(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156243
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】路面投影システム
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/26 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
B60Q1/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070542
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】田邉 学
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA43
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA21
3K339CA30
3K339KA01
3K339KA06
3K339LA06
3K339LA11
3K339MA01
3K339MB10
3K339MC24
3K339MC42
3K339MC45
3K339MC52
3K339MC67
(57)【要約】
【課題】周囲の車両搭乗者や歩行者などから投影光が直接見えることによる眩惑を防止することを可能とする路面投影システムを提供する。
【解決手段】路面上に画像を投影する投影部110と、車両の姿勢変化に伴う眩惑を防止するために、投影部110による投影状態の変更が必要であるか否かを判定する投影状態変更要否判定部130と、投影状態変更要否判定部130の判定結果に基づいて、投影部110による投影状態を制御する投影制御部120とを備え、投影状態変更要否判定部130によって投影状態の変更が必要であると判定された場合、投影制御部120は、投影部110による投影状態を、通常投影状態から眩惑防止投影状態に変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上に画像を投影する投影部を備えた路面投影システムであって、
車両の姿勢変化に伴う眩惑を防止するために、前記投影部による投影状態の変更が必要であるか否かを判定する投影状態変更要否判定部と、
前記投影状態変更要否判定部の判定結果に基づいて、前記投影部による投影状態を制御する投影制御部と
を備え、
前記投影状態変更要否判定部によって投影状態の変更が必要であると判定された場合、前記投影制御部は、前記投影部による投影状態を、通常投影状態から眩惑防止投影状態に変更する
ことを特徴とする路面投影システム。
【請求項2】
前記投影状態変更要否判定部は、車両の姿勢変化を検出し、検出された車両の姿勢変化に基づいて、前記投影部による投影状態の変更が必要であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の路面投影システム。
【請求項3】
前記投影状態変更要否判定部は、車両のピッチング方向の角加速度に基づいて、車両の姿勢変化を検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の路面投影システム。
【請求項4】
前記投影状態変更要否判定部は、地図データに基づいて、車両の姿勢変化を事前に検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の路面投影システム。
【請求項5】
前記投影状態変更要否判定部は、車両から路面までの距離に基づいて、車両の姿勢変化を検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の路面投影システム。
【請求項6】
前記眩惑防止投影状態は、前記投影部による投影を停止した状態、又は、前記投影部による投影画像の照度を低下させた状態である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の路面投影システム。
【請求項7】
前記眩惑防止投影状態は、前記投影部による投影の一部を停止した状態、又は、前記投影部による投影画像の一部の照度を低下させた状態である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の路面投影システム。
【請求項8】
前記一部は、車両から遠い側に投影される部分である
ことを特徴とする請求項7に記載の路面投影システム。
【請求項9】
前記一部の大きさは、車両の姿勢変化の大きさに応じて決定される
ことを特徴とする請求項8に記載の路面投影システム。
【請求項10】
車両の前方の路面上に画像を投影するための第一の投影部と、車両の後方の路面上に画像を投影するため第二の投影部とを備え、
