IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015601
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20240130BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240130BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20240130BHJP
   H03H 7/075 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01F27/00 S
H01F17/00 D
H01G4/40 321A
H03H7/075 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117774
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】中澤 道幸
(72)【発明者】
【氏名】大橋 武
(72)【発明者】
【氏名】楠 大輝
(72)【発明者】
【氏名】三嶽 幸生
【テーマコード(参考)】
5E070
5E082
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070AB03
5E070CB13
5E082AB03
5E082BB01
5E082BC40
5E082CC03
5E082CC13
5E082DD08
5E082DD09
5E082EE26
5E082FG26
5J024AA01
5J024BA01
5J024CA04
5J024DA04
5J024DA29
5J024DA35
5J024EA03
5J024KA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】適切な特性を有するインダクタを構成可能な電子部品を提供する。
【解決手段】薄膜LCフィルタである電子部品において、絶縁体内にLCフィルタ部を構成する導体パターン(接続導体)は、キャパシタパターン28Bと、キャパシタと電気的に並列に接続されると共にキャパシタと共振回路を構成する第一インダクタ部28Ac及び第一インダクタ部に連接される第二インダクタ部28Adを有するインダクタパターン28Aと、を備え、キャパシタパターン28Bが、第一インダクタ部と第二インダクタ部とが連接される部分の接続部28Aeに接続されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタと、
前記キャパシタと電気的に並列に接続されると共に前記キャパシタと共振回路を構成する第一インダクタ部と、前記第一インダクタ部に連接される第二インダクタ部と、を有するインダクタと、を備え、
前記キャパシタは、前記第一インダクタ部と前記第二インダクタ部とが連接される部分に接続されている、電子部品。
【請求項2】
前記インダクタは、第一端部及び第二端部を有する巻回部を有し、
前記第一インダクタ部と前記第二インダクタ部とは、前記巻回部における前記第一端部と第二端部との間において連接するよう一体に形成されている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記巻回部は、前記第一端部と前記第二端部の間に設けられる接続部を含み、
前記第一インダクタ部は、前記巻回部において前記第一端部と前記接続部との間に形成され、
前記第二インダクタ部は、前記巻回部において前記接続部と前記第二端部との間に形成され、
前記キャパシタは、前記接続部に電気的に接続されている、請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
素体を備え、
前記素体内に、前記インダクタを構成するインダクタパターン及び前記キャパシタを構成するキャパシタパターンが配置されている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記素体に配置される複数の端子電極を備え、
前記素体は、第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有しており、
複数の前記端子電極のうち、二つの前記端子電極は、前記第二方向から見て、前記第一方向において離間して配置されており、
前記キャパシタパターンの少なくとも一部は、前記第二方向から見て、当該二つの前記端子電極の間の領域に配置される、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記素体に配置される複数の端子電極を備え、
前記素体は、第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有しており、
複数の前記端子電極のうち、二つの前記端子電極は、前記第二方向から見て、前記第三方向において離間して配置されており、
前記キャパシタパターンの少なくとも一部は、前記第二方向から見て、当該二つの前記端子電極の間の領域に配置される、請求項4に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャパシタ(コンデンサ素子)及び第一インダクタ(コイル素子)によって構成される共振回路と、共振回路に電気的に直列に接続される第二インダクタ(コイル)と、を備える帯域フィルタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-206914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記帯域フィルタのように、共振回路を構成する第一インダクタに加えて、第二インダクタを備える構成では、たとえば、高周波帯域において減衰極が形成されるため、高周波帯域における減衰量の調整を行える。電子部品において、第一インダクタに加えて、第二インダクタを設けるためには、第二インダクタを配置するためのスペース(実装面積)が確保される。電子部品では、製品のサイズが制限されることがある。たとえば、限られたスペース内において第一インダクタ及び第二インダクタを別個に配置すると、第一インダクタ及び第二インダクタのそれぞれの領域(たとえば、インダクタを構成するコイルが形成された領域)を小さくせざるを得ないことがある。電子部品では、インダクタ領域が小さくなると、たとえば、Q値(Quality factor)が低下するなど、インダクタの特性に影響する。
【0005】
本開示では、適切な特性を有するインダクタを構成可能な電子部品が説明される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る電子部品は、キャパシタと、キャパシタと電気的に並列に接続されると共にキャパシタと共振回路を構成する第一インダクタ部と、第一インダクタ部に連接される第二インダクタ部と、を有するインダクタと、を備え、キャパシタは、第一インダクタと第二インダクタとが連接される部分に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の各側面及び各実施形態によれば、適切な特性を有するインダクタを含む電子部品が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第一実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図2図2は、図1に示す電子部品を絶縁体側から見た図である。
図3図3は、図1に示す電子部品の側面図である。
図4図4は、図1に示す電子部品の端面図である。
図5図5は、図1に示す電子部品が備えるLCフィルタ部を構成する導体パターンを示す図である。
図6図6は、導体パターンを示す図である。
図7図7は、図1に示す電子部品の等価回路図である。
図8図8は、電子部品に含まれる共振器の減衰量の周波数特性を示す図である。
図9図9は、図8に示す周波数特性の一部を拡大して示す図である。
図10図10は、電子部品に含まれる共振器の減衰量の周波数特性を示す図である。
図11図11は、図10に示す周波数特性の一部を拡大して示す図である。
図12図12は、第二実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図13図13は、図12に示す電子部品を絶縁体側から見た図である。
図14図14は、図12に示す電子部品の側面図である。
図15図15は、図12に示す電子部品の端面図である。
