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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015595
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240130BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117751
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】塔本 健太
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707BT14
3C707CT05
3C707HT02
3C707NS12
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA32
5F131CA01
5F131CA32
5F131CA37
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB54
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB86
5F131DB92
5F131DB95
5F131DC18
(57)【要約】
【課題】直線移動機構によって移動させられる構造部の走行性の安定化を図るのに適した搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置A1は、固定ベース1と、固定ベース1に対して垂直状の旋回軸線Os周りに旋回可能に支持された旋回ベース2と、旋回ベース2に支持された直線移動機構3と、直線移動機構3に支持され、直線移動機構3の作動により第1方向に延びる水平直線状の移動行程GLに沿って移動する第1アーム4Aと、を備え、直線移動機構3は、第1アーム4Aに駆動力を伝達するための直線移動機構3と、第1アーム4Aを移動可能に支持し、且つ前記第1方向に延びる1つの第1ガイドレール32Aと、を含み、第1アーム4Aは、1つの第1ガイドレール32Aに片持ち状に支持されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ベースと、
前記固定ベースに対して垂直状の旋回軸線周りに旋回可能に支持された旋回ベースと、
前記旋回ベースに支持された直線移動機構と、
前記直線移動機構に支持され、前記直線移動機構の作動により第1方向に延びる水平直線状の移動行程に沿って移動する第1アームと、を備え、
前記直線移動機構は、前記第1アームに駆動力を伝達するための第1駆動機構と、前記第1アームを移動可能に支持し、且つ前記第1方向に延びる1つの第1ガイドレールと、を含み、
前記第1アームは、前記1つの第1ガイドレールに片持ち状に支持されている、搬送装置。
【請求項2】
前記直線移動機構に支持され、前記直線移動機構の作動により前記第1方向に延びる前記移動行程に沿って移動する第2アームをさらに備え、
前記直線移動機構は、前記第2アームに駆動力を伝達するための第2駆動機構と、前記第2アームを移動可能に支持し、且つ前記第1方向に延びる1つの第2ガイドレールと、を含み、
前記1つの第1ガイドレールと前記1つの第2ガイドレールとは、鉛直方向および前記第1方向の双方に直交する第2方向に離隔して配置されており、
前記第2アームは、前記1つの第2ガイドレールに片持ち状に支持されている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1アームに第1エンドエフェクタが取り付け可能であり、
前記第1アームおよび前記第1エンドエフェクタの重心である第1重心位置が、前記第1方向を見たときに、前記鉛直方向において前記1つの第1ガイドレールと重なるように設定される、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第2アームに第2エンドエフェクタが取り付け可能であり、
前記第2アームおよび前記第2エンドエフェクタの重心である第2重心位置が、前記第1方向を見たときに、前記鉛直方向において前記1つの第2ガイドレールと重なるように設定される、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第1駆動機構は、水平軸線に沿って配置された第1駆動軸と、前記第1駆動軸に取り付けられた第1駆動プーリを含む複数の第1プーリと、垂直面内に沿うように前記複数の第1プーリに掛け回され、前記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する第1出力ベルトと、を含み、
前記第2駆動機構は、水平軸線に沿って配置された第2駆動軸と、前記第2駆動軸に取り付けられた第2駆動プーリを含む複数の第2プーリと、垂直面内に沿うように前記複数の第2プーリに掛け回され、前記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する第2出力ベルトと、を含み、
