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特開2024-15611表示装置の制御方法、表示システムの制御方法、表示装置、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015611
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】表示装置の制御方法、表示システムの制御方法、表示装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20240130BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G09G5/00 X
G09G5/00 550B
G09G5/00 510V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117790
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】久保田 真司
【テーマコード(参考)】
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
5C058BA05
5C058BA23
5C058BA27
5C058BA35
5C058BB25
5C058EA03
5C182AA03
5C182AA04
5C182AB03
5C182BA14
5C182BB04
5C182BB12
5C182BB26
5C182BC01
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC26
5C182CC21
5C182CC24
5C182CC25
5C182CC26
5C182DA02
5C182DA04
5C182DA14
5C182DA62
5C182DA64
5C182DA65
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】利便性の高い表示装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】表示装置としての第1プロジェクター5の制御方法は、第1プロジェクター5への画像信号の入力が検知された場合は、第1プロジェクター5が、画像信号に基づく画像を表示することと、画像信号の入力が検知されない場合は、第1プロジェクター5のキャリブレーションを実行することと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置への画像信号の入力が検知された場合は、前記表示装置が、前記画像信号に基づく画像を表示することと、
前記画像信号の入力が検知されない場合は、前記表示装置のキャリブレーションを実行することと、を含む、
表示装置の制御方法。
【請求項2】
前記キャリブレーションの実行中に、前記画像信号の入力が検知された場合は、前記キャリブレーションを中断すること、を更に含む、
請求項1に記載の表示装置の制御方法。
【請求項3】
前記キャリブレーションは、第1の処理と、前記第1の処理とは異なる第2の処理と、を含み、
前記第1の処理の実行後、前記第2の処理の実行中に、前記画像信号の入力が検知された場合は、前記第2の処理を中断することと、
前記第2の処理を中断した後に、前記画像信号の入力が検知されなくなった場合は、前記第2の処理を再開することと、を更に含む、
請求項1に記載の表示装置の制御方法。
【請求項4】
前記キャリブレーションを中断した場合は、前記表示装置が、前記画像信号を第1のパラメーターに基づいて表示することと、
前記キャリブレーションを中断した後、前記第1のパラメーターに基づく表示中に、前記画像信号の入力が検知されなくなった場合は、前記キャリブレーションを再開することと、
前記キャリブレーションが完了した場合は、前記キャリブレーションによって得られた第2のパラメーターを記憶することと、
前記第2のパラメーターの記憶後に、前記画像信号の入力が検知された場合は、前記表示装置が、前記画像信号を前記第2のパラメーターに基づいて表示することと、を更に含む、
請求項2に記載の表示装置の制御方法。
【請求項5】
前記キャリブレーションは、前記画像信号の入力が検知されない場合で、且つ、前記表示装置の電源が投入されてから第1の期間が経過した場合に、実行される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置の制御方法。
【請求項6】
第1の表示装置への、第1の画像信号の入力を検知することと、
第2の表示装置への、第2の画像信号の入力を検知することと、
前記第1の画像信号の入力が検知された場合は、前記第1の表示装置が、前記第1の画像信号に基づく第1の画像を表示することと、
前記第2の画像信号の入力が検知された場合は、前記第2の表示装置が、前記第2の画像信号に基づく第2の画像を表示することと、
前記第1の画像信号の入力と前記第2の画像信号の入力とが検知されない場合は、前記第1の表示装置のキャリブレーションを実行すること、および、前記第2の表示装置のキャリブレーションを実行することと、を含む、
表示システムの制御方法。
【請求項7】
画像信号の入力を検知する第1の回路と、
前記画像信号の入力が検知された場合は、前記画像信号に基づく画像を表示する表示パネルと、
前記画像信号の入力が検知されない場合は、キャリブレーションを実行する第2の回路と、を含む、
表示装置。
【請求項8】
表示装置への画像信号の入力が検知されない場合は、前記表示装置のキャリブレーションを実行させることと、を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の制御方法、表示システムの制御方法、表示装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議室等に設置される表示装置であって、ユーザーのコンピューター等が接続されて、ユーザーのプレゼン画像等をスクリーン等の大画面に表示する表示装置が、知られている。
このような表示装置として、特許文献1には、種々のコンピューターからの画像信号を表示できる表示装置が開示されている。
特許文献1の表示装置では、接続するコンピューターの切り替えによって、入力される画像信号に変化が生じた場合は、表示設定の自動調整が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-154836公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動調整が開始されると、自動調整が完了するまで、表示装置の使用が制限されるため、表示装置のユーザーの利便性を損なう場合があった。例えば、多少、表示品位が悪くても、すぐにでも表示させたい、という場合でも、ユーザーは、自動調整が終わるまで、待つ必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表示装置の制御方法は、表示装置への画像信号の入力が検知された場合は、前記表示装置が、前記画像信号に基づく画像を表示することと、前記画像信号の入力が検知されない場合は、前記表示装置のキャリブレーションを実行することと、を含む。
【0006】