図16図16は、図12に示す電子部品が備えるLCフィルタ部を構成する導体パターンを示す図である。
図17図17は、導体パターンを示す図である。
図18図18は、図12に示す電子部品の等価回路図である。
図19図19は、電子部品に含まれる共振器の減衰量の周波数特性を示す図である。
図20図20は、図19に示す周波数特性の一部を拡大して示す図である。
図21図21は、電子部品に含まれる共振器の減衰量の周波数特性を示す図である。
図22図22は、図20に示す周波数特性の一部を拡大して示す図である。
図23図23は、他の実施形態に係る電子部品を絶縁体側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1]実施形態の概要
(1)本開示の一側面に係る電子部品は、キャパシタと、キャパシタと電気的に並列に接続されると共にキャパシタと共振回路を構成する第一インダクタ部と、第一インダクタ部に連接される第二インダクタ部と、を有するインダクタと、を備え、キャパシタは、第一インダクタと第二インダクタとが連接される部分に接続されている。
【0010】
本開示の一側面に係る電子部品では、第一インダクタ部と第二インダクタ部とを有するインダクタにおいて、第一インダクタ部と第二インダクタ部とが連接されている。すなわち、第一インダクタ部と第二インダクタ部とは、一体化されている。そのため、電子部品では、第一インダクタ部及び第二インダクタ部の二つのインダクタ部を有する構成であっても、インダクタを構成する領域(インダクタを形成するパターンが配置された領域、以下単に「インダクタ領域」と記載することがある)を大きくすることができる。したがって、電子部品では、たとえば、Q値の向上など、インダクタの特性を調整することができる。
【0011】
また、電子部品では、キャパシタは、第一インダクタ部と第二インダクタ部とが連接される部分に接続されている。これにより、電子部品では、インダクタに対するキャパシタの接続位置を調整することにより、周波数特性を調整することができる。一例として、係る電子部品は、高周波帯域における減衰量を調整することができる。したがって、電子部品では、高周波帯域における減衰量の調整ができると共に、たとえば、インダクタのQ値の向上が図れる。なお、高周波帯域は特に限定されず、適切な周波数帯域が適宜選択されてよい。一例として、キャパシタとインダクタとによりフィルタを構成した場合、当該フィルタの通過域における高周波側の周波数帯域を高周波帯域としてもよい。また、他の例として、フィルタの通過域の約2倍の周波数近傍での周波数帯域を高周波帯域としてもよい。
【0012】
(2)インダクタは、第一端部及び第二端部を有する巻回部を有し、第一インダクタ部と第二インダクタ部とは、巻回部における第一端部と第二端部との間において連接するよう一体に形成されている、(1)に記載の電子部品。この構成では、第一インダクタ部と第二インダクタ部とが巻回部において一体化されている。したがって、電子部品では、巻回部の領域を大きくすることによって、Q値の向上を図るなど、インダクタの特性を調整することができる。
【0013】
(3)巻回部は、第一端部と第二端部の間に設けられる接続部を含み、第一インダクタ部は、巻回部において第一端部と接続部との間に形成され、第二インダクタ部は、巻回部において接続部と第二端部との間に形成され、キャパシタは、接続部に電気的に接続されている、(1)又は(2)に記載の電子部品。この構成では、インダクタの接続部に対するキャパシタの接続位置を調整することにより、たとえば、高周波帯域における減衰量を調整するなど、周波数特性を調整することができる。
【0014】
(4)素体を備え、素体内に、インダクタを構成するインダクタパターン及びキャパシタを構成するキャパシタパターンが配置されている、(1)~(3)のいずれか一項に記載の電子部品。素体内にインダクタパターン及びキャパシタパターンが配置される構成では、素体のサイズに制限があるため、素体内におけるパターンのスペース(実装面積)が制限される。そのため、素体内にインダクタを構成するインダクタパターン及びキャパシタを構成するキャパシタパターンが配置される構成では、上記インダクタの構成とすることが、たとえば、Q値の向上などのインダクタの特性調整に関して有効である。
【0015】
(5)素体に配置される複数の端子電極を備え、素体は、第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有しており、複数の端子電極のうち、二つの端子電極は、第二方向から見て、第一方向において離間して配置されており、キャパシタパターンの少なくとも一部は、第二方向から見て、当該二つの端子電極の間の領域に配置されている、(4)に記載の電子部品。当該二つの端子電極の間の領域は、デッドスペースになり得る。そのため、電子部品では、デッドスペースにキャパシタパターンの少なくとも一部を配置することにより、インダクタを配置するスペースを確保できる。これにより、電子部品では、インダクタ領域を大きくすることができる。
【0016】
(6)素体に配置される複数の端子電極を備え、素体は、第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有しており、複数の端子電極のうち、二つの端子電極は、第二方向から見て、第三方向において離間して配置されており、キャパシタパターンの少なくとも一部は、第二方向から見て、当該二つの端子電極の間の領域に配置されている、(4)に記載の電子部品。当該二つの端子電極の間の領域は、デッドスペースになり得る。そのため、電子部品では、デッドスペースにキャパシタパターンの少なくとも一部を配置することにより、インダクタを配置するスペースを確保できる。これにより、電子部品では、インダクタ領域を大きくすることができる。
【0017】
[2]実施形態の例示
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0018】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態に係る電子部品の斜視図である。図2は、図1に示す電子部品を絶縁体側から見た図である。図3は、図1に示す電子部品の側面図である。図4は、図1に示す電子部品の端面図である。
【0019】
図1に示される電子部品1は、LCフィルタである。電子部品1は、いわゆる薄膜LCフィルタである。LCフィルタは、バンドパスフィルタであり得る。図1及び図2に示されるように、電子部品1は、基板2と、絶縁体(素体)3と、絶縁体3に配置された第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第四端子電極7と、を備えている。
【0020】
基板2は、例えば、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれ得る。図1図3及び図4に示されるように、基板2は、その外表面として、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の主面2c,2dと、互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。
【0021】
一対の端面2a,2bが対向している対向方向が第一方向D1である。一対の主面2c,2dが対向している対向方向が第二方向D2である。一対の側面2e,2fが対向している対向方向が第三方向D3である。本実施形態では、第一方向D1は、基板2の長手方向である。第二方向D2は、基板2の高さ方向であり、第一方向D1と直交している。第三方向D3は、基板2の幅方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。第二方向D2から見ることは、平面視に相当する。
【0022】
一対の端面2a,2bは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の端面2a,2bは、第三方向D3にも延びている。一対の側面2e,2fは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の側面2e,2fは、第一方向D1にも延びている。
【0023】
基板2は、化学的・熱的に安定で応力発生が少なく、表面の平滑性を保つことができる材料で形成することができる。当該材料としては、特に限定されるものではないが、シリコン単結晶、アルミナ、サファイア、窒化アルミ、MgO単結晶、SrTiO単結晶、表面酸化シリコン、ガラス、石英、フェライトなどを用いることができる。
