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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155916
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】リアクトルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20241024BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20241024BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20241024BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20241024BHJP
   H01F 41/12 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01F37/00 C
H01F37/00 M
H01F37/00 H
H01F27/28 K
H01F27/24 K
H01F27/24 Q
H01F41/04 A
H01F37/00 J
H01F41/12 A
H01F41/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115582
(22)【出願日】2024-07-19
(62)【分割の表示】P 2020183863の分割
【原出願日】2020-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 孝輔
(57)【要約】      (修正有)
【課題】連結コイルを採用してもバリ発生が抑制されたリアクトル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】連結コイル1は、一本の導電線10中の離間した複数箇所がエッジワイズ巻により巻回され、第1コイル11、第2コイル12及びこれらを繋ぐ連結部2を少なくとも有する。第1コイル11及び第2コイル12は、互いの巻軸13Aを平行にして、当該巻軸13Aと直交する方向に並べられる。連結部2は、幅広面26aが巻軸13Aと平行になる方向に倒れ込むように折り曲げられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の導電線中の離間した複数箇所をエッジワイズ巻により巻回することで、連結コイルを作成するコイル作成工程と、
前記連結コイルをコアに装着した後、少なくとも前記連結コイルを樹脂で被覆するモールド工程と、
を含み、
前記コイル作成工程では、
前記連結コイル内に、第1コイル及び第2コイルを作出し、
前記第1コイル及び前記第2コイルが互いの巻軸を平行にして並べ、
前記第1コイル及び前記第2コイルを繋ぐ連結部を、前記第1コイル及び前記第2コイルの間に延ばし、
前記連結部を、当該連結部の幅広面が前記巻軸と平行になる方向に倒れ込むように折り曲げる折り曲げ工程を含み、
前記モールド工程では、前記第1コイルと前記第2コイルの捻れを矯正しながら、少なくとも前記連結コイルを樹脂で被覆すること、
を特徴とするリアクトルの製造方法。
【請求項2】
前記連結コイルを前記コアに装着する前に、環形状の前記コアに対し、当該コアのヨーク部を被覆するヨーク被覆部を含むコア被覆樹脂を被せるコア被覆工程を有し、
前記折り曲げ工程では、前記連結部は、前記ヨーク被覆部の表面に非接触となるように、前記ヨーク被覆部側に折り曲げられること、
を特徴とする請求項1記載のリアクトルの製造方法。
【請求項3】
前記連結部と前記ヨーク被覆部の互いの対向面間距離は、0.5mm以上5.0mm以下であること、
を特徴とする請求項2記載のリアクトルの製造方法。
【請求項4】
前記モールド工程では、
前記第1コイルと前記第2コイルを各々挟んで各第1の板体と各第2の板体を配置し、
前記第1の板体と前記第2の板体の一方を介して前記第1コイルと前記第2コイルを押圧することで、前記捻れを矯正すること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のリアクトルの製造方法。
【請求項5】
前記モールド工程の際に、押圧される前記第1の板体と前記第2の板体の一方は、平面全域が埋まった中実の平板であること、
を特徴とする請求項4記載のリアクトルの製造方法。
【請求項6】
前記モールド工程の際に、前記第1コイルと前記第2コイルが押し付けられる前記第1の板体と前記第2の板体の他方は、枠体であること、
を特徴とする請求項4又は5記載のリアクトルの製造方法。
【請求項7】
前記モールド工程では、前記連結部の幅広面をピンで押さえてから樹脂でモールドすること、