本発明の一態様に係る表示システムの制御方法は、第1の表示装置への、第1の画像信号の入力を検知することと、第2の表示装置への、第2の画像信号の入力を検知することと、前記第1の画像信号の入力が検知された場合は、前記第1の表示装置が、前記第1の画像信号に基づく第1の画像を表示することと、前記第2の画像信号の入力が検知された場合は、前記第2の表示装置が、前記第2の画像信号に基づく第2の画像を表示することと、前記第1の画像信号の入力と前記第2の画像信号の入力とが検知されない場合は、前記第1の表示装置のキャリブレーションを実行すること、および、前記第2の表示装置のキャリブレーションを実行することと、を含む。
【0007】
本発明の一態様に係る表示装置は、画像信号の入力を検知する第1の回路と、前記画像信号の入力が検知された場合は、前記画像信号に基づく画像を表示する表示パネルと、前記画像信号の入力が検知されない場合は、キャリブレーションを実行する第2の回路と、を含む。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、表示装置への画像信号の入力が検知されない場合は、前記表示装置のキャリブレーションを実行させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1のマルチプロジェクションシステムの設置例を示す概略図。
図2】マルチプロジェクションシステムの構成例を示すブロック図。
図3】自動調整の手順を示すフローチャート。
図4】実施形態2のマルチプロジェクションシステムの構成例を示すブロック図。
図5】実施形態3のプロジェクターの構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
1.実施形態1
1.1.マルチプロジェクションシステムの構成
表示システムとしてのマルチプロジェクションシステム1の構成を、図1および図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るマルチプロジェクションシステムの設置例を示す概略図であり、図2は、本実施形態に係るマルチプロジェクションシステムの構成例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、マルチプロジェクションシステム1は、表示装置または第1の表示装置としての第1プロジェクター5と、第2の表示装置としての第2プロジェクター6とを備える。マルチプロジェクションシステム1には、ユーザーのコンピューター等である画像信号出力装置2、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6の画像を表示するスクリーン3、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)ケーブルやコンピューターケーブルなどの伝送ケーブル4、および無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイント8aに接続するためのアンテナ7aなどが接続ないし配置される。
【0012】
画像信号出力装置2は、第1プロジェクター5と第2プロジェクター6とに画像信号を出力する。本実施形態において、画像信号出力装置2は、ユーザーのコンピューターである。なお、画像信号出力装置2は、スマートフォン、STB(Set Top Box)、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤー、またはアクセスポイント8aを介して接続されるネットワーク上のメディアサーバー等であってもよい。また、画像信号出力装置2からの画像信号は、無線LAN(Local Area Network)または有線LANを経由して、第1プロジェクター5と第2プロジェクター6とに送ってもよい。
【0013】
このマルチプロジェクションシステム1は、タイリング表示によって高解像度かつ大画面画像を表示させるシステムである。マルチプロジェクションシステム1は、第1プロジェクター5が表示する分割画像5Aの画像光と、第2プロジェクター6が表示する分割画像6Aの画像光とを、水平方向に並列させて、スクリーン3に投写し、スクリーン3上で一部を重ね合わせることで、全体画像11を形成して表示する。
なお、本実施形態では、第1プロジェクター5の分割画像5Aと第2プロジェクター6の分割画像6Aとを水平方向に並列して投写する構成のマルチプロジェクションシステム1を例示するが、これに限られず、例えば3台以上のプロジェクターからの分割画像を水平方向ないし垂直方向に並列して全体画像11を表示させる構成としてもよい。
【0014】
図2に示すように、本実施形態において、第1プロジェクター5と第2プロジェクター6とは、同じ構成を有する。なお、自動調整を行う場合は、いずれか1台がプライマリープロジェクターとなり、残りがセカンダリープロジェクターとなる。どのプロジェクターをプライマリープロジェクターとするかは、予め設定しておくか、または、最初に電源がONされたプロジェクターをプライマリープロジェクターとするように、プログラムすることもできる。プライマリープロジェクターは、セカンダリープロジェクターを制御して、マルチプロジェクションシステム1としての自動調整を制御する。自動調整は、キャリブレーションの一例である。
【0015】
第1プロジェクター5および第2プロジェクター6は、それぞれ、画像信号入力部12、無信号検知部13、画像信号処理部14、投写部20、自動調整部15、カメラ16、記憶部17、操作信号受信部18、リモコン19、通信部7、および制御部10を備える。
【0016】
画像信号入力部12には、画像信号出力装置2からの画像信号が入力されるとともに、入力された画像信号を画像信号処理部14に出力する。画像信号入力部12は、例えば、各種ケーブルと接続するための入力端子やインターフェイス回路を備えて構成される。
【0017】
第1の回路としての無信号検知部13は、制御部10からの要求に基づいて、画像信号入力部12への画像信号の入力を検知して、検知情報を制御部10に出力する。無信号検知部13は、例えば、画像信号の入力を検知する回路を備えて構成される。無信号検知部13は、画像信号入力部12が備えるインターフェイス回路と一体になって構成されてもよい。
【0018】
なお、無信号検知部13は、画像信号の入力があることを検知した場合のみに、換言すれば、画像信号の入力がないことを検知しない場合のみに、その情報を検知情報として制御部10に出力する構成であってもよい。または、無信号検知部13は、画像信号の入力がないことを検知した場合のみに、換言すれば、画像信号の入力があることを検知しない場合のみに、その情報を検知情報として制御部10に出力する構成であってもよい。いずれの場合であっても、制御部10は、画像信号の入力が検知された場合と画像信号の入力が検知されない場合とを区別して判定することができる。
【0019】
例えば、無信号検知部13が、画像信号の入力がないことを検知した場合のみに、その情報を検知情報として制御部10に出力する構成である場合は、制御部10は、無信号検知部13から検知情報が出力されたことによって、画像信号の入力が検知されない場合であると判定でき、他方、無信号検知部13から検知情報が出力されないことによって、画像信号の入力が検知された場合であると判定できる。
【0020】
他方、無信号検知部13が、画像信号の入力があることを検知した場合のみに、その情報を検知情報として制御部10に出力する構成である場合は、制御部10は、無信号検知部13から検知情報が出力されたことによって、画像信号の入力が検知された場合であると判定でき、他方、無信号検知部13から検知情報が出力されないことによって、画像信号の入力が検知されない場合であると判定できる。
【0021】
画像信号処理部14は、画像信号を、記憶部17に記憶された調整パラメーターに基づいて、調整して、調整後の画像信号を投写部20に出力する。
