(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155967
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】制御装置、操作入力装置、制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20241024BHJP
H01H 13/14 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G06F3/02 400
H01H13/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024140786
(22)【出願日】2024-08-22
(62)【分割の表示】P 2023093126の分割
【原出願日】2019-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】針谷 真人
(57)【要約】
【課題】シートの変形跡が緩和されるように変形のための機構を制御する。
【解決手段】制御装置110が、シート111と、シート111の一部分111bを押し上げる第1位置P11、及び引き下げる第2位置P12、の間で移動可能な固定部112aを有する押引き部112と、押引き部112の固定部112aを移動させる駆動部113と、固定部112aを、第1位置P11から第2位置P12へと移動させ、第2位置P12に所定時間滞在させてから第1位置P11と第2位置P12との間の第3位置P13へと移動させるように駆動部113による固定部12aの移動を制御する制御部114と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能なシートと、
前記シートの一部分に固定される固定部であって、前記一部分を、当該一部分を囲む周辺部分よりも押し上げる第1位置、及び、前記一部分を前記周辺部分よりも引き下げる第2位置、の間で移動可能な前記固定部を有する押引き部と、
前記押引き部の前記固定部を移動させる駆動部と、
前記駆動部による前記固定部の移動を制御するものであって、当該固定部を、前記第1位置から前記第2位置へと移動させてから前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置へと移動させるように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮可能なシートの一部分を押引きするため機構の制御装置、そのような制御装置を搭載した操作入力装置、上記の押引きを行うため機構の制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば操作面に対する操作を受ける操作入力装置等においてユーザに操作位置を触覚的に認識させるために操作位置を突出させる等といった技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような技術では、伸縮可能なシートにおける表裏の一方の面が操作面とされ、シートの裏面側に配置された機構で、操作位置に対応する一部分を押し上げて突出させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、操作位置を認識させるために突出させたシートの一部分は、ユーザの操作が終了したとき等のタイミングで元の平坦な状態へと復帰する。このとき、シートを構成する伸縮素材の材質等によっては、突出状態に変形していたシートの一部分が直ぐには平坦な状態に戻らずに変形跡がしばらく残ってしまう場合がある。このような変形跡は時間がたつと消えるものであるとは言え、残っている間はユーザに操作位置と誤認させてしまう恐れがあり好ましいものではない。
【0005】
したがって、本発明の課題は、シートの変形跡が緩和されるように変形のための機構を制御することができる制御装置、操作入力装置、制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体を提供すること等が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の制御装置は、伸縮可能なシートと、前記シートの一部分に固定される固定部であって、前記一部分を、当該一部分を囲む周辺部分よりも押し上げる第1位置、及び、前記一部分を前記周辺部分よりも引き下げる第2位置、の間で移動可能な前記固定部を有する押引き部と、前記押引き部の前記固定部を移動させる駆動部と、前記駆動部による前記固定部の移動を制御するものであって、当該固定部を、前記第1位置から前記第2位置へと移動させ、当該第2位置に所定時間滞在させてから前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置へと移動させるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の操作入力装置は、操作面に対する操作を受ける操作入力装置であって、上述した本発明の制御装置と、前記シートにおける前記固定部とは反対側の面を前記操作面とし、当該操作面に対する操作を検出するセンサと、を備えたことを特徴する。
