(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015596
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】鋼板の枚葉吊り上げ装置
(51)【国際特許分類】
B66C 1/42 20060101AFI20240130BHJP
B66C 1/28 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B66C1/42 B
B66C1/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117755
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】517366655
【氏名又は名称】コリンテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優子
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA02
3F004AB14
3F004AD01
3F004EA01
(57)【要約】
【課題】積層されている鋼板を、鋼板の両側端面を挟持するキャッチと、鋼板の下面を支持するクランプにより一枚づつ吊り上げることができるようにした構成が簡単な鋼板の枚葉吊り上げ装置を提供する。
【解決手段】フレーム本体1に、鋼板の幅に合わせた間隔をあけて、キャッチ軸5とクランプ軸6を設ける。キャッチ軸5には駆動キャッチ7と従動クランプ8を装着し、クランプ軸6には従動キャッチ16と駆動クランプ17を装着する。キャッチ軸5をキャッチモータ25で駆動して駆動キャッチ7を回動し、クランプ軸6をクランプモータ26で駆動して駆動クランプ17を回動する。従動キャッチ16と従動クランプ8は、それぞれ駆動キャッチ7と駆動クランプ17に従動して逆方向に回動するようそれぞれ連結リンク33,34で連結されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り上げる鋼板の長手方向に沿う形状のフレーム本体と、該フレーム本体の長手方向に沿って延びかつ上記鋼板の幅に対応する間隔を開けて並列して設けられたキャッチ軸及びクランプ軸と、該キャッチ軸の長手方向の少なくとも前後に装着され鋼板の側方端面を挟着する複数の駆動キャッチ及び鋼板の下面を支持する複数の従動クランプと、上記クランプ軸の長手方向の少なくとも前後に装着され鋼板の端面を挟着する複数の従動キャッチ及び鋼板の下面を支持する複数の駆動クランプと、上記キャッチ軸を駆動するようフレーム本体に設けたキャッチモータと、上記クランプ軸を駆動するようフレーム本体に設けたクランプモータを具備し、上記駆動キャッチはキャッチモータの駆動により回動するようキャッチ軸に固定され、上記クランプ軸に装着した従動キャッチは該駆動キャッチに従動して逆方向に回動するよう該駆動キャッチに連結され、上記駆動クランプはクランプモータの駆動により回動するようクランプ軸に固定され、上記キャッチ軸に装着した従動クランプは該駆動クランプに従動して逆方向に回動するよう該駆動クランプに連結され、上記キャッチモータを駆動して上記駆動キャッチ及び従動キャッチを回動して鋼板の両側端面を挟着して吊り上げた後、上記クランプモータを駆動して上記駆動クランプ及び従動クランプを回動して上記鋼板の下面を支持するようにしたことを特徴とする鋼板の枚葉吊り上げ装置。
【請求項2】
上記フレーム本体の周囲には、降下する際、積層した鋼板上にフレーム本体を案内するようガイド片が設けられている請求項1に記載の鋼板の枚葉吊り上げ装置。
【請求項3】
上記フレーム本体の下面には、フレーム本体が降下するとき最上層の鋼板に接するよう位置調整ボルトが設けられている請求項1に記載の鋼板の枚葉吊り上げ装置。
【請求項4】
