(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155955
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20241024BHJP
H01R 13/56 20060101ALI20241024BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60R16/02 621A
B60R16/02 610A
H01R13/56
H05K5/02 L
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024135071
(22)【出願日】2024-08-13
(62)【分割の表示】P 2020104748の分割
【原出願日】2020-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】井口 正晴
(72)【発明者】
【氏名】岡田 雄介
(57)【要約】
【課題】電気機器が車室又は荷室内に配置され、車両が後突されることによって車載機器が電気機器に接近する場合に、車載機器の衝突からコネクタを保護するコネクタの保護装置を提供する。
【解決手段】コネクタの保護装置は、車両に搭載される電気機器の車両前後方向に沿う側面から車両幅方向に突出するコネクタの保護装置であって、前記コネクタから車両前後方向後方に離隔するとともに、車両幅方向において前記電気機器の前記側面から前記コネクタよりも突出する面部を前記コネクタよりも高い位置に有するプロテクタを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電気機器の車両前後方向に沿う側面から車両幅方向に突出するコネクタの保護装置であって、
前記コネクタから車両前後方向後方に離隔するとともに、車両幅方向において前記電気機器の前記側面から前記コネクタよりも突出する面部を前記コネクタよりも高い位置に有するプロテクタを備える、コネクタの保護装置。
【請求項2】
前記面部は、前記電気機器の前記側面から車両幅方向に延びる上板部の上面に設けられ、
前記上板部は、車両前後方向後方側となる領域の先端が基端よりも狭くなるように、車両前後方向後方となる領域が抉られた湾曲形状を有する、
請求項1に記載のコネクタの保護装置。
【請求項3】
前記プロテクタは、前記面部の車両前後方向前方となる前縁から車両上下方向下方に前記コネクタよりも低い位置まで延びて基端が前記電気機器の前記側面に当接する側板部を有する、
請求項1又は2に記載のコネクタの保護装置。
【請求項4】
前記プロテクタは、前記側板部の車両上下方向下方となる下縁から車両前後方向前方に延びて基端が前記電気機器の前記側面に当接する下板部を有する、
請求項3に記載のコネクタの保護装置。
【請求項5】
前記プロテクタは、
前記電気機器の前記側面から車両幅方向に突出する突起に固定される、
請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタの保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタの保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コネクタの保護装置が開示されている。かかるコネクタの保護装置は、電気機器のケースの一面から突出するコネクタ部をプロテクタの傾斜面で保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電気機器は、車両のエンジンコンパートメント内に配置され、所定方向からの車両衝突時の衝撃による電気機器の移動によりコネクタの側面が車両機器に衝突し得るものであって、電気機器が車室内又は荷室内に配置され、車両が後突されることによって車載機器が電気機器に接近する場合に、車載機器の衝突からコネクタを保護するものではない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の実施形態は、電気機器が車室又は荷室内に配置され、車両が後突されることによって車載機器が電気機器に接近する場合に、車載機器の衝突からコネクタを保護するコネクタの保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るコネクタの保護装置は、車両に搭載される電気機器の車両前後方向に沿う側面から車両幅方向に突出するコネクタの保護装置であって、前記コネクタから車両前後方向後方に離隔するとともに、車両幅方向において前記電気機器の前記側面から前記コネクタよりも突出する面部を前記コネクタよりも高い位置に有するプロテクタを備える。
【0007】
上記の構成によれば、車両が後突されることによって車載機器が電気機器に接近しても、車載機器はプロテクタの面部に衝突するので、車載機器の衝突からコネクタを保護できる。
【0008】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記面部は、前記電気機器の前記側面から車両幅方向に延びる上板部の上面に設けられ、前記上板部は、車両前後方向後方側となる領域の先端が基端よりも狭くなるように、車両前後方向後方となる領域が抉られた湾曲形状を有する。
【0009】
上記の構成によれば、面部が設けられる上板部は、車両前後方向後側となる領域の先端が基端よりも狭くなるように車両前後方向後方となる領域が抉られた湾曲形状を有するので、車載機器がプロテクタに衝突した場合に上板部の潰れ残りを少なくできる。
【0010】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記プロテクタは、前記面部の車両前後方向前方となる前縁から車両上下方向下方に前記コネクタよりも低い位置まで延びて基端が前記電気機器の前記側面に当接する側板部を有する。
【0011】
上記の構成によれば、面部は、側板部に支持され、車両上下方向上方からの力が側板部を通り電気機器のコネクタが設けられた側面で受け止められるので、プロテクタの面部が車両上下方向下方に変形するのを抑制できる。
