(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156231
(43)【公開日】2024-11-05
(54)【発明の名称】熱交換器及びこれを用いた空気調和機
(51)【国際特許分類】
F28F 1/32 20060101AFI20241028BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20241028BHJP
F24F 1/0067 20190101ALI20241028BHJP
【FI】
F28F1/32 E
F25B39/00 D
F24F1/0067
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024065035
(22)【出願日】2024-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】724008832
【氏名又は名称】INNOVIDEA合同会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宗基
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BE03
3L051BF01
(57)【要約】
【課題】清掃が容易な熱交換器及び空気調和機を提供する。
【解決手段】熱交換器20において、冷媒を流すための冷媒管21と、複数のフィン部31を有し、前記冷媒管21に着脱可能に取り付けられるフィンユニット30とを備えるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器において、
冷媒を流すための冷媒管と、
複数のフィン部を有し、前記冷媒管に着脱可能に取り付けられるフィンユニットとを備えたことを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記フィンユニットは、前記冷媒管に着脱可能に取り付けられるマウント部を有し、
前記フィン部は、前記マウント部から広がるように前記マウント部に設けられたことを特徴とする、熱交換器。
【請求項3】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記冷媒管は、主管、及び前記主管に流体的に連通するとともに前記主管から突出する枝管を有し、
前記枝管は、基端から先端まで延在する第1流路、及び前記第1流路に沿って前記先端から前記基端まで延在する第2流路を有するとともに、前記第1流路と前記第2流路とは前記先端で流体的に連通し、
前記フィンユニットは、前記第1の流路及び前記第2の流路に沿って摺動可能に前記枝管に取り付けられることを特徴とする、熱交換器。
【請求項4】
請求項3に記載の熱交換器において、
前記枝管は、前記主管が延在する方向に対して交差する方向に前記主管から突出することを特徴とする、熱交換器。
【請求項5】
請求項3に記載の熱交換器において、
前記枝管は、前記基端から前記先端まで太さが一定であることを特徴とする、熱交換器。
【請求項6】
請求項3に記載の熱交換器において、
前記枝管は、前記基端よりも前記先端の方が細いことを特徴とする、熱交換器。
【請求項7】
請求項3に記載の熱交換器において、
前記枝管の前記先端は、先細に形成された先細部を有することを特徴とする、熱交換器。
【請求項8】
請求項7に記載の熱交換器において、
前記枝管は、前記基端から前記先細部の手前まで太さが一定であることを特徴とする、熱交換器。
【請求項9】
請求項7に記載の熱交換器において、
前記枝管は、前記基端よりも前記先細部の手前の方が細いことを特徴とする、熱交換器。
【請求項10】
請求項3に記載の熱交換器において、
前記第1流路と前記第2流路とは背中合わせに形成されたことを特徴とする、熱交換器。
【請求項11】
請求項2に記載の熱交換器において、
前記マウント部の一端は、前記フィン部に対して突出したことを特徴とする、熱交換器。
【請求項12】
請求項1に記載の熱交換器において、前記フィンユニットは、前記フィン部の少なくとも一部が保護ケースで覆われたことを特徴とする、熱交換器。
【請求項13】
請求項12に記載の熱交換器において、前記保護ケースは、前記マウント部が貫通したことを特徴とする、熱交換器。
【請求項14】
請求項3に記載の熱交換器において、
