(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156001
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】杭の載荷試験治具および杭の載荷試験方法
(51)【国際特許分類】
E02D 33/00 20060101AFI20241024BHJP
E02D 1/02 20060101ALI20241024BHJP
E02D 5/28 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E02D33/00
E02D1/02
E02D5/28
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024145821
(22)【出願日】2024-08-27
(62)【分割の表示】P 2021014293の分割
【原出願日】2021-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】厳 明光
(72)【発明者】
【氏名】和田 昌敏
(72)【発明者】
【氏名】丸山 栄
(72)【発明者】
【氏名】古谷 浩平
(57)【要約】
【課題】杭の載荷試験の施工性を向上させる。
【解決手段】地盤に貫入した管状の反力杭の上端に載置されたジャッキの上方からジャッキに当接される応力伝達部材と、上端部が応力伝達部材に係止され、下端部が反力杭の内側で地盤に貫入した試験杭に係止され、試験杭の周方向に配列される複数の棒状部材とを備える杭の載荷試験治具が提供される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に貫入した管状の反力杭の上端に載置されたジャッキの上方から前記ジャッキに当接される応力伝達部材と、
上端部が前記応力伝達部材に係止され、下端部が前記反力杭の内側で前記地盤に貫入した試験杭に係止され、前記試験杭の周方向に配列される複数の棒状部材と
を備える杭の載荷試験治具。
【請求項2】
前記複数の棒状部材と前記試験杭との係止部分の外側に配置される管状部材と、
前記管状部材の下端および前記反力杭の上端にそれぞれ当接され、前記試験杭の上端が通る開口が形成される底板と、
前記管状部材の上端に当接され、前記複数の棒状部材が通る開口が形成され、前記ジャッキが載置される蓋板と
をさらに備える、請求項1に記載の杭の載荷試験治具。
【請求項3】
前記複数の棒状部材のそれぞれの上端部は、前記応力伝達部材に形成された開口に挿通され、前記上端部にナットが螺合される、請求項1または請求項2に記載の杭の載荷試験治具。
【請求項4】
前記複数の棒状部材のそれぞれの下端部は、前記反力杭または前記試験杭に固定されたフランジ板に形成された開口に挿通され、前記下端部にナットが螺合される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の杭の載荷試験治具。
【請求項5】
前記ジャッキと前記応力伝達部材との間、または前記ジャッキと前記試験杭もしくは前記反力杭との間にロードセルまたは間隔調整部材の少なくともいずれかが介挿される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の杭の載荷試験治具。
【請求項6】
前記ジャッキと前記応力伝達部材との間、または前記ジャッキと前記試験杭もしくは前記反力杭との間に介挿される複数の中間補強板と、
前記複数の棒状部材とともに前記反力杭または前記試験杭の周方向に籠状に配列され、前記複数の中間補強板にそれぞれ形成された開口に摺動可能に挿通される複数のガイド棒と
をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の杭の載荷試験治具。
【請求項7】
地盤に貫入した管状の反力杭の上端にジャッキを載置する工程と、
前記反力杭の内側で前記地盤に貫入した試験杭の周方向に複数の棒状部材を配列し、前記複数の棒状部材のそれぞれの下端部を前記試験杭に係止する工程と、
前記ジャッキの上方から前記ジャッキに応力伝達部材を当接させる工程と、
前記複数の棒状部材のそれぞれの上端部を前記応力伝達部材に係止する工程と、
前記ジャッキを伸長させて、前記反力杭に押し込み方向の反力を作用させながら前記試験杭に引き抜き方向の力を作用させる工程と
を含む、杭の載荷試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭の載荷試験治具および杭の載荷試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
