(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156027
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01F 12/22 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A01F12/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024146691
(22)【出願日】2024-08-28
(62)【分割の表示】P 2023000464の分割
【原出願日】2017-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梅林 竜司
(57)【要約】
【課題】扱胴のメンテナンスを容易に行うことが可能なコンバインが要望されている。
【解決手段】扱胴11は、機体前後方向に延びる扱胴軸28と、扱胴軸28に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体30と、を有している。胴体30は、前後に分割された複数の胴体部32、33、34を有し、複数の胴体部32、33、34のうち少なくとも一つは着脱可能な着脱胴体部34であり、胴体30の内部に、複数の胴体部32、33、34のうち前後に隣り合う胴体部同士を連結する前後連結部材49が備えられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置が備えられた自脱型コンバインであって、
前記扱胴は、機体前後方向に延びる扱胴軸と、前記扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体と、を有し、
前記胴体は、前記胴体が前後に分割された複数の胴体部を有し、
前記複数の胴体部のうち少なくとも一つは、着脱可能な着脱胴体部であり、
前記胴体の内部に設けられ、前記複数の胴体部のうち前後に隣り合う胴体部同士を連結する前後連結部材と、が備えられている自脱型コンバイン。
【請求項2】
前記着脱胴体部は、前記着脱胴体部が前記胴体の周方向に分割された複数の胴体部構成部材を有している請求項1に記載の自脱型コンバイン。
【請求項3】
前記着脱胴体部は、前記周方向に二分割された半割り構造である請求項2に記載の自脱型コンバイン。
【請求項4】
前記複数の胴体部構成部材のうち前記周方向で隣り合う胴体部構成部材同士を連結する周方向連結部材が備えられている請求項2又は3に記載の自脱型コンバイン。
【請求項5】
複数の前記胴体部構成部材は、同一の部材によって構成され、かつ、前記扱歯の配列が同一である請求項2から4の何れか一項に記載の自脱型コンバイン。
【請求項6】
前記胴体は、前記胴体部として、前側に位置する前側胴体部と、後側に位置する後側胴体部と、前記前側胴体部と前記後側胴体部との間に位置する中間胴体部と、を有し、
前記前側胴体部、前記後側胴体部及び前記中間胴体部は、前後方向の長さが略等しい請求項1から5の何れか一項に記載の自脱型コンバイン。
【請求項7】
前記着脱胴体部の内部に前後方向に延びる前後向き枠体が周方向に間隔をあけて複数備えられ、
前記着脱胴体部が取り外された状態で、前記前後向き枠体同士の間に径方向に開口された開口部が形成されている請求項1から6の何れか一項に記載の自脱型コンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置が備えられたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインとして、例えば、特許文献1に記載のコンバインが既に知られている。特許文献1に記載のコンバインには、刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置(文献では「脱穀機」)が備えられている。扱胴は、機体前後方向に延びる扱胴軸(文献では「支軸」)と、扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体(文献では「扱胴ドラム」)と、を有している。扱胴には、胴体の周壁部に設けた点検開口と、点検開口を閉じる着脱自在な蓋体と、が備えられている。特許文献1に記載のコンバインでは、扱胴のメンテナンス(例えば、扱歯の交換等)を行う際に、点検開口から胴体の内部に手を入れて作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンバインでは、点検開口が小さいため、扱胴のメンテナンス(例えば、扱歯の交換等)を行う際に、点検開口から胴体の内部に手を入れて作業を行うのが容易ではない。
【0005】
上記状況に鑑み、扱胴のメンテナンスを容易に行うことが可能なコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置が備えられたコンバインであって、