前記フィンユニットは、前記枝管に取り付けられたときに、前記主管が延在する方向に沿って前記フィン部が広がることを特徴とする、熱交換器。
【請求項15】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記フィン部は、板状に形成されており、前記フィンユニットが前記冷媒管に取り付けられたときに、流入する流体を上方にガイドするように設けられたことを特徴とする、熱交換器。
【請求項16】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記フィン部は、板状に形成されており、前記フィンユニットが前記冷媒管に取り付けられたときに、流入する流体を下方にガイドするように設けられたことを特徴とする、熱交換器。
【請求項17】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記フィン部は、前記フィンユニットが前記冷媒管に取り付けられたときに、流体が流入する上流側縁部が流体が流出する下流側縁部よりも低いことを特徴とする、熱交換器。
【請求項18】
請求項17に記載の熱交換器において、
前記フィン部の前記上流側縁部は、一部が突出した形状を有することを特徴とする、熱交換器。
【請求項19】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記フィンユニットは、複数の前記フィン部が上下に配列するように前記冷媒管に取り付けられたときに、上に位置する前記フィン部の下端は、下に位置する前記フィン部の真上に位置することを特徴とする、熱交換器。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の熱交換器を備えたことを特徴とする、空気調和機。
【請求項21】
請求項20に記載の空気調和機において、
流入する流体がフィルタを介することなく直接的に前記フィンユニットに流入することを特徴とする、空気調和機。
【請求項22】
請求項20に記載の熱交換器を備えた空気調和機において、
前記枝管は、前方に向けて延在することを特徴とする、空気調和機。
【請求項23】
請求項3に記載の熱交換器を備えた空気調和機において、
前記フィンユニットを取り出すための開口部が筐体に形成されており、前記枝管は、前記開口部に向けて延在するように配置されたことを特徴とする、空気調和機。
【請求項24】
請求項3に記載の熱交換器を備えた空気調和機において、
第1の前記枝管と第2の前記枝管とが上下に隣り合っており、前記第1の枝管に取り付けられた第1の前記フィンユニットは、前記第2の枝管に取り付けられた第2の前記フィンユニットの一部に重なるように、前記第2の枝管に沿った方向に積層されることを特徴とする、空気調和機。
【請求項25】
請求項24に記載の空気調和機において、
前記第1の枝管に取り付けられた前記第1のフィンユニットの前記フィン部の下端は、前記第2の枝管に取り付けられた前記第2のフィンユニットの真上に位置することを特徴とする、空気調和機。
【請求項26】
請求項24に記載の空気調和機において、
前記第1のフィンユニットは、前記第2の枝管を避けるための開口または切り込みが前記フィン部に形成されたことを特徴とする、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及びこれを用いた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄板状のフィン部と冷媒管とで構成されたフィンアンドチューブ式の熱交換器及びこれを用いた空気調和機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の空気調和機の室内ユニットは、冷房運転時において、熱交換器の冷媒管内を流れる冷媒によってフィン部が冷却されている。これにより、吸い込まれた室内の空気をフィン部で冷却した後に、冷却された空気を吹出口から室内に吹き出すことによって室内の空気を冷却していた。このとき、室内ユニットは、熱交換器で凝縮して生じた結露水をドレンパンで集め、集めた結露水をドレン水として室外に排出することによって室内の湿度を低下させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術による空気調和機では、熱交換器に付着した結露水によってカビが発生したり、熱交換器に室内の臭いが付着したりすることによって吹出口から室内に吹き出される空気に悪臭が生じることがあった。