前記直線移動機構は、前記第1アームおよび前記第1出力ベルトを連結する第1連結部材と、前記第2アームおよび前記第2出力ベルトを連結する第2連結部材と、を含む、請求項2ないし4のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、より詳細にはワークを直線状に搬送することができる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置のうち、直線状の移動行程に沿ってハンドを移動させる機構(直線移動機構)を持つものがある。このような搬送装置は、たとえば、半導体製造装置の製造工程、あるいは、液晶表示パネルの製造工程において、各処理室へのウエハ、あるいはガラス基板等の薄板状のワークの搬入あるいは搬出用として多用されている。
【0003】
このような薄板状のワークを搬送するための搬送装置としては、たとえば下記の特許文献1に開示されたものがある。この搬送装置は、固定ベースと、固定ベースに旋回可能に支持された旋回ベースと、旋回ベースに支持された直線移動機構と、直線移動機構に各別に支持された一対のハンドと、を備えている。直線移動機構は、一対のハンドをそれぞれ駆動する一対の駆動機構(たとえばベルト駆動機構)を有し、駆動機構が駆動すると、ハンドが水平方向に直線移動させられる。これにより、一対のハンドに保持された薄板状ワークを水平直線状の移動行程に沿って各別に搬送することが可能である。
【0004】
直線移動機構は、一対のハンドをそれぞれ移動可能に支持するガイドレールを有する。一対のハンドは、各々、2本のガイドレールに支持されている。各ハンドが2本のガイドレールに支持された構成おいては、当該ハンドの支持状態は安定する。その一方、2本のガイドレールによって支持されたハンドを水平直線状の移動行程に沿ってスライド走行させるには、2本のガイドレールの平行度の調整が必要であり、スライド走行させる上で高い精度が要求される。また、一対のハンドをスライド走行させるためには、4本のガイドレールが必要である。このことは重量およびコストの増加を招くこととなり、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-272847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、直線移動機構によって移動させられる構造部の走行性の安定化を図るのに適した搬送装置を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0008】
本発明によって提供される搬送装置は、固定ベースと、前記固定ベースに対して垂直状の旋回軸線周りに旋回可能に支持された旋回ベースと、前記旋回ベースに支持された直線移動機構と、前記直線移動機構に支持され、前記直線移動機構の作動により第1方向に延びる水平直線状の移動行程に沿って移動する第1アームと、を備え、前記直線移動機構は、前記第1アームに駆動力を伝達するための第1駆動機構と、前記第1アームを移動可能に支持し、且つ前記第1方向に延びる1つの第1ガイドレールと、を含み、前記第1アームは、前記1つの第1ガイドレールに片持ち状に支持されている。
【0009】
好ましい実施の形態においては、前記直線移動機構に支持され、前記直線移動機構の作動により前記第1方向に延びる前記移動行程に沿って移動する第2アームをさらに備え、前記直線移動機構は、前記第2アームに駆動力を伝達するための第2駆動機構と、前記第2アームを移動可能に支持し、且つ前記第1方向に延びる1つの第2ガイドレールと、を含み、前記1つの第1ガイドレールと前記1つの第2ガイドレールとは、鉛直方向および前記第1方向の双方に直交する第2方向に離隔して配置されており、前記第2アームは、前記1つの第2ガイドレールに片持ち状に支持されている。
【0010】
好ましい実施の形態においては、前記第1アームに第1エンドエフェクタが取り付け可能であり、前記第1アームおよび前記第1エンドエフェクタの重心である第1重心位置が、前記第1方向を見たときに、前記鉛直方向において前記1つの第1ガイドレールと重なるように設定される。
【0011】
好ましい実施の形態においては、前記第2アームに第2エンドエフェクタが取り付け可能であり、前記第2アームおよび前記第2エンドエフェクタの重心である第2重心位置が、前記第1方向を見たときに、前記鉛直方向において前記1つの第2ガイドレールと重なるように設定される。
【0012】
好ましい実施の形態においては、前記第1駆動機構は、水平軸線に沿って配置された第1駆動軸と、前記第1駆動軸に取り付けられた第1駆動プーリを含む複数の第1プーリと、垂直面内に沿うように前記複数の第1プーリに掛け回され、前記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する第1出力ベルトと、を含み、前記第2駆動機構は、水平軸線に沿って配置された第2駆動軸と、前記第2駆動軸に取り付けられた第2駆動プーリを含む複数の第2プーリと、垂直面内に沿うように前記複数の第2プーリに掛け回され、前記移動行程の平行線に沿う所定の区間を往復動する第2出力ベルトと、を含み、前記直線移動機構は、前記第1アームおよび前記第1出力ベルトを連結する第1連結部材と、前記第2アームおよび前記第2出力ベルトを連結する第2連結部材と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る搬送装置は、固定ベースと、固定ベースに対して垂直状の旋回軸線周りに旋回可能に支持された旋回ベースと、旋回ベースに支持された直線移動機構と、直線移動機構に支持された第1アームと、を備える。第1アームは、直線移動機構の作動により第1方向に延びる水平直線状の移動行程に沿って移動する。直線移動機構は、第1アームに駆動力を伝達するための第1駆動機構Aと、第1アームを移動可能に支持し、且つ第1方向に延びる1つの第1ガイドレールと、を備え、第1アームは、1つの第1ガイドレールに片持ち状に支持されている。このような構成によれば、第1アームは単一の第1ガイドレールによって支持されてスライド走行するので、たとえば2本のガイドレールに支持される場合と異なり、ガイドレールの平行度の調整等が不要である。したがって、直線移動機構によって移動させられる構造部の走行性の安定化を図ることができる。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る搬送装置の一例を示す全体斜視図である。