【0008】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の制御方法は、伸縮可能なシートの一部分に固定されて当該一部分を押引きする固定部を有した押引き部における前記固定部を移動させる駆動部に対する制御方法であって、前記駆動部に前記固定部を、前記一部分を囲む周辺部分よりも押し上げる第1位置から前記一部分を前記周辺部分よりも引き下げる第2位置へと移動させる第1工程と、前記駆動部に前記固定部を、前記第2位置に所定時間滞在させてから前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置へと移動させる第2工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の制御プログラムは、上述した本発明の制御方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする。
【0010】
また、前述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の記憶媒体は、上述した本発明の制御プログラムを記憶したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施例において、シートの変形のための機構を制御する制御装置を備える操作入力装置を示す模式図である。
【
図2】
図1に示されている操作入力装置の制御装置において駆動部に対して制御部で実行される制御方法を示す模式図である。
【
図3】第2実施例において、シートの変形のための機構を制御する制御装置を備える操作入力装置を示す模式図である。
【
図4】
図3に示されている操作入力装置の制御装置において駆動部に対して制御部で実行される制御方法を示す模式図である。
【
図5】第3実施例において、シートの変形のための機構を制御する制御装置を備える操作入力装置を示す模式図である。
【
図6】
図5に示されている操作入力装置の制御装置において駆動部に対して制御部で実行される制御方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る制御装置は、伸縮可能なシートと、押引き部と、駆動部と、制御部と、を備えている。押引き部は、次のような固定部を有する。即ち、固定部は、シートの一部分に固定される固定部であって、この一部分を、この一部分を囲む周辺部分よりも押し上げる第1位置、及び、上記の一部分を上記の周辺部分よりも引き下げる第2位置、の間で移動可能な部位である。駆動部は、押引き部の固定部を移動させる。制御部は、駆動部による固定部の移動を制御するものであって、この固定部を、第1位置から第2位置へと移動させ、第2位置に所定時間滞在させてから第1位置と第2位置との間の第3位置へと移動させるように制御する。
【0013】
本実施形態の制御装置によれば、固定部が、第1位置から中間位置である第3位置へと移動する際に、途中で一旦第2位置まで移動して所定時間滞在してから第3位置へと移動する。これにより、固定部が第1位置にあったときのシートの一部分における突出形状の変形が第2位置の固定部によって反対方向へと引き延ばされるので、固定部が第3位置に移動したときにシートに残る変形跡を緩和することができる。このように、本実施形態の制御装置によれば、シートの変形跡が緩和されるように変形のための機構を制御することができる。
【0014】
ここで、本実施形態では、シートにおける上記の一部分の周辺部分の裏面に接着される窓枠を有し、当該窓枠の内側を押引き部における固定部が通過するように形成されたベースを備えている。
【0015】
本実施形態によれば、シートにおける一部分の周辺部分の裏面がベースの窓枠に接着されるので、押上げ時の一部分の突出形状を周辺部分から際立たせることができる。また、引下げ時に一部分を周辺部分から効果的に引き延ばして押上げ時の変形跡を一層緩和することができる。
【0016】
また、本実施形態は、次のような構成を備えるものであってもよい。即ち、押引き部が、固定部と、当該固定部からシートとは反対側へと延在する軸部と、当該軸部の周面から張り出した張出し部と、を有し、制御装置が、第1干渉部と、第2干渉部と、を備えたものであってもよい。第1干渉部は、固定部が第1位置へと向かう第1方向に押引き部が動かされるときに張出し部と干渉して固定部を第1位置に留める。また、第2干渉部は、固定部が第2位置へと向かう第2方向に押引き部が動かされるときに張出し部と干渉して固定部を第2位置に留める。更に、この構成では、駆動部が、押引き部を第1方向又は第2方向に移動させるソレノイドと、固定部が第2位置から第3位置へと向かう第3方向に押引き部を付勢する付勢部と、を有している。そして、第3位置から第1位置への固定部の移動及び第1位置から第2位置への固定部の移動はソレノイドで行い、第2位置から第3位置への固定部の移動は付勢部によって行われることとなっている。
【0017】
本実施形態がこのような構成を備えることで、各位置への固定部の位置付けをソレノイドで精密に行なう必要がなく、例えば安価なソレノイド等を採用して部品コストを抑えることができる。
【0018】
また、本実施形態は、次のような構成を備えるものであってもよい。即ち、駆動部が、固定部の位置に応じた制御信号を制御部から受け、当該制御信号に応じた位置に固定部を位置付けるステッピングモータを有するものであってもよい。この構成では、制御部が、制御信号として、第1位置、第2位置、及び第3位置、のそれぞれに応じた制御信号を駆動部に送るものとなっている。
【0019】
本実施形態がこのような構成を備えることで、駆動部等の構造を単純化しつつ、固定部の精密な位置付けを、制御信号の設定により高い自由度の下で行うことができる。
