(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156217
(43)【公開日】2024-11-01
(54)【発明の名称】ウェアラブルオブジェクトのためのトランスデューサ装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20241025BHJP
H04B 11/00 20060101ALI20241025BHJP
G10K 15/00 20060101ALI20241025BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
G10K15/04 302Z
G10K15/04 303D
H04B11/00 D
G10K15/00 N
H04R3/00 330
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024004958
(22)【出願日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】23164969.0
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】カサグランデ、 アルノー
(72)【発明者】
【氏名】ミニョト、 ジャン-ピエール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウェアラブルオブジェクトに配置されるように意図された、又はそれ自体ウェアラブルオブジェクトであるトランスデューサ装置及び該装置を動作させる方法を提供する。
【解決手段】デュアルモードトランスデューサ装置を備えるウェアラブルオブジェクト1であって、DC電圧源によって電力供給される電子回路のプロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットの制御下で、特定の機能に関連する第1の動作モードで第1の動作を生成するランスデューサ装置10は、第1の動作モードとは異なる第2の動作モードで第2の通信動作を生成する。第2の動作モードは、情報又はデータ通信信号を、監視システムの監視ユニットによって検出されて通信を確立できるように、かつ、別のトランスデューサ装置からデータ又はパラメータ信号を受信できるように、主にトランスデューサ装置の外部に伝達する。これらの通信信号は、水域中に送信される超音波信号である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルオブジェクト(1)のトランスデューサ装置(10)又はウェアラブルオブジェクト(1)としてのトランスデューサ装置(10)であって、DC電圧源によって電力供給される電子回路(7)のプロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットの制御下で、前記ウェアラブルオブジェクトの特定の機能に関連する第1の動作モードで第1の動作を生成するための手段を備え、前記同じ手段が、デュアルモードのトランスデューサ装置を得るために、前記第1の動作モードとは異なる第2の動作モードで第2の通信動作を生成するように配置され、前記第2の動作モードが、情報又はデータ通信信号が、監視システムの監視ユニット(21)によって検出され、及び別のトランスデューサ装置からデータ又はパラメータ信号を受信することができるように、前記ウェアラブルオブジェクトの前記トランスデューサ装置の外部に主に伝達されることを可能にすることを特徴とする、トランスデューサ装置(10)。
【請求項2】
第1の動作又は第2の動作を生成するための前記手段が、所定の時間遅延内に警報をプログラムするための第1の動作モードで使用される警報信号発生器又は可聴信号伝達装置であり、前記プロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットによって制御されることを特徴とする、請求項1に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項3】
前記警報信号発生器が、前記第1の動作モードでは前記所定の時間遅延内に音響信号を発生させるように構成され、前記第2の動作モードでは前記発生器が超音波信号を発生させるように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項4】
前記警報信号発生器が、前記電子回路(7)に接続された電極(12)の電気的接続によって接続及び制御される圧電素子(11)を備えることを特徴とする、請求項2に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項5】
前記警報信号発生器が、前記第1の動作モードでは前記所定の時間遅延内に振動信号を発生させるように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項6】
