(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156237
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】車両用トリム材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B60J 10/84 20160101AFI20241029BHJP
【FI】
B60J10/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070528
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神原 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】亀井 賢司
(72)【発明者】
【氏名】西脇 弘行
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA11
3D201BA01
3D201CA03
3D201DA10
3D201DA23
3D201DA32
3D201DA54
3D201EA03D
3D201EA13
3D201FA04
(57)【要約】
【課題】車両開口部におけるフランジの厚さが大きい部位に対しても取り付け可能な車両用トリム材を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明の製造方法は、長尺なトリム材3の前駆成形品である長尺な予備成形体(3P)を押出成形する押出成形工程と、曲げ成形工程とを備える。押出成形工程では、予備成形体の長手方向に沿った一部の区間D中の少なくとも一部分(区間A)において、突出長が通常よりも短い保持リップ15であるリップ短部15Aが押出成形される。曲げ成形工程では、予備形成体の各部位での頂壁部と側壁部とがなす角度を、トリム材の各部位での頂壁部13と側壁部11とがなす最終角度(θ)に調整する。その際、前記一部の区間Dでは、頂壁部13と側壁部11とがなす最終角度θ2が、当該区間Dに隣接する他の区間E,Fにおける最終角度θ1よりも大きくなるように曲げ成形する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の開口部周縁と、車体の開口部を閉塞する開閉可能なドア体との間に配置される長尺な車両用トリム材を製造する方法であって、
前記トリム材は、相対向する第1側壁部及び第2側壁部、並びに、両側壁部を連結する頂壁部を有してなる、車体の開口部周縁のフランジに取付可能な取付部を具備すると共に、前記トリム材は、前記取付部に芯材が埋設された押出成形品であり、前記第1側壁部及び第2側壁部の少なくとも一方には、その側壁部の内面から他方の側壁部に向けて突出する保持リップが形成されている、車両用トリム材の製造方法において、
トリム材の前駆成形品である予備成形体を押出成形する押出成形工程であって、
当該予備成形体は、第1側壁部及び第2側壁部、並びに、両側壁部を連結する頂壁部を有し、両側壁部の少なくとも一方には保持リップが形成されてなる長尺な成形体であり、
当該予備成形体は、頂壁部と第1側壁部とがなす初期角度(ω)がトリム材での最終角度(θ)よりも大きくなるように押出成形され、且つ、
当該予備成形体の長手方向に沿った一部区間である第1範囲(D)では、その第1範囲の少なくとも一部分(A)に、当該一部分(A)に隣接する部分(B,C)の保持リップよりも突出長が短い保持リップであるリップ短部が押出成形される、押出成形工程と、
前記予備成形体の各部位での頂壁部と第1側壁部とがなす角度を、長手方向において部分的に角度を異ならせながらトリム材の各部位での最終角度(θ)に調整する曲げ成形工程であって、
前記第1範囲(D)では、頂壁部と第1側壁部とがなす最終角度(θ2)が、当該第1範囲(D)に隣接する部分(E,F)における最終角度(θ1)よりも大きくなるように曲げ成形して、当該第1範囲(D)に幅広部を形成する、曲げ成形工程と、
を備えていることを特徴とする車両用トリム材の製造方法。
【請求項2】
前記リップ短部は、前記第1範囲(D)の一部分に成形される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用トリム材の製造方法。
【請求項3】
前記リップ短部が成形されてなる前記第1範囲(D)の一部分は、
車体側のフランジの厚さが厚い部分に対応している、又は、
車体側のフランジの厚さが薄い部分から厚い部分に急変している部分に対応している、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用トリム材の製造方法。
【請求項4】
前記第1範囲(D)以外のトリム材の長手方向に沿った一部の範囲(D’)には、前記リップ短部が成形されていない幅広部が成形される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用トリム材の製造方法。
【請求項5】
前記リップ短部を構成する保持リップの先端は、横断面視で直線状に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用トリム材の製造方法。