【0022】
投写部20は、レーザー光源等の光源21と、液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)等の表示素子からなる光学エンジン22と、レンズシステム等からなる投写光学系23とを備え、画像信号処理部14からの画像信号に基づいた画像をスクリーン3に表示する。ここで、光学エンジン22は、表示パネルの一例である。
【0023】
第2の回路としての自動調整部15は、自動調整プログラムに基づいて、画像表示に関する自動調整を行う。
カメラ16は、自動調整中に、スクリーン3に表示される表示映像としての調整用のパターン画像を撮影して、自動調整部15に出力する。
【0024】
自動調整部15は、カメラ16によって撮影されたパターン画像を解析しながら、パターン画像が所定の表示映像になるように、調整パラメーターの修正を行い、調整が終了すると、修正した調整パラメーターを記憶部17に記憶する。
画像信号処理部14、及び自動調整部15は、例えば集積回路により構成される。集積回路には、LSI(Large-Scale Integration)、SOC(system on a chip)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が含まれる。また、集積回路の構成の一部にアナログ回路が含まれてもよく、制御部10と組み合わされる構成でもよい。
【0025】
自動調整部15が行う調整は、主として、重ね合わせズレ調整、色のバラツキ調整、明るさのバラツキ調整である。その他、フレーム合わせ調整や台形補正をプログラムしてもよい。なお、調整の順番や、調整の内容は、自動調整プログラムにプログラムすることで、適宜変更することができる。
【0026】
例えば、重ね合わせズレ調整を、優先的に実行するように自動調整プログラムにプログラムすることができる。
マルチプロジェクションシステム1は、第1プロジェクター5の分割画像5Aと第2プロジェクター6の分割画像6Aとを重ね合わせることで、継ぎ目のない大画面画像を表示できる、という優れた利点を有する。一方で、マルチプロジェクションシステム1は、分割画像5Aと分割画像6Aの重ね合わせにズレが生じやすい、という課題を有している。
【0027】
重ね合わせズレは、例えば、第1プロジェクター5およびまたは第2プロジェクター6に人が当たってしまったり、地震や不同沈下などによって建物に歪みが生じたり、プロジェクターの重さによってプロジェクターの設置面に歪みが生じたり、などによって発生する。このような重ね合わせズレは、分割画像5Aと分割画像6Aとの色のバラツキや明るさのバラツキよりも、発生しやすく、調整の必要性が高いことが分かっている。
【0028】
重ね合わせズレ調整を優先する方法としては、例えば、重ね合わせズレ調整を毎回実行して、他の調整は、重ね合わせズレ調整の実行の数回に1回の割合で行うように、自動調整プログラムにプログラムしてもよい。
なお、自動調整の際に、優先して行う調整は、重ね合わせズレ調整に限定されない。マルチプロジェクションシステム1の設置状況や使用状況等に応じて、調整ズレの起きやすい調整を、適時に自動調整できるように、自動調整プログラムにプログラムすればよい。
【0029】
また、短い時間で自動調整を完了できるように、簡易的な調整を行うように自動調整プログラムにプログラムしてもよい。このようにすることで、例えば、会議の準備が整うまでの間や、プレゼンターが交代する間などの数分間程度の時間に、自動調整を完了することができる。
【0030】
簡易的な調整とは、設置時に行うような多数枚のパターン画像を使った高精度の本調整に対して、使用するパターン画像の枚数を2,3枚程度とした調整、調整を開始する精度や目標とする精度を限定した調整、または時間を限定した調整である。マルチプロジェクションシステム1の本調整では、精度の粗い仮調整から、少しずつ調整精度を上げながら、何回も調整を繰り返して、高精度な調整に仕上げていく。他方、本実施形態の自動調整では、設置時に行うような低精度の調整は不要なため、中精度のみの調整を行うように、自動調整プログラムにプログラムすることができる。例えば、重ね合わせズレ調整の場合は、1.5画素ズレないし1画素ズレのみの調整を行うようにプログラムできる。なお、高精度のみの調整または中精度と高精度とのみの調整を実行するようにプログラムしてもよい。
【0031】
記憶部17は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などのメモリーから構成される。記憶部17は、OS、アプリケーションプログラム、および各種データなどを記憶する。具体的には、自動調整プログラムを含む各種制御プログラム、自動調整で用いる各種パターン画像、調整パラメーター、電源起動時刻、自動調整履歴、自動調整の中断情報、およびプレゼン画像などを記憶する。
調整パラメーターは、調整履歴情報と共に記憶され、自動調整が中断された場合は、自動調整の実行前の調整パラメーターが、最新の調整パラメーターとして、画像信号処理部14で利用されるように制御される。
【0032】
通信部7は、イントラネットまたはインターネット等のネットワーク8に接続される。通信部7は、例えば、有線通信用のケーブルと接続する端子、無線通信用のアンテナや、インターフェイス回路を備える。ネットワーク8を介して図示しないサーバーから更新プログラムをダウロードすることで、記憶部17に記憶される自動調整プログラムを含む各種制御プログラムを、常に最新の状態にすることができる。なお、画像信号は、ネットワーク8を経由して、供給してもよい。
【0033】
操作信号受信部18は、リモコン19からの操作信号を受信する。操作信号受信部18は、例えば、リモコンからの信号を受信する赤外線受光部や、無線通信回路を備える。
制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のような1以上のプロセッサーであり、記憶部17に記憶された各種制御プログラムに基づいて、各部を制御する。なお、制御部10を含む各ブロックの一部または全部は、LSI、SOC、DSP、ASIC、PLD、FPGA等のハードウェアで実現してもよい。
【0034】
1.2.マルチプロジェクションシステムの制御方法
次に、マルチプロジェクションシステム1の制御方法について、図3に基づいて説明する。図3は、自動調整プログラムに基づく制御の流れを示すフローチャートであり、プライマリープロジェクターが実行する制御の流れを示している。
【0035】
本実施形態では、第1プロジェクター5をプライマリープロジェクター、第2プロジェクター6をセカンダリープロジェクターとして説明する。プライマリープロジェクターは、セカンダリープロジェクターに対して、無信号検知部13の検知情報を含むセカンダリープロジェクターの状態情報の送信を要求するとともに、セカンダリープロジェクターを含むマルチプロジェクションシステム1全体の状態情報に基づいて、自動調整の開始、中断、および終了等を制御する。
【0036】
ステップS1では、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6の電源をONする。電源ONとともに、自動調整プログラムが起動し、電源がONしている間、自動調整プログラムは常駐している。自動調整プログラムに基づいて、制御部10は、電源がONされた時刻を記憶部17に記憶するとともに、記憶部17に記憶される自動調整履歴を「無」にリセットする。
【0037】
ステップS2では、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6への画像信号の入力を判定する。