前記トランスデューサ装置が、電子式又は電気機械式の腕時計(1)又は懐中時計であるウェアラブルオブジェクトの一部であり、前記時計(1)が、時間軸を規定するための水晶発振器と、前記プロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットを有する電子回路(7)とを備え、前記警報信号発生器が、前記第1の動作モードにおいて前記所定の時間遅延内に音響信号を発生させるように構成され、前記第1の動作モードとは異なる前記第2の動作モードにおいて、前記発生器が、監視システムの水域(30)中の監視ユニット(21)によって検出され、超音波信号によるデータ通信を確立するように水中で超音波情報又はデータ信号を送信するための超音波信号を生成するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項7】
前記第1の動作モードでは、前記発生器が、0kHz~20kHzの第1の周波数帯域の音響信号を発生させるように構成され、前記第2の動作モードでは、前記発生器が、前記第1の周波数帯域とは異なり、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の超音波信号を発生させるように構成されることを特徴とする、請求項6に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項8】
前記時計が水中にあるときに前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに自動的に切り替わるように構成されることを特徴とする、請求項6に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項9】
請求項1に記載のウェアラブルオブジェクト(1)の前記トランスデューサ装置(10)を動作させるための方法であって、DC電圧源によって電力供給される電子回路(7)のプロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットの制御下で、前記ウェアラブルオブジェクトの特定の機能に関連する第1の動作モードで第1の動作を生成する手段が提供され、前記同じ手段が、デュアルモードのトランスデューサ装置を得るために、前記第1の動作モードとは異なる第2の動作モードで第2の通信動作を生成し、前記第2の動作モードが起動されると、監視システムの監視ユニット(21)によって検出される前記ウェアラブルオブジェクトの前記トランスデューサ装置の外部に情報又はデータ信号の通信が行われることを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記トランスデューサ装置(10)が、電子式又は電気機械式の腕時計(1)又は懐中時計であるウェアラブルオブジェクトの一部を形成し、前記時計(1)が、時間軸を規定するための水晶発振器と、前記プロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットを有する電子回路(7)とを備え、第1の動作又は第2の動作を生成するための前記手段が、前記電子回路(7)に接続された電極(12)の電気的接続によって接続及び制御される圧電素子(11)を備える警報信号発生器であり、前記警報信号発生器が、前記第1の動作モードで所定の時間遅延内に音響信号を発生させ、前記第1の動作モードとは異なる前記第2の動作モードで、前記発生器が、監視システムの水域(30)中の監視ユニット(21)によって検出される水中の超音波情報又はデータ信号を送信するため超音波信号を発生させ、超音波信号によるデータ通信を確立することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の動作モードでは、前記発生器が、0kHz~20kHzの第1の周波数帯域の音響信号を発生させ、前記第2の動作モードでは、前記発生器が、前記第1の周波数帯域とは異なり、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の超音波信号を発生させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の動作モードから前記第2の動作モードへの自動的な切り替えが、前記トランスデューサ装置(10)を有する前記時計(1)が水域(30)の水に入るときに行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項3に記載のトランスデューサ装置(10)を有するウェアラブルオブジェクト(1)を備える、生物(40)を監視するためのシステムであって、前記トランスデューサ装置(10)の警報信号発生器が、前記第1の動作モードにおいて所定の時間遅延内に音響信号を発生させるように構成され、前記第2の動作モードにおいて、前記発生器が、水域(30)の水中の少なくとも1つの監視ユニットによって検出されることが可能な超音波信号を発生させるように構成されることを特徴とする、システム。
【請求項14】
水域(30)の水中に配置され、前記水域(30)上のボート(20)上のベースユニット(22)に有線で接続される少なくとも1つの監視ユニット(21)を備えることを特徴とする、請求項13に記載の監視システム。
【請求項15】
