(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155951
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】遊離可能な高分子試薬を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
C08G 65/333 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
C08G65/333
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024134970
(22)【出願日】2024-08-13
(62)【分割の表示】P 2021518960の分割
【原出願日】2019-10-11
(31)【優先権主張番号】62/744,512
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】597148884
【氏名又は名称】ネクター セラピューティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ショーン エム. カルバートソン
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル ピー. マクマナス
(72)【発明者】
【氏名】アントニ コズロウスキ
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタ ソム
(57)【要約】
【課題】 フルオレニルベースの高分子試薬を調製するための改善された方法を提供すること
【解決手段】 本開示は、(とりわけ)フルオレニルベースの高分子試薬を調製するための改善された方法、そのような高分子試薬を回収し、精製するための方法、フルオレニルベースの高分子試薬中の望ましくない不純物を低下させるための方法、本明細書において記載される方法によって調製されるフルオレニルベースの高分子試薬、及び本明細書において記載される方法によって調製されるフルオレニルベースの高分子試薬との反応によって調製されるコンジュゲートを提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月11日に提出された米国仮特許出願第62/744,512号明細書に対して、米国特許法第119(e)条の下、優先権の利益を主張し、この開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、(とりわけ)フルオレニルベースの高分子試薬を調製するための改善された方法、そのような高分子試薬を回収し、精製するための方法、フルオレニルベースの高分子試薬中の望ましくない不純物を低下させるための方法、本明細書において記載される方法によって調製されるフルオレニルベースの高分子試薬、及び本明細書において記載される方法によって調製されるフルオレニルベースの高分子試薬との反応によって調製されるコンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリエチレングリコールの共有結合による生理活性分子の修飾は、そのような分子の薬理学的及び薬学的特性を増強させることができ、いくつかの承認済みの薬で使用され、成功してきた。たとえば、PEG化は、たとえばCIMZIA(登録商標)(PEG化腫瘍壊死因子(TNF))、NEULASTA(登録商標)(PEG化顆粒球コロニー刺激因子(GCSF))、PEGASYS(登録商標)(PEG化インターフェロンα-2a)、及びADYNOVATE(登録商標)(PEG化第VIII因子)などのように、生物薬剤が安定した結合によりポリエチレングリコールに共有結合されている、市販の薬を作るために使用されている。多くの場合において、活性剤への1つ又はそれ以上のポリエチレングリコール鎖の安定した共有結合は、未修飾分子と比較した場合に、機能活性が低下しているPEGコンジュゲートをもたらす。活性薬が安定した連結を介してポリマーに共有結合される場合、ポリマーに結合した薬は、結合していない薬の特性を保持し得るが、共有結合したポリマーが、とりわけ、薬の分子を取り囲んでいる立体的環境及び電子環境を変化させることがあり、薬をそれほど有効でないものにしてしまうことがある(薬1グラム毎の)ので、薬1グラム当たりのその有効性は、一般に、未修飾の薬と異なる。しかしながら、この影響は、ある場合に、たとえば、薬の有効性の増強を実現するための、より長い循環時間によって、相殺することができる。
【0004】
PEG試薬が、遊離可能な連結を介して治療剤に共有結合されるPEG化技術もまた、存在する。遊離可能なPEG化(「可逆的PEG化」と称される場合もある)は、活性剤コンジュゲート(ポリエチレングリコールなどのような1つ又はそれ以上の水溶性ポリマー成分に遊離可能に化学結合される薬分子を含む)が、投与の後に、インビボにおいて生じる化学プロセスを通して、長い間にわたって、薬から1つ又はそれ以上のポリマー成分を遊離する技術である。理論的にはポリマーが血液循環中に長い間にわたって遊離し、親薬分子の活性を取り戻すことができるので、そのような遊離可能ポリマー修飾薬は、時に、プロドラッグと称される。遊離可能なドラッグデリバリーシステムの有効性は、たとえば、薬コンジュゲートからの1つ又はそれ以上の共有結合ポリマー成分の遊離速度によって影響を及ぼされ得る。
可逆的(遊離可能な)PEG化を起こすことができる薬コンジュゲートを形成するために使用されてもよいPEG化試薬の一種は、フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)アミン保護基をベースとする(たとえばWuts,P.G.、Greene,T.W.、Protective Groups in Organic Synthesis、Fourth Ed.、2007、John Wiley&Sons,Inc.、ニュージャージー(New Jersey);Bentley,M.D.,et al.、
米国特許第8,252,275号明細書;Shechter Y.,et al.、Eur J Pharm Biopharm、2008、70、19-28を参照)。分岐構造を持つ、本明細書において高分子試薬又はある特定の例ではPEG化FMOC試薬と称されるこれらの試薬の1つの特定の種の一般化された構造は、下記の構造Xにおいて示される(たとえば、その全体が参照によって本明細書に援用されるBentley,M.D.,et al.、米国特許第8,252,275号明細書において記載され、L1及びL2並びにR
e1及びR
e2についての説明が提供される)。この例証となる構造において、高分子試薬は、N-ヒドロキシルスクシンイミジル炭酸(NHS)エステルとして活性化されている、すなわち、スクシンイミジル炭酸エステル脱離基を含む。
【化1】
PEG2 FMOC試薬は、FMOC型試薬と反応して、たとえばカルバメートアダクトを形成することができる、求核原子を含む治療剤と反応させてもよい。この反応スキームは、下記に例証され、一例として、反応性N-スクシンイミジルカーボネート基を含む典型的なPEG2-FMOC試薬の一般化された形態とのタンパク質リシン基の反応を示す(スキームI)。
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,252,275号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wuts,P.G.、Greene,T.W.、Protective Groups in Organic Synthesis、Fourth Ed.、2007、John Wiley&Sons,Inc.、ニュージャージー(New Jersey)
【非特許文献2】Shechter Y.,et al.、Eur J Pharm Biopharm、2008、70、19-28
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以前に記載された合成アプローチによる様々なFMOC試薬の製造の間に、本出願人らは、望ましくない副反応を経験した。これらの副反応は、(i)場合によっては、最終的なポリマー-治療剤コンジュゲートの品質に悪影響を与え得る及び(ii)治療剤からのFMOCポリマー成分の遊離のメカニズムを変化させ得る、好ましくない副産物の形成をもたらし得る。本開示は、主題の高分子FMOC試薬を調製する以前に記載された方法と関連した課題について記載し、そのような問題を解決することを目的とするいくつかのプロセスの改善を提供し、それによって、たとえば、とりわけ、高分子FMOC試薬を作製するための改善された方法、高分子FMOC試薬を調製するのに有用な中間体を作製するための改善された方法、FMOC中間体を活性化するための改善された方法、1つ又はそれ以上の好ましくない高分子FMOC由来の副産物又は不純物を除去するための方法、及びある高分子FMOC試薬を安定化するための方法を提供する。したがって、本開示は、主題の高分子FMOC試薬及びそれらのコンジュゲートの調製に関係するこれらの及び他の課題について検討することを試みるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、反応性高分子試薬を調製するための方法、すなわち改善された方法が、本明細書において提供される。方法は、(i)構造(I)を有する水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを:
【化3】
ここで、POLY
aは、第1の水溶性非ペプチド性ポリマーである;POLY
bは、第2の水溶性非ペプチド性ポリマーである;R
e1は、存在する場合、第1の電子変化基である;及びR
e2は、存在する場合、第2の電子変化基である;L
1は、第1の連結成分である;及びL
2は、第2の連結成分である;
無水条件下で、塩基の存在下において、非プロトン有機溶媒中で、ジベンゾトリアゾリルカーボネート(BTC)と反応させて、次の構造を有する水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを含む反応混合物をもたらすこと:
【化4】
ここで、POLY
a、POLY
b、R
e1、R
e2、L
1、及びL
2は、それぞれ、ステップ(i)において記載される意味を有する並びに(ii)水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーの沈殿を促進するのに有効な無水溶媒による沈殿によって、水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマー(II)を回収することを含む。
【0009】
この方法に関係する1つ又はそれ以上の実施形態では、ステップ(i)において、構造(I)の水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、約30当量未満のジベンゾトリアゾリルカーボネート(di-BTC)と反応させる。
【0010】
いくつかの実施形態では、塩基は、アミンである。いくつかのさらなる実施形態では、塩基は、非求核アミンである又はわずかに求核性のアミンである。塩基は、たとえばピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、N,N,2,6-テトラメチルピリジン-4-アミン、及び前述のもののいずれかの不溶性ポリマー結合形態を含む。アミンはまた、たとえばN,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサメチルジアミン、N,N’,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、及びヘキサメチレンテトラミンなどのようなポリアミンであってもよい。
【0011】
この方法の1つ又はそれ以上の実施形態では、ステップ(ii)において、沈殿を促進するのに有効な無水溶媒は、酸をさらに含む。
【0012】
さらにいくつかのさらなる実施形態では、方法は、反応ステップの前に、非プロトン有機溶媒中に構造(I)の水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを溶解して、ポリマー溶液を形成すること及び共沸蒸留によってポリマー溶液を乾燥させて、約500ppm未満の含水量を有するポリマー溶液をもたらすことをさらに含む。
【0013】
いくつかのその他の実施形態では、ステップ(ii)の回収された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーは、10モルパーセント未満の水溶性フルベンポリマーを含む。
【0014】
方法のさらにいくつかの他の実施形態では、回収ステップは、ステップ(i)の反応混合物を濾過して、固体を除去して、水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを含む溶液をもたらすこと、続いて、溶液から水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを沈殿させるのに有効な量の無水溶媒を追加することを含む。
【0015】
さらにいくつかのその他の実施形態では、水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボ
ネートフルオレンポリマーの沈殿を促進するのに有効な無水溶媒は、少量の酸を含む。
【0016】
さらに、いくつかのさらなる実施形態では、方法は、回収された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを、水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーが不溶性である又は実質的に不溶性である無水溶媒により洗浄することを含み、溶媒は、約0.0001~約0.5モルパーセントの酸を含む。
【0017】
いくつかのさらなる実施形態では、方法は、(iii)回収された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを精製することをさらに含む。
【0018】
第2の態様では、上記に記載される回収された又は精製された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーの、たとえば水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーなどのような異なる反応性カーボネートへの変換を、そのような変換を実行するのに有効な条件下で行うことを含む方法が、本明細書において提供される。1つ又はそれ以上の例証となる実施形態では、そのような変換は、ジメチルアミノピリジンの存在下において実行される。さらに1つ又はそれ以上の実施形態では、変換反応は、たとえばジクロロメタンなどのような溶媒中で実行される。
【0019】
第3の態様では、N-ヒドロキシルスクシンイミジルカーボネートエステル活性化高分子試薬を調製するための方法が、さらに提供される。方法は、(i)次の構造を有する水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを:
【化5】
ここで、POLY
aは、第1の水溶性非ペプチド性ポリマーである;POLY
bは、第2の水溶性非ペプチド性ポリマーである;R
e1は、存在する場合、第1の電子変化基である;R
e2は、存在する場合、第2の電子変化基である;L
1は、第1の連結成分である;L
2は、第2の連結成分である;R
e1は、存在しても存在しなくてもよく、第1の電子変化基である;及びR
e2は、存在しても存在しなくてもよく、第2の電子変化基である、
塩基の存在下において、無水非プロトン有機溶媒中で、約1~20当量のジスクシンイミジルカーボネートと反応させて、次の構造を有する水溶性9-メチルN-スクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを含む反応混合物をもたらすこと:
【化6】
ここで、POLY
a、POLY
b、R
e1、R
e2、L
1、及びL
2は、それぞれ、ステ
ップ(i)において記載される意味を有する;並びに
(ii)反応混合物から構造(III)の水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを回収することを含む。
【0020】
典型的な水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーは、以下の構造XI~XIVを含み、ここで、mPEGO~は、メトキシポリエチレングリコール又はCH
3O(CH
2CH
2O)
nCH
2CH
2O-についての短縮形であり(ポリエチレングリコール以外にフルオレンコア上に置換されるその他の水溶性高分子鎖のように、ベンゾトリアゾリルカーボネートなどのような、標的薬分子の官能基との反応に適した多くの反応基のいずれもまた、予想されるとおり、想定することができる)、それぞれの(n)は、約3~2273の範囲にあり、本明細書の別の箇所に記載される(n)についての部分範囲のそれぞれ及び1つ1つすべて並びに特定の値を含む、
【化7】
構造(XI):9-ヒドロキシメチル-4-(mPEG-カルボキシアミド)-7-(3-(mPEGカルバモイル-プロピル)-フルオレン-N-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネート(“CAC-PEG2-FMOC-NHS”)
【化8】
構造(XII):9-ヒドロキシメチル-2,7-ジ(mPEG-アミドグルタルアミド)フルオレン-N-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネート(“G2-PEG2-FMOC-NHS”)
【化9】
構造(XIII):9-ヒドロキシメチル-4-(mPEG-カルボキシアミド)-7-(mPEGアミドグルタルアミド)フルオレン-N-ヒドロキシスクシンイミジルカーボ
ネート(“CG-PEG2-FMOC-NHS”)
及び
【化10】
構造XIV:9-ヒドロキシメチル-2,7-(ビス-mPEG-カルボキシアミド)-フルオレン-N-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネート(“C2-PEG2-FMOC-NHS”)。
【0021】
前述の方法のいくつかの実施形態では、反応ステップ(i)の前に、水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、無水非プロトン有機溶媒中に溶解されて、ポリマー溶液をもたらし、続いて、ポリマー溶液を乾燥させて、存在し得る水を除去して、500ppm未満の含水量を有する乾燥ポリマー溶液をもたらす。
【0022】
方法のいくつかのさらなる実施形態では、乾燥は、200ppm未満の含水量を有する乾燥ポリマー溶液に達するまで、反復させる。
【0023】
いくつかのその他の特定の実施形態では、乾燥ステップは、ポリマー溶液を共沸蒸留することを含む。
【0024】
前述のものに関係するいくつかのさらなる実施形態では、乾燥は、ポリマー溶液の含水量が一定の状態を維持するようになるまで、反復させる。
【0025】
1つ又はそれ以上のその他の実施形態では、方法は、回収ステップの前に、塩基を中和するのに有効な量でステップ(i)の反応混合物に酸を追加することをさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、15モルパーセント以下の水溶性フルベンポリマーを含む、回収された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを産生するのに有効である。
【0027】
方法の1つ又はそれ以上の実施形態では、沈殿用溶媒は、その凝固点を上回り且つ室温を下回る温度をしている。
【0028】
さらにいくつかのさらなる実施形態では、沈殿用溶媒は、少量の酸を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、回収された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを、酸性化された沈殿用溶媒により洗浄することをさらに含む。
【0030】
1つ又はそれ以上の実施形態では、方法は、回収された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを精製することをさらに含む。
【0031】
さらにいくつかのその他の実施形態では、精製ステップは、回収された水溶性9-メチ
ルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを溶媒中に溶解して、溶液をもたらすこと、溶液をチオール含有樹脂に通過させて、いかなる水溶性フルベンポリマーをも除去して、それによって、精製された溶液をもたらすこと、及び精製された溶液から溶媒を除去して、精製された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを回収することを含む。
【0032】
さらに1つ又はそれ以上のさらなる実施形態では、本明細書において記載される方法によって調製される、回収された又は精製された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマー又は他の反応性カーボネートは、アミン含有生物学的活性剤と反応させて、コンジュゲートをもたらす。
【0033】
別の態様では、臭素化水溶性フルオレンポリマーが、提供される。1つ又はそれ以上の実施形態では、臭素化水溶性フルオレンポリマーは、次のものから選択される構造を有する:
【化11】
ここで、POLY
a、POLY
b、L
1、及びL
2は、本明細書の別の箇所に記載される意味を有する。
【0034】
その他の態様及び実施形態は、以下の説明及び請求項において記載される。
(図面の簡単な説明)
【0035】
この段落は、プレースホールダー(placeholder)として意図的に空白のままにした。
【発明を実施するための形態】
【0036】
定義
本開示のある特徴について記載し、主張する際には、特に明記しない限り、以下の術語を、下記に記載される定義に従って使用した。
【0037】
本明細書において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、
及び「その」は、文脈上、明らかに他の意味を示す場合を除き、複数形の指示対象を含む。したがって、たとえば、「ポリマー」への言及は、単一のポリマー及び2つ以上の同じ又は異なるポリマーを含み、「コンジュゲート」への言及は、単一のコンジュゲート及び2つ以上の同じ又は異なるコンジュゲートを指し、「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤及び2つ以上の同じ又は異なる賦形剤を含む、などとなる。
【0038】
「水溶性非ペプチド性ポリマー」は、室温で、水中で、少なくとも35%(重量で)可溶性であるポリマーを指す。しかしながら、好ましい水溶性非ペプチド性ポリマーは、水中で、好ましくは70%(重量で)超、より好ましくは95%超(重量で)可溶性である。通常、「水溶性」ポリマーの濾過されてない水溶性調製物は、濾過した後の同じ溶液が透過する光の量の少なくとも75%を透過する。好ましくは、そのような濾過されてない水溶性調製物は、濾過した後の同じ溶液が透過する光の量の少なくとも95%を透過する。水中で少なくとも95%(重量で)可溶性である又は水中で完全に可溶性である水溶性ポリマーが、最も好ましい。「非ペプチド性」に関して、ポリマーが35%未満(重量で)のアミノ酸残基を含有する場合、ポリマーは非ペプチド性となる。
【0039】
用語「モノマー」、「モノマーサブユニット」、及び「モノマー単位」は、本明細書において区別なく使用され、ポリマーの基本的構造単位の1つを指す。ホモポリマーの場合、単一の反復構造単位が、ポリマーを形成する。コポリマーの場合、2つ以上の構造単位が、あるパターンで又はランダムに反復して、ポリマーを形成する。本発明に関連して使用される好ましいポリマーは、ホモポリマーである。水溶性非ペプチド性ポリマーは、連続的に付加された3つ以上のモノマーを含み、モノマーの鎖を形成する。
【0040】
