが生じ、表示像の表示品位に改善の余地があった。このような課題は、迷光対策又は虚像の傾斜を目的として、液晶パネルを傾斜させた構成で、特に顕著となる。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、表示像の表示品位を向上させることができる表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る表示装置は、光を発する光源と、前記光源からの光に基づき表示像を表示する表示部と、前記光源からの光を平行光とするコリメートレンズと、前記平行光を前記表示部に向けて配光する配光レンズと、を備え、前記配光レンズは、前記配光レンズの厚さ方向に交わる並列方向に並べられ、前記厚さ方向に位置が互いにずれるように階段状に配置される複数のレンズ分断部を備え、前記複数のレンズ分断部それぞれの入射面は、入射する前記平行光に対する向きが互いに同一となるように形成されている。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第2の観点に係るヘッドアップディスプレイ装置は、前記表示装置と、前記表示装置の前記表示部により表示された前記表示像からの表示光を被投射部材に導くことにより虚像を表示する光学リレーと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、表示像の表示品位を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
図2】本開示の一実施形態に係る表示装置の模式図である。
図3】本開示の一実施形態に係る配光レンズの斜視図である。
図4】本開示の一実施形態に係る配光レンズの斜視図である。
図5】本開示の一実施形態に係る配光レンズと光源の間の距離を示す概略図である。
図6】本開示の一実施形態に係る表示部の表示態様を示す画像図である。
図7】本開示の一実施形態に係る光源基板の正面図である。
図8】本開示の一実施形態に係る表示部の表示態様を示す画像図である。
図9】比較例に係る表示装置の模式図である。
図10】本開示の一実施形態に係る光源基板の正面図である。
図11】本開示の一実施形態に係る表示部の表示態様を示す画像図である。
図12】本開示の変形例に係る配光レンズの斜視図である。
図13】本開示の変形例に係る配光レンズの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る表示装置及びヘッドアップディスプレイ装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、例えば、車両200のダッシュボード内に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のウインドシールド201に向けて画像を表す表示光Lを放射し、ウインドシールド201で反射した表示光LをアイボックスEbへと導く。視認者1(主に運転者)の視点がアイボックスEb内に位置すると、表示光Lに対応する虚像Vが視認者1により視認可能となる。
【0011】
ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示装置10と、折り返しミラー31と、凹面ミラー32と、ハウジング33と、制御部50と、を備える。
【0012】
ハウジング33は、遮光性樹脂等で箱状に形成され、表示装置10、折り返しミラー31及び凹面ミラー32を収容する。ハウジング33には、ウインドシールド201(図1参照)に対して高さ方向に対向する位置に開口部が形成され、この開口部にアクリル等の透光性樹脂からなる窓部33aが嵌め込まれている。
【0013】
表示装置10は、表示光Lを出射する。表示装置10の具体的な構成については後述する。
折り返しミラー31は、表示装置10からの表示光Lを凹面ミラー32に向けて反射する。折り返しミラー31は、平面ミラー、自由曲面ミラー、凸面ミラー又は凹面ミラーである。
凹面ミラー32は、折り返しミラー31からの表示光Lをウインドシールド201に向けて反射させる。
【0014】
次に、表示装置10の具体的な構成について説明する。
図2に示すように、表示装置10は、バックライトユニット11と、表示部13と、を備える。
【0015】
バックライトユニット11は、表示部13を照明する装置である。バックライトユニット11は、複数の光源19と、光源基板16と、レンズ群であるコリメートレンズ17及び配光レンズ20と、ケース体14と、を備える。