杭の載荷試験において、特殊な形状を有していない一般的な反力杭を使用しながら、反力杭を先端支持層まで貫入させることを必要とせず、狭小なエリアでも試験を実施するための技術が、特許文献1に記載されている。具体的には、特許文献1では、試験杭よりも杭径が大きく、かつ試験杭よりも杭長が短く、試験杭が挿入される筒状で支持層まで到達していない反力杭が用いられる。この反力杭に反力をとって試験杭を押し込むまたは引き抜くジャッキを反力杭の杭頭に配設した杭の載荷試験装置が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載された実施形態では、押し込み試験ではジャッキが反力杭の内側に配置されるため、反力杭の径が大きくなり、反力杭の搬入や設置のために大がかりな設備が必要になる。また、ジャッキが反力杭の内側に配置されていると、設置時の配線や設置後のトラブル対応も容易ではない。一方、引き抜き試験では反力杭の上に複数のジャッキを並べるため、それぞれのジャッキの間で載荷量を微調整する必要がある。また、ジャッキが試験装置の外周に配置されるため、載荷時にジャッキが脱落するのを防止するために据え付けの精度を高くする必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、杭の載荷試験の施工性を向上させることが可能な、杭の載荷試験治具および杭の載荷試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]地盤に貫入した管状の反力杭の上端に載置されたジャッキの上方からジャッキに当接される応力伝達部材と、上端部が応力伝達部材に係止され、下端部が反力杭の内側で地盤に貫入した試験杭に係止され、試験杭の周方向に配列される複数の棒状部材とを備える杭の載荷試験治具。
[2]複数の棒状部材と試験杭との係止部分の外側に配置される管状部材と、管状部材の下端および反力杭の上端にそれぞれ当接され、試験杭の上端が通る開口が形成される底板と、管状部材の上端に当接され、複数の棒状部材が通る開口が形成され、ジャッキが載置される蓋板とをさらに備える、[1]に記載の杭の載荷試験治具。
[3]複数の棒状部材のそれぞれの上端部は、応力伝達部材に形成された開口に挿通され、上端部にナットが螺合される、[1]または[2]に記載の杭の載荷試験治具。
[4]複数の棒状部材のそれぞれの下端部は、反力杭または試験杭に固定されたフランジ板に形成された開口に挿通され、下端部にナットが螺合される、[1]から[3]のいずれか1項に記載の杭の載荷試験治具。
[5]ジャッキと応力伝達部材との間、またはジャッキと試験杭もしくは反力杭との間にロードセルまたは間隔調整部材の少なくともいずれかが介挿される、[1]から[4]のいずれか1項に記載の杭の載荷試験治具。
[6]ジャッキと応力伝達部材との間、またはジャッキと試験杭もしくは反力杭との間に介挿される複数の中間補強板と、複数の棒状部材とともに反力杭または試験杭の周方向に籠状に配列され、複数の中間補強板にそれぞれ形成された開口に摺動可能に挿通される複数のガイド棒とをさらに備える、[1]から[5]のいずれか1項に記載の杭の載荷試験治具。
[7]地盤に貫入した管状の反力杭の上端にジャッキを載置する工程と、反力杭の内側で地盤に貫入した試験杭の周方向に複数の棒状部材を配列し、複数の棒状部材のそれぞれの下端部を試験杭に係止する工程と、ジャッキの上方からジャッキに応力伝達部材を当接させる工程と、複数の棒状部材のそれぞれの上端部を応力伝達部材に係止する工程と、ジャッキを伸長させて、反力杭に押し込み方向の反力を作用させながら試験杭に引き抜き方向の力を作用させる工程とを含む、杭の載荷試験方法。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、複数の棒状部材と応力伝達部材および反力杭または試験杭との間をそれぞれ係止することによって、引張力を伝達可能としつつも溶接が必要なくなる。また、ジャッキなどの部材が籠状に配置された複数の棒状部材の中に配置されるため、何らかの原因でジャッキなどの部材が所定の位置から逸脱しても外部に飛散することが防止される。従って、杭の載荷試験の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る杭の載荷試験治具の側面図である。
【
図3A】本発明の第1の実施形態に係る杭の載荷試験治具の組み立て方法の例を示す図である。
【
図3B】本発明の第1の実施形態に係る杭の載荷試験治具の組み立て方法の例を示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る杭の載荷試験治具の側面図である。
【
図6A】本発明の第2の実施形態に係る杭の載荷試験治具の組み立て方法の例を示す図である。
【
図6B】本発明の第2の実施形態に係る杭の載荷試験治具の組み立て方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
(第1の実施形態:押し込み載荷試験用の治具)
図1は本発明の第1の実施形態に係る杭の載荷試験治具の側面図であり、
図2は
