(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155979
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】積層体および包装容器
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20241024BHJP
B32B 7/02 20190101ALI20241024BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B7/02
B65D65/40 D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024144251
(22)【出願日】2024-08-26
(62)【分割の表示】P 2020065053の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】林 佳恵子
(72)【発明者】
【氏名】山田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良彦
(57)【要約】
【課題】モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができ、かつ蒸着膜との密着性が高く、包装容器とした場合のデラミネーションを効果的に防止することのでき、高いガスバリア性を有する、積層体の提供。
【解決手段】第1の態様において、本発明の積層体は、少なくとも第1のシーラント層と、蒸着膜と、基材と、ガスバリア層と、第2のシーラント層と、を備え、前記基材が、少なくとも、密度0.943g/cm
3以下のポリエチレン樹脂により構成される第1のポリエチレン樹脂層を備え、前記基材は、延伸処理が施されており、前記基材の第1のポリエチレン樹脂層上に、前記蒸着膜が設けられており、前記第1のシーラント層および前記第2のシーラント層が、ポリエチレン樹脂から構成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1のシーラント層と、蒸着膜と、基材と、第2のシーラント層と、を順に備える積層体であって、
前記基材が、少なくとも、密度0.943g/cm3以下のポリエチレン樹脂により構成される第1のポリエチレン樹脂層を備え、
前記基材は、延伸処理が施されており、
前記基材の第1のポリエチレン樹脂層上に、前記蒸着膜が設けられており、
前記第1のシーラント層および前記第2のシーラント層が、ポリエチレン樹脂から構成されていることを特徴とする、積層体。
【請求項2】
少なくとも、第1のシーラント層と、蒸着膜と、基材と、第2のシーラント層と、を順に備える積層体であって、
前記基材が、少なくとも、ポリエチレン樹脂およびオレフィン系エラストマー樹脂により構成される第1のポリエチレン樹脂層を備え、
前記基材は、延伸処理が施されており、
前記基材の第1のポリエチレン樹脂層上に、前記蒸着膜が設けられており、
前記第1のシーラント層および前記第2のシーラント層が、ポリエチレン樹脂から構成されていることを特徴とする、積層体。
【請求項3】
前記オレフィン系エラストマー樹脂が、エチレン系エラストマー樹脂である、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記オレフィン系エラストマー樹脂が、オレフィン系ブロックコポリマーである、請求項2または3に記載の積層体。
【請求項5】
前記オレフィン系ブロックコポリマーが、エチレン/α-オレフィンインターポリマーである、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記エチレン/α-オレフィンインターポリマーが、ポリエチレンにより構成されるハードブロック、およびα―オレフィンモノマーにより構成されるソフトブロックを備える、請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
前記基材の第1のポリエチレン樹脂層における前記オレフィン系エラストマー樹脂の含有量が、1質量%以上40質量%以下である、請求項2~6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
前記ガスバリア層が、第1のポリオレフィン樹脂層と接着性樹脂層とガスバリア性樹脂含有層と接着性樹脂層と第2のポリオレフィン樹脂層とからなる5層構造を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項9】
前記ガスバリア層の第1のポリオレフィン樹脂層および第2のポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレン樹脂および不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂により構成される、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記第1のシーラント層と前記蒸着膜との間に、酸素バリア及び/または水蒸気バリアを有するバリアコート層をさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
包装容器に用いられる、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項12】
前記積層体全体におけるポリエチレン樹脂の含有量は、90質量%以上である、請求項1~11のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の積層体からなることを特徴とする、包装容器。
【請求項14】
ラミネートチューブである、請求項13に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体および包装容器に関する。
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂からなる樹脂フィルム(以下、ポリエステルフィルムともいう)は、機械的特性、化学的安定性、耐熱性および透明性に優れると共に、安価であることから、包装容器の作製に使用される積層体を構成する基材として使用されている。
【0003】
このようなポリエステルフィルムは、通常、シーラント層であるポリエチレンフィルムと張り合わされ、積層体とされた後に、包装容器に成形される。
【0004】
上記した、異種の樹脂フィルム、すなわち、ポリエステルフィルムと、ポリエチレンフィルムとを貼り合わせた積層体により作製された包装容器は、それぞれの層に分離をすることが困難であり、使用後に回収した包装容器は、リサイクルに適しておらず、積極的にはリサイクルされていないという現状がある。
【0005】
そして、包装容器のリサイクル適性向上を目的として、ポリエステルフィルムに代えて、延伸処理が施されたポリエチレンフィルム(延伸ポリエチレンフィルム)を基材へ適用し、同一材料により構成される積層体を用いた包装容器(モノマテリアル包装容器)の作製が検討されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今般、本発明者らは、ポリエステルフィルムを延伸ポリエチレンフィルムに変更することに伴い低下したガスバリア性を補填すべく、また、その意匠性および光沢感を向上すべく、延伸ポリエチレンフィルム表面に、蒸着膜を形成しようとしたところ、延伸ポリエチレンフィルムと蒸着膜との密着性が十分ではなく、蒸着膜を形成した延伸ポリエチレンフィルムを用いて包装容器を作製した場合、延伸ポリエチレンフィルムと蒸着膜との間で剥離(デラミネーション)を起こすおそれがあるという新たな課題を見出した。
【0007】
そして、驚くべきことに、本発明者らは、ポリエチレン樹脂により構成される基材の蒸着膜を形成する層におけるポリエチレン樹脂の密度を調整することにより、該層と蒸着膜との密着性を顕著に改善することができ、上記の問題を解決することができるとの知見を得た。
【0008】
また、驚くべきことに、本発明者らは、ポリエチレン樹脂により構成される基材の蒸着膜を形成する層へ、ポリエチレン樹脂と共に、オレフィン系エラストマーを含有させることにより、該層と蒸着膜との密着性を顕著に改善することができ、上記の問題を解決することができるとの知見を得た。蒸着膜との密着性が改善する理由は定かではないが以下のように考えられる。通常、延伸処理を施したポリエチレンフィルムは、非晶成分が減少し、配向結晶が増加するため、アルミニウムなどの蒸着膜との間の密着性が低下する傾向にある。本発明においては、ポリエチレン樹脂と共に、オレフィン系エラストマーを含有させることにより、延伸時における配向結晶化を調製することができ、蒸着膜との密着性が維持されるものと考える。
【0009】
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができ、かつ蒸着膜との密着性が高く、包装容器とした場合のデラミネーションを効果的に防止することのでき、高いガスバリア性を有する、積層体を提供することである。
【0010】
また、本発明の解決しようとする課題は、包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様において、本発明の積層体は、少なくとも、第1のシーラント層と蒸着膜と基材とガスバリア層と第2のシーラント層とを、順に備える積層体であって、
前記基材が、少なくとも、密度0.943g/cm3以下のポリエチレン樹脂により構成される第1のポリエチレン樹脂層を備え、
前記基材は、延伸処理が施されており、
前記基材の第1のポリエチレン樹脂層上に、前記蒸着膜が設けられており、
前記第1のシーラント層および前記第2のシーラント層が、ポリエチレン樹脂から構成されていることを特徴とする。
【0012】
第2の態様において、本発明の積層体は、少なくとも、第1のシーラント層と蒸着膜と基材とガスバリア層と第2のシーラント層とを、順に備える積層体であって、
前記基材が、少なくとも、ポリエチレン樹脂およびオレフィン系エラストマー樹脂により構成される第1のポリエチレン樹脂層を備え、
前記基材は、延伸処理が施されており、
前記基材の第1のポリエチレン樹脂層上に、前記蒸着膜が設けられており、
前記第1のシーラント層および前記第2のシーラント層が、ポリエチレン樹脂から構成されていることを特徴とする。
【0013】
一実施形態において、前記オレフィン系エラストマー樹脂が、エチレン系エラストマー樹脂である。
【0014】
一実施形態において、前記オレフィン系エラストマー樹脂が、オレフィン系ブロックコポリマーである。
【0015】
一実施形態において、前記オレフィン系ブロックコポリマーが、エチレン/α―オレフィンインターポリマーである。
【0016】
一実施形態において、前記オレフィン系ブロックコポリマーが、ポリエチレンにより構成されるハードブロック、およびα―オレフィンインターポリマーにより構成されるソフトブロックを備える。
【0017】
一実施形態において、前記第1のポリエチレン樹脂層における前記オレフィン系エラストマー樹脂の含有量が、1質量%以上40質量%以下である。
【0018】
一実施形態において、前記ガスバリア層が、第1のポリオレフィン樹脂層と、接着性樹脂層と、ガスバリア性樹脂を含む層と、接着性樹脂層と、第2のポリオレフィン樹脂層と、からなる5層構成を有する。
【0019】