少なくとも1つの監視ユニット(21)を介して前記水域(30)中の超音波信号によって、検出されたウェアラブルオブジェクト(1)の任意のトランスデューサ装置(10)と通信するように配置されることを特徴とする、請求項13に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアルモード動作が可能な時計などのウェアラブルオブジェクト用のトランスデューサ装置に関する。
【0002】
本発明はまた、トランスデューサ装置を動作させるための方法に関する。
【0003】
本発明はまた、監視対象の各生物によって着用される時計などのウェアラブルオブジェクトにそれぞれ配置されたデュアルモードトランスデューサ装置によって、主に屋外又は屋内プール内の規定の場所で、人又は動物などの生物を監視するためのシステムに関する。
【0004】
生物は、主に、スイミングプール、湖、海岸、川又は海洋の水中にいるときに監視を受ける必要があるスイマ又はダイバーであり得る。
【背景技術】
【0005】
少なくとも1つの音によって選択された時間を合図するために、警報などの可聴信号伝達装置を装備した電気機械式又は電子式時計を装着することが知られている。警報は、例えば圧電型のブザーを使用して作成することができる。しかしながら、このような可聴信号伝達装置は、この場合は時計警報である特定の動作モードに対してのみ提供される。
【0006】
特許文献1は、流体媒体内で音波を伝播するための管状超音波トランスデューサを記載している。それは、振動を流体媒体に伝達するための少なくとも1つの金属管に関連付けられた能動素子を有する電気機械変換デバイスと、本変換デバイスと管との間で振動を伝達するためのシステムと、本変換デバイスの能動素子にプレストレスをかけるためのデバイスとを備える。そのようなトランスデューサは、半径方向の振動を生成し、流体媒体内に波を伝播することができる。トランスデューサは、例えば、洗浄用途に使用することができる。
【0007】
特許文献2は、プールへの侵入を検出し、第1の警報を発生させるための機構を備えるスイミングプール用の警報システムを記載している。タイマ回路は、所定の経過タイムアウト出力信号を発生させるために第1の警報によってトリガされる。タイムアウト出力信号は、第2の警報をトリガすることを可能にする。システムは、第1の警報及び第2の警報を消音するためのシャットダウン機構をさらに備える。第1の警報は、プールの近くの人々に聞こえることを意図した局所警報であり、第2の警報は、外部の人々に聞こえることを意図した一般的な警報である。システムは、2つの異なるモードで動作することができる警報発生器を有する時計の一部を形成する装置を含まない。
特許文献3には、水中で警報を発生させることができるリストバンド装置が記載されている。装置は、ハウジングを有するリストバンドと、ハウジングに一体化された警報モジュールと、バルーンとを備える。2つの空洞が警報モジュール内に配置され、そのうちの1つの空洞はガス生成用であり、ガス生成空洞内にガス出口孔が形成され、ゴム栓の一部及びバルーンの一部がガス出口に配置され、ゴム栓がリストバンド上に配置される。通信信号の発生又は受信のための警報の発生以外の機能に使用され得るアラーム発生要素における可能な使用に関しては何も提供されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3029816号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0222782号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第105901845号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、第1の動作モードで第1の動作を生成し、第2の動作モードで第2の通信動作を生成するための手段を備える、ウェアラブルオブジェクトのトランスデューサ装置に関する。生成される第1の動作は、主にウェアラブルオブジェクト自体の機能に関連するが、第2の通信動作は、主に監視システムの監視ユニットと通信するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、独立請求項1の特徴を含む、ウェアラブルオブジェクトに配置されるように意図された、又はそれ自体ウェアラブルオブジェクトであるトランスデューサ装置が提供される。
【0011】
トランスデューサ装置の特定の形態は、従属請求項2~8にも定義されている。
【0012】
2つの異なるモードで第1の動作又は第2の動作を生成する手段は、好ましくは、第1の動作モードで規定の時間に警報を信号伝達するための発生器であり、第2の動作モードでデータ信号を送信又は受信することができる。また、例えば圧電型のブザーなど、時計の音を信号伝達するための装置であってもよい。好ましくは、第1の動作モードは0から20kHzの第1の周波数帯域にあり、第2の動作モードは第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域にある。第2の周波数帯域は20kHzを超えてもよい。これらの条件下では、トランスデューサ装置はデュアルモードであり、異なる機能を実行するために必要な構成要素の数を減らす。
【0013】