【0020】
また、本発明の実施形態に係る操作入力装置は、操作面に対する操作を受ける操作入力装置であって、上述した制御装置と、センサと、を備えている。センサは、シートにおける固定部とは反対側の面を操作面とし、当該操作面に対する操作を検出する。
【0021】
本実施形態の操作入力装置によれば、上述の制御装置を備えているので、シートの変形跡が緩和されるように変形のための機構を制御することができる。
【0022】
また、本発明の実施形態に係る制御方法は、伸縮可能なシートの一部分に固定されて当該一部分を押引きする固定部を有した押引き部における固定部を移動させる駆動部に対する制御方法であって、第1工程と、第2工程と、を備えている。第1工程は、駆動部に固定部を、上記の一部分を囲む周辺部分よりも押し上げる第1位置からこの一部分を周辺部分よりも引き下げる第2位置へと移動させる工程である。また、第2工程は、駆動部に固定部を、第2位置に所定時間滞在させてから第1位置と第2位置との間の第3位置へと移動させる工程である。
【0023】
本実施形態の制御方法によれば、固定部が第1位置にあったときのシートの一部分における突出形状の変形が第2位置の固定部によって反対方向へと引き延ばされるので、固定部が第3位置に移動したときにシートに残る変形跡を緩和することができる。このように、本実施形態の制御方法によれば、シートの変形跡が緩和されるように変形のための機構を制御することができる。
【0024】
また、本発明の実施形態に係る制御プログラムは、上述の制御方法を、コンピュータにより実行させるプログラムである。
【0025】
また、本発明の実施形態に係る記憶媒体は、上述の制御プログラムを記憶したものとなっている。
【0026】
本実施形態の制御プログラム及び記憶媒体によれば、記憶媒体から制御プログラムを読み出して上述の制御方法を実行させることで、シートの変形跡が緩和されるように変形のための機構を制御することができる。
【実施例0027】
以下、シートの変形跡が緩和されるように変形のための機構を制御するという課題を解決するための実施例について図を参照して具体的に説明する。まず、第1実施例について説明する。
【0028】
図1は、第1実施例において、シートの変形のための機構を制御する制御装置を備える操作入力装置を示す模式図である。
【0029】
図1に示されている操作入力装置1は、この操作入力装置1とは離れて位置する表示画面に表示される操作パネル画像に対するボタン操作を受ける入力装置である。操作パネル画像には、操作ボタンを表すボタン画像が複数表示され、ユーザは、この操作パネル画像を見つつ、手元の操作入力装置1の操作面111aを操作することで、操作パネル画像に対するボタン操作を行う。ここで、この操作入力装置1は、自然な操作感覚の下でボタン操作が行われるように、操作面111aにおけるボタン画像の表示位置に対応する部分が被操作位置として突出変形し、ユーザが触覚的にこの被操作位置を認識できるように構成されている。
【0030】
尚、この操作入力装置1の設置態様についてここでは特定しないが、次のような態様が一例として挙げられる。即ち、車両に配置されたカーナビゲーション装置で表示される操作パネル画像に対するボタン操作を、車両の運転者が手元で行うために、操作入力装置1がハンドルに設置される態様等が挙げられる。
【0031】
この操作入力装置1は、シート111の操作面111aにおける被操作位置を突出変形させる機構を制御する制御装置110と、静電容量型タッチセンサ120と、圧力センサ130と、触覚デバイス140と、を備えている。
【0032】
制御装置110は、伸縮可能なシート111と、このシート111を変形させるための機構と、を備え、この機構によるシート111の変形を制御する装置である。制御装置110については、後で詳細に説明する。
【0033】
静電容量型タッチセンサ120は、シート111における外表面たる操作面111aとは反対側の裏面に対して対向配置された平板状のセンサであり、操作面111aにおけるユーザの指の位置を静電容量の変化に基づいて検出するセンサである。
【0034】
圧力センサ130は、シート111の操作面111aにおいて突出変形した被操作位置に対するボタン操作としての押圧操作を検出するセンサである。シート111の操作面111aに対して押圧操作が行われると、圧力センサ130が、その押圧操作による圧力上昇を、この押圧操作を示す事象として検出する。
【0035】
触覚デバイス140は、操作面111aに対する押圧操作が行われた際に、ユーザの指にクリック感を付与するためのデバイスである。
【0036】
次に、制御装置110について説明する。この制御装置110は、伸縮可能なシート111と、押引き部112と、駆動部113と、制御部114と、ベース115と、を備えている。
【0037】
シート111は、スエード調人工皮革やスムースレザー調人工皮革等で形成された伸縮可能な部材である。操作入力装置1の外面に露出するシート111をこのような人工皮革で形成することで、例えばシート111としてゴムシート等を用いる場合と比べて外観上の高級感を醸すことができる。
【0038】