一実施形態において、前記第1のポリオレフィン樹脂層および前記第2のポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレン樹脂および相溶化剤により構成される。
【0020】
一実施形態において、本発明の積層体は、前記第1のシーラント層と前記蒸着膜との間に、バリアコート層をさらに備える。
【0021】
一実施形態において、本発明の積層体は、包装容器に用いられる。
【0022】
一実施形態において、前記積層体全体におけるポリエチレン樹脂の含有量は、90質量%以上である。
【0023】
本発明の包装容器は、上記積層体からなることを特徴とする。
【0024】
一実施形態において、包装容器は、ラミネートチューブである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができ、蒸着膜との層間の密着性を顕著に向上することができ、好ましいガスバリア性を達成することができる、積層体を提供することができる、
また、本発明によれば、包装容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の積層体10の一実施形態を示す模式断面図である。
【
図2】蒸着装置の一実施形態を示す概略的構造図である。
【
図3】本発明の包装s容器の一実施形態であるラミネートチューブ30を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(積層体)
本発明の積層体10は、
図1に示すように、少なくとも第1のシーラント層11と、蒸着膜12と、基材13と、ガスバリア層14と、第2のシーラント層15を、備える。
積層体が備える基材と、第1のシーラント層と、第2のシーラント層とは、同一の樹脂、すなわち、ポリエチレン樹脂から構成され、このような構成を有する積層体は、モノマテリアル包装容器の作製するための積層体として好適に使用することができる。
また、本発明の積層体は、基材と蒸着膜との層間の密着性が顕著に向上されており、極めて高いガスバリア性を有する。
【0028】
積層体に含まれる固形分の総量に対するポリエチレン樹脂の含有量は、90質量%以上であることが好ましい。これにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。
【0029】
以下、積層体10が備える各層について説明する。
【0030】
(基材)
本発明の積層体を構成する基材は、後記するポリエチレン樹脂から構成される第1及び第2のシーラント層と同様に、ポリエチレン樹脂層を備えるものである。このように、基材とシーラント層が同じ樹脂材料で構成されることにより積層体をモノマテリアル包装容器等のリサイクル性に優れる材料として使用することができる。
基材は、ポリエチレン樹脂層を備えるものであれば単層であってもよく多層であってもよいが、多層の基材とする場合は、ポリエチレン樹脂等の各ポリオレフィン樹脂を別々の押出機で加熱溶融し、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーション法やTダイ法等によりフィルム状に成形する共押出法により作製することができる。
【0031】
例えば、共押出法により製膜された多層構造を有する基材とした場合、蒸着膜と接する側の第1のポリエチレン樹脂層から順に、第2、第3、第4・・・のポリエチレン樹脂層(以下、場合により、「その他のポリエチレン樹脂層」という)を備えていてもよい。その他のポリエチレン樹脂層を設けることにより、積層体の耐熱性、強度、透明性、延伸適性等の性能を向上することができる。
【0032】
本発明において、基材は、延伸処理が施されていることを特徴とする。これにより基材の強度及び耐熱性を向上することができる。また、印刷適性を向上することもできる。
延伸処理は一軸延伸であっても良く、二軸延伸であっても良い。
【0033】
基材の縦方向(MD方向)および横方向(TD方向)への延伸倍率は、2倍以上15倍以下であることが好ましく、3倍以上10倍以下であることが好ましい。
延伸倍率を2倍以上とすることにより、基材の強度および耐熱性をより向上することができる。また、基材への印刷適性を向上することができる。また、基材の破断限界という観点からは、延伸倍率は15倍以下であることが好ましい。
【0034】
第1の態様において、基材は、蒸着膜がその表面に形成される層として、密度0.943g/cm3以下のポリエチレン樹脂により構成される第1のポリエチレン樹脂層を備える。
【0035】
第1のポリエチレン樹脂層に含まれる密度0.943g/cm3以下のポリエチレン樹脂は、バイオマス由来のポリエチレン樹脂、メカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレン樹脂であってもよい。
【0036】
第1のポリエチレン樹脂層における密度0.943g/cm3以下のポリエチレン樹脂の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。第1のポリエチレン樹脂層における密度0.943g/cm3以下のポリエチレン樹脂の含有量を50質量%以上とすることにより、蒸着膜との密着性をさらに顕著に向上することができる。
【0037】
第1のポリエチレン樹脂層における密度0.943g/cm3以下のポリエチレン樹脂の融点は、60℃以上135℃以下であることが好ましく、65℃以上130℃以下であることがより好ましい。融点を60℃以上とすることにより、基材の印刷適性、強度及び耐熱性をより向上することができる。融点を135℃以下とすることにより、各層の適正な延伸温度の差を小さくすることができる。
【0038】
第1のポリエチレン樹脂層における密度0.943g/cm3以下のポリエチレン樹脂のMFRは、0.1g/10min以上5g/10min以下であることが好ましく、0.2g/10min以4g/10min以下であることがより好ましい。MFRを0.1g/10min以上5g/10min以下とすることにより、インフレーション法の製膜性が安定する。
【0039】
第1のポリエチレン樹脂層は、本発明の特性を損なわない範囲において、密度0.943g/cm3以下のポリエチレン樹脂以外の樹脂材料(その他の樹脂材料)を含むことができる。蒸着膜との密着性という観点からは、第1のポリエチレン樹脂層は、その他の樹脂材料を含まないことが好ましい。
また、第1のポリエチレン樹脂層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料および改質用樹脂などが挙げられる。
【0040】
第2の態様において、基材は、ポリエチレン樹脂およびオレフィン系エラストマー樹脂により構成される第1のポリエチレン樹脂層を備える。
【0041】
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)および超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)を使用することができる。
また、ポリエチレン樹脂として、エチレンと、その他のモノマーとの共重合体を使用することもできる。
さらに、ポリエチレン樹脂として、バイオマス由来のポリエチレン樹脂や、メカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエチレン樹脂を使用することもできる。
【0042】
第1のポリエチレン樹脂層は、密度0.970g/cm3以下のポリエチレン樹脂を含むことができる。第1のポリエチレン樹脂層は、密度0.970g/cm3以下のポリエチレン樹脂を含むことにより、蒸着膜との密着性をさらに顕著に向上することができる。
【0043】
第1のポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレン樹脂の融点は、110℃以上140℃以下であることが好ましく、115℃以上135℃以下であることがより好ましい。融点を110℃以上とすることにより、耐熱性の観点で積層体の作製時の加工適性が良くなる。融点を140℃以下とすることにより、多層構成における各層の融点差が少なく一定の温度で延伸がしやすい傾向となる。
【0044】
第1のポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレン樹脂のMFRは、0.1g/10min以上5g/10min以下であることが好ましく、0.2g/10min以上4g/10min以下であることがより好ましい。MFRを0.1g/10min以上5g/10min以下とすることにより、インフレーション法の製膜性が安定する。
【0045】
第1のポリエチレン樹脂層におけるポリエチレン樹脂の含有量は、60質量%以上99質量%以下であることが好ましく、70質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。第1のポリエチレン樹脂層におけるポリエチレン樹脂の含有量が60質量%以上であることにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。また、第1のポリエチレン樹脂層におけるポリエチレン樹脂の含有量が99質量%以下であることにより、第1のポリエチレン樹脂層に十分な量のオレフィン系エラストマー樹脂を含有させることができ、蒸着膜との密着性を向上することができる。
【0046】
一実施形態において、オレフィン系エラストマー樹脂は、エチレン系エラストマー樹脂である。オレフィン系エラストマー樹脂として、エチレン系エラストマー樹脂を使用することにより、本発明の積層体をモノマテリアル包装容器の作製により好適に使用することができる。
【0047】
一実施形態において、オレフィン系エラストマー樹脂は、オレフィン系ブロックコポリマーである。第1のポリエチレン樹脂層に、オレフィン系エラストマー樹脂として、オレフィン系ブロックコポリマーを含有させることにより、蒸着膜と第1のポリエチレン樹脂層との密着性をより向上することができる。
ブロックコポリマーとは、異なった種類の配列に共有結合した同じモノマー単位の配列(ブロックまたはセグメント)を含む。ブロックコポリマーの形態としては、例えば、ジブロック構造のA-B及びトリブロック構造のA-B-A(ここで、Aは、1つのブロックを表し、Bは、異なるブロックまたはセグメントを表す)などが挙げられる。また、マルチブロックコポリマーでは、AおよびBは多数の異なる方法で接続され、複数回反復されうる。また、異なる種類の追加ブロックまたはセグメントをさらに含むこともできる。マルチブロックコポリマーは、線状マルチブロックポリマーであっても、マルチブロック星型ポリマー(全てのブロックまたはセグメントが同じ原子もしくは化学部分に結合するもの)であってもよい。
【0048】
一実施形態において、オレフィン系ブロックコポリマーは、エチレン系ブロックコポリマーであり、好ましくは、エチレン系マルチブロックコポリマーである。オレフィン系ブロックコポリマーとして、エチレン系ブロックコポリマーを使用することにより、本発明の積層体をモノマテリアル包装容器の作製により好適に使用することができる。
【0049】
一実施形態において、エチレン系ブロックコポリマーは、エチレン/α-オレフィンインターポリマーであり、エチレン/α-オレフィンインターポリマーを使用することにより、蒸着膜と第1のポリエチレン樹脂層との密着性をより向上することができる。エチレン/α-オレフィンインターポリマーとは、エチレンおよび1以上の共重合可能なα-オレフィンモノマーを重合形態で含む。また、インターポリマーとは、少なくとも2種類のモノマーの重合により調製されるポリマーを意味する。よって、インターポリマーには、2種のモノマーの重合体であるコポリマー、3種のモノマーの重合体であるターポリマー、4種以上のモノマーの重合体であるポリマーが包含される。
