(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015592
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】拡散部材、表示装置、ヘッドアップディスプレイ装置及び乗物
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240130BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240130BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117743
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 航
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 友美
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA34
2H199DA43
3D344AA21
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】照度のムラを減らすことができる拡散部材、表示装置、ヘッドアップディスプレイ装置及び乗物を提供する。
【解決手段】拡散部材30は、光を拡散させつつ透過する出射面30Oを有し、透過した透過光を表示パネル13に放射する。出射面30Oは、ヘイズ値が第1ヘイズ値に設定される第1領域31aと、ヘイズ値が第1ヘイズ値より低い第2ヘイズ値に設定される第2領域31bと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を拡散させつつ透過する拡散領域を有し、透過した透過光を表示器に放射する拡散部材であって、
前記拡散領域は、
ヘイズ値が第1ヘイズ値に設定される第1領域と、
ヘイズ値が前記第1ヘイズ値より低い第2ヘイズ値に設定される第2領域と、を備える、
拡散部材。
【請求項2】
前記拡散領域は、前記第1領域と前記第2領域の間に設けられ、前記第1領域から前記第2領域に近づくにつれて、ヘイズ値が徐々に低下するように設定される第3領域を備える、
請求項1に記載の拡散部材。
【請求項3】
前記第1ヘイズ値は、30~80%に設定され、
前記第1ヘイズ値から前記第2ヘイズ値を差し引いた値が10%よりも大きく設定されている、
請求項1又は2に記載の拡散部材。
【請求項4】
前記第2ヘイズ値は、10~50%に設定され、
前記第1ヘイズ値から前記第2ヘイズ値を差し引いた値が10%よりも大きく設定されている、
請求項1又は2に記載の拡散部材。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の拡散部材を備える表示装置であって、
光軸方向に沿って進む光を前記拡散部材に放射する照明光学系と、
前記拡散部材を透過した前記透過光を受けて表示光を発する前記表示器である表示パネルと、を備え、
前記拡散部材は、前記第1領域が前記第2領域より前記照明光学系の近くに位置するように、前記光軸方向に対して非直交で傾斜する向きに設けられる、
表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置を備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記表示装置が放射する前記表示光を透過反射部材に向けて導くことにより虚像を表示するリレー光学系を備える、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のヘッドアップディスプレイ装置を備える乗物であって、
前記透過反射部材を備える、
乗物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、拡散部材、表示装置、ヘッドアップディスプレイ装置及び乗物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の透過型スクリーンには、第2面に光拡散面が設けられている。
例えば、特許文献2に記載のヘッドアップディスプレイ装置に用いられる光拡散部材は、第2レンズ部を介して入射した光線を液晶表示パネルに向けて拡散して射出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/125824号
