(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156239
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】被試験装置の試験システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070532
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石倉 修司
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA28
2G036BA37
2G036BA39
2G036BA46
(57)【要約】
【課題】被試験装置の起動前に被試験装置内のコンデンサを適切に充電し、被試験装置の起動後のコンデンサの充電電流を抑制する被試験装置の試験システムを提供する。
【解決手段】試験装置100Aは、被試験装置200Aに向けて直流電力を供給する電源設備110Aと、電源線300に設置された第3開閉部130Aと、バイパス線400に設置された第4開閉部140Aと、を制御する第1制御部120Aを備え、第1制御部120Aから第2制御部270Aに対して起動指令を出力する前に、第1制御部120Aは、第3開閉部130AにOFF指令および第4開閉部140AにON指令を出力し、電源設備110Aからの直流電力により、バイパス線400および充電抵抗器240を通してコンデンサ250を充電する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験装置から被試験装置に向けて直流電力を供給し、被試験装置の試験を行う被試験装置の試験システムであって、
前記試験装置は、前記被試験装置に向けて直流電力を供給する電源設備と、前記電源設備から前記被試験装置に向かう電源線に設置された第3開閉部と、前記電源設備から前記被試験装置に向かうバイパス線に設置された第4開閉部と、前記試験装置を制御する第1制御部と、を備え、
前記被試験装置は、前記電源線に直列に接続される第1開閉部と、前記電源線に直列に接続され前記第1開閉部に接続される充電抵抗器と、前記充電抵抗器に並列に接続される第2開閉部と、前記電源線に並列に接続され前記充電抵抗器に接続されるコンデンサと、前記電源線に直列に接続され前記コンデンサに接続される被試験回路と、前記被試験装置を制御する第2制御部を、備え、
前記バイパス線は、前記電源設備から前記第4開閉部を経て、前記電源線の前記第1開閉部と前記充電抵抗器の間に接続され、
前記第1制御部から前記第2制御部に対して起動指令を出力する前に、前記第1制御部は、前記第3開閉部にOFF指令および前記第4開閉部にON指令を出力し、前記電源設備からの直流電力により、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電する被試験装置の試験システム。
【請求項2】
前記被試験装置を起動する前に、前記第1制御部は、前記電源設備に対して電力供給のためのON指令およびOFF指令を交互に出力し、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電する請求項1に記載の被試験装置の試験システム。
【請求項3】
前記被試験装置を起動する前に、前記第1制御部は、前記電源設備に対して定電流モードによる電力供給を指令し、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電する請求項1に記載の被試験装置の試験システム。
【請求項4】
前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電した後に、前記第1制御部は、前記第3開閉部にON指令を出力し、前記第4開閉部にOFF指令を出力する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被試験装置の試験システム。
【請求項5】
前記第1制御部が前記第3開閉部にON指令を出力し、前記第4開閉部にOFF指令を出力した後に、前記第1制御部は、前記第2制御部に対して起動指令を出力する請求項4に記載の被試験装置の試験システム。
【請求項6】
前記第1制御部が前記第2制御部に対して起動指令を出力した後に、前記第2制御部が前記電源設備からの入力電圧を測定する入力電圧測定部の測定電圧と、前記コンデンサの充電電圧を測定するコンデンサ電圧測定部の測定電圧とが同じと判断すれば、前記第2開閉部にON指令を出力する請求項5に記載の被試験装置の試験システム。
【請求項7】
前記第2制御部は前記第2開閉部にON指令を出力した後に、前記被試験装置の被試験回路を駆動するとともに、前記第1制御部は駆動された前記被試験回路の試験出力を測定する請求項6に記載の被試験装置の試験システム。