上述したように、トランスデューサ装置は、例えば、時計などのウェアラブルオブジェクトの一部である場合、警報信号発生器として、又は可聴信号伝達装置として機能することができ、加えて、スイミングプール、川、湖、海岸、又は海洋などの水域上又は水域中のウェアラブルオブジェクト内にある場合、短距離又は長距離での信号の送受信に使用することができるようにデュアルモードである。これらの条件下では、この第2の動作モードでは、トランスデューサ装置は、ウェアラブルオブジェクトの一部を形成するか、又はウェアラブルオブジェクト自体でなければならず、監視システムの少なくとも1つの監視ユニットと通信するデータ信号の送信又は受信のために手動又は自動で選択されるか、又は第2の動作モードに切り替えられることが可能でなければならない。
【0014】
監視システムの各監視ユニットは、ウェアラブルオブジェクトとしてトランスデューサ装置が設けられた、又はウェアラブルオブジェクト内に配置された、特に近くの人々のあらゆる活動を監視するためのビーコン又はビーコンブイ又は水域上のボートであってもよい。各監視ユニットは、時計などのウェアラブルオブジェクトに一般的に取り付けられたトランスデューサ装置から情報信号又はデータ信号を受信することができる。第2の動作モードに切り替えられたウェアラブルオブジェクトのトランスデューサ装置から情報信号又はデータ信号を受信すると、監視システムは、第1のメッセージを発信するトランスデューサ装置に個人向け情報信号を介して返信としてさらなる情報を提供することができる。これらのデータ信号は超音波信号であり、監視システムのビーコンによって検出できるように、水中でのそのような信号の送信に好ましい。これにより、このデュアルモードトランスデューサ装置を備えた時計を着用している人などの生物を検出できる必要がある場合、監視システムビーコンの近傍で動作するトランスデューサ装置を検出することができる。
【0015】
第1のモードで第1の機能を果たすことができ、時計から離れた通信装置とデータ信号によって通信を行うために第2のモードで使用されることができる、時計における信号を生成するための他の手段を使用することが考えられる。この場合、第1のモードで決められた周波数で振動を行うため時計に振動発生器を有して、時計から離れた通信装置とデータ信号によって通信を行うためにこの振動発生器を第2のモードで使用することが考えられる。
【0016】
本発明の目的は、実際に、監視システムの監視ユニットから情報を送信又は受信するため第2のモードで配置されたトランスデューサ装置によって情報送信又は情報受信を実行することができることである。一般に、情報信号は、まず、水域中で動作する人、水域中に潜っている人、又は水域外にいる人が装着したトランスデューサ装置から送信される。これらの情報信号は、緊急の場合の情報伝達又は位置決め又は通信データあるいは緊急データに関するものであり得る。
【0017】
時計などのウェアラブルオブジェクトの一部を形成するトランスデューサ装置が水の外にある場合、時計のトランスデューサ装置が第2の選択された動作モードにあるときに、監視ユニットとの空中での近距離通信も可能である。
【0018】
この目的のために、独立請求項9の特徴に従ってトランスデューサ装置を動作させるための方法も提供される。
【0019】
トランスデューサ装置を動作させるための方法の具体的なステップは、従属請求項10~12にも定義されている。
【0020】
この目的のために、独立請求項13の特徴に従って、水域中に存在する生物によって着用されるデュアルモードのウェアラブルオブジェクトの少なくとも1つのトランスデューサ装置を監視するためのシステムも提供される。
【0021】
監視システムの特定の形態は、従属請求項14及び15に定義されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ウェアラブルオブジェクトのトランスデューサ装置、トランスデューサ装置を動作させるための方法、及び少なくとも1つのトランスデューサ装置を備える監視システムの目的、利点、及び特徴は、図面を参照して、非限定的な方法で以下の説明においてより明確になるであろう。
【
図1】本発明によるデュアルモードトランスデューサ装置を備えるウェアラブルオブジェクトの概略図を示す。
【
図2】一般に時計などのウェアラブルオブジェクト内に配置され、監視システムの少なくとも1つの監視ユニットによって、及び通信を確立することによって検出されることができるように、水との接触時にデータ信号の通信のため手動又は自動で第2の動作モードに切り替えられることができるトランスデューサ装置を各々が着用している1人又は複数の人がいる湖又はスイミングプールなどの水域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ウェアラブルオブジェクトの一部であるトランスデューサ装置、好ましくは腕時計又は懐中時計について以下の説明で説明する。しかしながら、トランスデューサ装置は、全ての電子機器が第1の動作モードでの動作及び第2の動作モードでの動作に適しているため、それ自体もウェアラブルオブジェクトであると考えることもできる。
【0024】