図2図1に示す搬送装置の使用例を示す斜視図である。
図3図2に示す搬送装置の平面図である。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図4のV-V線に沿う部分断面図である。
図6図4のVI-VI線に沿う部分断面図である。
図7図4の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0017】
図1図7は、本発明に係る搬送装置の一例を示している。搬送装置A1は、図1図4に表れているように、固定ベース1と、この固定ベース1に対して垂直状の旋回軸線Os周りに旋回可能に支持された旋回ベース2と、旋回ベース2に支持された直線移動機構3と、直線移動機構3に各別に支持された第1アーム4Aおよび第2アーム4Bと、を備えている。図2は、搬送装置A1の使用状態の一例を示している。搬送装置A1には、第1エンドエフェクタ5A、第2エンドエフェクタ5Bおよびワーク用ユニット7が取り付けられている。本実施形態の搬送装置A1は、たとえば薄板状のガラス基板を搬送するのに用いられる。詳細は後述するが、搬送装置A1においては、ワーク(搬送対象物)であるガラス基板の重量負荷を第1アーム4Aおよび第2アーム4B等で受けず、あるいは殆ど受けないように構成されている。
【0018】
図4によく表れているように、固定ベース1は、底壁部11と、円筒状の側壁部12と天井壁13とを備えた、略円柱状の外形を有するハウジング10を備えている。天井壁13には、中心開口13Aが形成されている。
【0019】
固定ベース1の内部には、昇降ベース14が支持されている。昇降ベース14は、中心開口13Aよりも小径の外径をもち、上下方向に所定の寸法を有する円筒部141と、この円筒部141の下端に形成された外向フランジ部142とを有している。ハウジング10の側壁部12の内壁には、上下方向の直線ガイドレール15が複数取り付けられているとともに、昇降ベース14の外向フランジ部142に設けた複数のガイド部材16が直線ガイドレール15に対して上下方向スライド移動可能に支持されている。これにより、昇降ベース14は、固定ベース1に対し、上下方向に所定範囲内で移動可能であり、このとき、昇降ベース14の円筒部141の上部がハウジング10の中心開口13Aから出没する。
【0020】
固定ベース1の天井壁13と昇降ベース14の外向フランジ部142との間には、この昇降ベース14の円筒部141を取り囲むようにして配置されたベローズ17の両端が連結されている。このベローズ17は、昇降ベース14の上下方向の移動にかかわらず、固定ベース1の天井壁13と昇降ベース14の外向フランジ部142との間を気密シールする。
【0021】
固定ベース1の内部にはまた、ベローズ17の外側において、鉛直方向zに配置されて回転するネジ軸181と、このネジ軸181に螺合され、かつ昇降ベース14の外向フランジ部142に貫通状に固定されたナット部材182とからなるボールネジ機構18が配置されている。ネジ軸181は、その下端に取付けたプーリ183に掛け回されたベルト184によってモータM1に連係されており、このモータM1の駆動により、正逆方向に回転させられる。このようにしてネジ軸181を回転することにより、昇降ベース14が昇降させられる。
【0022】
旋回ベース2は、図4に表れているように、円筒軸21と、その上方に一体的につながる上板22とを備えている。円筒軸21は、昇降ベース14の円筒部141の内部にベアリング231を介して旋回軸線Osを中心として回転可能に支持されている。円筒部141と円筒軸21との間にはまた、ベアリング231よりも上位に位置するシール機構232が介装されている。シール機構232は、当該シール機構232よりも上方の空間と、シール機構232よりも下方の昇降ベース14の内側空間とを遮蔽して気密性を保持するものである。円筒軸21の下端には、プーリ211が一体的に形成されており、このプーリ211と円筒部141内に支持されたモータM2の出力軸に取り付けたプーリとの間にベルト241が掛け回されている。これにより、モータM2を駆動させると、旋回ベース2が旋回軸線Os周りに旋回する。
【0023】
図4に表れているように、旋回ベース2の円筒軸21には、後述する第1駆動機構33Aおよび第2駆動機構33Bに駆動力を伝達するための第1伝動軸25および第2伝動軸26が旋回軸線Osに沿って同軸状に挿通されている。第1伝動軸25は、円筒状の軸とされ、円筒軸21の内側にベアリング233を介して回転可能に支持されている。第2伝動軸26は、第1伝動軸25の内側にベアリング234を介して回転可能に支持されている。第2伝動軸26の下端は、円筒部141内に支持されたモータM4の出力軸に連結されている。また、第2伝動軸26の上端には、ベベルギアが設けられている。一方、第1伝動軸25の下端には、プーリ251が設けられており、このプーリ251と、円筒部141内に支持されたモータM3の出力軸に取り付けたプーリとの間にベルト242が掛け回されている。第1伝動軸25の上端には、ベベルギアが設けられている。