【請求項6】
前記幅広部では、頂壁部と第1側壁部とがなす最終角度(θ)が120°以下に設定される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用トリム材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の開口部(例えば、トランク開口部、バックドア開口部、フロントドア開口部、リアドア開口部など)において、開口部周縁のフランジに装着される車両用トリム材と、そのトリム材の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の開口部には、その周縁に沿ってトリム材を装着するためのフランジが設けられている。かかるフランジは、一般に長尺な薄板状の係合部として形成されるが、実際の車体におけるフランジは、車両開口部のどの部位においても均一な厚みを有しているわけではなく、部位によってフランジの厚さが異なることが多い。例えば特許文献1には、車両開口部の特定部位において、薄板状のフランジを3~4枚重ね合わせて比較的厚手のフランジ部を構成する事例が紹介されている(同文献の段落0004、
図9参照)。
【0003】
特許文献1は、比較的厚手のフランジ部にも無理なく対応し得るトリム材としての自動車用ウェザーストリップを提案するものである。同文献の要約、請求項1及び2、並びに実施形態の説明によれば、ウェザーストリップ14の大部分がゴム材料からなる押出成形部21によって構成され、この押出成形部21は、インサート23が埋設されると共に断面ほぼU字状に形成されて車体のフランジ部に嵌め込み可能なトリム部15と、該トリム部に対し一体形成された中空状のシール部16とを有している。そして、トリム部15の長手方向の一部には、特殊な成形装置30を用いて該トリム部のインサート23を車内側に拡開させることにより、幅広部27を形成している。トリム部15の一部に設けられた幅広部27を比較的厚手のフランジ部に対応させることで、当該ウェザーストリップ14は、部位によって厚さが異なるフランジにも使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術にも幾つかの不具合がある。例えば、
(イ) 幅広部27の形成に用いられる上記成形装置30(文献1の段落0018~0020、
図6参照)では、装置構造の本質上、フランジの厚さの異なる部位の数だけ個別に成形装置が必要になるため、設備費用が嵩んだり工程が複雑化したりする虞がある。
(ロ) トリム部のインサート23を大きく拡開させたとき、これに伴ってトリム部15の予期せぬ箇所が変形してしまう虞があり、変形を回避するためには、インサート23を拡開する際のストローク(変位距離)に自ずと限界がある。
(ハ) フランジ部の厚さがかなり厚い部位に対応させるべく、トリム部のインサート23を最大限に拡開させて幅広部27を形成したとしても、幅広部(トリム部)の両側壁からトリム部内側に向けて突設された挟持リップ(24,25)に妨げられて当該幅広部(トリム部)にフランジ部を挿入できず、ウェザーストリップ14の取り付けに支障を来すことがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両開口部におけるフランジの厚さが大きい部位に対しても取り付け可能な車両用トリム材を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、車体の開口部周縁と、車体の開口部を閉塞する開閉可能なドア体との間に配置される長尺な車両用トリム材を製造する方法であって、
前記トリム材は、相対向する第1側壁部及び第2側壁部、並びに、両側壁部を連結する頂壁部を有してなる、車体の開口部周縁のフランジに取付可能な取付部を具備すると共に、前記トリム材は、前記取付部に芯材が埋設された押出成形品であり、前記第1側壁部及び第2側壁部の少なくとも一方には、その側壁部の内面から他方の側壁部に向けて突出する保持リップが形成されている、車両用トリム材の製造方法において、
トリム材の前駆成形品である予備成形体を押出成形する押出成形工程であって、
当該予備成形体は、第1側壁部及び第2側壁部、並びに、両側壁部を連結する頂壁部を有し、両側壁部の少なくとも一方には保持リップが形成されてなる長尺な成形体であり、
当該予備成形体は、頂壁部と第1側壁部とがなす初期角度(ω)がトリム材での最終角度(θ)よりも大きくなるように押出成形され、且つ、
当該予備成形体の長手方向に沿った一部区間である第1範囲(D)では、その第1範囲の少なくとも一部分(A)に、当該一部分(A)に隣接する部分(B,C)の保持リップよりも突出長が短い保持リップであるリップ短部が押出成形される、押出成形工程と、
前記予備成形体の各部位での頂壁部と第1側壁部とがなす角度を、長手方向において部分的に角度を異ならせながらトリム材の各部位での最終角度(θ)に調整する曲げ成形工程であって、
前記第1範囲(D)では、頂壁部と第1側壁部とがなす最終角度(θ2)が、当該第1範囲(D)に隣接する部分(E,F)における最終角度(θ1)よりも大きくなるように曲げ成形して、当該第1範囲(D)に幅広部を形成する、曲げ成形工程と、
