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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015599
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】物体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20240130BHJP
   G01S 17/04 20200101ALI20240130BHJP
   B61L 29/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G01S17/89
G01S17/04
B61L29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117771
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】小鷲 宜也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴英
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 芳紀
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 祥
(72)【発明者】
【氏名】林 俊寛
(72)【発明者】
【氏名】長坂 雄一
(72)【発明者】
【氏名】矢尾 裕樹
【テーマコード(参考)】
5H161
5J084
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161MM05
5H161MM14
5H161NN10
5H161NN12
5J084AA05
5J084AB01
5J084AC10
5J084BA03
5J084BA48
5J084BB28
5J084CA25
5J084CA31
5J084CA32
5J084CA70
5J084DA07
5J084DA09
5J084EA11
(57)【要約】
【課題】路面高さの検出が困難な領域について路面高さの推定をより一層適切に行う。
【解決手段】物体検出装置は、監視領域内にレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光を受光するレーザレーダと、受光された反射光に基づいて、監視領域内のセルごとの路面高さを示す凹凸マップを生成するマップ生成部と、生成された凹凸マップ及びレーザレーダで受光された反射光に基づいて、監視領域内の路面上の検出対象物を検出する対象物検出部と、を備える。マップ生成部は、受光された反射光が予め定められた受光条件を満たさない補間対象セルの路面高さを、当該補間対象セルに対してレーザレーダ側に隣接する第1セルの路面高さと、当該補間対象セルに対してレーザレーダ側とは反対側に隣接する第2セルの路面高さとに基づいて補間する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏切内に設定された監視領域内にレーザ光を照射し、照射した前記レーザ光の反射光を受光するレーザレーダと、
受光された前記反射光に基づいて、前記監視領域を構成する複数のセルのそれぞれについて前記セルごとに路面高さを検出し、前記監視領域内の前記セルごとの前記路面高さを示す凹凸マップを生成するマップ生成部と、
生成された前記凹凸マップ及び前記レーザレーダで受光された前記反射光に基づいて、前記監視領域内の路面上の検出対象物を検出する対象物検出部と、
を備え、
前記マップ生成部は、
受光された前記反射光が予め定められた受光条件を満たさない前記セルを補間対象セルとして抽出し、
前記補間対象セルの前記路面高さを、当該補間対象セルに対して前記レーザレーダ側に隣接する前記セルである第1セルの前記路面高さと、当該補間対象セルに対して前記レーザレーダ側とは反対側に隣接する前記セルである第2セルの前記路面高さとに基づいて補間する、物体検出装置。
【請求項2】
前記マップ生成部は、2以上の前記補間対象セル同士が隣接する補間対象セル群が存在する場合、前記補間対象セルの前記路面高さを、当該補間対象セル群に対して前記レーザレーダ側に隣接する前記第1セルの前記路面高さと、当該補間対象セル群に対して前記レーザレーダ側とは反対側に隣接する前記第2セルの前記路面高さとに基づいて補間する、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記マップ生成部は、前記補間対象セルの前記路面高さを、前記第1セルの前記路面高さと前記第2セルの前記路面高さとを用いて線形補間したときの線形補間高さ以下となるように補間する、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記マップ生成部は、前記凹凸マップを所定時間ごとに生成し、新たに生成した前記凹凸マップによって前記凹凸マップを更新する、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記マップ生成部は、前記対象物検出部によって前記検出対象物が検出された場合、前記監視領域のうち前記検出対象物が存在する前記セルについては、新たに検出された前記路面高さを用いずに、前記検出対象物が検出される前に検出された前記路面高さを用いて前記凹凸マップを更新する、請求項4に記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記マップ生成部が前記凹凸マップを更新する場合の制約条件として、前記凹凸マップの更新の前後において前記セルの前記路面高さが高くなる場合における上限路面高さが設定されており、
