(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156238
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】車両用ウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B60J 10/84 20160101AFI20241029BHJP
【FI】
B60J10/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070529
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神原 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】河合 慎也
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA11
3D201BA01
3D201CA03
3D201DA10
3D201DA23
3D201DA32
3D201DA54
3D201EA03D
3D201EA13
3D201FA04
(57)【要約】
【課題】車両開口部におけるフランジの厚さが大きい部位に対しても取り付け可能な車両用ウェザーストリップを提供する。
【解決手段】ウェザーストリップ3は、車内側側壁部11、車外側側壁部12及び頂壁部13を有する取付部10と、中空シール部20と、車内側側壁部に突設された保持リップとを備える。取付部10には、長手方向に沿った一部区間Cである幅狭部と、別の一部区間Bである幅広部10Bとが設けられている。幅狭部での、頂壁部に対する車内側側壁部の角度(第1の角度θ1)よりも、幅広部10Bでの、頂壁部に対する車内側側壁部の角度(第2の角度θ2)の方が大きくなっており、角度θ2は95°よりも小さい。また、幅広部10Bの長手方向に沿った一部分(区間A)には、通常よりも突出長が短い保持リップであるリップ短部15Aが形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の開口部周縁と、車体の開口部を閉塞する開閉可能なドア体との間に配置される長尺な車両用ウェザーストリップであって、
車内側側壁部、車外側側壁部、及び、両側壁部を連結する頂壁部を有してなる、車体の開口部周縁のフランジに取付可能な取付部と、
前記車外側側壁部から突設されて前記ドア体に当接可能な中空シール部と、
前記車内側側壁部から前記車外側側壁部に向けて突設された保持リップと、
を備えると共に、前記取付部に芯材が埋設された押出成形品である、車両用ウェザーストリップにおいて、
前記取付部には、長手方向に沿った一部区間(C)である幅狭部と、長手方向に沿った別の一部区間(B)である幅広部とが夫々少なくとも一つ設けられており、
前記幅狭部では、頂壁部に対する車内側側壁部の角度が第1の角度(θ1)をなす一方で、前記幅広部では、頂壁部に対する車内側側壁部の角度が前記第1の角度(θ1)よりも大きな第2の角度(θ2)をなしており、
前記幅広部における第2の角度(θ2)は95°よりも小さく、
前記幅広部の長手方向に沿った一部分(A)には、当該一部分(A)に隣接する部分の保持リップよりも突出長が短い保持リップであるリップ短部が形成されている、
ことを特徴とする車両用ウェザーストリップ。
【請求項2】
前記幅広部における第2の角度(θ2)は90°以下であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の開口部(例えば、トランク開口部、バックドア開口部、フロントドア開口部、リアドア開口部など)において、開口部周縁のフランジに装着される車両用ウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の開口部には、その周縁に沿ってウェザーストリップを装着するためのフランジが設けられている。かかるフランジは、一般に長尺な薄板状の係合部として提供されるが、実際の車体におけるフランジは、車両開口部のどの部位においても均一な厚みを有しているわけではなく、部位によってフランジの厚さが異なることが多い。例えば特許文献1には、車両開口部の特定部位において、薄板状のフランジを3~4枚重ね合わせて比較的厚手のフランジ部を構成する事例が紹介されている(同文献の段落0004、
図9参照)。
【0003】