図1のII-II線断面図である。図示された例において、載荷試験治具10は、地盤に貫入した管状の反力杭1の内側で地盤に貫入した試験杭2の上端に載置されたジャッキ3に上方から当接される応力伝達部材11と、上端部が応力伝達部材11に係止され、下端部が反力杭1に係止される鋼棒12A~12D(総称して鋼棒12ともいう)とを含む。鋼棒12A~12Dは、反力杭1の周方向に配列される。図示された例において、応力伝達部材11は、ロードセル4および間隔調整部材13、ならびにそれぞれの間に介挿される中間補強板14A,14B,14Cを介してジャッキ3に上方から当接される。また、ジャッキ3は、中間補強板14Dを介して試験杭2の上端に載置される。
【0011】
本明細書において、棒状部材は、鋼棒12A~12Dのように細長い部材であって、一方から他方に力を伝達することが可能な部材を意味する。棒状部材は鋼棒のような中実の部材には限られず、鋼管のような中空の部材であってもよい。棒状部材の断面形状は円形には限られず、例えば角棒や角管、平棒と呼ばれるような形状であってもよい。鋼棒12A~12Dの表面は平滑であるように図示されているが、例えば異形鉄筋のように棒状部材の表面には凹凸が形成されてもよい。また、棒状部材の端部が他の部材に係止されることは、棒状部材が他の部材に引張力を伝達可能に連結されることを意味する。具体的には、鋼棒12の上端部にはねじ部が形成され、応力伝達部材11に形成された開口に鋼棒12を挿通した後に上方からナット121をねじ部に螺合させることによって鋼棒12が応力伝達部材11に係止される。一方、鋼棒12の下端部にもねじ部が形成され、反力杭1の上端に固定されたフランジ板122に形成された開口に鋼棒12を挿通した後に下方からナット123をねじ部に螺合させることによって鋼棒12が反力杭1に係止される。このように鋼棒12がそれぞれの部材に係止されていることによって、ジャッキ3が伸長したときに応力伝達部材11に作用する上向きの力は鋼棒12に作用する引張力として反力杭1に伝達される。従って、本実施形態では、反力杭1に引き抜き方向の反力を作用させて試験杭2に押し込み方向の力を作用させる杭の押し込み載荷試験が実施される。
【0012】
加えて、図示された例では、フランジ板122に取り付けられて上方に延びるガイド棒15A~15D(総称してガイド棒15ともいう)が配置される。ガイド棒15は、中間補強板14A~14Dに形成された開口に摺動可能に挿通される。中間補強板14A~14Dは、ガイド棒15に沿って動くが上下方向の変位は拘束されない。ガイド棒15を配置することによって、中間補強板14A~14Dの水平方向の位置ずれを防止し、上述したような応力伝達部材11およびジャッキ3を含む部材間で力を安定的に伝達することができる。
【0013】
図3Aおよび
図3Bは、本発明の第1の実施形態に係る杭の載荷試験治具の組み立て方法の例を示す図である。
図3Aに示すように、まず、地盤に貫入した反力杭1に予め溶接またはボルト接合などによって固定されたフランジ板122に形成された開口に、鋼棒12A~12Dを挿通する。この時点で鋼棒12は下向きの移動について固定されていない状態であるため、例えば鋼棒12に粘着テープなどを巻き付けることによって落下を防止してもよい。さらに開口に鋼棒12A~12Dを挿通しながら中間補強板14Dを配置し、中間補強板14Dの上にジャッキ3を載置する。
【0014】
次に、
図3Bに示すように、鋼棒12A~12Dを開口に挿通させながらジャッキ3の上に中間補強板14Cを載置し、その上にロードセル4を載置する。同様に中間補強板14B、間隔調整部材13、中間補強板14Aおよび応力伝達部材11をこの順で載置し、応力伝達部材11の開口に挿通された鋼棒12A~12Dの上端側のねじ部にナット121を螺合させて、
図1に示されたような載荷試験治具10が完成する。なお、ガイド棒15A~15Dについては、図示された例のようにいくつかの中間補強板が配置された時点で配置されてもよいし、予めフランジ板122に取り付けられていてもよいし、上述した工程よりも後に配置されてもよい。
【0015】
本実施形態では、鋼棒12を介して応力を伝達することによってジャッキ3を反力杭1の上方に配置できるため、反力杭1の径を必要最小限にすることができる。また、鋼棒12の間からジャッキ3が露出しているため、設置時の配線や設置後のトラブル対応が容易になる。また、鋼棒12と応力伝達部材11および反力杭1との間をそれぞれ係止することによって、引張力を伝達可能としつつも溶接が必要なくなる。また、ジャッキ3などの部材が籠状に配置された鋼棒12(およびガイド棒15)の中に配置されるため、何らかの原因でジャッキ3などの部材が所定の位置から逸脱しても外部に飛散することが防止される。従って、本実施形態では杭の載荷試験の施工性を向上させることができる。
【0016】
(第2の実施形態:引張載荷試験用の治具)
図4は本発明の第2の実施形態に係る杭の載荷試験治具の側面図であり、
図5は
図4のV-V線断面図である。図示された例において、載荷試験治具20は、地盤に貫入した反力杭1の上端に載置されたジャッキ3に上方から当接される応力伝達部材11と、上端部が応力伝達部材11に係止され、下端部が地盤に貫入した試験杭2に係止される鋼棒12A~12Dとを含む。鋼棒12A~12Dは、試験杭2の周方向に配列される。図示された例において、応力伝達部材11は、ロードセル4および間隔調整部材23、ならびにそれぞれの間に介挿される中間補強板14A,14B,14Cを介してジャッキ3の上方から当接される。