を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のリアクトルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアクトル及びリアクトルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルはコイルとコアとを有し、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積及び放出する受動素子である。リアクトルは、多種多様の用途に使用されている。代表的なリアクトルとして、昇圧リアクトル、直列リアクトル、並列リアクトル、限流リアクトル、始動リアクトル、分路リアクトル、中性点リアクトル及び消弧リアクトル等が挙げられる。
【0003】
昇圧リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等の車載用の昇圧回路に組み込まれる。直列リアクトルは、電動機回路に直列に接続し短絡時の電流を制限する。並列リアクトルは、並列回路間の電流分担を安定させる。限流リアクトルは、短絡時の電流を制限しこれに接続される。始動リアクトルは、機械を保護する電動機回路に直列に接続して始動電流を制限する。分路リアクトルは、送電線路に並列接続されて進相無効電力の補償や異常電圧を抑制する。中性点リアクトルは、中性点と大地間に接続して電力系統の地絡事故時に流れる地絡電流を制限するために使用する。消弧リアクトルは、三相電力系統の1線地絡時に発生するアークを自動的に消滅させる。
【0004】
このリアクトルでは、コアをコア被覆樹脂で被覆し、コア被覆樹脂を介してコイルをコアに装着している。また、コアとコイルを構成要素とするリアクトル本体についても、少なくともコイルをモールド樹脂により被覆している。コア被覆樹脂及びモールド樹脂により、コアとコイルとの間やコイルと外部部材との間の絶縁を図り、またコアやコイルに対して、例えばコイルのエナメル被覆が破けないように、コアやコイルに対する直接的な物理的接触から保護している。
【0005】
モールド樹脂については、リアクトル本体を金型内に収容し、金型内に樹脂を射出する射出成型が多用される。例えば、コイルの一部領域を樹脂で被覆せずに、コイルの一部を露出させたリアクトルがある。コイルの一部が露出することで、コイルの状態が視認可能になり、またコイルの放熱性が確保できる。このようなリアクトルにおいては、コイルの表面に金型を押し付けたり、コイルの表面に枠体を押し付けたりして、露出予定の領域に樹脂が入り込まないようにしている(例えば特許文献1乃至3参照)。
【0006】
コイルは、巻軸に沿って1ターンごとに巻き位置をずらしながら導電線を螺旋状に巻回して筒状に作成され、4枚の平坦面と4枚の湾曲面とが交互に配された外形形状を有する。製造精度上の理由から、コイルの表面は必ずしも平滑面にはなっていないし、コイルの表面には捻れが発生している。そのため、金型や枠体をコイルに密着させようとしても、金型や枠体とコイルの表面の間に隙間が発生する虞がある。そうすると、この隙間から樹脂が侵入して、露出させようとした表面にバリが発生する虞がある。
【0007】
この問題に対しては、金型や枠体をコイルの表面に強く押し付けて、コイルの表面を凹凸や捻れを矯正している。尚、枠体を介してコイルを押し付けるのは、この凹凸や捻れの矯正のために、金型でコイルを強く押すと、コイルを傷付けてしまい、例えばエナメル被覆が破れるからである。
【0008】
ここで、リアクトルには、連結コイルが配されることがある。連結コイルは、大電流領域において高いインダクタンス値を得るため、2個のコイルを並列状に形成し、双方のコイルを流れる電流の方向が互いに逆向きになるように連結している。この連結コイルは、1本の導電線から成形される場合がある。即ち、1本の導電線の片側領域を用いて1個目のコイルを成形し、同じ導電線の他方側領域を用いて2個目のコイルを成形する。2個のコイルの成形に用いた範囲に挟まれた残りの導電線部分が2個のコイルを連結する連結部になる(例えば特許文献4参照)。
【0009】
2つの別々のコイルをリアクトルに搭載する場合には、端子が4つ必要になり、リアクトルの材料コストが向上する。また、2つの別々のコイルを連結する場合、2つの別々のコイルの端部を溶接する必要があり、作業工数が増加する。一方、連結コイルは端子が2つでよく、また2つのコイルの端部を溶接する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第5869518号公報
【特許文献2】特開2015-130410号公報
【特許文献3】特開2018-011019号公報
【特許文献4】特許第4812641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