第1プロジェクター5の制御部10からの送信要求に基づいて、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6の各無信号検知部13は、画像信号の入力の有無の検知結果を制御部10へ送信する。制御部10は、検知結果に基づいて、画像信号の入力を判定する。
【0038】
画像信号の入力が検知された場合(ステップS2/NO)は、自動調整フローを抜け、ステップS41に遷移する。第1プロジェクター5および第2プロジェクター6は、ステップS41において、画像信号に基づく、画像表示を行う。その後、ステップS42において、1秒待った後、再度、自動調整フローが実行される。
【0039】
一方、画像信号の入力が検知されなかった場合(ステップS2:YES)は、ステップS3に遷移する。ステップS3では、自動調整履歴の有無を判定する。
ステップS2において、画像信号の入力が検知されない場合は、更に、電源をONしてから自動調整が行われたかどうかを判定する。これは、電源ON後に、同じ調整を何度も繰り返して実行することを回避するためである。
自動調整履歴は、記憶部17に記憶されている。自動調整履歴は、電源ONの際に「無」にリセットされ、その後、自動調整が完了した場合に「有」に変更される。なお、自動調整が中断した場合は、自動調整履歴は「無」のままである。
【0040】
自動調整履歴が「有」の場合(ステップS3/NO)は、自動調整フローを抜け、処理がステップS31に遷移する。第1プロジェクター5および第2プロジェクター6は、ステップS31において、ブルースクリーン等の無信号表示を行う。その後、ステップS32において、1秒待った後、再度、自動調整フローが実行される。
なお、自動調整履歴が「有」の場合であっても、電源ONから長時間が経過している場合、例えば、電源ONから1時間経過した場合は、その後、1時間毎に、自動調整履歴を「無」にリセットするようにプログラムしてもよい。
また、自動調整履歴の判定は、スキップするようにプログラムしてもよい。例えば、屋外での使用によって風等の影響を受ける場合やプロジェクターの不調等で、調整ズレが起きやすい場合は、自動調整履歴の判定をスキップさせることで、自動調整後にズレが生じた場合にも対応できる。
【0041】
一方、自動調整履歴が「無」の場合(ステップS3/YES)は、処理がステップS4に遷移する。ステップS4では、電源ONから第1の期間としての20分が経過したか否かを判定する。
電源ONから20分が経過していない場合(ステップS4/NO)は、自動調整フローを抜け、処理がステップS31に遷移する。これは、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6が温まっていない状態で調整を行うと、その後、ズレが生じやすく、正確な調整ができないからである。なお、第1の期間は、20分間に限定されない。第1の期間は、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6の状態が安定するまでの所望の時間に設定すればよい。
なお、電源ONからの経過時間の判定は、スキップするようにプログラムしてもよい。例えば、電源ONしてからごく短時間でプロジェクターの状態が安定する場合や、温度ドリフトが小さい項目を調整する場合、例えば、重ね合わせズレ調整を行う場合は、電源ONからの経過時間の判定をスキップするようにプログラムすることができる。他方、温度ドリフトの大きい項目、例えば、色のバラツキ調整を行う場合は、電源ONからの経過時間の判定を行うようにプログラムするとよい。
【0042】
一方、電源ONから20分が経過している場合(ステップS4/YES)は、処理がステップS5に遷移する。ステップS5では、自動調整を開始する。
自動調整は、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6に画像信号の入力と自動調整履歴とが無く、且つ、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6の電源ONから20分以上経過している場合に、開始される。
自動調整の開始によって、後述するステップS6からステップS14またはステップS6からステップS23の処理が実行される。
【0043】
自動調整の開始によって、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6の各カメラ16が起動される。
【0044】
ステップS6では、自動調整の中断情報の有無を判定する。
自動調整が中断した場合は、中断情報が、記憶部17に記憶される。例えば、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6において、第1の処理としての1枚目のパターン画像を表示し、カメラ16によって、1枚目のパターン画像を撮影して、自動調整を行う。1枚目のパターン画像による調整が終了した後、第2の処理としての2枚目のパターン画像を表示し、カメラ16によって、2枚目のパターン画像を撮影して、自動調整を行っている最中に、自動調整が中断した場合には、2枚目のパターン画像による自動調整中に中断が発生したことが、中断情報として記憶される。
【0045】
なお、パターン画像は、グレイコードパターン、バイナリコードパターン、位相シフトパターン等である。ここで、第1プロジェクター5に表示される1枚目のパターン画像が、第1の表示映像に対応し、第2プロジェクター6に表示される1枚目のパターン画像が、第2の表示映像に対応する。
【0046】
自動調整の中断情報がない場合(ステップS6/NO)はステップS7をスキップし、処理がステップS8に遷移する。
一方、自動調整の中断情報がある場合(ステップS6/YES)は、処理がステップS7に遷移する。ステップS7では、自動調整の中断情報に基づいて、調整が再開される。
中断情報が記憶されている場合は、記憶部17から、中断情報が読み出され、当該中断情報に基づいて、調整が再開される。
上述したように2枚目のパターン画像による自動調整中に中断が発生した場合は、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6は、2枚目のパターン画像から自動調整を再開する。
【0047】
ステップS8では、自動調整で使用されるパターン画像が、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6からスクリーン3に表示され、自動調整が実施される。
中断情報が記載されていない場合は、自動調整プログラムに基づいて、1枚目のパターン画像が表示される。中断情報が記憶されている場合は、中断情報に基づいたパターン画像が表示される。
【0048】
ステップS9では、1秒間待ちを実行する。なお、ステップS9、ステップS32、およびステップS42における待ち時間は、1秒間に限定されない。1秒よりも長い時間に変更すれば、制御部10の負荷が軽減されるが、ユーザーの操作に対する応答時間が長くなってしまうため、CPUの性能やユーザーの使用状況に応じて、適宜、時間を変更すればよい。
【0049】
ステップS10では、画像信号の入力の有無が判定される。
第1プロジェクター5および第2プロジェクター6に画像信号の入力がある場合(ステップS10/NO)は、自動処理フローを抜け、処理がステップS21に遷移する。これによって、自動調整中に、ユーザーが、マルチプロジェクションシステム1でユーザーの画像を表示しようとした場合には、即座に、自動調整を中断して、ユーザーの画像を表示することができる。