押引き部112は、操作面111aにおけるボタン操作の被操作位置に当るシート111の一部分111bを矩形ボタン状に突出変形させるボタン用ピンであり、複数の被操作位置について変形可能なように複数本が設けられている。各押引き部112は、シート111における被操作位置に当る一部分111bの裏面に、接着剤111dで固定される矩形片状の固定部112aを有している。この固定部112aは、シート111に対する法線方向D11について、第1位置P11及び第2位置P12、の間で移動可能となっている。第1位置P11は、シート111の一部分111bを、当該一部分111bを囲む周辺部分111cよりも押し上げる位置である。また、第2位置P12は、シート111の一部分111bを周辺部分111cよりも引き下げる位置である。シート111の一部分111bは、第1位置P11の固定部112aによって矩形ボタン状に突出変形され、第2位置P12の固定部112aによって矩形凹状に凹み変形される。
【0039】
押引き部112は、この固定部112aの他に、当該固定部112aの一部位から法線方向D11についてシート111とは反対側へと延在する丸棒状の軸部112bと、当該軸部112bの周面からフランジ状に張り出した張出し部112cと、を有している。
【0040】
駆動部113は、複数の押引き部112それぞれについて1つずつ設けられている。各駆動部113は、DCモータ113aと、このDCモータ113aの回転駆動力を、法線方向D11の直進駆動力に変換する変換ギア113bと、を備えている。押引き部112における軸部112bの、シート111とは反対側の下端部が変換ギア113bに連結されている。これにより、DCモータ113aが回転駆動すると、押引き部112の固定部112aが法線方向D11に直進移動することとなる。
【0041】
制御部114は、操作入力装置1に搭載されたマイクロコンピュータであり、各駆動部113による固定部112aの移動を制御する。即ち、制御部114は、被操作位置に当る一部分111bを矩形ボタン状に突出変形させる場合には、押引き部112の固定部112aを上記の第1位置P11に位置付ける。他方、ボタン操作が終了した際には、固定部112aを、第1位置P11と、一部分111bを矩形凹状に凹み変形させる第2位置と、の間にあって一部分111bを周辺部分111cと略面一にするデフォルトの第3位置P13に位置付ける。そして、制御部114は、第1位置P11の固定部112aを第3位置P13へと移動させる際には、駆動部113による固定部112aの移動を次のように制御する。即ち、制御部114は、固定部112aを、第1位置P11から第2位置P12へと移動させ、当該第2位置P12に所定時間滞在させてから第3位置P13へと移動させるように駆動部113を制御する。
【0042】
ベース115は、シート111、複数の押引き部112、及び複数の駆動部113等を保持する部位であり、シートベース115aと駆動ベース115bとを有している。
【0043】
シートベース115aは、シート111における周辺部分111cの裏面に接着剤111dで接着される窓枠115cを有し、当該窓枠115cの内側が有底空間状に形成されている。押引き部112における固定部112aは、その天面及び底面を含めて全体的に突出するように窓枠115cを法線方向D11通過する。尚、本実施例とは異なり、固定部112aが窓枠115cを通過することで、固定部112aにおける天面側の一部が突出するように構成してもよい。有底空間の底には、押引き部112における軸部112bが貫通する貫通孔が形成されている。このシートベース115aには、静電容量型タッチセンサ120が収容されている。この静電容量型タッチセンサ120にも、シートベース115aにおいて軸部112bが貫通する貫通孔と連通する貫通孔が設けられており、押引き部112の軸部112bは、これら2つの貫通孔を貫通して駆動ベース115b内の駆動部113へと延びている。また、シートベース115aの底面には触覚デバイス140が取付けられている。
【0044】
駆動ベース115bは、複数の駆動部113等を保持する部位であり、その底面には圧力センサ130が配置されている。圧力センサ130は、操作面111aに対する押圧操作による圧力上昇を、ベース115を介して検出する。
【0045】
ここで、本実施例では、ベース115におけるシートベース115aに、固定部112aを、第1位置P11に留める第1干渉部115dと、第2位置P12に留める第2干渉部115eと、が備えられている。第1干渉部115dは、シートベース115aの底壁における貫通孔の周囲部分である。この第1干渉部115dは、固定部112aが第1位置P11へと向かう第1方向D111に押引き部112が動かされるときに張出し部112cと干渉して固定部112aを第1位置P11に留める。また、第2干渉部115eは、窓枠115cの内側における有底空間の底壁における貫通孔の周囲部分である。この第2干渉部115eは、固定部112aが第2位置P12へと向かう第2方向D112に押引き部112が動かされるときに固定部112aと干渉して当該固定部112aを第2位置に留める。
【0046】
また、本実施例では、駆動部113は、制御部114の制御の下、第3位置P13から第1位置P11への固定部112aの移動、第1位置P11から第2位置P12への固定部112aの移動、及び第2位置P12から第3位置P13への固定部112aの移動をDCモータ113a及び変換ギア113bで行う。
【0047】
次に、以上に説明した操作入力装置1の制御装置110において、固定部112aを移動させる駆動部113に対して制御部114で実行される制御方法について説明する。
【0048】
図2は、
図1に示されている操作入力装置の制御装置において駆動部に対して制御部で実行される制御方法を示す模式図である。この