コイルの材料となる導電線には平角線がある。コイルの巻回方法としては、エッジワイズ巻があり、エッジワイズ巻では、導電線の幅広面がコイルの巻軸との直交方向に拡がるように、導電線が巻回される。このエッジワイズ巻は、フラットワイズ巻と比べて、同巻数であればコイルの巻軸方向を短縮できる利点がある。
【0012】
連結コイルにおいて、導電線に平角線を採用し、また巻回方法としてエッジワイズ巻を採用した場合、巻軸と直交するように延び、2つのコイルを繋いでいる連結部は、各コイルの端部から素直に他コイルの端部へ向けて引き延ばすと、幅広面が巻軸と直交するように拡がる。一方、モールド樹脂を形成する際、樹脂漏れを抑制するために、金型や枠体でコイルの表面を強く押して、コイルの表面の凹凸や捻れを矯正するが、この金型や枠体がコイルを押す方向も、巻軸と直交する方向である。
【0013】
金型や枠体でコイルの表面を押す方向に対して、連結コイルの連結部がある程度柔軟でないと、コイルに力が伝わらずに、コイルの表面の凹凸や捻れを矯正できない。しかしながら、連結部は、金型や枠体でコイルの表面を押す方向に沿った幅広面を有している。連結部は、一方のコイルを押す力について考える場合、そのコイルの端部を力点とする片持ち梁とみなすことができる。この連結部の断面二次モーメントは、幅広面の幅の三乗と幅狭面の幅の積に比例する。
【0014】
従って、1本の導電線をエッジワイズ巻した連結コイルが採用されたリアクトルにおいては、連結部が強靱な梁となって、コイルの表面の凹凸や捻れの矯正効果を減殺させてしまう。そうすると、モールド樹脂の成型の際、コイルと金型や枠体との間から樹脂が漏れ、露出させようとした表面にバリが発生する虞を解消することができない。
【0015】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、連結コイルを採用してもバリ発生が抑制されたリアクトル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような課題を解決するため、本発明のリアクトルの製造方法は、一本の導電線中の離間した複数箇所をエッジワイズ巻により巻回することで、連結コイルを作成するコイル作成工程と、前記連結コイルをコアに装着した後、少なくとも前記連結コイルを樹脂で被覆するモールド工程と、を含み、前記コイル作成工程では、前記連結コイル内に、第1コイル及び第2コイルを作出し、前記第1コイル及び前記第2コイルが互いの巻軸を平行にして並べ、前記第1コイル及び前記第2コイルを繋ぐ連結部を、前記第1コイル及び前記第2コイルの間に延ばし、前記連結部を、当該連結部の幅広面が前記巻軸と平行になる方向に倒れ込むように折り曲げる折り曲げ工程を含み、 前記モールド工程では、前記第1コイルと前記第2コイルの捻れを矯正しながら、少なくとも前記連結コイルを樹脂で被覆すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、モールド樹脂の成型の際に、連結コイル中のコイルの凹凸や捻れを矯正することが容易になり、バリ発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】リアクトル本体の斜視図である。
図2】コア部を示す斜視図であり、(a)はコア部内部のコアを示し、(b)はコア部外部のコア被覆樹脂を示す。
図3】連結コイルの第1の斜視図である。
図4】連結コイルの第2の斜視図である。
図5】第1コイルと第2コイルを第1の板体と第2の板体で押さえた状態を示す斜視図であり、(a)は第1の板体側を示し、(b)は第2の板体側を示す。
図6】第1コイルと第2コイルを第1の板体と第2の板体で押さえた状態を示し、巻軸に直交する方向に沿って切った断面図である。
図7】リアクトル本体をモールド樹脂で被覆したリアクトルを示す斜視図である。
図8】連結部とヨーク被覆部の拡大側面斜視図である。
図9】第1の板体の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係るリアクトル及びその製造方法について図面を参照しつつ説明する。図1は、リアクトル本体6の構成を示す斜視図である。リアクトル本体6は、車載用の昇圧回路に組み込まれる昇圧リアクトルとして用いられる他、直列リアクトル、並列リアクトル、限流リアクトル、始動リアクトル、分路リアクトル、中性点リアクトル及び消弧リアクトル等にも用いられる。このリアクトル本体6は、モールドコア3と連結コイル1とを備えている。
【0020】
モールドコア3には、連結コイル1が装着されている。このモールドコア3は、閉磁路となって連結コイル1が発生させた磁束を真空よりも高い透磁率に従って通す環状体である。モールドコア3は、図2の(a)に示すコア31を備えている。コア31は、フェライトコア、積層鋼板、圧粉磁心又はメタルコンポジット等の磁性体であり、メタルコンポジットコアは、磁性粉末と樹脂とが混練され成型されて成るコアである。
