(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155989
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】商品販売データ処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20241024BHJP
G07G 1/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G07G1/12 361E
G07G1/12 351D
G07G1/12 321Z
G07G1/12 301E
G07G1/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024145136
(22)【出願日】2024-08-27
(62)【分割の表示】P 2023183382の分割
【原出願日】2018-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 喜久雄
(57)【要約】
【課題】まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを柔軟に設定することが可能な商品販売データ処理装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】登録部(登録手段)が、客に販売する商品の登録処理を実行して、選択部(選択手段)が、まとめ販売の対象であるかを示す情報に基づいて、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する。そして、割引設定部(割引手段)は、選択部が選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定して、更新部(更新手段)は、選択部が、より大きい値引額となる商品の組み合わせを選択した場合に、商品の組み合わせと値引額とを更新する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客に販売する商品の登録処理を実行する登録手段と、
まとめ販売の対象であるかを示す情報に基づいて、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定する割引手段と、
前記選択手段が、より大きい値引額となる商品の組み合わせを選択した場合に、商品の組み合わせと値引額とを更新する更新手段と、
を備える商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記選択手段と、前記割引手段と、前記更新手段とは、前記登録手段が商品を登録する度に動作する、
ことを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、
前記登録手段が商品を登録する度に、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択するとともに、
前記更新手段が商品の組み合わせを更新した場合に、登録処理された商品のうち、まとめ販売の組み合わせになっていない商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
まとめ販売の対象として選択された商品の組み合わせを含む情報を、商品販売データ処理装置を操作するキャッシャに対して表示するキャッシャ側表示手段と、
まとめ販売の対象として選択された商品の組み合わせを含む情報を、客に対して表示する客側表示手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
まとめ販売の対象として選択された商品の組み合わせを含む情報を、レシートに印字して発行する印字手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
商品販売データ処理装置を、
客に販売する商品の登録処理を実行する登録手段と、
まとめ販売の対象であるかを示す情報に基づいて、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定する割引手段と、
前記選択手段が、より大きい値引額となる商品の組み合わせを選択した場合に、商品の組み合わせと値引額とを更新する更新手段と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、商品販売データ処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の小売店舗において、規定の商品を組み合わせて購入する、いわゆるまとめ買いを行った場合に、個々の商品を通常の価格で購入する場合と比べて、より安価に購入できるまとめ販売を行う例がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような従来のまとめ販売にあっては、商品の組み合わせが1通りに決まっていた。したがって、例えば、商品Aと商品Bとを組み合わせて購入した場合の値引額と、商品Aと商品Cとを組み合わせて購入した場合の値引額とを異なる値引額に設定することができなかった。