【0050】
一実施形態において、エチレン系ブロックコポリマーである、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、ポリエチレンにより構成されるハードブロック(ハードセグメント)、α―オレフィンモノマーにより構成されるソフトブロック(ソフトセグメント)を備える。
【0051】
インターポリマーを構成するα-オレフィンモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラサイクロドデセン、2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、3-フェニルプロペン、4-フェニルプロペン、1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、スチレン、及び3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンが挙げられる。
【0052】
オレフィン系エラストマー樹脂は、市販されるものを使用してもよく、例えば、ポリエチレンにより構成されるハードブロック、α―オレフィンモノマーにより構成されるソフトブロックを備える、オレフィン系ブロックコポリマーとしては、Dow Chemical社製のINFUSE9100を使用することができる。
また、三井化学社製のタフマーA-4085Sを使用することもできる。
【0053】
第1のポリエチレン樹脂層におけるオレフィン系エラストマー樹脂の含有量は、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。第1のポリエチレン樹脂層におけるオレフィン系エラストマー樹脂の含有量が1質量%以上であることにより、第1のポリエチレン樹脂層と蒸着膜との密着性をさらに向上することができる。また、第1のポリエチレン樹脂層におけるオレフィン系エラストマー樹脂の含有量が40質量%以下であることにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。
【0054】
第1のポリエチレン樹脂層は、本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエチレン樹脂以外の樹脂材料(その他の樹脂材料)を含むことができる。蒸着膜との密着性およびリサイクル適性という観点からは、第1のポリエチレン樹脂層は、その他の樹脂材料を含まないことが好ましい。
また、第1のポリエチレン樹脂層は、本発明の特性を損なわない範囲において、添加剤を含むことができ、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料および改質用樹脂などが挙げられる。
【0055】
その他のポリエチレン樹脂層は、ポリエチレン樹脂により構成される。
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)および超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)を使用することができる。
また、ポリエチレン樹脂として、エチレンと、その他のモノマーとの共重合体を使用することもできる。
さらに、ポリエチレン樹脂として、バイオマス由来のポリエチレン樹脂や、メカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエチレン樹脂を使用することもできる。
【0056】
多層構造を有する基材において、隣接する層を構成するポリエチレン樹脂の密度は同一であってもよく、異なっていてもよい。すなわち、基材を構成するポリエチレン樹脂層には、密度勾配が設けられていてもよい。
密度勾配が設けられたポリエチレン樹脂層において、各層の密度差が大きい場合、界面における剥離(デラミネーション)が発生してしまうおそれがある。そのため、各層間の密度差は、0.05g/cm3以下であることが好ましく、0.04g/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0057】
(a)一実施形態において、多層構造を有する基材は、第1のポリオレフィン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第2のポリエチレン樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から構成される第3のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第4のポリエチレン樹脂層と、高密度ポリエチレン樹脂から構成される第5のポリオレフィン樹脂層と、の5層構造を有する。
(b)一実施形態において、多層構造を有する基材は、第1のポリエチレン樹脂層と、高密度ポリエチレン樹脂および中密度ポリエチレン樹脂のブレンド樹脂から構成される第2の樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第3のポリエチレン樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から構成される第4のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第5のポリエチレン樹脂層と、高密度ポリエチレン樹脂および中密度ポリエチレン樹脂のブレンド樹脂から構成される第6の樹脂層と、高密度ポリエチレン樹脂から構成される第7のポリオレフィン樹脂層と、の7層構造を有する。
(c)一実施形態において、多層構造を有する基材は、第1のポリエチレン樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から構成される第2のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第3のポリオレフィン樹脂層と、の3層構造を有する。
(d)一実施形態において、多層構造を有する基材は、第1のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第2のポリオレフィン樹脂層と、の2層構造を有する。
(e)一実施形態において、多層構造を有する基材は、オレフィン系エラストマー樹脂を含む第1のポリエチレン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第2のポリオレフィン樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から構成される第3のポリオレフィン樹脂層と、中密度ポリエチレン樹脂から構成される第4のポリオレフィン樹脂層と、オレフィン系エラストマー樹脂および中密度ポリエチレン樹脂から構成される第5のポリオレフィン樹脂層と、の5層構造を有する。
【0058】
上記したような共押出法による多層構造の基材の一実施形態として、例えば、それぞれの樹脂を押出機により加熱溶融し、フィードブロック法により第1~第5のポリエチレン樹脂層からなる5層の積層とした後、インフレーション法によりチューブ状に製膜するとともに、これをゴムロール等によりチューブ内側どうしを圧着することにより10層の多層フィルムとすることができる。このようにして得られる多層フィルムは、断面厚さ方向において上下対称の層構成を有することになる。すなわち、例えば、共押出機により第1~第5のポリエチレン樹脂層からなる5層を積層した場合、得られる積層フィルムは、表面から順に、第1/第2/第3/第4/第5/第5/第4/第3/第2/第1のポリエチレン樹脂層からなる10層の層構造を有する基材となる。しかしながら、実際は、厚さ断面方向において中央の隣接する2層の第5のポリエチレン樹脂層は1層とみなせるため、実質的には第1/第2/第3/第4/第5/第4/第3/第2/第1のポリエチレン樹脂層からなる9層の多層構造を有する基材とすることができる。
このような製法により得られる多層構造フィルムは、「ブロックフィルム」とも呼ばれることがある。上記した製法によれば、製造における欠陥品数を顕著に低減することができ、最終的には、生産効率を向上することができる。
【0059】
基材は、その表面に印刷層を有していてもよく、印刷層に形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号およびこれらの組み合わせなどが表される。
基材への印刷層形成は、バイオマス由来のインキを用いて行うことができる。これにより、環境負荷を低減することができる。
印刷層の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの従来公知の印刷法を挙げることができる。
【0060】
また、基材は、表面処理が施されていてもよい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
表面処理の方法は特に限定されず、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスおよび/または窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
【0061】
基材の厚さは、単層構造、多層構造の場合を問わず、1μm以上60μm以下であることが好ましく、9μm以上60μm以下がより好ましく、12μm以上50μm以下がさらに好ましい。基材の厚さを1μm以上とすることにより、基材の耐熱性および強度を向上することができる。基材の厚さを60μm以下とすることにより、基材の加工適性を向上することができる。
【0062】
(蒸着膜)
積層体は、基材の第1のポリエチレン樹脂層上に、蒸着膜を備える。これにより、積層体のガスバリア性、具体的には、酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。
【0063】
蒸着膜は、金属から構成されるものであっても、無機酸化物から構成されるものであってもよいが、本発明の積層体を用いて作製される容器に光沢感を付与することができ、その意匠性を向上させることができることから、金属から構成される蒸着膜が(以下、金属蒸着膜という)好ましい。
金属蒸着膜を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、クロム、スズ、ニッケル、銅、銀、金およびプラチナなどが挙げられる。
また、金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウムおよび酸化バリウムなどが挙げられる。
【0064】
上記した中でも、ガスバリア性が高く、良好な光沢感を付与することができるため、アルミニウムが特に好ましい。
【0065】
蒸着膜の表面は、上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、隣接する層との密着性を向上することができる。
【0066】
また、蒸着膜の厚さは、1nm以上150nm以下であることが好ましく、5nm以上60nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることがさらに好ましい。