前記扱胴は、機体前後方向に延びる扱胴軸と、前記扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体と、を有し、
前記胴体は、複数の胴体部を有し、
前記複数の胴体部のうち少なくとも一つは、着脱可能な着脱胴体部であることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、着脱胴体部を取り外すことにより、胴体のうち特定の中間胴体部が取り外された箇所に、大きな開口が出現することになる。これにより、扱胴のメンテナンス(例えば、扱歯の交換等)を行う際に、胴体のうち着脱胴体部が取り外された箇所から胴体の内部に手を入れて作業を容易に行うことができる。すなわち、本特徴構成によれば、扱胴のメンテナンスを容易に行うことが可能なコンバインを実現することができる。
【0008】
さらに、本発明において、
前記着脱胴体部は、前記着脱胴体部が前記胴体の周方向に分割された複数の胴体部構成部材を有していると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、扱胴の組み立て時に、着脱胴体部を複数の胴体部構成部材に分けて取り扱うことにより、着脱胴体部全体を一体的に取り扱うよりも労力が少なくなる。また、各胴体部構成部材の周方向の長さが短くなるため、強度面で有利である。
【0010】
さらに、本発明において、
前記着脱胴体部は、前記周方向に二分割された半割り構造であると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、一方の胴体部構成部材及び他方の胴体部構成部材について、胴体の径方向における重量バランスを良好にし易い。
【0012】
さらに、本発明において、
前記複数の胴体部構成部材のうち前記周方向で隣り合う胴体部構成部材同士を連結する周方向連結部材が備えられていると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、周方向で隣り合う胴体部構成部材同士を周方向連結部材によって連結することにより、周方向で隣り合う胴体部構成部材同士を容易に連結することができる。
【0014】
さらに、本発明において、
複数の前記胴体部構成部材は、同一の部材によって構成され、かつ、前記扱歯の配列が同一であると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、胴体部構成部材の共通化により、部品点数の削減を図ることができる。また、扱胴の組み立て時に、胴体部構成部材の取り違えが発生せず、作業を効率良く行うことができる。
【0016】
さらに、本発明において、
前記胴体は、前記胴体が前後に分割された複数の胴体部を有し、
前記胴体は、前記胴体部として、前側に位置する前側胴体部と、後側に位置する後側胴体部と、前記前側胴体部と前記後側胴体部との間に位置する中間胴体部と、を有し、
前記前側胴体部、前記後側胴体部及び前記中間胴体部は、前後方向の長さが略等しいと好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、扱胴の組み立て時に、胴体を複数の胴体部に分けて取り扱うことにより、胴体全体を一体的に取り扱うよりも労力が少なくなる。また、各胴体部の前後長さが短くなるため、強度面で有利である。しかも、各胴体部の強度を略等しくして、胴体全体における強度の均一化を図ることができる。
【0018】
さらに、本発明において、
前記胴体は、前記胴体が前後に分割された複数の胴体部を有し、
前記複数の胴体部のうち前後に隣り合う胴体部同士を連結する前後連結部材が備えられていると好適である。
【0019】
本特徴構成によれば、扱胴の組み立て時に、胴体を複数の胴体部に分けて取り扱うことにより、胴体全体を一体的に取り扱うよりも労力が少なくなる。また、各胴体部の前後長さが短くなるため、強度面で有利である。しかも、前後に隣り合う胴体部同士を前後連結部材によって連結することにより、前後に隣り合う胴体部同士を重ね合わせる必要が無く、前側の胴体部の外周面と後側の胴体部の外周面とが面一となるように、前後に隣り合う胴体部同士を容易に連結することができる。
【0020】
さらに、本発明において、
前記前後連結部材は、前記胴体の内部に設けられていると好適である。
【0021】
本特徴構成によれば、前後連結部材が扱室内の穀稈に接触して脱穀処理の妨げとなることがないと共に、前後連結部材が扱室内の穀稈の接触によって摩耗することがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図6】前側胴体部及び後側胴体部と中間胴体部とが連結された状態を示す図である。
【
図12】前後連結部材取り付け工程を示す図である。
【
図15】第一の別実施形態に係る扱胴を示す図である。
【
図16】第二の別実施形態に係る扱胴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
【0024】
〔コンバインの全体構成〕
図1及び