を備えていることを特徴とする車両用トリム材の製造方法である。
【0008】
本発明の方法により製造されるトリム材によれば、長手方向に沿った一部区間である第1範囲(D)のうちのリップ短部が成形された部分(A)に対応する取付部には、比較的厚手のフランジをも受け入れることが可能になる。従ってこのトリム材によれば、車両開口部におけるフランジの厚さが大きい部位に対しても取り付けることができる。
また、本発明の製造方法によれば、リップ短部を成形するための押出成形工程と、幅広部を形成するための曲げ成形工程とを別個の作業工程としているため、両工程間でお互いに影響を及ぼしあうことなく、保持リップの突出長や、頂壁部と第1側壁部とがなす最終角度(θ)を夫々変化させることができる。それゆえ本方法によれば、製造対象となるトリム材の設計上の自由度を高めることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両用トリム材の製造方法において、前記リップ短部は、前記第1範囲(D)の一部分に成形されることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて更に次のような効果を奏する。即ち、車体側のフランジの厚さに対応させて、トリム材の第1範囲(D)の一部分にリップ短部を成形することで、長手方向に沿って厚さが変化するフランジに対しても安定して取り付け可能なトリム材を製造することができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の車両用トリム材の製造方法において、前記リップ短部が成形されてなる前記第1範囲(D)の一部分は、車体側のフランジの厚さが厚い部分に対応している、又は、車体側のフランジの厚さが薄い部分から厚い部分に急変している部分に対応している、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加えて更に次のような効果を奏する。とりわけ、車体側のフランジの厚さが薄い部分から厚い部分に急変している部分では、そこに対応させるべきトリム材の取付部における頂壁部と第1側壁とがなす角度を急変させてフランジ厚の急変に追随させることは、実際には難しいというのが実情である。この点、請求項3の発明では、フランジ厚の急変部分に対応させるトリム材の取付部には、リップ短部(突出長の短い保持リップ)を付与することにしたので、当該リップ短部を有する取付部を、フランジ厚が急変しているフランジ部分に対し比較的容易に取り付けることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1に記載の車両用トリム材の製造方法において、前記第1範囲(D)以外のトリム材の長手方向に沿った一部の範囲(D’)には、前記リップ短部が成形されていない幅広部が成形されることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて更に次のような効果を奏する。即ち、トリム材の取付部が単に幅広であるというだけで、トリム材をフランジの厚さに対応させられる部分では、幅広部に対しリップ短部を成形しないこと(つまり、当該幅広部における保持リップは通常の突出長を有すること)で、トリム材の製造工程を部分的に簡略化することができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1に記載の車両用トリム材の製造方法において、前記リップ短部を構成する保持リップの先端は、横断面視で直線状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて更に次のような効果を奏する。即ち、保持リップ(リップ短部)の先端を、横断面で視て直線状という単純形状とすることで、設定通りの先端形状を成形することが容易になる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用トリム材の製造方法において、前記幅広部では、頂壁部と第1側壁部とがなす最終角度(θ)が120°以下に設定されることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明によれば、請求項1~5の発明の効果に加えて更に次のような効果を奏する。即ち、トリム材の幅広部において、頂壁部と第1側壁部とがなす最終角度が120°を超えると、車体側のフランジに対して第1側壁部が過度に開いた状態となり、フランジを安定して挟持できなくなるおそれがあるが、最終角度が120°以下に設定することで、そのようなおそれを避けることができる。
【0019】
なお、頂壁部と第1側壁部とがなす最終角度は、88°以上で且つ120°以下であることが好ましい。最終角度が88°未満になると、当該幅広部が「幅が広くなった部分」としての実質を損なうおそれがある。
【発明の効果】
【0020】
以上詳述したように本発明によれば、車両開口部におけるフランジの厚さが大きい部位に対しても取り付け可能な車両用トリム材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】車両の一側面におけるトリム材の取付位置を示す概略図。