【0024】
直線移動機構3は、第1アーム4Aおよび第2アーム4Bを第1方向xに延びる水平直線状の移動行程GLに沿って搬送するためのものである。図4に表れているように、直線移動機構3は、ガイド部材31と、このガイド部材31上に設けられた第1ガイドレール32Aおよび第2ガイドレール32Bと、第1アーム4Aおよび第2アーム4Bに水平方向の駆動力を伝達する第1駆動機構33Aおよび第2駆動機構33Bと、第1連結部材35Aおよび第2連結部材35Bと、を含む。
【0025】
ガイド部材31は、水平方向に延びる長手軸線(移動行程GL)を有する平面視長矩形状をしているとともに、底壁311、側壁312、中壁313、およびカバー314を備えている。このガイド部材31はまた、旋回ベース2の上板22に固定されており、旋回ベース2が旋回させられると、これにともなって旋回する。ガイド部材31の底壁311と旋回ベース2の上板22との間は図示しないシール部材によって気密シールされている。本実施形態において、ガイド部材31の適所には、第1ガイドレール32Aおよび第2ガイドレール32Bが1つずつ固定配置されている。
【0026】
第1ガイドレール32Aおよび第2ガイドレール32Bは、それぞれ第1方向xに延びている。図4に表れているように、第1ガイドレール32Aと第2ガイドレール32Bとは、第1方向x(図4の紙面に直交する方向)および鉛直方向zの双方に直交する第2方向yに離隔して配置されている。第1ガイドレール32Aは、第2方向yの一方側(図中左側)に配置されており、第2ガイドレール32Bは、第2方向yの他方側(図中右側)に配置されている。
【0027】
第1アーム4Aは、第1スライダ321Aを介して第1ガイドレール32Aに支持されている。第1アーム4Aは、連絡部41aおよび主部42aを有する。連絡部41aは、第1スライダ321Aに固定されている。主部42aは、連絡部41aにつながり、ガイド部材31の外部に配置されている。主部42aは、ワーク用ユニット7の側方(図4の図中左側)を迂回するように形成されている。図示した第1アーム4Aは、第1スライダ321Aを介して、1つの第1ガイドレール32Aに片持ち状に支持されている。第1アーム4Aは、たとえば適度な強度を有する金属材料により構成される。
【0028】
第1アーム4A(連絡部41a)は、カバー314の側面に形成されたスリット314aを貫通しており、連絡部41aには第1連結部材35Aが設けられている。第1連結部材35Aは、側壁312に形成されたスリット312aを貫通して後述する第1駆動機構33Aの第1出力ベルト337Aに連結されている。これにより、第1連結部材35Aは、第1アーム4Aおよび第1出力ベルト337Aを連結している。
【0029】
第2アーム4Bは、第2スライダ321Bを介して第2ガイドレール32Bに支持されている。第2アーム4Bは、連絡部41bおよび主部42bを有する。連絡部41bは、第2スライダ321Bに固定されている。主部42bは、連絡部41bにつながり、ガイド部材31の外部に配置されている。図示した第2アーム4Bは、第2スライダ321Bを介して、1つの第2ガイドレール32Bに片持ち状に支持されている。第2アーム4Bは、たとえば適度な強度を有する金属材料により構成される。
【0030】
第2アーム4Bは、カバー314の上面に形成されたスリット314bを貫通しており、連絡部41bには第2連結部材35Bが設けられている。第2連結部材35Bは、後述する第2駆動機構33Bの第2出力ベルト337Bに連結されている。これにより、第2連結部材35Bは、第2アーム4Bおよび第2出力ベルト337Bを連結している。
【0031】
図1図2図4等に表れているように、第1アーム4A(主部42a)の先端部と第2アーム4B(主部42b)とは、平面視(鉛直方向z視)において重なっている。第1アーム4A(主部42a)の先端部は、第2アーム4B(主部42b)に対して鉛直方向zにおける上方に位置する。
【0032】
第1駆動機構33Aおよび第2駆動機構33Bは、第1アーム4Aおよび第2アーム4Bを各別に移動行程GLに沿って移動させるためのものである。第1駆動機構33Aおよび第2駆動機構33Bは、基本的に同様の構成を有しているので、以下に第1駆動機構33Aの構成について具体的に説明し、第2駆動機構33Bについては適宜説明を省略する。
【0033】
第1駆動機構33Aは、図4図5に表れているように、伝動軸331aと、第1駆動軸332aと、第1ベベルギア機構333Aと、減速機構334と、第1駆動プーリ335aと、プーリ335b~335gと、第1出力ベルト337Aと、を備え、ガイド部材31内に収容されている。伝動軸331aは、ガイド部材31によって、旋回軸線Osに対して直交する水平軸線O1周りに回転可能に支持されている。伝動軸331aの一端(図中右側)には、ベベルギアが設けられており、このベベルギアは、第1伝動軸25の上端に設けられたベベルギアと噛み合っている。第1ベベルギア機構333Aは、第1伝動軸25の上端のベベルギアおよび伝動軸331aの一端のベベルギアによって構成されており、第1伝動軸25の旋回軸線Os周りの回転を水平軸線O1周りの回転に変換したうえで第1駆動プーリ335aに伝達するためのものである。伝動軸331aの他端は減速機構334の入力軸に連結されている。