光源基板16、コリメートレンズ17及び配光レンズ20は、光源19が発する光の進行方向(図2の左右方向)に沿って並べられる。以下では、この光の進行方向はZ方向と規定し、光源基板16、コリメートレンズ17及び配光レンズ20の長手方向をX方向と規定し、短手方向をY方向と規定する。本例では、X方向は車幅方向に沿い、Y方向は車両前後方向に沿っている。
【0016】
各光源19は、例えば、LEDからなる。複数の光源19は、光源基板16のコリメートレンズ17に対向する実装面16aに実装されている。複数の光源19は、X方向及びY方向にマトリックス状に配置されている。
【0017】
ケース体14は、遮光性樹脂等にてZ方向に延びる矩形筒状に形成され、光源基板16、コリメートレンズ17及び配光レンズ20を収容する。ケース体14の開口側には、表示部13が設けられている。
【0018】
図2に示すように、コリメートレンズ17は、透明光学樹脂又は光学ガラスにより形成されるコリメート光生成レンズである。コリメートレンズ17は、光源19から放射された光を入射し、Z方向に進むように平行化した平行光を放射する。コリメートレンズ17は、複数の凸レンズ部17aを備える。複数の凸レンズ部17aは、上述した光源19と同様にマトリックス状に配置されている。本例では、凸レンズ部17aと光源19は1対1でZ方向に対向する位置関係で設けられている。
【0019】
図3及び図4に示すように、配光レンズ20は、例えば、階段形状のレンチキュラレンズであり、透明光学樹脂又は光学ガラスにより形成される。
詳しくは、配光レンズ20は、複数のレンズ分断部21a~21nと、側壁部22a,22bと、リブ23a,23bと、を備える。
【0020】
複数のレンズ分断部21a~21nは、X方向に沿って延びる直方体をなす。複数のレンズ分断部21a~21nは、Y方向に並べられ、かつ、互いにZ方向(配光レンズ20の厚さ方向)に位置がずれるように階段状に配置されている。複数のレンズ分断部21a~21nは、互いに同じ形状をなす。
【0021】
図5においては、例えば、レンズ分断部21a~21nの個数は、Y方向に並ぶ光源19の個数と同数に設定されており、レンズ分断部21a~21nと光源19は1対1で、Z方向(光線方向)に対向した位置にある。図5の一例では、Y方向に並ぶ光源19の個数とレンズ分断部21a~21nの個数は、何れも、7個である。
なお、これに限らず、図2に示すように、レンズ分断部21a~21nの個数(3個)は、Y方向に並ぶ光源19の個数(2個)よりも多く設定されてもよい。以下では、図5の一例をメインとして説明する。
【0022】
図5に示すように、各レンズ分断部21a~21nは、コリメートレンズ17に対向する入射面21Iと、表示装置10に対向する出射面21Oと、を備える。
図3に示すように、入射面21Iには、複数のシリンドリカルレンズ部24aが形成されている。図4に示すように、出射面21Oには、複数のシリンドリカルレンズ部24bが形成されている。各シリンドリカルレンズ部24a,24bは、凸状、例えば半円柱状に形成され、Y方向に沿って延び、X方向に配列されている。各シリンドリカルレンズ部24a,24bは、配光レンズ20の表裏(Z方向)対称で形成されている。シリンドリカルレンズ部24a,24bは、コリメートレンズ17からの平行光を、表示部13の大きさに合わせて、X方向に配光(収斂又は拡散)する。
【0023】
図5に示すように、複数のレンズ分断部21a~21nは、Y方向の一端部(図5の上端部)から他端部(図5の下端部)に向かって、レンズ分断部21a→レンズ分断部21b→レンズ分断部21c→レンズ分断部21d→レンズ分断部21e→レンズ分断部21f→レンズ分断部21nの順番で並べられている。例えば、レンズ分断部21bの上端面は、レンズ分断部21aの下端面に、レンズ分断部21a,21bのZ方向の中心位置からずれた状態で、連結されている。各レンズ分断部21a~21n間のズレ量は一定である。レンズ分断部21a~21nは、階段状に配置されるため、各入射面21Iがコリメートレンズ17に正対しつつ、傾斜方向Wに沿って延びる。
【0024】
図3に示すように、レンズ分断部21a~21nの各入射面21I間を連結する端面20Tは、各入射面21Iに直交する方向に延びる平面状をなす。図4に示すように、レンズ分断部21a~21nの各出射面21O間を連結する端面20Gは、各出射面21Oに直交する方向に延びる平面状をなす。