上記鋼板の側面に接する上記キャッチの挟持面には、最上層の鋼板とその下方の鋼板間に入り込むよう突起部が設けられている請求項1に記載の鋼板の枚葉吊り上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場に敷設する大きな敷き鉄板等の鋼板を、積層している状態から一枚づつ枚葉で吊り上げて移送できるようにした鋼板の枚葉吊り上げ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、敷き鉄板、例えば幅1520mm、長さ6100ミリ、厚さ25ミリの大きさの鉄板が、複数枚、例えば100枚山積されているとき、これを1枚づつ玉掛けして移送する装置として電磁石を利用した装置やワイヤによる吊り具等を用いる装置が知られている。電磁石を利用した装置の場合、電磁石の磁力によりバランスよく吊り上げできる位置を決める必要がある。この作業は、鉄板が目線よりも高く積み上げられているから、適宜の台に乗ったり、鉄板の上に乗って板のセンターに目印を付け、該センターを基準として目視で吊り上げ位置を決め、吊り上げたときのバランスを確認するという作業であり、吊り上げ位置を決めにくい。磁石の強さによっては、1枚も上がらないときもあるし、2~3枚吊り上げてしまうこともある。ワイヤや吊り具を用いる場合には、積層した鉄板間に角材等を挟んでスペースを開け、ワイヤや吊り具を差し込みできる空間を作らなければならないので、作業が面倒であり、実際に吊り上げたときのバランスも確認しなければならない。また、単に吊り上げた状態で移送すると、移送中に鉄板が落下する危険性もある。
【0003】
積層したスラブを枚葉で吊り上げ、落下防止のためのフックを備えている落下防止フック付きスラブトングが知られている(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1に記載の装置は、スラブの挟持部材とスラブ掛止爪を有し、最初に挟持部材でスラブの両側面を挟持して所定高さまで吊り上げ、次にスラブ掛止爪を回動し、その爪先部をスラブの両側面の下面へ潜り込めせてスラブを下方支持し、落下を防止している。しかし、特許文献1に記載の装置では、スラブ掛止爪を駆動するためにそれぞれのスラブ掛止爪に、電動モータを採用した爪可動手段を個別に設けなければならない。上述したような大きな敷き鉄板を吊り上げる場合には、挟持部材やスラブ掛止爪を、敷き鉄板の前後、左右等に配置してバランスよく吊り上げるために、複数個分散して配置する必要がある。そのため、それに応じて多くの電動モータを個々に備えていなければならないので、構成が複雑になり、経済的に得にくい。特許文献2に記載の装置でも、スラブ落下防止用の湾曲爪を、湾曲爪ごとに設けたモータで駆動する構成であるので、上記特許文献1の装置と同じように構成が複雑になり、満足できるものとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-58965公報(段落0013、0018、0019、
図1、
図4)。
【特許文献2】実公昭56-6386公報(3欄14~24行、第1図、第3図)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、敷き鉄板等のように、大きな鋼板が積層されているとき、この鋼板を1枚づつ枚葉で吊り上げ、落下させることなく所定箇所に移送できるようにした構成が簡単で経済的に得られる鋼板の枚葉吊り上げ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、吊り上げる鋼板の長手方向に沿う形状のフレーム本体と、該フレーム本体の長手方向に沿って延びかつ上記鋼板の幅に対応する間隔を開けて並列して設けられたキャッチ軸及びクランプ軸と、該キャッチ軸の長手方向の少なくとも前後に装着され鋼板の端面を挟着する複数の駆動キャッチ及び鋼板の下面を支持する複数の従動クランプと、上記クランプ軸の長手方向の少なくとも前後に装着され鋼板の端面を挟着する複数の従動キャッチ及び鋼板の下面を支持する複数の駆動クランプと、上記キャッチ軸を駆動するようフレーム本体に設けたキャッチモータと、上記クランプ軸を駆動するようフレーム本体に設けたクランプモータを具備し、上記駆動キャッチはキャッチモータの駆動により回動するようキャッチ軸に固定され、上記クランプ軸に装着した従動キャッチは該駆動キャッチに従動して逆方向に回動するよう該駆動キャッチに連結され、上記駆動クランプはクランプモータの駆動により回動するようクランプ軸に固定され、上記キャッチ軸に装着した従動クランプは該駆動クランプに従動して逆方向に回動するよう該駆動クランプに連結され、上記キャッチモータを駆動して上記駆動キャッチ及び従動キャッチを回動して鋼板の両端面を挟着してフレーム本体を吊り上げた後、上記クランプモータを駆動して上記駆動クランプ及び従動クランプを回動して上記鋼板の下面を支持するようにしたことを特徴とする鋼板の枚葉吊り上げ装置が提供される。
【0007】