蒸着膜の厚さを1nm以上とすることにより、積層体20のガスバリア性および光沢感をより向上することができる。
また、蒸着膜の厚さを150nm以下とすることにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。さらに、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができる。
【0067】
蒸着膜の形成方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
以下、蒸着膜の形成方法の一実施形態を示すが、蒸着膜の形成方法は、これらに限定されるものではない。
【0068】
具体的には、(1)金属あるいは金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを基材が備える第1のポリエチレン樹脂層上に蒸着する真空蒸着法、(2)原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材が備える第1のポリエチレン樹脂層上に蒸着する酸化反応蒸着法、(3)酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ-ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0069】
物理気相成長法による無機物および無機酸化物の蒸着膜を形成する方法について以下に説明する。
図2は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図2に示すように巻き取り式真空蒸着装置Aの真空チャンバ-Bの中で、巻き出しロ-ルCから繰り出す基材Xは、ガイドロ-ルD、Eを介して、冷却したコ-ティングドラムFに案内される。
一実施形態において、該装置Aは、上記のガイドロ-ルEと冷却したコ-ティングドラムFとの間にプラズマ処理装置Gが配設される。該プラズマ処理装置Gにより、基材Xが備える第1のポリエチレン樹脂層の表面にプラズマガスを照射され、蒸着膜形成前の、該基材Xが備える第1のポリエチレン樹脂層の表面を、プラズマ処理するものである。
次いで、上記の冷却したコ-ティングドラムF上に案内された基材が備える第1のポリエチレン樹脂層上に、るつぼHで熱せられ、蒸発した蒸着源I(例えば、金属アルミニウムや酸化アルミニウム等)が堆積し、蒸着膜を形成する。この蒸着源Iの堆積は、マスクJ、Jを介して行ってもよく、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口Kより酸素ガス等を噴出しつつ行ってもよい。
次いで、蒸着膜を形成した基材Xを、ガイドロ-ルL、Mを介して送り出し、巻き取りロ-ルNに巻き取ることによって、本装置による蒸着膜形成が完了する。
なお、上記工程を繰り返すことにより、異なる材料により形成される多層の蒸着膜としてもよい。多層構造の蒸着膜は、上記装置を複数回使用することにより、形成してもよく、複数の上記装置を連結した装置を使用することにより形成してもよい。
このような蒸着膜の形成は、例えば、特許第4569982号公報などにおいて開示される。
【0070】
(第1および第2のシーラント層)
一実施形態において、第1および第2のシーラント層は、熱によって相互に融着し得る樹脂材料により形成することができ、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂、ヒートシール性エチレン-ビニルアルコール樹脂、これらの酸変性物などのポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂、並びに(メタ)アクリル系樹脂などが挙げられる。
モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体20とすることができるため、上記した中でも、ポリエチレン樹脂が特に好ましい。
【0071】
シーラント層におけるポリエチレン樹脂の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。これにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。
【0072】
本発明の特性を損なわない範囲において、シーラント層は、上記添加材を含むことができる。
【0073】
シーラント層は、単層構造を有するものであってもよく、多層構造を有するものであってもよい。
【0074】
シーラント層の厚さは、20μm以上100μm以下であることが好ましく、30μm以上70μm以下であることがより好ましい。
シーラント層の厚さを20μm以上とすることにより、包装容器のラミネート強度をより向上することができる。
また、シーラント層の厚さを100μm以下とすることにより、積層体の成形性を向上することができ、より容易に包装容器を作製することができる。
【0075】
第1のシーラント層と、第2のシーラント層とは同一の構成であってもよく、異なる構成であってもよい。
【0076】
シーラント層は、上記材料を、Tダイ法またはインフレーション法などの従来公知の方法により、押出製膜することにより作製することができる。
【0077】
シーラント層は、従来公知の接着剤や溶融樹脂層などを介して、積層することができる。
【0078】
(ガスバリア層)
本発明の積層体は、ガスバリア層を備え、これにより、本発明の積層体のガスバリア性を向上することができる。
【0079】
ガスバリア層は、ガスバリア性樹脂を含む層を少なくとも備える。ガスバリア性樹脂としては、例えば、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂などが挙げられ、これらの中でも、酸素バリア性および水蒸気バリア性という観点からは、EVOHが好ましい。
【0080】
ガスバリア性樹脂を含む層におけるガスバリア性樹脂の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。
ガスバリア性樹脂を含む層におけるガスバリア性樹脂の含有量を50質量%以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性をより向上することができる。
【0081】
ガスバリア性樹脂を含む層は、本発明の特性を損なわない範囲において、上記添加剤を含むことができる。
【0082】
ガスバリア性樹脂を含む層の厚さは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上16μm以下であることがより好ましい。
ガスバリア性樹脂を含む層の厚さを0.5μm以上とすることにより、本発明の積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、ガスバリア性樹脂を含む層の厚さを20μm以下とすることにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。
【0083】
一実施形態において、ガスバリア層は、多層構造を有する。
一実施形態において、ガスバリア層14は、
図1に示すように、第1のポリオレフィン樹脂層16と、接着性樹脂層17と、ガスバリア性樹脂を含む層18と、接着性樹脂層19と、第2のポリオレフィン樹脂層20と、の5層構造を有する。
【0084】
(第1および第2のポリオレフィン樹脂層)
第1および第2ポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィンにより構成され、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン、エチレン-プロピレン共重合体およびプロピレン-ブテン共重合体などが挙げられ、これらの中でも、リサイクル適性の観点からは、ポリエチレン樹脂が好ましい。
【0085】
一実施形態において、第1および第2のポリオレフィン樹脂層は、相溶化剤を含み、これにより、本発明の積層体を用いて作製した包装容器を加熱溶融し、リサイクルする際において、ガスバリア性樹脂と、ポリエチレン樹脂とが、均一に混ざり合い、その物性が低下してしまうことを効果的に防止することができる。また、その透明性が低下してしまうことを効果的に防止することができる。
【0086】
相溶化剤は、従来公知のものを適宜選択し、使用することができるが、リサイクル適性の観点から、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましく、中でも、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂がより好ましい。
【0087】
第1および第2のポリオレフィン樹脂層における相溶化剤の含有量は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
第1および第2のポリオレフィン樹脂層における相溶化剤の含有量を5質量%以上とすることにより、上記効果をより向上することができる。
第1および第2のポリオレフィン樹脂層における相溶化剤の含有量を30質量%以下とすることにより、基材の強度および耐熱性を向上することができる。
【0088】
本発明の特性を損なわない範囲において、第1および第2のポリエチレン樹脂層は、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂材料を含んでいても良く、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂およびアイオノマー樹脂などが挙げられる。
なお、第1および第2のポリオレフィン樹脂層は、そのリサイクル適性という観点からは、ポリエチレン樹脂以外の樹脂を含まないことが特に好ましい。
【0089】
また、本発明の特性を損なわない範囲において、第1および第2のポリエチレン樹脂層は、上記添加剤を含むことができる。
【0090】
第1および第2のポリオレフィン樹脂層の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。ポリオレフィン樹脂層の厚さを5μm以上とすることにより、本発明の積層体の強度および耐熱性を向上することができる。ポリオレフィン樹脂層の厚さを100μm以下とすることにより、本発明の積層体の加工適性を向上することができる。
【0091】
第1および第2のポリオレフィン樹脂層の構成は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0092】
(接着性樹脂層)
接着性樹脂層は、少なくとも1種の樹脂材料を含み、例えば、ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂およびポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの中でも、密着性という観点からは、ポリオレフィン樹脂および変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0093】
接着性樹脂層は、本発明の特性を損なわない範囲において、上記添加剤を含むことができる。
【0094】
接着性樹脂の厚さは、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
