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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156224
(43)【公開日】2024-11-05
(54)【発明の名称】果肉除去装置
(51)【国際特許分類】
   D06B 1/02 20060101AFI20241028BHJP
【FI】
D06B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070520
(22)【出願日】2023-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】517335318
【氏名又は名称】株式会社フードリボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】坂元 直孝
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】平林 充
(72)【発明者】
【氏名】浅野 薫
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AA01
3B154AB40
3B154BB02
3B154BB33
3B154BB47
3B154BC08
3B154BE04
3B154DA30
(57)【要約】
【課題】高圧ジェット水を用いて果肉を除去する場合において、果肉の除去された後の繊維の回収を容易に行えるようにした果肉除去装置を提供する。
【解決手段】パイナップルの葉8を載置しながら搬送させる円筒状の載置搬送手段3と、当該載置搬送手段3に載置されたパイナップルの葉8を上から押圧しながら、前記載置搬送手段3とともに搬送させるシリコンゴム51と、シリコンゴム51で押圧されたパイナップルの葉8に高圧ジェット水を噴射させて、果肉を除去する高圧ジェット器6a、6bと、を備えてなる果肉除去装置1において、シリコンゴム51で押圧されたパイナップルの葉8を円筒状の載置搬送手段3の下方側まで周回させ、当該周回させた最下端位置で、シリコンゴム51を離間させ、当該シリコンゴム51上に、前記果肉の除去された繊維を載置させて搬送させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果肉を有する植物の葉を載置しながら搬送させる載置搬送手段と、
当該載置搬送手段に載置された植物の葉を上から押圧しながら、前記載置搬送手段とともに搬送させる押圧搬送手段と、
前記載置搬送手段および押圧搬送手段に挟まれた植物の葉に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器と、
を備えてなる果肉除去装置において、
前記載置搬送手段と前記押圧搬送手段との間に前記植物の葉を挟み込んだ状態で前記載置搬送手段の下方側まで周回させ、当該周回させた下方側で、前記押圧搬送手段を前記載置搬送手段と離間させて、当該押圧搬送手段の上に、前記果肉の除去された繊維を載置させて搬送させるようにしたことを特徴とする果肉除去装置。
【請求項2】
前記載置搬送手段が、寸切のリング部材を一定間隔毎に配置させて円筒状に構成されるものである請求項1に記載の果肉除去装置。
【請求項3】
前記載置搬送手段が、寸切のリング部材を一定間隔毎に配置させて円筒状に構成されるものであり、
前記押圧搬送手段が、前記寸切のリング部材の両側を挟み込むように複数本のゴムベルトを設けて周回させてなるものである請求項1に記載の果肉除去装置。
【請求項4】
前記載置搬送手段が、寸切のリング部材を一定間隔毎に配置させて円筒状に構成されるものであり、
前記寸切のリング部材の内側に、当該リング部材よりも小径であってメッシュで構成された円筒状部材を設け、当該円筒状部材を、前記高圧ジェット水の当たる位置において、前記寸切のリング部材の内側に近づけるように設けた請求項1に記載の果肉除去装置。
【請求項5】
前記載置搬送手段が、寸切のリング部材を一定間隔毎に配置させて円筒状に構成されるものであり、
前記寸切のリング部材の内側に、当該リング部材よりも小径であってメッシュで構成された円筒状部材を設け、当該円筒状部材を、横方向から前記高圧ジェット水を当てる位置で、前記寸切のリング部材の内側に近づけるように設けるようにしておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パイナップルの葉、芭蕉、バナナの仮茎などから果肉を除去して、長繊維のみを抽出できるようにした果肉除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パイナップルの葉や、芭蕉、バナナの仮茎などから50cm以上の長い葉脈長繊維(以下「長繊維」と称する)を抽出する方法として、高圧ジェット水を当てて果肉を除去し、長繊維を抽出する方法が提案されている(非特許文献1)。