そのため、まとめ販売を行う商品の組み合わせが制限されてしまうため、サービスの柔軟性に欠けるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを柔軟に設定することが可能な商品販売データ処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態の商品販売データ処理装置は、登録手段と、選択手段と、割引手段と、更新手段とを備える。登録手段は、客に販売する商品の登録処理を実行する。選択手段は、まとめ販売の対象であるかを示す情報に基づいて、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する。割引手段は、選択手段が選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定する。更新手段は、選択手段が、より大きい値引額となる商品の組み合わせを選択した場合に、商品の組み合わせと値引額とを更新する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る商品販売データ処理装置の一例であるPOS端末装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、POS端末装置のハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
【
図3】
図3は、POS端末装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、値引マスタの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、まとめ値引を行う際の値引額の設定方法を示す図である。
【
図6】
図6は、POS端末装置が行う処理のうち、客が購入する商品を登録する商品登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図4の値引マスタで設定された商品を登録する際に、POS端末装置が行う商品登録処理の具体的な流れを示す図である。
【
図8】
図8は、POS端末装置がキャッシャ側表示操作部に表示する画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、POS端末装置が客側表示部に表示する画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、POS端末装置の印字制御部が印字して発行するレシートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態である商品販売データ処理装置について説明する。
【0008】
(商品販売データ処理装置の全体構成の説明)
図1は、本実施の形態に係る商品販売データ処理装置の一例であるPOS(Point Of Sales)端末装置10の外観を示す斜視図である。POS端末装置10は、キーボード4と、キャッシャ側表示手段の一例であるキャッシャ側表示操作部5と、レシートプリンタ6と、客側表示手段の一例である客側表示部7と、バーコードリーダー8とを備えている。
【0009】
ユーザインタフェースであるキーボード4およびキャッシャ側表示操作部5は、POS端末装置10の上面に、キーボード4が手前側、キャッシャ側表示操作部5が奥側に配されている。
【0010】
キーボード4は、入力装置の一部であり、置数キー、クリアキー、戻りキー、小計キー、締めキー等の複数のキーを備えている。置数キーは、商品コードや金額等の数値を入力するためのテンキーである。クリアキーは、エラー発生時等に操作を取り消すためのキーである。戻りキーは、現在の操作をキャンセルして直前の画面に戻すためのキーである。小計キーは、商品を登録する商品登録処理を完了して、取引合計額の算出を宣言するためのキーである。締めキーは、入力された内容を確定して決済処理(会計処理)を行う場合に押下するキーである。
【0011】
キャッシャ側表示操作部5は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネル5a等の表示デバイスと、当該表示デバイスの表面に積層されたタッチパネル5bとを備えている。LCDパネル5aは、キャッシャに対して、登録処理および決済処理等の処理状態に応じた画面を表示する。タッチパネル5bは、LCDパネル5aに表示された画面、またはボタン等に対するキャッシャの押下動作を検出して、押下された位置に応じて、POS端末装置10の動作を制御する。
【0012】
レシートプリンタ6は、POS端末装置10の上面左側に配されて、顧客に手渡す明細票およびレシート(領収証)を印字する。またレシートプリンタ6は、発行口6aを備えて、印字したレシートを発行する。
【0013】
客側表示部7は、LCDパネル(
図2参照)で構成されており、POS端末装置10の上面奥側に設けられている。客側表示部7は、表示面を客に向けて配置され、登録した商品の金額、値引額、取引合計額、値引合計額等を表示する。なお、以下では、客側表示部7をLCDパネル7として記載する場合がある。
【0014】
さらに、POS端末装置10には、商品に貼付されたバーコードから、当該バーコードが保持するコードデータを読み取るバーコードリーダー8が接続されている。バーコードリーダー8は、コードデータの受光信号をデコード(復号)して、バーコードが表現しているコードデータ(商品を特定する商品コード)を取得し、POS端末装置10のCPU22(
図2参照)に出力する。
【0015】
(POS端末装置のハードウェア構成の説明)
次に、
図2を用いて、POS端末装置10のハードウェア構成について説明する。