上記フレーム本体の周囲には、降下する際、積層した鋼板上にフレーム本体を案内するようガイド片が設けられ、フレーム本体の下面には最上層の鋼板に接するよう位置調整ボルトが設けられ、鋼板の側面に接する上記キャッチの挟持面には、最上層の鋼板とその下面の鋼板間に入り込むよう突起部が設けられている上記鋼板の枚葉吊り上げ装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記のように構成され、吊り上げる鋼板の長手方向に沿う形状のフレーム本体には、長手方向に沿って延びかつ該鋼板の幅に対応する間隔を開けて並列するキャッチ軸及びクランプ軸を設けてある。このキャッチ軸の長手方向の少なくとも前後には、鋼板の端面を挟着する複数の駆動キャッチと、鋼板の下面を支持する複数の従動クランプが装着されている。また、上記クランプ軸の長手方向の少なくとも前後には、鋼板の端面を挟着する複数の従動キャッチと、鋼板の下面を支持する複数の駆動クランプが装着されている。上記フレーム本体には、上記キャッチ軸を駆動するキャッチモータと、上記クランプ軸を駆動するクランプモータが設けられている。そして、キャッチモータの駆動により回動するよう上記駆動キャッチを上記キャッチ軸に固定し、上記クランプ軸に装着した従動キャッチを、該駆動キャッチに従動して逆方向に回動するよう該駆動キャッチに連結してある。また、上記クランプモータの駆動により回動するよう上記駆動クランプを上記クランプ軸に固定し、該駆動クランプに従動して逆方向に回動するよう上記キャッチ軸に装着した従動クランプを、該駆動クランプを連結してある。この構成により、上記キャッチモータを駆動することにより、複数の上記駆動キャッチと従動キャッチを同時に逆方向に、すなわち、上記駆動キャッチと従動キャッチの先端が近づき若しくは離れる方向に回動させることができるので、近づく方向に回動させることにより鋼板の両端面を挟着することができる。この状態でフレーム本体を上昇させて鋼板を吊り上げることができる。そして、上記クランプモータを駆動すると、上記複数の上記駆動クランプと従動クランプを同時に逆方向に、すなわち、上記駆動クランプと従動クランプの先端が近づき若しくは離れる方向に回動させることができるので、適宜鋼板が上昇した段階で、上記駆動クランプと従動クランプを、その先端が近づく方向に回動させることにより、鋼板の下面をクランプで支持することができ、落下しないように吊り下げることができる。
【0009】
また、上記フレーム本体の周囲に、降下する際、積層した鋼板上にフレーム本体を案内するようガイド片を設けると、フレーム本体と積層体の位置を正確に一致させることができ、作業に無駄がない。フレーム本体の下面に、最上層の鋼板に接する位置調整ボルトを設けておくと、フレーム本体を正しい高さに降下させることができるし、鋼板の側面に接する上記キャッチの挟持面に、最上層の鋼板とその下層の鋼板間に入り込むよう突起部を設けておくと、鋼板を吊り上げる際に、滑りを生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】キャッチとクランプの関係を側面視で示す説明図。
【
図5】駆動キャッチを示し、(A)は正面図、(B)は側面図。
【
図6】従動クランプを示し、(A)は正面図、(B)は側面図。
【
図7】従動キャッチを示し、(A)は正面図、(B)は側面図。
【
図8】駆動クランプを示し、(A)は正面図、(B)は側面図。
【
図9】キャッチの先端間が離れている状態の説明図。
【
図10】キャッチの先端間が近づく方向に回動し、鋼板を挟着した状態の説明図。
【
図11】クランプの先端間が離れている状態の説明図。
【
図12】クランプの先端間が近づく方向に回動し鋼板の下面を支持した状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図4は、本発明の一実施例を示し、フレーム本体1は、吊り上げる鋼板2の長手方向に沿う形状の略矩形状に設けられ、好ましくは四隅にクレーンのワイヤの先端に設けたフック3を掛け止めるための吊り上げ部4を設けてある。該フレーム本体1の両側には、フレーム本体1の長手方向に沿って延びるキャッチ軸5と、クランプ軸6を設けてあり、該キャッチ軸5とクランプ軸6間の間隔は、上記鋼板2の幅方向の長さにほぼ対応する間隔を開けて設けてあり、複数の軸受でそれぞれ回転可能に保持されている。なお、図面では、理解を容易にするため、軸受は適宜図示を省略している。上記フレーム本体1の側面には、フレーム本体1を、積層した鋼板2の周縁に沿わせるためにガイド片39を突設してあり、また鋼板2とフレーム本体1の間隔を調整するための位置調整ボルト40が設けられている。