図2には、この制御方法の流れが、1つの押引き部112を例に挙げて、この押引き部112における固定部112aの動きによって示さている。他方で、駆動部113及び制御部114については図示が省略されている。また、
図2には、固定部112aが第1位置P11、第2位置P12、及び第3位置P13に位置するときのシート111の形状が、シート111の厚み方向中央を通る太線で模式的に示されている。
【0049】
この
図2の例では、固定部112aは、まず、デフォルト位置である第3位置P13から出発して、ボタン操作のために第1位置P11へと第1方向D111に移動する。この移動は、制御部114が駆動部113のDCモータ113aに電源を供給し続けることで行われる。DCモータ113aの回転によって押引き部112、つまりは固定部112aが移動するが、この移動は、張出し部112cが第1干渉部115dと干渉した時点で止まる。これにより、シート111の被操作位置としての一部分111bが矩形ボタン状に突出変形する。この状態でボタン操作が行われる。このとき、そのボタン操作中も、DCモータ113aへの電源供給は続けられ、ユーザのボタン操作によってシート111の一部分111bが押圧されても、その押圧力に抗して突出形状が維持される。
【0050】
このボタン操作の終了後、固定部112aが第3位置P13に戻される際に、以下に説明する第1工程及び第2工程が実行される。
【0051】
第1工程は、駆動部113に固定部112aを、第1位置P11から第2位置P12へと第2方向D112に移動させる工程である。この移動は、制御部114が駆動部113のDCモータ113aに電源を、極性を突出時とは逆極性に切り換えて供給し続けることで行われる。そして、この移動は、固定部112aが第2干渉部115eと干渉した時点で止まる。これにより、シート111の被操作位置としての一部分111bが矩形凹状に凹み変形する。
【0052】
第2工程は、駆動部113に固定部112aを、第2位置P12に所定時間滞在させてからデフォルトの第3位置P13へと第3方向D113に移動させる工程である。第2位置P12への滞在は、制御部114がDCモータ113aに電源を供給し続けることで行われる。そして、所定時間の経過後、第2位置P12から第3位置P13へと第3方向D113に固定部112aが移動する。この移動は、制御部114が駆動部113のDCモータ113aに、極性を突出時の極性に切り換えた電源を、第2位置P12から第3位置P13への移動距離に応じた供給時間に亘って供給することで行われる。この供給時間の経過後、DCモータ113aへの電源供給は停止される。
【0053】
本実施例では、この制御方法をマイクロコンピュータとしての制御部114により実行させる制御プログラムが、このマイクロコンピュータに内蔵の記憶媒体に記憶されている。制御部114は、この制御プログラムに従って駆動部113のDCモータ113aへの電源供給を行うことで、上述の制御方法を実行する。
【0054】
以上に説明した第1実施例における制御装置110、操作入力装置1、制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体によれば、第1位置P11からデフォルトの第3位置P13へと移動する際に、固定部112aが次のように動かされる。即ち、第1位置P11から第3位置P13への移動の途中で一旦第2位置P12まで移動して所定時間滞在してから第3位置P13へと移動する。これにより、固定部112aが第1位置P11にあったときのシート111の一部分111bにおける突出形状の変形が第2位置P12の固定部112aによって反対方向へと引き延ばされる。その結果、固定部112aが第3位置P13に移動したときにシート111に残る変形跡111eを
図2に示されているように緩和することができる。そして、変形跡111eが残ったとしても、緩和されて僅かなものになっているので目立たない上に、速やかに消失することとなる。このように、本実施例によれば、シート111の変形跡111eが緩和されるようにシート変形のための機構を制御することができる。
【0055】
ここで、本実施例では、シート111における被操作位置としての一部分111bの周辺部分111cの裏面が、シートベース115aの窓枠115cに接着されている。これにより、押上げ時の一部分111bの突出形状を周辺部分111cから際立たせることができる。また、引下げ時に一部分111bを周辺部分111cから効果的に引き延ばして押上げ時の変形跡111eを一層緩和することができる。
【0056】
以上で第1実施例の説明を終了し、次に、第2実施例について説明する。第2実施例は、駆動源としてソレノイドが採用されている。以下、第2実施例について、第1実施例との相違点に注目して説明を行う。
【0057】
図3は、第2実施例において、シートの変形のための機構を制御する制御装置を備える操作入力装置を示す模式図である。尚、この
図3では、
図1に示されている構成要素と同等な構成要素については、
図1と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を割愛する。
【0058】