この方法は、平板上に植物の葉を載置し、その上から高圧ジェット水を当てて果肉を除去して長繊維を抽出する方法であり、物理的にスクレイパーなどを用いて果肉を擦り取る従来の方法と比べて、効果的に果肉を除去することができるようになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】J. of Eng. Fibers and Fabrics, Vol.15, (2020) pp.1-7 (doi: 101177/1558925050940109)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この方法を用いて果肉を除去する場合、平板に載置された植物の葉に高圧ジェット水を当てるようにしているため、高圧ジェット水が平板で跳ね返り、効率よく果肉を除去することができない。また、大量の長繊維が必要な場合、都度、平板上に次の葉を載せて果肉を除去し、その果肉の除去された長繊維を平板から取り除く作業をしなければならず作業効率が悪くなる。
【0005】
一方、この平板に代えてメッシュ状の部材などの上に植物の葉を載置させながら搬送し、連続的に上から高圧ジェット水を当てるようにすることもできるが、このようにした場合、高圧ジェット水によって果肉の除去された繊維が暴れてしまい、効率よく果肉を除去することができないばかりでなく、果肉の除去された繊維同士が絡まってしまうといった問題を有する。
【0006】
これに対して、図6に示すように、メッシュ状の載置周回部材91の上から押圧ベルト92を用いて植物の葉を固定し、この状態で上から高圧ジェット水を当てるようにしてもよいが、このようにした場合、高圧ジェット水で果肉を除去した後、そこで抽出された繊維を載置周回部材91や押圧ベルト92から回収ベルト93に移し替える際に、水分を含む繊維が押圧ベルト92に付着して巻き上げられてしまい、うまく回収ベルト93に移し替えることができない場合があるといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、高圧ジェット水を用いて果肉を除去する場合において、果肉の除去された後の繊維の回収を容易に行えるようにした果肉除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の果肉除去装置は、上記課題を解決するために、果肉を有する植物の葉を載置しながら搬送させる載置搬送手段と、当該載置搬送手段に載置された植物の葉を上から押圧しながら、前記載置搬送手段とともに搬送させる押圧搬送手段と、前記載置搬送手段および押圧搬送手段に挟まれた植物の葉に対して高圧ジェット水を噴射させて、果肉を除去し、前記高圧ジェット水および果肉を、前記押圧搬送手段および載置搬送手段を貫通させる高圧ジェット器と、を備えてなる果肉除去装置において、前記載置搬送手段と前記押圧搬送手段との間に前記植物の葉を挟み込んだ状態で前記載置搬送手段の下方側まで周回させ、当該周回させた下方側で、前記押圧搬送手段を前記載置搬送手段と離間させて、当該押圧搬送手段の上に、前記果肉の除去された繊維を載置させて搬送させるようにしたものである。
【0009】
このように構成すれば、押圧搬送手段を、そのまま繊維を回収するための手段として利用することができるため、載置搬送手段や押圧搬送手段から繊維を分離して、別の回収ベルトなどに移し替える必要がなくなる。これにより、濡れた繊維が巻き上げられて回収できなくなるといった不具合を防止することができるようになる。
【0010】
また、このような発明において、前記載置搬送手段を設ける場合、寸切のリング部材を一定間隔毎に配置させて円筒状に構成しておく。
【0011】
このように構成すれば、果肉が除去されて繊維のみになった場合であっても、その繊維が寸切の溝に入り込むようになり、高圧ジェット水による繊維の暴れを防止することができるようになる。
【0012】
さらに、前記載置搬送手段を、寸切のリング部材を一定間隔毎に配置させて円筒状に構成し、また、前記押圧搬送手段として、前記寸切のリング部材の両側を挟み込ませるように複数本のゴムベルトを設けるようにする。
【0013】
このように構成した場合、寸切の溝に繊維を抑え込むことができるため、より高圧ジェット水による繊維の暴れを防止することができるようになる。
【0014】
また、前記載置搬送手段を、寸切のリング部材を一定間隔毎に配置させて円筒状に構成し、前記寸切のリング部材の内側に、当該リング部材よりも小径であってメッシュで構成された円筒状部材を設け、当該円筒状部材を、前記高圧ジェット水の当たる位置で、前記寸切のリング部材の内側に近づけるように設けるようにしておく。
【0015】