【0025】
図5に示すように、レンズ分断部21a~21nそれぞれの入射面21Iと実装面16aの間は、互いに異なる距離La~Lnに設定されている。
距離Laは、レンズ分断部21aの入射面21Iと実装面16aの間の光路距離である。
距離Lbは、レンズ分断部21bの入射面21Iと実装面16aの間の光路距離である。
距離Lcは、レンズ分断部21cの入射面21Iと実装面16aの間の光路距離である。
距離Ldは、レンズ分断部21dの入射面21Iと実装面16aの間の光路距離である。
距離Leは、レンズ分断部21eの入射面21Iと実装面16aの間の光路距離である。
距離Lfは、レンズ分断部21fの入射面21Iと実装面16aの間の光路距離である。
距離Lnは、レンズ分断部21nの入射面21Iと実装面16aの間の光路距離である。
距離La~Lnの大小関係は、距離La<距離Lb<距離Lc<距離Ld<距離Le<距離Lf<距離Lnに設定されている。
各入射面21Iは、コリメートレンズ17から放射された平行光に略直交(直交を含む)することにより、平行光を正面で受けるように位置する。
【0026】
図3に示すように、側壁部22a,22bは、複数のレンズ分断部21a~21nのX方向の両側に位置し、傾斜方向Wに沿って延びる矩形板状をなす。リブ23a,23bは、側壁部22a,22bのX方向の外面に立設する。リブ23a,23bのY方向の両端部には、それぞれ厚さ方向に貫通する貫通孔23cが形成されている。貫通孔23cには、ケース体14(図2参照)内の図示しない支持ピンが挿通可能である。
【0027】
図2に示すように、表示部13は、配光レンズ20から放射された照明光を受けて、中間像を生成し、この中間像に基づく表示光Lを放射する。表示部13は、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶パネルであり、この液晶パネル上に中間像を生成する。表示部13は、迷光対策又は虚像の傾斜を目的として、照明光の光軸に対して傾けられる。表示部13は、複数のレンズ分断部21a~21nが並ぶ傾斜方向Wに沿う向きに設けられ、配光レンズ20に対面する。よって、レンズ分断部21a~21n毎で出射面21Oと表示部13の間の距離が同一となる。本例では、表示部13のY方向の第1端部(実装面16aに近い図2の上端部)は、虚像V(図1参照)の下部に対応し、表示部13のY方向の第2端部(実装面16aから遠い図2の下端部)は、虚像Vの上部に対応する。
【0028】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、GDC(Graphics Display Controller)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える。制御部50は、表示装置10、例えば、複数の光源19及び表示部13を制御する。
【0029】
制御部50は、表示部13への表示画像に応じて、全ての光源19のうち選択的に光源19を点灯させ、残りの光源19を消灯させるローカルディミング機能を有する。図7及び図8に示すように、1つの光源19が点灯されると、表示部13の表示可能領域13R内の照明範囲19cが照明される。
なお、照明範囲19cのサイズは、表示可能領域13R上のサイズを光源19の行列数で割ったサイズとする。照明範囲19cの形状は、本例では、矩形状をなす。なお、照明範囲19cの形状は、矩形状に限らず、円形状(楕円を含む)であってもよい。なお、照明範囲19cのサイズは、表示可能領域13R内に設定された実使用領域上のサイズを光源19の行列数で割ったサイズとしてもよい。実使用領域は、虚像Vの歪みを打ち消すために表示部13での表示を歪ませる制御(ワーピング)や、種々の表示範囲の変更によって使用上不要となる領域を表示可能領域13Rから除いた範囲である。照明範囲19cのサイズは実使用領域に基づいて決定されることが望ましい。これは、不要な領域を照らすことで効率が低下することが無いためである。
【0030】
図6図8を参照しつつ、ローカルディミング機能の一例について説明する。
制御部50は、図6に示すように、表示可能領域13R内で2つの表示画像13a,13bを表示する。2つの表示画像13a,13bは、互いに離れた位置で異なる形状をなす。表示画像13a,13bは、それぞれ、文字、図形又は記号等の情報を含む。表示可能領域13R内の表示画像13a,13b以外の領域では光を通さない非透過状態にある。