接着性樹脂層の厚さを0.5μm以上とすることにより、ガスバリア性樹脂層と、ポリオレフィン樹脂層との密着性を向上することができる。また、接着性樹脂層の厚さを10μm以下とすることにより、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。
【0095】
ガスバリア層は、上記材料を、Tダイ法またはインフレーション法などの従来公知の方法により、押出製膜することにより作製することができる。
【0096】
ガスバリア層は、従来公知の接着剤や溶融樹脂層などを介して、積層することができる。
【0097】
(バリアコート層)
本発明の積層体は、蒸着膜上(第1のシーラント層と蒸着膜との間、または蒸着膜と基材との間)にバリアコート層をさらに備えることができる。これにより、積層体のガスバリア性を向上することができる。
【0098】
一実施形態において、バリアコート層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、並びに(メタ)アクリル樹脂などのガスバリア性樹脂から構成される。
【0099】
バリアコート層の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
バリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、ガスバリア性をより向上することができる。バリアコート層の厚さを10μm以下とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。また、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体とすることができる。
【0100】
バリアコート層は、上記材料を水または適当な溶剤に、溶解または分散させ、塗布、乾燥することにより形成することができる。
【0101】
また、他の実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物を、ゾルゲル法触媒、水および有機溶剤などの存在下で、ゾルゲル法によって重縮合して得られる金属アルコキシドの加水分解物または金属アルコキシドの加水分解縮合物などの樹脂組成物を少なくとも1種含むガスバリア性塗布膜である。
このようなバリアコート層を蒸着膜上に設けることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に防止することができる。
【0102】
一実施形態において、金属アルコキシドは、下記一般式で表される。
R1
nM(OR2)m
(ただし、式中、R1、R2は、それぞれ、炭素数1~8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。)
【0103】
金属原子Mとしては、例えば、珪素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムなどを使用することができる。
また、R1およびR2で表される有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基およびi-ブチル基などのアルキル基を挙げることができる。
【0104】
上記一般式を満たす金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)、テトラエトキシシラン(質量%)Si(OC2H5)4)、テトラプロポキシシラン(Si(OC3H7)4)、テトラブトキシシラン(Si(OC4H9)4)などが挙げられる。
【0105】
また、上記金属アルコキシドと共に、シランカップリング剤が使用されることが好ましい。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
【0106】
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましく、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性および耐候性という観点からは、これらを併用することが好ましい。
【0107】
ガスバリア性塗布膜の厚さは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。これにより、ガスバリア性をより向上することができる。
ガスバリア性塗布膜の厚さを0.01μm以上とすることにより、バリア性積層体の酸素バリア性および水蒸気バリア性を向上することができる。また、蒸着膜におけるクラックの発生を防止することができる。
ガスバリア性塗布膜の厚さを10μm以下とすることにより、また、モノマテリアル包装容器の作製に好適に使用することができる積層体20とすることができる。
【0108】
ガスバリア性塗布膜は、上記材料を含む組成物を、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの従来公知の手段により、塗布し、その組成物をゾルゲル法により重縮合することにより形成させることができる。
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好適である。
【0109】
上記組成物は、さらに酸を含んでいてもよい。酸は、ゾル-ゲル法の触媒、主としてアルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。
酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに酢酸、酒石酸などの有機酸が用いられる。
【0110】
また、上記組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどを用いることができる。
【0111】
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について以下に説明する。
まず、金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶媒および必要に応じてシランカップリング剤などを混合し、組成物を調製する。該組成物中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、蒸着膜上に、上記従来公知の方法により、該組成物を塗布、乾燥する。この乾燥により、アルコキシドおよび水溶性高分子(組成物が、シランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合反応がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。最後に、加熱することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
【0112】
(包装容器)
本発明の包装容器は、上記したシーラント性積層体30からなることを特徴とする。
【0113】
本発明の包装容器の具体例としては、ラミネートチューブ、包装袋および蓋材などを挙げることができる。
【0114】
(ラミネートチューブ)
一実施形態において、本発明の包装容器は、ラミネートチューブ30である。
以下、本発明のラミネートチューブ30について図面を参照しながら説明する。
図3はラミネートチューブ30の構成を簡略的に示す図であり、
図4は、
図3のa-a断面図である。
図3に示すように、ラミネートチューブ30は、頭部32と、胴部33とを備えるラミネートチューブ本体31を備え、該胴部33が上記積層体により構成されていることを特徴とする。
【0115】
(頭部)
頭部32は、胴部33の一端と連接した肩部34と、肩部34に連接した抽出口部35とを備える。
また、一実施形態において、注出口部35は、キャップ36を螺合するための螺条37を備える。
【0116】
一実施形態において、頭部32は、ポリエチレン樹脂により構成され、これにより、ラミネートチューブのリサイクル適性を向上することができる。ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂および超低密度ポリエチレン樹脂を使用することができる。
これらの中でも、保型性という観点からは、高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
また、ポリエチレン樹脂として、バイオマス由来のポリエチレン樹脂やメカニカルリサイクルまたはケミカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレン樹脂を使用することができる。
本発明の特定を損なわない範囲において、頭部43は上記添加剤を含んでいてもよい。
【0117】
頭部32の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。例えば、頭部32は、圧縮成形法(コンプレッション成形法)や射出成形法(インジェクション成形法)により製造すると共に、胴部と接合させることができる。
【0118】
圧縮成形法(コンプレッション成形法)を利用して、ラミネートチューブ30を製造する場合、上部に凸部を有する雄型に胴部33を装着した後、雄型と雌型を対向させ、雌雄内に、溶融したポリエチレン樹脂などの材料を供給し、圧縮成形して頭部32を成形すると共に胴部33の一方の開口に接合させることにより、頭部32と胴部33とからなるラミネートチューブ30を製造することができる。
また、射出成形法(インジェクション成形法)を用いてラミネートチューブ30を製造する場合、上部に凸部を有する雄型に胴部33を装着した後、雄型と雌型を対向させ、ゲートから溶融したポリエチレン樹脂などの材料を供給し、射出成形して頭部32を成形すると共に胴部33の一方の開口に接合させることにより、頭部32と胴部33とからなるラミネートチューブを製造することができる。
【0119】
(胴部)
本発明のラミネートチューブ本体31において、胴部33は、頭部32の肩部34に連接されている。
胴部33は、上記積層体を筒状に丸め、第1のシーラント層と、第2のシーラント層とを重ね合わせると共に、重合した部分をヒートシールすることにより形成される溶着部38を形成することにより得ることができる。
また、胴部33は、丸めた積層体の開口部をヒートシールすることにより形成された底シール部39を備える。
【0120】
ヒートシールする方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、火炎シールなどの従来公知の方法で行うことができる。
【0121】
(キャップ)
ラミネートチューブ30は、キャップ36を備えることができる。
キャップは、頭部の抽出口部に着脱可能に装着し、抽出口部を閉鎖する役割を担う。
キャップは、熱可塑性樹脂により構成される。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエステル、セルロース樹脂およびビニル樹脂などが挙げられるが、リサイクル性という観点からはポリエチレン樹脂が特に好ましい。
また、本発明の特性を損なわない範囲において、キャップ36は、上記添加剤を含むこともできる。
【0122】
キャップは、
図3に示すように、抽出口部35が有する螺条37に螺合するように、キャップ36内面に凹溝を有するスクリュータイプのものであってもよく、また、抽出口部37に打栓することにより嵌合される打栓タイプであってもよい。