【0005】
このため、冷房運転後に送風運転や暖房運転を行うことによって熱交換器に付着した結露水を乾燥させる空気調和機や、冷房運転後に凍結洗浄運転によって熱交換器に霜を生じさせて熱交換器に付着した汚れを浮かせてからドレン水として排水する空気調和機が知られている。しかしながら、これらの空気調和機は、冷房運転後や凍結洗浄運転後に送風運転や暖房運転されることによって、室内に非常に湿度の高い空気や暖かい空気が吹き出されるため、特に夏場に使用者は不快感を覚えることがあった。
【0006】
また、ドレンパン内は乾燥や洗浄が行われないため、ドレンパン内に溜まった結露水によって発生したカビによって悪臭が生じることがあった。しかしながら、熱交換器はドレンパンの上部開口を塞ぐように配置されているため、ドレンパン内を清掃することは困難であった。
【0007】
さらに、空気調和機の筐体の開口は熱交換器で塞がれているため、筐体の内面を清掃することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記従来の技術による課題を解消し、清掃が容易な熱交換器及び空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、熱交換器において、冷媒を流すための冷媒管と、複数のフィン部を有し、前記冷媒管に着脱可能に取り付けられるフィンユニットとを備えたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記フィンユニットは、前記冷媒管に着脱可能に取り付けられるマウント部を有し、前記フィン部は、前記マウント部から広がるように前記マウント部に設けられていてもよい。前記冷媒管は、主管、及び前記主管に流体的に連通するとともに前記主管から突出する枝管を有し、前記枝管は、基端から先端まで延在する第1流路、及び前記第1流路に沿って前記先端から前記基端まで延在する第2流路を有するとともに、前記第1流路と前記第2流路とは前記先端で流体的に連通し、前記フィンユニットは、前記第1の流路及び前記第2の流路に沿って摺動可能に前記枝管に取り付けられていてもよい。前記枝管は、前記主管が延在する方向に対して交差する方向に前記主管から突出していてもよい。前記枝管は、前記基端から前記先端まで太さが一定であってもよい。前記枝管は、前記基端よりも前記先端の方が細くてもよい。前記枝管の前記先端は、先細に形成された先細部を有していてもよい。前記枝管は、前記基端から前記先細部の手前まで太さが一定であってもよい。前記枝管は、前記基端よりも前記先細部の手前の方が細くてもよい。前記第1流路と前記第2流路とは背中合わせに形成されていてもよい。前記マウント部の一端は、前記フィン部に対して突出していてもよい。前記フィンユニットは、前記フィン部の少なくとも一部が保護ケースで覆われていてもよい。前記保護ケースは、前記マウント部が貫通していてもよい。前記フィンユニットは、前記枝管に取り付けられたときに、前記主管が延在する方向に沿って前記フィン部が広がっていてもよい。前記フィン部は、板状に形成されており、前記フィンユニットが前記冷媒管に取り付けられたときに、流入する流体を上方にガイドするように設けられていてもよい。前記フィン部は、板状に形成されており、前記フィンユニットが前記冷媒管に取り付けられたときに、流入する流体を下方にガイドするように設けられていてもよい。前記フィン部は、前記フィンユニットが前記冷媒管に取り付けられたときに、流体が流入する上流側縁部が流体が流出する下流側縁部よりも低くてもよい。前記フィン部の前記上流側縁部は、一部が突出した形状を有していてもよい。前記フィンユニットは、複数の前記フィン部が上下に配列するように前記冷媒管に取り付けられたときに、上に位置する前記フィン部の下端は、下に位置する前記フィン部の真上に位置していてもよい。
【0011】
また、本発明は、空気調和機において、いずれかの上記熱交換器を備えたことを特徴とする。
【0012】
この場合において、流入する流体がフィルタを介することなく直接的に前記フィンユニットに流入してもよい。前記枝管は、前方に向けて延在していてもよい。
【0013】
さらに、本発明は、上記熱交換器を備えた空気調和機において、前記フィンユニットを取り出すための開口部が筐体に形成されており、前記枝管は、前記開口部に向けて延在するように配置されたことを特徴とする。