【請求項8】
前記第2制御部は、前記コンデンサの充電電圧が予め設定した時間内に予め設定した電圧にならない場合は、前記コンデンサの充電不良保護のために前記被試験装置を停止する機能を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被試験装置の試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、被試験装置の試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、インバータ装置の試験装置として、交流電源から受け取った交流電力を直流電力に変換する交直変換回路と前記交直変換回路を制御する制御部とを含む電源機と、試験されるべき試験機インバータ装置と前記電源機との間に介在し、リアクトルおよびキャパシタで構成され、前記電源機が出力した前記直流電力を前記試験機インバータ装置に供給するためのフィルタ回路と、を備え、前記制御部は、前記試験機インバータ装置および前記電源機の運転中に前記交流電源の電源電圧の大きさを増加または減少のいずれか一方の所定方向へ変化させる試験である瞬時電圧異常試験を開始するための試験開始信号が発せられたときに、前記交直変換回路の出力調整を実施するように構築されたものがあった(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2021/044485
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の試験装置において、試験装置の起動時には、直流キャパシタに電力が蓄えられていない。そこで、まず電源機が交流電源からの交流電力を電力変換することで直流電力を生成し、この直流電力で直流キャパシタを充電する。その後、電源機と試験機とがそれぞれ電力変換を行うことで、電源機の出力直流電力が直流キャパシタを経由して試験機に伝達され、試験機の出力交流電力が第一変圧器および第二変圧器を経由して電源機へと入力される。
しかしながら、前記特許文献1には、直流電力で直流キャパシタを充電する動作の詳細についての開示はない。
【0005】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、被試験装置の起動前に被試験装置内のコンデンサを適切に充電し、被試験装置の起動後のコンデンサの充電電流を抑制する被試験装置の試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示される被試験装置の試験システムは、
試験装置から被試験装置に向けて直流電力を供給し、被試験装置の試験を行う被試験装置の試験システムであって、
前記試験装置は、前記被試験装置に向けて直流電力を供給する電源設備と、前記電源設備から前記被試験装置に向かう電源線に設置された第3開閉部と、前記電源設備から前記被試験装置に向かうバイパス線に設置された第4開閉部と、前記試験装置を制御する第1制御部と、を備え、
前記被試験装置は、前記電源線に直列に接続される第1開閉部と、前記電源線に直列に接続され前記第1開閉部に接続される充電抵抗器と、前記充電抵抗器に並列に接続される第2開閉部と、前記電源線に並列に接続され前記充電抵抗器に接続されるコンデンサと、前記電源線に直列に接続され前記コンデンサに接続される被試験回路と、前記被試験装置を制御する第2制御部を、備え、
前記バイパス線は、前記電源設備から前記第4開閉部を経て、前記電源線の前記第1開閉部と前記充電抵抗器の間に接続され、
前記第1制御部から前記第2制御部に対して起動指令を出力する前に、前記第1制御部は、前記第3開閉部にOFF指令および前記第4開閉部にON指令を出力し、前記電源設備からの直流電力により、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電するものである。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される被試験装置の試験システムによれば、被試験装置の起動前に被試験装置内のコンデンサを適切に充電し、被試験装置の起動後のコンデンサの充電電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の比較例としての被試験装置の試験システムを示す構成図である。
【
図2】本願の比較例としての被試験装置の試験システムの動作を示すフローチャートである。
【
図3】本願の比較例としての被試験装置の試験システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】本願の実施の形態1に係る被試験装置の試験システムを示す構成図である。
【