特許文献1は、比較的厚手のフランジ部にも無理なく対応し得る自動車用ウェザーストリップを提案するものである。同文献の要約、請求項1及び2、並びに実施形態の説明によれば、ウェザーストリップ14の大部分がゴム材料からなる押出成形部21によって構成され、この押出成形部21は、インサート23が埋設されると共に断面ほぼU字状に形成されて車体のフランジ部に嵌め込み可能なトリム部15と、該トリム部に対し一体形成された中空状のシール部16とを有している。そして、トリム部15の長手方向の一部には、特殊な成形装置30を用いて該トリム部のインサート23を車内側に拡開させることにより、幅広部27を形成している。トリム部15の一部に設けられた幅広部27を比較的厚手のフランジ部(13A)に対応させることで、当該ウェザーストリップ14は、部位によって厚さが異なるフランジにも使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術にも以下のような不都合が認められる。
仮に、ウェザーストリップ14を車体開口部のフランジ部に取り付けた際に、当該ウェザーストリップのトリム部15の車内側に車体の別部材が近接配置されるような車体構造又は車体環境である場合には、その別部材とトリム部15とが互いに当たらないように配慮する必要がある。これを満たすには、トリム部15のインサート23を車内側に拡開させる程度を一定限度に抑える必要があり、インサート23の拡開だけでトリム部15の幅広化(ひいては厚手なフランジ部の受入れ容易化)を達成することには限界がある。
【0006】
また、フランジ部の厚さがかなり厚い部位に対応させるべくトリム部のインサート23を最大限に拡開させて幅広部27を形成したとしても、当該幅広部(トリム部)の両側壁からトリム部内側に向けて突設された挟持リップ(24,25)に妨げられて当該幅広部(トリム部)に厚手のフランジ部を挿入できず、ウェザーストリップ14の取り付けに支障を来すことがある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両開口部におけるフランジの厚さが大きい部位に対しても取り付け可能な車両用ウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、車体の開口部周縁と、車体の開口部を閉塞する開閉可能なドア体との間に配置される長尺な車両用ウェザーストリップであって、
車内側側壁部、車外側側壁部、及び、両側壁部を連結する頂壁部を有してなる、車体の開口部周縁のフランジに取付可能な取付部と、
前記車外側側壁部から突設されて前記ドア体に当接可能な中空シール部と、
前記車内側側壁部から前記車外側側壁部に向けて突設された保持リップと、
を備えると共に、前記取付部に芯材が埋設された押出成形品である、車両用ウェザーストリップにおいて、
前記取付部には、長手方向に沿った一部区間(C)である幅狭部と、長手方向に沿った別の一部区間(B)である幅広部とが夫々少なくとも一つ設けられており、
前記幅狭部では、頂壁部に対する車内側側壁部の角度が第1の角度(θ1)をなす一方で、前記幅広部では、頂壁部に対する車内側側壁部の角度が前記第1の角度(θ1)よりも大きな第2の角度(θ2)をなしており、
前記幅広部における第2の角度(θ2)は95°よりも小さく、
前記幅広部の長手方向に沿った一部分(A)には、当該一部分(A)に隣接する部分の保持リップよりも突出長が短い保持リップであるリップ短部が形成されている、
ことを特徴とする車両用ウェザーストリップである。
【0009】
本発明のウェザーストリップによれば、取付部の長手方向に沿って幅狭部と幅広部とを設けたので、フランジ厚の変化に対応させつつ頂壁部に対する車内側側壁部の角度を変化させて、取付部をフランジに取り付けることができる。加えて、幅広部の一部分における保持リップはリップ短部となっているため、フランジの厚さがかなり厚い場合でも、そのフランジに対して当該幅広部を対応させることができる。更に、幅広部では、頂壁部に対する車内側側壁部の角度(上記第2の角度)が95°よりも小さく設定されているため、当該幅広部(取付部)の車内側側壁部の近傍に車体の別部材が存在したとしても、当該車内側側壁部がその別部材に当たる(機械的に干渉する)事態を防止することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両用ウェザーストリップにおいて、前記幅広部における第2の角度(θ2)は90°以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて更に次のような効果を奏する。即ち、幅広部における第2の角度(θ2)が90°を超えると、当該幅広部の車内側側壁部の極近傍に車体の別部材が配置される場合に、車内側側壁部の一部(とりわけ先端)が車体の別部材に当たり易くなるが、前記第2の角度(θ2)を90°以下にすることで、かかる不都合を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上詳述したように本発明によれば、車両開口部におけるフランジの厚さが大きい部位に対しても取り付け可能な車両用ウェザーストリップとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】車両の一側面におけるウェザーストリップの取付位置を示す概略図。