【0034】
第1駆動軸332aは、ガイド部材31によって水平軸線O1周りに回転可能に支持されている。第1駆動軸332aの一端は、減速機構334の出力軸に連結されている。第1駆動軸332aの他端(図中左側)には第1駆動プーリ335aが設けられている。また、第1駆動軸332aとガイド部材31との間には、シール機構338が介装されている。このシール機構338によって、ガイド部材31の内部から旋回ベース2を介して連通する昇降ベース14の内側空間は、外部に対して気密シールされている。なお、必要に応じて伝動軸331aおよび第1駆動軸332aの間に図示しないカップリングジョイントを設けてもよい。
【0035】
図5に表れているように、プーリ335b~335gは、ガイド部材31内においてそれぞれ所定の水平軸線周りに回転可能に支持されている。第1出力ベルト337Aは、第1駆動プーリ335aおよびプーリ335b~335g(これらを併せて複数の第1プーリ)に対し、垂直面内に沿うように掛け回されている。プーリ335b,335cは、ガイド部材31の長手方向(移動行程GLに沿う方向)の両端部近傍に設けられている。一方、プーリ335d,335e,335f,335gは、第1駆動プーリ335aの近傍に設けられており、そのうちのプーリ335f,335gは、第1出力ベルト337Aの外側に配置され、且つ当該第1出力ベルト337Aを押圧している。これにより、第1出力ベルト337Aには、適度な張力が付与されている。第1出力ベルト337Aとしては、たとえばタイミングベルトが好適に用いられる。
【0036】
このような構成により、モータM3を駆動させると、モータM3の回転駆動力は、ベルト242、第1伝動軸25を介して第1駆動機構33Aに伝達される。当該第1駆動機構33Aにおいては、第1ベベルギア機構333Aによって旋回軸線Os周りの回転から水平軸線O1周りの回転へと回転の軸方向が変換されるとともに、減速機構334によって減速されたうえで、第1駆動プーリ335aが回転させられる。この第1駆動プーリ335aの回転に伴って第1出力ベルト337Aが所定の垂直面内において往復動する。
【0037】
プーリ335b,335cは、移動行程GLの平行線に沿って配置されている。そして、図5において第1出力ベルト337Aにおけるプーリ335b,335cの下方に位置する領域は、移動行程GLと平行な区間34aとなっており、第1出力ベルト337Aは、この区間34aにおいて往復動しうるように構成されている。第1出力ベルト337Aにおける上記区間34aの所定部位には、第1アーム4Aの連絡部41aに一端が連結された第1連結部材35Aの他端が連結されている。これにより、第1アーム4Aは、第1駆動機構33Aの駆動により、1つの第1ガイドレール32Aに片持ち状に支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。
【0038】
第2駆動機構33Bは、図4図6に表れているように、伝動軸331bと、第2駆動軸332bと、第2ベベルギア機構333Bと、減速機構334と、第2駆動プーリ336aと、プーリ336b~336gと、第2出力ベルト337Bと、を備え、ガイド部材31内に収容されている。伝動軸331bおよび第2駆動軸332bは、旋回軸線Osを挟んで第1駆動機構33Aの伝動軸331aおよび第1駆動軸332aとは反対側に配置されており、ガイド部材31によって水平軸線O1周りに回転可能に支持されている。伝動軸331bの一端(図中左側)にはベベルギアが設けられており、このベベルギアは、第2伝動軸26の上端に設けられたベベルギアと噛み合っている。第2ベベルギア機構333Bは、第2伝動軸26の上端のベベルギアおよび伝動軸331bの一端のベベルギアによって構成されており、第2伝動軸26の旋回軸線Os周りの回転を水平軸線O1周りの回転に変換したうえで第2駆動プーリ336aに伝達するためのものである。伝動軸331bの他端は減速機構334の入力軸に連結されている。
【0039】
第2駆動軸332bは、ガイド部材31によって水平軸線O1周りに回転可能に支持されている。第2駆動軸332bの一端は、減速機構334の出力軸に連結されている。第2駆動軸332bの他端(図中右側)には第2駆動プーリ336aが設けられている。
【0040】
図6に表れているように、プーリ336b~336gは、ガイド部材31内においてそれぞれ所定の水平軸線周りに回転可能に支持されている。プーリ336b~336gの配置は、第1駆動機構33Aにおけるプーリ335b~335gの配置とは上下反転している。第2出力ベルト337Bは、第2駆動プーリ336aおよびプーリ336b~336g(これらを併せて複数の21プーリ)に対し、垂直面内に沿うように掛け回されている。プーリ336b,336cは、ガイド部材31の長手方向(移動行程GLに沿う方向)の両端部近傍に設けられている。一方、プーリ336d,336e,336f,336gは、第2駆動プーリ336aの近傍に設けられており、そのうちのプーリ336f,336gは、第2出力ベルト337Bの外側に配置され、且つ当該第2出力ベルト337Bを押圧している。これにより、第2出力ベルト337Bには、適度な張力が付与されている。第2出力ベルト337Bとしては、たとえばタイミングベルトが好適に用いられる。
【0041】