図5】本願の実施の形態1に係る被試験装置の試験システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】本願の実施の形態1に係る被試験装置の試験システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】本願の実施の形態2に係る被試験装置の試験システムを示す構成図である。
【
図8】本願の実施の形態2に係る被試験装置の試験システムの動作を示すフローチャートである。
【
図9】本願の実施の形態2に係る被試験装置の試験システムの動作を示すフローチャートである。
【
図10】本願の実施の形態に係る第1制御部および第2制御部のハードウエアの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[比較例としての被試験装置の試験システムの説明]
まず、本願の実施の形態の説明に入る前に、比較例としての被試験装置の試験システムについて説明する。
被試験装置として例えば列車の推進制御装置または電源装置等において、定期検査の出力電圧、周波数を確認する試験では、被試験装置の入力部にDC1500V、750V等の高電圧を印加する必要がある。また、被試験装置の入力部には大容量のフィルタコンデンサが実装されているため、このフィルタコンデンサを充電するための電流容量が必要となる。しかしながら、安価で小容量の電源設備では、フィルタコンデンサの充電電流により電源設備の出力が低下し、被試験装置内の被試験回路である電力変換器の低電圧保護が働き、電力変換器の入力側にある開閉部が開閉を繰り返す課題がある。
また、前述の電流容量を満足する電源設備を設ける場合、電源設備の大型化、コストアップが課題となる。
【0010】
前述の課題について、
図1に示す比較例としての被試験装置の試験システムに基づいて具体的に説明する。
図1は、本願の比較例としての被試験装置の試験システムを示す構成図である。
図1において、被試験装置の試験システム1000は、試験装置100と、被試験装置200を備える。
試験装置100は、電源設備110と、試験装置100を制御する第1制御部120を備える。
試験装置100の電源設備110からは、被試験装置200に向けて直流電力が、電源線300を介して供給される。
被試験装置200は、電源設備110からの入力電圧を測定する入力電圧測定部210(DCPT1)と、電源設備110から被試験装置200に向かう直流電流を開閉する接触器または遮断器等から成る第1開閉部220(SW1)と、電源線300に直列に接続されるフィルタリアクトル等のリアクトル230(FL)と、電源線300に直列に接続される充電抵抗器240(R)と、充電抵抗器240に並列に接続された充電抵抗器240の短絡用の接触器等から成る第2開閉部245(SW2)と、電源線300に並列に接続されているフィルタコンデンサ等のコンデンサ250(FC)と、コンデンサ250の充電電圧を測定するコンデンサ電圧測定部255(DCPT2)と、電源線300に接続され、出力電圧、周波数等を確認する試験が実施されるインバータ等の被試験回路260と、被試験装置200を制御する第2制御部270を備えている。
【0011】
次に、
図1の被試験装置の試験システムの動作について説明する。
図2および
図3は、
図1の本願の比較例としての被試験装置の試験システムの動作を示すフローチャートである。
試験装置100による被試験装置200の試験開始時、まず、ステップS10において、試験装置100の第1制御部120は、電源設備110に対して出力ON指令を出力する。
次に、ステップS20において、試験装置100の第1制御部120は、被試験装置200の第2制御部270に対して起動指令を出力する。
次に、ステップS30において、被試験装置200の第2制御部270は、入力電圧測定部210により正常電圧が印加されていることを確認して、第1開閉部220に対してON指令を出力する。
次に、ステップS40において、充電抵抗器240を介してコンデンサ250を充電する。この場合、コンデンサ250を充電する充電電流による過負荷で電源設備110からの入力電圧は低下する。
次に、ステップS50において、被試験装置200の第2制御部270は、コンデンサ電圧測定部255により低電圧保護を検知して第1開閉部220にOFF指令を出力する。
次に、ステップS60において、被試験装置200の第2制御部270は、入力電圧測定部210により正常電圧を検知して第1開閉部220にON指令を出力する。
次に、ステップS70において、被試験装置200の第2制御部270は、入力電圧測定部210の測定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じであるかを判断する。