本明細書において使用される「PEG」又は「ポリエチレングリコール」は、任意の水溶性ポリ(エチレンオキシド)を包含することを意図する。特に明記しない限り、「PEGポリマー」又はポリエチレングリコールは、実質的にすべての(好ましくはすべての)モノマーサブユニットがエチレンオキシドサブユニットであるが、ポリマーが、たとえばコンジュゲーションのために、特異なエンドキャッピング成分又は官能基を含有してもよいものである。PEGポリマーは、末端の酸素が、たとえば合成変換の間に、置き換えられたかどうかに依存して、2つの以下の構造のうちの1つを一般に含む:「-(CH2CH2O)n-」又は「-(CH2CH2O)n-1CH2CH2-」。上記のように、PEGポリマーについて、変数(n)は、約3~2273の範囲にわたり、末端基及び全体的なPEGの構成は、変動し得る。「n」についてのその他の部分範囲は、本明細書において記載される。本開示に関連するPEGポリマーは、通常、エンドキャップされており、好ましいエンド-キャッピング基は、低級アルキル基であり、最も好ましいエンド-キャッピング基は、メチルである。
【0041】
PEGなどのような水溶性ポリマーに関する分子量は、数平均分子量又は重量平均分子量として表わすことができる。特に明記しない限り、本明細書における分子量への言及はすべて、重量平均分子量を指す。両方の分子量測定、数平均及び重量平均は、ゲル浸透クロマトグラフィー又は他の液体クロマトグラフィー技術(たとえばゲル濾過クロマトグラフィー)を使用して測定することができる。最もよく用いられるのは、ゲル浸透クロマトグラフィー及びゲル濾過クロマトグラフィーである。分子量を決定するための他の方法は、数平均分子量を決定するための末端基分析又は束一性の測定(たとえば凝固点降下、沸点上昇、若しくは浸透圧)又は重量平均分子量を決定するための光散乱技術、超遠心分離法、MALDI TOF、若しくはビスコメトリーの使用を含む。PEGポリマーは、通常、多分散であり(すなわち、ポリマーの数平均分子量及び重量平均分子量は、等しくない)、好ましくは約1.2未満、より好ましくは約1.15未満、さらにより好ましくは約1.10未満、さらにより好ましくは約1.05未満、及び最も好ましくは約1.03未満の低い多分散度(polydispersity value)を持つ。
【0042】
ポリマーの幾何学的配置又は全体的な構造に関する「分岐」は、分岐点又は中央にある構造的な特徴から伸長する2つ以上のポリマー「アーム」又は「鎖」を有するポリマーを指す。ある好ましい分岐ポリマーの例は、1つ又はそれ以上の以下の特徴を有するものである:2つ以上のポリマーアームを有する、2つのポリマーアームを有する、同じ構造を有するポリマー鎖から構成される(たとえば、同じモノマーサブユニットから構成される)、及び同じ重量平均分子量を有するポリマーアームから構成される。
【0043】
「安定した」連結又は結合は、水中で実質的に安定している、すなわち、長期間にわたって任意の評価可能な程度まで、生理学的条件下で加水分解又は分解を受けない化学結合を指す。加水分解的に安定した連結の例は、一般に、以下のものを含むが、これらに限定されない:炭素-炭素結合(たとえば脂肪鎖において)、エーテル結合、アミド結合、アミン結合、及びその他同種のもの。しかしながら、化学技術の熟練者によって理解されるように、任意のある特定の化学結合の安定性は、結合が置かれる分子の特定の構造的特徴並びにある特定の分子内の主題の連結の配置、近接する及び隣接する原子、並びにその他同種のものによって影響を及ぼされ得ることが理解されるべきである。当業者は、たとえば、関心がある条件下に(たとえば生理学的条件下に)関心がある連結含有分子を配置し、適した時間にわたる遊離の証拠について試験することによって、ある特定の連結が、ある特定の状況において安定しているか遊離可能かどうかを決定することができる。一般に、安定した連結は、生理学的条件下で1日当たり約1~2%未満の加水分解の速度を示すものである。代表的な化学結合の加水分解速度は、標準的な有機化学のテキストにおいて見つけることができる。
【0044】
たとえば、たとえば活性成分又は他の分子などのような標的分子に共有結合される高分子FMOC試薬などのような水溶性ポリマーに関する共有結合性の「遊離可能な」連結は、生理学的条件下で、活性成分から1つ又はそれ以上の水溶性ポリマーを遊離する又は引き離す連結である。遊離は、たとえば、任意の適したメカニズムによって、また臨床的に有用な速度で、生じてもよい。遊離可能な連結はまた、生理学的に切断可能な結合又は連結と称されてもよい。
【0045】
「アルキル」は、通常、長さが約1~15原子の範囲にわたる炭化水素鎖を指す。そのような炭化水素鎖は、必ずではないが、好ましくは飽和されており、分岐であっても直鎖であってもよいが、通常、直鎖が好ましい。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、3-メチルペンチル、及びその他同種のものを含む。
【0046】
「低級アルキル」は、1~6の炭素原子を含有するアルキル基を指し、メチル、エチル、n-ブチル、i-ブチル、及びt-ブチルによって例示されるように、直鎖であっても分岐であってもよい。
【0047】
「アルコキシ」は、-OR基を指し、ここで、Rは、アルキル又は置換アルキル、好ましくはC1~6アルキル(たとえば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ等)である。
【0048】
たとえば「置換アルキル」でのような「置換」という用語は、これらに限定されないが、アルキル、C3~8シクロアルキル、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、及びその他同種のもの;ハロ、たとえばフルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード;シアノ;アルコキシ、低級フェニル;置換フェニル;並びにその他同種のものなどのような1つ又はそれ以上の非干渉性の置換基により置換される成分(たとえばアルキル基)を指す。「置換アリール」は、置換基として1つ又はそれ以上の非干渉性の基を有するアリールである。フェニル環の置換について、置換基は、任意の配向をしていてもよい(すなわち、オルト、メタ、又はパラ)。ナフタレン又はフルオレンコアなどのような、より複雑な系の一部
であるアリール部分の置換基は、別の状況ではその構造において占められることはない、アリール環の任意の位置を占めてもよい。
【0049】
「非干渉性の置換基」は、分子中に存在する場合、分子内に含有される他の官能基と通常、非反応性である基である。
【0050】
「アリール」は、それぞれ5又は6のコア炭素原子の、1つ又はそれ以上の芳香環を意味する。アリールは、ナフチルでのように融合されてもよい又はビフェニルでのように非融合であってもよい多数のアリール環を含む。アリール環はまた、1つ又はそれ以上の環式炭化水素、ヘテロアリール、又は複素環と融合されてもよい又は非融合であってもよい。本明細書において使用されるように、「アリール」は、ヘテロアリールを含む。芳香族部分(たとえばAr1、Ar2等)は、アリールを含有する構造を意味する。
【0051】
「ヘテロアリール」は、1~4のヘテロ原子、好ましくは硫黄、酸素、若しくは窒素又はその組み合わせを含有するアリール基である。ヘテロアリール環はまた、1つ又はそれ以上の環式炭化水素、複素環、アリール環、又はヘテロアリール環と融合されてもよい。
【0052】
「ヘテロ環」又は「複素環」は、不飽和又は芳香族性を有し又は有しておらず、炭素ではない少なくとも1つの環原子を有する、5~12原子、好ましくは5~7原子の1つ又はそれ以上の環を意味する。好ましいヘテロ原子は、硫黄、酸素、及び窒素を含む。
【0053】
「置換ヘテロアリール」は、置換基として1つ又はそれ以上の非干渉性の基を有するヘテロアリールである。
【0054】
「置換ヘテロ環」は、非干渉性の置換基から形成される1つ又はそれ以上の側鎖を有するヘテロ環である。
【0055】
本明細書において使用される「有機ラジカル」は、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールを含むものとする。
【0056】
「無水」物質は、500百万分率(ppm)の水又はそれ以下を含有する物質である。好ましくは、無水物質又は条件は、450ppmの水若しくはそれ以下又は400ppmの水若しくはそれ以下を含有する物質又は条件である。より好ましくは、無水物質又は条件は、200ppmの水又はそれ以下を含有する。最も好ましくは、無水物質は、現在100ppm未満である、現代の分析方法によって測定可能な水よりも少ない水を含有する。本明細書において記載される無水物質又は条件についての含水量の例証となる範囲は、約80ppm~約200ppmである。
【0057】
たとえば反応条件に関する「無水条件」は、反応物、溶媒、ガラス容器、雰囲気、及びその他同種のものから水分を取り除くよう注意が払われた条件を指す。無水条件は、通常、乾燥溶媒(化学技術の熟練者らによく知られている任意の適した乾燥技術を使用する)、乾燥試薬、不活性雰囲気、乾燥反応機器、及びその他同種のものの使用を含む。溶媒を乾燥させ、そのような溶媒における残留水分を測定するための通常の方法は、Pangborn,A.B.,et al Organometallics、1996、15、1518-1520;及びWilliams,D.B.G.,et al J.Org.Chem.2010、75、8351-8354などによる研究において見つけられてもよい。
【0058】
「実質的に」又は「本質的に」は、ほとんど全く又は完全に、たとえば、ある特定の数量の95%又はそれ以上を意味する。
【0059】
同様に、本明細書において使用される「約」又は「およそ」は、ある特定の数量のプラス又はマイナス5%の範囲内にあることを意味する。
【0060】
「任意選択の」又は「任意選択で」は、続いて記載される状況が、必ずしも生じる必要はないが、生じてもよいことを意味し、その記載によって、状況が生じる場合及び生じない場合が含まれることになる。
【0061】
「薬学的に許容される賦形剤」又は「薬学的に許容されるキャリア」は、本明細書において記載される組成物中に含まれてもよく、対象に著しい有害な毒性の効果を引き起こさない構成成分を指す。
【0062】
本明細書において使用される「患者」又は「対象」という用語は、癌などのような、本明細書において提供される化合物若しくは組成物又は組み合わせの投与によって予防する又は治療することができる状態を患っている又はその傾向がある生物を指し、ヒト及び動物の両方を含む。対象は、哺乳動物(たとえばネズミ科の動物、類人猿、ウマ科の動物、ウシ属の動物、ブタ、イヌ科の動物、ネコ科の動物、及びその他同種のもの)を含むが、これらに限定されず、好ましくはヒトである。
【0063】
概要
高分子FMOC試薬及び最終的な高分子試薬になる中間体のいくつかは、炭酸作用基の塩基触媒による損失を受けやすい。試薬の分解作用を触媒する物質の塩基性部分は、負に荷電していてもよい又は非荷電であってもよい。このプロセスは、PEG2-FMOC-治療剤コンジュゲートに有効性をもたらすものと同じタイプのプロセスである(PEG含有試薬又はコンジュゲートへの言及はまた、本明細書において、本明細書において記載されるものなどのような他の水溶性ポリマーに等しく適用されることを意図することに注意されたい)。より詳細には、PEG2-FMOCコンジュゲートは、フルオレン環の9位のイオン化可能なベンジルプロトンを分離することができる任意の物質とのインビボにおける反応によって、共有結合している治療剤(「薬」)を遊離する。薬の遊離プロセスは、特定の例証となるPEG2-FMOCコンジュゲート構造に関するスキームIIにおいて例証される。
【化12】
【0064】
スキームIIにおいて例証される経路と同様のメカニズムの経路に従って、PEG2-FMOC-NHS試薬(又は任意の他の適切に活性化されたPEG2-FMOC試薬)は、荷電した又は非荷電の塩基性物質と反応し得る。これは、PEG2-FMOC中間体又は試薬の好ましくない塩基触媒による脱離反応により、PEG2フルベン誘導体がもたらされるメカニズムを例証するスキームIIIにおいて示される。
【化13】
【0065】
PEG2-FMOC-BTC中間体は、同様の塩基触媒によるプロセスの後に、スキームIIIにおいてNHS試薬について示されるように、分解され、脱離基は、N-ヒドロキシスクシンイミドではなく、1-ヒドロキシベンゾトリアゾリルとなる。
【0066】
したがって、好都合な高分子試薬を提供するために、これら及び他の同様のエステル様試薬をもたらすための合成プロセスは、理想的には、中間体及び最終的な試薬との塩基性物質の相互作用による損失を最小限にするのに有効な条件下で実行されるべきである。そのような手法は、フルオレン環が、構造XにおけるRe1及びRe2などのような1つ又はそれ以上の電子吸引基により置換される場合、特に好ましい。たとえば、ポリマーをつなぐリンカー、すなわちL1又はL2が、フルオレンコアの近くの又はそれに直接付加されたある原子の存在により、より電子吸引性になる場合、本明細書において記載される反応方法、条件、中間体、産物回収、及び精製手順は、たとえば処理ステップ又はワークアップステップの間に塩基性物質を取り除くための取り扱い及び注意もまた、重要となり得ることを例証する。たとえば、フルオレニルコアに付加された電子吸引基の存在は、電子吸引性の影響が9位のプロトンに影響を及ぼし得、それをより酸性にし、したがって、塩基性種による除去を受けやすくするので、脱離反応をずっと安易にし得る(たとえばスキームII及びIII)。したがって、塩基触媒による分解作用は、特に問題となり得、通常PEG2-G2-FMOC試薬種では重大ではないが、PEG2-C2-FMOC試薬及び反応性中間体では非常に重大なものとなり得る。その結果として、それほど反応性でないPEG-FMOC試薬の製造について以前に記載されたプロセスは、品質の良い、高度に反応性のPEG-FMOC試薬(たとえばNHS試薬など)をもたらすのに、それほど好ましいものではなく、すべての反応タイプのPEG-FMOC試薬の調製にうまく適用されない場合があることが発見された。
【0067】
試薬中にPEG2フルベンが存在する1つの結果として、標的にされる治療剤及びPEG2フルベン不純物の間で好ましくない副反応が発生する可能性がある。この副反応は、下記の例証となるスキームIVにおいて示される(示される典型的な水溶性FMOC試薬は例証であり、FMOC高分子フルベンの構造に関して限定するものではないことが意図される)。
【化14】
【0068】
この反応において、治療剤、たとえばタンパク質のチオール基は、PEG2フルベンと反応し得る(たとえばCulbertson,S.,et al.、米国特許第8,905,235号明細書を参照)。PEG2 FMOC活性カーボネート試薬及びたとえばタンパク質の間の反応によって形成される意図されるコンジュゲート(たとえばスキームIを参照)ではなく、スキームIVにおいて示されるポリマーコンジュゲートの形成の際に、タンパク質の遊離が、全く異なるメカニズムによって、また非常に異なる環境条件下で、生じ得る。したがって、1つ又はそれ以上の態様では、本明細書において提供される方
法の1つ目的は、スキームIVにおいて示されるプロセスを最小限にする及び/又は予防することである。同様の反応は、たとえばアミンなどのような任意の反応性求核剤により生じ得るが、そのような反応は、通常、コンジュゲーション条件下では予測されない。
【0069】
通常の精製プロセスが、ほとんどの小さな分子を除去するが、他のPEG高分子不純物は除去しない再沈手順であるので、PEG2-フルベンは、PEG-FMOC-NHS試薬の従来通りの精製の間に除去されないことに注意するべきである。これは、以前に検討されなかったが、他の課題の中でも本開示によって検討される課題である。
【0070】
本明細書において記載される数多くのプロセスの改善及び改善された材料の中でも、本開示は、以下のものを提供するが、これらに限定されない:
(i)たとえばC2-PEG2-FMOC-NHSなどのような反応性水溶性高分子FMOC試薬を製造するための方法に対する改善;
(ii)極めて有毒な試薬、ホスゲン(又はその前駆体(たとえばトリホスゲン))を、反応性高分子FMOC N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)試薬に容易に変換することができる中間体を形成するのに有効な、より安全な試薬と交換する方法(すなわち、ホスゲン又はホスゲン前駆体が不在の方法);
(iii)ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)によるC2-PEG2-FMOC-OHなどのような9-ヒドロキシルメチルフルオレンポリマーの直接的な活性化のための方法;
(iv)高分子ヒドロキシメチルフルオレンの活性化の前に反応性PEGフルベン不純物を除去するための方法;
(v)酸性添加剤によるポリマーFMOC活性カーボネート試薬の安定化のための方法;及び
(vi)通常のポリマー-FMOC中間体、たとえばクロロホルメート(ClC(O)O~)又はBTC誘導体をポリマー-FMOC-治療剤コンジュゲートの形成において試薬として使用して、それによってポリマー置換フルベンの産生を最小限にし、ポリマー-FMOC治療剤コンジュゲートの収量を改善する方法。
【0071】
これら及び他の態様及び実施形態は、続く段落においてより詳細に記載される。
【0072】
方法
上記に記載されるとおり、特に反応性のPEG-FMOC試薬の製造を可能にするプロセスの改善が、本明細書において提供される。これらの発見は、少なくとも部分的に、そのような試薬の破壊に至り得る反応性のパスの根本原因を最初につきとめることによって到達した。ポリマー試薬の加水分解が、一般に、活性エステル又は活性カーボネート試薬の破壊の経路となるが、この経路は、PEG-FMOC試薬を作製し、回収するための方法についての以前の記載においてすでに検討された(すなわち最小限にされた)(たとえばBentley,M.,et al、米国特許第8,252,275号明細書を参照)。本明細書において記載される方法では、水溶性ポリマー-FMOC活性カーボネート産物における主な不純物として形成され得る水溶性高分子フルベン副産物の形成に至る脱離プロセスに着目する。フルベンは、上記の例証となるスキームIIIにおいて示されるように、試薬から形成される。高分子フルベン副産物は、不活性な不純物ではなく反応性の不純物であるという理由から、試薬において好ましくない不純物となるので、本明細書において提供される方法の目的の1つは、フルベンを除去する又はその形成を最小限にすることである。そのために、フルベン不純物の形成に至り得るいくつかのプロセス反応性物質をつきとめ、次に、(i)それらの物質を排除する若しくは除去する又は(ii)触媒を起こさないように若しくはその他、高分子フルベンの形成を引き起こさないように好ましくない反応性物質を中和するのに有効である物質を追加した、修飾反応プロセスを開発した。一般化された反応スキームは、スキームVaとして下記に示される。
【化15】
ここで、上記に提供される構造のそれぞれにおいて、POLY
aは、第1の水溶性非ペプチド性ポリマーである;POLY
bは、第2の水溶性非ペプチド性ポリマーである;R
e1は、存在する場合、第1の電子変化基である;R
e2は、存在する場合、第2の電子変化基である;L
1は、第1の連結成分である;及びL
2は、第2の連結成分である;POLY
a、POLY
b、R
e1、R
e2、L
1、及びL
2のそれぞれの特徴は、下記により詳細に提供される。
【0073】
特に、高分子試薬から又は高分子試薬になる反応性中間体からフルベン種の形成に至ることが最も多い、好ましくない物質は、反応プロセスにおいて大抵の場合に存在する塩基性物質である。そのような物質は、塩基として作用する傾向がある原子を持つ任意の化学種とすることができる。たとえば、水は、酸又は塩基として作用してもよく、一方又はもう一方として作用する傾向は、一般に、媒質のpHに依存性である。所望の活性カーボネートポリマーFMOC試薬を作製する方法において、塩基として作用し得る、最も共通して確定可能な物質は、ピリジン又は同様のタイプの塩基性物質である。この化学種は、最終的な活性カーボネート試薬の形成を促進するように作用する。そのため、その含有又は同様の種の含有は、好都合な産物収量をもたらすために、通常利用される。スキームIVにおいて示される反応を予防する又は最小限にするために、本明細書において記載されるアプローチの1つは、産物単離の間にピリジン(若しくは同様の種)を除去する(若しくは実質的に除去する)又は塩基としてその反応性を最小限にするためにこの若しくは同様の塩基を中和することである。したがって、1つ又はそれ以上の態様又は実施形態では、活性炭酸エステルなどのような水溶性高分子FMOC試薬を調製するための改善された方法は、プロセスに追加される塩基性種を除去するための1つ又はそれ以上のステップを包含する。
【0074】
さらに、活性炭酸エステル又はその前駆体などのような水溶性高分子FMOC試薬を調製する1つ又はそれ以上のその他の態様又は実施形態では、酸性種が、反応ステップの後に反応混合物に追加されて、それによって、産物形成を容易にするために反応プロセスの間に追加されたピリジン又は任意の他の塩基性種を中和する。1つ又はそれ以上の実施形態では、酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、二塩基性リン酸ナトリウム(sodium dibasic phosphoric acid)、リン酸水素カリウム、硫酸、m-ニトロ安息香酸、トリクロロ酢酸、リン酸、又は反応性カーボネート産物において好ましくない効果を引き起こさない任意の他の無機若しくは有機酸性種から選択される
が、これらに限定されない。1つ又はそれ以上の特定の実施形態では、反応混合物に追加される酸は、酢酸、クエン酸、及びリン酸から選択される。
【0075】
たとえば、反応性高分子FMOC活性カーボネート試薬を調製するための方法において、水溶性9-ヒドロキシルメチルフルオレンポリマー(たとえば、構造(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、(I-g)、(I-h)のいずれか1つの)は、塩基の存在下において水溶性フルオレンポリマーの活性カーボネートを形成するのに有用な試薬と反応させ、その後、沈殿によって水溶性ポリマー9-メチルフルオレン活性カーボネートが回収される。活性カーボネート又は活性カーボネート前駆体を形成するための適した反応物は、たとえばジベンゾトリアゾリルカーボネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、4-ニトロベンジルクロロホルメート又は4-ニトロフェニルクロロホルメートなどのようなクロロホルメート、及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを含む。
【0076】
代表的な水溶性9-ヒドロキシルメチルフルオレンポリマー出発物質は、下記に示される:
【化16】
POLY
aは、第1の水溶性非ペプチド性ポリマーである;POLY
bは、第2の水溶性非ペプチド性ポリマーである;R
e1は、存在する場合、第1の電子変化基である;及びR
e2は、存在する場合、第2の電子変化基である;L
1は、第1の連結成分である;及びL
2は、第2の連結成分である;
【化17】
R
e1及びR
e2、L
1及びL
2は、上記に(及び本明細書においてより詳細に)記載されるとおりであり、POLY
a及びPOLY
bはそれぞれ、この場合、mPEGであり、nは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化18】
L
1及びL
2は、上記に(及び本明細書においてより詳細に)記載されるとおりであり、POLY
a及びPOLY
bはそれぞれ、この場合、mPEGであり、nは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化19】
R
e1、L
1、及びL
2は、上記に(及び本明細書においてより詳細に)記載されるとおりであり、POLY
a及びPOLY
bはそれぞれ、この場合、mPEGであり、nは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化20】
POLY
a及びPOLY
bはそれぞれ、この場合、mPEGであり、nは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化21】
POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化22】
POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化23】
POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、
約3~約2273の範囲にある、並びに
【化24】
POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある。
【0077】
一般に、反応は、無水条件下で且つ無水非プロトン性溶媒中で実行される。典型的な非プロトン性溶媒は、たとえば、たとえばジクロロメタン若しくはトリクロロエチレンなどのようなハロゲン化非プロトン性溶媒又はベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、テトラリン、及びトルエンなどのような無極性溶媒を含む。いくつかの実施形態では、2つの溶媒の混合物は、単独よりも優れていることがわかっていてもよく、したがって、好ましくてもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、高分子出発物質を溶解するのに有効である非プロトン性極性溶媒である。使用されてもよい他の非プロトン性溶媒は、たとえばジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド、HMPA(ヘキサメチルホスホルアミド)、DMA(ジメチルアセトアミド)、及びNMP(N-メチルピロリジノン)を含む。ここでも、いくつかの実施形態では、2つ以上の溶媒の混合物が、好ましくてもよい。非プロトン性溶媒は、酸性水素を欠く、すなわち、それらは、プロトン供与体でない。しかしながら、いくつかの非プロトン性溶媒は、わずかに塩基性である傾向があり、よって、好適な選択ではない場合がある。化学の熟練者は、本明細書において記載される反応での使用に適した、その他の非プロトン性溶媒を容易に決定することができる。一般に、適切な溶媒の選択は、いかなる反応構成成分又は反応産物とも反応することなく、反応のすべての構成成分を溶解する溶媒の能力に依存する。一方、本明細書において記載される反応において、水分が、感湿反応物及び産物を保護するために最小限にするべきであるので、無水条件下で用いられる溶媒の能力は、重要である。さらに、溶媒は、存在し得る水分と共に共蒸留するために使用されてもよい。いくつかの溶媒は、本明細書において提供される手引きを使用し、ルーチン的な実験法を通して決定されてもよいように、他のものよりも水分を除去するのに都合がよい場合がある。1つ又はそれ以上の実施形態では、回収ステップの間に、沈殿用溶媒は、反応混合物中に存在する過剰な塩基を部分的に又は完全に中和するのに有効な量の酸(上記に記載されるものなど)を含む。
【0078】
熟練の高度に教育を受けた化学者によって反応が実行される実験室に適しているいくつかのプロセスが、生産施設(熟練であるが、それほど高度な教育を受けていない作業者によって反応が実行され得る)に移動するので、技術者の安全性は、大きな懸念になる。したがって、この懸念について検討するために、さらに1つ又はそれ以上のさらなる態様又は実施形態では、ホスゲン又はその前駆体(たとえばトリホスゲン)などのような、ある好ましくない又は取り扱うのが危険な試薬を、反応性N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)試薬に最終的になる、取り扱うのがより安全な試薬と交換する合成方法が、本明細書において提供される。すなわち、1つ又はそれ以上の態様又は実施形態では、上記のスキームVa又はVbにおいて概して示されるように、ホスゲン又はその前駆体の1つを使用せずに実行される、活性炭酸エステルなどのような活性エステルを形成するのに有効な活性カーボネート又は中間体などのような水溶性高分子FMOC試薬を調製するための方法が、本明細書において提供される。そのうえ、いくつかの実施形態では、NHSカーボネートへの直線的なルートが、用いられるので、ある状況下で爆発性となるdiBTCは、排除される。したがって、いくつかのさらなる実施形態では、ホスゲン誘導体もdiB
TCも、所望の活性カーボネートを調製するために使用されない。
【0079】
水溶性ポリマーFMOC活性カーボネートを作製するためのそのような1つの方法は、反応物として、ジベンゾトリアゾリルカーボネート(diBTC)を含む。DiBTCは、乾燥粉末として取り扱われる場合、爆発の危険があるが、あるハロゲン化溶媒中で懸濁液として取り扱うのに安全であるとみなされる。そのような懸濁液は、市販で入手可能である。そのうえ、diBTCは、ホスゲンのように、有毒なガスを放出する可能性を有していない。その結果として、1つ又はそれ以上のさらなる態様又は実施形態では、中間体水溶性高分子ヒドロキシメチルフルオレン誘導体(たとえば構造(I)又は構造(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、(I-g)、(I-h)のいずれか1つを参照)の対応する高分子フルオレンBTC活性カーボネートへの変換を達成するために、diBTCなどのような使用するのがより安全な試薬を用いる方法が、本明細書において提供される(たとえばスキームVa及びbを参照)。典型的なBTCカーボネートは、下記に提供される。
【化25】
POLY
a、POLY
b、R
e1、R
e2、L
1、及びL
2は、上記に(及び本明細書においてより詳細に)記載されるとおりである;
【化26】
R
e1、R
e2、L
1、及びL
2は、上記に(及び本明細書においてより詳細に)記載されるとおりであり、POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化27】
L
1及びL
2は、上記に(及び本明細書においてより詳細に)記載されるとおりであり、POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化28】
L
1及びL
2は、上記に(及び本明細書においてより詳細に)記載されるとおりであり、POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化29】
ここで、POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化30】
ここで、POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化31】
ここで、POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある;
【化32】
ここで、POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある;並びに
【化33】
ここで、POLY
a及びPOLY
bは、この場合、mPEGであり、それぞれのnは、独立して、約3~約2273の範囲にある。
【0080】
方法において、構造(I)(又はたとえば構造(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、(I-g)、(I-h)のいずれか1つ)などのような構造を有する水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを無水条件下で、塩基の存在下において、無水非プロトン性溶媒中で、ジベンゾトリアゾリルカーボネートと反応させ、構造(II)又は1つ若しくはそれ以上の実施形態では、たとえば、構造(II-a)、(II-b)、(II-c)、(II-d)、(II-e)、(II-f)、(II-g)、(II-h)のいずれか1つの水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカー
ボネートフルオレンポリマーを含む反応混合物をもたらし、その後、水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーの沈殿を促進するのに有効な無水溶媒による沈殿によって、水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを回収する。
【0081】
上記に記載されるように、反応を実行するための典型的な無水非プロトン性溶媒は、たとえば、たとえばジクロロメタン若しくはトリクロロエチレンなどのような無水ハロゲン化非プロトン性溶媒又はベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン、テトラリン、及びトルエンなどのような無極性溶媒を含む。使用されてもよい他の無水非プロトン性溶媒は、たとえばジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド、HMPA(ヘキサメチルホスホルアミド)、DMA(ジメチルアセトアミド)、及びNMP(N-メチルピロリジノン)を含む。特定の反応に許容される溶媒又は溶媒の混合物を選ぶことに関係する、本出願の別の箇所に見つけられるその他の注釈もまた、ここで適用される。当業者は、本明細書において記載される反応において使用するための他の適した非プロトン性溶媒を容易に決定することができるであろう。いくつかの特定の実施形態では、反応溶媒は、ジクロロメタン又はトリクロロエチレンなどのような無水塩化溶媒である。さらにいくつかの他の実施形態では、反応溶媒は、ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、及びテトラヒドロフランから選択される無水溶媒である。いくつかの関係する実施形態では、反応の前に、水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、非プロトン有機溶媒中に溶解されて、溶液を形成し、その後、溶液の共沸蒸留によって、500ppm未満の含水量を有する溶液及び/又は残留物をもたらす。無水溶媒及び/又は無水高分子反応物、中間体、若しくは試薬を調製するための並びに/又は無水反応条件を提供するためのその他のアプローチは、本明細書の別の箇所に記載される。
【0082】
反応は、BTC炭酸エステルの形成を達成するのに十分な量のdi-BTCを含む。一般に、di-BTCの十分な量は、約30当量未満である。たとえば、方法のいくつかの実施形態では、水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、約30当量未満のdi-BTCと反応する。たとえば、水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、約1当量~約30当量(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1、16、17、18、19、20、21 22、23、24、25、26、27、28、29、又は29.9当量、前述の値の任意の2つの間の任意の及びすべての範囲を含む)のdi-BTCと反応してもよい。たとえば、量は、約1~約25当量のdi-BTC又は約1~20当量のdi-BTC又は約1~15当量のdi-BTC又は約1~10当量のdi-BTCであってもよい。水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーに対するdi-BTC試薬のその他の適した量は、約2~約20当量、約5~約15当量、又は約10~20当量である。
【0083】
一般に、反応において使用される塩基は、非求核アミンである又はわずかに求核性のアミンである。たとえば、使用されてもよい例証となる塩基は、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、N,N,2,6-テトラメチルピリジン-4-アミン、及びその他同種のものを含む。そのうえ、前述の塩基のいずれかの不溶性ポリマー結合形態もまた、用いられてもよい。たとえば、ポリマー結合4-ジメチルアミノピリジンは、Sigma-Aldrichから入手可能である(約3ミリモル/gローディング、2%ジビニルベンゼンにより架橋したマトリックス);ポリマー結合2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(約1.8ミリモル/gローディング、ジビニルベンゼンにより1%架橋)もまた、多くのその他のポリマーに担持された塩基に加えて、Sigma-Aldrichから入手可能である。アミンはまた、たとえばN,N,N’、N’-テトラメチル-1,6-ヘキサメ
チルジアミン、N,N’,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、及びヘキサメチレンテトラミンなどのようなポリアミン又は前述のいずれかの不溶性のポリマー結合形態であってもよい。方法の1つ又はそれ以上の実施形態では、塩基の量は、約1~約30当量又は約1~約10当量の範囲にわたる。より詳細には、反応は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1、16、17、18、19、20、21 22、23、24、25、26、27、28、29、又は30当量の塩基により実行されてもよく、前述のものは、前述の値の任意の2つの間の任意の及びすべての範囲を含む。任意の特定のプロセスについての塩基の最適量は、実験によって最善に決定される。最高の反応収量をもたらすのに必要とされる塩基の最低の量が、好ましい。
【0084】
反応は、機械的撹拌あり又はなしで実行されてもよい。通常、必ずではないが、反応は、機械的撹拌をしながら実行される。機械的撹拌は、好適な混合を容易にするために、大規模な反応にとりわけ推奨される。一般に、水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、約-20℃~約35℃の範囲の温度でジベンゾトリアゾリルカーボネートと反応する。その他の典型的な温度範囲は、約-10℃~約25℃又は約-5℃~約10℃を含む。
【0085】
ここで、水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーの回収について考えると、いくつかの実施形態では、水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマー及び対応する水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマー産物の両方は、非プロトン有機溶媒中で可溶性である。したがって、いくつかの実施形態では、結果として生じる反応混合物は、固体を含み、産物の回収は、最初に、反応混合物中に含まれる固体を除去すること、続いて、ベンゾトリアゾリルカーボネート産物を回収することを含む。たとえば、反応混合物中に含まれる固体は、最善の手法を使用する任意の適した方法によって除去されてもよい。たとえば、固体は、濾過によって除去されてもよい。固体の除去の後に、次いで、無水沈殿用溶媒が、通常、残りの溶液(又は濾過によって固体を除去した場合、濾液)に、ベンゾトリアゾリルカーボネート産物を沈殿させるのに有効な量で追加される。その代わりに、固体の除去の後に、残りのベンゾトリアゾリルカーボネート産物が、無水沈殿用溶媒に追加される。すなわち、無水沈殿用溶媒が、沈殿を達成するために、ポリマー産物、ベンゾトリアゾリルカーボネートに追加されてもよい又はポリマー産物が、無水沈殿用溶媒に追加されてもよい。いくつかの場合では、無水沈殿用溶媒は、反応ステップの無水非プロトン有機溶媒と混和性であり、また、9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレン産物が不溶性である又は実質的に不溶性である溶媒でもある。
【0086】
1つ又はそれ以上の実施形態では、BTCエステル産物の沈殿を促進するために組み込まれる無水溶媒は、酸を含んでいてもよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、硫酸、m-ニトロ安息香酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、リン酸、又は反応性カーボネート産物において好ましくない効果を引き起こさない任意の他の無機若しくは有機酸性種から選択されるが、これらに限定されない。1つ又はそれ以上の特定の実施形態では、反応混合物に追加される酸は、酢酸、クエン酸、及びリン酸から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、酸は、リン酸である。酸は、一般に、反応混合物中に含有される塩基を部分的に又は完全に中和するのに十分な量で追加される。いくつかの実施形態では、水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーの沈殿を促進するために、無水溶媒に追加される酸の量は、少量の酸を含む。たとえば、無水溶媒は、約0.0001~約0.5モルパーセントの酸を含んでいてもよい。たとえば、無水沈殿用溶媒は、約0.0002~約0.4モルパーセントの酸又は約0.0010~約0.4モルパーセントの酸又は約0.0050~約0.3モルパーセントの酸を含んでいてもよい。特
定のプロセスにおいて使用される酸の厳密な量は、中和される塩基の予測される量に基づいて選択され、実験によって最善に決定される。
【0087】
典型的な沈殿用溶媒は、当業者らによって決定することができ、脂肪族炭化水素及びBTCエステル産物が不溶性である又は実質的に不溶性である他の非反応性混和性溶媒を含む。例証となる沈殿用溶媒は、たとえばジエチルエーテル、イソプロピルアルコール(IPA)、メチル-t-ブチルエーテル(MTBE)、ペンタン、ヘキサン、及びヘプタン並びに前述のものの任意の2つ以上の混合物を含む。1つの典型的な混合物は、イソプロピルアルコール及びメチル-t-ブチルエーテルの混合物である。1つのそのような好ましい混合物は、イソプロピルアルコール及びメチル-t-ブチルエーテルの1:1の混合物であるが、2つの溶媒の任意の組み合わせが用いられてもよい。
【0088】
たとえば濾過による、沈殿したBTCエステル産物の回収の後に、回収された産物は、無水沈殿用溶媒、すなわちBTCエステルが不溶性である又は実質的に不溶性である溶媒によりさらに洗浄されてもよく、溶媒は、少量の酸、たとえば約0.0001~約0.5モルパーセントの酸を含んでいてもよい。たとえば無水沈殿用溶媒(「非溶媒」とも称される)による、回収されたFMOC高分子産物の洗浄は、酸化分解を回避するために、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)などのような酸化防止剤をさらに含んでいてもよい。回収された産物は、次いで、所望により、さらに乾燥させてもよい及び/又は水溶性高分子試薬を精製するための標準的な周知の方法を使用してさらに精製されてもよい。1つのそのような特に好ましい方法は、クロマトグラフィー、たとえばサイズ排除クロマトグラフィーである。
【0089】
実施例1は、上記に記載される反応及び関係する処理ステップの例証を提供する。対応するG2-PEG2-FMOC-OH-20kDからのG2-PEG2-FMOC-BTC-20kDの調製を記載する実施例1Bを参照されたい。そこに記載されるように、無水ジクロロメタン及び無水トルエン中にG2-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを溶解した後に、次いで、溶媒を、蒸留によって除去して、水分を除去し、その後、無水アセトニトリル中に溶解する。di-BTCとG2-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを反応させた後に、産物を、無水イソプロピルアルコール(ブチルヒドロキシトルエンを含有する)の追加によって沈殿させ、濾過によって回収し、非溶媒(たとえばイソプロピルアルコール及びジエチルエーテル)によりさらに洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0090】
実施例3、パート2、IBは、対応するC2-PEG2-FMOC-OH-20kDからのC2-PEG2-FMOC-BTC-20kDの調製を記載する。簡単に述べると、C2-PEG2-FMOC-OH-20kDを、無水溶媒、トルエン中に溶解し、次いで、減圧下で溶媒を共沸蒸留することによって乾燥させた。このプロセスを、次いで反復させた。乾燥させたC2-PEG2-FMOC-OH-20kDを、次いで、無水アセトニトリル中に溶解し、溶液を冷却し(たとえば5℃まで)、その後、di-BTC及び塩基、ピリジンを追加した。混合物を、次いで、数時間、撹拌した。反応の後に、混合物を、酸、リン酸(0.005%)を含有する、冷却したイソプロピルアルコールの溶液に追加した。混合物を、次いで、さらに混合し、リン酸(0.005%)を含有する冷やしたMTBEを混合物に追加し、続いて、沈殿を容易にするために、さらに撹拌した。沈殿させた産物を、次いで、濾過によって回収し、リン酸を含有するIPA/MTBEの混合物により複数回、洗浄し、その後の洗浄は、わずかに少ないリン酸(たとえば0.005%及び0.002%)を含有した。産物は、次いで、低い温度、15℃で、真空下で乾燥させた。
【0091】
BTC誘導体自体が、タンパク質又は他の適した活性剤と反応させるために使用されて、ポリマー-活性剤コンジュゲートを形成してもよいが、より活性なカーボネート、たと
えばN-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)カーボネート(時に、活性エステルと呼ばれる)が用いられる場合、対応する生物療法剤(biotherapeutic agent)コンジュゲートは、通常、速やかに形成される。そのため、さらに1つ又はそれ以上のその他の態様又は実施形態では、構造(II)の又はたとえば構造(II-a)~(II-h)のいずれか1つの誘導体などのような高分子FMOC-BTC誘導体が、たとえば(X)などのような一般化された構造を有する所望のNHS活性炭酸エステルに変換されてもよい中間体として使用される方法が、提供される(たとえばスキームVIを参照)。特定のPEG2 FMOC-NHSエステルは、構造(XI)、(XII)、(XIII)、及び(XIV)において示される。好ましいNHSエステルは、構造(XIV)において示される。下記の例証となるスキームVbにおいて示される対応する反応性NHSエステルに高分子FMOC-BTCエステルを変換するための特定の反応条件(たとえば、アセトニトリル溶媒、ピリジン塩基、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)試薬;又はたとえばジクロロメタン溶媒、ジメチルアミノピリジン、NHS)は、例証であることが意図される;水溶性ポリマーFMOC BTCカーボネート(又は他のそれほど反応性ではないカーボネート)を対応するNHSカーボネートに変換するための適した溶媒、塩基、カップリング試薬又は他のさらなる試薬、及び反応条件は、当業者らによって容易に決定することができる。たとえば、変換反応は、約1~約30当量のNHSを使用して実行されてもよい。NHS試薬のその他の例証となる量は、たとえば約1~約25当量、約2~約20当量、約3~約15当量、及び約5当量~約15当量を含む。通常、NHS試薬の追加の間、反応温度は、約-20℃~約25℃に維持される。例証となる反応温度の範囲は、たとえば約-15℃~約20℃、約-10℃~約10℃、約-10℃~約0℃、約-8℃~約5℃、及び約-7℃~約0℃から選択される。いくつかの実施形態では、温度は、約-10℃~約10℃の間の範囲にある。特定の反応についての最適な温度は、実験によって決定することができる。いくつかの実施形態では、NHSとの反応によるNHSエステルへの高分子FMOC-BTCエステルの変換は、ジメチルアミノピリジンの存在下においてジクロロメタン中で実行される。変換を容易にするジメチルアミノピリジンの適した量は、たとえば、約4当量~約0.10当量、約3当量~約0.15当量、約2当量~約0.20当量、約1当量~約0.40当量、及び約0.75当量~約0.50当量の範囲にわたる。いくつかの実施形態では、DMAPは、約2当量~約0.20当量の量で存在する。いくつかの他の実施形態では、DMAPは、約1当量~約0.4当量の量で存在する。いくつかの他の実施形態では、DMAPは、約0.75当量~約0.50当量の量で存在する。活性カーボネートが調製される、単離される、精製される、又は取り扱われるプロセスはすべて、好ましくは、非常に乾燥した環境において、好ましくは乾燥窒素若しくはアルゴンで覆われたグローブボックスにおいて、又は超低湿度の実験室において実行される。さらに、すべての溶媒及び試薬は、好ましくは、高品質であり、且つ使用の前に乾燥した環境において維持されるべきである。乾燥技術が、反応の前に水分を除去するために使用される場合、水分レベルが、特定の手順を使用して達することができるのと同じくらい低いレベルであることを確実にするために、水分分析が、通常、実行される。反復実験では、水分除去プロセスが検証されている場合、水分分析は省略されてもよい。高分子FMOC-NHSエステルの調製の後に、高分子FMOC-NHSエステルは、回収され、下記に記載されるようにさらに処理されてもよい。