図2には、自脱型コンバインを示している。本コンバインは、機体フレーム1と、機体フレーム1を支持する走行装置2と、を備えている。機体の前部における右側には、運転キャビン3が設けられている。運転キャビン3は、運転者が搭乗する運転部4と、運転部4を覆うキャビン5と、を備えている。運転部4の下方には、エンジン(図示省略)が設けられている。
【0025】
運転キャビン3の前方には、植立穀稈を刈り取る刈取部6が設けられている。運転キャビン3の後方には、穀粒を貯留する穀粒貯留タンク7が設けられている。穀粒貯留タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出装置8が設けられている。機体の左側部には、刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーン9が設けられている。穀粒貯留タンク7の左隣には、脱穀装置10が設けられている。脱穀装置10は、フィードチェーン9によって搬送される刈取穀稈を扱胴11によって脱穀処理する。脱穀装置10の後側には、排藁搬送装置12が連設されている。排藁搬送装置12は、フィードチェーン9から脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する。
【0026】
〔刈取部〕
刈取部6は、複数刈り仕様(例えば、六条刈り仕様)に構成されている。刈取部6は、複数(例えば、七個)の分草具13と、複数(例えば、六個)の引起装置14と、切断装置15と、搬送装置16と、を備えている。分草具13は、圃場の植立穀稈を分草する。
引起装置14は、分草された植立穀稈を引き起こす。切断装置15は、引き起こされた植立穀稈を切断する。搬送装置16は、刈取穀稈を脱穀装置10に向けて後方へ搬送する。
【0027】
〔脱穀装置〕
図3に示すように、脱穀装置10の上部には、扱室17が形成されている。扱室17には、扱胴11が設けられている。扱胴11は、機体前後方向に延びる回転軸心Y1周りで回転可能である。扱胴11の下方には、受網18が設けられている。扱室17の後方には、塵埃を外部に排出する排塵ファン19が設けられている。
【0028】
脱穀装置10の下部には、選別対象物を機体後方に移送しながら篩い選別する揺動選別装置20、揺動選別装置20に選別風を送風する唐箕21、一番物の穀粒(単粒化穀粒等)を回収する一番回収部22、二番物の穀粒(枝梗付き穀粒等)を回収する二番回収部23等が設けられている。
【0029】
一番回収部22には、一番物の穀粒を右方へ搬送する一番スクリュ24が設けられている。一番スクリュ24の右端部には、一番物の穀粒を穀粒貯留タンク7に揚穀搬送する揚穀装置25が連動連結されている。
【0030】
二番回収部23には、二番物の穀粒を右方へ搬送する二番スクリュ26が設けられている。二番スクリュ26の右端部には、二番物の穀粒を揺動選別装置20に還元する二番還元装置27が連動連結されている。
【0031】
〔扱胴〕
図3から
図5に示すように、扱胴11は、機体前後方向に延びる扱胴軸28と、扱胴軸28に支持されると共に複数の扱歯29が外周部に取り付けられる略円筒形状の胴体30と、を有している。扱胴11は、機体前後方向に延びる回転軸心Y1周りで回転可能である。扱胴11は、扱胴軸28を介して扱室17における前壁31F及び後壁31Bに支持されている。胴体30は、胴体30が前後に分割(例えば、三分割)された複数(例えば、三つ)の胴体部を有している。胴体30は、前記胴体部として、前側に位置する前側胴体部32と、後側に位置する後側胴体部33と、前側胴体部32と後側胴体部33との間に位置する中間胴体部34(本発明に係る「着脱胴体部」に相当)と、を有している。前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34は、これらが一体に回転するように、単一の扱胴軸28に支持されている。前側胴体部32の前後長さL1、後側胴体部33の前後長さL2及び中間胴体部34の前後長さL3は、略等しい。すなわち、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34は、前後方向の長さが略等しい。
【0032】
扱胴軸28は、前ベアリング35を介して前壁31Fに回転可能に支持されていると共に、後ベアリング36を介して後壁31Bに回転可能に支持されている。扱胴軸28のうち前壁31Fから前方に突出する部分には、前記エンジンからの駆動力が入力される入力プーリ37が設けられている。
【0033】
〔前側胴体部〕
前側胴体部32は、略円筒形状の板材によって構成されている。前側胴体部32の前端開口縁部には、前端開口を塞ぐ前板材38がボルト固定されている。前板材38の後面(胴体30の内部側の面)には、前側ボス39がボルト40によって固定されている。前側ボス39は、扱胴軸28にボルト41によって固定されている。前板材38は、前側ボス39を介して扱胴軸28に扱胴軸28と一定回転可能に支持されている。
【0034】
〔後側胴体部〕