【0031】
制御部50は、表示可能領域13Rに表示画像13a,13bを表示しつつ、図7及び図8に示すように、複数の光源19のうち表示画像13aに対応する複数の選択光源19aを点灯させ、複数の光源19のうち表示画像13bに対応する複数の選択光源19bを点灯させる。選択光源19a,19b以外の各光源19は消灯された状態にある。複数の選択光源19aが点灯されると、表示可能領域13R内の表示画像13aを含むように複数の照明範囲19cが形成されている。また、複数の選択光源19bが点灯されると、表示可能領域13R内の表示画像13bを含むように複数の照明範囲19cが形成されている。
【0032】
表示装置10がローカルディミング機能を有する構成では、光源19の位置に関わらず、各光源19に対応する照明範囲19cの大きさ、サイズ及び照度が互いに同一であることが望ましい。この点、配光レンズ20は、後述するように、各光源19に対応する照明範囲19cの大きさ、面積及び照度を均一化するように作用する。
【0033】
次に、本実施形態の作用効果について、比較例と比較しつつ説明する。
比較例では、図9に示すように、表示装置110は、複数の光源119と、コリメートレンズ117と、配光レンズ120と、表示部113と、を備える。配光レンズ120以外の光源119、コリメートレンズ117及び表示部113は、それぞれ、本実施形態の光源19、コリメートレンズ17及び表示部13と同様の構成である。この比較例に係る配光レンズ120は、レンチキュラレンズなど(配光制御機能レンズ、シリンドリカルレンズの集合レンズ体)からなり、本実施形態の配光レンズ20と異なり階段状となっておらず、X方向及びY方向に沿う平板状をなす。
【0034】
この比較例では、表示部113がY方向に傾斜しているため、表示部113のY方向の一端側(図9の上端部)の照射範囲E1は、表示部113のY方向の他端側(図9の下端部)の照射範囲E2に比べて、配光レンズ120に近い位置となる。このため、照射範囲E1,E2は、配光レンズ120を構成するそれぞれ異なる1つの単レンズごとに対応して設けられるものの、照射範囲E1,E2間で、照射範囲E1,E2のサイズ、形状及び照度が異なる。この比較例では、照射範囲E1は、照射範囲E2よりも面積が大きく、照射範囲E2よりも照度が低くなる。例えば、この比較例では、図10に示すように、3つのエリアF1,F2,F3で、それぞれ4つの光源119を点灯させた場合でも、図11に示すように、配光レンズ120との距離に応じて、各エリアF1,F2,F3に対応する照明範囲G1,G2,G3及びそれらの照度が異なる。照射範囲の面積が大きくなると、隣り合う光源の照射範囲同士が重なり、中間像の均斉度が低下するおそれがある。また、照射範囲が伸びてしまうことによる像品位の低下と、表示像がくっきりしなくなるコントラストの低下を招くおそれがある。また、照明範囲の形状が矩形や円形に近い左右もしくは上下対称の照明形状から、台形などの非対称に近づいてしまう。これにより、中間像面に表示するコンテンツに対しての部分点灯における照明が扱いづらくなり、点灯数の効率が悪くなるなどにより消費電力やコントラスト、均斉度の悪化等につながる。
なお、図9に示されるそれぞれの照射範囲は、照射範囲の一部である。図示される照射範囲以外にも、照射範囲は存在する。加えて、配光レンズ120から出射される光の一部は、表示部113に到達しない場合があってもよい。また、図9では、配光レンズ120から出射される光が、表示部113の手前側で結像する構成が示されている。しかし、この光は表示部113の奥側で結像してもよい。
【0035】
この比較例では、表示部113がY方向に傾斜している場合について説明したが、この比較例に限らず、表示部113がY方向に傾斜せずにY方向に沿う向きで設けられる場合でも、従来、中間像上の照明範囲のサイズや形状を考慮した部品間距離やレンズ形状にしていないため、LEDなどの光源1つ1つを点灯させたときの照明範囲の形状が伸びていたり縮んでいたりなどの症状が発生する。それにより、ローカルディミング機能で部分点灯した際のコントラストが高くできない、均斉度が低下する、像の見栄えが悪いなどの問題が生じる。
【0036】