【化34】
【0092】
たとえば、例証となる9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンPEGポリマー、G2-PEG2-FMOC-BTC-20kDが、本明細書において提供される方法に従って、対応するスクシンイミジルエステルに変換される実施例1Cを参照されたい。実施例において記載されるように、G2-PEG2-FMOC-BTC-20kDを、無水溶媒、ジクロロメタン中に溶解し、溶液を次いで冷却した(8℃まで)。N-ヒドロキシスクシンイミドを、次いで、冷却した溶液に追加し、反応混合物を、8℃で一晩撹拌した。結果として生じるNHSエステル産物を、次いで、イソプロピルアルコール(ク
エン酸及び酸化防止剤、BHTを含有する)による沈殿によって回収し、濾過によって単離し、次いで、非溶媒によりさらに洗浄し(最初は無水イソプロピルアルコール(BHTを含有する)により、続いて、クエン酸及びBHTを含有する無水メチル-tertブチルエーテルによって)、続いて、真空乾燥させた。活性カーボネートの置換パーセントを決定するために、グリシンとの反応を実行し、続いて分析した。注目すべきことに、上記に記載されるように調製され、処理されたNHSエステルは、88.1モルパーセントが置換されており;136時間11℃での保存の後に、産物は、86.6モル%の置換パーセントを示した(約1~2%の損失)。対照的に、調製したが、溶媒、イソプロピルアルコールに酸を追加せずに沈殿させ、且つさらに、メチルtert-ブチルエーテル洗浄に酸を存在させなかった同様のNHSエステル産物は、調製の後に、86.2モルパーセントといったある程度の置換を有することがわかった(本発明の方法よりもわずかに少ない)。しかしながら、136時間11℃での保存の後に、保存された産物は、75.3モル%の置換パーセントを有することが決定された(すなわち、約11%の産物の損失)。したがって、本明細書において記載されるプロセスの改善は、たとえば、中間体及び活性カーボネート試薬の両方の回収及び処理の間に、酸性添加剤を使用することによって、保存の際に、より優れた安定性を有する活性フルオレンポリマーNHSエステル試薬を提供するのに有効である。
【0093】
このプロセスはまた、C2-PEG2-FMOC-BTC 20kDからのC2-PEG2-FMOC-NHS 20kDの調製を記載する実施例3、パート2、ICにおいてさらに例示される。
【0094】
水溶性ポリマーFMOC活性NHSカーボネート(エステル)が、高分子プロドラッグを形成するための、たとえばタンパク質などのような活性剤とのコンジュゲーションのための試薬として、さらに大いに所望されてもよいので、1つ又はそれ以上のさらなる態様又は実施形態では、対応するNHS活性カーボネートをもたらすために、ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)によるC2-PEG2-FMOC-OH(又は本明細書において記載される任意の他の水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマー)の直接的な活性化のための方法もまた、本明細書において提供される。例証となる高分子出発物質は、構造(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、(I-g)、及び(I-h)によって記載されるものを含み、対応するNHS活性カーボネートは、前述の構造のそれぞれに対応し、ここで、9-メチルヒドロキシルプロトンは、~C(O)O-スクシンイミドと交換される。同じように例証となる産物、すなわちNHSカーボネートは、構造(III)、(X)、(XI)(XII)、(XIII)、(XIV)を有するものを含む。下記の一般化されたスキームVIa及びVIbを参照されたい、スキームVIaは、一般化された水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーについての主題の反応を例証し、一方、スキームVIbは、C2コアを有する好ましい水溶性PEG-2 9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーについての同じ反応を示す。
【化35】
【0095】
このプロセスは、様々な条件下で生産的となり得るので、最適条件を見つけるために、数多くの条件について調べた。1つ又はそれ以上の実施形態では、たとえばC2-PEG2-FMOC-OHなどのような(又は構造(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、(I-g)、及び(I-h))などのような構造を有する)高分子ヒドロキシメチルフルオレン誘導体を、適した無水溶媒中に溶解する。典型的な溶媒は、たとえばクロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、及びその他同種のものなどのような非プロトン有機溶媒を含み、前述のものの混合物を含む。いくつかの実施形態では、非プロトン有機溶媒は、極性非プロトン性溶媒である。好ましくは、高分子ヒドロ
キシメチルフルオレン誘導体は、非プロトン有機溶媒中で可溶性である。結果として生じる溶液は、次いで、高度に反応性のカーボネート試薬を加水分解し得る、いかなる微量の水分をも除去するために、たとえばよく用いられる方法を使用することによって、さらに乾燥させてもよい。そのような方法は、当技術分野においてよく知られており、たとえば、窒素又はアルゴンなどのような不活性の乾燥した大気の使用、モレキュラーシーブ、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウムなどのような乾燥剤の使用、共沸蒸留を含む。乾燥プロセスは、次いで、標準的な水分滴定法又は当技術分野において知られている他の方法によって測定されるように、水分が一定の状態を維持するようになるまで、好ましくは反復させてもよい。(Pangborn et al.;及びWilliams et al.を参照;前掲)理想的には、約500ppm未満の水分を実現するまで、プロセスを反復させる。たとえば、約400ppm未満の含水量を有する乾燥ポリマー溶液に達する又はより好ましくは、約300ppm未満の水分に達するまで、乾燥を反復させてもよい。最も好ましくは、約200ppm未満の水分に達するまで、乾燥を反復させる。いくつかの実施形態では、溶媒の乾燥は、1つ又はそれ以上の共沸蒸留を含む。いくつかの場合では、いくつかの溶媒又は溶媒混合物が、他よりも低い水分をもたらすことが、実験によって決定されてもよい。乾燥及び不活性環境(たとえば窒素、アルゴン、ヘリウム)下で作業しながら、ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)を次いで追加する。DSCは、通常、約1~20当量の比で追加される。たとえば、DSC当量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20から選択されてもよい。DSC試薬の例証となる量は、たとえば約1~約15当量又は約2~約10当量又は約2~約7当量又は約2~約5当量を含む。たとえば最高の産物収量及び品質をもたらすための、特定の反応についてのDSCの最低の量が、実験によって決定することができるように、使用されるべきである。通常、DSC試薬の追加の間、反応温度は、約0~30℃で維持される。例証となる反応温度の部分範囲は、たとえば約0~25℃、約0~20℃、約0~15℃、約5~30℃、約5~25℃、約5~20℃、及び約10~30℃から選択される。ここでも、特定の反応についての最適な温度は、実験によって決定することができる。一旦DSC試薬の追加が完了すると、温度は、次いで、必要に応じて、塩基の追加の前に、およそ7.5~18℃に調整されてもよい。塩基は、次いで、高分子ヒドロキシメチルフルオレン誘導体を含む溶液に追加される。たとえば、約1~約30当量の塩基が追加される又は好ましくは約2~約20当量の塩基が追加される又は約1~15当量の塩基若しくはより好ましくは約3~10当量の塩基が追加される。適した塩基は、アミンを含む;好ましくは、塩基は、非求核アミンである又はわずかに求核性のアミンである。適した塩基は、たとえばピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、N-メチルイミダゾール、N-エチルイソプロピルアミン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、N,N,2,6-テトラメチルピリジン-4-アミン、及び前述のもののいずれか(上記に記載される)の不溶性ポリマー結合形態を含む。そのうえ、塩基は、たとえばN,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサメチルジアミン、N,N’,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチレンテトラミン、及び前述のポリアミンの不溶性ポリマー結合形態などのようなポリアミンであってもよい。
【0096】
1つ又はそれ以上の特定の実施形態では、塩基は、ピリジン又は4-ジメチルアミノピリジンである。当業者は、用いられてもよいタイプの塩基に関する知識を有しているであろう。特定の高分子ヒドロキシメチルフルオレン活性剤カーボネートの最も高品質の産物を調製するのに使用するための適した塩基は、たとえば本明細書において提供される手引きを使用し、実験によって容易に決定することができる。
【0097】
反応(すなわちNHSカーボネートへの変換)は、次いで、約3~21℃の温度範囲に溶液の温度を維持しながら、好ましくは撹拌/混合しながら、実行される。反応は、高分
子反応物の構造、反応温度、特定の溶媒、撹拌速度、及び他の要因に依存して、数分~数時間、かかってもよい。一旦反応が終了したら(反応の進行は、任意の適した手段によってモニターすることができる、たとえば、1H NMRなどのような、任意の適した分析技術によって高分子ヒドロキシメチルフルオレン出発物質の消失をモニターすることによって又は装置搭載熱電対を使用して反応発熱線をモニターすることによって)、塩基は、次いで、中和する又は部分的に中和することができる。塩基(たとえばピリジン又はその他同種のもの)を中和する又は部分的に中和するために、溶液は、通常、約3~15℃の範囲にわたる温度で維持され、酸が追加される。典型的な酸は、たとえば酢酸、リン酸、柑橘類の酸、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、硫酸、クロロ酢酸、メタ-ニトロ安息香酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、又はその他同種のものを含む。方法のいくつかの実施形態では、酸は、酢酸、クエン酸、又はリン酸である。
【0098】
酸塩基反応がおさまる適切な時間の後、反応混合物は、適切なフィルター(固体を除去するための)を通して、十分な容量の無水沈殿用溶媒、好ましくは冷たい、すなわちその凝固点を上回るが、室温未満の温度(たとえば20~25℃)の沈殿用溶媒の中に濾過することができる。沈殿用溶媒は、一般に、NHSカーボネート産物が不溶性である又は実質的に不溶性である(前に定義されるとおり)無水非反応性溶媒である。沈殿用溶媒は、たとえば、ジエチルエーテル、イソプロピルアルコール、メチルt-ブチルエーテルなどのような溶媒並びにたとえばヘキサン及びヘプタンなどのような脂肪族炭化水素並びに前述のものの混合物を含む。冷たい無水沈殿用溶媒の又はその中への投入に際して、所望のNHSエステル産物は、通常、固体として、溶液から沈殿する。沈殿用溶媒は、好ましくは、混合物内に含まれるいかなる残りの塩基をも中和するために、少量であるが適切な量の酸性種(たとえばクロロ酢酸又はリン酸)を含有してもよい。1つ又はそれ以上の実施形態では、酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、硫酸、m-ニトロ安息香酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、又は、反応性NHSカーボネート産物において好ましくない効果を引き起こさない任意の他の無機若しくは有機酸性種から選択されるが、これらに限定されない。1つ又はそれ以上の特定の実施形態では、酸は、クロロ酢酸又はリン酸から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、酸は、リン酸である。酸は、一般に、混合物中に含有される塩基を部分的に又は完全に中和するのに十分な量で追加される。いくつかの実施形態では、水溶性9-メチル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーの沈殿を促進するために無水溶媒に追加される酸の量は、少量の酸を含む。たとえば、無水沈殿用溶媒は、約0.0001~約0.5モルパーセントの酸を含んでいてもよい。たとえば、無水沈殿用溶媒は、約0.0002~約0.4モルパーセントの酸又は約0.0010~約0.4モルパーセントの酸又は約0.0050~約0.3モルパーセントの酸を含んでいてもよい。モル百分率でさらに多い量の酸が、特定の溶媒中の異例の反応物に必要とされてもよい。特定の酸の最適量は、好ましくは、実験によって決定される。ある特定の適用のための最低の量の酸は、好ましい。
【0099】
混合物は、次いで、前に記載されるもの、好ましくは、プロセスにおいて初めの方で使用されたものと同じ酸、たとえばクロロ酢酸又はリン酸又はその他同種のものなどのような、少量の酸性種を含有するエチルエーテル又はメチルt-ブチルエーテルなどのような、冷たい無水非溶媒材料(すなわち、産物が不溶性である又は実質的に不溶性である溶媒)と撹拌することによって、さらに処理されてもよい。沈殿させた産物は、次いで、通常、たとえば濾過によって単離される。初めの方で述べたように、すべてのプロセスステップは、湿気曝露を最小限にする環境において実行されるべきである。濾過された産物は、次いで、好ましくは、前に記載されるように、より多くの無水非溶媒、たとえば、ジエチルエーテル若しくはメチル-t-ブチルエーテルなどのようなエーテル又は他の適した沈殿用溶媒により、さらに洗浄される。洗浄溶媒は、通常、前に記載されるように、少量の
酸性種を含有する。たとえば無水沈殿用溶媒による、回収されたFMOC高分子材料の洗浄は、PEGが用いられるポリマーである場合、ポリマー鎖の酸化分解を回避するために、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)などのような酸化防止剤をさらに含んでもよい。単離された産物は、次いで、たとえば減圧乾燥(すなわち真空乾燥)によって、さらに乾燥させてもよい。そのうえ、単離されたNHSカーボネート産物は、水溶性高分子試薬を精製するための、標準的なよく知られている方法を使用することによって、さらに精製されてもよい。1つのそのような精製方法は、再沈である。そのような別の好ましい方法は、クロマトグラフィー、たとえばサイズ排除クロマトグラフィーである。
【0100】
本明細書において提供される方法及びプロセスのさらなる例証として、実施例3、パート2、IIは、C2-PEG2-FMOC-OHからの典型的な活性カーボネート、C2-PEG2-FMOC-NHS-20kD、20kDの直接的な合成を記載する。
【0101】
本明細書において提供される方法を用いる、典型的な臭素化FMOCポリマー、Br-G2-PEG2-FMOC-NHS-20kの調製の成功は、実施例2において記載される。したがって、1つ又はそれ以上の態様では、以下の例証となる構造において示されるように、フルオレンコア上に置換された1つ又は2つのブロモ基を有するFMOC出発物質、中間体、及び活性カーボネートが、本明細書において提供される:
【化36】
【0102】
臭素化FMOCポリマーのさらなる例は、構造XI、XII、XIII、XIV、I-D、I-e、I-f、I-g、I-h、II-d、II-e、II-f、II-g、及びII-hのそれぞれの臭素化バージョンを含む。
【0103】
結果として生じる高分子FMOC-NHSカーボネート試薬は、加水分解を受けやすく(スキームVII、パスA)、元のヒドロキシメチルフルオレン誘導体を形成するので、また、まだ観察されていないが、そのような活性化ベースが、対応するフルベン誘導体(スキームVII、パスB)を形成する、潜在的な熱脱離反応の可能性があるので(Meng et al.J.Am.Chem.Soc.、1997、119、4834-4840を参照)、NHS試薬は、好ましくは、保存が1週間を超過する場合、低温で、たとえば-40℃以下、より好ましくは-70℃以下で、乾燥した不活性大気下での保存によっ
てさらに保護される。そのうえ、サンプルを保護していない輸送条件では、とりわけ夏の間は、試薬が容認できないほどの高温にさらされることになり得るので、サンプルは、理想的には、ドライアイスで梱包して、輸送されるべきである。
【0104】
ここで、主題の高分子FMOC試薬の反応性の損失についての代替経路について考えると(前に記載される塩基性種を伴うもの以外の):高分子PEG不純物は、通常、クロマトグラフ法を使用して除去される。たとえばMcManus,S.,et al.、米国特許第8,604,159号明細書を参照されたい。たとえば、PEGカルボン酸中間体は、適切なクロマトグラフ媒質などのような樹脂を使用するクロマトグラフィーによって、中性のポリエチレングリコールから分離されてもよい。水溶性ポリマー-FMOC-NHS試薬の形成において不純物として形成されるフルベンの場合、フルベンが懸念の根拠となるのに十分な量で存在する場合、別の精製ステップを、フルベン不純物を除去するためにプロセスに追加することができる。したがって、所望により、回収された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーは、無水溶媒中に溶解され、結果として生じる溶液を、チオール基を含有する樹脂カラムに通過させ、反応性濾過プロセスにより、Tripp et al、Org.Lett.、(2000)、2、195-198を参照、高分子フルベンを除去してもよい。付加されたチオール基を含む樹脂は、不純物を除去するために、Dujardin,et al.、Reactive and Functional Polymers(2000)、43、123-132によって使用された。そのような樹脂は、市販で入手可能であり、たとえばTENTAGEL(登録商標) S SH Standardチオール樹脂(Rapp Polymere、Tuebingen、Germany or Advanced Chemtech、Louisville、KY)及びISOLUTE(登録商標) Si-Thiol(ウプサラ(Uppsala)、スウェーデン(Sweden))を含む。この反応性濾過プロセスが本明細書において記載される反応性高分子試薬の精製のための方法であることに変わりはないが、より反応性の9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーは、スクシンイミド成分のチオールの置き換えによって、チオール樹脂と反応し、フルオレンポリマーは樹脂に付加したままで、したがって、産物の回収を低下させ得る。そのため、全体として、可能であれば、本明細書において別記される反応、回収、及び精製プロセスを注意深く適用し、高分子フルベン副産物の量があまりない主題の高分子試薬をその代わりに提供することは、より経済的となる。
【0105】
フルオレン環の9位のプロトンの酸性度の低下をもたらすリンカー(スキームIにおけるL)を有するPEG2-FMOC試薬、たとえばG2シリーズの製造の間のフルベン形成の可能性に関して、通常、製造プロセスの間に特に着目する必要はない。G2及び他のより安定したPEG FMOC試薬は、それらの単離の間に、とりわけ不安定ではないが、プロセスの終了時になお存在し得るすべての塩基、たとえばピリジンなどを中和するよう注意を払うことが好ましい。さらに、少量の酸を含有する非溶媒による、濾過の後の、固体産物の洗浄は、保存中に発生し得る潜在的な問題に対して利点をもたらしてもよい。
【0106】
より反応性の中間体及び試薬、たとえばC2試薬では、特別な手段が、産物の単離及び保存の間に、試薬の活性の損失を予防するために必要とされる。したがって、水により、反応性のNHSカーボネート及びBTC中間体が容易に加水分解され得るので、本明細書において記載されるプロセスは、たとえば、水分を最小限にするように行われてもよい。塩基性物質(脱離イニシエーター又は触媒)の存在を最小限にするための特別な予防措置がなされていても、ワークアップ及び洗浄ステップの間の塩基性種の中和のための、トリフルオロ酢酸又はリン酸又はその他同種のものなどのような酸を含まなければ、試薬活性の損失は、一般に、生じるであろう。ピリジン、DMAP、及びさらに水などのようなプロセスの残渣である分子が、保存の間に、産物の分解作用を引き起こし得るので、損失はまた、試薬が低温で固体として保存される場合であっても、産物の保存の間にも生じ得る
。したがって、本明細書において記載されるように、産物の単離及び精製の間に、水分及び塩基性種を排除する又は中和するために、本明細書において記載される手段を実施することが好ましい。そのうえ、新しい塩基性物質(荷電又は非荷電)が、パッケージされた(たとえば瓶詰めにされた)最終的な試薬(産物)中に組み込まれていないことを確実にするために、産物は、理想的には、乾燥(たとえば高真空下で)及び瓶詰め(たとえば不活性雰囲気下の乾燥ボックス)の間に、注意深く取り扱われるべきである。最後に、瓶詰めにされた試薬は、好ましくは、使用まで、低温で、たとえば-40℃以下、好ましくは-70℃以下で、保存されるべきである。
【0107】
PEG2フルベンを産生する脱離プロセスが、試薬活性の減少にとって非常に重要な経路となるので、また、脱離プロセスが、上記に記載されるように、反応性の不純物をもたらすので、全最終産物をもたらすが、コンジュゲート収量がより良好となるであろう代替の試薬及び方法を、本明細書において提供した。FMOC NHSカーボネート試薬は、一般に、PEG-薬コンジュゲートを形成するためのタンパク質又はポリペプチドとの反応において好ましいので、好都合であり得る。しかしながら、NHS構成成分脱離基は、塩化物(それぞれのクロロホルメート由来の)又は1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(それぞれのBTCカーボネート由来の)よりも都合がよい脱離基であるので、同様の状況下で、その経路が、比較すると、より好都合であるので、NHSカーボネートは、より多くの量のフルベンの形成を引き起こし得る(塩化物又は1-ヒドロキシベンゾトリアゾリル脱離基と比較した場合)ことを予想することができる。
【0108】
したがって、コンジュゲートされるタンパク質が、非常に反応性の求核窒素(アミン又は他)を有する場合、PEG2-FMOC-クロロホルメート又は他の反応性カーボネート(たとえばBTCカーボネート)との反応は、実行されて、PEG2-FMOC-NHS試薬との反応によって形成されるものと同じ又は同様のコンジュゲートを形成してもよい。結果として生じるコンジュゲートが、使用される反応性カーボネート試薬に関係なく、同じ遊離特性を持つことを予想されるので、非NHSエステル試薬との反応によってもたらされる全体的な結果は、好意的にみなされるべきである、ただし、コンジュゲート産物の収量が、NHS-カーボネート試薬と同じである又はそれよりも良好であることを条件とする。ここで、たとえば、クロロカーボネート又はBTCカーボネート高分子試薬が試薬活性のより小さな損失を示す場合(たとえば、NHSエステル試薬と比較して、対応するフルベン誘導体への、よりゆるやかな、そのためそれほど生産的ではない変換を受けるために)、タンパク質との反応のために残っているインタクトな活性カーボネート試薬の量は、より多いであろう。そのため、コンジュゲートの収量が理論的にはより高いことになる。すなわち、反応性高分子試薬における脱離基の選択は、場合によっては、製造、保存、及びそれ以降の1つ又はそれ以上の間に試薬の損失に影響を与える並びに場合によっては、製造され、最終的に顧客に納品される試薬1モル当たりに形成することができるコンジュゲートの収量に影響を与えるとみなされるべきである要因となる。