【
図2】本発明の一実施形態に従うトリム材を模式的に示す全体図。
【
図3】
図2のIII-III線位置でのトリム材の断面図。
【
図4】
図2のIV-IV線位置でのトリム材の断面図。
【
図6】トリム材の製造システム(押出成形装置)の概略図。
【
図7】押出成形型の正面図(
図6のAW矢視図、その1)。
【
図8】押出成形型の正面図(
図6のAW矢視図、その2)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は乗用車両の左側面の概略図であり、図中の二つの太い破線は、フロントドア1及びリアドア2にそれぞれ対応して設置されるトリム材3,3’の取付位置を示す。特にフロントドア1に着目して説明すると、本実施形態のトリム材3(より具体的には、フロントドア用のウェザーストリップ3)は、車体におけるドア体(フロントドア1)の開口部周縁に形成されたフランジに沿って取り付けられる長尺な押出成形品(
図2参照)であり、フランジへの取付後には、車体の開口部周縁と、当該開口部を閉塞するフロントドア1との間に配置されるものである。
【0024】
本実施形態のトリム材3は、長手方向のいずれの位置においても、概ね共通した断面構造を有している。即ち
図3~5に示すように、トリム材3は、車体の開口部周縁のフランジ1fに取付可能な取付部10を有している。取付部10は、第1側壁部としての車内側側壁部11と、第2側壁部としての車外側側壁部12と、両側壁部11,12を連結する頂壁部13を有している。車内側側壁部11と車外側側壁部12とは相対向する配置関係にあり、取付部10は、二つの側壁部と頂壁部による略U字状の断面形状を有している。そして、取付部10の内部には、取付部の略U字状断面と相似した略U字状断面を持つ芯材14が埋設されている。また、車内側側壁部11の先端(
図3では上端)付近には、その車内側側壁部11の内面から車外側側壁部12に向けて突出する保持リップ15が形成されている。更に、車外側側壁部12の車外側には、ドア体に当接可能な中空シール部20が突設されている。
【0025】
図2に示すように、本実施形態の長尺なトリム材3は、長手方向に沿って配列された複数の区間の集合体として把握ないし理解することができる。つまり、トリム材3における個々の区間の種類分け(即ち分類)は、保持リップ15の突出長の長短という観点から行うことができると共に、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θの大小という観点からも行うことができる。
【0026】
具体的には、
図2に示す区間A,B及びCは、保持リップ15の突出長の長短という観点からの分類であり、各区間の意味は次の通りである。即ち、
区間A:保持リップ15の突出長が最短の区間、即ち「リップ短部(後述)」の区間、
区間B:保持リップ15の突出長が最短と最長との間で徐変している区間、
区間C:保持リップ15の突出長が最長(即ち標準長)の区間。
【0027】
図2に示す区間D(及びD’),E並びにFは、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θの大小という観点からの分類であり、各区間の意味は次の通りである。即ち、
区間D(及びD’):頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θが最大の区間、即ち「幅広部(後述)」に相当する区間であり、請求項の「第1範囲」に相当する区間、
区間E:頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θが最大と最小との間で徐変している区間、
区間F:頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θが最大の区間、即ち「幅狭部(後述)」に相当する区間。
【0028】
なお、
図2に示すトリム材3は、保持リップ15の突出長の長短という観点と、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θの大小という観点との組合せ態様において、以下に述べる3パターンの区間群によって特徴付けられる。即ち、
図2の左辺部の上寄りに位置する一群の区間は、「所定長の区間D内において、上から下にC→B→A→B→Cという順序で5つのサブ区間が存在する」および「B→A→Bの3つの区間がトリム材3の緩やかに湾曲したフロント側コーナー部を形作る」という特徴がある。
図2の左辺部の下寄りに位置する一群の区間は、「所定長の区間C内において、上から下にE→F→E→D’→E→Fという順序で6つのサブ区間が存在する」という特徴がある。
図2の上辺部から右辺部全体にわたる一群の区間は、「比較的長大な区間F内において、左(フロント)から右(リア)にC→B→A→B→Cという順序で5つのサブ区間が存在する」および「B→A→Bの3つの区間がトリム材3の急峻に湾曲したリア側コーナー部を形作る」という特徴がある。
【0029】
図3は、