【
図2】本発明の一実施形態に従うウェザーストリップを模式的に示す全体図。
【
図3】
図2のIII-III線位置でのウェザーストリップの断面図。
【
図4】
図2のIV-IV線位置でのウェザーストリップの断面図。
【
図5】
図2のV-V線位置でのウェザーストリップの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は乗用車両の左側面の概略図であり、図中の二つの太い破線は、フロントドア1及びリアドア2にそれぞれ対応して設置されるウェザーストリップ3,3’の取付位置を示す。特にフロントドア1に着目して説明すると、本実施形態のフロントドア用のウェザーストリップ3は、車体におけるドア体(フロントドア1)の開口部周縁に形成されたフランジに沿って取り付けられる長尺な押出成形品(
図2参照)であり、フランジへの取付後には、車体の開口部周縁と、当該開口部を閉塞するフロントドア1との間に配置されるものである。
【0016】
本実施形態のウェザーストリップ3は、長手方向のいずれの位置においても、概ね共通した断面構造を有している。即ち
図3~5に示すように、ウェザーストリップ3は、車体の開口部周縁のフランジ1fに取付可能な取付部10を有している。取付部10は、車内側側壁部11と、車外側側壁部12と、両側壁部11,12を連結する頂壁部13を有している。車内側側壁部11と車外側側壁部12とは相対向する配置関係にあり、取付部10は、二つの側壁部と頂壁部による略U字状の断面形状を有している。そして、取付部10の内部には、取付部の略U字状断面と相似した略U字状断面を持つ芯材14が埋設されている。また、車内側側壁部11の先端(
図3では上端)付近には、その車内側側壁部11の内面から車外側側壁部12に向けて突出する保持リップ15が形成されている。車外側側壁部12の車外側には、ドア体に当接可能な中空シール部20が突設されている。
【0017】
図2に示すように、本実施形態の長尺なウェザーストリップ3は、長手方向に沿って配列された複数の区間の集合体として把握ないし理解することができる。つまり、ウェザーストリップ3(の少なくとも左辺部から上辺部にわたる範囲)における個々の区間の種類分け(分類)は、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θの大小という観点から行うことができると共に、保持リップ15の突出長の長短という観点からも行うことができる。
【0018】
具体的には、
図2中の区間B及びCは、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θの大小という観点からの分類であり、各区間の意味は次の通りである。即ち、
区間B:頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θが最大の区間、即ち「幅広部(後述)」に相当する区間、
区間C:頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θが最小の区間、即ち「幅狭部(後述)」に相当する区間。
【0019】
他方、
図2中の区間Aは保持リップ15の突出長の長短という観点からの分類であり、この区間Aは、保持リップ15の突出長が最短の区間、即ち「リップ短部(後述)」の区間である。ちなみに、ウェザーストリップ3の全長中、区間Aに含まれない残りの部分(以下「非区間A」という)では、保持リップ15の突出長が最短ではない(つまり最長であるか、最短より大で且つ最長未満)という状況にある。
【0020】
なお、本実施形態(
図2)では、前記角度θが最大である区間Bの一部分に、保持リップ15の突出長が最短である区間Aが設定されている。そして、区間Aを含む区間Bは、ウェザーストリップ3の緩やかに湾曲したフロント側コーナー部を形作っている。
【0021】
図3は、