前記上限路面高さは、予め定められた初期凹凸マップが示す前記セルの前記路面高さより所定高さ高い前記路面高さであり、
前記マップ生成部は、前記凹凸マップの更新の前後において前記セルの前記路面高さが高くなる場合、前記制約条件に基づいて前記路面高さの上限を前記上限路面高さとして前記凹凸マップの更新を行う、請求項4に記載の物体検出装置。
【請求項7】
前記対象物検出部は、更新された前記凹凸マップに基づいて前記路面高さから所定高さ高い位置に下部マスクを設定し、前記レーザレーダで受光された前記反射光に基づいて前記下部マスクよりも高い位置に存在する物体を前記検出対象物として検出する、請求項4~6のいずれか一項に記載の物体検出装置。
【請求項8】
前記下部マスクの高さ位置には上限が設定されている、請求項7に記載の物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、レーザレーダを用いて物体を検出する物体検出装置がある。この物体検出装置は、レーザレーダから踏切内に設定された監視領域内の複数の位置にそれぞれレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射点の三次元位置を算出することによって、監視領域内の路面上の障害物等を検出している。
【0003】
また、このような物体検出装置は、監視領域内にレーザ光を照射して路面高さを事前に検出し、各位置での路面高さを示す凹凸マップを生成している。そして、物体検出装置は、生成した凹凸マップに基づいて路面上の障害物等を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-249569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えば、路面上にレーザ光を遮る障害物が存在すると、レーザレーダから見て障害物の裏側の領域の路面高さの検出が困難となることが考えられる。このため、路面高さの検出が困難な領域については路面高さの推定を行うことが考えられるが、このような領域の路面高さの推定を行う場合にはより一層適切に行うことが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る物体検出装置は、踏切内に設定された監視領域内にレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光を受光するレーザレーダと、受光された反射光に基づいて、監視領域を構成する複数のセルのそれぞれについてセルごとに路面高さを検出し、監視領域内のセルごとの路面高さを示す凹凸マップを生成するマップ生成部と、生成された凹凸マップ及びレーザレーダで受光された反射光に基づいて、監視領域内の路面上の検出対象物を検出する対象物検出部と、を備え、マップ生成部は、受光された反射光が予め定められた受光条件を満たさないセルを補間対象セルとして抽出し、補間対象セルの路面高さを、当該補間対象セルに対してレーザレーダ側に隣接するセルである第1セルの路面高さと、当該補間対象セルに対してレーザレーダ側とは反対側に隣接するセルである第2セルの路面高さとに基づいて補間する。
【0007】
この物体検出装置では、反射光の受光条件を満たさない補間対象セルの路面高さが、第1セルの路面高さと第2セルの路面高さとに基づいて補間される。ここで、レーザレーダから見て補間対象セルの手前側及び奥側にそれぞれ位置する第1セル及び第2セルの路面高さが検出されている。この場合、レーザレーダを用いて検出を行う特性から、補間対象セルの路面高さは、少なくとも第1セルの路面と第2セルの路面とをつなぐ直線の高さ位置よりも低くなる。このため、物体検出装置は、第1セル及び第2セルの路面高さを用いて補間対象セルの路面高さを補間することにより、対象とする領域(補間対象セル)の路面高さをより一層適切に推定することができる。
【0008】
物体検出装置において、マップ生成部は、2以上の補間対象セル同士が隣接する補間対象セル群が存在する場合、補間対象セルの路面高さを、当該補間対象セル群に対してレーザレーダ側に隣接する第1セルの路面高さと、当該補間対象セル群に対してレーザレーダ側とは反対側に隣接する第2セルの路面高さとに基づいて補間してもよい。この場合、物体検出装置は、補間対象セルが複数隣接している場合であっても、これらの補間対象セルの路面高さをより適切に補間することができる。
【0009】
物体検出装置において、マップ生成部は、補間対象セルの路面高さを、第1セルの路面高さと第2セルの路面高さとを用いて線形補間したときの線形補間高さ以下となるように補間してもよい。この場合、物体検出装置は、線形補間の方法を用いて、補間対象セルの路面高さをより適切に補間することができる。
【0010】
物体検出装置において、マップ生成部は、凹凸マップを所定時間ごとに生成し、新たに生成した凹凸マップによって凹凸マップを更新してもよい。この場合、物体検出装置は、例えば積雪等によって路面高さが変化する場合であっても、このような変化を凹凸マップに反映させることができる。これにより、物体検出装置は、更新された凹凸マップを用いることによって、監視領域内の路面上の検出対象物をより精度よく検出することができる。
【0011】
物体検出装置において、マップ生成部は、対象物検出部によって検出対象物が検出された場合、監視領域のうち検出対象物が存在するセルについては、新たに検出された路面高さを用いずに、検出対象物が検出される前に検出された路面高さを用いて凹凸マップを更新してもよい。この場合、物体検出装置は、検出された検出対象物の高さ位置を路面の高さ位置として用いて凹凸マップを更新してしまうことがなく、路面高さを示す凹凸マップを精度よく更新することができる。
【0012】