【実施例0123】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において使用した材料は以下の通りである。
・ポリエチレン樹脂A:Dow Chemical社製、ELITE5960G、HDPE、密度0.962g/cm3、融点134℃、MFR0.85g/10min・ポリエチレン樹脂B:Dow Chemical社製、ELITE5538G、MDPE、密度0.941g/cm3、融点129℃、MFR1.3g/10min・ポリエチレン樹脂C:Dow Chemical社製、Affinity PL1880G、m-C8-LLDPE、密度0.902g/cm3、融点99℃、MFR1.0g/10min
・オレフィン系エラストマー樹脂A:Dow Chemical社製、INFUSE9100、オレフィン系ブロックコポリマー(ポリエチレンをハードブロックとして、α―オレフィン系エラストマー樹脂をソフトブロックとして備える)、密度0.877g/cm3、融点120℃、MFR1.0g/10min
【0124】
実施例1-1
ポリエチレン樹脂Bを、インフレーション成形法により2層共押出製膜し、第1ポリエチレン樹脂層(10μm)と、第2ポリエチレン樹脂層(115μm)とからなるフィルムを得た。
このフィルムを長手方向(MD)に、5倍延伸し、厚さ25μmの延伸基材を得た。延伸後の厚みは、第1ポリエチレン樹脂層2μm、第2ポリエチレン樹脂層23μmであった。
【0125】
上記のようにして作製した延伸基材の第1ポリエチレン樹脂層の面に、PVD法により、厚さ30nmのAl蒸着膜を形成し、蒸着基材を得た。なお、形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
【0126】
第1のシーラント層として、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製 ハイゼックス3300F、密度0.950g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
をインフレーション法により共押出製膜し、厚さ100μmの第1のシーラント層を得た。
このようにして得られた第1のシーラント層において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μm、高密度ポリエチレン樹脂により構成される層の厚さは60μm、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μmであった。
【0127】
基材の蒸着面に、ウレタン系接着剤(ロックペイント社製、RU004/H1)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着層を介して、第1のシーラント層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層側とを貼り合わせた。
【0128】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂E(Dow Chemical社製、Dowlex2045G、密度0.920g/cm3)と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、エバールH171B、密度1.17g/cm3、エチレン含有率38mol%)と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂E(Dow Chemical社製、Dowlex2045G、密度0.920g/cm3)と、
をインフレーション法により5層共押出成膜し、ガスバリア層を得た。
上記のようにして得られたガスバリア層は、厚さ17.5μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ15μmのエチレン-ビニルアルコール共重合体から構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ17.5μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層と、を備える総厚み60μmの5層構成を有するものであった。
【0129】
基材が備える非蒸着膜上に、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A、密度0.918g/cm3)を溶融押出し、厚さ20μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、ガスバリア層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eにより構成される層側を積層した。
【0130】
第2のシーラント層として、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、ハイゼックス3300F、密度0.950g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
をインフレーション法により共押出製膜し、厚さ100μmの第2のシーラント層を得た。
このようにして得られた第2のシーラント層において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μm、高密度ポリエチレン樹脂により構成される層の厚さは60μm、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μmであった。
【0131】
ガスバリア層が備える他方の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層上に、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A、密度0.918g/cm3)を溶融押出し、厚さ20μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、第2のシーラント層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層側と貼り合わせ、本発明の積層体を得た。
この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0132】
実施例1-2~1-5
第1のポリエチレン樹脂層の構成を、表1に示すように変更した以外は、実施例1-1と同様にして、積層体を作製した。
【表1】
【0133】
実施例2-1
ポリエチレン樹脂Bを、インフレーション成形法により3層共押出製膜し、第1ポリエチレン樹脂層(10μm)と、第2ポリエチレン樹脂層(105μm)と、第3ポリエチレン樹脂層(10μm)からなるフィルムを得た。
このフィルムを長手方向(MD)に、5倍延伸し、厚さ25μmの延伸基材を得た。延伸後の厚みは、第1ポリエチレン樹脂層2μm、第2ポリエチレン樹脂層21μm、第3ポリエチレン樹脂層2μmであった。
【0134】
上記のようにして作製した延伸基材の第1ポリエチレン樹脂層の面に、PVD法により、厚さ30nmのAl蒸着膜を形成し、蒸着基材を得た。なお、形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
【0135】
第1のシーラント層として、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製 ハイゼックス3300F、密度0.950g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
をインフレーション法により共押出製膜し、厚さ100μmの第1のシーラント層を得た。
このようにして得られた第1のシーラント層において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μm、高密度ポリエチレン樹脂により構成される層の厚さは60μm、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μmであった。
【0136】
基材の蒸着面に、ウレタン系接着剤(ロックペイント社製、RU004/H1)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着層を介して、第1のシーラント層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層側とを貼り合わせた。
【0137】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂E(Dow Chemical社製、Dowlex2045G、密度0.920g/cm3)と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、エバールH171B、密度1.17g/cm3、エチレン含有率38mol%)と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂E(Dow Chemical社製、Dowlex2045G、密度0.920g/cm3)と、
をインフレーション法により5層共押出成膜し、ガスバリア層を得た。
上記のようにして得られたガスバリア層は、厚さ17.5μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ15μmのエチレン-ビニルアルコール共重合体から構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ17.5μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層と、を備える総厚み60μmの5層構成を有するものであった。
【0138】
基材が備える非蒸着膜上に、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A、密度0.918g/cm3)を溶融押出し、厚さ20μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、ガスバリア層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eにより構成される層側を積層した。
【0139】
第2のシーラント層として、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、ハイゼックス3300F、密度0.950g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
をインフレーション法により共押出製膜し、厚さ100μmの第2のシーラント層を得た。
このようにして得られた第2のシーラント層において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μm、高密度ポリエチレン樹脂により構成される層の厚さは60μm、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μmであった。
【0140】