図2のIII-III線位置での断面図、つまり、トリム材3の上辺部にあって区間F且つ区間Cに含まれる位置での断面図である。
図3に示すように、トリム材3は、取付部10とそれに隣接配置された中空シール部20とを備える。取付部10は、車内側側壁部11、車外側側壁部12、頂壁部13、および、車内側側壁部11から突出した保持リップ15を有し、取付部内には芯材14が埋設されている。
【0030】
芯材14は、取付部10を補強して一定の剛性を確保するための金属製のインサート材であり、後述する曲げ成形時に湾曲可能な程度の硬度と厚みとを有する金属からなる。
【0031】
トリム材3において芯材14以外の部分は、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)を主体とした材料で作られている。但し、芯材14以外の部分を構成する材料は、所定の弾性を有するポリマー材料であれば良く、EPDMに限定されず、その他の熱可塑性合成樹脂や熱可塑性エラストマーであってもよい。
【0032】
中空シール部20は、低比重(例えば比重0.6)のスポンジ材で形成されている。このスポンジ材は、EPDMにマイクロカプセルと化学発泡剤(例えばOBSH)とを添加・混合し発泡させて得た素材である。中空シール部20に低比重のスポンジ材を採用することで、トリム材3の軽量化を図ることができる。他方、芯材14を除く取付部10や保持リップ15は、高比重(例えば比重1.3)のソリッド材(即ち、非発泡のEPDM)で形成されている。これらの部位に高比重のソリッド材を採用することで、耐久性や耐候性を高めることができる。
【0033】
図3に示したトリム材3の部分は、比較的薄手な厚さXのフランジ1fに対応した設計となっている。具体的には、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度が、トリム材の全区間を通して最小の角度θ1に設定されている。この最小角度θ1は好ましくは88°未満であり、本例(
図3)ではθ1=86°である。その結果、車内側側壁部11は、その基端部(図では下端部)よりも先端部(図では上端部)が車外側側壁部12に接近する方向に傾く形となり、略U字状取付部10の開口端の幅(つまり車内側側壁部11の先端と車外側側壁部12の先端との間の距離)が相対的に狭くなり、
図3に示す区間F対応の取付部10は「幅狭部10F」となっている。
【0034】
図4は、
図2のIV-IV線位置での断面図、つまり、トリム材3の左辺部の上寄りにあって区間D且つ区間Cに含まれる位置での断面図である。
図4に示したトリム材3の部分は、中間的な厚さY(X<Y)のフランジ1fに対応した設計となっている。具体的には、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度が、トリム材の全区間を通して最大の角度θ2に設定されている。この最大角度θ2は、好ましくは88°以上120°以下、より好ましくは88°以上100°以下であり、本例(
図4)ではθ2=90°である。その結果、
図3の場合に比べて、車内側側壁部11の先端部が車外側側壁部12からやや遠ざかる形となり、略U字状取付部の開口端の幅(つまり車内側側壁部11の先端と車外側側壁部12の先端との間の距離)が相対的に広くなり、
図4に示す区間D対応の取付部10は「幅広部10D」となっている。
【0035】
ちなみに
図2において、区間D(又はD’)と区間Fとの間に介在する区間Eは、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θが前記最大角度θ2と前記最小角度θ1との間にあって一方から他方に向けて徐々に変化する車内側側壁部角度の徐変区間又は過渡区間である。
【0036】
図5は、
図2のV-V線位置での断面図、つまり、トリム材3の左辺部の上寄りにあって区間D且つ区間Aに含まれる位置での断面図である。
図5に示したトリム材3の部分は、比較的厚手な厚さZ(X<Y<Z)のフランジ1fに対応した設計となっている。具体的には、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度が、トリム材の全区間を通して最大の角度θ2に設定されている。
図5の最大角度θ2は
図4の最大角度θ2と同じであり、本例(
図5)ではθ2=90°である。その結果、
図3の場合に比べて、車内側側壁部11の先端部が車外側側壁部12からやや遠ざかる形となり、略U字状取付部の開口端の幅(つまり車内側側壁部11の先端と車外側側壁部12の先端との間の距離)が相対的に広くなり、
図5に示す区間D対応の取付部10も「幅広部10D」となっている。
【0037】
加えて、区間Aにも対応している
図5の取付部(幅広部10D)においては、保持リップ15の突出長が、区間Cにおける保持リップ15の突出長(
図3,4参照)に比べて大幅に短く設定され、その結果、当該区間Aの保持リップ15は「リップ短部15A」として形成されている。ちなみに、区間Cにおける保持リップ15の突出長は、従来例に照らして標準的な突出長であると共にトリム材の全区間を通して最長の突出長であるのに対し、区間Aにおける保持リップ(リップ短部15A)の突出長は、トリム材の全区間を通して最短の突出長となっている。そして、区間Aと区間Cとの間に介在する区間Bは、保持リップ15の突出長が前記最長の突出長と前記最短の突出長との間にあって一方から他方に向けて徐々に変化する保持リップ突出長の徐変区間又は過渡区間である。