ステップS70において、入力電圧測定部210の測定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じでない場合は、ステップS40~ステップS60を繰り返しながら、コンデンサ250を徐々に充電する。
ステップS70において、入力電圧測定部210の測定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じになった場合は、ステップS80に進み、被試験装置200の第2制御部270は、第2開閉部245にON指令を出力する。
次に、ステップS90において、被試験装置200の第2制御部270は被試験回路260を駆動するとともに、試験装置100の第1制御部120は、被試験回路260の出力電圧、周波数等を測定して試験を実施し、試験を終了する。
【0012】
以上のように、比較例としての被試験装置の試験システムにおいて、被試験装置の入力部に大容量のフィルタコンデンサを実装されている場合、フィルタコンデンサを充電するための電流容量が必要となる。しかしながら、安価で小容量の電源設備では、フィルタコンデンサの充電電流により電源設備の出力が低下し、被試験装置内の被試験回路である電力変換器の低電圧保護が働き、電力変換器の入力側にある開閉部が開閉を繰り返す課題がある。
また、前述の電流容量を満足する電源設備を設ける場合、電源設備の大型化、コストアップが課題となる。
以下、前述の課題を解決するための実施の形態について説明する。
【0013】
[実施の形態1の被試験装置の試験システムの説明]
図4は、本願の実施の形態1に係る被試験装置の試験システムを示す構成図である。
図4に基づいて、実施の形態1に係る被試験装置の試験システムの構成について説明する。
【0014】
図4において、被試験装置の試験システム1000Aは、試験装置100Aと、被試験装置200Aを備える。
試験装置100Aは、電源設備110Aと、試験装置100Aを制御する第1制御部120Aと、接触器等の第3開閉部130A(SW-A)と、接触器等の第4開閉部140A(SW-B)を備える。
試験装置100Aの電源設備110Aからは、後述するように、被試験装置200Aに向けて直流電力が、電源線300および第3開閉部130A、または、バイパス線400および第4開閉部140Aのいずれか一方を通して供給される。
【0015】
被試験装置200Aは、電源設備110Aからの入力電圧を測定する入力電圧測定部210(DCPT1)と、電源設備110から被試験装置200Aに向かう直流電流を開閉する接触器または遮断器等から成る第1開閉部220(SW1)と、電源線300に直列に接続されるフィルタリアクトル等のリアクトル230(FL)と、電源線300に直列に接続される充電抵抗器240(R)と、充電抵抗器240に並列に接続された充電抵抗器240の短絡用の接触器等から成る第2開閉部245(SW2)と、電源線300に並列に接続されているフィルタコンデンサ等のコンデンサ250(FC)と、コンデンサ250の充電電圧を測定するコンデンサ電圧測定部255(DCPT2)と、電源線300に接続され、出力電圧、周波数等を確認する試験が実施されるインバータ等の被試験回路260と、被試験装置200Aを制御する第2制御部270Aを備えている。
【0016】
本実施の形態では、試験装置100Aの電源設備110Aからの直流電力が、被試験装置200Aのコンデンサ250に向けて、第3開閉部130A、電源線300、第1開閉部220を介して供給されるルートと、第4開閉部140A、バイパス線400を介して供給されるルートの2つのルートが存在する。
【0017】
次に、
図4の実施の形態1に係る被試験装置の試験システムの動作について説明する。
図5および
図6は、
図4の実施の形態1に係る被試験装置の試験システムの動作を示すフローチャートである。
【0018】
まず、試験装置100Aによる被試験装置200Aの試験開始時において、試験装置100Aの第3開閉部130Aおよび第4開閉部140AはOFF状態となっており、被試験装置200Aの第1開閉部220および第2開閉部245はOFF状態となっている。
【0019】
ステップS110において、試験装置100Aの第1制御部120Aは、電源設備110Aに対してON指令を出力する。
次に、ステップS120において、試験装置100Aの第1制御部120Aは、第3開閉部130Aに対してOFF指令を出力し、第4開閉部140Aに対してON指令を出力する。
【0020】
次に、ステップS130において、試験装置100Aの第1制御部120Aは、電源設備110Aに対して電力供給のためのON指令およびOFF指令を交互に出力する。
ステップS130において、電源設備110Aに対して電力供給のためのON/OFF指令を繰り返すと、ステップS140において、電源設備110Aからの供給電力は、第4開閉部140A、バイパス線400、および充電抵抗器240を通して、コンデンサ250を徐々に充電して行く。