【0050】
一方、画像信号の入力がない場合(ステップS10/YES)は、処理がステップS11に遷移する。ステップS11では、調整が終了したか否かが判定される。
例えば、1枚目のパターン画像による調整が終了したか否かが判定され、調整が終了していない場合(ステップS11/NO)は、処理がステップS8に戻り、1枚目のパターン画像による調整が継続される。
一方、調整が終了している場合(ステップS11/YES)は、処理がステップS12に遷移する。ステップS12では、自動調整によって、調整された調整パラメーターが保存される。
例えば、1枚目のパターン画像による調整が終了した場合は、調整した調整パラメーターが、最新の調整パラメーターとして、第1プロジェクター5の記憶部17および第2プロジェクター6の各記憶部17に記憶される。なお、従前の調整パラメーターは、少なくともすべての自動調整が完了するまで、各記憶部17に保持されている。
【0051】
ステップS13では、他の調整がないか否かが判定される。
例えば、自動調整プログラムに2枚目のパターン画像による調整がプログラムされている場合(ステップS13/NO)は、ステップS8に戻って、2枚目のパターン画像による調整が実行される。
【0052】
一方、他の調整がない場合(ステップS13/YES)は、処理がステップS14に遷移する。ステップS14では、記憶部17に記憶した中断情報がリセットされる。
自動調整プログラムにプログラムされた調整がすべて終了した場合は、自動調整を終了して、記憶部17に記憶した中断情報をリセットする。これによって、これ以降は、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6は、ステップS12で各記憶部17に保存した第2のパラメーターとしての調整パラメーターによって、画像表示を行う。
【0053】
ステップS21では、自動調整を中断する。ステップS10において、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6に、画像信号の入力が検知されないと判定されると、自動処理フローを抜けて、自動調整を中断する。
【0054】
ステップS22では、中断情報を保存する。
上述したように、2枚目のパターン画像による自動調整の最中に、自動調整が中断した場合には、2枚目のパターン画像による自動調整中に中断が発生したことが、中断情報として記憶部17に記憶される。
【0055】
ステップS23では、自動調整を行う前の調整パラメーターが復元される。ステップS12において、新しい調整パラメーターが、保存された場合であっても、調整が中断された場合は、自動調整を実行する前の従前の調整パラメーターが最新の調整パラメーターとして、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6の各記憶部17に記憶される。
【0056】
これによって、自動調整中に中断が発生した場合は、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6は、第1のパラメーターとしての自動調整を行う前の従前の調整パラメーターによって、画像表示を行う。すなわち、自動調整中に中断が発生した場合は、マルチプロジェクションシステム1の調整パラメーターは、変更されないため、第1のパラメーターとしての従前の調整パラメーターを用いて画像表示が行われる。他方、自動調整が完了した場合は、第2のパラメーターとしての自動調整によって新たに保存した調整パラメーターによって、画像表示が行われる。
【0057】
以上、述べたとおり、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本発明の一態様に係る表示装置としての第1プロジェクター5の制御方法は、第1プロジェクター5への画像信号の入力が検知された場合は、第1プロジェクター5が、画像信号に基づく画像を表示することと、画像信号の入力が検知されない場合は、第1プロジェクター5のキャリブレーションを実行することと、を含む。
【0058】
これによって、第1プロジェクター5への画像信号の入力が検知されない場合は、キャリブレーションとしての自動調整が実行され、第1プロジェクター5への画像信号の入力が検知された場合は、入力される画像信号に基づく画像表示が実行される。
したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高い表示装置の制御方法を実現できる。
【0059】
更には、スケジューリングによって自動調整を実行する場合は、スケジュールした日時にマルチプロジェクションシステム1が使用されていたり、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6の電源がOFFであったりすると、自動調整がスキップされてしまうが、本実施形態によれば、画像信号の入力が無い時に、自動調整が実行されるため、確実に自動調整を行うことができる。
【0060】
なお、画像信号の入力が検知された場合には、画像信号の入力がないことが検知されない場合を含む。また、画像信号の入力が検知されない場合には、画像信号の入力がないことが検知された場合を含む。
【0061】
本発明の一態様に係る表示装置としての第1プロジェクター5の制御方法は、さらに、キャリブレーションの実行中に、画像信号の入力が検知された場合は、キャリブレーションを中断すること、を更に含む。
これによって、自動調整の実行中に、画像信号の入力が検知された場合は、調整が中断されるので、ユーザーの利便性が損なわれることを回避できる。
【0062】
本発明の一態様に係る表示装置としての第1プロジェクター5の制御方法は、さらに、キャリブレーションは、第1の処理としての1枚目のパターン画像を表示して行う調整と、第1の処理とは異なる第2の処理としての2枚目のパターン画像を表示して行う調整と、を含み、第1の処理の実行後、第2の処理の実行中に、画像信号の入力が検知された場合は、第2の処理を中断することと、第2の処理を中断した後に、画像信号の入力が検知されなくなった場合は、第2の処理を再開することと、を更に含む。
これによって、自動調整が中断された場合は、その後、再度自動調整を行う場合は、中断した調整項目から調整を再開できるので、利便性の高い表示装置の制御方法を実現できる。
【0063】
本発明の一態様に係る表示装置としての第1プロジェクター5の制御方法は、さらに、キャリブレーションを中断した場合は、第1プロジェクター5が、画像信号を第1のパラメーターとしての従前の調整パラメーターに基づいて表示することと、キャリブレーションを中断した後、第1のパラメーターに基づく表示中に、画像信号の入力が検知されなくなった場合は、キャリブレーションを再開することと、キャリブレーションが完了した場合は、キャリブレーションによって得られた第2のパラメーターとしての自動調整によって調整した調整パラメーターを記憶することと、第2のパラメーターの記憶後に、画像信号の入力が検知された場合は、第1プロジェクター5が、画像信号を第2のパラメーターに基づいて表示することと、を更に含む。
【0064】
これによって、自動調整が中断された場合は、自動調整を行う前の調整パラメーターによって画像を表示するため、調整途中で記憶した調整パラメーターによって画像表示が行われることで、表示不具合が生じることを回避することができる。したがって、利便性の高い表示装置の制御方法を実現できる。
【0065】
本発明の一態様に係る表示装置としての第1プロジェクター5の制御方法は、さらに、キャリブレーションは、画像信号の入力が検知されない場合で、且つ、第1プロジェクター5の電源が投入されてから第1の期間としての20分が経過した場合に、実行される。