前記投影状態変更要否判定部によって投影状態の変更が必要であると判定された場合、前記投影制御部は、前記第一の投影部及び前記第二の投影部の少なくとも一方の投影状態を変更して、前記第一の投影部による投影状態と、前記第二の投影部による投影状態とが異なる投影状態になるようにする
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の路面投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面上に各種情報を投影する路面投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載され、路面上に各種情報を投影する路面投影システムが知られている。例えば、特許文献1には、自車両の走行状態等、車両に関する情報に基づいて、各種情報を、路面等に投射して表示することを可能にするため、車両に関する情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した情報に基づいて映像を投射する映像投射部とを備えた映像投射装置、及び、当該映像投射装置を搭載し、当該映像投射装置からの映像光を、自車両の前方及び後方に投射する乗用車が開示されている。特許文献1記載の映像投射装置を搭載した乗用車においては、例えば、方向指示器センサからの信号に基づき、自車両の進行方向を示す映像である矢印を車両前方の路面に投射すると共に、車速センサから入力される自車両の走行速度、そしてハンドル操舵角センサから入力されるハンドルの操舵角に基づいて、当該車両前方の路面に投射した矢印を点滅させることにより、周囲のドライバーや歩行者に対してより確実に提示(警告)し、高い安全性を確保することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の映像投射装置を搭載した乗用車では、例えば、登り坂から平坦路に急に変わるような場所(斜度の屈曲点)では、周囲の車両搭乗者や歩行者などから投影光が直接見えてしまって眩惑(グレア)を生じさせるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、周囲の車両搭乗者や歩行者などから投影光が直接見えることによる眩惑を防止することを可能とする路面投影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、路面上に画像を投影する投影部を備えた路面投影システムであって、車両の姿勢変化に伴う眩惑を防止するために、前記投影部による投影状態の変更が必要であるか否かを判定する投影状態変更要否判定部と、前記投影状態変更要否判定部の判定結果に基づいて、前記投影部による投影状態を制御する投影制御部とを備え、前記投影状態変更要否判定部によって投影状態の変更が必要であると判定された場合、前記投影制御部は、前記投影部による投影状態を、通常投影状態から眩惑防止投影状態に変更する。
【0007】
第一の態様に従属する第二の態様においては、前記投影状態変更要否判定部は、車両の姿勢変化を検出し、検出された車両の姿勢変化に基づいて、前記投影部による投影状態の変更が必要であるか否かを判定する。
【0008】
第二の態様に従属する第三の態様においては、前記投影状態変更要否判定部は、車両のピッチング方向の角加速度に基づいて、車両の姿勢変化を検出する。
【0009】
第二の態様に従属する第四の態様においては、地図データに基づいて、車両の姿勢変化を事前に検出する。
【0010】
第二の態様に従属する第五の態様においては、車両から路面までの距離に基づいて、車両の姿勢変化を検出する。
【0011】
第一から第五の態様に従属する第六の態様においては、前記眩惑防止投影状態は、前記投影部による投影を停止した状態、又は、前記投影部による投影画像の照度を低下させた状態である。
【0012】
第一から第五の態様に従属する第七の態様においては、前記眩惑防止投影状態は、前記投影部による投影の一部を停止した状態、又は、前記投影部による投影画像の一部の照度を低下させた状態である。
【0013】
第七の態様に従属する第八の態様においては、前記一部は、車両から遠い側に投影される部分である。
【0014】
第八の態様に従属する第九の態様においては、前記一部の大きさは、車両の姿勢変化の大きさに応じて決定される。
【0015】
第一から第九の態様に従属する第十の態様においては、車両の前方の路面上に画像を投影するための第一の投影部と、車両の後方の路面上に画像を投影するため第二の投影部とを備え、前記投影状態変更要否判定部によって投影状態の変更が必要であると判定された場合、前記投影制御部は、前記第一の投影部及び前記第二の投影部の少なくとも一方の投影状態を変更して、前記第一の投影部による投影状態と、前記第二の投影部による投影状態とが異なる投影状態になるようにする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、周囲の車両搭乗者や歩行者などから投影光が直接見えることによる眩惑を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による路面投影システムの構成を説明するための図である。