図2は、POS端末装置10のハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
図2に示すように、POS端末装置10は、各部を制御するための制御部20を備える。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)22と、ROM(Read Only Memory)24と、RAM(Random Access Memory)26とを備える、一般的なコンピュータの構成を有する。CPU22は、ROM24や記憶部30に記憶された各種プログラムを、RAM26に展開する。CPU22は、RAM26に展開された各種プログラムに従って動作して、POS端末装置10の全体の制御を司る。
【0016】
制御部20は、バスライン40を介して、記憶部30と、コントローラ50と接続する。
【0017】
記憶部30は、電源を切っても記憶情報が保持されるフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部30は、制御プログラムP1を含むプログラム等を記憶する。制御プログラムP1は、POS端末装置10が備える機能を発揮させるためのプログラムである。また、記憶部30は、値引マスタ32を記憶する。値引マスタ32は、商品コードと商品の名称、商品の価格等とを対応付けて記憶するとともに、まとめ買いをすると値引になる商品の組み合わせと、値引額とを記憶したマスタファイルである。なお、値引マスタ32の内容は日々更新されるため、POS端末装置10は、
図2に不図示の通信インタフェースを介して、値引マスタ32の最新の内容を店舗サーバから定期的に受信する。
【0018】
コントローラ50は、制御部20と、各種周辺機器、すなわち、LCDパネル5aと、タッチパネル5bと、LCDパネル7と、キーボード4と、バーコードリーダー8と、レシートプリンタ6とを接続する。コントローラ50は、制御部20からの指令に基づいて、接続された各種周辺機器を制御する。
【0019】
(POS端末装置の機能構成の説明)
次に、
図3を用いて、POS端末装置10の機能構成について説明する。
図3は、POS端末装置10の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0020】
制御部20のCPU22(
図2参照)は、記憶部30が記憶している制御プログラムP1を読み出して、RAM26に展開する。制御部20は、制御プログラムP1に従って動作することで、
図3に示す各機能部を、RAM26上に生成する。具体的には、制御部20は、機能部として、登録部20aと、選択部20bと、割引設定部20cと、更新部20dと、表示制御部20eと、印字制御部20fとを実現する。
【0021】
登録部20aは、登録手段の一例であり、客に販売する商品の登録処理を実行する。
【0022】
選択部20bは、選択手段の一例であり、値引マスタ32が有する、まとめ販売の対象であるかを示す情報に基づいて、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する。
【0023】
割引設定部20cは、割引手段の一例であり、選択部20bが選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定する。より具体的には、割引設定部20cは、値引マスタ32を参照することによって、選択部20bが選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定する。
【0024】
更新部20dは、更新手段の一例であり、選択部20bが、より大きい値引額となる商品の組み合わせを選択した場合に、商品の組み合わせと値引額とを更新する。
【0025】
表示制御部20eは、選択された、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを含む情報を、キャッシャ側表示操作部5に表示する。また、表示制御部20eは、選択された、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを含む情報を、客側表示部7に表示する。
【0026】
印字制御部20fは、印字手段の一例であり、選択された、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを含む情報を、レシートに印字して発行する。
【0027】
(値引マスタの構成の説明)
次に、
図4を用いて、値引マスタ32の構成について説明する。
図4は、値引マスタ32の構成の一例を示す図である。
【0028】
値引マスタ32は、
図4に示すように、商品の識別情報32bと、対象の区分32cと、組合せ成立時の値引額32dと、キャンペーン名称32eの各情報を記憶している。そして、同じ企画に属する組合せ商品には、組合せ企画のID番号32aとして同一のID番号が付与されている。
【0029】
商品の識別情報32bは、さらに、商品コード34aと、商品名称34bと、単価34cとを記憶している。商品コード34aは、例えばJAN(Japanese Article Number)コードであり、各商品に付与された固有の識別番号である。商品名称34bは、各商品の名称である。単価34cは、各商品の単価である。
【0030】