【0038】
図5の取付部(幅広部10D)は、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度がθ2=90°であることに加えて、保持リップがリップ短部15Aとなっていることで、最大の厚さZのフランジ1fを無理なく受け入れることができる。このことは、後述する可変ベンダー機における可動ローラの可動範囲を過大に確保する必要性を無くして、可変ベンダー機による曲げ成形を容易にする。
【0039】
なお、前記リップ短部15Aを構成する保持リップの先端16は、横断面視で直線状に形成されている(
図5参照)。保持リップ(リップ短部15A)の先端16を、横断面で視て直線状という単純形状とすることで、設定通りの先端形状を成形することが容易になる。
【0040】
本実施形態に従うトリム材3の製造方法は、
図6に示すトリム材の製造システム(以下「押出成形装置」と呼ぶ)を用いて実施される。
【0041】
図6に示す押出成形装置30は、成形プロセスの上流から下流に向かって、芯材供給用アンコイラ31、材料押出機32、押出成形型33、加熱槽34、冷却機35、可変ベンダー機36および切断機37などを備えてなるものであり、これらは概ね公知である。かかる押出成形装置30を用いたトリム材3の製造手順は、概ね次のとおりである。
【0042】
(手順1/押出成形の概要)
芯材供給用アンコイラ31から芯材14を連続供給しながら、材料押出機32から押出成形型33にポリマー材料を供給することで、トリム材3の前駆成形品である予備成形体3Pを押出成形する。この予備成形体3Pは、将来車内側側壁部となる第1側壁部(11P)、将来車外側側壁部となる第2側壁部(12P)、これら第1及び第2側壁部を連結する頂壁部(13P)、並びに、第1側壁部から延びる保持リップ部(15P)を有する長尺な成形体であり、当該予備成形体3Pの内部には芯材14が含まれる。この押出成形工程の詳細については、後ほど説明する。
【0043】
(手順2/予備成形体の固化)
トリム材3を構成するポリマー材料がEPDM等のゴム素材である場合、手順1で得られた予備成形体3Pを加熱槽34(例えば高周波加熱機や熱風加熱機)にて加熱硬化(即ち加硫)させ、その後に冷却機35(例えば冷却水槽)で予備成形体3Pを冷却する。あるいは、トリム材3を構成するポリマー材料が熱可塑性合成樹脂や熱可塑性エラストマーである場合、押出成形型33から半溶融状態で押し出された予備成形体3Pをそのまま冷却機35(例えば冷却水槽)に導いて冷却・固化する。
【0044】
(手順3/曲げ成形の概要)
冷却機35を通過して固化された予備成形体3Pを可変ベンダー機36に供給する。そして、可変ベンダー機36によって、予備成形体3Pの各部位での頂壁部(13P)と第1側壁部(11P)とがなす角度を、長手方向において部分的に角度を異ならせながらトリム材3の各部位での最終角度に調整する。この曲げ成形工程の詳細については、後ほど説明する。
【0045】
(手順4/切断による個体化)
可変ベンダー機36から送り出された角度調整後の予備成形体(つまりトリム材3の連続体)を切断機37によって所定長さに切断・分離することで、最終製品としてのトリム材3を得る。
【0046】
(押出成形工程の詳細)
上記手順1における押出成形は、
図7,8に示すような押出成形型33を用いて行われる。
図7,8に示すように、押出成形型33の正面(押出口側の端面)には、予備成形体3Pの横断面形状に対応した押出口40が形成されている。この押出口40は、
予備成形体の第1側壁部(11P)を押出成形するための第1側壁部押出孔部41、
予備成形体の頂壁部(13P)を押出成形するための頂壁部押出孔部43、
予備成形体の第2側壁部(12P)を押出成形するための第2側壁部押出孔部42、
予備成形体の中空シール部(20P)を押出成形するための中空シール部押出孔部44、
予備成形体の保持リップ部(15P)を押出成形するための保持リップ部押出孔部45、
からなる。第1側壁部押出孔部41から頂壁部押出孔部43を経て第2側壁部押出孔部42に至る一連の孔部には、芯材14が配置される。そして、この押出口40において頂壁部押出孔部43と第1側壁部押出孔部41とがなす角度ω(オメガ)、ひいては予備成形体3Pにおいて頂壁部(13P)と第1側壁部(11P)とがなす初期角度ωは、135°以上155°以下の範囲に設定され、本例(
図7,8)ではω=145°である。この初期角度ωは、角度調整後のトリム材3における頂壁部13と第1側壁部(車内側側壁部11)とがなす最終角度θ1,θ2よりも大きい(θ1<ω,θ2<ω)。
【0047】
また、押出成形型33の正面(押出口側の端面)には、一対のガイドレール47に沿って進退可能な可動ダイ48が設けられている。この可動ダイ48は、図示しない制御装置から送られた制御信号に基づいて制御されるサーボモータ49によって駆動され、ガイドレール47の先端部からの前進・後退を制御される。