モータM4を駆動させると、モータM4の回転駆動力は、第2伝動軸26を介して第2駆動機構33Bに伝達される。当該第2駆動機構33Bにおいては、第2ベベルギア機構333Bによって旋回軸線Os周りの回転から水平軸線O1周りの回転へと回転の軸方向が変換されるとともに、減速機構334によって減速されたうえで、第2駆動プーリ336aが回転させられる。この第2駆動プーリ336aの回転に伴って第2出力ベルト337Bが所定の垂直面内において往復動する。
【0042】
プーリ335b,335cは、移動行程GLの平行線に沿って配置されている。そして、図6において第2出力ベルト337Bにおけるプーリ336b,336cの上方に位置する領域は、移動行程GLと平行な区間34bとなっており、第2出力ベルト337Bは、この区間34bにおいて往復動しうるように構成されている。第2出力ベルト337Bにおける上記区間34bの所定部位には、第2アーム4Bの連絡部41bに一端が連結された第2連結部材35Bの他端が連結されている。これにより、第2アーム4Bは、第2駆動機構33Bの駆動により、1つの第2ガイドレール32Bに片持ち状に支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。
【0043】
図2図4に示した第1エンドエフェクタ5Aは、第1アーム4Aに着脱可能に取り付けられており、後述するワーク8をワーク用ユニット7内から第1方向xの一方側(図3の左側)にある図示しない処理室またはロードロック室等に搬入し、また、ワーク8を図示しない処理室またはロードロック室等からワーク用ユニット7内に搬出するためのものである。第1エンドエフェクタ5Aは、取付部51aおよび一対の先端部52aを有し、これら取付部51aおよび一対の先端部52aの間が二股状のフォーク部で連結された構成である。取付部51aは、たとえば金属製の板材からなり、第1アーム4A(主部42a)の先端部の直下に取り付けられている。第1エンドエフェクタ5Aは、その全体が水平面にほぼ沿うように配置されている。詳細な図示説明は省略するが、先端部52aの適所には、ワーク8を係止するための係止部が設けられている。
【0044】
第2エンドエフェクタ5Bは、第2アーム4Bに着脱可能に取り付けられており、ワーク8をワーク用ユニット7内から図示しない処理室またはロードロック室等搬入し、また、ワーク8を図示しない処理室またはロードロック室等からワーク用ユニット7内に搬出するためのものである。第2エンドエフェクタ5Bは、第1エンドエフェクタ5Aと同様の構成を有する。第2エンドエフェクタ5Bは、取付部51bおよび一対の先端部52bを有し、これら取付部51bおよび一対の先端部52bの間が二股状のフォーク部で連結された構成である。取付部51bは、たとえば金属製の板材からなり、第2アーム4B(主部42b)の先端部の直上に取り付けられている。第2エンドエフェクタ5Bは、全体が水平面にほぼ沿うように配置されている。第2エンドエフェクタ5Bにおいても、第1エンドエフェクタ5Aと同様に、先端部52bの適所には、ワーク8を係止するための係止部(図示略)が設けられている。
【0045】
なお、第1エンドエフェクタ5Aを処理室等への搬入用とし、第2エンドエフェクタ5Bを処理室等からの搬出用にすることもできる。反対に、第2エンドエフェクタ5Bを処理室等への搬入用とし、第1エンドエフェクタ5Aを処理室等からの搬出用にすることもできる。
【0046】
図2等に示すように、第1エンドエフェクタ5Aおよび第2エンドエフェクタ5Bは、平面視(鉛直方向z視)において互いに重なっている。第1エンドエフェクタ5Aは、第2エンドエフェクタ5Bに対して鉛直方向zにおける上方に位置する。第1エンドエフェクタ5Aは、第1アーム4Aを介して1つの第1ガイドレール32Aに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。第2エンドエフェクタ5Bは、第2アーム4Bを介して1つの第2ガイドレール32Bに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。
【0047】
ワーク用ユニット7は、ワーク8の搬送時に当該ワーク8の重量負荷を受けるものである。図1に示すように、ガイド部材31のカバー314の適所には台座6が設けられている。図示した例では、一対の台座6が第2方向yに離隔して配置されている。各台座6は、たとえば断面矩形状とされており、第1方向xに延びている。ワーク用ユニット7は、一対の台座6に取り付けられており、当該一対の台座6を介してガイド部材31に支持されている。
【0048】
図2図4に示すように、ワーク用ユニット7は、側壁70および支持板71を備える。側壁70は、第2方向yに離隔するように対をなして配置されている。支持板71は、平面視(鉛直方向z視)において一対の側壁70に挟まれた領域に配置される。当該支持板71は、鉛直方向zに間隔を隔てて上下2段に設けられており、上下各段の支持板71は、水平面にほぼ沿うように配置されている。なお、図示した例では、上段の支持板71は第2方向yに一連に延びる1つの矩形板状部からなり、下段の支持板71は、第2方向yに離隔する2つの矩形板状部からなる。図3は、ワーク用ユニット7を透過した図であり、ワーク用ユニット7を想像線で表している。
【0049】
第1エンドエフェクタ5Aは、ワーク8をワーク用ユニット7内から図示しない処理室等に搬入し、またワーク8を図示しない処理室等から搬出する際、ワーク用ユニット7の上段の支持板71の直上に進入する。第2エンドエフェクタ5Bは、ワーク8をワーク用ユニット7内から図示しない処理室等に搬入し、またワーク8を図示しない処理室等から搬出する際、ワーク用ユニット7の下段の支持板71と上段の支持板71との間に進入する。