【特許文献2】特開2020-160293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、光拡散面のヘイズ値は一定に設定されている。上記特許文献2に記載の構成では、拡散部材のヘイズ値は一定に設定されている。例えば、ヘッドアップディスプレイ装置では、迷光対策、又は虚像を傾けるために、液晶パネル等の表示器が照明光の光軸方向に対して傾斜させる場合があり、この場合では、ヘイズ値が一定の構成では、表示器への照明光の照度にムラが生じる。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、照度のムラを減らすことができる拡散部材、表示装置、ヘッドアップディスプレイ装置及び乗物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る拡散部材は、光を拡散させつつ透過する拡散領域を有し、透過した透過光を表示器に放射する拡散部材であって、前記拡散領域は、ヘイズ値が第1ヘイズ値に設定される第1領域と、ヘイズ値が前記第1ヘイズ値より低い第2ヘイズ値に設定される第2領域と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第2の観点に係る表示装置は、前記拡散部材を備える表示装置であって、光軸方向に沿って進む光を前記拡散部材に放射する照明光学系と、前記拡散部材を透過した前記透過光を受けて表示光を発する前記表示器である表示パネルと、を備え、前記拡散部材は、前記第1領域が前記第2領域より前記照明光学系の近くに位置するように、前記光軸方向に対して非直交で傾斜する向きに設けられる。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の第3の観点に係るヘッドアップディスプレイ装置は、前記表示装置を備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、前記表示装置が放射する前記表示光を透過反射部材に向けて導くことにより虚像を表示するリレー光学系を備える。
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の第4の観点に係る乗物は、前記ヘッドアップディスプレイ装置を備える乗物であって、前記透過反射部材を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、照度のムラを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る表示パネルの光軸方向に対する向きを示す模式図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る表示装置の概略図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る拡散部材の正面図である。
【
図5】本開示の変形例に係る拡散部材の正面図である。
【
図6】本開示の変形例に係る拡散部材の位置に応じたヘイズ値を示すグラフ図である。
【
図7】本開示の変形例に係る拡散部材及び表示パネルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一実施形態に係る拡散部材、表示装置、ヘッドアップディスプレイ装置及び乗物について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、例えば、車両200のダッシュボード内に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のウインドシールド201に向けて画像を表す表示光Lを放射する。ウインドシールド201で反射した表示光LはアイボックスEbへ到達する。視認者1(主に運転者)の視点がアイボックスEb内に位置すると、表示光Lに対応する虚像Vが視認者1により視認可能となる。虚像Vは、仮想的な表示領域である表示面Kに表示される。表示面Kは、視認者1から遠ざかるにつれて高くなるように傾いている。これにより、視認者1から見て、虚像Vが路面に沿うように表示される。
【0013】
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示装置10と、折り返しミラー31と、凹面ミラー32と、ハウジング33と、を備える。
【0014】
ハウジング33は、遮光性樹脂等で箱状に形成され、表示装置10、折り返しミラー31及び凹面ミラー32を収容する。ハウジング33には、ウインドシールド201(
図1参照)に対して高さ方向に対向する位置に開口部が形成され、この開口部にアクリル等の透光性樹脂からなる窓部33aが嵌め込まれている。
【0015】
表示装置10は、表示光Lを放射する。表示装置10の具体的な構成については後述する。
折り返しミラー31は、表示装置10からの表示光Lを凹面ミラー32に向けて反射する。折り返しミラー31は、平面ミラー又は凹面ミラーである。
凹面ミラー32は、折り返しミラー31からの表示光Lをウインドシールド201に向けて反射させる。
【0016】
次に、表示装置10の具体的な構成について説明する。
図3に示すように、表示装置10は、バックライトユニット11と、表示パネル13と、拡散部材30と、を備える。
【0017】
バックライトユニット11は、表示パネル13を照明する装置である。
バックライトユニット11は、複数の光源19と、光源基板16と、コリメートレンズ17と、配光レンズ20と、を備える。
光源基板16、コリメートレンズ17及び配光レンズ20は、光源19が発する光の光軸方向(
図3の左右方向)に沿って並べられる。以下では、この光の光軸方向はZ方向と規定し、光源基板16、コリメートレンズ17及び配光レンズ20の長手方向をX方向と規定し、短手方向をY方向と規定する。本例では、X方向は車幅方向に沿い、Y方向は車両前後方向に沿っている。
【0018】