【0021】
このコア31は、連結コイル1が装着される2本の脚部311と、2本の脚部311を繋ぐヨーク部312とを備える環形状を有している。このコア31は、例えばU字形ブロックの端部同士を突き合わせて接合し、環形状を成す。U字形ブロック同士は、接合端面を接着剤で接着してもよいし、テープで巻いて固定してもよい。U字形ブロック内には、コア31の磁気抵抗を上げるギャップが配置されていてもよい。
【0022】
また、モールドコア3は、図2の(b)に示すように、コア被覆樹脂32を備えている。コア被覆樹脂32は、一定の形を保持する成形品であり、コア31を被覆する。連結コイル1は、コア被覆樹脂32を介してコア31に巻回される。このコア被覆樹脂32は、コア31に嵌め込まれる連結コイル1とコア31とを絶縁する。コア被覆樹脂32は、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)、又はこれらの複合が材質として用いられている。
【0023】
このコア被覆樹脂32は、コア31の形状に倣い、2本の脚部311を被覆する脚部被覆部321と、ヨーク部312を被覆するヨーク被覆部322とを備える環形状を有している。コア被覆樹脂32は、コア31の両U字形ブロックを金型に入れて樹脂により射出成型することで、コア31を被覆する。尚、モールドコア3は、2本の脚部311を有する環状形状の他、3本の脚部311を有するθ形状、更には4本以上の脚部311を有し、環形状が連なった形状であってもよい。
【0024】
図1に戻り、連結コイル1は、エナメル被覆された銅線等の導電線10による筒状の巻回体であり、電流が流され、巻数に従って磁束を発生させる。この連結コイル1は、大電流領域において高いインダクタンス値を得るため、複数個のコイルを並列状に形成し、双方のコイルを流れる電流の方向が互いに逆向きになるように連結している。例えば、連結コイル1は、第1コイル11と第2コイル12を備えている。第1コイル11と第2コイル12は、互いの巻軸13Aを平行にして、当該巻軸13Aと直交する並び方向13Bに沿って並べられている。そして、第1コイル11と第2コイル12は、コア被覆樹脂32の脚部被覆部321を介して、モールドコア3の2本の脚部311に嵌め込まれている。
【0025】
第1コイル11と第2コイル12は、両一方端面から引き出された連結部2で連結されており、外部との電流入出力のために両他方端面に引出線11b及び引出線12bが引き出されている。このような連結コイル1に対して、引出線11b及び引出線12bを介して電流が流されると、連結コイル1は巻数に従って磁束を発生させる。モールドコア3は、閉磁路となって連結コイル1が発生させた磁束を真空よりも高い透磁率に従って通す。そのため、リアクトル本体6は、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積及び放出する電磁気部品となる。
【0026】
ここで、連結部2は、第1コイル11と第2コイル12の間に延び、コア被覆樹脂32のヨーク被覆部322の表面323に向けて倒れ込むように折り曲げられている。このような連結コイル1の詳細構成を図3及び図4に示す。
【0027】
図3及び図4は、連結コイル1を各方向から見た斜視図である。図3及び図4に示すように、連結コイル1の胴体11a及び胴体12aは、導電線10を巻軸13Aに沿って1ターンごとに巻位置をずらしながら螺旋状に巻回することで形成された巻回体である。第1コイル11及び第2コイル12は、螺旋状のエッジワイズコイルである。螺旋状のエッジワイズコイルは、平角状の導電線10の幅広面26aが巻軸13Aとの直交方向に拡がり、幅狭面26bが巻軸13Aに沿って拡がるように、導電線10が巻回されて成る。
【0028】
第1コイル11、第2コイル12及び連結部2は、同一の一本の導電線10を成形することで形成されている。一本の導電線10の第1巻線範囲10aを巻回して第1コイル11を成形していく。また、一本の導電線10の第1巻線範囲10aとは反対側の第2巻線範囲10bを巻回して第2コイル12を成形していく。また、一本の導電線10の第1巻線範囲10aと第2巻線範囲10bの間の第3連結範囲10cが連結部2に形作られる。
【0029】
連結部2は、第1コイル11の端部11cを基端にして延びる余長部22と、第2コイル12の端部12cを基端にして延びる余長部22と、両余長部22を繋ぐ架線部21を備えている。架線部21は、第1コイル11と第2コイル12とを架け渡して延び、両余長部22を繋ぐ。この架線部21は、第1コイル11の端部11cと第2コイル12の端部12cの直線距離である端部間距離13Cと同一の長さを有する。
【0030】