上記のような比較例に対して、本実施形態では、配光レンズ20の複数のレンズ分断部21a~21nが表示部13に沿うように階段状をなしているため、図7及び図8に示すように、複数の光源19の何れの光源を点灯させても、照明範囲及びその照度が均等となる。これにより、本実施形態では、上述した比較例の課題、すなわち、中間像の均斉度の低下、コントラストの悪化、像品位の低下等を抑制することができる。
【0037】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)表示装置10は、光を発する光源19と、光源19からの光に基づき表示像を表示する表示部13と、光源19からの光を平行光とするコリメートレンズ17と、平行光を表示部13に向けて配光する配光レンズ20と、を備える。配光レンズ20は、配光レンズ20の厚さ方向の一例であるZ方向に交わる並列方向の一例であるY方向に並べられ、Z方向に位置が互いにずれるように階段状に配置される複数のレンズ分断部21a~21nを備える。複数のレンズ分断部21a~21nそれぞれの入射面21Iは、入射する平行光に対する向きが互いに同一となるように形成されている。
この構成によれば、複数のレンズ分断部21a~21nを階段状に配置することにより、光源19の位置に関わらず、表示像(例えば、中間像)への照明範囲及び/又は照度にバラツキが生じることが抑制される。これにより、表示像の表示品位を向上させることができる。また、無駄な光が少なくなり、光の効率を高めることができ、ひいては消費電力を抑制することができる。
また、各レンズ分断部21a~21nは、互いに同一形状で形成可能であるため、配光レンズ20の入射面21I及び出射面21Oそれぞれの曲率の徐変の設計等が不要となり、配光レンズ20の設計及び製造が容易である。
【0038】
(2)表示装置10は、複数の光源19がY方向にn個(nは任意の自然数である)並んで実装される実装面16aを有する光源基板16を備える。複数のレンズ分断部21a~21nは、n個と同数以上の数でY方向に並べられる。
この構成によれば、複数のレンズ分断部21a~21nの階段数が多くなり、表示像の表示品位を向上させることができる。
特に、レンズ分断部21a~21nの数と光源19の数が同数であれば、レンズ面形状を光源単位で各段共通で設計できる。
【0039】
(3)ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示装置10と、表示装置10の表示部13により表示された表示像からの表示光Lを被投射部材の一例であるウインドシールド201に導くことにより虚像Vを表示する光学リレーの一例である折り返しミラー31及び凹面ミラー32と、を備える。
この構成によれば、虚像Vの表示品位を向上させることができる。
【0040】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0041】
(変形例)
上記実施形態においては、レンズ分断部21a~21nの個数は、Y方向に並ぶ光源19の個数と同数に設定されていたが、これに限らず、Y方向に並ぶ光源19の個数よりも多い数に設定されてもよい。例えば、図12に示すように、レンズ分断部21a~21nの個数は、Y方向に並ぶ光源19の個数(例えば、7個)よりも多い数、本例では、13個である。さらに、レンズ分断部21a~21nの個数は、Y方向に並ぶ光源19の個数よりも少ない数に設定されてもよい。
【0042】
上記実施形態においては、各レンズ分断部21a~21nは、Y方向に傾斜する傾斜方向Wに沿って並ぶ階段状をなし、かつX方向に沿って延びる直方体をなしていた。これに加えて、例えば、図13に示すように、X方向に対して傾斜した傾斜方向Hに沿って並ぶ階段状をなしていてもよい。この場合、各レンズ分断部21a~21nは、傾斜方向Hに並ぶ階段状をなす再分断部25a~25nを備える。この構成は、表示部13が傾斜方向W及び傾斜方向Hの2方向に傾いている場合に好適である。再分断部25a~25nの数は、X方向に並ぶ光源19の個数と同数以上に設定されてもよいし、X方向に並ぶ光源19の個数と同数未満に設定されてもよい。各レンズ分断部21a~21nの出射面及び出射面には、それぞれ、複数、例えば、3つのシリンドリカルレンズ部を有する。
この変形例では、配光レンズ20は、X方向及びY方向の両方向に階段状をなしていたが、Y方向に階段状でなく、Y方向に沿って延びる直方体をなしていてもよい。
【0043】
上記実施形態においては、表示装置10は、ローカルディミング機能を有していたが、ローカルディミング機能は省略されてもよい。この場合、制御部50は、中間像を表示する際に、複数の光源19の全てを点灯する。