各光源19は、例えば、LED(Light Emitting Diode)からなる。複数の光源19は、光源基板16のコリメートレンズ17に対向する実装面16aに実装されている。複数の光源19は、X方向及びY方向にマトリックス状に配置されている。
【0019】
図3に示すように、コリメートレンズ17は、透明光学樹脂又は光学ガラスにより形成されるコリメート光生成レンズである。コリメートレンズ17は、光源19から放射された光を入射し、Z方向に進むように平行化した平行光を放射する。コリメートレンズ17は、複数の凸レンズ部17aを備える。複数の凸レンズ部17aは、上述した光源19と同様にマトリックス状に配置されている。本例では、凸レンズ部17aと光源19は1対1でZ方向に対向する位置関係で設けられている。
【0020】
配光レンズ20は、透明光学樹脂又は光学ガラスにより形成され、表示パネル13に合わせて照明光を配光する。配光レンズ20は、表示パネル13に合わせて照明光を広げるトロイダル面からなる出射面20tを有する。
拡散部材30は、配光レンズ20から放射された照明光を拡散させつつ透過させる拡散板である。拡散部材30の具体的な構成については後述する。
【0021】
図3に示すように、表示パネル13は、拡散部材30を透過した透過光を照明光として受けて、中間像を生成し、この中間像に基づく表示光Lを放射する。表示パネル13は、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶パネルであり、この液晶パネル上に中間像を生成する。
図2に示すように、表示パネル13は、バックライトユニット11からの照明光の光軸方向Lcに対して非直交の向きで設けられている。本例では、表示パネル13の上部は、表示パネル13の下部よりも、折り返しミラー31の反射面に近くなるように傾けられている。光軸方向Lcに直交する方向に対する表示パネル13の角度αは、30~50degに設定されている。これにより、
図1に示すように、表示面Kの下端に対応する光路長と表示面Kの上端に対応する光路長の距離差が大きくなり、表示面Kが路面に沿うように傾く。
なお、光軸方向Lcに直交する方向に対する表示パネル13aの角度は、表示パネル13の角度αよりも小さい角度βに設定されてもよい。角度βは、5~20degに設定されている。これにより、
図1に示すように、虚像Vaが表示される表示面Kaが路面に対して直立する。このように、表示パネル13が光軸方向Lcに対して非直交の向きで設けられることにより、迷光を折り返しミラー31と異なる方向に反射させる。
【0022】
次に、拡散部材30の構成について説明する。
図3に示すように、拡散部材30は、表示パネル13の光入射面側に位置し、表示パネル13に沿う向きで設けられている。拡散部材30は、X方向に長く、Y方向に短い長方形板状をなす。拡散部材30は、照明光を拡散し、拡散した照明光(透過光)を表示パネル13へ放射する。拡散部材30が照明光を拡散することにより、表示パネル13への照度のムラを抑制することができる。
拡散部材30は、配光レンズ20に対向する入射面30Iと、表示パネル13に対面する出射面30Oと、を備える。
【0023】
拡散部材30は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂からなる基材と、出射面30O側に形成される拡散層と、入射面30I側に形成されるバックコート層と、を備える。このバックコート層は、光沢面を有し、帯電を防止する。この拡散層は、複数のアクリルビーズが配置された拡散面を持つ構造をなす。アクリルビーズの径及び密集度を変化させることにより、後述する第1領域31aと第2領域31bの間でヘイズ値を調整可能である。
【0024】
なお、この拡散層は、複数のアクリルビーズが配置された構成に限らない。例えば、この拡散層は、トップハット拡散板等のUV樹脂(紫外線硬化樹脂)等でマイクロレンズを転写させたものであってもよいし、網点印刷又は拡散印刷等で透過率を変えて拡散させるものであってもよいし、ガラス、PMMA(アクリル)又はPC(ポリカーボネート)等のレンズ基材へ微細加工を追加したもので、微細加工の粒度を徐変させてもよい。
【0025】
図3及び
図4に示すように、出射面30Oは、互いに異なるヘイズ値を有する第1領域31a及び第2領域31bを備える。
第1領域31aは、第1領域31aの全域にわたって一定の第1ヘイズ値H1に設定される。第2領域31bは、第2領域31bの全域にわたって一定の第2ヘイズ値H2に設定される。第2ヘイズ値H2は、第1ヘイズ値H1よりも低い値に設定されている。すなわち、第1領域31aを透過した照明光の拡散度合いは、第2領域31bを透過した照明光の拡散度合いよりも強くなる。
【0026】
第1領域31aは、出射面30Oの下部に位置し、第2領域31bは、出射面30Oの上部に位置する。本例では、第1領域31aのY方向の長さ(高さ)は、第2領域31bのY方向の長さ(高さ)よりも小さく形成されている。例えば、第1領域31aのY方向の長さ(高さ)は、第2領域31bのY方向の長さ(高さ)の半分の長さに設定されている。第1領域31aと第2領域31bは隣接して位置する。
図3に示すように、第1領域31aは、第2領域31bよりも、バックライトユニット11(光源19又は配光レンズ20の出射面20t)に近い位置に設けられる。第1領域31a及び第2領域31bは、互いに表示パネル13と同じ近さに設けられている。