【
図2】車両の回転挙動の一つであるピッチングを説明するための図である。
【
図3】車両姿勢変化検出部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図4】通常投影状態での路面投影の様子を示す図である。
図4(a)は、平坦路での路面投影の様子を示し、
図4(b)は、坂道での路面投影の様子を示している。
【
図5】路面投影システムを搭載した車両が路面の屈曲点を通過した際の路面投影の様子を示す図である。
【
図6】眩惑防止状態の別の態様を説明するための図である。
【
図7】眩惑防止状態の更に別の態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
本発明による路面投影システムは、車両に搭載されて、車両の周囲(例えば、車両の前方や後方)に、各種情報を投影するものである。更に、本発明による路面投影システムは、後述するように、周囲の車両搭乗者や歩行者などから投影光が直接見えるような状況になった場合、投影状態を、通常の投影状態(通常投影状態)から、眩惑が防止できるような投影状態(眩惑防止投影状態)に変更するものである。
【0020】
まず、本発明による路面投影システムの構成について説明する。
【0021】
図1は、本発明による路面投影システムの構成を説明するための図である。
【0022】
同図に示すように、本発明による路面投影システム100は、投影部110と、投影制御部120と、投影状態変更要否判定部130とを備える。
【0023】
投影部110は、車両の周囲(本実施形態においては、車両の前方又は後方)の路面上に、各種情報を投影するものである。本実施形態においては、投影部110は、画像生成部111とプロジェクタ部112とを備える。なお、前方及び後方の両方の路面上に投影をする場合は、投影部110は、前方投影用のものと後方投影用のものがそれぞれ設けられる。
【0024】
画像生成部111は、車両に搭載された各種センサによって検知された情報(例えば、車両の周囲の状況やドアの開閉状況)等に基づいて、路面に投影する画像を生成するものである。画像生成部111の機能は、例えば、車両に搭載されたCPUがROMに予め記録されたプログラムを実行することで実現される。
【0025】
プロジェクタ部112は、画像生成部111によって生成された画像を、路面上に投影するものである。プロジェクタ部112は、例えば、液晶式プロジェクタその他のプロジェクタによって構成される。
【0026】
投影制御部120は、路面投影システム100の動作を制御するものであって、例えば、投影状態変更要否判定部130による判定結果に基づいて、投影部110の動作(投影部110による投影状態)を制御する。投影制御部120の機能は、例えば、車両に搭載されたCPUがROMに予め記録されたプログラムを実行することで実現される。
【0027】
投影状態変更要否判定部130は、車両の姿勢変化に伴う眩惑を防止するために、投影部110による投影状態を変更する必要があるか否かを判定するものである。本実施形態においては、投影状態変更要否判定部130は、車両の姿勢変化を検出し、検出された車両の姿勢変化に基づいて、投影部110による投影状態の変更が必要であるか否かを判定するため、加速度検知部131と、加速度データ処理部132と、車両姿勢変化検出部133とを備える。
【0028】
加速度検知部131は、加速度を検知するものであって、検知した加速度の値に対応する信号を出力するものである。加速度検知部131は、例えば、3軸加速度センサによって構成される。
【0029】
加速度データ処理部132は、加速度検知部131によって検知された加速度データに基づいて、車両の姿勢変化の検出に必要な情報(本実施形態においては、車両のピッチング方向の角加速度)を算出するものである。加速度データ処理部132の機能は、例えば、車両に搭載されたCPUがROMに予め記録されたプログラムを実行することで実現される。この場合、加速度検知部131からの出力信号は、A/D変換器によってデジタルデータに変換された上で、加速度データ処理部132によって処理される。また、加速度データ処理部132は、ノイズ除去などの必要な処理を行った上で、車両のピッチング方向の角加速度を算出する。
【0030】
図2は、車両の回転挙動の一つであるピッチングを説明するための図である。
【0031】