【0014】
さらにまた、本発明は、上記熱交換器を備えた空気調和機において、第1の前記枝管と第2の前記枝管とが上下に隣り合っており、前記第1の枝管に取り付けられた第1の前記フィンユニットは、前記第2の枝管に取り付けられた第2の前記フィンユニットの一部に重なるように、前記第2の枝管に沿った方向に積層されることを特徴とする。
【0015】
この場合において、前記第1の枝管に取り付けられた前記第1のフィンユニットの前記フィン部の下端は、前記第2の枝管に取り付けられた前記第2のフィンユニットの真上に位置していてもよい。前記第1のフィンユニットは、前記第2の枝管を避けるための開口または切り込みが前記フィン部に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、清掃が容易な熱交換器及び空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る空気調和機の室内ユニットの断面図を示す。
【
図3】フィンユニットが冷媒管に取り付けられた状態の側面図を示す。
【
図9】フィンユニットが冷媒管から取り外された状態の側面図を示す。
【
図10】ファン、吸込口パネル、吹出口パネル、及びフィンユニットが取り外された状態の室内ユニットの断面図を示す。
【
図13】変形例に係るフィンユニットを冷媒管から取り外した様子の側面図を示す。
【
図14】保護ケースが取り付けられたフィンユニットの上面図を示す。
【
図15】保護ケースが取り付けられたフィンユニットの側面図を示す。
【
図16】変形例に係るフィンユニットの上面図を示す。
【
図21】変形例に係る熱交換器のフィンユニットを冷媒間から取り外した様子の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調和機の室内ユニットの断面図を示し、
図2は、熱交換器の正面図を示し、
図3は、フィンユニットが冷媒管に取り付けられた状態の側面図を示し、
図4は、フィンユニットの上面図を示し、
図5は、冷媒管及び枝管の正面図を示し、
図6は、枝管の横断面図を示し、
図7は、冷媒管における枝管との接続部を示し、
図8は、枝管の縦断面図を示し、
図9は、フィンユニットが冷媒管から取り外された状態の側面図を示す。なお、理解を容易にするため、いずれの図面も模式的に示している。
【0019】
空気調和機100は、
図1に示すように、室内ユニット10を備えている。この室内ユニット10は、室外ユニット(不図示)と冷媒管21で接続されている。空気調和機100は、冷房運転時には、室外ユニットで冷却した冷媒を室内ユニット10に供給して室内ユニット10で室内の空気を冷却し、暖房運転時には、室外ユニットで加熱した冷媒を室内ユニット10に供給して室内ユニット10で室内の空気を加熱するようになっている。
【0020】
本実施形態に係る室内ユニット10は、室内の壁面に固定されるようになっており、ファン11、ルーバ12、及び熱交換器20を備えている。なお、本実施形態では、室内から流入する空気がろ過フィルタを介することなく直接的に熱交換器20に流入するようになっているため、吸気における圧力損失が小さくなっている。
【0021】
ファン11は、室内ユニット10の吸込口16の近傍に設けられた熱交換器20と室内ユニット10の吹出口17に設けられたルーバ12との間に取り外し可能に取り付けられたクロスフローファンである。室内ユニット10は、ファン11が回転したときに、吸込口16側の空気を吹出口17側に流すようになっている。これにより、室内ユニット10は、吸込口16から流入した空気を熱交換器20を通してファン11に流入させ、ファン11に流入した空気を吹出口17に向けて流して吹出口17から室内に吹き出させるようになっている。
【0022】
ルーバ12は、吹出口17に取り外し可能に取り付けられている。このルーバ12は、コントロールユニット(不図示)の制御下で揺動可能になっており、揺動した角度に応じて吹出口17から吹き出す空気の方向を調節するようになっている。
【0023】
本実施形態に係る室内ユニット10は、ファン11の下方に設けられて吹出口17まで延在する流路を画定する吹出口パネル14が取り外し可能に取り付けられている。これにより、ルーバ12及び吹出口パネル14を取り外すことによりファン11は大きく露出し、図中矢印Aに示す方向にファン11を容易に取り外すことができるようになっている。