物体検出装置では、マップ生成部が凹凸マップを更新する場合の制約条件として、凹凸マップの更新の前後においてセルの路面高さが高くなる場合における上限路面高さが設定されており、上限路面高さは、予め定められた初期凹凸マップが示すセルの路面高さより所定高さ高い路面高さであり、マップ生成部は、凹凸マップの更新の前後においてセルの路面高さが高くなる場合、制約条件に基づいて路面高さの上限を上限路面高さとして凹凸マップの更新を行ってもよい。この場合、物体検出装置は、凹凸マップが更新されることによって、路面高さが必要以上に高くなることを防止できる。また、物体検出装置は、補間対象セルについて路面高さを補間する場合であっても、上限路面高さが設定されていることによって補間対象セルの路面高さが必要以上に高くなることを防止できる。
【0013】
物体検出装置において、対象物検出部は、更新された凹凸マップに基づいて路面高さから所定高さ高い位置に下部マスクを設定し、レーザレーダで受光された反射光に基づいて下部マスクよりも高い位置に存在する物体を検出対象物として検出してもよい。この場合、物体検出装置は、下部マスクを用いることによって、例えば風によって監視領域内に舞い落ちた落ち葉のように、検出の対象としない物体を検出対象物として検出してしまうことを抑制できる。
【0014】
物体検出装置において、下部マスクの高さ位置には上限が設定されていてもよい。下部マスクは凹凸マップに基づいて設定されるため、更新された凹凸マップの路面高さによっては、下部マスクが必要以上に高い位置に設定される可能性がある。このような場合であっても、物体検出装置は、下部マスクの高さ位置に上限が設けられているため、下部マスクを必要以上に高く設定することがない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、対象とする領域の路面高さをより一層適切に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る物体検出装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、踏切内に設定された監視領域を上方から見た図である。
図3図3は、凹凸マップ及び下部マスクの設定を説明するための概略図である。
図4図4は、検出対象物の周囲に設定された下部マスクを示す概略図である。
図5図5(a)~図5(c)は、反射光の受光結果のヒストグラムを合成する様子を説明するための概略図である。
図6図6(a)は、レーザ光が障害物によって遮られ、補間対象セルが生じる様子を示す側面図である。図6(b)は、レーザ光が障害物によって遮られ、補間対象セルが生じる様子を示す平面図である。
図7図7(a)~図7(c)は、草等の高さに応じて凹凸マップが更新され、下部マスクが設定される様子を説明するための外略図である。
図8図8(a)~図8(c)は、検出された検出対象物の計測点を用いずに凹凸マップを更新する様子を説明するための概略図である。
図9図9(a)は、更新の前後で路面高さが低くなる場合における路面高さの変化の制約条件を説明するための概略図である。図9(b)は、更新の前後で路面高さが高くなる場合における路面高さの変化の制約条件を説明するための概略図である。
図10図10(a)は、更新の前後で路面高さが低くなる場合における路面高さの変化の制約条件を説明するための概略図である。図10(b)は、更新の前後で路面高さが高くなる場合における路面高さの変化の制約条件を説明するための概略図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、下部マスクの上限を説明するための概略図である。
図12図12は、物体検出装置において行われる凹凸マップの生成及び更新処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1及び図2に示される物体検出装置1は、監視領域X内の検出対象物を検出する。本実施形態において、物体検出装置1は、鉄道線路Rと自動車用の道路Lとが交差する踏切F内に設定された監視領域X内の検出対象物を検出する。また、ここでの検出対象物とは、例えば、車両等である。物体検出装置1における検出対象物の検出結果は、物体検出装置1の上位装置等に出力され、上位装置等において例えば鉄道信号の制御、鉄道線路Rを走行する列車の運行制御等の種々の制御に利用される。物体検出装置1は、レーザレーダ10、演算部20、表示部30、及び入力部40を備えている。
【0019】
表示部30は、物体検出装置1の操作者に対し、画像等の各種の情報を表示して提示するための表示機器(例えばモニタ等)である。表示部30は、例えば、検出対象物の検出状況等を表示することができる。入力部40は、物体検出装置1の操作者によって操作される入力機器である。入力部40として用いられる入力機器の種類は、限定されない。
【0020】
レーザレーダ10は、監視領域X内の複数の位置にレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光を受光する。レーザレーダ10は、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)とも称される。レーザレーダ10は、地上に設置された支柱等の支持部材に固定されている。レーザレーダ10は、例えば、建物の壁等に固定されていてもよい。レーザレーダ10は、踏切F内を移動する検出対象物を上方から見下ろすことができるように設置されている。
【0021】
レーザレーダ10は、照射部11、反射部12、及び受光部13を備えている。照射部11は、レーザ光を発生させる発光素子を備えている。照射部11は、レーザ光を予め定められた照射周期で照射する。
【0022】