車両を左右方向に貫く軸を中心した回転運動をピッチングといい、同図に示すように、ピッチングにより、車両210の前後が上下動すると、車両210のピッチングにあわせて、車両210の前後に投射される投影光の向きについても上下動することになる。そして、このように投影光の向きが上下動すると、投影光が周囲の車両搭乗者や歩行者などの目に直接入るような状況が生じ得ることになる。本実施形態においては、車両姿勢がピッチング方向に急激に変化した場合に、当該車両姿勢の変化に伴う眩惑を防止するため、投影状態を変更する必要があると判定するようにしている。
【0032】
車両姿勢変化検出部133は、加速度データ処理部132によって算出された情報(車両のピッチング方向の角加速度)に基づいて、車両の前後姿勢の急激な変化が発生したことを検出するものである。車両姿勢変化検出部133の機能は、例えば、車両に搭載されたCPUがROMに予め記録されたプログラムを実行することで実現される。
【0033】
本実施形態においては、車両姿勢変化検出部133は、ピッチング方向の角加速度が所定の閾値を超えた場合に、車両の姿勢が前傾方向あるいは後傾方向に急激に変化したと判断する。
【0034】
図3は、車両姿勢変化検出部133の動作を説明するためのタイミングチャートである。同図では、加速度データ処理部132によって算出されたピッチング方向の角加速度の時間変化を示している。
【0035】
同図に示すように、ピッチング方向の角加速度301は、車両姿勢の時間変化に従って変動することになるが、車両姿勢がピッチング方向に急激に変化した場合、すなわち、急激に前傾、又は、後傾した場合、ピッチング方向の角加速度の絶対値が大きくなる。
【0036】
本実施形態においては、ピッチング方向の角加速度が所定の閾値を(正方向又は負方向に)超えたときに、ピッチング方向の急激な姿勢変化があったと判断するようにしている。すなわち、同図に示した例においては、ピッチング方向の角加速度301が、正の閾値311を上回るか、負の閾値312を下回るかした場合に、前傾方向あるいは後傾方向の急激な変化があったと判断する。なお、ここでは、正負それぞれの閾値を設けているが、ピッチング方向の角加速度の絶対値と、単一の閾値とを比較することによって、ピッチング方向の急激な姿勢変化の発生を検出するようにしてもよい。
【0037】
同図に示すように、ピッチング方向の角加速度が所定の閾値311,312を超えている間、車両姿勢変化検出部133は、急激な姿勢変化の発生を検出したこと(投影状態を変更する必要があること)を示す信号320を出力する(信号320をHレベルにする)。信号320については、投影状態変更要否判定部130による判定結果を示す信号として、投影制御部120に入力される。
【0038】
車両姿勢変化検出部133によって車両の前後姿勢の急激な変化が発生したことが検出されて、投影状態の変更が必要であることを示す信号320が出力されると、投影制御部120は、投影部110を制御して、投影部110による投影状態を、通常の投影状態(通常投影状態)から、眩惑を防止可能な投影状態(眩惑防止投影状態)に変更する。例えば、画像生成部111で生成した画像の全部又は一部の投影を停止させたり、投影部110によって投影される投影画像の全部又は一部の照度を低下させる。
【0039】
図4は、通常投影状態での路面投影の様子を示す図である。同図では、車両の後方の路面に投影する場合を示しており、同図(a)は、平坦路での路面投影の様子を示し、同図(b)は、坂道での路面投影の様子を示している。
【0040】
同図に示すように、路面投影システム100を搭載した車両410は、車両410の後端部から一定距離の路面上に、投影光411を照射するが、路面の傾斜(勾配)が一定であれば、平坦路であるか坂道であるかに関わらず、投影光411が、後続の歩行者420の目に直接入ることはない。この点は、後続の車両や二輪車の搭乗者についても同様である。
【0041】
図5は、路面投影システム100を搭載した車両が路面(傾斜)の屈曲点を通過した際の路面投影の様子を示す図である。なお、
図5等においては、ハッチングを付すことによって投影光が眩惑防止投影状態になっていることを示している。
【0042】
同図に示すように、路面の傾斜が大きく(不連続に)変化する場合、投影光511をそのまま投影すると、歩行者520の目に直接入ってしまうことになる。
【0043】
路面投影システム100を搭載した車両510においては、車両姿勢変化検出部133によって、車両姿勢が大きく変化したことが検出されると、投影部110による投影状態が、通常投影状態から、眩惑防止投影状態へと切り替えられる。例えば、投影部110による投影が停止されたり、投影光511の照度が低下されたりする。その結果、後続の歩行者520の目に、投影光511が直接入ることによる眩惑が防止されることになる。この点は、後続の車両や二輪車の搭乗者についても同様である。
【0044】
なお、ここでは、後方の路面に向けて投影している場合について説明したが、前方の路面に向けて投影している場合(