図2のIII-III線位置での断面図、つまり、ウェザーストリップ3の上辺部にあって区間Cに含まれる位置での断面図である。
図3に示すように、ウェザーストリップ3は、取付部10とそれに隣接配置された中空シール部20とを備える。取付部10は、車内側側壁部11、車外側側壁部12、頂壁部13、および、車内側側壁部11から突出した保持リップ15を有し、取付部内には芯材14が埋設されている。中空シール部20は、本体部(本体壁)21、基部22、本体部21の表面に形成された被覆部23、および、カバーリップ部24を有する。本体部21および基部22によって中空シール部20の中空域が区画形成される。カバーリップ部24は、本体部21と基部22とが繋がった中空シール部20の下端域に位置して、車体の内装部材の端部を覆う。
【0022】
芯材14は、取付部10を補強して一定の剛性を確保するための金属製のインサート材である。ウェザーストリップ3において芯材14以外の部分は、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)を主体とした材料で作られている。但し、芯材14以外の部分を構成する材料は、所定の弾性を有するポリマー材料であれば良く、EPDMに限定されず、その他の熱可塑性合成樹脂や熱可塑性エラストマーであってもよい。
【0023】
中空シール部の本体部21は、低比重(例えば比重0.6)のスポンジ材で形成されている。このスポンジ材は、EPDMにマイクロカプセルと化学発泡剤(例えばOBSH)とを添加・混合し発泡させて得た素材である。中空シール部の本体部21に低比重のスポンジ材を採用することで、ウェザーストリップ3の軽量化が図られる。
【0024】
芯材14を除く取付部10、保持リップ15、並びに、中空シール部の基部22、被覆部23およびカバーリップ部24は、高比重(例えば比重1.3)のソリッド材(即ち、非発泡のEPDM)で形成されている。これらの部位に高比重のソリッド材を採用することで、耐久性、耐候性および耐摩耗性を高めることができる。
【0025】
図3に示したウェザーストリップ3の部分は、比較的薄手な厚さXのフランジ1fに対応した設計となっている。具体的には、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度が、ウェザーストリップの全区間を通して最小の角度θ1に設定されている。この最小角度θ1は好ましくは88°未満であり、本例(
図3)ではθ1=86°である。その結果、車内側側壁部11は、その基端部(図では下端部)よりも先端部(図では上端部)が車外側側壁部12に接近する方向に傾く形となり、略U字状取付部10の開口端の幅(つまり車内側側壁部11の先端と車外側側壁部12の先端との間の距離)が相対的に狭くなり、
図3に示す区間C対応の取付部10は「幅狭部10C」となっている。
【0026】
図4は、
図2のIV-IV線位置での断面図、つまり、ウェザーストリップ3の左辺部の上寄りにあって区間B(且つ非区間A)に含まれる位置での断面図である。
図4に示したウェザーストリップ3の部分は、中間的な厚さY(X<Y)のフランジ1fに対応した設計となっている。具体的には、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度が、ウェザーストリップの全区間を通して最大の角度θ2に設定されている。この最大角度θ2は、好ましくは88°以上95°以下であり、本例(
図4)ではθ2=90°である。その結果、
図3の場合に比べて、車内側側壁部11の先端部が車外側側壁部12からやや遠ざかる形となり、略U字状取付部の開口端の幅(つまり車内側側壁部11の先端と車外側側壁部12の先端との間の距離)が相対的に広くなり、
図4に示す区間B対応の取付部10は「幅広部10B」となっている。
【0027】
図5は、
図2のV-V線位置での断面図、つまり、ウェザーストリップ3の左辺部の上寄りにあって区間B且つ区間Aに含まれる位置での断面図である。
図5に示したウェザーストリップ3の部分は、比較的厚手な厚さZ(X<Y<Z)のフランジ1fに対応した設計となっている。具体的には、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度が、ウェザーストリップの全区間を通して最大の角度θ2に設定されている。
図5の最大角度θ2は
図4の最大角度θ2と同じであり、従って、この最大角度θ2は、好ましくは88°以上95°以下であり、本例(
図5)ではθ2=90°である。その結果、