本実施例の操作入力装置2では、制御装置210において押引き部112の固定部112aを第1位置P11、第2位置P12、及び第3位置P13に位置付ける駆動部213が、ソレノイド213aと、付勢部213bと、を有している。ソレノイド213aは、押引き部112、つまりは固定部112aを直進駆動する駆動源である。付勢部213bは、固定部112aが第2位置P12から第3位置P13へと向かう第3方向D113に押引き部112を付勢する。この付勢部213bは、窓枠115cの内側における有底空間の底壁と固定部112aとの間に介挿されたコイルバネとなっている。ここで、付勢部213bとしてのコイルバネは、一端が有底空間の底壁に連結され、他端が固定部112aに連結されている。固定部112aがデフォルトの第3位置P13に位置するときに付勢部213bとしてのコイルバネは非付勢状態となる。他方、固定部112aが第1位置P11に位置するときにはこのコイルバネは引き延ばされて固定部112aを引っ張り付勢する状態となる。また、固定部112aが第2位置P12に位置するときにはこのコイルバネは圧縮されて固定部112aを押上げ付勢する状態となる。駆動部213は、制御部214の制御の下、第3位置P13から第1位置P11への固定部112aの移動及び第1位置P11から第2位置P12への固定部112aの移動はソレノイド213aで行う。他方、駆動部213は、第2位置P12から第3位置P13への固定部112aの移動は付勢部213bとしてのコイルバネの押上げ付勢によって行う。
【0059】
ここで、本実施例では、静電容量型タッチセンサ120への静電的な干渉を回避するために、付勢部213bとして非金属製のコイルバネが採用されている。尚、本実施例と異なり、金属製のコイルバネを付勢部として採用する場合は、そのコイルバネについて、例えば押引き部112の張出し部112cとソレノイド213aの本体部との間への介挿等により、静電容量型タッチセンサ120から離されて静電的な干渉が回避されることとなる。
【0060】
次に、以上に説明した操作入力装置2の制御装置210において、固定部112aを移動させる駆動部213に対して制御部214で実行される制御方法について説明する。
【0061】
図4は、
図3に示されている操作入力装置の制御装置において駆動部に対して制御部で実行される制御方法を示す模式図である。この
図4には、この制御方法の流れが、1つの押引き部112を例に挙げて、この押引き部112における固定部112aの動きによって示さている。他方で、駆動部213及び制御部214については図示が省略されている。また、
図4には、固定部112aが第1位置P11、第2位置P12、及び第3位置P13に位置するときのシート111の形状が、シート111の厚み方向中央を通る太線で模式的に示されている。
【0062】
この
図4の例では、固定部112aは、まず、デフォルト位置である第3位置P13から出発して、ボタン操作のために第1位置P11へと第1方向D111に移動する。この移動は、制御部214が駆動部213のソレノイド213aに電源を供給し続けることで行われる。ソレノイド213aの直進駆動によって押引き部112、つまりは固定部112aが移動するが、この移動は、張出し部112cが第1干渉部115dと干渉した時点で止まる。これにより、シート111の被操作位置としての一部分111bが矩形ボタン状に突出変形する。この状態でボタン操作が行われる。このとき、そのボタン操作中も、ソレノイド213aへの電源供給は続けられ、ユーザのボタン操作によってシート111の一部分111bが押圧されても、その押圧力に抗して突出形状が維持される。
【0063】
このボタン操作の終了後、固定部112aが第3位置P13に戻される際に、以下に説明する第1工程及び第2工程が実行される。
【0064】
第1工程は、駆動部213に固定部112aを、第1位置P11から第2位置P12へと第2方向D112に移動させる工程である。この移動は、制御部214が駆動部213のソレノイド213aに電源を、極性を突出時とは逆極性に切り換えて供給し続けることで行われる。ソレノイド213aの直進駆動によって固定部112aが第2方向D112に付勢部213bとしてのコイルバネを圧縮しつつ移動するが、この移動は、固定部112aが第2干渉部115eと干渉した時点で止まる。これにより、シート111の被操作位置としての一部分111bが矩形凹状に凹み変形する。このとき、付勢部213bとしてのコイルバネは圧縮されて固定部112aを押上げ付勢する状態となる。
【0065】
第2工程は、駆動部213に固定部112aを、第2位置P12に所定時間滞在させてからデフォルトの第3位置P13へと第3方向D113に移動させる工程である。第2位置P12への滞在は、制御部214がソレノイド213aに電源を供給し続けることで付勢部213bの押上げ付勢に抗して行われる。そして、所定時間の経過後、制御部214がソレノイド213aへの電源供給を停止すると、圧縮状態の付勢部213bの押上げ付勢によって固定部112aがデフォルトの第3位置へと移動する。
【0066】
本実施例でも、この制御方法をマイクロコンピュータとしての制御部214により実行させる制御プログラムが、このマイクロコンピュータに内蔵の記憶媒体に記憶されている。制御部214は、この制御プログラムに従って駆動部213のソレノイド213aへの電源供給を行うことで、上述の制御方法を実行する。
【0067】
以上に説明した第2実施例における制御装置210、操作入力装置2、制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体によっても、上述の第1実施例と同様、シート111の変形跡111eが緩和されるようにシート変形のための機構を制御することができる。
【0068】