【0027】
第1ヘイズ値H1は、例えば、30~80%に設定される。第2ヘイズ値H2は、例えば、10~50%に設定される。一例として、第1ヘイズ値H1は67%に設定され、第2ヘイズ値H2は44%に設定される。
また、第1ヘイズ値H1から第2ヘイズ値H2を差し引いた値は、10%よりも大きく設定されることが好ましい。すなわち、下記の式が成り立つことが好ましい。
H1-H2>10%
上記のヘイズ値の数値は、全て例示であり、これらの数値に限定されない。
【0028】
以上のように、拡散部材30の第1領域31aと第2領域31bでヘイズ値に差を設けることで、表示パネル13とバックライトユニット11(例えば、出射面20t)の距離差に起因した表示パネル13への照明光の照度(輝度)のバラツキが抑制される。この点について、以下に、詳しく説明する。
図3に示すように、第2領域31bと光源19の間の距離Dbは、第1領域31aと光源19の間の距離Daよりも大きく設定されている。このため、第2領域31bに到達する照明光の拡散の進行度合いは、第1領域31aに到達する照明光の拡散の進行度合いよりも進行している。このため、第2領域31bに到達する照明光の照度が、第1領域31aに到達する照明光の照度よりも低くなる。この照度の差を埋めるように、第2領域31bの第2ヘイズ値H2は、第1領域31aの第1ヘイズ値H1よりも低く設定されている。ヘイズ値が低くなるほど、拡散部材30から放射される照明光の照度が低下しづらくなる。よって、拡散部材30から表示パネル13に照射される照明光の照度のバラツキが抑制され、より均一な照明を行うことができる。よって、表示パネル13に表示される像、ひいては、虚像Vの表示品位、すなわち、均斉度を高めることができる。
この点、比較例に係るヘイズ値が出射面の全域にわたって一定である拡散部材では、上述した照度の差を埋めることができず、表示パネル13に照射される照明光の照度のバラツキが生じて、表示パネル13に表示される像、ひいては、虚像Vの表示品位、均斉度が低くなる。
【0029】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)拡散部材30は、光を拡散させつつ透過する拡散領域の一例である出射面30Oを有し、透過した透過光を表示器の一例である表示パネル13に放射する。出射面30Oは、ヘイズ値が第1ヘイズ値H1に設定される第1領域31aと、ヘイズ値が第1ヘイズ値H1より低い第2ヘイズ値H2に設定される第2領域31bと、を備える。
この構成によれば、表示パネル13が照明光の光軸方向Lcに対して傾斜していても、表示パネル13への照明光の照度のムラを低減させるように、第1領域31a及び第2領域31bのヘイズ値が異なるように設定される。これにより、表示パネル13への照明光の照度のムラを減らすことができる。
【0030】
(2)第1ヘイズ値H1は、30~80%に設定されている。第1ヘイズ値H1から第2ヘイズ値H2を差し引いた値が10%よりも大きく設定されている。
この構成によれば、表示パネル13への照明光の照度のムラを減らすことができる。
【0031】
(3)第2ヘイズ値H2は、10~50%に設定されている。第1ヘイズ値H1から第2ヘイズ値H2を差し引いた値が10%よりも大きく設定されている。
この構成によれば、表示パネル13への照明光の照度のムラを減らすことができる。
【0032】
(4)拡散部材30を備える表示装置10は、光軸方向Lcに沿って進む照明光を発する照明光学系の一例であるバックライトユニット11と、拡散部材30を透過した透過光を受けて表示光Lを発する表示パネル13と、を備える。拡散部材30は、表示パネル13と平行をなすように対面し、第1領域31aが第2領域31bよりバックライトユニット11の近くに位置するように、光軸方向Lcに対して非直交で傾斜する向きに設けられる。
この構成によれば、表示パネル13が光軸方向Lcに対して非直交で傾斜していても、拡散部材30の作用により、表示パネル13への照明光の照度のムラを減らすことができる。
【0033】
(5)表示装置10を備えるヘッドアップディスプレイ装置100は、表示装置10が発する表示光を透過反射部材の一例であるウインドシールド201に向けて導くことにより虚像Vを表示するリレー光学系の一例である折り返しミラー31及び凹面ミラー32を備える。
この構成によれば、虚像Vの輝度ムラを減らすことができる。
【0034】
(6)ヘッドアップディスプレイ装置100を備える乗物の一例である車両200は、透過反射部材の一例であるウインドシールド201を備える。
この構成によれば、虚像Vの輝度ムラを減らすことができる。
【0035】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0036】
(変形例)
上記実施形態においては、第1領域31aのY方向の長さ(高さ)は、第2領域31bのY方向の長さ(高さ)よりも小さく形成されていたが、これに限らず、第2領域31bのY方向の長さ(高さ)と同じ長さに形成されてもよいし、第2領域31bのY方向の長さ(高さ)よりも大きく形成されていてもよい。
【0037】