【0050】
図3図4に示すように、搬送装置A1により搬送されるワーク8は、ワーク用ユニット7内に配置可能である。第1エンドエフェクタ5Aによりワーク用ユニット7内から図示しない処理室等に搬入されるワーク8は、ワーク用ユニット7の上段の支持板71に載置される。第2エンドエフェクタ5Bによりワーク用ユニット7内から図示しない処理室等に搬入されるワーク8は、ワーク用ユニット7の下段の支持板71に載置される。
【0051】
本実施形態において、ワーク8は、たとえば液晶表示パネル用のガラス基板である。ワーク8は、矩形板状である。詳細な図示説明は要略するが、ワーク8の適所には係止部が設けられている。ワーク8に設けられた係止部は、第1エンドエフェクタ5A(第2エンドエフェクタ5B)の先端部52a(先端部52b)に設けられた上記係止部に係止される構成である。たとえば第1エンドエフェクタ5A(第2エンドエフェクタ5B)側の係止部がピンを有し、ワーク8側の係止部が係止孔を有し、当該係止孔に上記ピンが嵌挿することで、ワーク8側の係止部が第1エンドエフェクタ5A(第2エンドエフェクタ5B)側の係止部に係止される。第1エンドエフェクタ5A(第2エンドエフェクタ5B)によりワーク8を係止し、また当該係止の解除は、昇降ベース14の昇降動作により行うことができる。なお、図3図4は、ワーク8を透過した図であり、ワーク8を想像線で表している。
【0052】
第1エンドエフェクタ5Aおよび第2エンドエフェクタ5Bによりワーク8をワーク用ユニット7に搬入出する過程においては、ワーク8は、支持板71上を滑りながら移動行程GLに沿って移動させられる。当該支持板71の上面部は、好ましくは、ワーク8の摺動抵抗が小さくなるように、低摩擦の材料から構成される。たとえば、支持板71全体を低摩擦の材料から構成してもよく、また、支持板71の表面(少なくとも上面)を低摩擦の材料(たとえばモリブデンめっき等)でコーティングしてもよい。
【0053】
第1エンドエフェクタ5Aおよび第2エンドエフェクタ5Bによりワーク8をワーク用ユニット7に搬入出する過程、およびワーク8がワーク用ユニット7内に配置された状態において、ワーク8の重量負荷は、ワーク用ユニット7を介してガイド部材31が受けている。したがって、ワーク8の搬送時において、ワーク8の重量負荷は、第1エンドエフェクタ5Aおよび第2エンドエフェクタ5Bならびにこれらを支持する第1アーム4Aおよび第2アーム4Bには掛からない。
【0054】
本実施形態において、図2図4図7に示すように、第1アーム4Aには、錘44aが設けられている。また、図4図6図7に示すように、第2アーム4Bには、錘44bが設けられている。図示した例では、錘44aは、第1アーム4Aにおける主部42aの先端部に設けられている。錘44bは、第2アーム4Bにおける連絡部41bの下部に設けられている。
【0055】
図7に示すように、第1アーム4Aに錘44aを設けることにより、第1アーム4Aおよび第1エンドエフェクタ5Aの重心である第1重心位置C1は、第1方向xを見たときに、鉛直方向zにおいて第1ガイドレール32Aと重なる。したがって、錘44aを設けることで、第1アーム4Aおよび第1エンドエフェクタ5Aの重心である第1重心位置C1が、第1方向xを見たときに、鉛直方向zにおいて第1ガイドレール32Aと重なるように適宜設定される。なお、錘44aを設けない場合における第1アーム4Aおよび第1エンドエフェクタ5Aの元の重心位置C10は、第1重心位置C1よりも第2方向yの一方側(図中左側)に偏倚している。
【0056】
図7に示すように、第2アーム4Bに錘44bを設けることにより、第2アーム4Bおよび第2エンドエフェクタ5Bの重心である第2重心位置C2は、第1方向xを見たときに、鉛直方向zにおいて第2ガイドレール32Bと重なる。したがって、錘44bを設けることで、第2アーム4Bおよび第2エンドエフェクタ5Bの重心である第2重心位置C2が、第1方向xを見たときに、鉛直方向zにおいて第2ガイドレール32Bと重なるように適宜設定される。なお、錘44bを設けない場合における第2アーム4Bおよび第2エンドエフェクタ5Bの元の重心位置C20は、第2重心位置C2よりも第2方向yの一方側(図中左側)に偏倚している。
【0057】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0058】
搬送装置A1は、固定ベース1と、固定ベース1に対して垂直状の旋回軸線Os周りに旋回可能に支持された旋回ベース2と、旋回ベース2に支持された直線移動機構3と、直線移動機構3に支持された第1アーム4Aと、を備える。第1アーム4Aは、直線移動機構3の作動により第1方向xに延びる水平直線状の移動行程GLに沿って移動する。直線移動機構3は、第1アーム4Aに駆動力を伝達するための第1駆動機構33Aと、第1アーム4Aを移動可能に支持し、且つ第1方向xに延びる1つの第1ガイドレール32Aと、を備え、第1アーム4Aは、1つの第1ガイドレール32Aに片持ち状に支持されている。このような構成によれば、第1アーム4Aは単一の第1ガイドレール32Aによって支持されてスライド走行するので、たとえば2本のガイドレールに支持される場合と異なり、ガイドレールの平行度の調整等が不要である。したがって、直線移動機構3によって移動させられる構造部(第1アーム4Aおよび第1エンドエフェクタ5A)の走行性の安定化を図ることができる。