【0021】
次に、ステップS150において、試験装置100Aの第1制御部120Aは、電源設備110Aの設定電圧とコンデンサ電圧測定部255により測定されたコンデンサ電圧が同じであるかを判断する。
ステップS150において、電源設備110Aの設定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じでないと判断された場合は、ステップS130~ステップS140を繰り返して、コンデンサ250を充電する。
【0022】
ステップS150において、電源設備110Aの設定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じと判断された場合は、ステップS160に進み、試験装置100Aの第1制御部120Aは、第3開閉部130AにON指令を出力し、第4開閉部140AにOFF指令を出力する。
次に、ステップS170において、試験装置100Aの第1制御部120Aは、被試験装置200Aの第2制御部270Aに対して起動指令を出力する。
次に、ステップS180において、被試験装置200Aの第2制御部270Aは、第1開閉部220にON指令を出力し、第2開閉部245にOFF指令を出力する。その結果、電源設備110Aからの供給電力は、第1開閉部220および充電抵抗器240を通して、コンデンサ250を充電する。
【0023】
次に、ステップS190において、被試験装置200Aの第2制御部270Aは、入力電圧測定部210の測定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じであるかを判断する。
ステップS190において、入力電圧測定部210の測定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じでないと判断された場合は、ステップS180に戻って、コンデンサ250を充電する。
【0024】
ステップS190において、入力電圧測定部210の測定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じと判断された場合は、ステップS200に進み、被試験装置200Aの第2制御部270Aは、第2開閉部245にON指令を出力する。
【0025】
次に、ステップS210において、被試験回路260の試験を実施する。ここでは、被試験装置200Aの第2制御部270Aが被試験回路260を駆動制御するとともに、試験装置100Aの第1制御部120Aは、被試験回路260の出力電圧、周波数等を測定して、試験を終了する。
【0026】
以上のように、実施の形態1によれば、
試験装置から被試験装置に向けて直流電力を供給し、被試験装置の試験を行う被試験装置の試験システムであって、
前記試験装置は、前記被試験装置に向けて直流電力を供給する電源設備と、前記電源設備から前記被試験装置に向かう電源線に設置された第3開閉部と、前記電源設備から前記被試験装置に向かうバイパス線に設置された第4開閉部と、前記試験装置を制御する第1制御部と、を備え、
前記被試験装置は、前記電源線に直列に接続される第1開閉部と、前記電源線に直列に接続され前記第1開閉部に接続される充電抵抗器と、前記充電抵抗器に並列に接続される第2開閉部と、前記電源線に並列に接続され前記充電抵抗器に接続されるコンデンサと、前記電源線に直列に接続され前記コンデンサに接続される被試験回路と、前記被試験装置を制御する第2制御部を、備え、
前記バイパス線は、前記電源設備から前記第4開閉部を経て、前記電源線の前記第1開閉部と前記充電抵抗器の間に接続され、
前記第1制御部から前記第2制御部に対して起動指令を出力する前に、前記第1制御部は、前記第3開閉部にOFF指令および前記第4開閉部にON指令を出力し、前記電源設備からの直流電力により、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電するようにしたので、
被試験装置の起動前に被試験装置内のコンデンサを適切に充電し、被試験装置の起動後のコンデンサの充電電流を抑制することができる。
【0027】
また、前記被試験装置を起動する前に、前記第1制御部は、前記電源設備に対して電力供給のためのON指令およびOFF指令を交互に出力し、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電するようにしたので、
被試験装置の起動前に被試験装置内のコンデンサを適切に充電し、被試験装置の起動後のコンデンサの充電電流を抑制することができる。
【0028】
また、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電した後に、前記第1制御部は、前記第3開閉部にON指令を出力し、前記第4開閉部にOFF指令を出力するようにしたので、