後側胴体部33は、略円筒形状の板材によって構成されている。後側胴体部33の後端開口縁部には、後端開口を塞ぐ後板材42がボルト固定されている。後板材42の前面(胴体30の内部側の面)には、後側ボス43がボルト44によって固定されている。後側ボス43は、扱胴軸28にボルト45によって固定されている。後板材42は、後側ボス43を介して扱胴軸28に扱胴軸28と一体回転可能に支持されている。
【0035】
〔中間胴体部〕
中間胴体部34は、中間胴体部34が胴体30の周方向に分割(例えば、二分割)された複数(例えば、二つ)の中間胴体部構成部材46(本発明に係る「胴体部構成部材」に相当)を有している。中間胴体部構成部材46は、略半円筒形状の板材によって構成されている。中間胴体部34は、胴体30の周方向に二分割された半割り構造である。二つの中間胴体部構成部材46は、同一の部材によって構成され、かつ、扱歯29の配列が同一である。各中間胴体部構成部材46は、前側胴体部32及び後側胴体部33に対して着脱可能である。中間胴体部構成部材46のうち胴体30の周方向における一方側の縁部には、他方の中間胴体部構成部材46と連結される連結部46aが設けられている。連結部46aは、他方の中間胴体部構成部材46に内周側から当て付けられた状態でボルト固定されている。
【0036】
〔連結部材〕
図4から
図6に示すように、胴体30の内部における前後中間部には、前側の連結部材48及び後側の連結部材48が設けられている。前側の連結部材48は、胴体30の内部における前側胴体部32と中間胴体部34との境界部に設けられている。前側の連結部材48は、前側胴体部32と中間胴体部34とを連結し、かつ、扱胴軸28と前側胴体部32及び中間胴体部34とを連結し、かつ、胴体30の周方向で隣り合う中間胴体部構成部材46の前端部同士を連結している。前側の連結部材48は、前側胴体部32及び中間胴体部34に着脱可能にボルト47によって固定されている。
【0037】
後側の連結部材48は、胴体30の内部における後側胴体部33と中間胴体部34との境界部に設けられている。後側の連結部材48は、後側胴体部33と中間胴体部34とを連結し、かつ、扱胴軸28と後側胴体部33及び中間胴体部34とを連結し、かつ、胴体30の周方向で隣り合う中間胴体部構成部材46の後端部同士を連結している。後側の連結部材48は、後側胴体部33及び中間胴体部34に着脱可能にボルト47によって固定されている。
【0038】
前側の連結部材48及び後側の連結部材48は、同一の部材によって構成されている。
連結部材48は、胴体30の内周面に沿う胴体部連結部49(本発明に係る「周方向連結部材」、「前後連結部材」に相当)と、扱胴軸28と胴体部連結部49とに亘る径方向連結部50と、を有している。
【0039】
前側の胴体部連結部49は、前側胴体部32と中間胴体部34とを連結し、かつ、胴体30の周方向で隣り合う中間胴体部構成部材46の前端部同士を連結している。前側の胴体部連結部49に対して、各中間胴体部構成部材46が着脱可能である。後側の胴体部連結部49は、後側胴体部33と中間胴体部34とを連結し、かつ、胴体30の周方向で隣り合う中間胴体部構成部材46の後端部同士を連結している。後側の胴体部連結部49に対して、各中間胴体部構成部材46が着脱可能である。
【0040】
図7から
図9に示すように、胴体部連結部49は、胴体30の内周面に沿って設けられている。胴体部連結部49は、胴体30の内周面に沿う略環形状に形成されている。胴体部連結部49は、複数(例えば、二つ)の胴体部連結部構成部材51に胴体30の周方向に分割されて構成されている。すなわち、胴体部連結部49は、胴体30の周方向に二分割された半割り構造である。二つの胴体部連結部構成部材51は、同一の部材によって構成されている。
【0041】
胴体部連結部構成部材51は、略半環形状の板材によって構成されている。胴体部連結部構成部材51のうち胴体30の周方向における一端部には、他方の胴体部連結部構成部材51が重ね合わされる被重合部51aが形成されている。胴体部連結部構成部材51において、被重合部51aとその他の部分との境界部は、被重合部51aが前記その他の部分よりも胴体30の径方向の内周側に位置するように、段差形状に形成されている。胴体部連結部構成部材51には、ボルト47用のボルト孔51bが形成されている。
【0042】
胴体部連結部構成部材51には、扱歯29を胴体30に固定するボルト29a及びナット29bが入り込む切り欠き部51cが複数(例えば、四つ)形成されている(
図6及び
図10参照)。胴体部連結部構成部材51において、二つの切り欠き部51cが回転軸心Y1方向の一方側に開口し、かつ、二つの切り欠き部51cが回転軸心Y1方向の他方側に開口している。一方側に開口する切り欠き部51cと他方側に開口する切り欠き部51cとは、胴体30の周方向に位置ズレしている。
【0043】
前側の径方向連結部50は、扱胴軸28と前側の胴体部連結部49とを連結している。