これによって、第1プロジェクター5が温まり、第1プロジェクター5の状態が安定した後に、自動調整が行われるように制御されるため、第1プロジェクター5の状態が安定する前に、自動調整を実行することで、その後に、調整ズレが生じることを回避することができる。したがって、利便性の高い表示装置の制御方法を実現できる。
【0066】
本発明の一態様に係る表示システムとしてのマルチプロジェクションシステム1の制御方法は、第1の表示装置としての第1プロジェクター5への、第1の画像信号の入力を検知することと、第2の表示装置としての第2プロジェクター6への、第2の画像信号の入力を検知することと、第1の画像信号の入力が検知された場合は、第1プロジェクター5が、第1の画像信号に基づく第1の画像を表示することと、第2の画像信号の入力が検知された場合は、第2プロジェクター6が、第2の画像信号に基づく第2の画像を表示することと、第1の画像信号の入力と第2の画像信号の入力とが検知されない場合は、第1プロジェクター5のキャリブレーションを実行すること、および、第2プロジェクター6のキャリブレーションを実行することと、を含む。
【0067】
これによって、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6への画像信号の入力が検知されない場合は、自動調整が実行され、第1プロジェクター5および第2プロジェクター6への画像信号の入力が検知された場合は、入力される画像信号に基づく画像表示が実行されるように制御される。
したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高い表示システムの制御方法を実現できる。
【0068】
本発明の一態様に係る表示装置としての第1プロジェクター5は、画像信号の入力を検知する第1の回路としての無信号検知部13と、画像信号の入力が検知された場合は、画像信号に基づく画像を表示する表示パネルとしての投写部20と、画像信号の入力が検知されない場合は、キャリブレーションを実行する第2の回路としての自動調整部15と、を含む。
これによって、第1プロジェクター5への画像信号の入力が検知されない場合は、自動調整が実行され、第1プロジェクター5への画像信号の入力が検知された場合は、入力される画像信号に基づく画像表示が実行される。
したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高い表示装置を実現できる。
【0069】
本発明の一態様に係るプログラムは、表示装置としての第1プロジェクター5への画像信号の入力が検知されない場合は、第1プロジェクター5のキャリブレーションを実行させることと、を含む。
これによって、第1プロジェクター5への画像信号の入力が検知されない場合は、プログラムは、第1プロジェクター5のキャリブレーションを実行させる。
したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高いプログラムを実現できる。
【0070】
2.実施形態2
2.1.マルチプロジェクションシステムの構成
表示システムとしてのマルチプロジェクションシステム100の構成を、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係るマルチプロジェクションシステムの構成例を示すブロック図である。なお、以下の説明では、実施形態1と同一の構成および手順には同一の符号を使用して、重複する説明は省略する。
【0071】
図4に示すように、マルチプロジェクションシステム100は、コンピューター70、表示装置または第1の表示装置としての第1プロジェクター50、第2の表示装置としての第2プロジェクター60、およびカメラ33とから構成される。マルチプロジェクションシステム100には、スクリーン3とネットワーク8とが配置ないし接続される。コンピューター70と、第1プロジェクター50、第2プロジェクター60、およびカメラ33との間は、ネットワーク8を介して接続される。よって、コンピューター70は、第1プロジェクター50、第2プロジェクター60、およびカメラ33と同じ場所にある必要はない。
本実施形態のマルチプロジェクションシステム100は、コンピューター70が自動調整を制御する点で、実施形態1のマルチプロジェクションシステム1と異なる。
【0072】
コンピューター70は、制御部71、画像処理部72、表示部73,無信号検知部74、自動調整部75、記憶部76、通信部77、および入力部78を備える。
【0073】
制御部71は、例えば、1以上のプロセッサーである。また、通信部77は、例えば、有線通信用のケーブルと接続する端子、無線通信用のアンテナや、インターフェイス回路を備える。
画像処理部72は、記憶部76に記憶された画像情報またはネットワーク8上のサーバーに記憶された画像情報に基づいて、分割画像50Aおよび分割画像60Aを生成して、それぞれを第1プロジェクター50および第2プロジェクター60に出力する。
【0074】
無信号検知部74は、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60への分割画像50Aおよび分割画像60Aの出力の有無を監視して、検知情報を制御部71に出力する。無信号検知部74は、例えば、画像信号の出力を検知する回路を備えて構成される。無信号検知部74は、通信部77が備えるインターフェイス回路と一体になって構成されてもよい。
【0075】
自動調整部75は、自動調整プログラムに基づいて、画像表示に関する自動調整を行う。
画像処理部72、及び自動調整部75は、例えば集積回路により構成される。集積回路には、LSI、SOC、DSP、ASIC、PLD、FPGA等が含まれる。また、集積回路の構成の一部にアナログ回路が含まれてもよく、制御部71と組み合わされる構成でもよい。
カメラ33は、コンピューター70からの送信要求に基づいて、自動調整中に、スクリーン3に表示される調整用のパターン画像を撮影して、自動調整部75に送信する。
【0076】
自動調整部75は、カメラ33によって撮影されたパターン画像を解析しながら、パターン画像が所定の表示映像になるように、調整パラメーターの修正を行い、調整が終了すると、修正後の調整パラメーターを記憶部76に記憶する。
【0077】
記憶部76は、RAM及びROMなどのメモリーから構成される。記憶部76は、OS、アプリケーションプログラム、および各種データなどを記憶する。具体的には、自動調整プログラムを含む各種制御プログラム、画像調整用の調整パラメーター、および電源起動時刻や自動調整履歴や自動調整の中断情報などの各種情報を記憶する。
【0078】
第1プロジェクター50と第2プロジェクター60とは、同じ構成を有する。
第1プロジェクター50および第2プロジェクター60の各調整部31は、自動調整が開始されると、コンピューター70からの制御信号に基づいて、調整を実行する。
【0079】
なお、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60が、無信号検知部13を備える構成としてもよい。この場合は、無信号検知部13は、コンピューター70の送信要求に基づいて、画像信号の入力の有無を監視して、監視結果をコンピューター70に送信する。
【0080】
2.2.マルチプロジェクションシステムの制御方法