第1コイル11から延びる余長部22の基端側は、巻軸13Aと直交した方向、且つ第2コイル12の端部12cの方向とは異なる方向に引き出される。余長部22は、途中に屈曲部23を有し、余長部22の途中から架線部21側が、第1コイル11の胴体11aと第2コイル12の胴体12aとは反対側であるヨーク部312の方向(以下、ヨーク方面24という)に折り曲げられている。第1コイル11から延びる余長部22の延び先先端は、架線部21と直角に接続される。
【0031】
同様に、第2コイル12から延びる余長部22の基端側は、巻軸13Aと直交した方向、且つ第1コイル11の端部11cの方向とは異なる方向に引き出される。この余長部22は、途中に屈曲部23を有し、余長部22の途中から架線部21側が、巻軸13Aに沿って、第1コイル11の胴体11aと第2コイル12の胴体12aとは反対側のヨーク方面24に折り曲げられている。第2コイル12から延びる余長部22の延び先先端は、架線部21と直角に接続される。
【0032】
総じて、第1コイル11側から出発して連結部2を辿ると、まず第1コイル11の端部11cから、巻軸13Aと直交した方向、且つ第2コイル12の端部12cの方向とは異なる方向に余長部22が引き出される。余長部22は、屈曲部23で巻軸13Aに沿ってヨーク方面24に折れ曲がる。そして、余長部22の延び先先端は、架線部21の端部に直角に繋がる。
【0033】
架線部21は、第1コイル11の胴体11aと第2コイル12の胴体12aから、巻軸13Aに沿って離れた位置に延在する。架線部21は、第1コイル11の端部11cと第2コイル12の端部12cの直線距離である端部間距離13Cだけ、第2コイル12に向かって巻軸13Aと直交して延びる。架線部21の端部は、第2コイル12の端部12cと巻軸13A方向で重なる位置に達する。
【0034】
第2コイル12に繋がる余長部22は、架線部21の端部から巻軸13Aに沿って第2コイル12の胴体12aに近づく方向に延びる。この余長部22は、屈曲部23で巻軸13Aと直交する方向に折れ曲がって、第1コイル11の端部11cの方向とは異なる方向から第2コイル12の端部12cに至る。
【0035】
図1に示されるように、このような連結コイル1を、モールドコア3に装着する。そうすると、連結部2は、コア被覆樹脂32のヨーク被覆部322の表面323に向けて倒れ込むように折り曲げられていることになる。連結コイル1は、平角線の導電線10をエッジワイズ巻により巻回して成る。そのため、折り曲げられた連結部2の架線部21は、幅広面26aが巻軸13Aと平行に拡がり、巻軸13Aと直交するのは幅狭面26bとなる。即ち、連結コイル1を樹脂で被覆するとき、連結コイル1の第1コイル11と第2コイル12の捻じれや凹凸を矯正するために、第1コイル11と第2コイル12を押す方向には、連結部2の架線部21の幅狭面26bが沿う。架線部21の幅広面26aは、押す方向と直交する方向に拡がる。
【0036】
図5は、第1コイル11と第2コイル12を第1の板体41と第2の板体42で押さえた状態を示す斜視図であり、(a)は第1の板体41側を示し、(b)は第2の板体42側を示す。図5に示すように、連結コイル1とモールドコア3とを組み付けた後は、第1コイル11と第2コイル12の各々を、絶縁性を有する樹脂を材料とした第1の板体41と第2の板体42で挟み込む。また、リアクトル本体6の温度等の物理量を検出するサーミスタ等のセンサ5が第1コイル11と第2コイル12との隙間に配置される。
【0037】
第1の板体41は、上面14aに載置され、第2の板体42は下面14bと接するように、第1コイル11と第2コイル12の下に敷かれる。尚、第1コイル11と第2コイル12は、巻軸13Aと平行な4枚の湾曲面と4枚の平坦面を交互につなぎ合わせた外形形状を有する。4枚の平坦面のうち、第1コイル11と第2コイル12の並び方向13Bと平行な一方を上面14aと呼び、この上面14aの裏面を下面14bと呼ぶ。
【0038】
第1の板体41は、平面全域が埋まった中実の平板である。一方、第2の板体42は、内部に露出窓42aを有する枠体である。この第2の板体42は、露出窓42aから第1コイル11と第2コイル12の下面14bの一部を開放し、第1コイル11と第2コイル12の放熱に適している。また、第2の板体42の露出窓42aから、第1コイル11と第2コイル12の状態を視認可能である。
【0039】
図6に示すように、第1の板体41を介して第1コイル11と第2コイル12に対して、上面14aから下面14bへ向かう方向に力をかける。第1コイル11と第2コイル12は、第2の板体42に押し付けられる。このとき、第1コイル11及び第2コイル12にかかる力の方向は、連結部2の架線部21の幅狭面26bが拡がる方向になっている。連結部2の架線部21の幅広面26aが拡がる方向は、この力の方向に直交するようになっている。
【0040】