反射部12は、レーザ光を反射させるミラーを備えている。反射部12は、照射部11から照射されたレーザ光を、ミラーによって監視領域Xに向けて反射させる。また、反射部12は、ミラーの角度を変更することができる。反射部12は、ミラーの角度を変更してレーザ光の反射角度を変更することにより、監視領域X内の複数の位置にレーザ光を順次反射させる。
【0023】
さらに、反射部12は、物体で反射してレーザレーダ10に戻ってきた反射光を、受光部13に向けて反射させる。受光部13は、物体で反射した反射光を反射部12を介して受光する。レーザレーダ10は、レーザ光の受光結果を演算部20に出力する。
【0024】
演算部20は、監視領域X内の路面の凹凸示す凹凸マップを生成し、生成した凹凸マップと受光部13におけるレーザ光の反射光の受光結果とに基づいて、検出対象物の検出を行う。演算部20は、レーザレーダ10と一体に設けられていてもよく、レーザレーダ10とは別の場所に設けられていてもよい。
【0025】
演算部20は、例えば、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、及びRAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。演算部20は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。演算部20は、複数の電子制御ユニットによって構成されていてもよい。
【0026】
演算部20は、機能的には、マップ生成部21、入力受付部22、及び対象物検出部23を備えている。マップ生成部21は、受光部13で受光された反射光に基づいて、監視領域Xを構成する複数のセルのそれぞれについてセルごとに路面高さを検出する。そして、マップ生成部21は、検出結果に基づいて、監視領域X内のセルごとの路面高さを示す凹凸マップを生成する。マップ生成部21は、レーザ光の反射光の反射点の高さ位置に基づいて、路面の高さ(凹凸)を検出することができる。
【0027】
一例として、マップ生成部21は、図3に示されるように監視領域X内に設定された基準平面Hを基準として用い、基準平面Hを基準として路面Gの各地点の高さを算出する。凹凸マップは、路面Gにおけるセルごとの凹凸、すなわち、路面Gにおけるセルごとの高さを示している。また、マップ生成部21は、凹凸マップを予め定められた所定の時間ごとに生成し、新たに生成した凹凸マップによって凹凸マップを更新する。マップ生成部21が行う凹凸マップの生成及び更新について、詳しくは後述する。
【0028】
入力受付部22は、物体検出装置1の操作者が入力部40に入力した各種の入力操作を受け付ける。ここでは、入力受付部22は、マップ生成部21が行う凹凸マップの生成に関する操作者からの入力操作を受け付けることができる。入力受付部22が受け付ける入力操作について、詳しくは後述する。
【0029】
対象物検出部23は、マップ生成部21で生成された凹凸マップ及びレーザレーダ10の受光部13で受光された反射光に基づいて、監視領域X内の路面G上の検出対象物を検出する。ここでは、対象物検出部23は、下部マスクを用いて、検出対象物を検出する。なお、対象物検出部23において行われるレーザレーダ10の検出結果に基づく検出対象物の検出方法としては、周知の種々の方法を用いることができる。
【0030】
具体的には、対象物検出部23は、図3に示されるように、生成(更新)された凹凸マップに基づいて、路面Gの路面高さから所定高さ高い位置に下部マスクMを設定する。つまり、下部マスクMは、路面Gの凹凸に沿った形状となっている。そして、対象物検出部23は、レーザレーダ10の受光部13で受光された反射光に基づいて、下部マスクMよりも高い位置に存在する物体を検出対象物として検出する。なお、対象物検出部23は、マップ生成部21によって生成(更新)された凹凸マップ等を用いて、所定の検出周期ごとに検出対象物の検出処理を実行する。
【0031】
また、対象物検出部23は、図4に示されるように、検出対象物Pが検出されている場合には、検出対象物Pの周囲については下部マスクMの高さ位置を低く設定する。これにより、例えば、図4おいて破線で示されるように、検出対象物Pが転倒し高さが低くなったとしても、引き続き、対象物検出部23は検出対象物Pを検出できる。このように、対象物検出部23は、検出対象物Pが検出された場合、検出対象物Pの周囲については高さ位置が低く設定された下部マスクMを、検出対象物Pの移動に追従するように逐次設定する。
【0032】
次に、マップ生成部21が行う凹凸マップの生成及び更新の詳細について説明する。まず、凹凸マップの生成について説明する。上述したように、マップ生成部21は、監視領域Xを構成するセルごとに路面高さを検出する。また、マップ生成部21は、検出の対象とするセルで反射した複数の反射光の受光結果に基づいて、当該セルの路面高さを決定する。ここでは、マップ生成部21は、対象とするセルにおける複数の受光結果に基づいて、例えば、平均値又は中間値を路面高さとする、あるいは、最も受光結果の数が多い高さを路面高さとする等の種々の方法によって路面高さを決定することができる。
【0033】
ここで、例えば、レーザレーダ10から遠い場所に位置するセルでは、セル内において高さが検出された計測点(受光された反射光)の数が少ないことがある。この場合、受光結果がノイズの影響を受け易くなり、当該セル内の路面高さを正しく検出できないことがある。そこで、マップ生成部21は、一例として、計測点(受光された反射光)の数が予め定められた閾値以下のセルを不足セルとして抽出する。そして、マップ生成部21は、不足セルの路面高さを、当該不足セルの周囲のセルの路面高さに基づいて推定する。なお、マップ生成部21は、計測点の数が閾値以下の不足セルであるか否かを問わず、全てのセル又は所定の一部のセルの路面高さについて、当該セルの周囲のセルの路面高さに基づいて推定してもよい。
【0034】