時計又は時計の場合、例えば圧電型のブザーなどの時計に警報又は可聴信号伝達装置を使用することが求められている。トランスデューサであるこの音信号伝達装置を用いて、本発明では、例えば時計が水に浸された場合にシステムの伝達機能を最適化できるように、特に異なる周波数帯域での使用を提供することにより、時計の警報以外の機能にこのトランスデューサを再利用することが意図されている。
【0025】
一般的に言えば、デュアルモードで動作することができる手段を有する可能性が高い、ウェアラブルオブジェクトの任意のトランスデューサ装置又はそれ自体ウェアラブルオブジェクトとしての任意のトランスデューサ装置を保護することが可能である。ウェアラブルオブジェクトは、プロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットの制御下でウェアラブルオブジェクトの特定の機能に関連する第1の動作モードで第1の動作を生成し、DC電圧源によって電力供給される少なくとも1つの手段を備える。同じ手段は、デュアルモードトランスデューサ装置を得るために、第1の動作モードとは異なる第2の動作モードで第2の通信動作を生成するように配置される。第2の動作モードは、情報又はデータ通信信号が、監視システムの監視ユニットによって検出され、監視システムとの通信を確立することができるように、主にウェアラブルオブジェクトのトランスデューサ装置の外部に伝達されることを可能にする。
【0026】
ウェアラブルオブジェクトは主に時計であり得るため、この時計は電子式時計又は電気機械式時計であり、一般に水晶発振器によって規定される時間軸を有する少なくとも1つの電子回路を備える。時計はまた、少なくとも1つのプロセッサもしくはマイクロコントローラ処理ユニットを有する電子回路、及び/又は時計の針を前進させるため、又は時計の第1の機能としてデジタル文字盤に1時間を表示するために、時間軸で計測されるモータによって駆動されるギアホイールのセットを備える。
【0027】
前述の時計はまた、第1の動作モードで定義された時間に音又は振動を発生させるようにプログラムされるように設計された可聴信号伝達装置又は可聴もしくは振動警報信号発生器であってもよい手段を備えてもよい。
【0028】
以下に説明するように、警報信号発生器は、プログラムされた時間に警報、主に可聴警報を発生させるために第1の動作モードで、及び情報信号を送信又は受信することができるために第2の動作モードであり得るようにトランスデューサ装置として定義される。一般に、第1の動作モードでは、トランスデューサ装置によって可聴警報を発生させることができる。この可聴警報は、人間の耳によって知覚され得るように、概して20kHz未満の周波数帯域である。一方、第2の動作モードでは、20kHzを超える、好ましくは100kHzを超える周波数で超音波信号を送信することが可能である。もちろん、第2の動作モードでは、音響又は振動情報信号を空気を介して短距離を送信することができる。しかし、超音波信号は、無線周波数信号などの他の情報信号よりも水中でより容易に検出されるため、トランスデューサ装置は、水中に浸漬した際に超音波情報信号を送信するのにより適している。加えて、比較的低い周波数での超音波情報信号の伝播は減衰が低いことが分かっているが、水中時計などのウェアラブルオブジェクトの向きに関係なく水中転送を保証するために、送信される情報を広範囲の周波数スペクトルにわたって拡散することが推奨される。
【0029】
信号は、監視システムの少なくとも1つの監視ユニットによって補足されるように、データ送信のために第2の動作モードで変調されてもよい。信号は、周波数変調又は位相変調によっても変調され得る。
【0030】
水中での監視システムのそのような使用が試験されている。標準的な圧電音響トランスデューサは、一般に、時計の下部を振動放射体として使用することによって機能する。圧電トランスデューサは、一般に、時計のケースの背面の内面に接着され、時計のケースの背面に直交する2つの電極が処理ユニット又はマイクロコントローラユニットに接続された状態で動作する。それらは、好ましくは、それらの圧電トランスデューサ(典型的には幅100μm)が薄い金属シート上に直接堆積されるように取り付けられる。
【0031】
図1は、この場合には音波時計であるウェアラブルオブジェクト1の標準構造を示す。圧電材料の体積が一定に保たれると、厚さ軸に沿った膨張は、平面のサイズに対応する変化を強いるので、時計1の背面5の下面6を曲げる。非常に単純な形状(圧電デバイス)を使用するか、又は単に時計のケースの背面に接着するか、又は、空気圧での伝達関数を増加させるか、又は対応する帯域幅を広げる傾向がある、ヘルムホルツ空洞に基づくより洗練された手法を使用する、様々なタイプの機械的構造がある。
【0032】
いずれの場合も、水中スマートウォッチ間の通信を確立しようとするとき、又はそれらを検出又は位置特定しようとするときなど、特定の場合に可能な限り低く維持されるべきシステムの向きが主な懸念事項である。
【0033】
図1は、本発明によるデュアルモードで動作することができるトランスデューサ装置10が配置されたウェアラブルオブジェクト1の簡略図である。好ましくは、ウェアラブルオブジェクト1は、電子式又は電気機械式腕時計型の時計である。
図1を簡単にするために、時計1のケースのみが示されており、以下に述べる様々な要素が配置されているが、ベルトは示されておらず、これにより、時計を生物の手首又は脚に配置することができる。もちろん、腕時計は好ましくは監視可能な人の手首に取り付けられることが意図されているので、生物として人のみを参照する。