【0109】
上記に記載されるとおり、活性剤コンジュゲートは、本明細書において記載される方法によって調製される高分子試薬との反応によって調製することができる。一般に、本明細書において記載される方法によって調製される高分子試薬がコンジュゲートされる生物学的活性剤は、アミン含有生物学的活性剤である。いくつかの実施形態では、生物学的活性剤は、小分子(たとえば、約3,500ダルトン未満の分子量を有する生物学的活性剤)である。他の実施形態では、生物学的活性剤は、約3,500ダルトンよりも大きな分子量を有する、ポリペプチドなどのような巨大分子である。薬理活性ポリペプチドは、好ましいタイプの生物学的活性剤である。本発明について論じるために、「ポリペプチド」という用語は、オリゴペプチド及びタンパク質の総称であることが理解されるべきである。ポリペプチドに関して、活性高分子試薬がカップルするアミンは、ポリペプチド内のアミノ酸(リシンなど)のN末端及び/又はアミン含有側鎖とすることができる。生物学的活
性剤に本明細書において記載されるものなどのような反応性高分子試薬をコンジュゲートするための方法は、当業者に知られている。
【0110】
本明細書において記載される方法に従って調製される高分子試薬は、好ましくは、高分子フルベン副産物を含有しないであろう又は高分子フルベン副産物を実質的に含有しないであろう。本明細書において提供される方法に従って調製される例証となる高分子試薬は、15モルパーセント未満の高分子フルベン不純物を含有する又は好ましくは、10モルパーセント未満の高分子フルベン不純物を含有する。より好ましくは、本明細書において提供される方法に従って調製される高分子試薬は、8モルパーセント未満の高分子フルベン不純物又は7モルパーセント未満の高分子フルベン不純物を含有する。さらにより好ましくは、本明細書において提供される方法に従って調製される高分子試薬は、5モルパーセント未満の高分子フルベン不純物を含有する。
【0111】
高分子活性カーボネートを形成するための水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマー又は活性カーボネートを形成するための中間体の典型的な構造並びに高分子中間体及び活性カーボネート自体の典型的な構造は、本明細書において提供される。水溶性ポリマー、電子変化基、及び連結成分についての以下の説明は、9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーだけでなく、それから間接的に又は直接形成される反応性カーボネート及び本明細書において開示される方法から結果として生じる高分子試薬を使用して形成される対応するコンジュゲートにも適用可能である。
【0112】
本明細書において提供される構造に関して、POLYaは、第1の水溶性非ペプチド性ポリマーである;POLYbは、第2の水溶性非ペプチド性ポリマーである;Re1は、存在する場合、第1の電子変化基である;及びRe2は、存在する場合、第2の電子変化基である;L1は、第1の連結成分である;及びL2は、第2の連結成分である;第1及び第2の電子変化基、Re1及びRe2について、ゼロの添字、たとえば[Re1]0又は[Re2]0は、電子変化基が、不在である(又は存在しない)ことを示し、1の添字、たとえば[Re1]1又は[Re2]1は、電子変化基が存在することを示す。
【0113】
ある特定の水溶性ポリマーに関して、ポリマーが水溶性であり、非ペプチド性である限り、それぞれの水溶性ポリマー(たとえばPOLYa、POLYb)は、任意のポリマーを含むことができる。好ましくはポリ(エチレングリコール)であるが、水溶性ポリマーは、たとえば、他の水溶性ポリマー、たとえば他のポリ(アルキレングリコール)など、たとえばポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、エチレングリコール及びプロピレングリコールのコポリマー、並びにその他同種のもの、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカリド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)など、米国特許第5,629,384号明細書において記載されるものなどとすることができる。水溶性ポリマーは、前述のもののいずれかのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、非ランダムブロックポリマー、及びランダムブロックポリマーとすることができる。加えて、水溶性ポリマーは、下記にさらに詳細に記載されるように、直線状とすることができるが、他の形態(たとえば分岐、フォーク状、及びその他同種のもの)とすることもできる。全体的な構造におけるそれぞれの水溶性ポリマーは、同じ又は異なるものとすることができる。しかしながら、全体的な構造におけるすべての水溶性ポリマーが同じタイプのものであることが、好ましい。たとえば、ある特定の構造内のすべての水溶性ポリマーがそれぞれポリ(エチレングリコール)であることが好ましい。さらに、ある特定のポリ(エチレングリコール)について、それぞれのポリ(エチレングリコール)は、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、置換アルケノキシ、アルキノキシ(alkynoxy)、置換アルキノキシ、アリールオキシ、及び
置換アリールオキシからなる群から選択されるエンドキャッピング成分により、末端をキャップすることができる。好ましい末端キャッピング基は、メトキシである。
【0114】
任意の個々の水溶性ポリマーの重量平均分子量は変動し得るが、任意のある特定の水溶性ポリマー反応物、中間体、又は活性カーボネート(すなわち全高分子FMOC構造)の重量平均分子量は、通常、約100ダルトン~約200,000ダルトン又は約100ダルトン~約150,000ダルトンの範囲にある。しかしながら、典型的な範囲は、以下の範囲の重量平均分子量を含む:約880ダルトン~約5,000ダルトン(たとえば、それぞれの(n)は、約10~約57の範囲にわたる);5,000ダルトン超~約100,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約58~約1136の範囲にわたる);約6,000ダルトン~約90,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約68~約1022の範囲にわたる);約10,000ダルトン~約85,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約113~約966の範囲にわたる);10,000ダルトン超~約85,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約114~約966の範囲にわたる);約20,000ダルトン~約85,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約227~約966の範囲にわたる);約53,000ダルトン~約85,000ダルトンの範囲;約25,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約284~約1364の範囲にわたる);約29,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約330~約1364の範囲にわたる);約35,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約398~約1364の範囲にわたる);約880ダルトン~約60,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約10~約682の範囲にわたる);約440ダルトン~約40,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約5~約454の範囲にわたる);約440ダルトン~約30,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約5~約340の範囲にわたる);約10,000ダルトン~約25,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約113~約284の範囲にわたる)又は約15,000ダルトン~約25,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約170~約284の範囲にわたる)、及び約40,000ダルトン~約120,000ダルトンの範囲(たとえば、それぞれの(n)は、約454~約1364の範囲にわたる)。任意のある特定の水溶性ポリマー反応物、中間体、活性カーボネート試薬などについて、1つ又はそれ以上のこれらの範囲の分子量を有するPEGが、好ましい。いくつかの好ましい実施形態では、高分子試薬、中間体、又は反応性カーボネートは、約20,000ダルトンの全体的な分子量を有する(POLYa及びPOLYbのそれぞれは、約10,000ダルトンの分子量を有する(たとえば、それぞれの(n)は、約227である)。いくつかの好ましい実施形態では、高分子出発物質(反応物)、中間体、又は活性カーボネートは、C2コアを含み、フルオレニルコアから伸長するそれぞれのPEG(POLYa及びPOLYb)は、約10,000ダルトンの分子量を有する。たとえば、例証となる構造XIV(NHSエステル)、I-h(ヒドロキシル反応物)、及びII-h(BTC)又はO-スクシンイミジル若しくはO-ベンゾトリアゾリル基の脱離基が、当技術分野においてよく知られている別の適した脱離基と交換される、構造XIV若しくはII-hに対応する構造を参照されたい。
【0115】
POLYa及びPOLYbのそれぞれについての典型的な重量平均分子量は、約100ダルトン、約120ダルトン、約200ダルトン、約250ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、約440ダルトン、約500ダルトン、約600ダルトン、約700ダルトン、約750ダルトン、約800ダルトン、約900ダルトン、約1,000ダルトン、約1,500ダルトン、約2,000ダルトン、約2,200ダルトン、約2,500ダルトン、約3,000ダルトン、約4,000ダルトン、約4,400ダルトン、約4,500ダルトン、約5,000ダルトン、約5,500ダルトン、約6,000
ダルトン、約7,000ダルトン、約7,500ダルトン、約8,000ダルトン、約9,000ダルトン、約10,000ダルトン、約11,000ダルトン、約12,000ダルトン、約13,000ダルトン、約14,000ダルトン、約15,000ダルトン、約16,000ダルトン、約17,000ダルトン、約18,000ダルトン、約19,000ダルトン、約20,000ダルトン、約22,500ダルトン、約25,000ダルトン、約30,000ダルトン、約35,000ダルトン、約40,000ダルトン、約45,000ダルトン、約50,000ダルトン、約55,000ダルトン、約60,000ダルトン、約65,000ダルトン、約70,000ダルトン、及び約75,000ダルトン、約80,000ダルトン、約85,000ダルトン、約90,000ダルトン、約95,000ダルトン、及び約100,000ダルトンを含む。POLYa及びPOLYbのそれぞれについての典型的な重量平均分子量範囲は、たとえば約120ダルトン~約100,000ダルトン(たとえば、それぞれの(n)は、約3~約2273の範囲にわたる)又は約250ダルトン~約60,000ダルトン(たとえば、それぞれの(n)は、約4.5~約1363の範囲にわたる)である。いくつかの実施形態では、POLYa及びPOLYbのそれぞれについての重量平均分子量範囲は、たとえば約120ダルトン~約6,000ダルトン(たとえば、それぞれの(n)は、約3~約136の範囲にわたる)又は約6,000ダルトン~約80,000ダルトン(たとえば、それぞれの(n)は、約136~約1818の範囲にわたる)又は約5,000~約25,000ダルトン(たとえば、それぞれの(n)は、約113~約568の範囲にわたる)又は約10,000~約25,000ダルトン(たとえば、それぞれの(n)は、約227~約568の範囲にわたる)である。
【0116】
上記に記載されるとおり、POLYa及びPOLYbの両方は、好ましくはポリエチレングリコールである。PEGが、高分子試薬中の水溶性ポリマーとして使用される場合、PEGは、通常、多くの(OCH2CH2)モノマー[又はPEGがどのように定義されるかに依存して、(CH2CH2O)モノマー]を含む。説明の始めから終りまで使用されるように、反復単位の数は、「(OCH2CH2)n」における添字「n」によって確認される。したがって、(n)の値は、通常、1つ又はそれ以上の以下の範囲内に入る:2~約3400、約4~約1500、約100~約2300、約100~約2270、約136~約2050、約225~約1930、約450~約1930、約1200~約1930、約568~約2727、約660~約2730、約795~約2730、約795~約2730、約909~約2730、及び約1,200~約1,900。分子量が知られている任意の、ある特定のポリマーについては、ポリマーの総重量平均分子量を反復モノマーの分子量で割ることによって反復単位(すなわち、「n」)の数を決定することが、可能である。たとえば、両方とも約10,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールであるPOLYa及びPOLYbについては、(n)の値は、約227である。両方とも約20,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールであるPOLYa及びPOLYbについては、(n)の値は、約454であるなど。
【0117】
1つ又はそれ以上の実施形態では、フルオレン成分は、任意選択で、任意の1つ又はそれ以上の炭素1、2、3、4、5、6、7、及び8に位置する1つ又はそれ以上の電子変化基(「Re1」、「Re2」等)を含む。電子変化基は、電子を供与する(そのため「電子供与基」と称される)又は電子を吸引する(そのため「電子吸引基」と称される)基である。典型的な電子吸引基は、ハロ(たとえばブロモ、フルオロ、クロロ、及びヨード)、ニトロ、カルボキシ、エステル、ホルミル、ケト、アゾ、アミドカルボニル、アミドスルホニル、カルボキサミド、スルホンオキシ、スルホンアミド、ウレイド、並びにアリールを含む。典型的な電子供与基は、ヒドロキシル、低級アルコキシ(たとえばメトキシ、エトキシ、及びその他同種のもの)、低級アルキル(メチル、エチル、及びその他同種のものなど)、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ-低級アルキルアミノ、アリールオキシ(フェノキシ及びその他同種のものなど)、アリールアルコキシ(フェノキシ及びその他
同種のものなど)、アミノアリール(p-ジメチルアミノフェニル及びその他同種のものなど)、メルカプト、並びにアルキルチオを含む。1つ又はそれ以上の実施形態では、フルオレン成分は、1つ又はそれ以上のハロ基を含む。より詳細な電子変化基は、Br、-CF3、-CH2CF3、-CH2C6F5、-CN、-NO2、-S(O)R、-S(O)アリール、-S(O2)R、-S(O2)アリール、-S(O2)OR、-S(O2)Oアリール、-S(O2)NHR、-S(O2)NHアリール、-C(O)R、-C(O)アリール、-C(O)OR、-C(O)NHR、及びその他同種のものを含むが、これらに限定されず、ここで、Rは、H又は有機ラジカルである。いくつかの実施形態では、電子変化基は、ブロモである。Re1及びRe2のそれぞれが異なる場合、(a)Re1及びRe2は、異なる電子吸引基とすることができる、(b)Re1及びRe2は、異なる電子供与基とすることができる、(c)又はRe1及びRe2は、一方が電子吸引基で、他方が電子供与基とすることができる。しかしながら、多くの状況において、Re1及びRe2のそれぞれは、同じである。
【0118】
フルオレン環において、芳香族求電子置換反応による電子変化基の追加のための通常の位置は、「2」及び「7」位である。これらの位置が、連結成分によって占められる(水溶性ポリマーに付加される)場合、フルオレン環上の他の位置が、(a)連結成分の配向性及び(b)立体的影響などのような要因に基づいて、置換されるであろう。しかしながら、多くの場合、フルオレン環の「4」及び「5」位は、「2」及び「7」位が利用できない場合及びとりわけアルファ炭素、すなわち、フルオレン中の9位(すなわち、イオン化可能な水素原子、Hαを持っている炭素)が置換されている場合、付加の可能性が高い部位となる。電子変化基、「Re1」、「Re2」(両方とも存在する場合)は、同じ芳香環上に又は異なる芳香環上に位置してもよい。
【0119】
水溶性ポリマー鎖、POLYa及びPOLYb(たとえばそれぞれポリエチレングリコール鎖)並びに中央にあるフルオレン環の間のリンカー、L1及びL2は、同じであっても、異なっていてもよい。通常、リンカー、L1及びL2は、たとえば、製造プロセスの間に挿入されてもよい官能基又は原子の短鎖を含む。これらのリンカーは、形成される遊離可能な高分子試薬の特性に影響を与えることがあり、対応するポリマーコンジュゲートの遊離特性に影響を及ぼし得る。リンカーの配置(環の位置)及び特定の構造を操作することによって、ポリマーコンジュゲートからのポリマー成分の遊離速度は、変化させることができ、たとえば、通常数時間又は数日で測定することができる。そのうえ、他の独立した官能基、Re1及び/又はRe2は、一般に、電子変化基と本明細書において称されるが、必ずではないが、芳香環上に置換されて、コンジュゲートからのポリマー成分の遊離の速度にさらに影響を及ぼしてもよい。たとえば、いくつかの例証となるRe1基及びRe2基は、以下のものを含むが、これらに限定されない:ハロ(たとえばブロモ、フルオロ、クロロ、及びヨード)、ニトロ、カルボキシ、エステル、ホルミル、ケト、アゾ、アミドカルボニル、アミドスルホニル、カルボキサミド、スルホンオキシ、スルホンアミド、ウレイド、並びにアリール。典型的な電子供与基は、ヒドロキシル、低級アルコキシ(たとえばメトキシ、エトキシ、及びその他同種のもの)、低級アルキル(メチル、エチル、及びその他同種のものなど)、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ-低級アルキルアミノ、アリールオキシ(フェノキシ及びその他同種のものなど)、アリールアルコキシ(フェノキシ及びその他同種のものなど)、アミノアリール(p-ジメチルアミノフェニル及びその他同種のものなど)、メルカプト、並びにアルキルチオを含む。より詳細な電子変化基は、-CF3、-CH2CF3、-CH2C6F5、-CN、-NO2、-S(O)R、-S(O)アリール、-S(O2)R、-S(O2)アリール、-S(O2)OR、-S(O2)Oアリール、-S(O2)NHR、-S(O2)NHアリール、-C(O)R、-C(O)アリール、-C(O)OR、-C(O)NHR、及びその他同種のものを含むが、これらに限定されず、ここで、Rは、H又は有機ラジカルである。したがって、たとえば、L1、L2、並びに存在する場合、Re1及び/又はRe2の構造並びにそれ
ぞれのフルオレニル環上のそれらの場所に依存して、数時間の期間又は数日の期間にわたって薬を遊離するであろうこういったタイプのPEG試薬を設計することができる。
【0120】
POLYa及び/又はPOLYb並びにフルオレン成分の間に挿入される典型的な連結成分、L1及びL2は、-C(O)-、-S(O2)-、-S(O)-、-NH-S(O2)-、-S(O2)-NH-、-CH=CH-、-O-CH=CH-、-C(O)-NH-、-NH-C(O)-NH-、-O-C(O)-NH-、-C(S)-、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2、-O-CH2-、-CH2-O-、-O-CH2-CH2-、-CH2-O-CH2-、-CH2-CH2-O-、-O-CH2-CH2-CH2-、-CH2-O-CH2-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-、-CH2-CH2-CH2-O-、-O-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-O-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-O-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-O-、-S-CH2-、-CH2-S-、-S-CH2-CH2-、-CH2-S-CH2-、-CH2-CH2-S-、-S-CH2-CH2-CH2-、-CH2-S-CH2-CH2-、-CH2-CH2-S-CH2-、-CH2-CH2-CH2-S-、-S-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-S-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-S-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-S-、-C(O)-NH-CH2-、-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-C(O)-NH-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-、-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH=CH-C(O)-NH-、-C(O)-O-CH2-、-CH2-C(O)-O-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-O-CH2-、-C(O)-O-CH2-CH2-、-NH-C(O)-CH2-、-CH2-NH-C(O)-CH2-、-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-、-NH-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-NH-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-CH2-、-C(O)-NH-CH2-、-C(O)-NH-CH2-CH2-、-O-C(O)-NH-CH2-、-O-C(O)-NH-CH2-CH2-、-NH-CH2-、-NH-CH2-CH2-、-CH2-NH-CH2-、-CH2-CH2-NH-CH2-、-C(O)-CH2-、-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-C(O)-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-NH-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-NH-C(O)-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-CH2-、-O-C(O)-NH-[CH2]h-(OCH2CH2)j-、-NH-C(O)-O-[CH2]h-(OCH2CH2)j-、二価シクロアルキル基、O、S、アミノ酸、-N(R6)-、及び前述のもののいずれかの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されず、ここで、R6は、H又はアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択される有機ラジカルであり、(h)は、0~6であり、(j)は、