【0017】
また、図示された例において、ジャッキ3は、底板26、鋼管27および蓋板28を介して反力杭1の上端に載置される。底板26は、反力杭1の上端に固定されたフランジ板122に載置され、鋼管27は底板26の上に載置され、蓋板28は鋼管27の上に載置される。底板26の中央部には試験杭2の上端が通る開口が形成される。鋼管27は上端および下端がいずれも開放されており、内側に試験杭2と鋼棒12A~12Dとの係止部分を配置することが可能な径を有する。また、蓋板28には鋼棒12A~12Dが通る開口が形成される。これによって、本実施形態では、試験杭2および鋼棒12A~12Dに干渉することなく、ジャッキ3を反力杭1の上端に載置することができる。
【0018】
本実施形態では、応力伝達部材11に形成された開口に鋼棒12を挿通した後に、鋼棒12の上端に形成されたねじ部にナット121を螺合させることによって、鋼棒12が応力伝達部材11に係止される。また、試験杭2の上端に固定されたフランジ板124に形成された開口に鋼棒12を挿通した後に、鋼棒12の下端に形成されたねじ部にナット123を螺合させることによって鋼棒12が試験杭2に係止される。このように鋼棒12がそれぞれの部材に係止されていることによって、ジャッキ3が伸長したときに応力伝達部材11に作用する上向きの力は鋼棒12に作用する引張力として試験杭2に伝達される。従って、本実施形態では、反力杭1に押し込み方向の反力を作用させて試験杭2に引き抜き方向の力を作用させる杭の引き抜き載荷試験が実施される。
【0019】
加えて、図示された例では、蓋板28に取り付けられて上方に延びるガイド棒15A~15Dが配置される。ガイド棒15は、中間補強板14A~14Cに形成された開口に挿通される。中間補強板14A~14Cは、ガイド棒15に沿って動くが上下方向の変位は拘束されない。ガイド棒15を配置することによって、中間補強板14A~14Cの水平方向の位置ずれを防止し、上述したような応力伝達部材11およびジャッキ3を含む部材間で力を安定的に伝達することができる。
【0020】
図6Aおよび
図6Bは、本発明の第2の実施形態に係る杭の載荷試験治具の組み立て方法の例を示す図である。
図6Aに示すように、まず、地盤に貫入した試験杭2に予め溶接またはボルト接合などによって固定されたフランジ板124に形成された開口に、鋼棒12A~12Dを挿通する。この時点で鋼棒12は下向きの移動について固定されていない状態であるため、例えば鋼棒12に粘着テープなどを巻き付けることによって落下を防止してもよい。また、反力杭1に予め溶接またはボルト接合などによって固定されたフランジ板122に底板26を載置する。
【0021】
次に、
図6Bに示すように、底板26の上に鋼管27および蓋板28を載置し、蓋板28の上にジャッキ3および中間補強板14Cを載置する。蓋板28および中間補強板14Cは、鋼棒12A~12Dを開口に挿通させながら配置される。同様にロードセル4、中間補強板14B、間隔調整部材23、中間補強板14Aおよび応力伝達部材11をこの順で載置し、応力伝達部材11の開口に挿通された鋼棒12A~12Dの上端側のねじ部にナット123を螺合させて、
図4に示されたような載荷試験治具20が完成する。なお、ガイド棒15A~15Dについては、図示された例のようにいくつかの中間補強板が配置された時点で配置されてもよいし、予め蓋板28に取り付けられていてもよいし、上述した工程よりも後に配置されてもよい。
【0022】
本実施形態では、鋼棒12を介して応力を伝達することによってジャッキ3を反力杭1および試験杭2の軸心上に配置できるため、複数のジャッキを配置する必要がなく、載荷量の微調整などの工程が不要になる。また、反力杭1および試験杭2の軸心上に配置されたジャッキ3は載荷時にも脱落しにくいため、例えば試験装置の外周にジャッキが配置される場合に比べて据え付けの精度が要求されない。また、鋼棒12と応力伝達部材11および試験杭2との間をそれぞれ係止することによって、引張力を伝達可能としつつも溶接が必要なくなる。また、本実施形態でもジャッキ3などの部材が籠状に配置された鋼棒12(およびガイド棒15)の中に配置されるため、何らかの原因でジャッキ3が所定の位置から逸脱しても外部に飛散することが防止される。従って、本実施形態では杭の載荷試験の施工性を向上させることができる。
【0023】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0024】
1…反力杭、2…試験杭、3…ジャッキ、4…ロードセル、10,20…載荷試験治具、11…応力伝達部材、12A~12D…鋼棒、121,123…ナット、122,124…フランジ板、13,23…間隔調整部材、14A~14D…中間補強板、15A~15D…ガイド棒、26…底板、27…鋼管、28…蓋板。