そうすると、架線部21の断面二次モーメントは、幅狭面26bの幅の3乗と幅広面26aの幅との積に比例する。これに対し、屈曲部23を基点に折り曲げられる前の架線部21の断面二次モーメントは、幅広面26aの幅の3乗と幅狭面26bの幅との積に比例する。即ち、このリアクトル本体6は、連結部2の幅広面26aが巻軸13Aと平行になる方向に倒れ込むように連結部2が折り曲げられていることにより、第1コイル11及び第2コイル12に力をかけ易くなっている。
【0041】
そのため、第1コイル11と第2コイル12の凹凸や捻れを解消し易くなっている。換言すれば、第2の板体42に第1コイル11と第2コイル12を容易に押し付けることができ、第1コイル11や第2コイル12と第2の板体42との間の隙間が解消できる。
【0042】
尚、第1の板体41は、中実の平板であるため、第2の板体42と比べて剛性が高く、第1コイル11と第2コイル12の凹凸や捻れを解消させるための押圧板に適している。この第1の板体41は、第1コイル及び第2コイル12により大きな力をかけることができる。このリアクトル本体6においては、第1の板体41によって第1コイル11と第2コイル12に大きな力をかけることができ、連結部2の折り曲げによって第1コイル11と第2コイル12により大きな力を伝えることができる。
【0043】
図7に示すように、金型内に樹脂を射出し、モールド樹脂43で連結コイル1を連結部2を含めて被覆する。金型内に樹脂を射出する際、第1の板体41で第1コイル11と第2コイル12が第2の板体42に押し付けている。そのため、第2の板体42と第1コイル11及び第2コイル12との間の隙間は、第1コイル11及び第2コイル12の凹凸や捻れの矯正により消失し、露出窓42aにバリが発生することは抑制されている。
【0044】
尚、第1の板体41、第2の板体42及びモールド樹脂43は、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)、又はこれらの複合が材質として用いられている。
【0045】
ここで、図8は、連結部2とヨーク被覆部322の拡大側面斜視図であり、図面内ではモールド樹脂43を排除してある。図8に示すように、連結部2の屈曲部23は90度折り曲げられ、架線部21とヨーク被覆部322の表面323とは平行になっている。但し、屈曲部23は、ヨーク被覆部322の表面323とは高さ方向で離れた位置に配され、架線部21とヨーク被覆部322とは、0.5mm以上5.0mm以下の対向面間距離33Dを有している。
【0046】
架線部21とヨーク被覆部322との間に隙間は、第1の板体41で第1コイル11及び第2コイル12を押圧する際、架線部21の撓みの余地となる。但し、仮に5.0mm超の対向面間距離33Dを有すると、架線部21とヨーク被覆部322との間に充填されたモールド樹脂43にヒケやボイドが生じてしまう。しかし、対向面間距離33Dが5.0mm以下であるとヒケやボイドの発生を抑制できる。そのため、架線部21が露出したヒケやボイド箇所でエナメル被膜が剥がれて絶縁性が喪失することを抑制できる。
【0047】
更に、5.0mm超の対向面間距離33Dが形成されている場合、架線部21とヨーク被覆部322との間の隙間に勢い良く入り込んだ樹脂により、架線部21が煽られる虞がある。しかし、対向面間距離33Dが5.0mm以下であれば、架線部21を煽る力は弱まり、連結部2がモールド樹脂43から露出することを抑制できる。
【0048】
また、図7に戻り、連結部2を被覆するモールド樹脂43には、1箇所の孔部431aと2箇所の孔部431bとが形成され、連結部2が露出している。この孔部431aと孔部431bは、モールド樹脂43を形成する際、連結部2を押さえ付けた不図示のピン体の跡である。孔部431aは架線部21を押さえた跡であり、孔部431bは余長部22を押さえた跡である。0.5mm以上5.0mm以下の対向面間距離33Dが形成されている場合であっても、連結部2を押さえつけておくことにより、架線部21とヨーク被覆部322との間の入り込んだ樹脂が架線部21を煽って、連結部2がモールド樹脂43から露出してしまう虞を更に低減でき、連結部2のエナメル被膜の損傷を更に抑止できる。
【0049】
以上のように、このリアクトルは、コイル作成工程とモールド工程とを含み製造されるようにした。コイル作成工程では、一本の導電線10中の離間した複数箇所をエッジワイズ巻により巻回することで、連結コイル1を作成する。連結コイル1は、詳細には次のようにして作成されるようにした。即ち、第1コイル11及び当該第1コイル11の隣の第2コイル12を作出する。第1コイル11及び第2コイル12が互いの巻軸13Aを平行にして並べる。第1コイル11及び第2コイル12を繋ぐ連結部2を、第1コイル11及び第2コイル12の間に延ばす。
【0050】
そして、このコイル作成工程には、連結部2を、当該連結部2の幅広面26aが巻軸13Aと平行になる方向に倒れ込むように折り曲げる折り曲げ工程を含むようにし、連結コイル1をコア31に装着した後、その後のモールド工程で、第1コイル11と第2コイル12の捻れを矯正しながら、少なくとも連結コイル1を樹脂で被覆するようにした。