対象の区分32cは、各商品に対して、条件商品か、値引対象商品か、いずれにも該当しないかのいずれかの情報が格納されている。条件商品とは、まとめ値引の対象となる商品である。値引対象商品とは、条件商品とまとめて購入することで、まとめ値引の対象となる商品である。そして、条件商品と、値引対象商品と、のいずれにも該当しない場合には、対象の区分32cは空欄となる。
【0031】
組合せ成立時の値引額32dは、条件商品と値引対象商品とをまとめて購入した際の値引額を示す。
【0032】
キャンペーン名称32eは、まとめ値引を行うサービスの名称等を表す。
【0033】
(まとめ値引の考え方の説明)
次に、
図5を用いて、まとめ値引の考え方について説明する。
図5は、まとめ値引を行う際の値引額の設定方法を示す図である。
【0034】
例えば、条件商品である弁当Aと、値引対象商品である飲料Aと飲料Bとをまとめ買いしたとする。このとき、前記した値引マスタ32(
図4参照)の内容を参照すると、
図5(a)に示すように、まとめ値引が可能な商品の組み合わせが2種類成立する(弁当Aと飲料A、弁当Aと飲料B)。このような場合は、値引額がより大きい商品の組み合わせを成立させるものとする。すなわち、
図5(b)に示すように、弁当Aと飲料Bの組み合わせを成立させるものとする。そして、この場合、商品の組み合わせから外れた飲料Aは、値引なし(150円)で販売される。
【0035】
また、
図5には図示しないが、同一の値引対象商品を複数登録した場合は、複数登録された同一の値引対象商品の各々に対して、組み合わせを成立させる条件商品を探索する。
【0036】
(POS端末装置が行う商品登録処理の流れの説明)
次に、
図6を用いて、POS端末装置10の制御部20が、制御プログラムP1に基づいて行う処理の流れについて説明する。
図6は、POS端末装置10が行う処理のうち、客が購入する商品を登録する商品登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0037】
登録部20aは、客が購入する商品を1点登録する(ステップS10)。
【0038】
選択部20bは、ステップS10で登録された1点の商品と、既に登録済の商品との間で、まとめ販売可能な商品の組み合わせを選択する(ステップS12)。
【0039】
さらに、割引設定部20cは、値引額がより大きい商品の組み合わせがあるかを判定する(ステップS14)。値引額がより大きい商品の組み合わせがあると判定される(ステップS14:Yes)と、ステップS16に移行する。一方、値引額がより大きい商品の組み合わせがあると判定されない(ステップS14:No)と、ステップS20に移行する。
【0040】
ステップS16において、更新部20dは、商品の組み合わせを更新する。
【0041】
次に、選択部20bは、ステップS16において組み合わせから外れた商品について、まとめ値引が可能な商品の組み合わせを再選択する(ステップS18)。
【0042】
表示制御部20eは、ステップS18で選択された商品の組み合わせを含む全ての選択結果を、キャッシャ側表示操作部5と客側表示部7に表示する(ステップS20)。
【0043】
登録部20aは、全ての商品の登録が完了したかを判定する(ステップS22)。具体的には、例えば、キーボード4に備えられた締めキーが押下されたことを検出して、全ての商品の登録が完了したかを判定する。全ての商品の登録が完了したと判定される(ステップS22:Yes)と、
図6の処理を終了する。一方、全ての商品の登録が完了したと判定されない(ステップS22:No)と、ステップS10に戻って、次の商品の登録を行う。
【0044】
なお、図示はしないが、
図6に示す商品登録処理が終了した後で、POS端末装置10は、商品登録した内容で決済を行う決済処理と、決済した内容をレシートに印字して発行するレシート印字処理とを行う。
【0045】
(商品登録処理の具体的な流れの説明)
次に、
図7を用いて、POS端末装置10の制御部20が、制御プログラムP1に基づいて行う処理の流れについて説明する。
図7は、
図4の値引マスタ32で設定された商品を登録する際に、POS端末装置10が行う商品登録処理の具体的な流れを示す図である。
【0046】
図7(a)から
図7(d)は、POS端末装置10が前記した商品登録処理を行う際に、制御部20が備えるRAM26に記憶される、商品登録処理の途中経過の一例を示している。
【0047】
まず、弁当Aを登録すると、
図7(a)に示すように、商品名称である「弁当A」と、弁当Aの金額である「800円」とがRAM26に登録される。そして、POS端末装置10は、次の商品の登録を待つ。
【0048】
続いて弁当Bを登録すると、
図7(b)に示すように、商品名称である「弁当B」と、弁当Bの金額である「1000円」とがRAM26に登録される。さらに、RAM26には取引合計額である「1800円」が登録される。そして、POS端末装置10は、次の商品の登録を待つ。
【0049】
次に飲料Aを登録すると、
図7(c)に示すように、商品名称である「飲料A」が登録される。そして、「飲料A」は値引対象商品であるため、選択部20bは、既に登録された商品の中から、「飲料A」と組み合わせて購入することでまとめ値引が適用される商品を選択する。このとき、選択部20bは登録された順に商品の選択を行うため、最初に登録した「弁当A」が選択される。そして、割引設定部20cは、まとめ値引による値引額が「30円」であると算出する。さらに、算出された値引額である「30円」と、値引によって「飲料A」の金額が「120円」になることと、がRAM26に登録される。また、「飲料A」と「弁当A」とがまとめ販売の対象となる商品の組み合わせであることを示す情報が、RAM26の企画の欄に登録される。具体的には、企画の欄にアルファベット順にa、b、…が登録される。さらに、RAM26には、取引合計額である「1920円」と、値引合計額である「30円」とが登録される。