【0024】
絶縁体3は、直方体形状を呈している。図1図4に示されるように、絶縁体3は、その外表面として、互いに対向している一対の端面3a,3bと、互いに対向している一対の主面3c,3dと、互いに対向している一対の側面3e,3fと、を有している。一対の端面3a,3bは、第一方向D1において対向している。一対の主面3c,3dは、第二方向D2において対向している。一対の側面3e,3fは、第三方向D3において対向している。
【0025】
一対の端面3a,3bは、一対の主面3c,3dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の端面3a,3bは、第三方向D3にも延びている。一対の側面3e,3fは、一対の主面3c,3dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の側面3e,3fは、第一方向D1にも延びている。絶縁体3の第一方向D1の寸法は、基板2の第一方向D1の寸法と同等である。絶縁体3の第三方向D3の寸法は、基板2の第三方向D3の寸法と同等である。
【0026】
なお、本実施形態で「同等」とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
【0027】
絶縁体3は、複数の絶縁体層が積層されることによって構成されている。絶縁体層は、ポリイミドなどの有機絶縁材料で構成されてもよい。絶縁体層は、第二方向D2に積層されている。すなわち、第二方向D2が積層方向である。実際の絶縁体3では、複数の絶縁体層は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0028】
基板2と絶縁体3とは、一体に設けられている。基板2と絶縁体3とは、主面2cと主面3dとが対向するように配置されている。基板2と絶縁体3との間には、平坦化層8が配置されている。平坦化層8は、基板2の主面2cと絶縁体3の主面3dとの間に配置されている。平坦化層8としては、アルミナ、酸化シリコンなどを用いることができる。
【0029】
図1及び図2に示されるように、第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第四端子電極7は、絶縁体3の主面3cに配置されている。第一端子電極4及び第二端子電極5は、グラウンド端子であり得る。第三端子電極6は、信号の入力端子であり得る。第四端子電極7は、信号の出力端子であり得る。
【0030】
第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第四端子電極7は、平面視において、略長方形状を呈している。長方形状には、角部及び稜線部が面取りされている形状、及び、角部及び稜線部が丸められている形状が含まれ得る。第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第四端子電極7のそれぞれは、絶縁体3の角部に配置されている。
【0031】
第一端子電極4は、端面3a寄りで且つ側面3e寄りの位置に配置されている。第二端子電極5は、端面3b寄りで且つ側面3e寄りの位置に配置されている。第三端子電極6は、端面3a寄りで且つ側面3f寄りの位置に配置されている。第四端子電極7は、端面3b寄りで且つ側面3f寄りの位置に配置されている。
【0032】
第一端子電極4と第二端子電極5とは、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。第三端子電極6と第四端子電極7とは、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。第一端子電極4と第三端子電極6とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第二端子電極5と第四端子電極7とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。
【0033】
第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第四端子電極7は、たとえば、金、ニッケル、銅、銀などで形成することができる。
【0034】
電子部品1では、絶縁体3内にLCフィルタ部9が配置されている。図5は、図1に示す電子部品1が備えるLCフィルタ部9を構成する導体パターン(接続導体)を示す図である。電子部品1では、基板2側(絶縁体3の主面3d側)から、図5のレイヤーH、レイヤーG、レイヤーF、レイヤーE、レイヤーD、レイヤーC、レイヤーB及びレイヤーAに示される順に導体パターンが配置されている。導体パターンには、インダクタパターン、キャパシタパターン及びビアパターンが含まれ得る。導体パターンは、たとえば、銅で形成することができる。
【0035】
図5のレイヤーHに示されるように、LCフィルタ部9は、導体パターン10、導体パターン11、導体パターン12及び導体パターン13を有している。導体パターン10~13は、平坦化層8(図3及び図4)上に配置されている。導体パターン10と導体パターン11とは、第一方向D1において並んで配置されている。並んで配置されているとは、第一方向D1から導体パターン10及び導体パターン11を見た場合に、導体パターン10と導体パターン11との少なくとも一部が重なる部分を有していればよい。本実施形態では、導体パターン10及び導体パターン11の形状は、第三方向D3に沿った線を軸とする線対称性を有している。
【0036】
導体パターン10は、インダクタパターン10Aと、キャパシタパターン10Bと、接続パターン10Cと、を含んでいる。インダクタパターン10A、キャパシタパターン10B及び接続パターン10Cは、一体に形成されている。インダクタパターン10Aは、四角枠状を呈している。キャパシタパターン10Bは、第二方向D2から見て、第一端子電極4と第三端子電極6との間の領域に位置している。接続パターン10Cは、インダクタパターン10Aとキャパシタパターン10Bとを電気的に接続している。
【0037】
導体パターン11は、インダクタパターン11Aと、キャパシタパターン11Bと、接続パターン11Cと、を含んでいる。インダクタパターン11A、キャパシタパターン11B及び接続パターン11Cは、一体に形成されている。インダクタパターン11Aは、四角枠状を呈している。インダクタパターン11Aは、インダクタパターン10Aと第一方向D1において並んで配置されている。キャパシタパターン11Bは、第二方向D2から見て、第二端子電極5と第四端子電極7との間の領域に位置している。接続パターン11Cは、インダクタパターン11Aとキャパシタパターン11Bとを電気的に接続している。導体パターン12は、キャパシタパターン12Aを含んでいる。
【0038】
図5のレイヤーGに示されるように、LCフィルタ部9は、キャパシタパターン14、キャパシタパターン15及びキャパシタパターン16を有している。キャパシタパターン14、キャパシタパターン15及びキャパシタパターン16のそれぞれは、たとえば、長方形状を呈している。
【0039】
図5のレイヤーFに示されるように、LCフィルタ部9は、ビアパターン17、ビアパターン18、ビアパターン19、ビアパターン20、ビアパターン21、ビアパターン22、ビアパターン23、ビアパターン24、ビアパターン25、ビアパターン26及びビアパターン27を有している。本実施形態では、ビアパターン17、ビアパターン18、ビアパターン19、ビアパターン20、ビアパターン21、ビアパターン22、ビアパターン23、ビアパターン24、ビアパターン25、ビアパターン26及びビアパターン27のそれぞれは、たとえば、長方形状を呈している。
【0040】
図5のレイヤーEに示されるように、LCフィルタ部9は、導体パターン28、導体パターン29、導体パターン30、導体パターン31、導体パターン32及び導体パターン33を有している。
【0041】
図6に示されるように、導体パターン28は、インダクタパターン(巻回部)28Aと、キャパシタパターン28Bと、接続パターン28Cと、を含んでいる。インダクタパターン28A、キャパシタパターン28B及び接続パターン28Cは、一体に形成されている。
【0042】
インダクタパターン28Aは、第一端部28Aa及び第二端部28Abを有している。インダクタパターン28Aは、第一インダクタ部28Acと、第二インダクタ部28Adと、接続部28Aeと、を含んでいる。
【0043】