ガスバリア層が備える他方の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層上に、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A、密度0.918g/cm3)を溶融押出し、厚さ20μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、第2のシーラント層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層側と貼り合わせ、本発明の積層体を得た。
この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0141】
実施例2-2~2-5
第1および第3のポリエチレン樹脂層の構成を、表2に示すように変更した以外は、実施例2-1と同様にして、積層体を作製した。
【表2】
【0142】
実施例3-1
ポリエチレン樹脂Bを、インフレーション成形法により単層押出製膜し、第1ポリエチレン樹脂層(125μm)からなるフィルムを得た。
このフィルムを長手方向(MD)に、5倍延伸し、厚さ25μmの延伸基材を得た。
【0143】
上記のようにして作製した延伸基材の第1ポリエチレン樹脂層の面に、PVD法により、厚さ30nmのAl蒸着膜を形成し、蒸着基材を得た。なお、形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
【0144】
第1のシーラント層として、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製 ハイゼックス3300F、密度0.950g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
をインフレーション法により共押出製膜し、厚さ100μmの第1のシーラント層を得た。
このようにして得られた第1のシーラント層において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μm、高密度ポリエチレン樹脂により構成される層の厚さは60μm、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μmであった。
【0145】
基材の蒸着面に、ウレタン系接着剤(ロックペイント社製、RU004/H1)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着層を介して、第1のシーラント層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層側とを貼り合わせた。
【0146】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂E(Dow Chemical社製、Dowlex2045G、密度0.920g/cm3)と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、エバールH171B、密度1.17g/cm3、エチレン含有率38mol%)と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂E(Dow Chemical社製、Dowlex2045G、密度0.920g/cm3)と、
をインフレーション法により5層共押出成膜し、ガスバリア層を得た。
上記のようにして得られたガスバリア層は、厚さ17.5μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ15μmのエチレン-ビニルアルコール共重合体から構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ17.5μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層と、を備える総厚み60μmの5層構成を有するものであった。
【0147】
基材が備える非蒸着膜上に、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A、密度0.918g/cm3)を溶融押出し、厚さ20μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、ガスバリア層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eにより構成される層側を積層した。
【0148】
第2のシーラント層として、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、ハイゼックス3300F、密度0.950g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
をインフレーション法により共押出製膜し、厚さ100μmの第2のシーラント層を得た。
このようにして得られた第2のシーラント層において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μm、高密度ポリエチレン樹脂により構成される層の厚さは60μm、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μmであった。
【0149】
ガスバリア層が備える他方の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層上に、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A、密度0.918g/cm3)を溶融押出し、厚さ20μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、第2のシーラント層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層側と貼り合わせ、本発明の積層体を得た。
この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0150】
実施例3-2~3-5
第1のポリエチレン樹脂層の構成を、表3に示すように変更した以外は、実施例3-1と同様にして、積層体を作製した。
【表3】
【0151】
実施例4-1
ポリエチレン樹脂Bをインフレーション成形法により5層共押出製膜し、第1ポリエチレン樹脂層(10μm)と、第2~4ポリエチレン樹脂層(46.5μm)と、第5ポリエチレン樹脂層(6μm)からなる5層のチューブ状となるように、共押出し、
次いで、内層である第5ポリエチレン樹脂層同士を、これをゴムロールにより、圧着し、ブロックフィルムを得た。ブロックフィルムは、第1ポリエチレン樹脂層(10μm)、第2~4ポリエチレン樹脂層(46.5μm)、第5ポリエチレン樹脂層(12μm)、第2~4ポリエチレン樹脂層(46.5μm)、第1ポリエチレン樹脂層(10μm)により構成されるものであった。
【0152】
このブロックフィルムを、長手方向(MD)に、5倍の延伸倍率で延伸し、厚さ25μmの延伸基材フィルムを得た。延伸後の厚みは、第1ポリエチレン樹脂層2μm、第2~4ポリエチレン樹脂層9.3μm、第5ポリエチレン樹脂層2.4μm、第2~4ポリエチレン樹脂層9.3μm、第1ポリエチレン樹脂層2μmであった。
であった。
【0153】
上記のようにして作製した延伸基材の第1ポリエチレン樹脂層の面に、PVD法により、厚さ30nmのAl蒸着膜を形成し、蒸着基材を得た。なお、形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
【0154】
第1のシーラント層として、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製 ハイゼックス3300F、密度0.950g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社製、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
をインフレーション法により共押出製膜し、厚さ100μmの第1のシーラント層を得た。
このようにして得られた第1のシーラント層において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μm、高密度ポリエチレン樹脂により構成される層の厚さは60μm、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μmであった。
【0155】
基材の蒸着面に、ウレタン系接着剤(ロックペイント社製、RU004/H1)を塗布、乾燥し、厚さ3μmの接着剤層を形成すると共に、この接着層を介して、第1のシーラント層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層側とを貼り合わせた。
【0156】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂E(Dow Chemical社製、Dowlex2045G、密度0.920g/cm3)と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、エバールH171B、密度1.17g/cm3、エチレン含有率38mol%)と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂E(Dow Chemical社製、Dowlex2045G、密度0.920g/cm3)と、
をインフレーション法により5層共押出成膜し、ガスバリア層を得た。
上記のようにして得られたガスバリア層は、厚さ17.5μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ15μmのエチレン-ビニルアルコール共重合体から構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ17.5μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層と、を備える総厚み60μmの5層構成を有するものであった。
【0157】
基材が備える非蒸着膜上に、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A、密度0.918g/cm3)を溶融押出し、厚さ20μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、ガスバリア層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eにより構成される層側を積層した。
【0158】
第2のシーラント層として、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、ハイゼックス3300F、密度0.950g/cm3)と、
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂D(Dow Chemical社、Dowlex2098P、密度0.926g/cm3)と、
をインフレーション法により共押出製膜し、厚さ100μmの第2のシーラント層を得た。
このようにして得られた第2のシーラント層において、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μm、高密度ポリエチレン樹脂により構成される層の厚さは60μm、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層の厚さは20μmであった。