この推定の一例として、マップ生成部21は、図5(a)に示されるように、不足セルにおける反射光の受光結果に基づいて、縦軸を計測点数とし、横軸を路面高さとするヒストグラムを生成する。そして、マップ生成部21は、図5(b)に示されるように、不足セルの周囲のセルのヒストグラムを不足セルのヒストグラムに合成する。ここでは、マップ生成部21は、ヒストグラムの同じ路面高さを示すビン同士を足し合わせる。なお、図5(b)においてハッチングを付した柱状部分が、周囲のセルのヒストグラムを合成した部分である。マップ生成部21は、合成したヒストグラム(図5(b)に示されるヒストグラム)に基づいて、不足セルの路面高さを推定する。
【0035】
また、マップ生成部21は、ヒストグラムを合成する際に、図5(c)に示されるように、不足セルC1の周囲に存在するセルC2~C9の計8個のヒストグラムを不足セルのヒストグラムに合成してもよい。なお、マップ生成部21が行うヒストグラムの合成については、同じ路面高さを示すビン同士をそのまま足し合わせることに限定されない。また、不足セルの周囲の8個のセルのヒストグラムを不足セルのヒストグラムに合成したが、合成するヒストグラムの数及びセルの位置はこれに限定されない。
【0036】
ここで、例えば、図6(a)及び図6(b)に示されるように、路面G上にレーザ光を遮る障害物T(縁石、積雪等)が存在すると、レーザレーダ10から見て障害物の裏側に位置するセルCの路面高さを検出することが困難となる。そこで、マップ生成部21は、監視領域X内の複数のセルCのうち、受光された反射光が予め定められた受光条件を満たさないセルCを補間対象セルCaとして抽出する。なお、図6(a)及び図6(b)において、ハッチングが付されたセルCが、補間対象セルCaである。
【0037】
ここで、受光条件を満たす場合とは、受光された反射光に基づいて路面高さを適切に検出できる場合である。受光条件を満たさない場合とは、例えば障害物Tによってレーザ光が遮られた等によって、路面高さを適切に検出することができない場合である。一例として、受光条件は、対象とするセルにおいて検出された計測点の状態に基づいて設定されてもよい。この計測点の状態とは、計測点の数であってもよく、数以外の各種状態であってもよい。
【0038】
そして、マップ生成部21は、補間対象セルCaの路面高さを補間対象セルCaに隣接するセルCの路面高さに基づいて補間する。具体的には、マップ生成部21は、補間対象セルCaに対してレーザレーダ10側に隣接するセルCである第1セルと、補間対象セルCaに対してレーザレーダ10側とは反対側に隣接するセルCである第2セルを特定する。この特定される第1セル及び第2セルとは、補間対象セルCaとは異なり、路面高さが検出されたセルである。そして、マップ生成部21は、補間対象セルCaの路面高さを、特定した第1セルの路面高さと、第2セルの路面高さとに基づいて補間する。
【0039】
なお、図6(a)及び図6(b)に示されるように、2以上の補間対象セルCa同士が隣接して、補間対象セル群となっている場合がある。この場合、マップ生成部21は、補間対象セルCaのそれぞれの路面高さを、当該補間対象セル群に対してレーザレーダ10側に隣接する第1セルの路面高さと、当該補間対象セル群に対してレーザレーダ側とは反対側に隣接する第2セルの路面高さとに基づいて補間する。
【0040】
具体的には、マップ生成部21は、図6(b)に示されるように、レーザレーダ10から補間対象セルCaに向けて直線Aを引く。そして、補間対象セルCaのうち、直線A上に位置する補間対象セルCa1~Ca6を、補間対象セルCa1~Ca6の路面高さを推定するための補間対象セル群CAとする。そして、マップ生成部21は、補間対象セル群CAに対してレーザレーダ10側に隣接するセルCである第1セルC11と、補間対象セル群CAに対してレーザレーダ10側とは反対側に隣接するセルCである第2セルC12とを特定する。そして、マップ生成部21は、第1セルC11の路面高さと第2セルC12の路面高さとに基づいて、補間対象セル群CAを構成する補間対象セルCa1~Ca6のそれぞれの路面高さを推定する。マップ生成部21は、補間対象セルCa1~Ca6以外の他の補間対象セルCaも同様の方法によって路面高さを推定する。
【0041】
なお、マップ生成部21は、補間対象セルCaの路面高さを、第1セルC11の路面高さと第2セルC12の路面高さとを用いて線形補間したときの線形補間高さ以下となるように補間することができる。このように、マップ生成部21は、線形補間高さ以下であれば、第1セルC11及び第2セルC12の路面高さに基づいて種々の方法によって補間対象セルCaの路面高さを補間することができる。
【0042】
また、ここでは障害物Tによって遮られたことによって補間対象セルCaが生じる場合を例に挙げた。これに限定されず、障害物T以外の原因によって受光条件を満たさない補間対象セルCaが生じた場合も、上述した方法によって路面高さを補間することもできる。
【0043】
次に、凹凸マップの更新について説明する。例えば、図7(a)に示される路面Gの状態から、図7(b)に示されるように路面G上の草Wが成長したり、路面G上に雪Sが積もったりすることがある。このような場合、対象物検出部23は、図7(a)に示される路面Gの凹凸マップに基づいて設定した下部マスクMを用いて検出対象物の検出処理を行うと、草W等を検出対象物として誤検出することがある。なお、草W及び雪Sは一例であり、検出対象物以外の他の物体であってもよい。このため、マップ生成部21は、受光部13で受光された反射光に基づいて、予め定められた所定時間ごとに凹凸マップを生成し、新たに生成した凹凸マップによって凹凸マップを更新する。
【0044】
つまり、凹凸マップが示す路面Gの路面高さとは、草W及び雪S等を除いた路面Gのみの高さではなく、草W及び雪S等の検出対象物以外の物体の高さを含む高さである。例えば、路面G上に草Wが存在する場合、この草Wが存在する部分の路面高さとしては、草Wの上端部の高さが設定される。