被試験装置の起動前に被試験装置内のコンデンサを適切に充電し、被試験装置の起動後のコンデンサの充電電流を抑制することができる。
【0029】
また、前記第1制御部が前記第3開閉部にON指令を出力し、前記第4開閉部にOFF指令を出力した後に、前記第1制御部は、前記第2制御部に対して起動指令を出力するようにしたので、
被試験装置の起動前に被試験装置内のコンデンサを適切に充電し、被試験装置の起動後のコンデンサの充電電流を抑制することができる。
【0030】
また、前記第1制御部が前記第2制御部に対して起動指令を出力した後に、前記第2制御部が前記電源設備からの入力電圧を測定する入力電圧測定部の測定電圧と、前記コンデンサの充電電圧を測定するコンデンサ電圧測定部の測定電圧とが同じと判断すれば、前記第2開閉部にON指令を出力するようにしたので、
被試験装置の起動前に被試験装置内のコンデンサを適切に充電し、被試験装置の起動後のコンデンサの充電電流を抑制することができる。
【0031】
また、前記第2制御部は前記第2開閉部にON指令を出力した後に、前記被試験装置の被試験回路を駆動するとともに、前記第1制御部は駆動された前記被試験回路の試験出力を測定するようにしたので、
被試験装置内のコンデンサを適切に充電した状態で、前記被試験回路の試験を行うことができる。
【0032】
また、前記第2制御部は、前記コンデンサの充電電圧が予め設定した時間内に予め設定した電圧にならない場合は、前記コンデンサの充電不良保護のために前記被試験装置を停止する機能を有する場合にも、前記被試験回路の試験を適切に行うことができる。
【0033】
[実施の形態2の被試験装置の試験システムの説明]
図7は、本願の実施の形態2に係る被試験装置の試験システムを示す構成図である。
図7に基づいて、実施の形態2に係る被試験装置の試験システムの構成について説明する。
【0034】
図7において、被試験装置の試験システム1000Bは、試験装置100Bと、被試験装置200Bを備える。
試験装置100Bは、電源設備110Bと、電源設備110Bを制御する第1制御部120Bと、接触器等の第3開閉部130B(SW-A)と、接触器等の第4開閉部140B(SW-B)を備える。
試験装置100Bの電源設備110Bは、被試験装置200Bに向けて、定電圧モードによる電力供給と、定電流モードによる電力供給のいずれかの電力供給を行うことができる。そして、電源設備110Bからの電力供給は、電源線300および第3開閉部130B、または、バイパス線400および第4開閉部140Bのいずれか一方を通して実施される。
【0035】
被試験装置200Bは、電源設備110Bからの入力電圧を測定する入力電圧測定部210(DCPT1)と、電源設備110Bから被試験装置200Bに向かう直流電流を開閉する接触器または遮断器等から成る第1開閉部220(SW1)と、電源線300に直列に接続されるフィルタリアクトル等のリアクトル230(FL)と、電源線300に直列に接続される充電抵抗器240(R)と、充電抵抗器240に並列に接続された充電抵抗器240の短絡用の接触器等から成る第2開閉部245(SW2)と、電源線300に並列に接続されているフィルタコンデンサ等のコンデンサ250(FC)と、コンデンサ250の充電電圧を測定するコンデンサ電圧測定部255(DCPT2)と、電源線300に接続され、出力電圧、周波数等を確認する試験が実施されるインバータ等の被試験回路260と、被試験装置200Bを制御する第2制御部270Bを備えている。
【0036】
本実施の形態では、試験装置100Bの電源設備110Bからの直流電力が、被試験装置200Bのコンデンサ250に向けて、第3開閉部130B、電源線300、第1開閉部220を介して供給されるルートと、第4開閉部140B、バイパス線400を介して供給されるルートの2つのルートが存在する。
【0037】
次に、
図7の実施の形態2に係る被試験装置の試験システムの動作について説明する。
図8および
図9は、
図7の実施の形態2に係る被試験装置の試験システムの動作を示すフローチャートである。
【0038】
まず、試験装置100Bによる被試験装置200Bの試験開始時において、試験装置100Bの第3開閉部130Bおよび第4開閉部140BはOFF状態となっており、被試験装置200Bの第1開閉部220および第2開閉部245はOFF状態となっている。
【0039】
試験開始時に、ステップS310において、試験装置100Bの第1制御部120Bは、電源設備110Bに対してON指令を出力する。
次に、ステップS320において、試験装置100Bの第1制御部120Bは、第3開閉部130Bに対してOFF指令を出力し、第4開閉部140Bに対してON指令を出力する。
【0040】