このように構成すれば、高圧ジェット水が当たる位置において、内側の円筒状部材に繊維を載せることができるとともに、内側の円筒状部材と外側の載置搬送手段を回転させた際に、内側の円筒状部材が寸切のリング部材から離れ、徐々に繊維を円筒状部材から分離させて、最後に、寸切のリング部材から押圧搬送手段に載せて回収させることができるようになる。
【0016】
また、前記載置搬送手段を、寸切のリング部材を一定間隔毎に配置させて円筒状に構成し、前記寸切のリング部材の内側に、当該リング部材よりも小径であってメッシュで構成された円筒状部材を設け、当該円筒状部材を、横方向から前記高圧ジェット水を当てる位置で、前記寸切のリング部材の内側に近づけるように設けるようにしておく。
【0017】
このように構成すれば、横方向から高圧ジェット水を当てるようにしているため、その水が他の部位に当たって滴下し、その滴下する水や風圧によって、メッシュで構成された円筒状部材や載置搬送手段から繊維を下方に分離させることができるようになる。これにより、載置搬送手段などから繊維を分離して、確実に押圧搬送手段に載せて回収することができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、押圧搬送手段を、そのまま繊維を回収するための手段として利用することができるため、載置搬送手段や押圧搬送手段から繊維を分離して、別の回収ベルトなどに移し替える必要がなくなる。これにより、濡れた繊維が巻き上げられて回収できなくなるといった不具合を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態による果肉除去装置の側面概略図
図2】同形態における果肉除去装置の平面概略図
図3】同形態における載置搬送手段と押圧搬送手段の拡大図
図4】同形態における寸切りのリング部材とシリコンゴムでパイナップルの葉を挟み込んだ状態図
図5】同形態における高圧ジェット水による噴射と繊維の挟み込み状態を示す図
図6】従来例における押圧ベルトの浮き上がり状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
この実施の形態における果肉除去装置1は、表皮や果肉で覆われた長繊維を有する植物の葉や仮茎などから表皮や果肉を除去し、長繊維のみを抽出できるようにしたものであって、図1に示すように、植物の葉を短手方向に取り込む取込部2と、この取込部2から取り込まれた植物の葉を載置させて搬送させる載置搬送手段3と、この載置搬送手段3に載置された植物の葉を上から押圧させながら周回させる押圧搬送手段5と、これらの載置搬送手段3や押圧搬送手段5に挟まれた植物の葉に対して、高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器6a、6bなどを備えて構成される。そして、特徴的に、載置搬送手段3によって植物の葉が周回する最下端の位置において、前記押圧搬送手段5と載置搬送手段3とを離間させ、この押圧搬送手段5の上に繊維を載置させて回収させるようにしたものである。以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
まず、この実施の形態において使用される長繊維を有する植物としては、複数本の長繊維の間に、水分を多く含んだ柔らかい果肉で覆われる植物が用いられ、例えば、キジカクシ科のサイザルアサ、バナナ科のバナナ、アサ科の芭蕉マニラアサ、亜麻、苧麻などが挙げられる。なお、この実施の形態では、パイナップルの葉8を例として説明する。
【0023】
このようなパイナップルの葉8としては、食用に供される果実を採取した後、本来、廃棄されるパイナップルの葉8を葉元近傍から切除したものが用いられる。一般的に、パイナップルの果実の収穫時期である5月から7月頃には、パイナップルの葉8の長さが50cmから100cm程度の長さになり、厚みも、2mm程度となる。そこで、このように育成した長いパイナップルの葉8を用いるようにする。ここで、使用されるパイナップルの葉8としては、採取されて3~4日以内の変色していない新鮮なものを用いる。一方、長期間保管したパイナップルの葉8を使用する場合は、そのパイナップルの葉8を一定期間水中に浸漬させ、水分含有率が50%以上となるようにする。ただし、余り水分含有率が高くなった場合は、屈曲によって果肉に亀裂を生じさせることができないため、水分含有率を50%から70%程度にしておく。
【0024】
そして、このように根元付近で切除されたパイナップルの葉8を果肉除去装置1に連続的に投入し、高圧ジェット水を用いて果肉を除去して長繊維のみを抽出できるようにする。
【0025】
この果肉除去装置1は、図1に示すように、パイナップルの葉8を取り込む取込部2と、この取込部2によって取り込まれたパイナップルの葉8を載置させて搬送させる載置搬送手段3と、この載置搬送手段3に載置されたパナップルの葉を載置搬送手段3側に押圧させながら周回する押圧搬送手段5と、この押圧搬送手段5によって押圧されたパイナップルの葉8に高圧ジェット水を噴射させる高圧ジェット器6a、6bなどを備えて構成される。