次に、マルチプロジェクションシステム100の制御方法について、図3に基づいて説明する。本実施形態では、自動調整は、コンピューター70が制御する。コンピューター70が実行する制御の流れは、実施形態1においてプライマリープロジェクターが実行する制御と略同じである。
【0081】
ステップS1では、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60を起動する。第1プロジェクター50および第2プロジェクター60の起動は、コンピューター70から制御してもよい。また、自動調整プログラムは、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60の起動とともに立ち上がるようにプログラムしてもよい。
【0082】
ステップS2では、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60に画像信号の入力がされているか否かが判定される。制御部71は、無信号検知部74または無信号検知部13からの検知情報に基づいて、画像信号の入力の有無を判定する。
【0083】
ステップS3では、自動調整履歴の有無を判定する。
画像信号の入力が無い場合(ステップS2:YES)は、更に、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60の電源ONから自動調整が行われたかどうかを判定する。自動調整履歴は、記憶部76に記憶されており、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60の電源ONの際に「無」にリセットされ、その後、自動調整が完了した場合に「有」に変更される。
【0084】
ステップS4では、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60の電源ONから20分が経過したか否かを判定する。
【0085】
ステップS5では、自動調整を開始する。
自動調整の開始によって、コンピューター70は、カメラ33を起動するとともに、後述するステップS6からステップS14およびステップS21からステップS23の処理を実行する。
【0086】
ステップS6では、自動調整の中断情報の有無を判定する。中断情報が、記憶部76に記憶されている。
【0087】
ステップS7では、自動調整の中断情報に基づいて、調整が再開される。
中断情報が記憶されている場合は、記憶部76から、中断情報が読み出され、当該中断情報に基づいて、調整が再開される。
【0088】
ステップS8では、自動調整で使用されるパターン画像がスクリーン3に表示され、自動調整が実施される。
第1プロジェクター50および第2プロジェクター60の調整部31は、コンピューター70の制御を受けて、パターン画像を表示する。
【0089】
ステップS12では、自動調整によって、調整された調整パラメーターが保存される。調整パラメーターは、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60の各記憶部17にそれぞれ記憶される。
【0090】
ステップS14では、記憶部76または記憶部17に記憶した中断情報がリセットされる。自動調整プログラムにプログラムされた調整がすべて終了した場合は、自動調整を完了して、記憶部76または記憶部17に記憶した中断情報をリセットする。
【0091】
ステップS22では、中断情報を保存する。中断情報は、記憶部76または記憶部17に記憶する。
【0092】
以上、述べたとおり、本実施形態によれば、上記各実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
本発明の一態様に係る表示装置としての第1プロジェクター50の制御方法は、第1プロジェクター50への画像信号の入力が検知された場合は、第1プロジェクター50が、画像信号に基づく画像を表示することと、画像信号の入力が検知されない場合は、第1プロジェクター50が、表示映像としてのパターン画像を調整することと、を含む。
【0093】
これによって、第1プロジェクター50への画像信号の入力が検知されない場合は、自動調整が実行され、第1プロジェクター50への画像信号の入力が検知された場合は、入力される画像信号に基づく画像表示が実行される。
したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高い表示装置の制御方法を実現できる。
【0094】
本発明の一態様に係る表示システムとしてのマルチプロジェクションシステム100の制御方法は、第1の表示装置としての第1プロジェクター50への、第1の画像信号の入力を検知することと、第2の表示装置としての第2プロジェクター60への、第2の画像信号の入力を検知することと、第1の画像信号の入力が検知された場合は、第1プロジェクター50が、第1の画像信号に基づく第1の画像を表示することと、第2の画像信号の入力が検知された場合は、第2プロジェクター60が、第2の画像信号に基づく第2の画像を表示することと、第1の画像信号の入力と第2の画像信号の入力とが検知されない場合は、第1プロジェクター50が、第1の表示映像としてのパターン画像を調整すること、および、第2プロジェクター60が、第2の表示映像としてのパターン画像を調整することと、を含む。
【0095】
これによって、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60への画像信号の入力が検知されない場合は、自動調整が実行され、第1プロジェクター50および第2プロジェクター60への画像信号の入力が検知された場合は、入力される画像信号に基づく画像表示が実行されるように制御される。
したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高い表示システムの制御方法を実現できる。
【0096】
本発明の一態様に係るプログラムは、表示装置としての第1プロジェクター50への画像信号の入力が検知されない場合は、第1プロジェクター50に、表示映像としてのパターン画像の調整を実行させることと、を含む。
これによって、第1プロジェクター50への画像信号の入力が検知されない場合は、プログラムは、第1プロジェクター50に、表示映像の調整を実行させる。
したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高いプログラムを実現できる。
【0097】
3.実施形態3
3.1.プロジェクターの構成
表示装置としてのプロジェクター5の構成を、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係るプロジェクターの構成例を示すブロック図である。なお、以下の説明では、実施形態1と同一の構成および手順には同一の符号を使用して、重複する説明は省略する。
【0098】
図5に示すように、プロジェクター5は、画像信号出力装置2から入力される画像信号に基づいて、大画面画像をスクリーン3に表示する。
本実施形態のプロジェクター5は、1台のプロジェクターで、大画面を表示する点で、実施形態1のマルチプロジェクションシステム1と異なる。
【0099】
プロジェクター5は、実施形態1の第1プロジェクター5と同じ構成を有する。また、記憶部17に記憶される自動調整プログラムは、セカンダリープロジェクターの制御が不要な点、自動調整時に実行する調整内容が一部異なる点を除いて、実施形態1の自動調整プログラムと同様に動作するようにプログラムされている。
【0100】
本実施形態において、自動調整プログラムによって実行される調整としては、例えば、スクリーン3の枠に、プロジェクター5の表示画像を合わせるフレーム合わせ調整やプロジェクター5の表示画像を四角く調整する台形補正をプログラムすることができる。