次に、ステップS330において、試験装置100Bの第1制御部120Bは、電源設備110Bに対して定電流モードによる電力供給を指令する。
ステップS330において、電源設備110Bに対して定電流モードによる電力供給を指令すると、ステップS340において、電源設備110Bからの供給電力は、第4開閉部140B、バイパス線400、および充電抵抗器240を通して、コンデンサ250を徐々に充電して行く。
【0041】
次に、ステップS350において、試験装置100Bの第1制御部120Bは、電源設備110Bの設定電圧とコンデンサ電圧測定部255により検出された測定電圧が同じであるかを判断する。
ステップS350において、電源設備110Bの設定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じでないと判断された場合は、ステップS330~ステップS340を繰り返して、コンデンサ250を充電する。
【0042】
ステップS350において、電源設備110Bの設定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じと判断された場合は、ステップS360に進み、試験装置100Bの第1制御部120Bは、第3開閉部130BにON指令を出力し、第4開閉部140BにOFF指令を出力する。
次に、ステップS370において、試験装置100Bの第1制御部120Bは、被試験装置200Bの第2制御部270Bに対して起動指令を出力する。
次に、ステップS380において、被試験装置200Bの第2制御部270Bは、第1開閉部220にON指令を出力し、第2開閉部245にOFF指令を出力する。その結果、電源設備110Bからの供給電力は、第1開閉部220および充電抵抗器240を通して、コンデンサ250を充電する。なお、この場合、電源設備110Bは、被試験装置200Bに向けて、定電圧モードによる電力供給を行う。
【0043】
次に、ステップS390において、被試験装置200Bの第2制御部270Bは、入力電圧測定部210の測定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じであるかを判断する。
ステップS390において、入力電圧測定部210の測定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じでないと判断された場合は、ステップS380に戻って、コンデンサ250を充電する。
【0044】
ステップS390において、入力電圧測定部210の測定電圧とコンデンサ電圧測定部255の測定電圧が同じと判断された場合は、ステップS400に進み、被試験装置200Bの第2制御部270Bは、第2開閉部245にON指令を出力する。
【0045】
次に、ステップS410において、被試験回路260の試験を実施する。ここでは、被試験装置200Bの第2制御部270Bが被試験回路260を駆動制御するとともに、試験装置100Bの第1制御部120Bは、被試験回路260の出力電圧、周波数等を測定して、試験を終了する。
【0046】
以上のように、実施の形態2によれば、前述の実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、
前記被試験装置を起動する前に、前記第1制御部は、前記電源設備に対して定電流モードによる電力供給を指令し、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電するようにしたので、
被試験装置の起動前に被試験装置内のコンデンサを適切に充電し、被試験装置の起動後のコンデンサの充電電流を抑制することができる。また、例えば、コンデンサの容量に対して小容量の電源設備を使用しても、電源設備の出力の低下を防止することができる。
【0047】
[その他の実施の形態の説明]
実施の形態1では、被試験装置を起動する前に、第1制御部は、電源設備に対して電力供給のためのON指令およびOFF指令を交互に出力し、バイパス線および充電抵抗器を通してコンデンサを充電するようにした。
また、実施の形態2では、被試験装置を起動する前に、第1制御部は、電源設備に対して定電流モードによる電力供給を指令し、バイパス線および充電抵抗器を通してコンデンサを充電するようにした。
しかしながら、実施の形態1および2の例に限らず、被試験装置を起動する前に、第1制御部は、電源設備に対して予め設定した電圧による電力供給を指令し、バイパス線および充電抵抗器を通してコンデンサを充電するようにしてもよい。
【0048】
また、前述の実施の形態において、第1制御部120Aおよび120B、並びに第2制御部270Aおよび第2制御部270Bは、ハードウエアの一例を
図10に示すように、プロセッサ2100と記憶装置2200から構成される。記憶装置2200は、図示していない、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを備える。