図3の場合に比べて、車内側側壁部11の先端部が車外側側壁部12からやや遠ざかる形となり、略U字状取付部の開口端の幅(つまり車内側側壁部11の先端と車外側側壁部12の先端との間の距離)が相対的に広くなり、
図5に示す区間B対応の取付部10も「幅広部10B」となっている。
【0028】
加えて、区間Aにも対応している
図5の取付部(幅広部10B)においては、保持リップ15の突出長が、非区間Aにおける保持リップ15の突出長(
図3,4参照)に比べて大幅に短く設定され、その結果、当該区間Aの保持リップ15は「リップ短部15A」として形成されている。ちなみに、非区間Aにおける保持リップ15の突出長は、従来例に照らして標準的な突出長であると共にウェザーストリップの全区間を通して最長の突出長であるのに対し、区間Aにおける保持リップ(リップ短部15A)の突出長は、ウェザーストリップの全区間を通して最短の突出長となっている。
【0029】
図5の取付部10(幅広部10B)は、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度がθ2=90°であることに加えて、保持リップがリップ短部15Aとなっていることで、最大の厚さZのフランジ1fを無理なく受け入れることができる。
【0030】
なお、前記リップ短部15Aを構成する保持リップの先端16は、横断面視で直線状に形成されている(
図5参照)。保持リップ(リップ短部15A)の先端16を、横断面で視て直線状という単純形状とすることで、設定通りの先端形状を押出成形で成形することが容易になる。
【0031】
(実施形態の効果)
本実施形態のウェザーストリップ3によれば、取付部10の長手方向に沿って幅狭部10Cと幅広部10Bとを設けたので、フランジ厚の変化に対応させつつ頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度を変化させて、取付部10を車体のフランジ1fに取り付けることができる。加えて、幅広部10Bの一部分における保持リップはリップ短部15Aとなっているため、フランジ1fの厚さがかなり厚い場合でも、そのフランジ1fに対して当該幅広部10Bを対応させることができる。
【0032】
幅広部10Bでは、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θ2が95°よりも小さく設定されているため、当該幅広部の車内側側壁部11の近傍に車体の別部材が存在したとしても(
図5に仮想線で示す別部材30を参照されたし)、車内側側壁部11がその別部材30に当たる事態を回避することができる。
【0033】
ちなみに、幅広部10における上記角度θ2が90°を超えていると、前述の別部材30が車内側側壁部11の極近傍にまで接近しているときに、(車体の振動時などに)車内側側壁部11の一部(とりわけ先端)が当該別部材30に当たり易くなることもあるが、本実施形態ではθ2=90°とすることで、車内側側壁部11と別部材30との衝突を回避しつつ幅広部10の幅広性を担保することができる。
【0034】
[変更例]
本発明は、
図1~
図5に示す上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような形態で変更実施することもできる。
【0035】
上記実施形態は、フロントドア開口部用のウェザーストリップ3についてのものであるが、本発明は、リアドア開口部用、トランク開口部用またはバックドア開口部用の各ウェザーストリップにも適用することができる。
【0036】
上記実施形態において、区間Bと区画Cとの間に、頂壁部13に対する車内側側壁部11の角度θが最大角度θ2と最小角度θ1との間で徐変している徐変区間(又は過渡区間)を介在させてもよい。
【0037】
上記実施形態において、非区間Aのうちの、区間Aに直接つながる隣接領域に、保持リップ15の突出長が最長の突出長と最短の突出長(即ちリップ短部15Aの突出長)との間で徐変する保持リップ突出長の徐変区間(又は過渡区間)を設定してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 フロントドア(ドア体)
1f 車体のフランジ
3 ウェザーストリップ
10 取付部
10B (取付部における)幅広部
10C (取付部における)幅狭部
11 車内側側壁部
12 車外側側壁部
13 頂壁部
14 芯材
15 保持リップ
15A リップ短部
20 中空シール部
A ウェザーストリップの一部区間(リップ短部の区間)
B ウェザーストリップの一部区間(幅広部の区間)
C ウェザーストリップの一部区間