【0034】
時計1のケースでは、時刻表示針によって時計文字盤4に表示された、又はデジタル時刻表示パネル上に表示された時刻を見ることができるように、一般に透明である時計ガラス3を上部に見ることができる。第1の動作モードにおける制御及び動作は、一般に時計の時間軸を規定する水晶発振器によって計測されるマイクロコントローラユニットなどの処理ユニットによって制御される。前述の時計の電子又は電気機械部品7全体は、一般に、該時計の略円筒形の中間部2の時計の文字盤の下で、かつ時計ケースの中間部2に水密に固定された時計ケースの背面5の上に封入されている。
【0035】
時計ケースには、時計ケースの背面5の内面6に取り付けられたトランスデューサ装置10も示されている。このトランスデューサ装置10は、第1の動作モードの警報信号発生器の場合、トランスデューサ装置10の上部の電極12と電子回路内のマイクロコントローラユニットとの電気的接続によって接続及び制御され得る圧電素子11を備える警報を備えてもよい。
【0036】
もちろん、ウェアラブルオブジェクトの一部を形成する任意の他の手段が使用されてもよい。一例は振動発生器であり、これは電動バイブレータによって得られる振動を発生させることによって警報信号発生器としても機能することができる。この場合、第2の動作モードを選択する制御時に、トランスデューサ装置又はトランスデューサ装置を備える物体は、第2の動作モードで、第2の動作モードに従って決定された周波数帯域の振動を伝達することができる。振動発生手段を使用できるようにするために、時計ケース内に配置され、時計ケースの外側から操作可能な従来のスイッチの作用によって、第1の動作モードから第2の動作モードに自動的に又は手動で切り替えることが可能であり得る。動作モードが第1の動作モードから第2の動作モードに、又はその逆に選択されると、ウェアラブルオブジェクト、好ましくはデュアルモードトランスデューサ装置を備えた時計は、第2の選択された動作モードからトランスデューサ装置を備えるウェアラブルオブジェクトに固有の第1の動作モードに切り替えるようにプログラムすることもできる。
【0037】
好ましくは、音響信号発生器がトランスデューサ装置10として使用され、第1の動作モードで従来の時計1において警報信号を発生させる。トランスデューサ装置10は、トランスデューサ装置を装備した時計1が水を検出したとき、特に時計を着用している人が潜水しているときに、第2の動作モードに自動的に切り替えることができる。第2の動作モードでは、トランスデューサ装置10は、時計1のマイクロコントローラユニットと連携して、一定の間隔で超音波データ信号を送信することができ、又は第2の周波数帯域で及び着用中の時計などのウェアラブルオブジェクトに組み込まれた、前述のトランスデューサ装置を着用している人の個人データをこれらの超音波信号で送信するように、これらの一定の間隔の超音波信号を変更することができる。
【0038】
この場合、時計ケースなどのウェアラブルオブジェクト1内に一体化されたトランスデューサ装置10の可能な限り最良の向きを、監視システム内のビーコンによって補足される可能性のある任意の超音波データ信号を検出する監視システム内のこうしたビーコンによって補足される可能性のある超音波信号の送信を実行するために決定することができる。トランスデューサ装置10はまた、文字盤4に、例えば文字盤4の真下に配置されてもよく、又は文字盤4に部分的に一体化されてもよい。
【0039】
監視システムを
図2に概略的に示す。監視システムは、一般に、例えば、水域30中にいる、トランスデューサ装置を有するウェアラブルオブジェクト1を着用している任意の人40を検出するように設計される。この目的のために、監視システムは、水中に配置されたビーコン又はビーコンブイの形態の少なくとも1つの監視ユニット21を備える。監視ユニット21は、監視システムのベースユニット22に接続することができ、この場合、ベースユニットは、水域30上のボート20内に配置される。監視ユニット21は、例えば有線接続によってベースユニット22に接続することができる。もちろん、水域30中の、時計などのウェアラブルオブジェクト1内のトランスデューサ装置を着用している人40を検出するための、及び好ましくは、時計であることが有利なウェアラブルオブジェクト1内の個人向けトランスデューサ装置をそれぞれ着用している1人又は複数のダイバー40をより長い距離で検出するためのビーコンブイの形態のいくつかの監視ユニット21を有することが可能である。
【0040】