【0026】
このうち、取込部2は、パイナップルの葉8を短手方向に投入できるようにしたものであって、図2などに示すように、複数の平ベルト21を設け、これらの平ベルト21を周回させるように構成される。また、この平ベルト21の下流側には、パイナップルの葉8を挟み込んで載置搬送手段3の表面に取り込めるようにした上側ベルト22が設けられており、図1に示すように、この上側ベルト22と下側の平ベルト21との隙間を徐々に狭めることによって、短手方向にカールしたパイナップルの葉8を扁平状にして取り込めるようにしている。
【0027】
この載置搬送手段3は、パイナップルの葉8を載置して、短手方向に搬送させるようにしたもので、図3に示すように、複数の寸切のリング部材31を設け、これを一定間隔毎に並べて円筒状に構成されている。これらの寸切のリング部材31は、複数本のシャフトに設けられた図示しない溝に収まるように設けられており、これらのシャフト32をギアなどを介してモーターで回転させることによって、リング部材31を回転させるようにしている。
【0028】
また、このリング部材31で構成された載置搬送手段3の内側には、高圧ジェット水で押圧されるパイナップルの葉8や果肉の除去された繊維を受け止めるための円筒状部材4が設けられている。この円筒状部材4は、外周面をメッシュ状の部材(図3参照)で構成してなるもので、図1に示すように、リング部材31の横方向でリング部材31と内接するように設けられ、また、寸切のリング部材31と接触することによって、載置搬送手段3とともに回転軸41を中心に回転するように構成される。この円筒状部材4の外側には、図1に示すように、高圧ジェット水の噴射領域を除いた部分にカバー42が設けられており、これによって、高圧ジェット水が取込部2側に抜けないようにするとともに、円筒状部材4の下方部分も覆うように構成することによって、高圧ジェット水や果肉を軸方向の端部から排出させるようにしている。これにより、高圧ジェット水によって除去された果肉が下方に落下して、載置搬送手段3の下方側で繊維に付着してしまわないようにしている。
【0029】
一方、押圧搬送手段5は、この円筒状に構成された載置搬送手段3の寸切のリング部材31にパイナップルの葉8を押圧させるようにしたものであって、複数本の線状部材を周回させるように構成されている。この線状部材は、例えば、シリコンゴム51などの弾性体で構成されるものであって、パイナップルの葉8の厚みによって伸縮するようになっており、図4に示すように、寸切のリング部材31の両側に設けられる。このシリコンゴム51は、図1に示すように、取込部2の上側ベルト22を周回させる第一シャフト52に周回するように巻き付けられており、そこから、リング部材31の左右両側の位置において、シャフト32や円筒状部材4の上に接触し、載置搬送手段3の前方側の第二シャフト53を周回して、載置搬送手段3の下方側の第三シャフト54を周回するように設けられる。そして、シリコンゴム51を押圧搬送手段5の最下端部分から離間させるようにすることによって、押圧搬送手段5から分離されたパイナップルの葉8の繊維を、シリコンゴム51の上に載せて回収できるようにしている。この繊維の回収を行う場合、載置搬送手段3の前方側の第二シャフト53の近傍にストッパー7を設けておき、このストッパー7に繊維を当接させて、束ねた状態で回収できるようにしておく。
【0030】
高圧ジェット器6a、6bは、この載置搬送手段3と押圧搬送手段5との間に挟まれたパイナップルの葉8に対して、高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去し、その高圧ジェット水や果肉を載置搬送手段3の内側まで貫通させるようにしたもので、ここでは、載置搬送手段3と内側の円筒状部材4が内接する横水平位置と、その上方位置とに設け、それぞれをパイナップルの葉8の長手方向に沿ってシャフト61(図2参照)上を往復動させるように設けられる。そして、このような略水平位置に高圧ジェット器6a、6bを設けることによって、仮に、図5に示すように、パイナップルの葉8の厚みによって押圧搬送手段5であるシリコンゴム51が浮き上がってしまい、その隙間で高圧ジェット水によって繊維が暴れてしまうような場合であっても、シリコンゴム51がその隙間を埋めるように円筒状の部材に沿って設けられるため、シリコンゴム51と寸切のリング部材31の隙間を小さくして、繊維の暴れを防止させることができるようになる。
【0031】
次に、このように構成された果肉除去装置1の作用について説明する。
【0032】
まず、圃場で切除されたパイナップルの葉8を、横方向に並べて取込部2の平ベルト21の上に載置する。
【0033】
すると、平ベルト21の駆動によってパイナップルの葉8が下流側に搬送され、そこで、上側ベルト22との間に挟まれて、短手方向に沿ったカールが取り除かれた状態で扁平状にパイナップルの葉8が取り込まれていく。