【0012】
図4を参照し、上記キャッチ軸5の長手方向の少なくとも前後には、上記鋼板2の側方端面を挟着する複数の、実施例では2個の駆動キャッチ7と、鋼板2の下面を支持する複数の、実施例では2個の従動クランプ8が装着されている。これらの駆動キャッチ7や従動クランプ8の設置数は、吊り上げる鋼板2の大きさや重量等に応じて適宜増減することができる。
【0013】
上記駆動キャッチ7は、
図5に示すように板状体のほぼ中央にキー溝付きの取付孔9を有し、側面には挟持面10が形成され、該挟持面10には積層した鋼板の上下間に入り込むよう凹凸状の突起部11が形成されている。なお、平面部分には所望により補強片12を固定してあるが、該補強片12を用いないこともできる。また、
図5において、上記キー溝付き取付孔9の下方部分には、後記するキャッチ連結リンク33を連結するための接続孔35が形成されている。
【0014】
従動クランプ8は、
図6に示すように、板状体のほぼ中央に取付孔13を有し、一端側に鋼板2の下面を指示するフック部14が形成され、所望により補強片15を固定してあるが、該補強片15を用いないこともできる。また、
図6において、上記取付孔13の上方部分には、後記するクランプ連結リンク34を連結するための接続孔36が形成されている。
【0015】
上記クランプ軸6の長手方向の少なくとも前後には、鋼板2の側方端面を挟着する複数の、実施例では2個の従動キャッチ16と、鋼板2の下面を支持する複数の、実施例では2個の駆動クランプ17が装着されている。これらの従動キャッチ16や駆動クランプ17は、吊り上げる鋼板2の大きさや重量等に応じて適宜増減することができる。
【0016】
上記従動キャッチ16は、
図7に示すように板状体のほぼ中央に取付孔18を有し、側面には挟持面19が形成され、該挟持面19には積層した鋼板の上下間に入り込むよう凹凸状の突起部20が形成されている。なお、平面部分には所望により補強片21を固定してあるが、該補強片21を用いないこともできる。また、
図7において、上記取付孔18の上方部分には、キャッチ連結リンク33を連結するための接続孔37が形成されている。
【0017】
駆動クランプ17は、
図8に示すように、板状体のほぼ中央にキー溝付きの取付孔22を有し、一端側に鋼板2の下面を支持するフック部23が形成され、所望により補強片24を固定してあるが、該補強片24を用いないこともできる。また、
図8において、上記キー溝付き取付孔22の下方部分には、クランプ連結リンク34を連結するための接続孔38が形成されている。
【0018】
上記フレーム本体1には、上記キャッチ軸5を駆動するキャッチモータ25と、上記クランプ軸6を駆動するクランプモータ26が設けられている。これらのモータとしては、減速機付きのギアモータを好適に使用できるが、その他の適宜のモータを使用することもできる。
図4に示す実施例では、キャッチモータ26の駆動軸に駆動アーム27を連結し、駆動アーム27に連結リンク28を連結し、該連結リンク28を、キャッチ軸5にキーで固定したキャッチ軸アーム29に連結し、該キャッチモータ25を駆動した際にキャッチ軸5が回動するようにしてあるが、適宜のギア駆動による伝達装置やチェーン機構その他の機構によりキャッチ軸5を直接的に駆動することもできる。なお上記アームやリンクの回動範囲を制限するために適宜位置にストッパーを設けることもできる(図示略)。このキャッチ軸5の回転により、キャッチ軸5にキー等で固定した駆動キャッチ7は、一緒に回動するが、キャッチ軸7に固定していない従動クランプ8は、キャッチ軸5が回動する際に、空転して一緒に回動することはない。
【0019】
また、クランプモータ26の駆動軸にも、駆動アーム30が連結され、該駆動アーム30と連結リンク31を連結し、該連結リンク31を、クランプ軸6にキーで固定したクランプ軸アーム32に連結し、該クランプモータ26の駆動によりクランプ軸6が回動するようにしてあるが、適宜のギア駆動による伝達装置やチェーン機構その他の機構によりクランプ軸6を直接的に駆動することもできる。なお、上記アームやリンクの回動範囲を制限するために適宜位置にストッパーを設けるけることもできる(図示略)。このクランプ軸6の回転により、クランプ軸6にキー等で固定した駆動クランプ17は、一緒に回動するが、クランプ軸6に固定していない従動キャッチ16は、クランプ軸6の回動の際に、空転して一緒に回動することはない。