【0048】
そして、可動ダイの前進・後退の動作に呼応して、保持リップ部押出孔部45が露出又は開口する長さ(又は閉塞される長さ)が適宜変更され、このことが予備成形体3Pにおける保持リップ部(15P)の突出長を規定する。具体的には、
図2の区間Cを押出成形するタイミングでは、可動ダイ48が
図7に示す後退位置に配置され、保持リップ部押出孔部45の全体が露出されて(最大開状態)、最長突出長の保持リップ部が成形される。
図2の区間Aを押出成形するタイミングでは、可動ダイ48が
図8に示す前進位置に配置され、保持リップ部押出孔部45の根本付近のみが露出されて(最小開状態)、最短突出長の保持リップ部(リップ短部)が成形される。なお、
図2の区間Bを押出成形するタイミングでは、可動ダイ48が
図7位置と
図8位置との中間位置を経時的に連続変位して保持リップ部押出孔部45の開度が最大開状態と最小開状態との間を推移する結果、突出長が徐変する保持リップ部が成形される。
【0049】
かくして、第1範囲としての区間Dの一部分である区間Aには、当該一部分(区間A)に隣接する部分(区間B,C)の保持リップ15よりも突出長が短い保持リップであるリップ短部15Aが押出成形される。
【0050】
(曲げ成形工程の詳細)
上記手順3における曲げ成形は、
図9に概要を示すような公知の可変ベンダー機36を用いて行われる。
【0051】
図9の可変ベンター機36は、例えば特開2016-137618号公報に開示されている可変ベンター装置(同公報の
図4~6参照)と基本的に同じであるので詳細な説明は省略するが、
図9の可変ベンター機36は概ね、ベース部材51、規制部材52、位置決め部材53、支持ローラ54(又は微動ローラ)および可動ローラ55を備えている。曲げ加工の対象となる予備成形体3Pの部位は、四つの部材(51,53,54,55)によって囲まれつつ支えられ、予備成形体3Pの内部には規制部材52が配置される。
【0052】
この可変ベンター機36による曲げ成形の基本動作は、概ね次のようなものである。即ち、規制部材52で予備成形体の頂壁部(13P)と第1側壁部(11P)との境界部分を規制しながら、且つ、位置決め部材53で第2側壁部(12P)を抑えながら、支持ローラ54によって第2側壁部(12P)を中空シール部(20P)と共に内方(第1側壁部の側)に向けて押圧すると同時に、可動ローラ55によって第1側壁部(11P)を外方(第2側壁部の側)に向けて押圧することにより、第1側壁部(11P)が頂壁部(13P)との境界部分を起点として曲げられる、というものである。
【0053】
可変ベンダー機36を用いた曲げ成形工程では、予備形成体3Pの各部位での頂壁部と第1側壁部とがなす角度が、長手方向において部分的に角度を異ならせながらトリム材3の各部位での最終角度(θ)に調整される。具体的には、
図2の区間Fにおける第1側壁部(車内側側壁部11)の角度を最小角度θ1に調節する際には、可動ローラ55を外方(第2側壁部の側)に移動させて支持ローラ54と可動ローラ55との間の距離を小さくする。他方、
図2の区間Dにおける第1側壁部(将来車内側側壁部11となる第1側壁部11P)の角度を最大角度θ2に調節する際には、可動ローラ55を支持ローラ54から遠ざけて支持ローラ54と可動ローラ55との間の距離を大きくする。この間、第2側壁部(将来車外側側壁部12となる第2側壁部12P)が位置決め部材53に押しつけられることで、第2側壁部(将来車外側側壁部12となる第2側壁部12P)も頂壁部との境界部分を起点として曲げられても良い。
【0054】
かくして、第1範囲としての区間Dでは、頂壁部13と第1側壁部(車内側側壁部11)とがなす最終角度θ2が、当該区間Dに隣接する部分(区間E,F)における最終角度θ1よりも大きくなる。その結果、第1範囲としての区間Dには、幅広部10Dが形成される。
【0055】
(押出成形と曲げ成形との連繋について)
前記押出成形工程での保持リップ部の突出長の調節と、前記曲げ成形工程での角度θの調節とを連繋させるための制御手法、とりわけ、リップ短部15Aが成形された特定部位に対応させて幅広部10D(最大角度θ2)を形成するための制御手法として、例えば以下のa)及びb)に示すような手法があげられる。
a) 制御装置からサーボモータ49に制御信号をタイミングt1で送信し、所定時間Δt経過後のタイミングt2(=t1+Δt)で制御装置から可変ベンダー機36に制御信号を送信して可変ベンダー機36の角度調節動作を最適制御する。ここで、Δtは、タイミングt1で保持リップ部の突出長を決定された予備成形体3Pの特定部位が、その特定部位に予定された角度調節を受けるべく可変ベンダー機36に到達するまでの搬送時間に相当する。
b) 制御装置からサーボモータ49に制御信号をタイミングt1で送信し、所定時間Δs経過後のタイミングt3(=t1+Δs)で制御装置から印付与装置(例えばインクジェット方式のマーキング装置、図示せず)に信号を送信し、当該印付与装置で予備成形体3Pの表面に印(識別マーク)を付ける。ここで、Δsは、タイミングt1で保持リップ部の突出長を決定された予備成形体3Pの特定部位が、印付与装置に到達するまでの搬送時間に相当する。そして、印(識別マーク)を付けられた予備成形体3Pの特定部位が可変ベンダー機36の前に取り付けられたセンサー(例えばカメラやCCD素子)で検知されたときに、その特定部位に予定された角度調節を施すべく可変ベンダー機36の角度調節動作を最適制御する。