【0024】
熱交換器20は、室外ユニットから供給された冷媒が流れる冷媒管21と、室内の空気に接触して熱交換するフィンユニット30とを備えている。この熱交換器20はドレンパン19の上部開口を塞ぐように配置されている。冷媒管21は、複数の本管22と、本管22と連通するとともに本管22から分岐する枝管23とを有している。これら本管22及び枝管23は、例えば拡散接合によりアルミニウム合金で形成されている。
【0025】
熱交換器20は、
図2に示すように、複数のフィンユニット30が配列して取り付けられている。本実施形態では、3行6列の合計18個のフィンユニット30が取り付けられている。
【0026】
フィンユニット30の各々は、
図3に示すように、薄板形状に形成された5枚のフィン部31と、これら5枚のフィン部31を貫通して設けられた1つのマウント部32とを有している。なお、隣り合うフィン部31どうしの間には、コルゲートフィンが組み込まれていても良い。マウント部32は、矩形断面を有する筒形状に形成されており、マウント部32よりも小さな矩形断面を有する枝管23に着脱可能に嵌るようになっている。マウント部32は、5枚のフィン部31を略平行に支持するとともに枝管23に着脱されるため、フィン部31よりも厚肉に形成されてフィン部31よりも高い剛性を有している。本実施形態に係るフィン部31及びマウント32の各々は、アルミニウム合金で別体で形成されているが、一体で形成されていてもよい。
【0027】
フィン部31は、フィンユニット30が枝管23に取り付けられたときに、空気が流入する上流側縁部33が下流側縁部34よりも低くなるように設けられている。これにより、フィンユニット30は、熱交換器20に流入する空気を上方にガイドするようになっている。このため、フィン部31に付着した結露水は、上流側縁部33の下端35から滴下し、流れる空気とともに下流側のファン11に向けて吹き飛ばされないようになっている。
【0028】
フィンユニット30は、枝管23に取り付けられた嵌合状態で、上下に隣り合う2枚のフィン部31の内、下方に位置するフィン部31の方が上方に位置するフィン部31よりも水平方向に突出している。すなわち、各フィン部31の上流側縁部33を通る仮想線Bは、一番上に位置するフィン部31の上流側縁部33を通る鉛直線Cに対して、下方に位置するフィン部31ほど上流側縁部33が鉛直線Cから離れるように突出している。これにより、上方に位置するフィン部31の下端は、下方に位置するフィン部31の真上に位置している。このため、上方に位置するフィン部31の上流側縁部33の下端35から滴下する結露水は、下方に位置するフィン部31上に滴下するようになっており、一気にドレンパン19(
図1参照)まで滴下しないで少しずつ段階的に滴下するため、滴下によって生じる音や飛沫の発生を抑えるようになっている。
【0029】
さらに、
図1に示すように、上下に隣り合う第1の枝管23(
図10参照)と第2の枝管23とは、第1の枝管23に取り付けられた第1のフィンユニット30が、第2の枝管23に取り付けられた第2のフィンユニット30の一部に重なるように、第2の枝管23に沿った方向に積層されている。このとき、第1の枝管23に取り付けられた第1のフィンユニット30のフィン部31の下端35(
図3参照)は、第2の枝管23に取り付けられた第2のフィンユニット30の真上に位置しており、第1のフィンユニット30の下端35から滴下した結露水は、第2のフィンユニット30上に滴下するようになっている。
【0030】
フィンユニット30は、
図3に示すように、各フィン部31の下流側縁部34とマウント部32との距離が略同じになっている。すなわち、各フィン部31の下流側縁部34を通る仮想線Dは、マウント部32が延在する方向であってマウント部32が枝管23(
図9参照)に対してスライドする方向と略平行になっている。これにより、フィンユニット30は、枝管23から引き抜かれる際に、各フィン部31の下流側縁部34が吸込口16の上部開口端16a(
図1参照)や1つ上方に位置するフィンユニット30が取り付けられる枝管23及び主管22に当たらないようになっている。
【0031】
フィン部31の各々は、
図4に示すように、略矩形形状に形成されており、マウント部32の長手方向に対して垂直な方向に、すなわち本管22(