また、本実施例では、駆動部213が固定部112aを直進駆動するソレノイド213aを有している。これにより、変換ギア等を廃して駆動部213の構造を単純化しつつ、固定部112aの移動を行うことができる。
【0069】
以上で第2実施例の説明を終了し、次に、第3実施例について説明する。第3実施例は、駆動源として精密な位置制御が可能なステッピングモータが採用されており、その分、機構の単純化が図られている点が第1実施例と異なっている。以下、第3実施例について、第1実施例との相違点に注目して説明を行う。
【0070】
図5は、第3実施例において、シートの変形のための機構を制御する制御装置を備える操作入力装置を示す模式図である。尚、この
図5では、
図1に示されている構成要素と同等な構成要素については、
図1と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を割愛する。
【0071】
本実施例の操作入力装置3では、制御装置210において押引き部312の固定部112aを第1位置P11、第2位置P12、及び第3位置P13に位置付ける駆動部313が、ステッピングモータ313aと、変換ギア313bと、を備えている。ステッピングモータ313aは、固定部112aの位置に応じた制御信号を制御部314から受け、当該制御信号に応じた位置に固定部112を位置付ける。変換ギア313bは、このステッピングモータ313aの回転駆動力を、法線方向D11の直進駆動力に変換する。そして、制御部314が、第1位置P11、第2位置P12、及び第3位置P13、のそれぞれに応じた制御信号を駆動部313に送る。このように、本実施形態では、固定部112aの位置付けが、制御部314からの制御信号に応じたステッピングモータ313aの回転駆動によって行われる。このため、押引き部312には位置決めのための張出し部112c(
図1)が設けられておらず、また、駆動部313は付勢部113c(
図3)を有していない。
【0072】
図6は、
図5に示されている操作入力装置の制御装置において駆動部に対して制御部で実行される制御方法を示す模式図である。この
図6には、この制御方法の流れが、1つの押引き部312を例に挙げて、この押引き部312における固定部112aの動きによって示さている。また、
図6でも、固定部112aが第1位置P11、第2位置P12、及び第3位置P13に位置するときのシート111の形状が太線で模式的に示されている。尚、この
図6では、
図2に示されている構成要素と同等な構成要素については、
図2と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を割愛する。
【0073】
この
図6の例でも、固定部112aの動きは、
図2に示されている第1実施例における固定部112aの動きと同じである。即ち、固定部112aは、デフォルト位置である第3位置P13から出発して、ボタン操作のために第1位置P11へと第1方向D111に移動する。ただし、本実施例では、この移動は、第1位置P11に応じた制御信号を駆動部313に送ることでなされる。これにより、シート111の被操作位置としての一部分111bが矩形ボタン状に突出変形する。移動後は、駆動部313によって固定部112aの位置が第1位置P11に維持され、ユーザのボタン操作による押圧力に抗して突出形状が維持される。
【0074】
ボタン操作の終了後、第1実施例のときと同様に第1工程及び第2工程が実行されて、固定部112aがデフォルトの第3位置P13へと戻される。即ち、第1工程では、駆動部313が、固定部112aを第1位置P11から第2位置P12へと第2方向D112に移動させる。この移動は、制御部114が第2位置P12に応じた制御信号を駆動部313に送ることでなされる。これにより、シート111の被操作位置としての一部分111bが矩形凹状に凹み変形する。続く、第2工程では、駆動部313が、固定部112aを第2位置P12に所定時間滞在させてからデフォルトの第3位置P13へと第3方向D213に移動させる。第2位置P12への滞在は、駆動部313が固定部112aの位置を第2位置P11に維持することでなされ、第3位置P13への移動は、制御部114が第3位置P13に応じた制御信号を駆動部313に送ることでなされる。
【0075】
本実施例でも、この制御方法をマイクロコンピュータとしての制御部314により実行させる制御プログラムが、このマイクロコンピュータに内蔵の記憶媒体に記憶されている。制御部314は、この制御プログラムに従って駆動部313への制御信号の送信を行うことで、上述の制御方法を実行する。
【0076】
以上に説明した第3実施例における制御装置210、操作入力装置3、制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体によっても、上述の第1実施例と同様、シート111の変形跡111eが緩和されるようにシート変形のための機構を制御することができる。
【0077】
また、本実施例では、駆動部313が固定部112aの精密な位置付けが可能なステッピングモータ313aを有している。これにより、駆動部313の構造を単純化しつつ、固定部112aの精密な位置付けを、制御信号の設定により高い自由度の下で行うことができる。
【0078】
尚、本発明は、以上に説明した第1~第3実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0079】