【0051】
これにより、リアクトル本体6の連結コイル1は、第1コイル11と第2コイル12の間に延び、当該連結部2の幅広面26aが巻軸13Aと平行になる方向に倒れ込むように折り曲げられた連結部2を備えることになる。そうすると、巻軸13Aとの直交方向に沿った連結部2の投影長さが短縮されるので、巻軸13Aとの直交方向から第1コイル11と第2コイル12とに力をかけ易くなる。そのため、第1コイル11と第2コイル12の凹凸や捻れを矯正し易くなり、モールド樹脂43を成型する際にバリが発生し難くなる。
【0052】
また、連結部2が巻軸13Aと平行になる方向に倒れ込むように折り曲げられているため、第1コイル11及び第2コイル12の各上面14aから連結部2が突出しない。そのため、連結部2が金型に干渉せず、第1コイル11及び第2コイル12の各上面14aの全体を金型で押圧できる。従って、この点でも第1コイル11及び第2コイル12に力を掛けやすくなる。
【0053】
この連結部2は、架線部21の幅広面26aが巻軸13Aと平行になるまで90度折り曲げ、ヨーク被覆部322の表面323に対して平行になるまで近づけたが、これに限らない。巻軸13Aとの直交方向に沿った連結部2の投影長さが短縮されれば、短縮された分だけ、第1コイル11と第2コイルとに力をかけ易くなる。但し、架線部21の幅広面26aが巻軸13Aと平行になるまで90度折り曲げられれば、断面二次モーメントが最小になり、第1コイル11と第2コイル12の凹凸や捻れの矯正効果が良好になる。少なくとも、45度以上折り曲げることが好ましい。
【0054】
また、この連結部2は、ヨーク方面24に折り曲げたが、第1コイル11と第2コイル12に力をかけ易くする観点では、第1コイル11の胴体11aと第2コイル12の胴体12aに重なる方向に折り曲げても良い。但し、連結部2をヨーク方面24側へ折り曲げることで、巻軸13Aと直交する高さ方向に関し、リアクトル本体6を低背化できる。また、連結部2を胴体11aや胴体12a側に折り曲げる場合と比べ、折り曲げのための冶具が第1コイル11の胴体11aと第2コイル12の胴体12aの側面と干渉することがない。そのため、折り曲げのための冶具の位置を自由に設定でき、折り曲げの精度が高まる。また、冶具で第1コイル11と第2コイル12を引っ掻いたりして傷付けることがない。
【0055】
また、連結部2の折り曲げ工程では、連結部2をヨーク被覆部322の表面323に非接触となるように、ヨーク被覆部322側に折り曲げられるようにした。これにより、凹凸や捻れの矯正のために第1コイル11と第2コイル12とに力を加えるとき、連結部2がヨーク被覆部322に支持されて撓み不能となることを防止できる。
【0056】
但し、連結部2とヨーク被覆部322の互いの対向面間距離33Dは、0.5mm以上5.0mm以下であるようにした。これにより、架線部21とヨーク被覆部322との間に充填されたモールド樹脂43にヒケやボイドが生じる虞を低減できる。そのため、ヒケやボイドを通じて架線部21に対して物理的な接触が生じ、例えばエナメル被膜が剥がれる等の傷つきが生じることを抑制できる。
【0057】
また、モールド樹脂43は、連結部2の幅広面26aが露出する複数の孔部431a,431bを有するようにした。これにより、モールド工程では、連結部2の幅広面26aをピンで押さえてから樹脂でモールドすることができる。そのため、連結部2の架線部21とヨーク被覆部322との間に隙間があっても、連結部2が煽られて変形し、モールド樹脂43から露出する虞が低減する。従って、連結部2がモールド樹脂43によって保護され、例えばエナメル被膜が傷つけられる等の虞が低減する。
【0058】
また、モールド工程において第1コイル11と第2コイル12への押圧体となる第1の板体41は、平面全域が埋まった中実の平板とした。この第1の板体41は高剛性であり、第1コイル11と第2コイル12を強く押圧することができる。従って、第1コイル11や第2コイル12の凹凸や捻れの矯正が更に容易になる。凹凸や捻れの矯正を連結部2の折り曲げ作用のみによって容易化する場合には、第1の板体41は、第2の板体42と同じく枠体であってもよい。
【0059】
尚、モールド工程では第1の板体41を介して第1コイル11と第2コイル12を押圧するようにしたが、これに限られない。金型を第1コイル11と第2コイル12に押し当てるようにして、第1コイル11や第2コイル12の凹凸や捻れを矯正してもよく、連結部2の折り曲げによって当該矯正が容易になる。
【0060】
また、このリアクトルでは露出窓42aを有する第2の板体42が設置され、第1コイル11や第2コイル12と第2の板体42との間に隙間が生じることによる露出窓42a内へのバリ発生を例示した。これに限られず、第1コイル11と第2コイル12の表面上のバリ切りされる箇所に隙間が生じてしまう状況に対し、連結部2の折り曲げは対処可能となる。