図5参照)が延在する方向に沿って、マウント部32から広がるように設けられている。フィン部31は、枝管23に取り付けられたときに下側となる上流側縁部33が下端35で突出した形状を有している。本実施形態に係るフィン部31の上流側縁部33は、中央が突出するように湾曲して下端35が形成されており、空気が流れる際に流線に沿ってマウント部32と一直線に位置するように下端35が位置している。これにより、フィン部31に付着した結露水は、流れる空気の流速が遅い位置で滴下するようになっている。
【0032】
枝管23は、
図5に示すように、主管22が延在する方向に対して交差する方向に主管22から分岐している。この枝管23の先端23aは、先細に形成された先細部24を有しており、少なくとも基端23bから先細部24の手前まで一定の太さになっている。なお、
図5は、フィンユニット30を空気が流れる方向に沿って本管22及び枝管23を見た様子を示している。枝管23は、
図6に示すように、細長い長方形断面を有しており、それぞれ矩形の流路断面に画定された2つの送り側流路(第1流路)25a,25bと2つの戻り側流路(第2流路)26a,26bとを有している。
【0033】
本管22は、
図7に示すように、破線で示す枝管23の上流側に2つの上流側流路27a,27bが内部に形成されており、枝管23の下流側に2つの下流側流路28a,28bが内部に形成されている。なお、
図7は、
図5に対して垂直な方向、すなわち
図6と同じ方向に見た様子を示しており、枝管23の先端23a側から基端23b側に向けて見たときの本管22の断面図を模式的に示している。図中右上の上流側流路27aは、枝管23に重なる位置で流路幅が半分になっており、この半分になった部分で枝管23の送り側流路25aに連通しており、同様に、図中右下の上流側流路27bは、枝管23に重なる位置で流路幅が半分になっており、この半分になった部分で枝管23の送り側流路25bに連通している。一方、図中左上の下流側流路28bは、枝管23に重なる位置で流路幅が半分になっており、この半分になった部分で枝管23の戻り側流路26bに連通しており、左下の下流側流路28aは、枝管23に重なる位置で流路幅が半分になっており、この半分になった部分で枝管23の戻り側流路26aに連通している。すなわち、本管22の上流側流路27a,27b及び下流側流路28a,28bの各々は、それぞれ枝管23の異なる流路25a,25b,26a,26bに連通している。
【0034】
枝管23は、
図8に示すように、対称的に位置する外側の送り側流路25aと外側の戻り側流路26aとが先細部24で連通しており、対称的に位置する内側の送り側流路25bと内側の戻り側流路26aとが先細部24で連通している。すなわち、本管22の上流側流路27aを流れてきた冷媒は、枝管23の送り側流路25aを先端23aに向けて流れ、先細部24で折り返されて枝部23の戻り側流路26aを基端23bに向けて流れ、本管23の下流側流路28aに流れるようになっている。同様に、本管22の上流側流路27bを流れてきた冷媒は、枝管23の送り側流路25bを先端23aに向けて流れ、先細部24で折り返されて枝部23の戻り側流路26bを基端23bに向けて流れ、本管23の下流側流路28bに流れるようになっている。
【0035】
フィンユニット30は、
図9に示すように、マウント部32が枝管23の送り側流路25a,25b及び戻り側流路26a,26bに沿って摺動可能に枝管23に嵌っていることにより、フィンユニット30は、枝管23に着脱可能になっている。このとき、フィンユニット30は、マウント部32の一端がフィン部31に対して突出してつまみ部32aが設けられている。これにより、使用者はこのつまみ部32aを指で摘んでフィンユニット30を枝管23に容易に取り付けたり取り外したりすることができるようになっている。
【0036】
図10は、ファン11、吸込口パネル13、吹出口パネル14、及びフィンユニット30が取り外された状態の室内ユニット10の断面図を示している。室内ユニット10は、
図10に示すように、吸込口パネル13を取り外すと、開口部18が完全に露出するようになっている。枝管23は、開口部18に向けて前方に延在するように配置されており、開口部18を通してフィンユニット30を筐体10aの外に取り外せるようになっている。
【0037】