【0044】
上記実施形態においては、表示部13は、中間像を生成する液晶パネルであったが、これに限らず、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いたレーザー光走査方式であってもよいし、DMD(Digital Micro mirror Device)を用いた方式であってもよい。この場合でも、上記実施形態と同様に、光源19と表示部13の間に、コリメートレンズ17及び配光レンズ20が設けられることにより、中間像の表示品位を向上させることができる。
【0045】
上記実施形態においては、レンズ分断部21a~21nの入射面21I及び出射面21Oは、両凸状のシリンドリカルレンズ部が形成されていたが、これに限らず、入射面21I及び出射面21Oの少なくとも何れかは、凹状又は平面状に形成されていてもよい。
上記実施形態においては、複数のレンズ分断部21a~21nは、互いに同じ形状をなしていたが、これに限らず、互いに異なる形状をなしていてもよい。
上記実施形態においては、表示装置10は、1枚の階段状の配光レンズ20を備えていたが、階段状の配光レンズ20は複数枚設けられていてもよい。
上記実施形態においては、階段状に並ぶレンズ分断部21a~21nの端面20T,20G(図3及び図4参照)は、X方向及びZ方向に延びる平面状をなしていたが、これに限らず、端面20T,20Gの角部は、迷光緩和のためにR面又はC面であってもよく、テーパー形状を有してもよい。
【0046】
上記実施形態では、ヘッドアップディスプレイ装置100は車両200に搭載されていたが、車両200に限らず、飛行機、船等のその他の乗り物に搭載されてもよい。表示光Lが投射される被投射部材はウインドシールド201に限らず、専用のコンバイナであってもよい。
【0047】
上記実施形態においては、折り返しミラー31及び凹面ミラー32の少なくとも何れかが省略されてもよい。
上記実施形態においては、表示装置10は、ヘッドアップディスプレイ装置100に適用されていたが、これに限らず、直視型の表示装置であってもよい。
上記実施形態においては、各レンズ分断部21a~21n間のZ方向のズレ量は一定であったが、ズレ量は一定でなくてもよい。
上記実施形態においては、表示部13はY方向に対して傾斜していたが、これに限らず、Y方向に沿って設けられていてもよい。
【0048】
上記実施形態には、例えば、以下の付記1に記載の技術的思想が開示されている。なお、付記1は、本発明を何ら限定的に解釈するものではない。
(付記1)
平行光を表示部に向けて配光する配光レンズであって、
前記配光レンズは、前記配光レンズの厚さ方向に交わる並列方向に並べられ、前記厚さ方向に位置が互いにずれるように階段状に配置される複数のレンズ分断部を備え、
前記複数のレンズ分断部それぞれの入射面は、入射する前記平行光に対する向きが互いに同一となるように形成されている、
配光レンズ。
【符号の説明】
【0049】
1 視認者
10,110 表示装置
11 バックライトユニット
13,113 表示部
13R 表示可能領域
13a,13b 表示画像
14 ケース体
16 光源基板
16a 実装面
17,117 コリメートレンズ
17a 凸レンズ部
19,119 光源
19a,19b 選択光源
20,120 配光レンズ
20G,20T 端面
21I 入射面
21O 出射面
21a~21n レンズ分断部
22a,22b 側壁部
23a,23b リブ
23c 貫通孔
24a,24b シリンドリカルレンズ部
25a~25n 再分断部
31 折り返しミラー
32 凹面ミラー
33 ハウジング
33a 窓部
50 制御部
100 ヘッドアップディスプレイ装置
200 車両
201 ウインドシールド
E1,E2 照射範囲
F1,F2,F3 エリア
G1,G2,G3,19c 照明範囲
H,W 傾斜方向
L 表示光
V 虚像
Eb アイボックス
La~Ln 距離
図1
図2
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図4
図5
図6
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図10
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図12
図13