【0101】
上記実施形態1および実施形態2では、表示装置としてプロジェクターを用いた例を記載したが、表示装置としてFPD(Flat Panel Display)等の直視型のディスプレイを採用してマルチディスプレイシステムを構成してよい。この場合は、自動調整プログラムによって実行される調整として、例えば、色のバラツキ調整や明るさのバラツキ調整をプログラムすることができる。FPD等の直視型のディスプレイが備えるパネルは、表示パネルの一例である。
【0102】
また、上記実施形態3では、表示装置としてプロジェクターを用いた例を記載したが、表示装置としてFPD等の直視型のディスプレイを採用してもよい。この場合は、自動調整プログラムによって実行される調整として、例えば、解像度調整や明るさ調整や色調調整をプログラムすることができる。FPD等の直視型のディスプレイが備えるパネルは、表示パネルの一例である。
【0103】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【0104】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
表示装置への画像信号の入力が検知された場合は、前記表示装置が、前記画像信号に基づく画像を表示することと、
前記画像信号の入力が検知されない場合は、前記表示装置のキャリブレーションを実行することと、を含む、
表示装置の制御方法。
これによって、表示装置への画像信号の入力が検知されない場合は、自動調整が実行され、表示装置への画像信号の入力が検知された場合は、入力される画像信号に基づく画像表示が実行される。
したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高い表示装置の制御方法を実現できる。
【0105】
(付記2)
前記キャリブレーションの実行中に、前記画像信号の入力が検知された場合は、前記キャリブレーションを中断すること、を更に含む、
付記1に記載の表示装置の制御方法。
これによって、自動調整の実行中に、画像信号の入力が検知された場合は、調整が中断されるので、ユーザーの利便性が損なわれることを回避できる。
【0106】
(付記3)
前記キャリブレーションは、第1の処理と、前記第1の処理とは異なる第2の処理と、を含み、
前記第1の処理の実行後、前記第2の処理の実行中に、前記画像信号の入力が検知された場合は、前記第2の処理を中断することと、
前記第2の処理を中断した後に、前記画像信号の入力が検知されなくなった場合は、前記第2の処理を再開することと、を更に含む、
付記1に記載の表示装置の制御方法。
これによって、自動調整が中断された場合は、その後、再度自動調整を行う場合は、中断した調整項目から調整を再開できるので、利便性の高い表示装置の制御方法を実現できる。
【0107】
(付記4)
前記キャリブレーションを中断した場合は、前記表示装置が、前記画像信号を第1のパラメーターに基づいて表示することと、
前記キャリブレーションを中断した後、前記第1のパラメーターに基づく表示中に、前記画像信号の入力が検知されなくなった場合は、前記キャリブレーションを再開することと、
前記キャリブレーションが完了した場合は、前記キャリブレーションによって得られた第2のパラメーターを記憶することと、
前記第2のパラメーターの記憶後に、前記画像信号の入力が検知された場合は、前記表示装置が、前記画像信号を前記第2のパラメーターに基づいて表示することと、を更に含む、
付記2に記載の表示装置の制御方法。
これによって、自動調整が中断された場合は、自動調整を行う前の調整パラメーターによって画像を表示するため、調整途中で記憶した調整パラメーターによって画像表示が行われることで、表示不具合が生じることを回避することができる。したがって、利便性の高い表示装置の制御方法を実現できる。
【0108】
(付記5)
前記キャリブレーションは、前記画像信号の入力が検知されない場合で、且つ、前記表示装置の電源が投入されてから第1の期間が経過した場合に、実行される、
付記1から付記4のいずれか一つに記載の表示装置の制御方法。
これによって、表示装置が温まった後に、自動調整が行われるように制御されるため、表示装置が温まる前に、自動調整を実行することで、その後に、調整ズレが生じることを回避することができる。したがって、利便性の高い表示装置の制御方法を実現できる。
【0109】
(付記6)
第1の表示装置への、第1の画像信号の入力を検知することと、
第2の表示装置への、第2の画像信号の入力を検知することと、
前記第1の画像信号の入力が検知された場合は、前記第1の表示装置が、前記第1の画像信号に基づく第1の画像を表示することと、
前記第2の画像信号の入力が検知された場合は、前記第2の表示装置が、前記第2の画像信号に基づく第2の画像を表示することと、
前記第1の画像信号の入力と前記第2の画像信号の入力とが検知されない場合は、前記第1の表示装置のキャリブレーションを実行すること、および、前記第2の表示装置のキャリブレーションを実行することと、を含む、
表示システムの制御方法。
これによって、第1の表示装置および第2の表示装置への画像信号の入力が検知されない場合は、自動調整が実行され、第1の表示装置および第2の表示装置への画像信号の入力が検知された場合は、入力される画像信号に基づく画像表示が実行されるように制御される。したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高い表示システムの制御方法を実現できる。
【0110】
(付記7)
画像信号の入力を検知する第1の回路と、
前記画像信号の入力が検知された場合は、前記画像信号に基づく画像を表示する表示パネルと、
前記画像信号の入力が検知されない場合は、キャリブレーションを実行する第2の回路と、を含む、
表示装置。
これによって、表示装置への画像信号の入力が検知されない場合は、自動調整が実行され、表示装置への画像信号の入力が検知された場合は、入力される画像信号に基づく画像表示が実行される。したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高い表示装置を実現できる。
【0111】
(付記8)
表示装置への画像信号の入力が検知されない場合は、前記表示装置のキャリブレーションを実行させることと、を含む、
プログラム。
これによって、表示装置への画像信号の入力が検知されない場合は、プログラムは、表示装置に、表示映像の調整を実行させる。したがって、ユーザーの利便性が損なわれることを回避でき、利便性の高いプログラムを実現できる。
【符号の説明】
【0112】
1…マルチプロジェクションシステム、2…画像信号出力装置、3…スクリーン、4…伝送ケーブル、5…プロジェクター,第1プロジェクター、5A…分割画像、6…第2プロジェクター、6A…分割画像、7…通信部、7a…アンテナ、8…ネットワーク、8a…アクセスポイント、10…制御部、11…全体画像、12…画像信号入力部、13…無信号検知部、14…画像信号処理部、15…自動調整部、16…カメラ、17…記憶部、18…操作信号受信部、19…リモコン、20…投写部、21…光源、22…光学エンジン、23…投写光学系、31…調整部、33…カメラ、50…第1プロジェクター、50A…分割画像、60…第2プロジェクター、60A…分割画像、70…コンピューター、71…制御部、72…画像処理部、73…表示部、74…無信号検知部、75…自動調整部、76…記憶部、77…通信部、78…入力部。
図1
図2
図3
図4
図5