0~20である。他の特定の連結成分は、以下の構造を有する:-C(O)-NH-(CH2)1~6-NH-C(O)-、-NH-C(O)-NH-(CH2)1~6-NH-C(O)-、及び-O-C(O)-NH-(CH2)1~6-NH-C(O)-、ここで、それぞれのメチレンの後の添字の値は、構造中に含有されるメチレンの数を示す、たとえば、(CH2)1~6は、構造が、1、2、3、4、5、又は6つのメチレンを含有することができることを意味する。そのうえ、上記の連結成分のいずれも、1~20のエチレンオキシドモノマー単位を含むエチレンオキシドオリゴマー鎖をさらに含んでもいてよい(すなわち--(CH2CH2O)1~20)。すなわち、エチレンオキシドオリゴマー鎖は、連結成分の前又は後に及び任意選択で、2つ以上の原子から構成される連結成分の任意の2つの原子の間に生じ得る。さらに、オリゴマー鎖は、オリゴマーがポリマーセグメントに近接しており、単にポリマーセグメントの伸長部分に過ぎない場合、連結成分の一部とはみなされないであろう。最後に、いくつかの連結成分が、電子変化基としても機能する原子又は原子団を含むことに注意されたい;そのような場合、1つ又はそれ以上のその他の「別個の」(すなわち、連結成分の一部ではない)電子変化基の含有は、所望されなくてもよい又は必要でなくてもよい。
【0121】
L1及びL2についての好ましい連結成分は、-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-CH2-NH-C(O)-、-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-NH-C(O)-、-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-NH-C(O)-、-C(O)-NH-、-NH-C(O)-、-C(O)-NH-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-NH-C(O)-、-NH-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-C(O)-、-C(O)-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-C(O)-、-C(O)-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-、-C(O)-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-、-C(O)-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-C(O)-CH2-CH2-、-CH2-CH2-C(O)-、-C(O)-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(O)-、-C(O)-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-、-C(O)-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-C(O)-、-NH-CH2-CH2-(OCH2CH2)1~3-NH-C(O)-、-C(O)-NH-(CH2CH2O)1~3-CH2-CH2-NH-、-C(O)-NH-CH2-CH2-(OCH2CH2)1~3-NH-C(O)-、-C(O)-NH-(CH2CH2O)1~3-CH2-CH2-NH-C(O)-、-NH-C(O)-CH2-、-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-O-、-O-CH2-C(O)-NH-、-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-、-O-CH2-CH2-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-、-NH-C(O)-CH2-CH2-CH2-C(O)-NH-CH2-CH2-O-、-C(O)-NH-CH2-CH2-、-CH2-CH2-NH-C(O)-、-C(O)-NH-CH2-CH2-O-、及び-O-CH2-CH2-NH-C(O)-から選択されるものを含む。
【0122】
それぞれの連結成分は、存在する場合、全体的な構造において、全体的な構造における
任意の他の連結成分と同じ又は異なるものとすることができる。L1及びL2に関して、L1及びL2が、同じであることが時に好ましい。
【0123】
好ましい連結成分は、アミドカルボキシ、カルボキシアミド、スルホンアミド、エステル、及びウレイドを含む。さらに特定の連結成分は、たとえば-(CH2)1~6C(O)NH-及び-NH-C(O)、NH-C(O)-(CH2)1~6C(O)NH-を含む。より特定の連結成分は、たとえば-(CH2)C(O)NH-、-(CH2)3C(O)NH-、-NH-C(O)、及びNH-C(O)-(CH2)3C(O)NH-から選択される。
【0124】
連結成分、L1及びL2並びにしたがって水溶性ポリマー「アーム」、POLYa及びPOLYbは、同様に、フルオレン環上の任意の2つの都合のよい位置に、たとえば炭素1、2、3、4、5、6、7、又は8に、位置してもよい。いくつかの実施形態では、L1及びL2は、フルオレン炭素C-2及びC-7に付加される。いくつかの他実施形態では、L1及びL2は、フルオレン炭素C-2及びC-5に付加される。たとえば、例証となる構造XI、XIII、I-d、I-f、I-g、II-d、II-f、及びII-g(C-2及びC-5位)並びに構造XII、XIV、I-e、I-h、II-e、及びII-h(C-2及びC-7位)を参照されたい。
【0125】
続く実施例は、(i)フルオレニルベースの高分子試薬を調製するための、(ii)そのような試薬を回収し、精製するための、(iii)フルオレニルベースの高分子試薬中の望ましくない不純物を低下させるための方法、(iv)それぞれホスゲン及びDiBTCなどのような、有害な、場合によっては爆発性の反応物の使用を避ける方法、(v)とりわけ、非スクシンイミジルフルオレニルベースの高分子エステルを所望のNHS-エステルに変換する方法の改善された方法を例証する。
【0126】
本明細書において参照されるすべての論文、本、特許、特許公報、及び他の刊行物は、それらの全体が参照によって援用される。本明細書の教示及び参照によって援用される技術の間に矛盾が生じた場合、本明細書における教示及び定義の説明が、優先されるものとする(特に、本明細書に添付される請求項において使用される用語に関して)。たとえば、本出願及び参照によって援用される公報が、同じ用語を異なって定義する場合、用語の定義は、定義について書かれている本文の教示の範囲内にとどめられるものとする。
【実施例0127】
前述の説明及び続く実施例が、本明細書において提供される本発明を例証し、その範囲を限定するものではないことを意図するものであることが理解されるべきである。本発明の範囲内にある他の態様、利点、及び変更は、当業者らに明らかであろう。
【0128】
材料及び方法
本開示は、特に明記しない限り、当業者によって理解され、文献において説明される有機合成の従来の技術及びその他同種のものを利用する。以下の実施例では、使用される数(たとえば量、温度等)に関して、正確さを確実にするように努めたが、いくらかの実験誤差及び偏差が、含まれるはずである。特に明記しない限り、温度は、摂氏度とし、気圧は、海面気圧又はその付近とする。
【0129】
放射標識ポリマーについてのすべての放射化学プロセス及び分析(1H及び3H-NMR、比放射能、RI検出器及びUV検出器の両方を備えたGFCを使用する分子量)は、Moravek Biochemicals,Inc.、ロサンゼルス(Los Angeles)、CAで行い、本発明者らの1人が、監督し、立ち会った。
【0130】
PEG試薬を除いて、すべての試薬は、特に明記しない限り、市販で得た。すべてのPEG原材料は、ハンツビル(Huntsville)、ALのNektar Therapeuticsから購入した。Nektar Therapeuticsで生成されたすべてのNMRデータは、Bruker(ビレリカ(Billerica)、MA)によって製造された300又は400MHz NMRシステムを使用して得た。PEG誘導体を伴う反応は、ガラス又はガラスライニング容器中で実行した。
【0131】
安全性についての警告:安全性又は危険性についての警告がある試薬を用いる手順を実行する前に、実験従事者は、深刻な事故を回避するために、安全な取り扱い手順に精通するべきである。特に、ジベンゾトリアゾリルカーボネート(di-BTC)は、ある状態において爆発の危険がある。これらの手順は、熟練した化学者又は高度に訓練された技術者によって実行されるべきである。
【0132】
略語:
ACN アセトニトリル
anh 無水
BHT ブチルヒドロキシトルエン
di-BTC ジベンゾトリアゾリルカーボネート
DCM ジクロロメタン
DCC N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
EDAC HCl 1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド,HCl
HOBT ヒドロキシベンゾトリアゾール
IPA イソプロピルアルコール
MTBE メチル-tert-ブチルエーテル
NHS N-ヒドロキシスクシンイミド
Pyr ピリジン
RB 丸底
RT 室温、20~25℃
THF テトラヒドロフラン
【0133】
実施例1
例証となるG2-PEG2-FMOC-NHS試薬の合成
スキームE1-ベンゾトリアゾールカーボネートを介してのG2-PEG2-FMOC-NHS試薬の合成のための典型的な反応の例証
【化37】
A.G2-PEG2-FMOC-OH 20Kの調製
無水トルエン(250mL)中に溶解したmPEG-NH
2(10,000Da)(25.1g、2.51ミリモル)を、ロータリーエバポレーターで45℃減圧下でトルエンを蒸留することによって共沸乾燥させた。固体残留物を、窒素雰囲気下で無水ジクロロメタン(DCM)(125mL)中に溶解した。無水DMF(12.7mL)中に溶解したG2-FMOC-コア(9-ヒドロキシメチル-2,7-ジ(アミドグルタル酸)フルオレン)(0.5211g、1.15ミリモル)及び無水N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.3251g、2.41ミリモル)の溶液を、mPEG-NH
2溶液に追加した。1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.645g、3.13ミリモル)を、次いで、溶液に追加した。反応混合物を、室温で17時間撹拌した。次に、溶媒を、減圧下で蒸留した。濃厚なシロップを、適度に加熱しながら、無水イソプロピルアルコール(IPA)(300mL、ゆっくりと追加)中に溶解した。PEG産物を、室温で、ジエチルエーテル(200mL)の追加によって沈殿させた。沈殿物を、20分間10℃まで冷却し、濾過し、IPA(300mL)及び次いでジエチルエーテル(500mL×3)により洗浄した。粗生成物を、真空下で乾燥させ、25gの灰白色の粉末がもたらされた。
【0134】
粗製物質を、脱イオン水(500mL)中に溶解し、1300mlの総容量まで希釈した。溶液のpHを、1M NaOHにより9.7に調整した。未反応mPEG-NH2(10,000)のクロマトグラフィーによる除去を、溶離剤として水を使用し、POROS HS50媒質(500mL)で実行した。PEG産物を含有する画分を、収集し、DEAE Sepharose FF媒質(200mL)を通過させることによってさらに精製した。精製産物は、mPEG-NH2(10,000)も、モノPEG酸産物も含有しないことがわかった(HPLC分析)。
【0135】
少量のジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)及び塩化ナトリウム(170g)を追
加し、pHを、1M NaOHにより7.56に調整した。産物を、DCM(250、250、100mL)により水層から抽出した。DCM抽出物を、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濾過し、IPA及びジエチルエーテルにより単離した。精製産物を、真空下で乾燥させた(収量20.95g、灰白色の粉末)。GPC分析は、99%の所望のG2-PEG2-FMOC-OH 20Kを示した。1H-NMR(CD2Cl2):δ(ppm):8.6 (s,NH,2H); 7.9(s,Ar,2H);7.6(m,Ar,4H); 6.4(bs,NH,2H); 4.1(m,CH,1H);4.0(d,CH2,2H)3.6(bs,PEG骨格);3.3(s,OCH3,6H);2.4(t,CH2,4H);2.3(t,CH2,4H);2.0(m,CH2,4H).
【0136】
B.G2-PEG2-FMOC-BTC 20Kの調製
G2-PEG2-FMOC-OH 20K(1.8g、0.28ミリモル)を、DCM(5mL)中に溶解し、無水トルエン(20mL)を追加した。次に、溶媒を蒸留し、乾燥させて、水分を除去し、乾燥させた材料を、5.4mLの無水アセトニトリル中に溶解した。この溶液に、ジベンゾトリアゾリルカーボネート(di-BTC)(77mg)及び無水ピリジン(7.3μL)を追加した。溶液を、RTで2時間15分撹拌し、次いで、anh IPA(50ppm BHTを含有する200mL)を追加して、産物を沈殿させた。15分後、溶液を濾過し、固体を、anh IPA(50ppm BHTを含有する45mL)により、次いで、ジエチルエーテル(100ppm BHTを含有する4×50mL)により洗浄した。産物を、一晩、真空下で乾燥させた。収量1.49g。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)8.6(s,NH,2H);8.0(s,Ar,2H);7.6(m,Ar,4H);6.4(bs,NH,2H);5.0(m,CH2-BTC,2H);4.5(t,CH,1H);)3.6(s,PEG骨格);3.3(s,OCH3,6H);2.4(t,CH2,4H);2.3(t,CH2,4H);2.0(m,CH2,4H).
【0137】
C.G2-PEG2-FMOC-NHS 20Kの調製
G2-PEG2-FMOC-BTC 20K(1.47g)を、anh DCM(5.9mL)中に溶解し、溶液を、8℃まで冷却した。NHS(170.6mg)を追加し、混合物を8℃で一晩撹拌した。産物を、IPA(293mgクエン酸及び10mg BHTを含有する60mL)の追加によって沈殿させ、濾過し、anh IPA(10mg BHTを含有する60mL)により、次いで、anhメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(35mgクエン酸及び8.2mg BHTを含有する50mL)により洗浄した。次に、産物を、一晩、真空下で乾燥させた。収量1.27g。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)8.6(s,NH,2H);7.8(s,Ar,1H);7.7(s,Ar,2H);7.6(m,Ar,4H);6.4(bs,NH,2H);4.6(d,CH2,2H);4.3(t,CH,1H),3.6(bs,PEG骨格);3.3(s,OCH3,6H);2.8(s,NHS,4H);2.4(t,CH2,4H);2.3(t,CH2,4H);2.0(m,CH2,4H).
【0138】
活性カーボネートの産物末端基置換パーセントは、グリシンとの反応、続いて、コンジュゲートのHPLC分析によって決定し、88.1モル%を示した。11℃での136時間の保存の後、グリシン置換による分析は、86.6モル%の置換パーセントを示した。クエン酸をIPAに追加せずに沈殿させ、且つMTBEによる洗浄にクエン酸が存在しなかった同様の産物は、調製後に86.2モル%及び11℃での136時間の保存後に75.3モル%の置換を有した。G2-PEG2-FMOC-グリシンコンジュゲートは、以下のとおり調製した:G2-PEG2-FMOC-NHS 20K(10mg))を、5%グリシンの1mLの緩衝液(pH7.4)中に溶解した。結果として生じる溶液を、よく混合し、10分間、室温で反応させた。分析は、GFC分析用の溶液のサンプルをインジェクションすることによって実行した(Waters;Ultrahydrogel2
50;10mM HEPESバッファー pH7.4、75℃)。
【0139】
実施例2
臭素化G2-PEG2-FMOC-NHS 20K(BR-G2-PEG2-FMOC-NHS 20K)の合成
【化38】
スキームE2 臭素化G2試薬(Br-G2-PEG2-FMOC-NHS 20K)の合成.
A.臭素化G2-FMOCコア(9-ヒドロキシメチル-ブロモ-2,7-ジ(アミドグルタル酸)フルオレン)の調製
9-ヒドロキシメチル-2,7-ジ(アミドグルタル酸)フルオレン(1.5g、3.3ミリモル)を、1,4-ジオキサン(45mL)及び脱イオン水(30mL)中に溶解した。ピリジニウムブロミドペルブロミド(ビニルピリジンポリマーに結合、約2ミリモル Br
3/g樹脂、25g)を追加し、2時間、暗所で撹拌した。反応懸濁液を濾過し、1,4-ジオキサン/水(20mL)、次いで1,4-ジオキサン(20mL)により洗浄した。産物を、半飽和塩化ナトリウム及び酢酸エチル(400mL×2)により抽出した。有機抽出物を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を、減圧下で蒸留した。結果として生じる粗産物を、50mM酢酸アンモニウム(pH4.75)及びメタノール勾配溶離を使用してC18シリカクロマトグラフィーによって精製し、0.4gの灰白色の粉末がもたらされた。
1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)8.1(
s, Ar,1H);7.9(s,Ar,1H);7.8(m,Ar,2H);7.6(d,Ar,1H);4.0(t,CH,1H);3.7(m,CH
2,2H,);2.4(m,CH
2,4H);2.2(m,CH
2,4H);1.8(m,CH
2,4H).
【0140】
B.臭素化G2-PEG2-FMOC-OH(9-ヒドロキシメチル-ブロモ-2,7-ジ(mPEG(10K)-アミドグルタルアミド)フルオレン)の調製
無水トルエン(250mL)中に溶解したmPEG-NH2(10,000Da)(14g、1.42ミリモル)を、ロータリーエバポレーターで50℃減圧下で溶媒を蒸留することによって共沸乾燥させた。固体残留物を、窒素雰囲気下でanh DCM(130mL)中に溶解した。anh DMF(8mL)中臭素化G2-FMOC-OH(0.315g、0.59モル)及びanh N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.17g、1.24ミリモル)の溶液を、PEG-NH2溶液に追加した。1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.34g、1.65ミリモル)を、次いで、追加した。混合物を、21時間、室温で撹拌し、溶媒を、次いで、減圧下で蒸留した。濃厚なシロップを、適度に加熱しながら、anh IPA(500mL、ゆっくりと追加)中に溶解した。PEG産物を、室温で、ジエチルエーテル(200mL)の追加によって沈殿させた。沈殿物を、10分間10℃まで冷却し、濾過し、冷たいIPA(150mL)により、そしてジエチルエーテル(150mL)により洗浄し、次いで、それを真空下で乾燥させ、13.2gの灰白色の粉末がもたらされた。
【0141】
乾燥粗産物を、脱イオン水(850mL)中に溶解し、pHを、1M NaOHによりpH9.7に調整した。未反応のmPEG-NH2(10,000Da)のクロマトグラフィーによる除去を、溶離剤として水を使用し、POROS HS50媒質(500mL)で実行した。PEG産物を含有する画分を、収集し、DEAE Sepharose媒質(200mL)によりさらに精製した。GPC分析は、93%の所望の臭素化G2-PEG2-FMOC-OH産物を示した。1H-NMR(CD2Cl2):δ(ppm)8.8(s,NH);8.5(s,NH);7.9(s,Ar,2H);7.8(s,Ar);7.7(m,Ar);7.6(m,Ar);6.6(bs,NH);6.4(bs,NH);4.1(m,CH2);3.6(bs,PEG骨格);3.4(s,OCH3);2.6(t,CH2);2.5(t,CH2);2.3(m,CH2).
【0142】
C.臭素化G2-PEG2-FMOC-BTCの調製
トルエン(55mL)中に溶解した臭素化G2-PEG2-FMOC-OH(5.6g、0.28ミリモル)を、溶媒を蒸留することによって、50℃で共沸乾燥させ、10mLの無水アセトニトリル中に溶解した。次に、di-BTC(0.33g、0.50ミリモル)及び無水ピリジン(22.5μL、0.28ミリモル)を追加した。溶液を、室温で3時間撹拌し、次いで、産物を、IPA(250mL)により沈殿させ、濾過した。濾液を、IPA(100mL)により、そしてジエチルエーテル(100mL)により洗浄し、次いで、2時間、真空中でrtで乾燥させた。得られた臭素化G2-PEG2-FMOC-BTCを、さらに精製することなく、合成の次のステップにおいて使用した。1H-NMR(CDCl3):δ(ppm)9.0(s,NH);8.6(s,NH);8.1-7.5(m,Ar);6.9(bs,NH);6.8(bs,NH);4.9(d,CH2);4.4(t,CH);3.6(bs,PEG骨格);3.4(s,OCH3);2.5(t,CH2);2.3(t,CH2);2.0(m,CH2).
【0143】
D.臭素化G2-PEG2-FMOC-NHS(Br-G2-PEG2-FMOC-NHS 20K)の調製
臭素化G2-PEG2-FMOC-BTC(4.71g.0.235ミリモル)を、DCM(18.8mL)中に溶解し、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(0.542g、4.71ミリモル)を追加した。反応混合物を、22時間撹拌し、次いで、0.5
%酢酸を含有するIPA(200mL)に追加した。沈殿した産物を、濾過し、0.5%酢酸を含有する20mLのIPA(20mL)により、次いで、0.5%酢酸を含有するジエチルエーテル(60mL)により洗浄した。湿った産物を、2時間、真空中で乾燥させ、次いで、anhアセトニトリル(14.1mL)中に溶解することによって再沈させ、続いて、0.5%酢酸を含有するIPA(235mL)を追加した。沈殿物を濾過し、0.5%の酢酸及び0.005% BHTを含有するジエチルエーテル(60mL)により洗浄し、一晩、真空中でrtで乾燥させた。収量:4.2g。活性NHSエステル基の87モル%の置換。20K.GFC分析は、93.3%の20K PEG産物及び6.4%の10K PEG産物の存在を示した。1H-NMR(CD2Cl2)δ(ppm):8.8及び8.5(s,s,NH);8.0-7.5(m,Ar);6.6 and 6.4(s,s,NH);4.7,4.6(m,CH2);4.3(m,CH);3.6(bs,PEG骨格);3.4(s,OCH3);2.8(s,NHS);2.5(t,CH2);2.3(t,CH2)2.0(m,CH2).
【0144】
実施例3
C2-PEG2-FMOC-NHS 20Kの合成のための方法
パート1.9-ヒドロキシメチル-2,7-フルオレンジカルボン酸(C2-FMOCコア)の合成、スキームE3aを参照.
【化39】
スキームE3a C2-FMOCコアの合成
A.2,7-フルオレンジカルボン酸の調製
アルゴンをパージしたフラスコにおいて、9-フルオレノン-2,7-ジカルボン酸(10.0g、0.037モル)を、ジエチレングリコール(75mL)中に懸濁した。フラスコを、室温の油浴に入れ、次いで、NaOH(6.2g、0.155モル)及びヒドラジン水化物(7.4mL、0.12モル)の80%溶液を順に追加した。反応混合物を、110℃までゆっくりと加熱し、次いで、およそ4時間還流した。反応混合物を冷却し
、水の中に注意深く注ぎ、濃縮したHClによりpH2まで酸性化した。沈殿した粗産物を、濾過し、水により洗浄し、次いで、それを、温かいNaOH溶液(0.5M)中に溶解し、HClによるpH2への酸性化によって再沈させた。沈殿物を濾過し、水により洗浄し、固体黄色産物(9.0g、96%)がもたらされた。
1H-NMR(DMSO- d
6):δ(ppm)8.2(s,Ar,2H);8.1(m,Ar,2H);8.0(m,Ar,2H);4.1(s,2H,CH
2).