また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を備えてもよい。プロセッサ2100は、記憶装置2200から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ2100にプログラムが入力される。また、プロセッサ2100は、演算結果等のデータを記憶装置2200の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0049】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0050】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0051】
[付記1]
試験装置から被試験装置に向けて直流電力を供給し、被試験装置の試験を行う被試験装置の試験システムであって、
前記試験装置は、前記被試験装置に向けて直流電力を供給する電源設備と、前記電源設備から前記被試験装置に向かう電源線に設置された第3開閉部と、前記電源設備から前記被試験装置に向かうバイパス線に設置された第4開閉部と、前記試験装置を制御する第1制御部と、を備え、
前記被試験装置は、前記電源線に直列に接続される第1開閉部と、前記電源線に直列に接続され前記第1開閉部に接続される充電抵抗器と、前記充電抵抗器に並列に接続される第2開閉部と、前記電源線に並列に接続され前記充電抵抗器に接続されるコンデンサと、前記電源線に直列に接続され前記コンデンサに接続される被試験回路と、前記被試験装置を制御する第2制御部を、備え、
前記バイパス線は、前記電源設備から前記第4開閉部を経て、前記電源線の前記第1開閉部と前記充電抵抗器の間に接続され、
前記第1制御部から前記第2制御部に対して起動指令を出力する前に、前記第1制御部は、前記第3開閉部にOFF指令および前記第4開閉部にON指令を出力し、前記電源設備からの直流電力により、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電する被試験装置の試験システム。
[付記2]
前記被試験装置を起動する前に、前記第1制御部は、前記電源設備に対して電力供給のためのON指令およびOFF指令を交互に出力し、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電する付記1に記載の被試験装置の試験システム。
[付記3]
前記被試験装置を起動する前に、前記第1制御部は、前記電源設備に対して定電流モードによる電力供給を指令し、前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電する付記1に記載の被試験装置の試験システム。
[付記4]
前記バイパス線および前記充電抵抗器を通して前記コンデンサを充電した後に、前記第1制御部は、前記第3開閉部にON指令を出力し、前記第4開閉部にOFF指令を出力する付記1から付記3のいずれか1項に記載の被試験装置の試験システム。
[付記5]
前記第1制御部が前記第3開閉部にON指令を出力し、前記第4開閉部にOFF指令を出力した後に、前記第1制御部は、前記第2制御部に対して起動指令を出力する付記4に記載の被試験装置の試験システム。
[付記6]
前記第1制御部が前記第2制御部に対して起動指令を出力した後に、前記第2制御部が前記電源設備からの入力電圧を測定する入力電圧測定部の測定電圧と、前記コンデンサの充電電圧を測定するコンデンサ電圧測定部の測定電圧とが同じと判断すれば、前記第2開閉部にON指令を出力する付記5に記載の被試験装置の試験システム。
[付記7]
前記第2制御部は前記第2開閉部にON指令を出力した後に、前記被試験装置の被試験回路を駆動するとともに、前記第1制御部は駆動された前記被試験回路の試験出力を測定する付記6に記載の被試験装置の試験システム。
[付記8]
前記第2制御部は、前記コンデンサの充電電圧が予め設定した時間内に予め設定した電圧にならない場合は、前記コンデンサの充電不良保護のために前記被試験装置を停止する機能を有する付記1から付記7のいずれか1項に記載の被試験装置の試験システム。
【符号の説明】
【0052】
100A,100B 試験装置、110A,110B 電源設備、
120A,120B 第1制御部、130A,130B 第3開閉部、
140A,140B 第4開閉部、200A,200B 被試験装置、
210 入力電圧測定部、220 第1開閉部、230 リアクトル、
240 充電抵抗器、245 第2開閉部、250 コンデンサ、260 被試験回路、270A,270B 第2制御部、300 電源線、400 バイパス線、
1000A,1000B 被試験装置の試験システム。