【0012】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記プロテクタは、前記側板部の車両上下方向下方となる下縁から車両前後方向前方に延びて基端が前記電気機器の前記側面に当接する下板部を有する。
【0013】
上記の構成によれば、車両前後方向後方からの力が下板部を通り電気機器のコネクタが設けられた側面で受け止められるので、プロテクタが車両前後方向前方に変形するのを抑制できる。
【0014】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記プロテクタは、前記電気機器の前記側面から車両幅方向に突出する突起に固定される。
【0015】
上記の構成によれば、プロテクタは、電気機器の車両前後方向に沿う側面から車両幅方向に突出する突起に固定されるので、車両が後突された場合でもプロテクタとコネクタと間隔が維持され、プロテクタがコネクタを保護できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、車両が後突されることによって車載機器が電気機器に接近する場合に、車載機器の衝突からコネクタを保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】電気機器が車室内に搭載された電動車両の要部を示す図である。
【
図2】コネクタとコネクタの保護装置とを示す図である。
【
図3】
図2に示したプロテクタの詳細を示す斜視図である。
【
図4】車両が後突され、車載機器が電気機器に接近した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0019】
図1は、電気機器2が車室内に搭載された電動車両1の要部を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る保護装置5が保護するコネクタ3は、電動車両1の車室を兼用する荷室に設置される電気機器2の車両前後方向に沿う側面2Aに設けられ、該側面2Aから車両幅方向に突出している。電動車両1の車室を兼用する荷室には、電気機器2のほかに三列目シート7、スピーカ(図示せず)等の車載機器が設置され、本発明の実施形態に係るコネクタ3の保護装置5は、電動車両1が後突されることによって車載機器が電気機器2に接近する場合に、車載機器の衝突からコネクタ3を保護する。
【0020】
車室を兼用する荷室に電気機器2が設置される電動車両1は、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)であって、電気機器2は、例えば、PHEVシステムのコンポーネントであり、カバー4によって覆われて保護される。コネクタ3は、例えば、高電圧の電気が通電する電気コネクタであって、例えば、電気機器2に接続される金属端子のまわりが合成樹脂で固められ、直方体形状に形成されている。
【0021】
図2は、コネクタ3とコネクタ3の保護装置5とを示す図である。
図2に示すように、コネクタ3の保護装置5は、車載機器の衝突からコネクタ3を保護するプロテクタ6を備える。プロテクタ6は、電気機器2の側面2Aに設けられた突起(図示せず)に固定される。突起が設けられる側面2Aはコネクタ3が設けられた側面2Aであって、突起はコネクタ3から車両前後方向後方に離隔し、コネクタ3よりも高い位置に設けられている。また、突起は、車両幅方向及び車両前後方向に水平であって、車両上下方向上方から視た場合に矩形であり、その中央に車両上下方向に貫通する取付穴(図示せず)が一つ設けられている。
【0022】
図3は、
図2に示したプロテクタ6の詳細を示す斜視図である。
図3に示すように、プロテクタ6は一枚の鋼板を折り曲げて形成される。プロテクタ6は、上板部61、側板部62及び下板部63に分けられる。
【0023】
上板部61は、プロテクタ6を突起に固定するための部分であり、突起に重なるように平坦な下面を有している。また、上板部61は、突起に設けられた取付穴と重なる位置に雌ネジ611aが形成されたボス611が設けられ、突起に設けられた取付穴を貫通した雄ネジ(図示せず)が雌ネジ611aに嵌め合わされて突起にプロテクタ6が固定される。上板部61は、突起にプロテクタ6が固定された場合に、コネクタ3から車両前後方向後方に離隔するとともにコネクタ3よりも高い位置に設けられ、車両幅方向において電気機器2の側面2Aからコネクタ3よりも突出する(
図2参照)。これにより、上板部61の上面は車両が後突されることによって電気機器2に接近する車載機器の面部6Aとなる。よって、プロテクタ6の面部6Aは、コネクタ3から車両前後方向後方に離隔するとともにコネクタ3よりも高い位置に設けられ、車両幅方向において電気機器2の側面2Aからコネクタ3よりも突出する。
【0024】
また、上板部61は、突起にプロテクタ6が固定された場合に、車両前後方向後方となる領域の先端が基端よりも狭くなるように、車両前後方向後方となる領域が抉られた湾曲形状61aを有する。上板部61は、湾曲形状61aに沿って先端から基端に向けて一段下がった段部61bを有する。段部61bは、例えば、プレスによって形成される。
【0025】
側板部62は、コネクタ3の車両前後方向後方側の側面を保護する部分である。側板部62は、突起にプロテクタ6が固定された場合に、面部6A(上板部61の上面)の車両前後方向前方側となる前縁から車両上下方向下方にコネクタ3よりも低い位置まで延びて基端62aが電気機器2の側面2Aに当接する。これにより、側板部62は、突起にプロテクタ6が固定された場合に、コネクタ3から車両前後方向に離隔するとともにコネクタ3よりも高い位置から低い位置に延びて、車両幅方向において電気機器2の側面2Aからコネクタ3よりも突出する(
図3参照)。
【0026】
下板部63は、突起にプロテクタ6が固定された場合に、側板部62の車両上下方向下方となる下縁から車両前後方向前方に延びて基端63aが電気機器2の側面2Aに当接する。下板部63は、突起にプロテクタ6が固定された場合に、車両前後方向となる領域の先端が基端よりも狭くなるように、斜めに延びる形状63bを有する。
【0027】
図4は、車両が後突され、車載機器が電気機器2に接近した状態を示す図である。