第一インダクタ部28Acと第二インダクタ部28Adとは、インダクタパターン28Aにおける第一端部28Aaと第二端部28Abとの間において連接するよう一体に形成されている。第一インダクタ部28Acは、インダクタパターン28Aにおいて、第一端部28Aaと接続部28Aeとの間に形成されている。第一インダクタ部28Acは、略L字形状を呈している。第一インダクタ部28Acは、第一方向D1に沿って延在する部分と、第三方向D3に沿って延在する部分と、を含んでいる。
【0044】
第二インダクタ部28Adは、インダクタパターン28Aにおいて、接続部28Aeと第二端部28Abとの間に形成されている。第二インダクタ部28Adは、略L字状を呈している。第二インダクタ部28Adは、第一方向D1に沿って延在する部分と、第三方向D3に沿って延在する部分と、を含んでいる。
【0045】
接続部28Aeは、第一端部28Aaと第二端部28Abとの間に設けられている。接続部28Aeは、第一インダクタ部28Acの端部(第一端部28Aaとは反対側の端部)と第二インダクタ部28Adの端部(第二端部28Abとは反対側の端部)の間に設けられている。接続部28Aeは、第一インダクタ部28Acと第二インダクタ部28Adとを接続している。第一インダクタ部28Acと第二インダクタ部28Adとは、接続部28Aeを介して連接されている。すなわち、第一インダクタ部28Acと第二インダクタ部28Adとは、インダクタパターン28Aにおいて、接続部28Aeを境界として二つの部分に区分けされる。
【0046】
キャパシタパターン28Bは、第二方向D2から見て、第一端子電極4と第三端子電極6との間の領域に位置している。キャパシタパターン28Bは、長方形状を呈している。キャパシタパターン28Bは、接続パターン28Cを介して、インダクタパターン28Aの接続部28Aeに接続されている。接続パターン28Cの一端は、インダクタパターン28Aに接続され、接続パターン28Cの他端は、キャパシタパターン28Bに接続されている。
【0047】
導体パターン29は、インダクタパターン(巻回部)29Aと、キャパシタパターン29Bと、接続パターン29Cと、キャパシタパターン29Dと、を含んでいる。インダクタパターン29A、キャパシタパターン29B、接続パターン28C及びキャパシタパターン29Dは、一体に形成されている。
【0048】
インダクタパターン29Aは、第一端部29Aa及び第二端部29Abを有する。インダクタパターン29Aは、第一インダクタ部29Acと、第二インダクタ部29Adと、接続部29Aeと、を含んでいる。
【0049】
第一インダクタ部29Acと第二インダクタ部29Adとは、インダクタパターン29Aにおける第一端部29Aaと第二端部29Abとの間において連接するよう一体に形成されている。第一インダクタ部29Acは、インダクタパターン29Aにおいて、第一端部29Aaと接続部29Aeとの間に形成されている。第一インダクタ部29Acは、略L字形状を呈している。第一インダクタ部29Acは、第一方向D1に沿って延在する部分と、第三方向D3に沿って延在する部分と、を含んでいる。
【0050】
第二インダクタ部29Adは、インダクタパターン29Aにおいて、接続部29Aeと第二端部29Abとの間に形成されている。第二インダクタ部29Adは、略L字状を呈している。第二インダクタ部29Adは、第一方向D1に沿って延在する部分と、第三方向D3に沿って延在する部分と、を含んでいる。
【0051】
接続部29Aeは、第一端部29Aaと第二端部29Abとの間に設けられている。接続部29Aeは、第一インダクタ部29Acの端部(第一端部29Aaとは反対側の端部)と第二インダクタ部29Adの端部(第二端部29Abとは反対側の端部)の間に設けられている。接続部29Aeは、第一インダクタ部29Acと第二インダクタ部29Adとを接続している。第一インダクタ部29Acと第二インダクタ部29Adとは、接続部29Aeを介して連接されている。すなわち、第一インダクタ部29Acと第二インダクタ部29Adとは、インダクタパターン29Aにおいて、接続部29Aeを境界として二つの部分に区分けされる。
【0052】
キャパシタパターン29Bは、第二方向D2から見て、第二端子電極5と第四端子電極7との間の領域に位置している。キャパシタパターン29Bは、長方形状を呈している。キャパシタパターン29Bは、接続パターン29Cを介して、インダクタパターン29Aの接続部29Aeに接続されている。接続パターン29Cの一端は、インダクタパターン29Aに接続され、接続パターン29Cの他端は、キャパシタパターン29Bに接続されている。キャパシタパターン29Dは、インダクタパターン29Aの第一端部29Aaに接続されている。
【0053】
図5のレイヤーDに示されるように、LCフィルタ部9は、ビアパターン34、ビアパターン35、ビアパターン36及びビアパターン37を有している。本実施形態では、ビアパターン34、ビアパターン35、ビアパターン36及びビアパターン37は、たとえば、長方形状を呈している。
【0054】
図5のレイヤーCに示されるように、LCフィルタ部9は、導体パターン38、導体パターン39、導体パターン40及び導体パターン41を有している。本実施形態では、導体パターン38、導体パターン39、導体パターン40及び導体パターン41は、たとえば、長方形状を呈している。
【0055】
図5のレイヤーBに示されるように、LCフィルタ部9は、ビアパターン42、ビアパターン43、ビアパターン44及びビアパターン45を有している。本実施形態では、ビアパターン42、ビアパターン43、ビアパターン44及びビアパターン45は、たとえば、長方形状を呈している。
【0056】
図5のレイヤーAに示されるように、電子部品1は、第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第四端子電極7を有している。
【0057】
図5のレイヤーFに示されるように、ビアパターン17は、導体パターン10の接続パターン10Cと導体パターン30とを接続している。ビアパターン18は、導体パターン11の接続パターン11Cと導体パターン31とを接続している。ビアパターン19は、導体パターン12と導体パターン32とを接続している。ビアパターン20は、導体パターン13と導体パターン33とを接続している。
【0058】
ビアパターン21は、導体パターン10のインダクタパターン10Aと導体パターン28のインダクタパターン28Aの第二端部28Abとを接続している。ビアパターン22は、導体パターン11のインダクタパターン11Aと導体パターン29のインダクタパターン29Aの第二端部29abとを接続している。ビアパターン23は、導体パターン12と導体パターン28のインダクタパターン28aの第一端部28aaとを接続している。ビアパターン24は、導体パターン13と導体パターン29のインダクタパターン29Aの第一端部29Aaとを接続している。
【0059】
ビアパターン25は、キャパシタパターン14とキャパシタパターン28Bとを接続している。ビアパターン26は、キャパシタパターン15とキャパシタパターン29Bとを接続している。ビアパターン27は、キャパシタパターン16とキャパシタパターン29dとを接続している。
【0060】
図5のレイヤーDに示されるように、ビアパターン34は、導体パターン30と導体パターン38とを接続している。ビアパターン35は、導体パターン31と導体パターン39とを接続している。ビアパターン36は、導体パターン32と導体パターン40とを接続している。ビアパターン37は、導体パターン33と導体パターン41とを接続している。
【0061】
図5のレイヤーBに示されるように、ビアパターン42は、導体パターン38と第一端子電極4とを接続している。ビアパターン43は、導体パターン39と第二端子電極5とを接続している。ビアパターン44は、導体パターン40と第三端子電極6とを接続している。ビアパターン45は、導体パターン41と第四端子電極7とを接続している。
【0062】
導体パターン10のキャパシタパターン10Bとキャパシタパターン14との間には、誘電体層(図示省略)が配置されている。導体パターン11のキャパシタパターン11Bとキャパシタパターン15との間には、誘電体層(図示省略)が配置されている。導体パターン12のキャパシタパターン12Aとキャパシタパターン16との間には、誘電体層(図示省略)が配置されている。誘電体層は、たとえば、窒化シリコン、酸化シリコンなどの常誘電体材料、強誘電体材料などからなる無機絶縁材料で形成することができる。