【0045】
この場合、対象物検出部23は、図7(b)に示されるように、草W及び雪Sが考慮された凹凸マップに基づいて下部マスクMを設定する。つまり、図7(b)に示されるように、下部マスクMは、草W及び雪Sが存在する部分については、草W及び雪Sの上端部から所定高さ高い位置に設定される。これにより、路面G上の草Wが成長して高さが高くなったり雪Sが積もって高さが高くなったりしても、この変化に応じて下部マスクMが設定されるため、草W及び雪Sが検出対象物として検出されることがない。
【0046】
また、図7(c)に示されるように、検出対象物Pの周囲は下部マスクMの高さ位置が低く設定される。しかしながら、下部マスクMが低く設定されたとしても草W及び雪Sよりも高い位置であるため、草W及び雪Sが検出対象物として検出されることがない。
【0047】
マップ生成部21は、検出対象物Pが検出された場合、検出対象物Pの計測点(検出対象物Pで反射した反射光)については、凹凸マップの更新には用いない。具体的には、例えば、図8(a)に示されるように、路面Gの凹凸マップが生成されていたとする。そして、図8(b)に示されるように、検出対象物Pが移動し、対象物検出部23が路面G上の検出対象物Pを検出したとする。
【0048】
この状態でマップ生成部21が凹凸マップの更新を行う場合、マップ生成部21は、監視領域Xのうち検出対象物Pが存在するセルについては、新たに検出された高さを路面高さとして用いない。つまり、マップ生成部21は、レーザレーダ10で検出される複数の計測点Kのうち、検出対象物Pで反射した計測点K1に基づいて検出される高さを路面高さとして用いない。なお、マップ生成部21は、検出対象物Pの情報を対象物検出部23から取得している。そして、マップ生成部21は、検出対象物Pが存在するセルについては、検出対象物Pが検出される前に検出された路面高さを用いて凹凸マップを新たに生成し、凹凸マップを更新する。
【0049】
これにより、検出対象物Pが存在していても、新たに生成される凹凸マップは検出対象物Pが存在しない状態での凹凸マップとなる。このため、図8(c)に示されるように、検出対象物Pが存在していても、実際の路面Gの路面高さに応じて下部マスクMが設定され、下部マスクMに基づいて検出対象物Pの検出が行われる。例えば、図8(c)に示される例では、検出対象物Pが転倒した状態であるが、凹凸マップが示す路面高さは実際の路面Gの高さとなっている。このため、例えば歩いていた検出対象物Pが転倒し、その直後に凹凸マップが更新されたとしても、対象物検出部23は、引き続き検出対象物Pを検出し続けることができる。
【0050】
また、マップ生成部21は、更新の前後でセルの路面高さが変化する場合、当該セルについて路面高さの変化が予め定められた制約条件を満たすように凹凸マップを更新する。本実施形態では、制約条件として次の制約条件(1)~(4)が予め定められている。マップ生成部21は、これらの制約条件(1)~(4)を満たすように、必要に応じて路面高さを調整し、凹凸マップを更新する。
【0051】
制約条件(1)及び(2)は、更新前の路面高さからの変化の制約である。つまり、更新1回あたりの路面高さの更新量の制約である。図9(a)を用いて、制約条件(1)について説明する。なお、図9(a)において左側の図は更新前の路面高さが破線で示され、右側の図は今回検出された路面高さが破線で示されている。図9(b)、図10(a)、及び図10(b)についても、図9(a)と同様の図示の仕方とする。
【0052】
図9(a)に示されるように、マップ生成部21は、凹凸マップの更新の前後においてセルの路面高さが低くなる場合、新たに検出された路面高さを用いて凹凸マップの更新を行う。つまり、制約条件(1)として、凹凸マップの更新の前後においてセルの路面高さが低くなる場合、路面高さの更新に制約が無いという条件が設定されている。
【0053】
図9(b)に示されるように、制約条件(2)として、凹凸マップの更新の前後における路面高さの上限変化量が設定されている。マップ生成部21は、凹凸マップの更新の前後においてセルの路面高さが高くなる場合、路面高さの変化量の上限を上限変化量として凹凸マップの更新を行う。つまり、路面高さが高くなる場合、1回あたりの路面高さの変化量の最大値は、上限変化量となる。
【0054】
なお、物体検出装置1の操作者は、制約条件(2)として設定された上限変化量の非適用の入力操作を入力部40を通じて入力することができる。入力受付部22は、入力部40を通じて入力された上限変化量の非適用の入力操作を受け付ける。マップ生成部21は、入力受付部22によって上限変化量の非適用の入力操作が受け付けられた場合、制約条件(2)として設定された上限変化量を適用せずに凹凸マップを更新する。
【0055】
例えば、積雪によって路面高さが大きく変動した等の場合、操作者は、上限変化量の非適用を入力する。これにより、凹凸マップの更新の際に、マップ生成部21によって現在の路面高さを示す凹凸マップが生成される。
【0056】
制約条件(3)及び(4)は、初期の凹凸マップが示す路面高さからの変化の制約である。図10(a)に示されるように、制約条件(3)として、凹凸マップの更新の前後において路面高さが低くなる場合における下限路面高さが設定されている。この下限路面高さは、予め定められた初期凹凸マップが示すセルの路面高さ以下の路面高さとなっている。マップ生成部21は、凹凸マップの更新の前後においてセルの路面高さが低くなる場合、路面高さの下限を下限路面高さとして凹凸マップの更新を行う。つまり、更新の前後において路面高さが低くなる場合であっても、路面高さは下限路面高さよりも低くならない。なお、この下限路面高さは、初期凹凸マップが示すセルの路面高さであってもよい。