本実施形態に係る空気調和機100は、冷媒を流すための冷媒管21と、複数のフィン部31を有し、冷媒管21に着脱可能に取り付けられたフィンユニット30とを備えている。これにより、フィンユニット30を取り外して水洗いしたり、フィンユニット30を取り外したときにドレンパン19や冷媒管21の裏側が露出するため、作業者が清掃を容易に行うことができる。
【0038】
また、フィンユニット30は、フィン部31がマウント部32を介して冷媒管21の枝管23に取り付けられているため、異音等を生じさせることなく滑らかに枝管23から着脱できるようになっている。
【0039】
さらに、空気調和機100は、フィンユニット30及び筐体10a内を容易に清掃することができるので、フィルタユニット30等に塵埃が付着することを気にする必要がない。これにより、熱交換器10の前面に塵埃をろ過するためのフィルタを設ける必要がなく、フィルタを設けないことにより吸気側の流路抵抗を小さくしてエネルギー消費量を少なくすることができる。
【0040】
以上、一実施形態について本発明を説明したが、これに限定されない。上記実施形態では、冷媒管21は枝管23を有しており、フィンユニット30は、枝管23に着脱可能に取り付けられているが、これに限定されない。フィンユニットが冷媒管に着脱可能に取り付けられれば、
図11に示すように、本管21に着脱可能なフィンユニット130であってもよい。このとき、
図12に示すように、本管21に嵌合するマウント部132は、U字形状の断面を有し、本管21が延在する方向に対して垂直な方向に複数のフィン部131が拡がっていてもよい。また、フィンユニット130は、フィンユニット130を着脱する方向にマウント部132から延在するフレーム136と、フレーム136の先端に設けられて使用者が手で掴むための取手部137とを有していてもよい。これにより、フィンユニット130は、使用者が取手部137を掴んで引っ張るだけで、
図13に示すように、本管21から取り外されるようになっている。
【0041】
また、上記実施形態では、1つのフィンユニット30に1つのマウント部32が設けられているが、これに限定されない。フィンユニットが冷媒管から着脱可能であれば、1つのフィンユニットに複数のマウント部が設けられていてもよい。
【0042】
さらに、上記実施形態では、フィンユニット30のフィン部31は、略矩形形状を有しているが、これに限定されない。フィン部は、隣りのフィンユニットのマウント部や冷媒管の枝管を避けるための開口または切り込みが形成されていてもよい。
【0043】
さらにまた、上記実施形態では、枝管23は、基端23bから先細部24の手前まで一定の太さになっているが、これに限定されない。フィンユニットのマウント部がスライドして取り外すことができれば、枝管は、基端から先端まで一定の太さであってもよい。また、枝部は、基端よりも先端の方が細くなっていたり、基端よりも先細部の手前の方が細くなっていたりしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、フィンユニット30のフィン部31は、全体が剥き出しになっているが、これに限定されない。フィンユニットは、流体が通ることができれば、
図14に示すように、フィン部31の少なくとも一部が保護ケース38で覆われて、作業者がフィン部31に触れ難くなっていてもよい。このとき、保護ケース38は、
図15に示すように、フィンユニット30の上流側縁部33(
図14参照)が露出する上流側開口38aと、フィンユニット30の下流側縁部34(
図14参照)が露出する下流側開口38bとが形成されている。また、保護ケース38は、マウント部32が貫通してつまみ部32aが露出していてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、フィンユニット30は、熱交換器20に流入する空気を上方にガイドするように設けられているが、これに限定されない。フィン部は、板状に形成されていれば、フィンユニットが枝管に取り付けられたときに、流入する流体を下方にガイドするように設けられていてもよい。
【0046】
さらにまた、上記実施形態では、フィン部31の上流側縁部33は、中央が突出するように湾曲した形状を有しているが、これに限定されない。フィン部に付着した結露水を滴下させることができれば、