【0145】
B.2,7-フルオレンジカルボン酸ジベンジルエステルの調製
窒素をパージした乾燥フラスコにおいて、2,7-フルオレンジカルボン酸(8.0g、0.031モル)を、anh DMF(400mL)中に溶解した。次に、anhベンジルアルコール(82mL、0.788モル)、DMAP(0.58g、0.0047モル)、及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)ハイドロクロライド(16g、0.082モル)をrtで追加した。24時間の撹拌の後に、希釈HCl溶液(1.5L)を追加した。混合物を冷却し、固体沈殿物を濾過し、水により洗浄した。次に、産物を、温かいアセトン(800mL)中に溶解し、溶液を濾過し、溶媒を、減圧下で蒸留した。(収量5.9g、43%)。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)8.3(s,Ar,2H);8.2(m,Ar,2H);8.1(m,Ar,2H);7.5-7.4(m,BnO,10H);5.4(s,CH2,4H);4.1(s,Ar,2H).
【0146】
C.9-ホルミル-2,7-フルオレンジカルボン酸ジベンジルエステルの調製
乾燥アルゴンをパージしたフラスコにおいて、2,7-フルオレンジカルボン酸ジベンジルエステル(3.0g、0.0065モル)を、室温で、anh THF(60mL)中に溶解した。蟻酸ベンジル(4.2mL、0.035モル、anh K2CO3上で保存)を追加し、続いて、カリウムtert-ブトキシド95%(2.7g、0.023モル)を追加した。混合物を、3時間撹拌し、次いで、反応を、水の追加によりクエンチし、HClによりpH2まで酸性化した。有機溶媒を、減圧下で部分的に蒸発させた。産物を、酢酸エチルにより2回(600mL、次いで200mL)、抽出した。組み合わせた有機層を、鹹水により3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を、蒸発乾固させた。粗産物を、ヘキサン及びメタノールにより洗浄し、次いで、乾燥させた。収量1.9g(60%)。1H-NMR(DMSO- d6):δ(ppm)11.9(s,formyl,~1H);8.8(s,Ar,1H);8.5(s,Ar,1H);8.4(s,Ar,1H);8.2(m,Ar,2H);7.9(m,Ar,2H);7.5-7.4(m,BnO,10H);5.4(s,Ar,4H).
【0147】
D.9-ホルミル-2,7-フルオレンジカルボン酸の調製
Parr水素化瓶において、9-ホルミル-2,7-フルオレンジカルボン酸ジベンジルエステル(3.0g、0.0061モル)を、anh THF(350mL)中に溶解した。次に、20% Pd/C(50%含水;600mg)を追加し、Parr瓶を、Parr装置で、排気し/3回充填して、水素雰囲気を確実にした。懸濁液を、およそ60時間、20~30psiの水素下で振盪させ、次いで、残りの水素を、減圧で除去した。溶液を、セライトの層で濾過し、溶媒を、減圧下で蒸留した。1H-NMR(DMSO-d6):δ(ppm)9.0(s,Ar,1H);8.5-8.1(m,Ar,6H).
【0148】
E.9-ヒドロキシメチル-2,7-フルオレンジカルボン酸(C2 FMOCコア又はC2-FMOC-OH)の調製
9-ホルミル-2,7-フルオレンジカルボン酸の小サンプル(5~10mg)を、少量のTHFを含有する水中に溶解した。過剰量の水素化ホウ素ナトリウムを追加し、2時間反応させた。反応は、1M HClを注意深く追加してクエンチした。産物を、酢酸エチルにより抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を、減圧下で蒸留し、乾
燥させた。1H-NMR(CD3OD):δ(ppm)8.4(s,Ar,2H);8.2(m,Ar,2H);8.0(m,Ar,2H);4.2(t,CH,1H);4.0(d,CH2, 2H).この反応の大規模バージョンは、通常80~85%純粋の産物を産生した。Biotageカラムクロマトグラフィーを使用する精製により、98~99%の純度のレベルのC2-FMOC-OHがもたらされた。
【0149】
パート2.C2-FMOCコアからのPEG2-C2-FMOC-NHSの合成のための方法、スキームE3b及びE3cを参照.
【化40】
スキームE3b C2-PEG2-FMOC-BTC 20Kを介してのC2-PEG2-FMOC-NHSの合成
I.C2-PEG2-FMOC-BTC 20Kを介してのC2-PEG2-FMOC-NHSの合成
A.C2-PEG2-FMOC-OH 20kDaの調製.
mPEG-NH
2(Mn=10kDa;12.0g)を、25℃でanh DCM(10mL)中に溶解した。別のBiotageフラスコにおいて、精製したC2-FMOC-OH(0.165g)及びN-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.232g)
を、anh DMF(5.5mL)中に溶解し、結果として生じる溶液を、mPEG-NH
2溶液に追加した。次に、DCM(1.53mL)中DCCの1.0M溶液を追加し、反応混合物を、25℃で10時間撹拌した。粗産物を、IPA(120mL)及びMTBE(350mL)の混合物による沈殿によって単離した。沈殿物を濾過し、IPA(60mL)により、MTBEにより二度(60mL及び130mL)すすぎ、真空下で乾燥させた。次に、産物を、560mlの脱イオン水中に溶解し、溶液のpHを、0.2M NaOHによりpH9.7に調整した。未反応のmPEG-NH
2のイオン交換クロマトグラフィーによる除去を、溶離剤として水を使用し、POROS HS50媒質(80mL)で実行した。PEG産物を含有する画分を、収集し、DEAE Sepharose FF媒質(40mL)に通してさらに濾過した。塩化ナトリウム(96g)を、DEAE精製溶離液に追加し、溶液のpHを、1M NaOHにより7.5に調整した。C2-PEG2-FMOC-OH 20Kを、DCM(120mL)により水層から抽出した。DCM抽出物を、乾燥させ(Na
2SO
4)、産物を、IPA/MTBE混合物により沈殿させ、濾過し、真空下で乾燥させた。収量:11.5gの白色固体産物。
1H-NMR(CDCl
3):δ(ppm)8.2(s,Ar,2H);7.9(d,Ar,2H);7.8(d,Ar,2H);4.2(t,CH,1H);4.0(d,CH
2,2H);3.6(bs,PEG骨格);3.4(s,OCH
3,6H).
【0150】
B.C2-PEG2-FMOC-BTC 20Kの調製
anhトルエン(110mL)中に溶解したC2-PEG2-FMOC-OH 20K(11.0g)を、減圧下で溶媒を蒸留することによって、共沸乾燥させた。トルエンを、もう一度追加し、真空中で蒸留して、乾燥させ、残留物を、anhアセトニトリル(33mL)中に溶解した。得られた溶液を、5℃まで冷却し、di-BTC(0.50g)及びanhピリジン(56μl)を追加した。混合物を、6時間40分、4~6℃で撹拌し、次いで、それを、0.005%リン酸を含有する5℃まで冷却したIPA(275mL)にゆっくりと追加した。0.5時間混合した後、0.005%リン酸を含有する5℃まで冷却したMTBE(275mL)を追加し、混合物を、30分間撹拌し、産物を沈殿させた。産物を濾過し、次いで、0.005%リン酸を含有するIPA/MTBE(275mL)の1:1の混合物により二回洗浄し、続いて、0.002%リン酸を含有するIPA/MTBE(275mL)の1:1の混合物により第2の2度の洗浄を行った。結果として生じる産物、C2-PEG2-FMOC-BTC 20Kを、15℃で真空下で乾燥させた。収量10.5g1H-NMR(CDCl3):δ(ppm)8.3(s,Ar,2H);8.0(d,Ar,2H);7.9(d,Ar,2H);7.8(d,benzotriazole,1H);7.6(d,benzotriazole,1H);7.4(t,benzotriazole,1H);7.1(t,benzotriazole,1H);4.8(m,CH2-BTC,2H);4.5(t,CH,1H);3.6(bs,PEG骨格);3.4(s,OCH3,6H).
【0151】
C.C2-PEG2-FMOC-BTC 20KからのC2-PEG2-FMOC-NHS 20Kの調製
C2-PEG2-FMOC-BTC(10.0g)を、anh DCM(40mL)中に溶解した。撹拌しながら、固体NHS(0.60g)を追加し、-5~-10℃に温度を保ちながら、最低15分間混合した。反応温度を一定に維持しながら、等しい量の無水DMAP(0.030g)を追加し、NMR分析によりC2-PEG2-FMOC-BTCがNHS産物に変換されたことが示されるまで、反応混合物を、20時間撹拌した。次に、混合物を、-5℃の温度で、トリフルオロ酢酸(TFA)(0.30mL)を含有するIPA(250mL)に追加した。冷たいMTBE(250mL)を追加し、沈殿した産物を、濾過し、0.01%TFAを含有するIPA/MTBE(250mL)の冷たい1:1混合物により洗浄した。洗浄ステップを、反復し、沈殿物を、0.01%リン酸を含有するIPA/MTBE(500mL)の冷たい1:1混合物により、さらに洗浄し、
続いて、0.01%リン酸を含有する冷たいMTBE(250mL)により、二度洗浄した。湿った産物、C2-PEG2-FMOC-NHS 20Kを、一晩、真空下で乾燥させた。収量9.5g。1H NMR(CDCl3):δ(ppm)8.1(s,Ar,2H);8.0(d,Ar,2H);7.9(d,Ar,2H);4.7(d,CH2,2H);4.5(t,CH,1H);3.6(bs,PEG骨格);3.4(s,OCH3,6H);2.9(s,NHS).
【0152】
II.C2-PEG2-FMOC-OH 20KからのC2-PEG2-FMOC-NHS 20Kの直接的な合成
【化41】
スキームE3c C2-PEG2-FMOC-OH 20Kから直接、C2-PEG2-FMOC-NHSを合成
100mlのanh DCM中に溶解したC2-PEG2-FMOC-OH 20K(5.0g)を、減圧下で溶媒を蒸留することによって、共沸乾燥させた。乾燥プロセスを、反復し、残留物を、anh DCM(25mL)中に溶解した。プロセスを通して不活性雰囲気(乾燥窒素)を維持しながら、浴温をおよそ15℃に維持しながら、ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)(0.130g、2.0当量)を追加した。温度を、10℃まで下げ、ピリジン(0.101mL、5.0当量)を追加し、混合物を、8~10℃で20時間撹拌した。次いで、それを、5℃まで冷却し、TFA(0.19mL、10当量)を追加し、撹拌を、約0.3時間継続した。溶液を、0.2ミクロンのフィルターを通して濾過し、0.1%TFAを含有する100mlの冷たいIPA(100mL)に5℃で追加した。混合物を、約3.0時間撹拌し、次いで、0.1%TFAを含有する冷たいMTBE(100mL)を追加した。沈殿した産物を、濾過し、MTBE(0.1%のリン酸を含有する200mL及び100mL)により洗浄し、12時間、真空下で乾燥させた。
1H-NMR(CDCl
3):δ(ppm)8.1(s,Ar,2H);8.0(d,Ar,2H);7.9(d,Ar,2H);4.7(d,CH
2,2H);4.5(t,H,CH);3.6(bs,PEG骨格);3.4(s,OCH
3,6H);2.9(s,NHS).
【0153】
実施例4
トリチウム交換による3H-G2-PEG2-FMOC-NHS 20Kの合成のための方法
G2-PEG2-FMOC-OH 20Kのトリチウム交換
実施例1のG2-PEG2-FMOC-OH 20K(1.2g)を、7.2mlのリン酸バッファーpH8.5中に溶解し、活性炭素上のパラジウム水酸化物(0.42g、
20%のPd含有量(乾燥ベース)、52%水湿潤)を追加した。懸濁液に、30分間、アルゴンを噴霧し、次いで、液体窒素により凍結させた。凍結させた溶液を、次いで、トリチウムガスに曝露し、rtに温め、次いで、4.5時間、トリチウムによりガスシールした。トリチウムガスを、容器からポンプで汲み出し、およそ50mlのDI水を追加した。溶液を、濾過し、パラジウム触媒を除去した。水を、外界温度で真空で蒸留し、残りのトリチウムガスを除去し、次いで、20ml DI水中に再溶解した。標識したPEGを、一晩、凍結水溶液として保存した。rtでサンプルを解凍した後に、塩化ナトリウム(8.5g)を追加し、pHを、希リン酸によりpH7.1に調整した。標識したPEGを、次いで、DCM(3×20mL)により抽出し、硫酸ナトリウム(9g)上で乾燥させ、濾過した。DCMを、アルゴン下で蒸発させた。PEGを、DCM(5mL)及びanhトルエン(20mL)中に溶解し、溶媒を、アルゴン下で蒸発させ、3H-G2-PEG2-FMOC-OH 20Kがもたらされた(9)収量は、0.96gであった。1H-NMR(CD2Cl2):δ(ppm)8.8,8.7(s,s,NH);7.9(d,Ar);7.6-7.4(m,Ar);6.5(bs,NH);4.0(m,CH,CH2);3.6(s,PEG骨格);3.3(s,OCH3);2.4(t,CH2);2.3(t,CH2);2.0(m,CH2).
【0154】
活性カーボネート3H-G2-PEG2-FMOC-NHS 20Kの調製
3H-G2-PEG2-FMOC-OH 20K(0.96g)を、anhアセトニトリル(3mL)中に溶解した。Di-BTC)(トリクロロエタン中67重量%のスラリー、48mg)及びanhピリジン(4μl)を追加し、反応混合物を、2時間撹拌した。産物を、IPA(50mL、BHT 50ppmを含有)により沈殿させ、氷上で冷やし、濾過し、IPA(50mL、BHT 50ppmを含有)により、次いで、anhジエチルエーテル(200mL、BHT 50ppmを含有)により洗浄した。
【0155】
得られた3H-G2-PEG2-FMOC-BTC 20Kを、anh DCM(3.0mL)中に溶解した。NHS(90.1mg)を追加し、反応混合物を、一晩4℃で撹拌した。次に、anh IPA(40mL、クエン酸及びBHTを含有)を追加した。懸濁液を、10分間、氷浴で冷却し、次いで、沈殿物を、濾過し、BHTを含有するanh
IPA(40mL)により、そしてクエン酸及びBHTを含有するanh MTBE(100mL)により洗浄した。得られた産物を、約4時間、真空下で乾燥させた。収量663mg、グリシンコンジュゲートのHPLCにより54%の活性NHS。1H-NMR(CD2Cl2):δ(ppm)8.8,8.7(s,s,NH);7.9-7.4(m,Ar);6.8(bm,NH);4.6(m,CH);4.3(m,CH2);3.6(s,PEG骨格);3.3(s,OCH3);2.8(s,CH2);2.5(t,CH2);2.3(t,CH2);2.0(m,CH2).比放射能は、7.0Ci/ミリモルであった。GPCによる分析は、20K MWが88%で、低及び高MW画分の両方が残っていたことを示した。
【0156】
材料を、-80℃での保存安定性分析のために3つ(それぞれ220mg)に分けた。固体保存用の産物(220mg)を、それぞれ40mgの一定分量に分割し、後の分析のために-80℃で保存した。もう1つの産物(220mg)を、無水ジクロロメタン(4.4mL)中に溶解し、1mlの一定分量で-80℃で保存した。残りの産物(220mg)を、2mM HCl溶液(2.2mL、pH=2.55)中に溶解し、0.5mlの一定分量で-80℃で保管した。異なる保存条件での放射線分解の影響を観察するために、サンプルの一定分量を、MW及び置換%について分析した。14日目の結果を、表1に要約する。
【0157】
【0158】
実施例5
トリチウム交換による3H-C2-PEG2-FMOC-NHS 20Kの合成のための方法
mPEG-NH2 10kDaのトリチウム交換
mPEGアミン10kDa(2.0g)を、100mMリン酸バッファーpH8.55中に溶解し、活性炭素上のパラジウム水酸化物(0.71g、20%のPd含有量(乾燥ベース)、水湿潤(50%)を追加した。懸濁液に、30分間、アルゴンを噴霧し、次いで、液体窒素により凍結させた。凍結させた溶液を、次いで、トリチウムガスに曝露し、rtに温め、次いで、3時間、トリチウムによりガスシールした。トリチウムガスを、容器からポンプで汲み出し、およそ70mLのDI水を追加した。溶液を、濾過し、パラジウム触媒を除去した。水を、外界温度で真空中で蒸留し、残りのトリチウムガスを除去し、残留物を、20~30mLのDI水中に再溶解した。蒸留及び加水を、3回反復し、最終固体を、約30mL DI水中に溶解した。NaCl(3g)を追加し、pHを、水酸化ナトリウム溶液により9.5に調整した。産物を、DCM(25mL×3;5mL×1)により抽出し、抽出物を、乾燥させた(Na2SO4)。次に、溶媒を、減圧下で蒸留し、固体3H-mPEG-NH2 10kDa産物2.06gがもたらされた。産物についての比放射能は、11.59Ci/ミリモルであった。比放射能を下げるために、トリチウム化産物を、非標識mPEGアミン10kDaにより希釈した。このように、上記のトリチウム標識サンプルに、非標識mPEGアミン10kDa(2.0g)を追加し、結果として生じる混合物を、DCM(6mL)中に溶解した。希釈したPEGアミンを、IPA(150mL、BHT 100ppmを含有)及びジエチルエーテル(150mL)の追加によって、溶液から沈殿させ、次いで、濾過した。沈殿物を、ジエチルエーテル(BHT 100ppmを含有)により洗浄し、真空下で乾燥させた(約30分);収量3.0g、比放射能:6.7Ci/ミリモル。
【0159】
3H-C2-PEG2-FMOC-OH 20kDaの調製
標識mPEGアミン(3H-mPEG-NH2 10kDa)(3.0g)及びHOBt水和物(46mg、0.28ミリモル、2.1当量)を、DCM(10mL)及びトルエン(10mL)中に溶解した。溶媒を、25℃で真空中で除去し、残留物を、約20分間、窒素流下で乾燥させた。別のフラスコにおいて、C2-FMOC-OHコア(38.7mg、0.135ミリモル、1.0当量)を、anh DMF(2.2mL)中に溶解した。次に、溶媒を、50℃で真空中で除去した。乾燥させたC2-FMOC-OHコア材料を、anh DMF中に溶解し、mPEGアミン含有HOBt溶液に移動させた(2.2mL溶解、1.0mL移動)。DCC(86.0mg、0.42ミリモル、3.1当量)を追加し、混合物を、室温で一晩撹拌した。粗産物を、IPA(120mL)により単離し、濾過し、ジエチルエーテル(40mL)によりすすぎ、真空下で乾燥させた。次に、それを、脱イオン水(120mL)中に溶解し、溶液を、さらに180mLの脱イオン水により希釈した。溶液のpHを、1M NaOHによりpH9.7に調整した。未反応の標識mPEG-NH2(10,000Da)のクロマトグラフィーによる除去を、溶離剤として水を使用し、POROS HS50媒質(40mL)で実行した。中性のPEGを含有する画分を、収集し、DEAE Sepharose媒質(30mL)を通しての濾過によってさらに精製した。ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)溶液及び塩化ナトリウム(170g)を追加し、pHを、1M NaOHにより7.50に調整した。産物を、DCM(合計120ml)により抽出した。抽出物を、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、濾過し、IPA及びジエチルエーテルを追加した。沈殿させた産物を、真空下で乾燥させた。収量1.53g、比放射能:11.6Ci/ミリモル。
【0160】
活性カーボネート3H-C2-PEG2-FMOC-NHS 20kDaの調製.