上述したように、トランスデューサ装置は、ウェアラブルオブジェクトのトランスデューサ装置が装備されたウェアラブルオブジェクト1内の水を検出することによって自動的に、又はウェアラブルオブジェクト1上のスイッチを押すことによって手動で第1の動作モードから第2の動作モードに切り替わることができる。第2の動作モードへの切り替えが行われると、好ましくは時計であるウェアラブルオブジェクト1は、第2の周波数帯域、例えば150kHz~250kHzの周波数帯域で超音波データ情報信号Stを送信することができる。送信されるデータ又は情報は、±50kHzの周波数変調又は位相変調によって変調される。監視ユニット21であるビーコンブイは、ウェアラブルオブジェクト1の少なくとも1つのトランスデューサ装置が送信した超音波情報信号Stを捕捉することができる。超音波信号Stが検出されるとすぐに、監視システムは、第1の超音波信号Stを送信するウェアラブルオブジェクトのトランスデューサ装置へ応答超音波信号Srで応答を発生させ、個人向けに調整されたウェアラブルオブジェクト1との通信を確立することができる。しかしながら、応答超音波信号Srは、監視システムによって、水域30中で第2の動作モードの個人向けに調整されたウェアラブルオブジェクト1の任意のトランスデューサ装置に送信することができる。
【0041】
特にトランスデューサ装置の第2の動作モードでは、監視対象の水域30中でダイバー又はスイマによって着用された任意のウェアラブルオブジェクト1の多数のトランスデューサ装置を監視又は検出することが可能であることに留意されたい。
【0042】
監視システムは、水域30上に浮遊するボート20上に配置されたベースユニット22に接続されたいくつかの監視ユニット21を備えることができる。各々が少なくとも1つの監視ユニット21を有する、互いに距離を置いたいくつかのボート20を有することも可能であり得る。一般に、各監視ユニットは、ベースユニットとは独立して、超音波信号の受信及びウェアラブルオブジェクト1の少なくとも1つのトランスデューサ装置への超音波信号の送信を制御することができる。
【0043】
監視システムはまた、検出されるトランスデューサ装置を有するウェアラブルオブジェクト1を備えることができる。
【0044】
プール内の全てのスイマを主に監視するために、スイミングプール内の監視システムを使用することも考えられ得る。この場合、監視ユニットからの全ての信号を管理するベースユニットに接続されるようにする4つの監視ユニットをプールの四隅に配置することが考えられる。
【0045】
もちろん、監視システムでは、第2のモードを使用して、水域中に沈められた他の時計又は装置からデータを受信することが可能であることも理解されたい。この場合、これは、スイマへの警報、異なる水中の時計間又は水中の装置間の通信を含み得る。様々なパラメータの通信を提供することもできる。
【0046】
時計などのウェアラブルオブジェクトのトランスデューサ装置のいくつかの実施形態は、特許請求の範囲によって与えられる保護の範囲内で設計することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルオブジェクト(1)のトランスデューサ装置(10)又はウェアラブルオブジェクト(1)としてのトランスデューサ装置(10)であって、DC電圧源によって電力供給される電子回路(7)のプロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットの制御下で、前記ウェアラブルオブジェクトの特定の機能に関連する第1の動作モードで第1の動作を生成するための手段を備え、前記手段が、デュアルモードのトランスデューサ装置を得るために、前記第1の動作モードとは異なる第2の動作モードで第2の通信動作を生成するように配置され、前記第2の動作モードが、情報又はデータ通信信号が、監視システムの監視ユニット(21)によって検出され、及び別のトランスデューサ装置からデータ又はパラメータ信号を受信することができるように、前記ウェアラブルオブジェクトの前記トランスデューサ装置の外部に主に伝達されることを可能にすることを特徴とする、トランスデューサ装置(10)。
【請求項2】
第1の動作又は第2の動作を生成するための前記手段が、所定の時間遅延内に警報をプログラムするための第1の動作モードで使用される警報信号発生器又は可聴信号伝達装置であり、前記プロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットによって制御されることを特徴とする、請求項1に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項3】
前記警報信号発生器が、前記第1の動作モードでは前記所定の時間遅延内に音響信号を発生させるように構成され、前記第2の動作モードでは前記警報信号発生器が超音波信号を発生させるように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項4】
前記警報信号発生器が、前記電子回路(7)に接続された電極(12)の電気的接続によって接続及び制御される圧電素子(11)を備えることを特徴とする、請求項2に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項5】
前記警報信号発生器が、前記第1の動作モードでは前記所定の時間遅延内に振動信号を発生させるように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項6】