【0050】
次に飲料Bを登録すると、
図7(d)に示すように、商品名称である「飲料B」が登録される。そして、「飲料B」は値引対象商品であるため、選択部20bは、既に登録された商品の中から、「飲料B」と組み合わせて購入することでまとめ値引が適用される商品を選択する。このとき、選択部20bは登録された順に商品の選択を行うため、最初に登録した「弁当A」が選択される。そして、割引設定部20cは、「飲料B」と「弁当A」とのまとめ値引による値引額が「50円」であると算出する。割引設定部20cは、算出された値引額である「50円」が、
図7(c)で算出された値引額である「30円」よりも大きいことに基づいて、「飲料B」と「弁当A」とを新たな商品の組み合わせとして選択する。そして、更新部20dは、企画の欄の「飲料A」と「弁当A」に付与された情報「a」を削除して、「飲料B」と「弁当A」とに、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせであることを示す情報「a」を付与する。これによって、「飲料B」と「弁当A」とが、新たな商品の組み合わせとして選択される。
【0051】
さらに、選択部20bは、企画の欄が空欄である値引対象商品の「飲料A」と、まとめ販売の対象となる商品が登録されているかを再選択する。
図7(d)の例では、「飲料A」と「弁当B」とがまとめ販売の対象となる商品の組み合わせとして選択される。そして、割引設定部20cは、「飲料A」と「弁当B」とのまとめ値引による値引額が「30円」であると算出する。更新部20dは、「飲料A」と「弁当B」とに、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせであることを示す情報「b」を付与する。これによって、「飲料A」と「弁当B」とが、新たな商品の組み合わせとして選択される。さらに、RAM26には、取引合計額である「2070円」と、値引合計額である「80円」とが登録される。
【0052】
このように、POS端末装置10は、新たな商品が登録される度に、まとめ販売の対象となる商品の選択と、割引額の設定と、商品の組み合わせの更新と、まとめ販売の対象となる商品の再選択とを繰り返す。
【0053】
(キャッシャ側表示操作部に表示される画面の説明)
次に、
図8を用いて、キャッシャ側表示操作部5に表示される画面について説明する。
図8は、POS端末装置10がキャッシャ側表示操作部5に表示する画面の一例を示す図である。
【0054】
表示制御部20eは、新たな商品が登録される度に、キャッシャ側表示操作部5に、登録商品情報60を表示する。登録商品情報60は、部門60aと、商品名60bと、単価60cと、点数60dと、値引60eと、金額60fとを含む。
【0055】
部門60aの欄には、まとめ販売の対象として選択された商品の組み合わせであることを示す情報が、例えばアルファベット順(a、b、…)で表示される。商品名60bの欄には、値引マスタ32(
図4参照)に登録された商品名称が表示される。単価60cの欄には、値引マスタ32に登録された商品の単価が表示される。点数60dの欄には、登録部20a(
図3参照)が登録した商品の点数が表示される。値引60eの欄には、値引マスタ32に登録された、組み合わせ成立時の値引額32dにマイナスの符号を付した金額が表示される。金額60fの欄には、値引額を考慮した商品の金額が表示される。
【0056】
なお、商品名60bの欄には、商品名とともに、まとめ値引のキャンペーン名称が併せて表示される。キャンペーン名称は、商品名称と対応付けられて値引マスタ32に登録されているキャンペーン名称32e(
図4参照)が読み出されて表示される。
【0057】
なお、キャッシャ側表示操作部5の下部には、登録された商品の合計点数と、客からの預かり金額と、釣銭額とが表示される。また、キャッシャ側表示操作部5の最下部にはメッセージ枠62が設けられる。表示制御部20eは、メッセージ枠62に、キャッシャに対して必要な情報を表示する。例えば、
図8に示すように、「お釣りをお渡しください。」等の表示を行うことによって、キャッシャの作業を支援する。
【0058】
(客側表示部に表示される画面の説明)
次に、
図9を用いて、客側表示部7に表示される画面について説明する。
図9は、POS端末装置10が客側表示部7に表示する画面の一例を示す図である。
【0059】
表示制御部20eは、新たな商品が登録される度に、客側表示部7に、登録商品情報70を表示する。登録商品情報70は、部門70aと、商品名70bと、単価70cと、点数70dと、値引70eと、金額70fを含む。
【0060】
部門70aの欄には、まとめ販売の対象として選択された商品の組み合わせであることを示す情報が、例えばアルファベット順(a、b、…)で表示される。商品名70bの欄には、登録された商品名称が表示される。単価70cの欄には、商品の単価が表示される。点数70dの欄には、登録された商品の点数が表示される。値引70eの欄には、値引額が表示される。金額70fの欄には、値引額を考慮した商品の金額が表示される。
【0061】