標識中間体3H-C2-PEG2-FMOC-OH 20kDaを、実施例3において記載されるように、活性ベンゾトリアゾリルカーボネート(3H-C2-PEG2-FMOC-BTC)カーボネートへの活性化及び次いでNHSによる置き換えによって、3H-C2-PEG2-FMOC-NHS 20kDaに変換した。標識3H-C2-PEG2-FMOC-NHS 20kDaの産物の収量は、1.24gであった。グリシンコンジュゲートのHPLCにより86%の活性NHS。1H-NMR(CD2Cl2;300MHz):δ(ppm)8.0,7.9(d,d,Ar);8.0(s,Ar);4.7(d,CH2);4.5(t,CH);4.3(m,CH2);3.6(s,PEG骨格);3.3(s,-OCH3);2.9(s,CH2).比放射能は、11.8Ci/ミリモルであった。GFC:3.1%高MW、90.1%産物、6.8%LMW。
【0161】
実施例6
グリシンコンジュゲートの遊離速度
モデル薬コンジュゲートの遊離速度の測定のために、グリシンコンジュゲートを、実施例1の手順を使用して、G2、Br-G2、及びC2 PEG2-FMOC 20K NHS試薬から調製した。新しい構造の結果を、表2において、以前に記載される構造と比較する。
【0162】
37℃及びpH7.4でのG2-PEG2-FMOC-20K-グリシンカルバメートコンジュゲートについての遊離データ:15日間(1回の実験)は、以前に報告された値(Bentley et al、米国特許第8,252,275号明細書)と一致する。
【0163】
37℃及びpH7.4でのBr-G2-PEG2-FMOC-20K-グリシンカルバメートコンジュゲートについての遊離データ:2.3日(1回の実験)。
【0164】
37℃及びpH7.4でのC2-PEG2-FMOC-20K-グリシンカルバメートコンジュゲートについての遊離データ:1.0±0.06日(二重反復実験)。
【0165】
【0166】
実施例7
C2-PEG2-FMOC-NHS-20KDA中のフルベン含有量の検出
C2-PEG2-FMOC-NHS-20kDaの様々なロットを、一般に米国特許第8,252,275号明細書において記載されるように調製した。様々なロットを、HPLCによってC2-PEG2-フルベン含有量について分析した。
【0167】
【0168】
実施例8
3-メルカプトプロピオン酸とのC2-PEG2-フルベンの反応、その後のクロマトグラフィーによる精製によるPEGフルベン不純物の除去
【化42】
撹拌丸底フラスコにおいて、2,7-C2-PEG2-FMOC-OH 20K及び2,7-C2-PEG2-フルベン20K(25mg)の90:10の混合物を、後者は、Culbertson et al(米国特許第8,905,235号明細書)によって記載されるように調製した、10mM 3-メルカプトプロピオン酸(pH6.8)を含有する50mM HEPESのバッファー溶液中に溶解し、反応を2時間進行させた。反応混合物は、次いで、DEAE Sepharose FFカラムを使用し、結果として生ずる2,7-C2-FMOC-酸のクロマトグラフィーによる除去にかけた。産物の逆相HPLC分析(Waters 2695 HPLCシステム、C4カラム、10mM K
2HPO
4-THF勾配、外界温度、0.5mL/分の流速、及びUV検出(300nm))は、精製された2,7-C2-PEG2-FMOC-OH 20kが、微量に過ぎないが、検出可能な量の2,7-C2-FMOC-フルベン20K(約0.2重量%)を含有したことを示した。精製産物は、2,7-C2-FMOC-酸20Kを含有しなかった。
【0169】
本実施例は、9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーからフルベン不純物を除去するための、さらにもう1つの方法を例証するものである。このアプローチにおいて、不純物であるフルベンは、典型的な二機能性反応物、チオール-カルボン酸、この例では、3-メルカプトプロピオン酸との反応によって、9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマー(すなわち、本明細書において記載される典型的な9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーのいずれか)から除去される。反応物は、フルベン二重結合(9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーではない)との選択的な反応のためのチオール基及び結果として生ずる2,7-C2-FMOC-酸反応産物のクロマトグラフィーによる、たとえばイオン交換クロマトグラフィーによる除去を容易にするためのカルボン酸基を含む。この方法において使用するのに適した反応物は、たとえば、C1-C10メルカプトアルカン酸、たとえばHS(CH2)1~9C(O)OHを含む。フルベン形成は、多くのFMOC種のいずれか、たとえば9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーなどの形成の間に並びに対応するエステル及びその他同種のものの形成の間に生じ得るが、このアプローチは、BTC及びNHSエステルなどのような、加水分解に対して感受性であるFMOC試薬に適用可能ではない。
【0170】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
反応性高分子試薬を調製するための方法であって:
(i)構造(I)を有する水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを:
【化43】
ここで、POLY
a
は、第1の水溶性非ペプチド性ポリマーである;
POLY
b
は、第2の水溶性非ペプチド性ポリマーである;
R
e1
は、存在する場合、第1の電子変化基である;及び
R
e2
は、存在する場合、第2の電子変化基である;
L
1
は、第1の連結成分である;及び
L
2
は、第2の連結成分である;
無水条件下で、塩基の存在下において、非プロトン有機溶媒中で、ジベンゾトリアゾリルカーボネートと反応させて、次の構造を有する水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを含む反応混合物をもたらすこと:
【化44】
ここで、POLY
a
、POLY
b
、R
e1
、R
e2
、L
1
、及びL
2
は、それぞれ、ステップ(i)において記載される意味を有する、並びに
(ii)前記水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーの沈殿を促進するのに有効な無水溶媒による沈殿によって、前記水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマー(II)を回収することを含む、方法。
(項2)
ステップ(i)は、構造(I)の前記水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを、約1~約30当量のジベンゾトリアゾリルカーボネートと反応させることを含む、上記項1に記載の方法。
(項3)
前記塩基は、アミンである、上記項1又は上記項2に記載の方法。
(項4)
前記塩基は、非求核アミンである又はわずかに求核性のアミンである、上記項3に記載の方法。
(項5)
前記塩基は、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、N,N,2,6-テトラメチルピリジン-4-アミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサメチルジア
ミン、N,N’,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチレンテトラミン、及び前述のもののいずれかの不溶性ポリマー結合形態からなる群から選択される、上記項3又は上記項4に記載の方法。
(項6)
ステップ(i)は、約1~約30当量の塩基を含む、上記項1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項7)
ステップ(i)は、約1~約10当量の塩基を含む、上記項6に記載の方法。
(項8)
ステップ(i)は、乾燥及び不活性ガス雰囲気下で実行される、上記項1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項9)
ステップ(i)は、機械的撹拌をしながら実行される、上記項1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項10)
前記反応ステップは、約-20℃~約35℃の範囲の温度で実行される、上記項1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項11)
前記反応ステップは、約-10℃~約25℃の範囲の温度で実行される、上記項10に記載の方法。
(項12)
前記反応ステップは、約-5℃~約10℃の範囲の温度で実行される、上記項10に記載の方法。
(項13)
ステップ(i)の前記水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、無水非プロトン有機溶媒中に溶解される、上記項1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項14)
ステップ(ii)において、沈殿を促進するのに有効な前記無水溶媒は、酸をさらに含む、上記項1~13のいずれか一項に記載の方法。
(項15)
前記水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーの沈殿を促進するのに有効な前記無水溶媒は、約0.0001~約0.5モルパーセントの酸を含む、上記項14に記載の方法。
(項16)
前記酸は、酢酸、リン酸、クエン酸、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、硫酸、メタ-ニトロ安息香酸、トリフルオロ酢酸、及びトリクロロ酢酸、p-トルエンスルホン酸からなる群から選択される、上記項14又は15に記載の方法。
(項17)
前記酸は、酢酸、クエン酸、及びリン酸から選択される、上記項16に記載の方法。
(項18)
前記酸は、リン酸である、上記項17に記載の方法。
(項19)
前記反応ステップの前に、前記非プロトン有機溶媒中に構造(I)の前記水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを溶解して、ポリマー溶液を形成すること及び共沸蒸留によって前記ポリマー溶液を乾燥させて、500ppm未満の含水量を有するポリマー溶液をもたらすことをさらに含む、上記項1~18のいずれか一項に記載の方法。
(項20)
ステップ(ii)の前記回収された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーは、10モルパーセント未満の水溶性フルベンポリマーを含む、上記項1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項21)
ステップ(i)における前記ジベンゾトリアゾリルカーボネートは、ハロゲン化溶媒中にある、上記項1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項22)
前記ハロゲン化溶媒は、ジクロロメタン又はトリクロロエチレンである塩化溶媒である、上記項21に記載の方法。
(項23)
ステップ(i)の前記非プロトン有機溶媒は、ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、及びテトラヒドロフランから選択される、上記項1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項24)
前記回収ステップは、ステップ(i)の前記反応混合物を濾過して、固体を除去して、前記水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを含む溶液をもたらすこと、続いて、前記溶液から前記水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを沈殿させるのに有効な量の無水溶媒を追加することを含む、上記項14~22のいずれか一項に記載の方法。
(項25)
前記回収された沈殿した水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを濾過によって単離することをさらに含む、上記項1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項26)
ステップ(ii)の前記無水溶媒は、ステップ(i)の前記非プロトン有機溶媒と混和性であり、前記水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーが実質的に不溶性である溶媒である、上記項1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項27)
前記水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーの沈殿を促進するのに有効な前記無水溶媒は、ジエチルエーテル、イソプロピルアルコール、メチル-t-ブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及び前述のものの混合物から選択される、上記項1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項28)
前記回収された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを、前記水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーが実質的に不溶性である無水溶媒により洗浄することをさらに含み、前記溶媒は、約0.0001~約0.5モルパーセントの酸を含む、上記項1~27のいずれか一項に記載の方法。
(項29)
(iii)前記回収された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを精製することをさらに含む、上記項1~28のいずれか一項に記載の方法。
(項30)
前記回収された又は精製された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを、異なる反応性カーボネートに変換することを含む、上記項1~29のいずれか一項に記載の方法。
(項31)
前記異なる反応性カーボネートは、水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーである、上記項30に記載の方法。
(項32)
前記変換反応は、前記回収された又は精製された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーを、ジクロロメタン中でN-ヒドロキシスクシンイミドと反応させることによって実行される、上記項31に記載の方法。
(項33)
前記変換反応は、ジメチルアミノピリジンの存在下において実行される、上記項32に
記載の方法。
(項34)
POLY
a
及びPOLY
b
のそれぞれは、ポリエチレングリコールである、上記項1~33のいずれか一項に記載の方法。
(項35)
それぞれのPOLY
a
及びPOLY
b
は、約120ダルトン~約100,000ダルトン又は約250ダルトン~約60,000ダルトン又は約5,000ダルトン~約25,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリエチレングリコールである、上記項34に記載の方法。
(項36)
それぞれのPOLY
a
及びPOLY
b
は、約250ダルトン~約60,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリエチレングリコールである、上記項35に記載の方法。
(項37)
構造(I)の前記水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、次の構造を有し:
【化45】
ここで、それぞれのnは、独立して、約3~約2273又は約4~約1363又は約3~約136又は約136~約1818又は約113~約568又は約227~約568の範囲にわたり;構造(II)の前記水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマーは、次の構造を有する:
【化46】
上記項1~36のいずれか一項に記載の方法。
(項38)
N-ヒドロキシルスクシンイミジル炭酸エステル活性化高分子試薬を調製するための方法であって:
(i)次の構造を有する水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーを:
【化47】
ここで、POLY
a
は、第1の水溶性非ペプチド性ポリマーである;
POLY
b
は、第2の水溶性非ペプチド性ポリマーである;
R
e1
は、存在する場合、第1の電子変化基である;
R
e2
は、存在する場合、第2の電子変化基である;
L
1
は、第1の連結成分である;
L
2
は、第2の連結成分である;
R
e1
は、存在しても存在しなくてもよく、第1の電子変化基である;及び
R
e2
は、存在しても存在しなくてもよく、第2の電子変化基である;
塩基の存在下において、無水非プロトン有機溶媒中で、約1~20当量のジスクシンイミジルカーボネートと反応させて、次の構造を有する水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを含む反応混合物をもたらすこと:
【化48】
ここで、POLY
a
、POLY
b
、R
e1
、R
e2
、L
1
、及びL
2
は、それぞれ、ステップ(i)において記載される意味を有する;
並びに
(ii)前記反応混合物から構造(III)の前記水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを回収することを含む方法。
(項39)
反応ステップ(i)の前に、前記水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、前記無水非プロトン有機溶媒中に溶解されて、ポリマー溶液をもたらし、続いて、前記ポリマー溶液を乾燥させて、存在し得る水を除去して、500ppm未満の含水量を有する乾燥ポリマー溶液をもたらす、上記項38に記載の方法。
(項40)
前記乾燥は、200ppm未満又は100ppm未満の含水量を有する乾燥ポリマー溶液に達するまで、反復させる、上記項39に記載の方法。
(項41)
前記乾燥ステップは、前記ポリマー溶液を共沸蒸留することを含む、上記項39又は40に記載の方法。
(項42)
前記乾燥は、前記ポリマー溶液の前記含水量が一定の状態を維持するようになるまで、反復させる、上記項39~41のいずれか一項に記載の方法。
(項43)
前記塩基は、非求核又はわずかに求核性のアミンである、上記項38~42のいずれか一項に記載の方法。
(項44)
前記塩基は、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、N-メチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、N,N,2,6-テトラメチルピリジン-4-アミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサメチルジアミン、N,N’,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチレンテトラミン、及び前述のもののいずれかの不溶性ポリマー結合形態からなる群から選択される、上記項43に記載の方法。
(項45)
ステップ(i)は、約1~約15当量の塩基を含む、上記項38~44のいずれか一項に記載の方法。
(項46)
ステップ(i)は、約3~約10当量の塩基を含む、上記項45に記載の方法。
(項47)
ステップ(i)は、乾燥及び不活性雰囲気下で実行される、上記項38~46のいずれか一項に記載の方法。
(項48)
前記反応ステップ(i)は、温度を約0~約30℃に維持しながら、前記無水非プロトン有機溶媒中の前記水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーの溶液に前記ジスクシンイミジルカーボネートを追加することを含む、上記項38~47のいずれか一項に記載の方法。
(項49)
前記反応ステップ(i)は、前記追加ステップの後に、前記反応混合物の前記温度を約7.5~約18℃の間に調整し、続いて、塩基を追加することをさらに含む、上記項48に記載の方法。
(項50)
ステップ(i)は、混合しながら実行される、上記項38~49のいずれか一項に記載の方法。
(項51)
前記混合の間に、前記反応混合物の前記温度は、約3℃~約21℃の間の範囲に維持される、上記項50に記載の方法。
(項52)
前記回収ステップの前に、前記塩基を中和するのに有効な量でステップ(i)の前記反応混合物に酸を追加することをさらに含む、上記項38~51のいずれか一項に記載の方法。
(項53)
前記酸は、酢酸、リン酸、クエン酸、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、硫酸、メタ-ニトロ安息香酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、及びトリクロロ酢酸からなる群から選択される、上記項52に記載の方法。
(項54)
前記酸は、酢酸、クエン酸、及びリン酸から選択される、上記項53に記載の方法。
(項55)
前記回収された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーは、15モルパーセント以下の水溶性フルベンポリマーを含む、上記項38~54のいずれか一項に記載の方法。
(項56)
前記回収ステップ(ii)は、(ii-a)前記反応混合物を濾過して、固体を除去し、溶液をもたらすこと、続いて、(ii-b)前記溶液から前記水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを沈殿させることを含む、上記項38~55のいずれか一項に記載の方法。
(項57)
前記沈殿ステップは、前記水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーが、実質的に不溶性である無水沈殿用溶媒の追加を含む、上記項56に記載の方法。
(項58)
前記沈殿用溶媒は、その凝固点を上回り且つ室温を下回る温度をしている、上記項57に記載の方法。
(項59)
前記沈殿用溶媒は、いかなる残りの塩基をも本質的に中和するのに十分な少量の酸を含む、上記項57又は上記項58に記載の方法。
(項60)
前記沈殿用溶媒は、ジエチルエーテル、イソプロピルアルコール、メチルt-ブチルエーテル、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及び前述のものの混合物から選択される、上記項57、58、又は59のいずれか一項に記載の方法。
(項61)
前記回収された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを、酸性化された沈殿用溶媒により洗浄することをさらに含む、上記項38~60のいずれか一項に記載の方法。
(項62)
(iv)前記回収された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを精製することをさらに含む、上記項38~61のいずれか一項に記載の方法。
(項63)
前記回収された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマー中の水溶性フルベンポリマーを検出することをさらに含み、前記精製ステップ(iv)は、前記回収された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを溶媒中に溶解して、溶液をもたらすこと、前記溶液をチオール含有樹脂に通過させて、いかなる水溶性フルベンポリマーをも除去して、それによって、精製した溶液をもたらすこと、及び前記精製された溶液から溶媒を除去して、精製された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーを回収することを含む、上記項62に記載の方法。
(項64)
ステップ(i)の前記水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、次の構造を有し:
【化49】
ここで、それぞれのnは、独立して、約3~約2273又は約4~約1363又は約3~約136又は約136~約1818又は約113~約568又は約227~約568である、上記項1~63のいずれか一項に記載の方法。
(項65)
ステップ(i)の前記水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、次の構造を有し:
【化50】
ここで、それぞれのnは、独立して、約3~約2273又は約4~約1363又は約3~約136又は約136~約1818又は約113~約568又は約227~約568である、上記項1~63のいずれか一項に記載の方法。
(項66)
ステップ(i)の前記水溶性9-ヒドロキシメチルフルオレンポリマーは、次の構造を
有し:
【化51】
ここで、それぞれのnは、独立して、約3~約227である、上記項1~63のいずれか一項に記載の方法。
(項67)
R
e1
及び/又はR
e2
は、それぞれ独立して、ハロ、ニトロ、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、及び-SO
3
Hから選択される、上記項65又は66に記載の方法。
(項68)
L
1
及びL
2
は、それぞれ独立して、1~25原子の長さを有する、上記項65、66、又は67のいずれか一項に記載の方法。
(項69)
R
e1
及びR
e2
の両方は、同じ芳香環上に位置する、上記項65に記載の方法。
(項70)
R
e1
及びR
e2
は、異なる芳香環上に位置する、上記項65に記載の方法。
(項71)
L
1
及びL
2
は、それぞれ独立して、-(CH
2
)
1~6
C(O)NH-及び-NH-C(O)、NH-C(O)-(CH
2
)
1~6
C(O)NH-からなる群から選択される、上記項64~70のいずれか一項に記載の方法。
(項72)
L
1
及びL
2
は、それぞれ独立して、-(CH
2
)C(O)NH-、-(CH
2
)
3
C(O)NH-、-NH-C(O)、及びNH-C(O)-(CH
2
)
3
C(O)NH-からなる群から選択される、上記項71に記載の方法。
(項73)
構造(I)におけるそれぞれのポリエチレングリコールの重量平均分子量は、ほぼ同じである(たとえば、それぞれの「n」は、ほぼ同じである)、上記項64~72のいずれか一項に記載の方法。
(項74)
構造(I)におけるそれぞれのポリエチレングリコールは、約120ダルトン~約6,000ダルトンの範囲にわたる重量平均分子量を有する、上記項73に記載の方法。
(項75)
構造(I)におけるそれぞれのポリエチレングリコールは、約6,000ダルトン~約80,000ダルトンの範囲にわたる重量平均分子量を有する、上記項73に記載の方法。
(項76)
構造(I)におけるそれぞれのポリエチレングリコールは、約5,000ダルトン、7500ダルトン、10,000ダルトン、15,000ダルトン、20,000ダルトン、30,000ダルトン、及び40,000ダルトンからなる群から選択される重量平均分子量を有する、上記項73に記載の方法。
(項77)
構造(I)及び(II)において、L1は、フルオレン炭素-5に付加され、L2は、フルオレン炭素-2に付加される、上記項64~76のいずれか一項に記載の方法。
(項78)
構造(I)及び(II)において、L1は、フルオレン炭素-7に付加され、L2は、フルオレン炭素-2に付加される、上記項64~76のいずれか一項に記載の方法。
(項79)
構造(I)は、次のものからなる群から選択される上記項64~76のいずれか一項に記載の方法:
【化52】
(項80)
前記回収された又は精製された水溶性9-メチルベンゾトリアゾリルカーボネートフルオレンポリマー又は他の反応性カーボネートをアミン含有生物学的活性剤と反応させることをさらに含む、上記項1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項81)
前記回収された又は精製された水溶性9-メチルN-ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートフルオレンポリマーをアミン含有生物学的活性剤と反応させることをさらに含む、上記項38~79のいずれか一項に記載の方法。