【0063】
図7は、図1に示す電子部品1の等価回路図である。図7に示されるように、電子部品1は、第一インダクタL1と、第二インダクタL2と、第三インダクタL3と、第四インダクタL4と、第一キャパシタC1と、第二キャパシタC2と、第三キャパシタC3と、を備えている。電子部品1は、二段共振型バンドパスフィルタ回路を構成している。
【0064】
第一インダクタL1は、インダクタパターン28Aの第一インダクタ部28Acを含んで構成されている。第二インダクタL2は、インダクタパターン28Aの第二インダクタ部28Ad及びインダクタパターン10Aを含んで構成されている。第三インダクタL3は、インダクタパターン29Aの第一インダクタ部29Acを含んで構成されている。第四インダクタL4は、インダクタパターン29Aの第二インダクタ部29Ad及びインダクタパターン11Aを含んで構成されている。
【0065】
第一キャパシタC1は、キャパシタパターン10B、キャパシタパターン14及びキャパシタパターン28Bを含んで構成されている。第二キャパシタC2は、キャパシタパターン11B、キャパシタパターン15及びキャパシタパターン29Bを含んで構成されている。第三キャパシタC3は、キャパシタパターン12A、キャパシタパターン16及びキャパシタパターン28Dを含んで構成されている。
【0066】
第一インダクタL1、第二インダクタL2及び第一キャパシタC1は、第一LC共振器を構成している。第三インダクタL3、第四インダクタL4及び第二キャパシタC2は、第二LC共振器を構成している。
【0067】
図8は、電子部品1の共振器の周波数特性を示す図である。図9は、図8に示す共振器の周波数特性の一部を拡大して示す図である。図8及び図9では、第三キャパシタC3が電気的に短絡された状態で、第三端子電極6から信号を入力して、第四端子電極7から信号を出力した場合の、第一LC共振器及び第二LC共振器の減衰量の周波数特性を示している。言い換えると、第三キャパシタC3が電気的に短絡された状態での、第三端子電極6から第四端子電極7への透過係数の周波数特性を示している。図8及び図9では、横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸は減衰量[dB]を示している。なお、図8及び図9に例示する特性図は、シミュレーションにより得られた結果を表している。図8及び図9では、電子部品1の特性を実線で示し、比較例に係る電子部品の特性を破線で示している。比較例に係る電子部品は、第一インダクタ部を構成する第一インダクタパターンと第二インダクタ部を構成する第二インダクタパターンとの二つのインダクタパターンを別個に備えている。すなわち、比較例に係る電子部品は、第一インダクタ部と第二インダクタ部とが一体化されていない構成である。
【0068】
図9に示されるように、電子部品1は、比較例に係る電子部品に比べて、特性が向上している。このように、第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとを一体化した電子部品1の構成では、二つのインダクタパターンを備える比較例に係る電子部品に比べて、共振特性の向上が図れる。
【0069】
図10は、電子部品1のフィルタの周波数特性を示す図である。図11は、図10に示すフィルタの周波数特性の一部を拡大して示す図である。図10及び図11では、第三端子電極6から信号を入力して、第四端子電極7から信号を出力した場合のフィルタ特性の減衰量の周波数特性を示している。言い換えると、第三端子電極6から第四端子電極7への透過係数の周波数特性を示している。図10及び図11では、横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸は減衰量[dB]を示している。なお、図10及び図11に例示する特性図は、シミュレーションにより得られた結果を表している。図10及び図11では、電子部品1の特性を実線で示し、比較例に係る電子部品の特性を破線で示している。
【0070】
図11に示されるように、電子部品1は、比較例に係る電子部品に比べて、特性が向上している。このように、第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとを一体化した電子部品1の構成では、二つのインダクタパターンを備える比較例に係る電子部品に比べて、フィルタ特性の向上が図れる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1では、第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとを有するインダクタパターン28A,26Aにおいて、第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとが連接されている。すなわち、第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとは、一体化されている。そのため、電子部品1では、第一インダクタ部28Ac,29Ac及び第二インダクタ部28Ad,29Adの二つのインダクタ部を有する構成であっても、インダクタパターン28A,26Aの領域を大きくすることができる。したがって、電子部品1では、たとえば、Q値の向上など、インダクタの特性を改善することができる。また、電子部品1では、キャパシタパターン28B,26Bは、第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとが連接される部分に接続されている。これにより、電子部品1では、インダクタパターン28A,26Aに対するキャパシタパターン28B,26Bの接続位置を調整することにより、周波数特性を調整(たとえば、高周波帯域における減衰量を調整)することができる。したがって、電子部品1では、周波数特性を調整(たとえば、高周波帯域における減衰量の調整)できると共に、インダクタの特性を適切に調整(たとえば、Q値の向上)することができる。たとえば、インダクタのQ値を改善(向上)することにより、当該インダクタを含む共振器のQ値も改善される。これにより回路の周波数特性が改善(たとえば、通過域での挿入損失の低減、通過域の帯域幅の拡大)され得る。
【0072】
また、電子部品1では、インダクタパターン28A,26Aにおいて、第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとが一体化されているため、第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとを接続する配線が不要である。そのため、電子部品1では、当該配線による配線抵抗の損失の低減が図れる。
【0073】
本実施形態に係る電子部品1では、インダクタパターン28A,29Aは、第一端部28Aa,29Aa及び第二端部28Ab,29Abを有している。第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとは、インダクタパターン28A,29Aにおける第一端部28Aa,29Aaと第二端部28Ab,29Abとの間において連接するよう一体に形成されている。この構成では、第一インダクタ部28Ac,29Acと第二インダクタ部28Ad,29Adとがインダクタパターン28A,29Aにおいて一体化されている。したがって、電子部品1では、インダクタパターン28A,29Aの領域を大きくすることによって、インダクタの特性を適切に調整(たとえば、Q値の向上)することができる。
【0074】
本実施形態に係る電子部品1では、インダクタパターン28A,29Aは、第一端部28Aa,29Aaと第二端部28Ab,29Abの間に設けられる接続部28Ae,29Aeを含んでいる。第一インダクタ部28Ac,29Acは、インダクタパターン28A,29Aにおいて第一端部28Aa,29Aaと接続部28Ae,29Aeとの間に形成されている。第二インダクタ部28Ad,29Adは、インダクタパターン28A,29Aにおいて接続部28Ae,29Aeと第二端部28Ab,29Abとの間に形成されている。キャパシタパターン28B,29Bは、接続部28Ae,29Aeに電気的に接続されている。この構成では、インダクタパターン28A,29Aの接続部28Ae,29Aeに対するキャパシタパターン28B,29Bの接続位置を調整することにより、周波数特性を調整(たとえば、高周波帯域における減衰量を調整)することができる。
【0075】