なお、登録商品情報70は、最初にまとめ販売の対象として選択されなかった商品を表示して、その後にまとめ販売の対象として選択された商品を表示する。具体的には、
図9に示すように、1行目にまとめ販売の対象として選択されなかった商品である「飲料C」を表示する。そして、2行目と3行目、すなわち隣接する行に第1の組み合わせである「弁当A」と「飲料A」とを表示して、4行目と5行目、すなわち隣接する行に第2の組み合わせである「弁当B」と「飲料B」とを表示する。このような順で登録商品情報70を表示することによって、客は、まとめ販売による値引が行われていることを、容易に認識することができる。
【0062】
また、客側表示部7の最下部にはメッセージ枠72が設けられる。表示制御部20eは、メッセージ枠72に必要な情報を表示する。例えば、
図9に示すように、「値引額は暫定値です。値引額は商品の登録に応じて更新されます。」等の表示を行うことによって、客の理解を深める。
【0063】
なお、キャッシャ側表示操作部5に表示する登録商品情報60と、客側表示部7に表示する登録商品情報70とは、書式を変えて表示する例を示したが、これらは表示形態の一例であって、登録商品情報60と登録商品情報70とを同じ書式で表示しても構わない。
【0064】
(レシートプリンタが印字するレシートの説明)
次に、
図10を用いて、レシートプリンタ6が印字して発行するレシートについて説明する。
図10は、POS端末装置10の印字制御部20f(
図3参照)が印字して発行するレシート90の一例を示す図である。
【0065】
印字制御部20fは、レシート90に、客が購入した商品名92a、92b、92cと、まとめ販売による割引がなされたことを示すキャンペーン情報94a、94bとを含む情報を印字する。
【0066】
商品名92a、92b、92cは、組み合わせが成立しなかった商品が先に(レシート90の上部に)印字される。組み合わせが成立しなかった商品とは、まとめ販売の非対象商品、および、まとめ販売の対象となる条件商品と値引対象商品のうち、組み合わせが成立しなかった商品である。例えば、
図10の例では、まとめ販売の非対象商品である商品名92aが先に印字される。
【0067】
その後、印字制御部20fは、組み合わせが成立した商品名を連続して印字する。
図10の例では、商品名92bとして、「弁当A」と「飲料A」とが連続して印字される。また、商品名92cとして、「弁当B」と「飲料B」とが連続して印字される。
【0068】
さらに、印字制御部20fは、商品名92bの後に、キャンペーン情報94aを印字する。また、商品名92cの後に、キャンペーン情報94bを印字する。なお、キャンペーン情報94a、94bは、キャンペーン名称と、まとめ販売による値引額とを含む。
【0069】
なお、印字制御部20fは、その他に、小計、合計、預かり額、釣り銭額等をレシート90に印字する。
【0070】
以上説明したように、実施の形態のPOS端末装置10(商品販売データ処理装置)によれば、登録部20a(登録手段)が、客に販売する商品の登録処理を実行して、選択部20b(選択手段)が、まとめ販売の対象であるかを示す情報に基づいて、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する。そして、割引設定部20c(割引手段)は、選択部20bが選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定して、更新部20d(更新手段)は、選択部20bが、より大きい値引額となる商品の組み合わせを選択した場合に、商品の組み合わせと値引額とを更新する。したがって、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを柔軟に設定することができる。
【0071】
また、実施の形態のPOS端末装置10によれば、選択部20bと、割引設定部20cと、更新部20dとは、登録部20aが商品を登録する度に動作する。したがって、新たな商品が登録される度に、その時点で値引額が最大となる商品の組み合わせが選択されるため、キャッシャと客は、まとめ販売による値引額を迅速に確認することができる。
【0072】
また、実施の形態のPOS端末装置10によれば、選択部20bは、登録部20aが商品を登録する度に、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択するとともに、更新部20dが商品の組み合わせを更新した場合に、登録処理された商品のうち、まとめ販売の組み合わせになっていない商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する。したがって、新たな商品を登録する度に、値引額が最大となるような、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択することができる。
【0073】
また、実施の形態のPOS端末装置10によれば、キャッシャ側表示操作部5(キャッシャ側表示手段)は、まとめ販売の対象として選択された商品の組み合わせを含む情報を、POS端末装置10(商品販売データ処理装置)を操作するキャッシャに対して表示する。また、客側表示部7(客側表示手段)は、まとめ販売の対象として選択された商品の組み合わせを含む情報を、客に対して表示する。したがって、キャッシャと客の双方に対して、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを含む情報を提示することができる。