【0061】
ここで、このリアクトルにおいて、連結部2は、架線部21と余長部22とにより構成されるようにした。この連結部2は、第1コイル11と第2コイル12を電気的に連結するだけではなく、第1コイル11と第2コイル12の成形中の線材送り誤差を吸収するオフセット部である。余長部22は、第1コイル11と第2コイル12の成形中の線材送り誤差を吸収するために予め長めに取られており、第1コイル11と第2コイル12の並設位置は余長部22の長さを用いて調整される。換言すれば、余長部22は、第1コイル11と第2コイル12の成形中の線材送り誤差を吸収した後の余りである。
【0062】
連結部2としては、これに限られず、余長部22が予め長めに取られることがないため、オフセット部として機能せず、第1コイル11と第2コイル12を電気的に連結するのみであってもよい。即ち、連結部2は、第1コイル11の端部11cを始点にして第2コイル12の端部12cを終点とする架線部21を備えるようにしてもよい。
【0063】
このような、第1コイル11と第2コイル12を電気的に連結するのみの連結部2であっても、幅広面26aが巻軸13Aと直交するように立っていれば、第1コイル11と第2コイル12とに凹凸や捻れの矯正のための力をかけることが難しくなる。一方、このような連結部2であっても、当該連結部2の幅広面26aが巻軸13Aと平行になる方向に倒れ込むように折り曲げることで、第1コイル11と第2コイル12に力をかけ易くなる。
【0064】
尚、連結部2をヨーク被覆部322側へ折り曲げる屈曲部23は、余長部22に限らない。連結部2は、架線部21の長さ方向に沿って架線部21を折り曲げられたり、余長部22から架線部21と折れ曲がる境界部分25(図3及び図4参照)で折り曲げてもよい。もっとも、架線部21を長さ方向に沿って折り曲げる場合には曲げ加工を要する領域が長く延びてしまい、また境界部分25は、余長部22の端部から架線部21を延長するためにエッジワイズ曲げ加工により変形済みである。そのため、余長部22に屈曲部23を作出するほうが、容易に高精度の折り曲げ加工を施すことができる点で好ましい。
【0065】
以上、本発明の実施形態は例として提示したものであって、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。そして、実施形態やその変形は本発明の範囲に含まれるものである。
【0066】
例えば、第1の板体41は、第1コイル11及び第2コイル12の被覆体、及び第1コイル11及び第2コイル12の押圧体として機能させた。これに加え、第1の板体41を、引出線11b及び12bの位置決め部材として機能させることもできる。図9は、第2コイル12に配置された第1の板体41の部分拡大図である。第1コイル11に配置された第1の板体41については、第2コイル12に配置された第1の板体41と同一形状及び同一機能を有するため、説明を省略する。
【0067】
図9に示すように、この第1の板体41は、引出線12bの各々に重なって配置される。第1の板体41には、引出線12bと重なる位置に挟持部411が形成されている。挟持部411は、形状が鍬形になっており、引出線12bを挟み込み、引出線12bの延び先を矯正している。
【0068】
また引出線12bの引出基端121bと重なる位置に空間部412が形成されている。引出線12bが第2コイル12から引き出される際、引出方向に向けて引出基端121bが曲げられる。そのため、引出基端121bは湾曲し、引出基端121bの大きさには精度誤差が生じる。空間部412は、精度誤差のある引出基端121bに接触して、第1の板体41が置けなくなったり、挟持部411で挟み込めなくなったりする事態を抑止するため、大きく形成されている。
【符号の説明】
【0069】
1 連結コイル
10 導電線
10a 第1巻線範囲
10b 第2巻線範囲
10c 第3連結範囲
11 第1コイル
11a 胴体
11b 引出線
11c 端部
12 第2コイル
12a 胴体
12b 引出線
121b 引出基端
12c 端部
13A 巻軸
13B 並び方向
13C 端部間距離
14a 上面
14b 下面
2 連結部
21 架線部
22 余長部
23 屈曲部
24 ヨーク方面
25 境界部分
26a 幅広面
26b 幅狭面
3 モールドコア
31 コア
311 脚部
312 ヨーク部
32 コア被覆樹脂
321 脚部被覆部
322 ヨーク被覆部
323 表面
33D 対向面間距離
41 第1の板体
411 挟持部
412 空間部
42 第2の板体
42a 露出窓
43 モールド樹脂
431a 孔部
431b 孔部
5 センサ
6 リアクトル本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9