【0057】
図10(b)に示されるように、制約条件(4)として、凹凸マップの更新の前後において路面高さが高くなる場合における上限路面高さが設定されている。この上限路面高さは、予め定められた初期凹凸マップが示すセルの路面高さより所定高さ高い路面高さとなっている。マップ生成部21は、凹凸マップの更新の前後においてセルの路面高さが高くなる場合、路面高さの上限を上限路面高さとして凹凸マップの更新を行う。つまり、更新の前後において路面高さが高くなる場合であっても、路面高さは上限路面高さよりも高くならない。制限条件(4)における上限路面高さと初期凹凸マップが示すセルの路面高さとの高さの差分は、制約条件(2)における路面高さの上限変化量よりも大きい。
【0058】
このように、マップ生成部21は、更新の前後で路面高さが低くなる場合、制約条件(1)及び(3)を満たすように必要に応じて路面高さを設定して凹凸マップを更新する。また、マップ生成部21は、更新の前後で路面高さが高くなる場合、制約条件(2)及び(4)を満たすように必要に応じて路面高さを設定して凹凸マップを更新する。
【0059】
次に、下部マスクの上限について説明する。図11(a)に示されるように、下部マスクMの高さ位置として、上限M1が設定されている。上限M1は、例えば、監視領域X内に設定された基準平面Hから所定高さ高い位置に設定されている。但し、上限M1は、予め設定された初期凹凸マップが示す路面高さの凹凸に沿うように、初期凹凸マップが示す路面高さから所定高さ高い位置に設定されていてもよい。図11(b)に示されるように、路面G上の草Wが成長して高さが高くなったり雪Sが積もって高さが高くなったりすることにより、更新された凹凸マップが示す路面高さが高くなることがある。この場合であっても、対象物検出部23は、下部マスクMが上限M1を超えないように、更新された凹凸マップが示す路面高さに基づいて下部マスクMを設定する。
【0060】
次に、物体検出装置1において行われる凹凸マップの生成及び更新処理の流れについて、図12のフローチャートを用いて説明する。なお、図12に示されるフローチャートは、予め所定時間ごとに繰り返し実行される。つまり、所定時間ごとに凹凸マップが更新される。
【0061】
図12に示されるように、マップ生成部21は、計測点が閾値以下の不足セルについて、図5(a)~図5(c)を用いて説明したようにヒストグラムを合成する(S101)。次に、マップ生成部21は、監視領域Xを構成するセルごとに路面高さを検出する(S102)。また、マップ生成部21は、障害物の存在等により受光条件を満たさない補間対象セルに対しては、補間対象セルに隣接する第1セル及び第2セルの路面高さに基づいて路面高さを補間する(S103)。
【0062】
マップ生成部21は、検出及び補間された路面高さに基づいて凹凸マップを生成する(S104)。その際、マップ生成部21は、上述した制約条件(1)~(4)を満たすように、新たな凹凸マップを生成する。そして、マップ生成部21は、生成された新たな凹凸マップによって凹凸マップを更新する(S105)。
【0063】
なお、ここでは、マップ生成部21が所定時間ごとに凹凸マップを生成及び更新したが、このタイミングで生成及び更新を行うことに限定されない。例えば、操作者は、凹凸マップの強制更新の入力操作を入力部40を通じて入力することができる。この強制更新の入力操作が入力受付部22によって受け付けられた場合、マップ生成部21は、凹凸マップの生成及び更新の処理を行ってもよい。
【0064】
以上のように、物体検出装置1では、反射光の受光条件を満たさない補間対象セルCaの路面高さが、第1セルC11の路面高さと第2セルC12の路面高さとに基づいて補間される。ここで、レーザレーダ10から見て補間対象セルCaの手前側及び奥側にそれぞれ位置する第1セルC11及び第2セルC12の路面高さが検出されている。この場合、レーザレーダ10を用いて検出を行う特性から、補間対象セルCaの路面高さは、少なくとも第1セルC11の路面と第2セルC12の路面とをつなぐ直線の高さ位置よりも低くなる。このため、マップ生成部21は、第1セルC11及び第2セルC12の路面高さを用いて補間対象セルCaの路面高さを補間することにより、対象とする領域(補間対象セルCa)の路面高さをより一層適切に推定することができる。
【0065】
マップ生成部21は、補間対象セルCaが2以上隣接して補間対象セル群CAとなっている場合であっても、第1セルC11及び第2セルC12を設定して、これらの路面高さに基づいて補間対象セル群CAを構成する各補間対象セルCaの路面高さを補間する。この場合、マップ生成部21は、補間対象セルCaが複数隣接している場合であっても、これらの補間対象セルCaの路面高さをより適切に補間することができる。
【0066】
マップ生成部21は、補間対象セルCaの路面高さを、第1セルC11の路面高さと第2セルC12の路面高さとを用いて線形補間したときの線形補間高さ以下となるように補間する。この場合、マップ生成部21は、線形補間の方法を用いて、補間対象セルCaの路面高さをより適切に補間することができる。
【0067】
マップ生成部21は、凹凸マップを所定時間ごとに生成し、新たに生成した凹凸マップによって凹凸マップを更新する。この場合、マップ生成部21は、例えば積雪等によって路面高さが変化する場合であっても、このような変化を凹凸マップに反映させることができる。これにより、対象物検出部23は、更新された凹凸マップを用いることによって、監視領域X内の路面上の検出対象物Pをより精度よく検出することができる。
【0068】
マップ生成部21は、監視領域Xのうち検出対象物が存在するセルについては、検出対象物が検出される前に検出された路面高さを用いて凹凸マップを更新する。この場合、マップ生成部21は、検出された検出対象物Pの高さ位置を路面の高さ位置として用いて凹凸マップを更新してしまうことが無く、路面高さを示す凹凸マップを精度よく更新することができる。