前側の径方向連結部50の前面には、中間ボス52がボルト53によって固定されている。中間ボス52は、扱胴軸28にボルト54によって固定されている。前側の連結部材48は、中間ボス52を介して扱胴軸28に扱胴軸28と一体回転可能に支持されている。
【0044】
後側の径方向連結部50は、扱胴軸28と後側の胴体部連結部49とを連結している。
後側の径方向連結部50の後面には、中間ボス52がボルト53によって固定されている。中間ボス52は、扱胴軸28にボルト54によって固定されている。後側の連結部材48は、中間ボス52を介して扱胴軸28に扱胴軸28と一体回転可能に支持されている。
【0045】
径方向連結部50は、回転軸心Y1方向に向く板面を有する板材によって構成されている。径方向連結部50には、回転軸心Y1方向に開口する複数(例えば、四つ)の開口50aが形成されている。径方向連結部50のうち被重合部51aに対応する箇所には、被重合部51aが入り込む凹部50bが形成されている。
【0046】
前側の連結部材48と後側の連結部材48とに亘って、これらを連結する複数(例えば、四本)の連結ロッド55が設けられている。前側の連結部材48と後側の連結部材48とが連結ロッド55によって連結されることにより、前側の連結部材48と後側の連結部材48とが一体化されている。すなわち、前側の連結部材48、後側の連結部材48及び連結ロッド55がユニットとして構成(ユニット化)されている。連結ロッド55は、断面形状が略L字形状の部材によって構成されている。連結ロッド55は、回転軸心Y1周りに等角度間隔で複数配置されている。本実施形態では、連結ロッド55は、回転軸心Y1周りに90度間隔で四本配置されている。
【0047】
前記胴体部と連結部材48との間には、連結部材48が前記胴体部の開口縁部から前記胴体部の内部に入り込むのを規制する規制部56が設けられている(
図6及び
図10参照)。胴体部連結部49(胴体部連結部構成部材51)に形成された開口51dに、径方向連結部50に設けられた突起50cが差し込まれることにより、規制部56が構成されている。開口51dは、胴体部連結部49において、回転軸心Y1周りに等角度間隔で複数(例えば、四つ)形成されている。開口51dは、胴体30の周方向に長い長孔である。
【0048】
突起50cは、径方向連結部50において、回転軸心Y1周りに等角度間隔で複数(例えば、四つ)形成されている。突起50cは、径方向連結部50のうち胴体30の内周面に対向する部分(径方向連結部50の外周部)から胴体30の径方向の外側に突出している。突起50cは、胴体30の径方向において、胴体部連結部49の外周面よりも外側に突出し、かつ、胴体30の外周面よりも外側に突出していない。
【0049】
一方の胴体部連結部構成部材51が他方の胴体部連結部構成部材51側の被重合部51aに重ね合わされた状態で、かつ、突起50cが開口51dに嵌め込まれた状態で、胴体部連結部49と径方向連結部50とが固定(例えば、溶接固定)されることにより、連結部材48が構成されている。一方の胴体部連結部構成部材51の外周面と他方の胴体部連結部構成部材51の外周面とは、面一となっている。すなわち、一方の胴体部連結部構成部材51の外周面と他方の胴体部連結部構成部材51の外周面とは、回転軸心Y1を中心とする円(同心円)上に位置している。
【0050】
図6に示すように、前側の胴体部連結部49は、前側胴体部32の後端開口縁部から前側胴体部32の内部に入り込んだ状態で、前側胴体部32の後端開口縁部にボルト47によって固定されている。その際、前側の連結部材48が前側胴体部32の後端開口縁部から前側胴体部32の内部に入り込むのを規制部56によって規制している。突起50cが前側胴体部32の後端開口縁部に当接することにより、前側の連結部材48がこれ以上前側胴板部32の内部に入り込むことがない。
【0051】
後側の胴体部連結部49は、後側胴体部33の前端開口縁部から後側胴体部33の内部に入り込んだ状態で、後側胴体部33の前端開口縁部にボルト47によって固定されている。その際、後側の連結部材48が後側胴体部33の前端開口縁部から後側胴体部33の内部に入り込むのを規制部56によって規制している。突起50cが後側胴体部33の前端開口縁部に当接することにより、後側の連結部材48がこれ以上後側胴板部33の内部に入り込むことがない。
【0052】
中間胴体部34(中間胴体部構成部材46)は、前側の胴体部連結部49の後半部及び後側の胴体部連結部49の前半部にボルト47によって固定されている。ボルト47を取り外すことにより、各中間胴体部構成部材46を前側の胴体部連結部49及び後側の胴体部連結部49から取り外すことができる。
【0053】
〔扱胴の製造方法〕
次に、扱胴11の製造方法について、
図11から
図14により説明する。
図11から
図14に示すように、扱胴11の製造方法は、扱歯取り付け工程と、前後連結部材取り付け工程と、扱胴軸取り付け工程と、前後連結工程と、を備えている。
【0054】
図11に示すように、扱歯取り付け工程は、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34に扱歯29を取り付ける工程である。