【0034】
そして、上側ベルト22と載置搬送手段3との間にパイナップルの葉8が取り込まれると、そのパイナップルの葉8は、第一シャフト52を周回する押圧搬送手段5と載置搬送手段3との間に挟み込まれるように取り込まれる。このとき、パイナップルの葉8は、載置搬送手段3の寸切のリング部材31の上に載置され、また、図4に示すように、寸切のリング部材31の左右両側においてシリコンゴム51で押圧されながら周回していく。
【0035】
そして、円筒状の載置搬送手段3の真横近傍まで搬送されてきた状態で、高圧ジェット器6a、6bからの高圧ジェット水を噴射させる。
【0036】
すると、その高圧ジェット水によって果肉が除去され、その果肉とともに高圧ジェット水が載置搬送手段3や内側の円筒状部材4などを貫通する。これにより、高圧ジェット水や果肉の跳ね返りを防止して、繊維の絡みや果肉の再付着などを防止できるようにする。このとき、この貫通した高圧ジェット水や果肉は、カバー42に当たり、横方向に流れて回収される。一方、高圧ジェット水の噴射により果肉の除去された繊維は、内側のメッシュ状の円筒状部材4上に載置され、また、図4に示すように、寸切のリング部材31の溝33にシリコンゴム51で押圧された状態で保持される。これにより、高圧ジェット水による繊維の暴れを防止して、繊維の絡まりを防止する。
【0037】
そして、さらに載置搬送手段3を回転させると、内側のメッシュ状の円筒状部材4が、載置搬送手段3から離間していき、繊維が円筒状部材4から離れ、寸切のリング部材31によってのみ保持される。
【0038】
そして、そこから更に載置搬送手段3を回転させると、円筒状の載置搬送手段3の最下端位置において、シリコンゴム51が載置搬送手段3から離間していき、このとき、繊維が、その自重や高圧ジェット水による水滴、あるいは、高圧ジェット水による風圧によって落下する。そして、その落下によって、シリコンゴム51の上に載置され、下流側に搬送される。
【0039】
そして、下流側においてストッパー7に繊維を当接させ、繊維を束ねた状態で回収できるようにする。
【0040】
このように上記実施の形態によれば、パイナップルの葉8を載置しながら搬送させる円筒状の載置搬送手段3と、当該載置搬送手段3に載置されたパイナップルの葉8を上から押圧しながら、前記載置搬送手段3とともに搬送させるシリコンゴム51などの押圧搬送手段5と、前記載置搬送手段3および押圧搬送手段5に挟まれたパイナップルの葉8に対して高圧ジェット水を噴射させて、果肉を除去し、前記高圧ジェット水および果肉を、前記押圧搬送手段5および載置搬送手段3を貫通させる高圧ジェット器6a、6bと、を備えてなる果肉除去装置1において、前記載置搬送手段3と前記押圧搬送手段5との間に前記パイナップルの葉8を挟み込んだ状態で前記載置搬送手段3の下方側まで周回させ、当該周回させた下方側で、前記押圧搬送手段5を前記載置搬送手段3と離間させて、当該押圧搬送手段5の上に、前記果肉の除去された繊維を載置させて搬送させるようにしたので、押圧搬送手段5を、そのまま繊維を回収するための手段として利用することができ、載置搬送手段3や押圧搬送手段5から繊維を分離して、別の回収ベルトなどに移し替える必要がなくなる。これにより、濡れた繊維が巻き上げられて回収できなくなるといった不具合を防止することができるようになる。
【0041】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0042】
例えば、上記実施の形態では、載置搬送手段3を寸切のリング部材31を並べた円筒状に構成したが、このような形状や部材に限定されるものではなく、メッシュで構成された円筒状の部材で構成するようにしてもよい。また、載置搬送手段3については、円筒状の部材以外に、楕円形状や、矩形状に周回するような部材で構成してもよい。
【0043】
また、上記実施の形態では、取込部2において、上側ベルト22で載置搬送手段3に挟み込ませるようにしたが、上側ベルト22を設けることなく、押圧搬送手段5のシリコンゴム51を載置搬送手段3との入口部分で離間させておき、そこから徐々に隙間を小さくして、載置搬送手段3との間に挟み込むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1・・・果肉除去装置
2・・・取込部
21・・・平ベルト
22・・・上側ベルト
3・・・載置搬送手段
31・・・寸切のリング部材
32・・・シャフト
33・・・溝
34・・・ギア
4・・・円筒状部材
41・・・回転軸
42・・・カバー
5・・・押圧搬送手段
51・・・シリコンゴム
52・・・第一シャフト
53・・・第二シャフト
54・・・第三シャフト
6a、6b・・・高圧ジェット器
7・・・ストッパー
8・・・パイナップルの葉
図1
図2
図3
図4
図5
図6