【0159】
ガスバリア層が備える他方の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Eから構成される層上に、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、ノバテックLC600A、密度0.918g/cm3)を溶融押出し、厚さ20μmの溶融押出ポリエチレン層を形成すると共に、この溶融押出ポリエチレン層を介して、第2のシーラント層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂Dにより構成される層側と貼り合わせ、本発明の積層体を得た。
この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0160】
実施例4-2~4-5
第1のポリエチレン樹脂層の構成を、表4に示すように変更した以外は、実施例4-1と同様にして、積層体を作製した。
【表4】
【0161】
実施例5-1
直鎖状低密度ポリエチレン(Dow Chemical社、Dowlex2045G、密度0.920g/cm3)と、相溶化剤(Dow Chemical社、無水マレイン酸変性ポリエチレン、リテイン3000、密度0.870g/cm3)とを、直鎖状低密度ポリエチレン:相溶化剤=93質量%:7質量%の比率でブレンドし、ブレンド樹脂を準備した。
【0162】
上記で準備したブレンド樹脂と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、エバールH171B、密度1.17g/cm3、エチレン含有率38mol%)と、
接着性樹脂(三井化学社製、アドマーNF557、密度0.903g/cm3)と、
ブレンド樹脂と、
をインフレーション法により5層共押出成膜し、ガスバリア層を得た。
【0163】
上記のようにして得られたガスバリア層は、厚さ17.5μmのブレンド樹脂から構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ15μmのエチレン-ビニルアルコール共重合体から構成される層と、厚さ5μmの接着性樹脂から構成される層と、厚さ17.5μmのブレンド樹脂から構成される層と、を備える総厚み60μmの5層構成を有するものであった。
【0164】
ガスバリア層を上記のようにして作製したものに変更した以外は、実施例1-1と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0165】
実施例5-2
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例1-2と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0166】
実施例5-3
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例1-3と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0167】
実施例5-4
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例1-4と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0168】
実施例5-5
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例1-5と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0169】
実施例6-1
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例2-1と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0170】
実施例6-2
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例2-2と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0171】
実施例6-3
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例2-3と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0172】
実施例6-4
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例2-4と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0173】
実施例6-5
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例2-5と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0174】
実施例7-1
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例3-1と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0175】
実施例7-2
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例3-2と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0176】
実施例7-3
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例3-3と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0177】
実施例7-4
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例3-4と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0178】
実施例7-5
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例3-5と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0179】
実施例8-1
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例4-1と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0180】
実施例8-2
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例4-2と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0181】
実施例8-3
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例4-3と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0182】
実施例8-4
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例4-4と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0183】
実施例8-5
ガスバリア層を実施例5-1で作製したものに変更した以外は、実施例4-5と同様にして、本発明の積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、90質量%であった。
【0184】
比較例1
基材を厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡製、エステルフィルムE5100)とした以外は実施例1-1と同様にして積層体を作製した。この積層体におけるポリエチレンの含有量は、85質量%であった。
【0185】
(チューブ容器の作製)
上記のようにして得られた積層体を、ボビンカッターを用いて幅120mmのスリットに加工し、幅方向の両端を、重ね幅が約1.5mmとなるようにして重ね合わせた後に、重ね合わせた両端どうしを熱融着することにより、筒貼りした円筒状の原反を得た。得られた原反を長さ方向122mmとなるように切断してチューブ容器の胴部となる筒状胴部を作製した。
【0186】
筒状胴部をチューブ容器成形用のマンドレルに装着し、筒状胴部の一方の端部に、円錐台形状の肩部とそれに連続する筒上の抽出口部からなる頭部を、高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製 ノバテック HJ360、密度0.951g/cm
3)を射出成形法により成形し、
図3に示すようなチューブ容器を作製した。
得られたチューブ容器本体の頭部の注出口部は、外径を13mm、高さを1.5mmとし、注出口部の側面には螺条を設けた。また、肩部の外径は38mmとした。
【0187】
次いで、上記高密度ポリエチレンをキャップ成形用の金型内に射出すると共に、成形し、キャップを作製し、本発明のチューブ容器を得た。
【0188】
<<リサイクル性評価>>
上記実施例および比較例において得られた積層体のリサイクル性を下記評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表5にまとめた。
(評価基準)
○:積層体における同一ポリオレフィンの含有量が90質量%以上であった。
×:積層体における同一ポリオレフィンの含有量が90質量%未満であった。
【0189】
<<肩部接着強度>>
胴部と肩部の接着箇所より裾部方向に15mm幅で帯状にカットして試験片を得た。
この試験片を、引張試験機(オリエンテック社製、RTC-1310A)にて試験速度300mm/minで引っ張り、胴部が肩部から剥離する際の剥離強度を測定した。測定結果を表5にまとめた。
【0190】
<<サイドシーム強度>>
胴部のサイドシーム(重なっている箇所)に対し垂直方向に15mm幅で帯状にカットして引張試験機にて試験速度300mm/minで引っ張り、破断する際の強度を測定した。測定結果を表5にまとめた。
【0191】
<<漏れ性評価>>
チューブ容器本体の抽出口部にキャップを螺旋し、次いで、筒状胴部の開口部から、内容物として市販の歯磨きペースト120gを充填し、次いで、筒状胴部の開口部をヒートシールした。なお、キャップ閉栓時の設定締めトルクは、4.7kg・cmとした。室温環境下にて2週間放置し、1日毎に内容物の漏れがないか目視にて確認した。漏れ性の評価基準は以下の通りとした。
(評価基準)
〇:2週間経過した後でも、内容物の漏れが見られなかった
×:2週間経過前に、内容物の漏れが見られた
【0192】
10:積層体、11:第1のシーラント層、12:蒸着膜、13:基材、14:ガスバリア層、15:第2のシーラント層、16:第1のポリオレフィン樹脂層、17:接着性樹脂層、18:ガスバリア性樹脂を含む層、19:接着性樹脂層、20:第2のポリオレフィン樹脂層、30:ラミネートチューブ、31:ラミネートチューブ本体、32:頭部、33:胴部、34:肩部、35:注出口部、36:キャップ、37:螺条、38:溶接部、39:底シール部