前記トランスデューサ装置が、電子式又は電気機械式の腕時計又は懐中時計である時計(1)としてのウェアラブルオブジェクトの一部であり、前記時計(1)が、時間軸を規定するための水晶発振器と、前記プロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットを有する電子回路(7)とを備え、前記警報信号発生器が、前記第1の動作モードにおいて前記所定の時間遅延内に音響信号を発生させるように構成され、前記第1の動作モードとは異なる前記第2の動作モードにおいて、前記警報信号発生器が、監視システムの水域(30)中の監視ユニット(21)によって検出され、超音波信号によるデータ通信を確立するように水中で超音波情報又はデータ信号を送信するための超音波信号を生成するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項7】
前記第1の動作モードでは、前記警報信号発生器が、0kHz~20kHzの第1の周波数帯域の音響信号を発生させるように構成され、前記第2の動作モードでは、前記警報信号発生器が、前記第1の周波数帯域とは異なり、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の超音波信号を発生させるように構成されることを特徴とする、請求項6に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項8】
前記時計が水中にあるときに前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに自動的に切り替わるように構成されることを特徴とする、請求項6に記載のトランスデューサ装置(10)。
【請求項9】
請求項1に記載のトランスデューサ装置(10)を動作させるための方法であって、DC電圧源によって電力供給される電子回路(7)のプロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットの制御下で、前記ウェアラブルオブジェクトの特定の機能に関連する第1の動作モードで第1の動作を生成する手段が提供され、前記手段が、デュアルモードのトランスデューサ装置を得るために、前記第1の動作モードとは異なる第2の動作モードで第2の通信動作を生成し、前記第2の動作モードが起動されると、監視システムの監視ユニット(21)によって検出される前記ウェアラブルオブジェクトの前記トランスデューサ装置の外部に情報又はデータ信号の通信が行われることを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記トランスデューサ装置(10)が、電子式又は電気機械式の腕時計又は懐中時計である時計(1)としてのウェアラブルオブジェクトの一部を形成し、前記時計(1)が、時間軸を規定するための水晶発振器と、前記プロセッサ又はマイクロコントローラ処理ユニットを有する電子回路(7)とを備え、第1の動作又は第2の動作を生成するための前記手段が、前記電子回路(7)に接続された電極(12)の電気的接続によって接続及び制御される圧電素子(11)を備える警報信号発生器であり、前記警報信号発生器が、前記第1の動作モードで所定の時間遅延内に音響信号を発生させ、前記第1の動作モードとは異なる前記第2の動作モードで、前記警報信号発生器が、監視システムの水域(30)中の監視ユニット(21)によって検出される水中の超音波情報又はデータ信号を送信するため超音波信号を発生させ、超音波信号によるデータ通信を確立することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の動作モードでは、前記警報信号発生器が、0kHz~20kHzの第1の周波数帯域の音響信号を発生させ、前記第2の動作モードでは、前記警報信号発生器が、前記第1の周波数帯域とは異なり、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の超音波信号を発生させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の動作モードから前記第2の動作モードへの自動的な切り替えが、前記トランスデューサ装置(10)を有する前記時計(1)が水域(30)の水に入るときに行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項3に記載のトランスデューサ装置(10)を有するウェアラブルオブジェクト(1)を備える、生物(40)を監視するための監視システムであって、前記トランスデューサ装置(10)の警報信号発生器が、前記第1の動作モードにおいて所定の時間遅延内に音響信号を発生させるように構成され、前記第2の動作モードにおいて、前記警報信号発生器が、水域(30)の水中の少なくとも1つの監視ユニットによって検出されることが可能な超音波信号を発生させるように構成されることを特徴とする、監視システム。
【請求項14】
水域(30)の水中に配置され、前記水域(30)上のボート(20)上のベースユニット(22)に有線で接続される少なくとも1つの監視ユニット(21)を備えることを特徴とする、請求項13に記載の監視システム。
【請求項15】
少なくとも1つの監視ユニット(21)を介して前記水域(30)中の超音波信号によって、検出されたウェアラブルオブジェクト(1)の任意のトランスデューサ装置(10)と通信するように配置されることを特徴とする、請求項13に記載の監視システム。
【外国語明細書】