本実施形態に係る電子部品1では、キャパシタパターン28B,29Bは、第二方向D2から見て、第一端子電極4と第三端子電極6との間の領域に位置している。第一端子電極4と第三端子電極6との間の領域は、デッドスペースになり得る。そのため、電子部品1では、デッドスペースにキャパシタパターン28B,29Bを配置することにより、インダクタパターン28A,29Aを配置するスペースを確保できる。これにより、電子部品1では、インダクタパターン28A,29Aの領域を大きくすることができる。
【0076】
なお、インダクタパターン25A、26Aなど、インダクタが形成されているインダクタ領域を大きくする具体的なデザインは、特に限定されず、インダクタパターンの外形形状を大きくするようなデザインを適宜採用してよい。例えば、インダクタパターンが、円形又は略円形の巻回パターンを含む場合、当該巻回パターンの径を大きくしてもよい。例えば、インダクタパターンが、楕円形(あるいは略楕円形)の巻回パターンを含む場合、当該巻回パターンの長軸及び短軸の少なくとも一方の長さを増してもよい。例えば、インダクタパターンが四角形(あるいは略四角形)などの多角形形状の巻回パターンを含む場合、当該形状の一辺の辺長を増してもよく、対角線の長さを増してもよい。
【0077】
インダクタパターンが開口形状(例えば、コイル状の巻回パターンにより形成された開口部など)を有する場合、インダクタパターンの外形形状を大きくすることで、開口部のサイズを大きくすることができる。これに限らず、インダクタパターンの線幅を拡大する(太くする)ことにより、インダクタパターンの外形形状を大きくしてもよい。
【0078】
(第二実施形態)
続いて、第二実施形態について説明する。図12は、第二実施形態に係る電子部品の斜視図である。図13は、図12に示す電子部品を絶縁体側から見た図である。図14は、図12に示す電子部品の側面図である。図15は、図12に示す電子部品の端面図である。
【0079】
図12図15に示されるように、電子部品1Aは、基板2と、絶縁体3と、絶縁体3に配置された第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第四端子電極7と、を備えている。
【0080】
電子部品1Aでは、絶縁体3内にLCフィルタ部9Aが配置されている。図16は、図12に示される電子部品1Aが備えるLCフィルタ部9Aを構成する導体パターンを示す図である。電子部品1Aでは、基板2側(絶縁体3の主面3d側)から、図16のレイヤーH、レイヤーG、レイヤーF、レイヤーE、レイヤーD、レイヤーC、レイヤーB及びレイヤーAに示される順に導体パターンが配置されている。導体パターンには、インダクタパターン、キャパシタパターン及びビアパターンが含まれ得る。導体パターンは、たとえば、銅で形成することができる。
【0081】
図16のレイヤーHに示されるように、LCフィルタ部9Aは、導体パターン50、導体パターン51、導体パターン52及び導体パターン53を有している。導体パターン50~53は、平坦化層8(図14及び図15)上に配置されている。導体パターン50と導体パターン51とは、第一方向D1において並んで配置されている。
【0082】
図17に示されるように、導体パターン50は、インダクタパターン(巻回部)50Aと、キャパシタパターン50Bと、接続パターン50Cと、接続パターン50Dと、キャパシタパターン50Eと、を含んでいる。インダクタパターン50A、キャパシタパターン50B、接続パターン50C、接続パターン50D及びキャパシタパターン50Eは、一体に形成されている。
【0083】
インダクタパターン50Aは、四角枠状を呈している。インダクタパターン50Aは、第一端部50Aa及び第二端部50Abを有している。インダクタパターン50Aは、第一インダクタ部50Acと、第二インダクタ部50Adと、接続部50Aeと、を含んでいる。
【0084】
第一インダクタ部50Acと第二インダクタ部50Adとは、インダクタパターン50Aにおける第一端部50Aaと第二端部50Abとの間において連接するよう一体に形成されている。第一インダクタ部50Acは、インダクタパターン50Aにおいて、第一端部50Aaと接続部50Aeとの間に形成されている。第一インダクタ部50Acは、略U字形状を呈している。第一インダクタ部50Acは、第一方向D1に沿って延在する部分と、第三方向D3に沿って延在する部分と、を含んでいる。
【0085】
第二インダクタ部50Adは、インダクタパターン50Aにおいて、接続部50Aeと第二端部50Abとの間に形成されている。第二インダクタ部50Adは、略L字状を呈している。第二インダクタ部50Adは、第一方向D1に沿って延在する部分と、第三方向D3に沿って延在する部分と、を含んでいる。
【0086】
接続部50Aeは、第一端部50Aaと第二端部50Abとの間に設けられている。接続部50Aeは、第一インダクタ部50Acの端部(第一端部50Aaとは反対側の端部)と第二インダクタ部50Adの端部(第二端部50Abとは反対側の端部)の間に設けられている。接続部50Aeは、第一インダクタ部50Acと第二インダクタ部50Adとを接続している。第一インダクタ部50Acと第二インダクタ部50Adとは、接続部50Aeを介して連接されている。すなわち、第一インダクタ部50Acと第二インダクタ部50Adとは、インダクタパターン50Aにおいて、接続部50Aeを境界として二つの部分に区分けされる。
【0087】
キャパシタパターン50Bは、第二方向D2から見て、第一端子電極4と第二端子電極5との間の領域に位置している。キャパシタパターン50Bは、長方形状を呈している。キャパシタパターン50Bは、接続パターン50Cを介して、インダクタパターン50Aの接続部50Aeに接続されている。接続パターン50Cの一端は、インダクタパターン50Aに接続され、接続パターン50Cの他端は、キャパシタパターン50Bに接続されている。
【0088】
導体パターン51は、インダクタパターン(巻回部)51Aと、キャパシタパターン51Bと、接続パターン51Cと、接続パターン51Dと、を含んでいる。インダクタパターン51A、キャパシタパターン51B、接続パターン51C及び接続パターン51Dは、一体に形成されている。
【0089】
インダクタパターン51Aは、四角枠状を呈している。インダクタパターン51Aは、第一端部51Aa及び第二端部51Abを有している。インダクタパターン51Aは、第一インダクタ部51Acと、第二インダクタ部51Adと、接続部51Aeと、を含んでいる。
【0090】
第一インダクタ部51Acと第二インダクタ部51Adとは、インダクタパターン51Aにおける第一端部51Aaと第二端部51Abとの間において連接するよう一体に形成されている。第一インダクタ部51Acは、インダクタパターン51Aにおいて、第一端部51Aaと接続部51Aeとの間に形成されている。第一インダクタ部51Acは、略U字形状を呈している。第一インダクタ部51Acは、第一方向D1に沿って延在する部分と、第三方向D3に沿って延在する部分と、を含んでいる。
【0091】
第二インダクタ部51Adは、インダクタパターン51Aにおいて、接続部51Aeと第二端部51Abとの間に形成されている。第二インダクタ部51Adは、略L字状を呈している。第二インダクタ部51Adは、第一方向D1に沿って延在する部分と、第三方向D3に沿って延在する部分と、を含んでいる。
【0092】
接続部51Aeは、第一端部51Aaと第二端部51Abとの間に設けられている。接続部51Aeは、第一インダクタ部51Acの端部(第一端部51Aaとは反対側の端部)と第二インダクタ部51Adの端部(第二端部51Abとは反対側の端部)の間に設けられている。接続部51Aeは、第一インダクタ部51Acと第二インダクタ部51Adとを接続している。第一インダクタ部51Acと第二インダクタ部51Adとは、接続部51Aeを介して連接されている。すなわち、第一インダクタ部51Acと第二インダクタ部51Adとは、インダクタパターン51Aにおいて、接続部51Aeを境界として二つの部分に区分けされる。
【0093】
キャパシタパターン51Bは、第二方向D2から見て、第一端子電極4と第二端子電極5との間の領域に位置している。キャパシタパターン51Bは、長方形状を呈している。キャパシタパターン51Bは、接続パターン51Cを介して、インダクタパターン51Aの接続部50Aeに接続されている。接続パターン51Cの一端は、インダクタパターン51Aに接続され、接続パターン50Cの他端は、キャパシタパターン50Bに接続されている。
【0094】