【0056】
(実施形態の効果)
本実施形態のトリム材3によれば、第1範囲としての区間Dのうちのリップ短部15Aが成形された部分(即ち区間A)に対応する取付部10には、比較的厚手のフランジ1fをも受け入れ可能である。従ってこのトリム材3によれば、車両開口部におけるフランジ1fの厚さが大きい部位に対しても取り付けることができる。
【0057】
本実施形態のトリム材の製造方法によれば、リップ短部15Aを成形するための押出成形工程と、幅広部10Dを形成するための曲げ成形工程とを別個の作業工程としているため、両工程間でお互いに影響を及ぼしあうことなく、保持リップ15の突出長や、頂壁部13と車内側側壁部11とがなす最終角度(θ)を夫々変化させることができる。それゆえ本方法によれば、製造対象となるトリム材3の設計上の自由度を高めることができる。
【0058】
なお、
図2に示すトリム材3では、第1範囲としての区間D以外のトリム材の長手方向に沿った一部の範囲(区間D’)には、リップ短部15Aが成形されていない幅広部10Dが成形されている(
図2において区間D’は、左辺部下寄りに位置する区間Cの中にある。)。この構成によれば、トリム材の取付部10が単に幅広であるというだけで、トリム材をフランジの厚さに対応させられる部分では、幅広部10Dに対しリップ短部15Aを成形しないこと(つまり、当該幅広部10Dにおける保持リップ15は通常の突出長を有すること)で、トリム材3の製造工程を部分的に簡略化することができる。
【0059】
[変更例]
本発明は、
図1~
図9に示す上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような形態で変更実施することもできる。
【0060】
上記実施形態は、フロントドア開口部用のトリム材3についてのものであるが、本発明は、リアドア開口部用、トランク開口部用、バックドア開口部用の各トリム材にも適用することができる。
【0061】
図2~
図5に示された上記実施形態では、リップ短部15Aが成形されてなる区間A(第1範囲としての区間Dの一部分)は、車体側のフランジの厚さが厚い部分(即ち
図5に示す厚さZのフランジ1f)に対応していたが、これに限定されるものではない。
第1範囲(区間D)中の、リップ短部15Aが成形されてなる一部分を、車体側のフランジの厚さが薄い部分から厚い部分に急変している部分(例えば
図4に示す厚さY(X<Y<Z)のフランジ1fの如し)に対応させてもよい。というのも、とりわけ、車体側のフランジの厚さが薄い部分から厚い部分に急変している部分では、そこに対応させるべきトリム材の取付部における頂壁部13と車内側側壁部11とがなす角度θを急変させてフランジ厚の急変に追随させることは、実際には難しいというのが実情だからである。この点、上記のような代替策によれば、フランジ厚の急変部分に対応させるトリム材の取付部10には、リップ短部15A(突出長の短い保持リップ)を付与することになるので、当該リップ短部を有する取付部を、フランジ厚が急変しているフランジ部分に対し比較的容易に取り付けることが可能になる。
【0062】
上記実施形態によれば、トリム材3の区間Bが取り付けられる車体側のフランジ1fの厚さは中間的な厚さY(
図4参照)であるが、これに限定されるものではない。例えば、車体側のフランジ1fは、中間的な厚さYを有する必要は無く、厚さXのフランジ部分と厚さZのフランジ部分(X<Z)とが直接繋がったタイプ(これを「二段厚フランジ」と呼ぶものとする)であっても良い。この二段厚フランジに対し、上記実施形態のトリム材3を適用する場合には、
トリム材3の区間Cが、二段厚フランジの厚さXのフランジ部分に当てがわれ、
トリム材3の区間Aが、二段厚フランジの厚さZのフランジ部分に当てがわれ、
トリム材3の区間Cと区間Aとの間に位置する区間Bが、二段厚フランジのうちの厚さXのフランジ部分と厚さZのフランジ部分との連結領域(又は両フランジ部分の過渡領域)に当てがわれることが好ましい。つまり、トリム材3の区間Bを、二段厚フランジの厚さXのフランジ部分から厚さZのフランジ部分にかけて跨がるように対応づけることが好ましい。
【0063】
上記実施形態では、第1範囲としての区間Dの一部に区間A,B,Cを設けたが、区間Dの一部には区間Aのみ形成し、区間Dの外側に区間Bと区間Cを形成しても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 フロントドア(ドア体)
1f 車体のフランジ
3 トリム材
3P 予備成形体
10 取付部
10D (取付部における)幅広部
10F (取付部における)幅狭部
11 車内側側壁部(第1側壁部)
12 車外側側壁部(第2側壁部)
13 頂壁部
14 芯材
15 保持リップ
15A リップ短部
16 保持リップの先端
20 中空シール部
A,B,C トリム材の一部区間
D,E,F トリム材の一部区間(区間Dは「第1範囲」に相当する)