図4に示すように、上述した本発明の実施形態に係るコネクタ3の保護装置5は、コネクタ3から車両前後方向後方に離隔するとともに、車両幅方向において電気機器2の側面2Aからコネクタ3よりも突出する面部6Aをコネクタ3よりも高い位置に有するプロテクタ6を備えるので、車両が後突されることによって三列目シート7等の車載機器が電気機器2に接近しても、車載機器はプロテクタ6の面部6Aに衝突するので、車載機器の衝突からコネクタ3を保護できる。
【0028】
また、面部6Aが設けられる上板部61は、車両前後方向後方側となる領域の先端が基端よりも狭くなるように車両前後方向後方となる領域が抉られた湾曲形状61aを有するので、車載機器がプロテクタ6に衝突した場合に上板部61の潰れ残りを少なくできる。
【0029】
また、面部6Aは、側板部62に支持され、車両上下方向上方からの力が側板部62を通り電気機器2の側面2Aで受け止められるので、プロテクタ6の面部6Aが車両上下方向に変形するのを抑制できる。
【0030】
また、側板部62の車両上下方向下方となる下縁から車両前後方向前方に延びて基端が電気機器2の側面2Aに当接する下板部63を有するので、車両前後方向後方からの力が下板部63を通り電気機器2の側面2Aで受け止められるので、プロテクタ6が車両前後方向前方に変形するのを抑制できる。
【0031】
また、プロテクタ6は、電気機器2の側面2Aから車両幅方向に突出する突起に固定されるので、電気機器2の車両前後方向に沿う側面2Aから車両幅方向に突出する突起に固定されるので、車両が後突された場合でもプロテクタ6とコネクタ3と間隔が維持され、プロテクタ6がコネクタ3を保護できる。
【0032】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0033】
1 電動車両
2 電気機器
2A 側面
3 コネクタ
4 カバー
5 保護装置
6 プロテクタ
6A 面部
61 上板部
611 ボス
61a 湾曲形状
61b 段部
62 側板部
62a 基端
63 下板部
63a 基端
63b 斜めに延びる形状
7 三列目シート(車載機器)
【手続補正書】
【提出日】2024-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載機器の車両前後方向前方に配置される電気機器であって、
前記電気機器の車両前後方向に沿う側面から車両幅方向に突出するコネクタと、
前記コネクタから車両前後方向後方に離隔するとともに、車両幅方向において前記電気機器の前記側面から前記コネクタよりも突出するプロテクタと、
を備え、
前記プロテクタは、前記車両が後突されることによって前記車載機器が接近する面部を有し、
前記面部は、前記プロテクタの上面を構成し、前記面部の全てが前記コネクタよりも高い位置に位置する、電気機器。
【請求項2】
前記面部は、前記電気機器の前記側面から車両幅方向に延びる上板部の上面に設けられ、
前記上板部は、車両前後方向後方側となる領域の先端が基端よりも狭くなるように、車両前後方向後方となる領域が抉られた湾曲形状を有する、
請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記プロテクタは、前記面部の車両前後方向前方となる前縁から車両上下方向下方に前記コネクタよりも低い位置まで延びる側板部を有し、前記側板部の基端が前記電気機器の前記側面に当接する側板部を有する、
請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記プロテクタは、前記側板部の車両上下方向下方となる下縁から車両前後方向前方に延びる下板部を有し、前記下板部の基端が前記電気機器の前記側面に当接する下板部を有する、
請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記プロテクタは、前記電気機器の前記側面から車両幅方向に突出する突起に固定される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気機器。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、電気機器に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
特許文献1には、電気機器の保護装置が開示されている。かかる電気機器の保護装置は、電気機器のケースの一面から突出するコネクタ部をプロテクタの傾斜面で保護する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の実施形態は、電気機器が車室又は荷室内に配置され、車両が後突されることによって車載機器が電気機器に接近する場合に、車載機器の衝突からコネクタを保護する電気機器を提供することを目的とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の実施形態に係る電気機器は、車両に搭載される車載機器の車両前後方向前方に配置される電気機器であって、前記電気機器の車両前後方向に沿う側面から車両幅方向に突出するコネクタと、前記コネクタから車両前後方向後方に離隔するとともに、車両幅方向において前記電気機器の前記側面から前記コネクタよりも突出するプロテクタと、を備え、前記プロテクタは、前記車両が後突されることによって前記車載機器が接近する面部を有し、前記面部は、前記プロテクタの上面を構成し、前記面部の全てが前記コネクタよりも高い位置に位置する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記プロテクタは、前記面部の車両前後方向前方となる前縁から車両上下方向下方に前記コネクタよりも低い位置まで延びる側板部を有し、前記側板部の基端が前記電気機器の前記側面に当接する側板部を有する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記プロテクタは、前記側板部の車両上下方向下方となる下縁から車両前後方向前方に延びる下板部を有し、前記下板部の基端が前記電気機器の前記側面に当接する下板部を有する。