図7参照)についても、路面の屈曲点を通過する際、投影部110による投影状態が、通常投影状態から、眩惑防止投影状態へと切り替えられて、対向の歩行者の目に、投影光が直接入ることによる眩惑が防止されることになる。
【0045】
次に、眩惑防止投影状態の別の態様について説明する。
【0046】
図6は、眩惑防止投影状態の別の態様を説明するための図である。ここでは、投影画像の全部を眩惑防止投影状態にするのではなく、投影画像の一部について、眩惑防止投影状態にする場合について説明する。
【0047】
同図に示すように、投影画像全体のうち、車両610から遠い側の部分(後続者に対して影響を及ぼす可能性が高い部分)611について、眩惑防止投影状態にしている。このようにすることで、歩行者620の目に投影光が直接入ることを防止しつつ、車両610に近い側の部分(後続者に対して影響を及ぼす可能性が低い部分)612については投影を継続することができる。
【0048】
なお、この場合、眩惑防止投影状態にする部分611の大きさ(範囲)については、固定にすることもできるし、可変にする(例えば、車両610の姿勢変化の大きさに応じた大きさにする)こともできる。
【0049】
次に、眩惑防止投影状態の更に別の態様について説明する。
【0050】
図7は、眩惑防止投影状態の更に別の態様を説明するための図である。ここでは、車両の前方及び後方の両方の路面上に投影している場合において、前方及び後方のうちの一方についてのみ、投影状態を眩惑防止投影状態に切り替え、他方については、投影状態を通常投影状態に維持する場合について説明する。
【0051】
同図に示した例においては、車両710が、平坦路から下り坂に移行する地点(路面の屈曲点)を通過する際、前方の投影光711だけを眩惑防止投影状態に切り替える一方で、後方の投影光712については通常投影状態に維持している。このようにすることで、対向から上り坂を上って来ている歩行者720の目に投影光711が直接入ることと防止しつつ、後方の投影光712については、通常の投影状態を維持することができる。
【0052】
なお、前方及び後方の一方のみではなく、前方及び後方の両方について、投影状態を眩惑防止投影状態に切り替えるが、前方と後方とで、眩惑防止投影状態の態様(眩惑防止レベル)を異なるようにすることも考えられる。例えば、前方については、投影の全部を停止させる一方で、後方については、投影画像の照度を低下させたり、前方及び後方の両方について投影画像の照度を低下させるが、相対的に、前方より後方の照度を高くすることが考えられる。
【0053】
以上説明したように、上述した路面投影システムにおいては、車両のピッチング方向の姿勢の急激な変化の発生を検出した場合、投影部の投影状態を、眩惑を防止可能な投影状態に切り替えるようにしているので、路面の屈曲点を通過する際、投影光が直接、周囲の歩行者等の目に入るのを防止することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態においては、車両のピッチング方向の角加速度に基づいて、車両の姿勢変化を検出するようにしていたが、他の方式で車両の姿勢変化を検出することも考えられる。例えば、角加速度を積分することで、車両のピッチング方向の角速度を算出し、更に、角速度を積分することで姿勢角度を算出して、算出された姿勢角度に基づいて、車両の姿勢変化を検出するようにすることも考えられる。
【0055】
また、車両の前方又は後方を撮像するカメラを設けて、当該カメラによって撮像された撮像データに基づいて、車両の姿勢変化を検出することも考えられる。また、車両の前方又は後方の路面(投影対象領域)までの距離を測定する測距センサを設けて、測距センサによって検知された距離データに基づいて、車両の姿勢変化を検出することも考えられる。また、車両に予め地図データ(勾配データ)を搭載しておき、当該地図データ(勾配データ)に基づいて、車両の姿勢変化を事前に(路面の屈曲点に到達する前に)検出(予測)することも考えられる。また、上述した方式を複数組み合わせて、車両の姿勢変化を検出することも考えられる。
【符号の説明】
【0056】
100 路面投影システム
110 投影部
111 画像生成部
112 プロジェクタ部
120 投影制御部
130 投影状態変更要否判定部
131 加速度検知部
132 加速度データ処理部
133 車両姿勢変化検出部
210 車両
301 ピッチング方向の角加速度
311,312 閾値
320 車両姿勢変化検出信号
410 車両
411 投影光
420 歩行者
510 車両
511 眩惑防止投影状態の投影光
520 歩行者
610 車両
611 眩惑防止投影状態の投影光
612 通常投影状態の投影光
620 歩行者
710 車両
711 眩惑防止投影状態の投影光
712 通常投影状態の投影光
720 歩行者