例えば、上述した第1及び第3実施例では、1つのDCモータ113aやステッピングモータ313a等の駆動源が、回転駆動力を直進駆動力に変換する変換ギア113b,313bを介して1つの固定部112aを間接的に移動させる構成が例示されている。しかしながら、駆動源による駆動態様はこれに限るものではない。駆動態様は、例えば1つの駆動源がベース等を介して複数の固定部を間接的に移動させる構成であってもよく、あるいは、他の部材やギア等を介さず、例えば第2実施例におけるソレノイド213a等のように直進駆動力を発する駆動源で固定部を直接的に移動させる構成としてもよい。
【0080】
また、上述した第1~第3実施例では、押引き部112,312の移動方向が各図に上下方向で示されている。即ち、第1位置P11へと移動する第1方向D111や第3位置P13へと移動する第3方向D113が上方向で示され、第2位置P12へと移動する第2方向D112が下方向で示されている。しかしながら、押引き部の移動方向はこのような上下方向に限るものではなく、押引き部を有する制御装置や操作入力装置がどのような姿勢で設置されるかによって任意の方向を取り得る。例えば、第1~第3実施例で一例として挙げたように車両のハンドルに設置される場合には、押引き部の移動方向は略横方向となる。また、押引き部の移動方向が上下方向である場合でも、制御装置や操作入力装置が例えばシートの操作面が下方を向くように車両の天井等に設置される場合には、第1位置や第3位置への移動方向は下方向となり、第2位置への移動方向は上方向となる。
【0081】
また、上述した第1~第3実施例では、操作入力装置1,2の設置態様の一例として、車両のハンドルに設置される態様が例示されている。しかしながら、操作入力装置の設置態様は車両への設置に限るものではなく、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末に設置されてもよく、あるいは居室の椅子等に設置されてもよい。このように、操作入力装置の設置態様について具体的な態様を問うものではない。
【0082】
また、上述した第1~第3実施例では、制御装置110,210,310の設置態様として、操作入力装置1,2,3に設置される態様が例示されている。しかしながら、制御装置の設置態様は操作入力装置への設置に限るものではなく、例えば経路案内を表示する表示装置に、ユーザが表示経路を触覚的にも認識できるように設置するものであってもよく、あるいは点字の表示装置に設置するものであってもよい。このように、制御装置の設置態様についても具体的な態様を問うものではない。
【0083】
また、上述した第1~第3実施例では、シート111の一部分111bにおける突出変形の形状の一例として矩形ボタン状の形状が例示され、一部分111bにおける凹み変形の形状の一例として矩形凹状の形状が例示されている。しかしながら、突出変形や凹み変形の形状は、これに限るものではなく、任意の形状に設定し得る。
【0084】
また、上述した第1~第3実施例では、スエード調人工皮革やスムースレザー調人工皮革等で形成されたシート111が例示されている。しかしながら、シートはこれに限るものではなく、伸縮可能であれば具体的な材質を問うものではない。例えば、伸縮性の有機EL等といったフレキシブルディスプレイであってもよい。
【0085】
また、上述した第1~第3実施例では、シート111の裏面に固定される固定部112aが軸部112b等と一体成形された押引き部112,312を、駆動部113,213,313で全体的に移動させる制御装置110,210,310が例示されている。しかしながら、制御装置は、これに限るものではなく、押引き部が伸縮可能に形成され、その先端をシートの裏面に対する固定部とし、この固定部のみを部分的に駆動部で移動させる構成としてもよい。
【0086】
また、上述した第1~第3実施例では、シート111における被操作位置としての一部分111bの周辺部分111cの裏面が、ベース115の窓枠115cに接着された制御装置110,210,310が例示されている。しかしながら、制御装置は、これに限るものではなく、例えばシートにおける被操作位置としての一部分の周辺部分の裏面が、如何なる部材にも接着されていないものであってもよい。ただし、周辺部分111cの裏面の接着により、押上げ時には突出形状を際立たせ、引下げ時には周辺部分から効果的に引き延ばして変形跡を一層緩和することができる点は上述した通りである。
【0087】
また、上述した第1実施例では、DCモータ113aを駆動源として有する駆動部113を備えた制御装置110が例示されている。また、第2実施例では、ソレノイド213aと付勢部213bを駆動源として有する駆動部213を備えた制御装置210が例示されている。また、第3実施例では、ステッピングモータ313aを駆動源として有する駆動部313を備えた制御装置310が例示されている。しかしながら、制御装置は、これに限るものではなく、駆動源の具体的な態様を問うものではない。ただし、DCモータ113aを駆動源とすることで部品コストを抑えることができる点や、ソレノイド213aと付勢部213bを駆動源とすることで構造を単純化できる点や、ステッピングモータ313aを駆動源とすることで固定部112aの精密な位置付けを高い自由度の下で行うことができる点も上述した通りである。また、付勢部を設ける場合でも、第2実施例で例示されているようなコイルバネに限るものではなく、押引き部を少なくとも押上げ付勢するものであれば、素材はバネ部材でなくともよく、形状もコイルでなくともよい。即ち、付勢部については、その具体的な素材や形状は任意に設定し得るものである。