【0069】
マップ生成部21が凹凸マップを更新する場合の制約条件として、凹凸マップの更新の前後においてセルの路面高さが高くなる場合における上限路面高さが設定されている。この場合、マップ生成部21は、凹凸マップが更新されることによって、路面高さが必要以上に高くなることを防止できる。また、マップ生成部21は、補間対象セルCaについて路面高さを補間する場合であっても、上限路面高さが設定されていることによって補間対象セルCaの路面高さが必要以上に高くなることを防止できる。
【0070】
対象物検出部23は、更新された凹凸マップに基づいて下部マスクMを設定し、下部マスクMよりも高い位置に存在する物体を検出対象物Pとして検出する。この場合、対象物検出部23は、下部マスクMを用いることによって、例えば風によって監視領域X内に舞い落ちた落ち葉のように、検出の対象としない物体を検出対象物Pとして検出してしまうことを抑制できる。
【0071】
下部マスクMの高さ位置には上限M1が設定されている。下部マスクMは凹凸マップに基づいて設定されるため、更新された凹凸マップの路面高さによっては、下部マスクMが必要以上に高い位置に設定される可能性がある。このような場合であっても、対象物検出部23は、下部マスクの高さ位置に上限が設けられているため、下部マスクを必要以上に高く設定することがない。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0073】
なお、上記実施形態の物体検出装置1では、凹凸マップの凹凸に応じて下部マスクMを設定し、受光部13で受光された反射光の高さ位置と下部マスクMとを比較して検出対象物Pを検出した。このことは、例えば、基準平面Hから所定高さ高い位置に一定高さの下部マスクMを設定する。そして、受光部13で受光された反射光の高さ位置から凹凸マップの凹凸に応じた高さを減算した値と、一定高さの下部マスクMとを比較して検出対象物Pを検出することと同じ意味である。
【0074】
以下、本発明の要旨を示す。
[発明1]
踏切内に設定された監視領域内にレーザ光を照射し、照射した前記レーザ光の反射光を受光するレーザレーダと、
受光された前記反射光に基づいて、前記監視領域を構成する複数のセルのそれぞれについて前記セルごとに路面高さを検出し、前記監視領域内の前記セルごとの前記路面高さを示す凹凸マップを生成するマップ生成部と、
生成された前記凹凸マップ及び前記レーザレーダで受光された前記反射光に基づいて、前記監視領域内の路面上の検出対象物を検出する対象物検出部と、
を備え、
前記マップ生成部は、
受光された前記反射光が予め定められた受光条件を満たさない前記セルを補間対象セルとして抽出し、
前記補間対象セルの前記路面高さを、当該補間対象セルに対して前記レーザレーダ側に隣接する前記セルである第1セルの前記路面高さと、当該補間対象セルに対して前記レーザレーダ側とは反対側に隣接する前記セルである第2セルの前記路面高さとに基づいて補間する、物体検出装置。
[発明2]
前記マップ生成部は、2以上の前記補間対象セル同士が隣接する補間対象セル群が存在する場合、前記補間対象セルの前記路面高さを、当該補間対象セル群に対して前記レーザレーダ側に隣接する前記第1セルの前記路面高さと、当該補間対象セル群に対して前記レーザレーダ側とは反対側に隣接する前記第2セルの前記路面高さとに基づいて補間する、発明1に記載の物体検出装置。
[発明3]
前記マップ生成部は、前記補間対象セルの前記路面高さを、前記第1セルの前記路面高さと前記第2セルの前記路面高さとを用いて線形補間したときの線形補間高さ以下となるように補間する、発明1又は2に記載の物体検出装置。
[発明4]
前記マップ生成部は、前記凹凸マップを所定時間ごとに生成し、新たに生成した前記凹凸マップによって前記凹凸マップを更新する、発明1~3のいずれか一つに記載の物体検出装置。
[発明5]
前記マップ生成部は、前記対象物検出部によって前記検出対象物が検出された場合、前記監視領域のうち前記検出対象物が存在する前記セルについては、新たに検出された前記路面高さを用いずに、前記検出対象物が検出される前に検出された前記路面高さを用いて前記凹凸マップを更新する、発明4に記載の物体検出装置。
[発明6]
前記マップ生成部が前記凹凸マップを更新する場合の制約条件として、前記凹凸マップの更新の前後において前記セルの前記路面高さが高くなる場合における上限路面高さが設定されており、
前記上限路面高さは、予め定められた初期凹凸マップが示す前記セルの前記路面高さより所定高さ高い前記路面高さであり、
前記マップ生成部は、前記凹凸マップの更新の前後において前記セルの前記路面高さが高くなる場合、前記制約条件に基づいて前記路面高さの上限を前記上限路面高さとして前記凹凸マップの更新を行う、発明4又は5に記載の物体検出装置。
[発明7]
前記対象物検出部は、更新された前記凹凸マップに基づいて前記路面高さから所定高さ高い位置に下部マスクを設定し、前記レーザレーダで受光された前記反射光に基づいて前記下部マスクよりも高い位置に存在する物体を前記検出対象物として検出する、発明4~6のいずれか一つに記載の物体検出装置。
[発明8]
前記下部マスクの高さ位置には上限が設定されている、発明7に記載の物体検出装置。
【符号の説明】
【0075】
1 物体検出装置
10 レーザレーダ
21 マップ生成部
23 対象物検出部
C セル
C11 第1セル
C12 第2セル
CA 補間対象セル群
Ca 補間対象セル
F 踏切
M 下部マスク
M1 上限
P 検出対象物
X 監視領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12