図12に示すように、前後連結部材取り付け工程は、前側の連結部材48を前側胴体部32に取り付けると共に、後側の連結部材48を後側胴体部33に取り付ける工程である。扱歯取り付け工程が行われた後、前後連結部材取り付け工程において、前側の連結部材48を前側胴体部32にボルト47によって固定すると共に、後側の連結部材48を後側胴体部33にボルト47によって固定する。その際、前側の連結部材48が前側胴体部32の後端開口縁部から前側胴体部32の内部に入り込むのを規制部56によって規制した状態で、前側胴体部32の後端開口縁部に前側の連結部材48をボルト47によって固定すると共に、後側の連結部材48が後側胴体部33の前端開口縁部から後側胴体部33の内部に入り込むのを規制部56によって規制した状態で、後側胴体部33の前端開口縁部に後側の連結部材48をボルト47によって固定する。
【0055】
図13に示すように、扱胴軸取り付け工程は、扱胴軸28を前側胴体部32及び後側胴体部33に取り付ける工程である。前後連結部材取り付け工程が行われた後、扱胴軸取り付け工程において、扱胴軸28を、前側ボス39にボルト41によって固定し、かつ、前側の中間ボス52にボルト54によって固定し、かつ、後側の中間ボス52にボルト54によって固定し、かつ、後側ボス43にボルト45によって固定する。
【0056】
図14に示すように、前後連結工程は、中間胴体部34を、前側の連結部材48を介して前側胴体部32に連結し、かつ、後側の連結部材48を介して後側胴体部33に連結する工程である。扱胴軸取り付け工程が行われた後、前後連結工程において、各中間胴体部構成部材46を、前側の連結部材48にボルト47によって固定し、かつ、後側の連結部材48にボルト47によって固定する。
【0057】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、胴体30が前後に三分割されている。しかし、胴体30が前後に四分割以上されていてもよい。あるいは、胴体30が前後に二分割されていてもよい。
この場合、
図15に示すように、前側胴体部32を二つの前側胴体部構成部材に胴体30の周方向に二分割して構成すると共に、各前側胴体部構成部材を後側胴体部33に対して着脱可能に構成してもよい。あるいは、
図16に示すように、後側胴体部33を二つの後側胴体部構成部材に胴体30の周方向に二分割して構成すると共に、各後側胴体部構成部材を前側胴体部32に対して着脱可能に構成してもよい。
【0058】
(2)上記実施形態では、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34は、前後方向の長さが略等しい。しかし、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34は、前後方向の長さが異なっていてもよい。この場合、中間胴体部34の前後方向の長さが前側胴体部32及び後側胴体部33の各前後方向の長さよりも長くてもよい。
【0059】
(3)上記実施形態では、中間胴体部34が前側胴体部32及び後側胴体部33に対して着脱可能である。しかし、前側胴体部32、後側胴体部33及び中間胴体部34のうち何れの胴体部が着脱可能であってもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、中間胴体部34が胴体30の周方向に二分割されている。しかし、中間胴体部34が胴体30の周方向に三分割以上されていてもよい。
【0061】
(5)上記実施形態では、各中間胴体部構成部材46が前側胴体部32及び後側胴体部33に対して着脱可能である。しかし、二つの中間胴体部構成部材46のうち一方のみが前側胴体部32及び後側胴体部33に対して着脱可能であってもよい。
【0062】
(6)上記実施形態では、二つの中間胴体部構成部材46が同一の部材によって構成され、かつ、扱歯29の配列が同一である。しかし、二つの中間胴体部構成部材46が異なる部材によって構成され、かつ、扱歯29の配列が異なっていてもよい。
【0063】
(7)上記実施形態では、連結部材48(径方向連結部50)に、開口50aが四つ形成されている。しかし、連結部材48(径方向連結部50)に、開口50aが一つから三つ又は五つ以上形成されていてもよい。
【0064】
(8)上記実施形態では、胴体30の周壁に点検口が設けられていない。しかし、胴体30の周壁に点検口が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、自脱型コンバインの他、普通型コンバインにも利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 脱穀装置
11 扱胴
28 扱胴軸
29 扱歯
30 胴体
32 前側胴体部(胴体部)
33 後側胴体部(胴体部)
34 中間胴体部(胴体部、着脱胴体部)
46 中間胴体部構成部材(胴体部構成部材)
49 胴体部連結部(周方向連結部材、前後連結部材)