図16のレイヤーGに示されるように、LCフィルタ部9Aは、キャパシタパターン54、キャパシタパターン55及びキャパシタパターン56を有している。キャパシタパターン54、キャパシタパターン55及びキャパシタパターン56のそれぞれは、たとえば、長方形状を呈している。
【0095】
図16のレイヤーFに示されるように、LCフィルタ部9Aは、ビアパターン57、ビアパターン58、ビアパターン59、ビアパターン60、ビアパターン61、ビアパターン62、ビアパターン63、ビアパターン64、ビアパターン65、ビアパターン66及びビアパターン67を有している。本実施形態では、ビアパターン57、ビアパターン58、ビアパターン59、ビアパターン60、ビアパターン61、ビアパターン62、ビアパターン63、ビアパターン64、ビアパターン65、ビアパターン66及びビアパターン67のそれぞれは、たとえば、長方形状を呈している。
【0096】
図16のレイヤーEに示されるように、LCフィルタ部9Aは、導体パターン68、導体パターン69、導体パターン70、導体パターン71、導体パターン72及びキャパシタパターン73を有している。
【0097】
導体パターン68は、インダクタパターン68Aと、キャパシタパターン68Bと、接続パターン68Cと、を含んでいる。インダクタパターン68A、キャパシタパターン68B及び接続パターン68Cは、一体に形成されている。導体パターン69は、インダクタパターン69Aと、キャパシタパターン69Bと、接続パターン69Cと、を含んでいる。インダクタパターン69A、キャパシタパターン69B及び接続パターン69Cは、一体に形成されている。
【0098】
図16のレイヤーDに示されるように、LCフィルタ部9Aは、ビアパターン74、ビアパターン75、ビアパターン76及びビアパターン77を有している。本実施形態では、ビアパターン74、ビアパターン75、ビアパターン76及びビアパターン77は、たとえば、長方形状を呈している。
【0099】
図16のレイヤーCに示されるように、LCフィルタ部9Aは、導体パターン78、導体パターン79、導体パターン80及び導体パターン81を有している。本実施形態では、導体パターン78、導体パターン79、導体パターン80及び導体パターン81は、たとえば、長方形状を呈している。
【0100】
図16のレイヤーBに示されるように、LCフィルタ部9Aは、ビアパターン82、ビアパターン83、ビアパターン84及びビアパターン85を有している。本実施形態では、ビアパターン82、ビアパターン83、ビアパターン84及びビアパターン85は、たとえば、長方形状を呈している。
【0101】
図16のレイヤーAに示されるように、電子部品1Aは、第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第四端子電極7を有している。
【0102】
図16のレイヤーFに示されるように、ビアパターン57は、導体パターン52と導体パターン68の接続パターン68Cとを接続している。ビアパターン58は、導体パターン53と導体パターン69の接続パターン69Cとを接続している。ビアパターン59は、導体パターン50の接続パターン50Dと導体パターン70とを接続している。ビアパターン60は、導体パターン51の接続パターン51Dと導体パターン71とを接続している。
【0103】
ビアパターン61は、導体パターン50のインダクタパターン50Aの第二端部50Abと導体パターン68のインダクタパターン68Aとを接続している。ビアパターン62は、導体パターン51のインダクタパターン51Aの第二端部51Abと導体パターン69のインダクタパターン69Aとを接続している。ビアパターン63は、導体パターン50のキャパシタパターン50Eと導体パターン72とを接続している。ビアパターン64は、導体パターン51の接続パターン51Dとキャパシタパターン73とを接続している。
【0104】
ビアパターン65は、キャパシタパターン56とキャパシタパターン73とを接続している。ビアパターン66は、キャパシタパターン54とキャパシタパターン68Bとを接続している。ビアパターン67は、キャパシタパターン55とキャパシタパターン69Bとを接続している。
【0105】
図16のレイヤーDに示されるように、ビアパターン74は、導体パターン68の接続パターン68Cと導体パターン78とを接続している。ビアパターン75は、導体パターン69の接続パターン69Cと導体パターン79とを接続している。ビアパターン76は、導体パターン70と導体パターン80とを接続している。ビアパターン77は、導体パターン71と導体パターン81とを接続している。
【0106】
図16のレイヤーBに示されるように、ビアパターン82は、導体パターン78と第一端子電極4とを接続している。ビアパターン83は、導体パターン79と第二端子電極5とを接続している。ビアパターン84は、導体パターン80と第三端子電極6とを接続している。ビアパターン85は、導体パターン81と第四端子電極7とを接続している。
【0107】
導体パターン50のキャパシタパターン50Bとキャパシタパターン54との間には、誘電体層(図示省略)が配置されている。導体パターン51のキャパシタパターン51Bとキャパシタパターン55との間には、誘電体層(図示省略)が配置されている。導体パターン50のキャパシタパターン50Eとキャパシタパターン56との間には、誘電体層(図示省略)が配置されている。誘電体層は、たとえば、窒化シリコン、酸化シリコンなどの常誘電体材料、強誘電体材料などからなる無機絶縁材料で形成することができる。
【0108】
図18は、図12に示す電子部品1Aの等価回路図である。図18に示されるように、電子部品1Aは、第一インダクタL11と、第二インダクタL22と、第三インダクタL33と、第四インダクタL44と、第一キャパシタC11と、第二キャパシタC22と、第三キャパシタC33と、を備えている。電子部品1Aは、二段共振型バンドパスフィルタ回路を構成している。
【0109】
第一インダクタL11は、インダクタパターン50Aの第一インダクタ部50Acを含んで構成されている。第二インダクタL22は、インダクタパターン50Aの第二インダクタ部50Ad及びインダクタパターン68Aを含んで構成されている。第三インダクタL33は、インダクタパターン51Aの第一インダクタ部51Acを含んで構成されている。第四インダクタL44は、インダクタパターン51Aの第二インダクタ部51Ad及びインダクタパターン69Aを含んで構成されている。
【0110】
第一キャパシタC11は、キャパシタパターン50B、キャパシタパターン54及びキャパシタパターン68Bを含んで構成されている。第二キャパシタC22は、キャパシタパターン51B、キャパシタパターン55及びキャパシタパターン69Bを含んで構成されている。第三キャパシタC33は、キャパシタパターン50E、キャパシタパターン56及びキャパシタパターン73を含んで構成されている。
【0111】
第一インダクタL11、第二インダクタL22及び第一キャパシタC11は、第一LC共振器を構成している。第三インダクタL33、第四インダクタL44及び第二キャパシタC22は、第二LC共振器を構成している。
【0112】
図19は、電子部品1Aの共振器の周波数特性を示す図である。図20は、図19に示す共振器の周波数特性の一部を拡大して示す図である。図19及び図20では、第三キャパシタC33が電気的に短絡された状態で、第三端子電極6から信号を入力して、第四端子電極7から信号を出力した場合の、第一LC共振器及び第二LC共振器の減衰量の周波数特性を示している。言い換えると、第三キャパシタC33が電気的に短絡された状態での、第三端子電極6から第四端子電極7への透過係数の周波数特性を示している。図19及び図20では、横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸は減衰量[dB]を示している。なお、図19及び図20に例示する特性図は、シミュレーションにより得られた結果を表している。図19及び図20では、電子部品1Aの特性を実線で示し、比較例に係る電子部品の特性を破線で示している。比較例に係る電子部品は、第一インダクタ部を構成する第一インダクタパターンと第二インダクタ部を構成する第二インダクタパターンとの二つのインダクタパターンを別個に備えている。すなわち、比較例に係る電子部品は、第一インダクタ部と第二インダクタ部とが一体化されていない構成である。
【0113】