【0020】
上記したように、従動キャッチ16はクランプ軸6に固定されていないので、クランプ軸6が回転した際、空転するが、従動キャッチ16は、上記駆動キャッチ7に従動して逆方向に回動するようキャッチ連結リンク33で連結され、駆動キャッチ7と従動キャッチ16の先端が、近づく方向若しくは離れる方向に同時に回動する。なお、上記キャッチ連結リンク33と駆動キャッチ7及び従動キャッチ16の接続孔35、37は、実施例では、駆動キャッチ7のキー溝付き取付孔9の下方と従動キャッチ16の取付孔18の上方に位置しているが、接続孔の位置を上下に変えて逆方向に回動させるようにしてもよい。各キャッチの先端が近づく方向に回動すると、鋼板2の側方端面をキャッチで挟着することができる。このようにして、実施例では、一つのキャッチモータ25の駆動により駆動キャッチ7と従動キャッチ16、合わせて合計4個のキャッチを回動させることができる。
【0021】
上記従動クランプ8はキャッチ軸5に固定されていないので、キャッチ軸5が回転した際、空転するが、従動クランプ8の他端は、上記駆動クランプ17に従動して逆方向に回動するようクランプ連結リンク34で連結され、駆動クランプ17と従動クランプ8の先端が、近づく方向若しくは離れる方向に同時に回動する。なお、上記クランプ連結リンク34と駆動クランプ17及び従動クランプ8の接続孔38、36は、実施例では、駆動クランプ17のキー溝付き取付孔22の下方と従動クランプ8の取付孔13の上方に位置しているが、接続孔の位置を上下に変えて逆方向に回動させるようにしてもよい。駆動クランプ17が鋼板2の下面を支持する方向に回動すると、従動クランプ8は連動して鋼板2の下面を支持する方向に回動する。このようにして、図に示す実施例では、一つのクランプモータ26の駆動により、駆動クランプ17及び従動クランプ8、合わせて4個のクランプを回動させることができる。
【0022】
図9~
図12を参照し、上記の構成による動作を説明する。
図9、
図10はキャッチ部部分の動作を説明し、駆動キャッチ7と従動キャッチ16の先端間を離した状態で、フレーム本体1を、積層した鋼板2の上部に向けて降下させる。このとき、フレーム本体1の周囲に設けたガイド片39は、積層された鋼板2の外周に接するから、フレーム本体1は、位置がガイドされて正し位置に降下する。また、フレーム本体1の下面に、下方に突出する位置調整ボルト40を設けておくと、最上部の鋼板2とフレーム本体1の間隔を定めてフレーム本体1の降下位置を調整することができる。
【0023】
フレーム本体1が鋼板2の最上部に接して停止したら、上記キャッチモータ25を駆動して複数の上記駆動キャッチ7及び従動キャッチ16を回動させると、キャッチ7、16は鋼板2の両側端面を挟着する(
図10)。このとき、キャッチ7、16の挟持面10、19に突起部11、20を設けておくと、該突起部が上下の鋼板間に入り込んで、確実に挟着することができる。この状態からフレーム本体1を、クレーンにより吊り上げる。このとき、駆動クランプ17と従動クランプ8の先端間は離れた状態にある(
図11)。
【0024】
そして、上記クランプ17、8のフック部23、14を鋼板2の下面に差し込むことができる程度の空間が生じたら、
図12に示すように、上記クランプモータ26を駆動して複数の上記駆動クランプ17及び従動クランプ8を回動すれば、上記鋼板2の下面を支持することができ、落下しないように移送することができる。
【0025】
以上のように鋼板2の両側面を挟着する複数のキャッチ7、16及び鋼板2の下面を支持する複数のクランプ17、8を、それぞれの1台づつ設けたキャッチモータ25及びクランプモータ26で駆動することができるので、構成が簡単になり、経済的に得ることができる。なお、上述したように、チャック軸及びクランプ軸には、複数の駆動キャッチ、従動クランプ、駆動クランプ、従動チャックを装着することができるから、鋼板の大きさ、重量等に応じて、これらの部材やそれぞれの連結リンク等を増加、減少して設けることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 フレーム本体
2 鋼板
5 キャッチ軸
6 クランプ軸
7 駆動キャッチ
8 従動クランプ
16 従動キャッチ
17 駆動クランプ
25 キャッチモータ
26 クランプモータ
33 キャッチ連結リンク
34 クランプ連結リンク