上記実施形態においては、拡散部材30は、第1ヘイズ値H1に設定される第1領域31aと、第2ヘイズ値H2に設定される第2領域31bと、を備えていたが、これに限らず、
図5に示すように、第1領域31a及び第2領域31bに加えて、ヘイズ値が徐々に変化したグラデーションで設定される第3領域31cを備えていてもよい。
第3領域31cは、第1領域31a及び第2領域31bの間に位置し、第1領域31a及び第2領域31bそれぞれに隣接して位置する。
図6に示すように、第3領域31cのヘイズ値H3は、第1領域31aに隣接する位置P1では第1ヘイズ値H1と同じ値となり、第2領域31bに隣接する位置P2では第2ヘイズ値H2と同じ値となる。ヘイズ値H3は、位置P1から位置P2に向かうにつれて徐々に小さくなる。本例では、ヘイズ値H3は、位置P1から位置P2までリニアで変化する。なお、ヘイズ値H3は、位置P1から位置P2まで曲線状又は階段状に変化してもよい。
上記変形例によれば、以下の効果を奏する。
出射面30Oは、第1領域31aと第2領域31bの間に設けられ、第1領域31aから第2領域31bに近づくにつれて、ヘイズ値が徐々に低下するように設定される第3領域31cを備える。
この構成によれば、第1領域31aと第2領域31bの間で、照度が大きく変化することが抑制される。
【0038】
また、拡散部材30は、Y方向においてヘイズ値を変化させる構成であったが、これに代えて、又はこれに加えて、X方向においてヘイズ値を変化させる構成であってもよい。さらに、拡散部材30は、X方向及びY方向に対して傾斜した方向、言い換えると、拡散部材30の対角線方向にヘイズ値を変化させる構成であってもよい。
【0039】
上記実施形態においては、第1領域31aと第2領域31bで2段階の階段状にヘイズ値が設定されていたが、3段階以上の階段状にヘイズ値が設定されていてもよい。また、ヘイズ値は階段状ではなく、全域にわたってグラデーション状に設定されていてもよい。
上記実施形態においては、拡散領域は、拡散部材30の出射面30Oに形成されていたが、これに限らず、入射面30Iに形成されていてもよいし、入射面30Iと出射面30Oの両面に形成されていてもよい。
上記実施形態における拡散部材30は、配光レンズ20と一体で形成されてもよい。この場合、例えば、配光レンズ20の出射面20tに、第1領域31aと第2領域31bを有する拡散領域が形成される。
【0040】
上記実施形態においては、拡散部材30は、1枚の拡散板から構成されていたが、複数の拡散板から構成されていてもよい。例えば、
図7に示すように、拡散部材130は、第1拡散板131と、第2拡散板132と、を備える。第1拡散板131及び第2拡散板132は、全域にわたって一定のヘイズ値に設定されている。第2拡散板132は、第1拡散板131の第1領域131aに対向し、第1拡散板131よりも小さいサイズで形成されている。第2拡散板132は、第1拡散板131の下部に対応して位置する。第1拡散板131の第2領域131bは、第2拡散板132に対向していない。これにより、2枚の拡散板131、132が重なった第1領域131aでの合計のヘイズ値は、第2領域131bのヘイズ値よりも高くなる。この変形例では、第1拡散板131及び第2拡散板132は、それぞれヘイズ値を変化させる必要がないため、構成が簡易である。また、3枚以上の拡散板が重ね合わされていてもよい。
【0041】
上記実施形態においては、ヘッドアップディスプレイ装置100は車両200に搭載されていたが、車両200に限らず、飛行機、船等のその他の乗物に搭載されてもよい。表示光Lが投射される透過反射部材はウインドシールド201に限らず、専用のコンバイナであってもよい。
【0042】
上記実施形態においては、リレー光学系は、2つのミラー31、32を備えていたが、2つのミラー31、32の少なくとも何れかが省略されてもよいし、3つ以上のミラーを備えていてもよい。
上記実施形態においては、表示装置10は、ヘッドアップディスプレイ装置100に適用されていたが、これに限らず、直視型の表示装置であってもよい。
【0043】
上記実施形態においては、表示装置10は、液晶パネルを用いた方式であったが、これに限らず、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いたレーザー光走査方式であってもよいし、DMD(Digital Micro mirror Device)を用いた方式であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 視認者
10 表示装置
11 バックライトユニット
13,13a 表示パネル
16 光源基板
16a 実装面
17 コリメートレンズ
17a 凸レンズ部
19 光源
20 配光レンズ
20t 出射面
30,130 拡散部材
30I 入射面
30O 出射面
31 折り返しミラー
31a,131a 第1領域
31b,131b 第2領域
31c 第3領域
32 凹面ミラー
33 ハウジング
33a 窓部
100 ヘッドアップディスプレイ装置
131 第1拡散板
132 第2拡散板
200 車両
201 ウインドシールド
α,β 角度
H1 第1ヘイズ値
H2 第2ヘイズ値
H3 ヘイズ値
K,Ka 表示面
L 表示光
P1,P2 位置
V,Va 虚像
Da,Db 距離
Eb アイボックス
Lc 光軸方向