図20に示されるように、電子部品1Aは、比較例に係る電子部品に比べて、特性が向上している。このように、第一インダクタ部50Ac,51Acと第二インダクタ部50Ad,51Adとを一体化した電子部品1Aの構成では、二つのインダクタパターンを備える比較例に係る電子部品に比べて、共振特性の向上が図れる。
【0114】
図21は、電子部品1Aのフィルタの周波数特性を示す図である。図22は、図21に示すフィルタの周波数特性の一部を拡大して示す図である。図21及び図22では、第三端子電極6から信号を入力して、第四端子電極7から信号を出力した場合のフィルタ特性の減衰量の周波数特性を示している。言い換えると、第三端子電極6から第四端子電極7への透過係数の周波数特性を示している。なお、図21及び図22に例示する特性図は、シミュレーションにより得られた結果を表している。図21及び図22では、横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸は減衰量[dB]を示している。図21及び図22では、電子部品1Aの特性を実線で示し、比較例に係る電子部品の特性を破線で示している。
【0115】
図22に示されるように、電子部品1Aは、比較例に係る電子部品に比べて、特性が向上している。このように、第一インダクタ部50Ac,51Acと第二インダクタ部50Ad,51Adとを一体化した電子部品1Aの構成では、二つのインダクタパターンを備える比較例に係る電子部品に比べて、フィルタ特性の向上が図れる。
【0116】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1Aでは、第一インダクタ部50Ac,51Acと第二インダクタ部50Ad,51Adとを有するインダクタパターン50A,51Aにおいて、第一インダクタ部50Ac,51Acと第二インダクタ部50Ad,51Adとが連接されている。すなわち、第一インダクタ部50Ac,51Acと第二インダクタ部50Ad,51Adとは、一体化されている。そのため、電子部品1Aでは、第一インダクタ部50Ac,51Ac及び第二インダクタ部50Ad,51Adの二つのインダクタ部を有する構成であっても、インダクタパターン50A,51Aの領域を大きくすることができる。したがって、電子部品1Aでは、たとえば、Q値の向上など、インダクタの特性を改善することができる。また、電子部品1Aでは、キャパシタパターン50B,51Bは、第一インダクタ部50Ac,51Acと第二インダクタ部50Ad,51Adとが連接される部分に接続されている。これにより、電子部品1Aでは、インダクタパターン50A,51Aに対するキャパシタパターン50B,51Bの接続位置を調整することにより、周波数特性を調整(たとえば、高周波帯域における減衰量を調整)することができる。したがって、電子部品1Aでは、周波数特性を調整(たとえば、高周波帯域における減衰量の調整)できると共に、インダクタの特性を適切に調整(たとえば、Q値の向上)することができる。たとえば、インダクタのQ値を改善(向上)することにより、当該インダクタを含む共振器のQ値も改善される。これにより回路の周波数特性が改善(たとえば、通過域での挿入損失の低減、通過域の帯域幅の拡大)され得る。
【0117】
本実施形態に係る電子部品1Aでは、キャパシタパターン50B,51Bは、第二方向D2から見て、第一端子電極4と第二端子電極5との間の領域に位置している。第一端子電極4と第二端子電極5との間の領域は、デッドスペースになり得る。そのため、電子部品1Aでは、デッドスペースにキャパシタパターン50B,51Bを配置することにより、インダクタパターン50A,51Aを配置するスペースを確保できる。これにより、電子部品1Aでは、インダクタパターン50A,51Aの領域を大きくすることができる。
【0118】
なお、インダクタパターン50A、51Aなど、インダクタが形成されているインダクタ領域を大きくする具体的なデザインは、特に限定されず、インダクタパターンの外形形状を大きくするようなデザインを適宜採用してよい。たとえば、インダクタパターンが、円形又は略円形の巻回パターンを含む場合、当該巻回パターンの径を大きくしてもよい。たとえば、インダクタパターンが、楕円形(あるいは略楕円形)の巻回パターンを含む場合、当該巻回パターンの長軸及び短軸の少なくとも一方の長さを増してもよい。例えば、インダクタパターンが四角形(あるいは略四角形)などの多角形形状の巻回パターンを含む場合、当該形状の一辺の辺長を増してもよく、対角線の長さを増してもよい。
【0119】
インダクタパターンが開口形状(例えば、コイル状の巻回パターンにより形成された開口部など)を有する場合、インダクタパターンの外形形状を大きくすることで、開口部のサイズを大きくすることができる。これに限らず、インダクタパターンの線幅を拡大する(太くする)ことにより、インダクタパターンの外形形状を大きくしてもよい。
【0120】
以上、本開示の実施形態について説明してきたが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0121】
上記例示した各実施形態においては、一つの電子部品の中に2つのLC共振器(第一LC共振器、第二LC共振器)を含む態様について説明したが、本開示に係る技術はこれに限定されない。電子部品に含まれるLC共振器の数は、1つでもよく、3つ以上であってもよい。
【0122】
上記例示した各実施形態においては、基板の主面2cに沿った方向(D1方向及びD3方向により規定される平面に沿った方向)にインダクタが巻回されている具体例が示されているが、本開示にかかる技術はこれに限定されない。電子部品に含まれるインダクタは、たとえば、端面2a,2bに沿った方向(D2方向及びD3方向により規定される平面に沿った方向)に巻回されていてもよく、側面2e,2fに沿った方向(D1方向及びD2方向により規定される平面に沿った方向)に巻回されていてもよい。
【0123】
上記例示した各実施形態においては、電子部品1において、グラウンドパターン(図示しない)に接続するグラウンド電極として第一端子電極4及び第二端子電極5を設け、グラウンド電極を共通化して使用する形態を一例に説明した。しかし、図23に示される電子部品1Bのように、グラウンド電極をとして、端子電極4A、端子電極4B、端子電極5A及び端子電極5Bを備えていてもよい。この構成では、導体パターン10が端子電極4Aに接続され、導体パターン28が端子電極4Bに接続される。また、導体パターン11が端子電極5Aに接続され、導体パターン29が端子電極5Bに接続される。
【0124】
上記例示した各実施形態においては、電子部品1,1Aがチップ部品である形態を一例に説明した。しかし、電子部品の形態はこれに限定されない。たとえば、電子部品は、複数の電子部品を含む集合体の中に含まれる一つの要素であってもよい。具体的には、電子部品は、たとえば、当該電子部品の製造プロセスにおいて集合基板(ウエハ)を用いて複数の電子部品を多数個取りする場合、一つの電子部品に個片化する前の複数の電子部品の集合体の中に含まれていてもよい。
【0125】
本開示において使用される「第一」及び「第二」といった呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を限定しない。これらの呼称は、二つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第一及び第二の要素への参照は、二つの要素のみが採用され得ること、及び何らかの形で第一の要素が第二の要素に先行しなければならないことのいずれも意味しない。本開示において、第一の要素が使用される場合、二以上の要素の存在を前提とすることを意味しない。
【符号の説明】
【0126】
1,1A,1B…電子部品、3…絶縁体(素体)、3a,3b…端面、3c,3d…主面、3e,3f…側面、4…第一端子電極、5…第二端子電極、6…第三端子電極、7…第四端子電極、10A,11A,68A,69A…インダクタパターン、10B,11B,12A,14,15,16,28B,28D,29B,29D,50B,50E,51B,54,55,56,68B,69B,73…キャパシタパターン、28A,29A,50A,51A…インダクタパターン(巻回部)、28Aa,29Aa,50Aa,51Aa…第一端部、28Ab,29Ab,50Ab,51Ab…第二端部、28Ac,29Ac,50Ac,51Ac…第一インダクタ部、28Ad,29Ad,50Ad,51Ad…第二インダクタ部、28Ae,29Ae,50Ae,51Ae…接続部、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23