【0074】
また、実施の形態のPOS端末装置10によれば、印字制御部20f(印字手段)は、まとめ販売の対象として選択された商品の組み合わせを含む情報を、レシート90に印字して発行する。したがって、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを、客がわかり易い形式でレシート90に印字することができる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0076】
例えば、制御部20が実行する制御プログラムP1は、記憶部30に格納された状態で提供してもよいし、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御プログラムP1は、ネットワークに接続したコンピュータ上に格納して、ネットワーク経由でダウンロードすることによって提供してもよい。さらに、制御プログラムP1は、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布してもよい。
【符号の説明】
【0077】
5 キャッシャ側表示操作部(キャッシャ側表示手段)
6 レシートプリンタ
7 客側表示部(客側表示手段)
10 POS端末装置(商品販売データ処理装置)
20 制御部
20a 登録部(登録手段)
20b 選択部(選択手段)
20c 割引設定部(割引手段)
20d 更新部(更新手段)
20e 表示制御部
20f 印字制御部(印字手段)
30 記憶部
32 値引マスタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【手続補正書】
【提出日】2024-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客に販売する商品の登録処理を実行する登録手段と、
まとめ販売の対象であるかを示すまとめ販売情報に基づいて、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定する設定手段と、
前記登録処理で登録された商品に関する商品情報を出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記選択手段で商品の組み合わせが選択されると、当該組み合わせに含まれる各商品の商品情報と、前記設定手段で設定された値引額とをまとめて出力する、
商品販売データ処理装置。
【請求項2】
第1の区分及び第2の区分を含む前記まとめ販売に関する区分と前記商品とを関連付けた前記まとめ販売情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記選択手段は、前記まとめ販売情報に基づいて、登録処理された商品の中から、前記第1の区分に属する商品と前記第2の区分に属する商品とに対応する商品の組み合わせを選択する、
請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記まとめ販売情報には、前記第2の区分に属する商品の各々に関連付けて値引額が設定されており、
前記設定手段は、前記選択手段で商品の組み合わせが選択された場合に、当該組み合わせに含まれる商品のうち、前記第2の区分に属する商品に関連付けられた値引額を設定する、
請求項2に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記出力手段は、前記選択手段で商品の組み合わせが選択された場合に、当該組み合わせに含まれる商品のうち、前記第2の区分に属する商品の金額から前記設定手段が設定した値引額を減額した金額を出力する、
請求項3に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記登録処理で登録された商品のうち、前記選択手段で選択された商品と、前記選択手段で選択されていない商品とを区分けして出力する、
請求項1~4の何れか一項に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
商品販売データ処理装置のコンピュータを、
客に販売する商品の登録処理を実行する登録手段と、
まとめ販売の対象であるかを示すまとめ販売情報に基づいて、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定する設定手段と、
前記登録処理で登録された商品に関する商品情報を出力する出力手段と、
として機能させ、
前記出力手段は、前記選択手段で商品の組み合わせが選択されると、当該組み合わせに含まれる各商品の商品情報と、前記設定手段で設定された値引額とをまとめて出力する、
プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
実施の形態の商品販売データ処理装置は、登録手段と、選択手段と、設定手段と、出力手段とを備える。登録手段は、客に販売する商品の登録処理を実行する。選択手段は、まとめ販売の対象であるかを示すまとめ販売情報に基づいて、登録処理された商品の中から、まとめ販売の対象となる商品の組み合わせを選択する。設定手段は、選択手段が選択した商品の組み合わせに応じた値引額を設定する。出力手段は、前記登録処理で登録された商品に関する商品情報を出力する。また、出力手段は、前記選択手段で商品の組み合わせが選択されると、当該組み合わせに含まれる各商品の商品情報と、前記設定手段で設定された値引額とをまとめて出力する。