図16に示すように、縁部127の両端部127a,127b等、その他の位置が突出していてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、枝管23は、細長い長方形断面を有しているが、これに限定されない。枝管23は、基端23bから先端24に向けて冷媒を流すための送り側流路25a,25bと、先端24から基端23bに向けて冷媒を流すための戻り側流路26a,26bとを有していれば、その他の断面形状を有していてもよい。例えば、枝管は、
図17に示すように、H字形状の断面を有するように形成された枝管123であったり、
図18に示すように、十字形状の断面を有するように形成された枝管223であってもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態では、枝管23は、基端23bから先端24に向けて冷媒を流すための送り側流路25a,25bと、先端24から基端23bに向けて冷媒を流すための戻り側流路26a,26bとが、本管22が延在する方向に対して垂直な方向に並んでいるが、これに限定されない。送り側流路と戻り側流路とを有していれば、
図19に示すように、本管22が延在する方向に沿って送り側流路125と戻り側流路126とが並んだ枝管223であってもよい。
【0049】
さらにまた、上記実施形態では、熱交換器20のフィンユニット30は、枝管23が前方に向けて延在して全てのフィン部31の表面が同じ方向を向いているが、これに限定されない。フィンユニットが冷媒管から着脱可能になっていれば、例えば、
図20に示すように、フィンユニット230と本管222との間が仕切壁10bで仕切られて、隣のフィンユニット230を通った流体が仕切壁10bの裏側を流れるようになっている熱交換器220であってもよい。より具体的には、図中の左側の2つのフィンユニット230または右側の2つのフィンユニット230は、互いに対して略平行に設けられているが、枝管23が延在する方向に沿って基端23b側に一方のフィンユニット230が他方のフィンユニット230に対してオフセットしている。この一方のフィンユニット230の一番外側に、すなわち仕切壁10bから最も離れた位置に設けられたフィン部231は、他方のフィンユニット230側の仕切壁10bと略一直線に位置している。これにより、一方のフィンユニット230において、一番外側のフィン部231と仕切壁10bとの間を通り抜けた流体は、図中矢印Dで示すように、他方のフィンユニット230における仕切壁10bの裏側を通ってファン12(
図1参照)に流れるようになっている。これにより、熱交換器220は、
図21に示すように、フィンユニット230が着脱可能になっているとともに、フィンユニット230の側方から流体を流入させることができるようになっている。
【0050】
また、上記実施形態では、室内ユニット30に本発明に係る熱交換器20を設けているが、これに限定されない。本発明に係る熱交換器は、室外ユニットや、車両用の熱交換器等、その他の装置の熱交換器として用いられても良い。
【0051】
さらに、上記実施形態では、枝管23の外側表面及びマウント部32の内側表面を平坦な表面としているが、これに限定されない。枝管23とマウント部32との熱抵抗を低下させるために、枝管23の外側表面は枝管23の長手方向に沿ってそれぞれ延在する山部及び谷部が形成されて外側表面がギザギザになっており、マウント部32の内側表面は、枝部23に形成された山部及び谷部に密着して嵌るようにマウント部32の長手方向にそれぞれ延在する山部及び谷部が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 室内ユニット
10a 筐体
10b 仕切壁
11 ファン
12 ルーバ
13 吸込口パネル
14 吹出口パネル
16 吸込口
16a 上部開口端
17 吹出口
18 開口部
19 ドレンパン
20 熱交換器
21 冷媒管
22 本管
23 枝管
23a 先端
23b 基端
24 先細部
25a,25b 送り側流路(第1流路)
26a,26b 戻り側流路(第2流路)
27a,27b 上流側流路
28a,28b 下流側流路
30 フィンユニット
31 フィン部
32 マウント部
32a つまみ部
33 上流側縁部
34 下流側縁部
35 下端
38 保護ケース
100 空気調和機
120 熱交換器
125 送り側流路
126 戻り側流路
127 上流側縁部
127a,127b 端部
130 フィンユニット
131 フィン部
132 マウント部
136 フレーム
137 取手部
220 熱交換器
222 本管
230 フィンユニット
231 フィン部