【0059】
搬送装置A1は、直線移動機構3に支持された第2アーム4Bを備え、当該第2アーム4Bは、直線移動機構3の作動により第1方向xに延びる水平直線状の移動行程GLに沿って移動する。直線移動機構3は、第2アーム4Bに駆動力を伝達するための第2駆動機構33Bと、第2アーム4Bを移動可能に支持し、且つ第1方向xに延びる1つの第2ガイドレール32Bと、を備える。第1ガイドレール32Aと第2ガイドレール32Bとは、第2方向y(鉛直方向zおよび第1方向xの双方に直交する方向)に離隔して配置されており、第2アーム4Bは、1つの第2ガイドレール32Bに片持ち状に支持されている。このような構成によれば、第2アーム4Bは単一の第2ガイドレール32Bによって支持されてスライド走行するので、たとえば2本のガイドレールに支持される場合と異なり、ガイドレールの平行度の調整等が不要である。したがって、直線移動機構3によって移動させられる構造部(前述の第1アーム4Aおよび第1エンドエフェクタ5A、ならびに第2アーム4Bおよび第2エンドエフェクタ5B)の走行性の安定化を図ることができる。また、一対の第1アーム4Aおよび第2アーム4Bをスライド走行させるために2本のガイドレール(第1ガイドレール32Aおよび第2ガイドレール32B)だけで済むので、直線移動機構3の小型化と軽量化を図ることが可能である。
【0060】
本実施形態においては、第1アーム4Aおよび第1エンドエフェクタ5Aの重心である第1重心位置C1が、第1方向xを見たときに、鉛直方向zにおいて第1ガイドレール32Aと重なるように設定される。このような構成によれば、第1ガイドレール32Aに作用するモーメント荷重を低減することができ、第1アーム4A等を片持ち支持した第1ガイドレール32Aの長寿命化が図られる。また、第2アーム4Bおよび第2エンドエフェクタ5Bの重心である第2重心位置C2についても、第1方向xを見たときに、鉛直方向zにおいて第2ガイドレール32Bと重なるように設定される。このような構成によれば、第2ガイドレール32Bに作用するモーメント荷重を低減することができ、第2アーム4B等を片持ち支持した第2ガイドレール32Bの長寿命化が図られる。
【0061】
第1駆動機構33A(第2駆動機構33B)は、それぞれベルト式駆動機構によって構成されている。また、第1アーム4A(第2アーム4B)は、第1連結部材35A(第2連結部材35B)を介して第1出力ベルト337A(第2出力ベルト337B)とつながっている。このような構成によれば、たとえばワーク8の大型化に伴って第1アーム4A(第2アーム4B)の移動距離を延長する場合においても、第1ガイドレール32A(第2ガイドレール32B)、および第1出力ベルト337A(第2出力ベルト337B)を長尺化することにより容易に対応することが可能である。このため、第1アーム4A(び第2アーム4B)の移動距離の長大化によって直線移動機構3が重量化するのを適切に回避することができる。さらに、第1アーム4A(第2アーム4B)は、1つの第1ガイドレール32A(1つの第2ガイドレール32B)に支持されている。これにより、第1アーム4A(第2アーム4B)が2本のガイドレールに支持される場合と異なり、スライド走行時における蛇行を抑制することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【0063】
上記実施形態では、第1駆動機構33A(第2駆動機構33B)が、第1ベベルギア機構333A(第2駆動機構33B)および減速機構334を備えて構成されていたが、第1駆動機構33A(第2駆動機構33B)の具体的な構成は種々変更が可能である。モータM3(モータM4)の駆動力を水平軸線O1周りの回転として出力できればよい。また、上記実施形態では、第1駆動軸332aおよび第2駆動軸332bが共通の水平軸線O1周りに回転可能に支持されていたが、第1駆動軸332aおよび第2駆動軸332bが互いに異なる水平軸線周りに回転可能に支持されていてもよい。
【0064】
本発明に係る搬送装置の搬送対象物であるワークは、上記実施形態のガラス基板に限定されない。また、上記実施形態においては、ワーク用ユニット7内においてワーク8が支持板71上を直接摺動する構成であったが、他の構成でもよい。たとえばワーク用ユニットにワークを支持するローラーを設け、ワークをワーク用ユニットに搬入出する際、上記ローラー上を滑らせるように構成してもよい。また、ワーク用ユニットおよびワークの適所に永久磁石を設け、当該永久磁石の反発力によりワークがワーク用ユニット内で磁気浮上する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
A1:搬送装置、1:固定ベース、2:旋回ベース、3:直線移動機構、32A:第1ガイドレール、32B:第2ガイドレール、33A:第1駆動機構、33B:第2駆動機構、335a:第1駆動プーリ、336a:第2駆動プーリ、337A:第1出力ベルト、337B:第2出力ベルト、34a,34b:区間、35A:第1連結部材、35B:第2連結部材、4A:第1アーム、4B:第2アーム、5A:第1エンドエフェクタ、5B:第2エンドエフェクタ、C1:第1重心位置、C2:第2重心位置、GL:移動行程、Os:旋回軸線、O1:水平軸線、x:第1方向、y:第2方向、z:鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7