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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156246
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】組立ライン
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20241029BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20241029BHJP
   B65G 25/02 20060101ALI20241029BHJP
   B43K 5/16 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B23P19/00 302Z
B23P21/00 307F
B65G25/02 Z
B43K5/16 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070546
(22)【出願日】2023-04-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 工場見学の実施日:令和4(2022)年10月7日、同月13日、同月26日、11月7日、同月9日、同月29日 令和5(2023)年2月13日、同月27日、3月3日、同月9日、同月15日、同月24日、4月17日、同月21日 工場の場所:シヤチハタエンジニアリング株式会社 山形工場 (山形県山形市くぬぎざわ西2番1)
(71)【出願人】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高山 凌駕
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 愛輔
(72)【発明者】
【氏名】矢口 隼人
(72)【発明者】
【氏名】半澤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 宣幸
(72)【発明者】
【氏名】安孫子 茂宣
(72)【発明者】
【氏名】東海林 達也
(72)【発明者】
【氏名】大沼 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】荻野 和彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友一
【テーマコード(参考)】
2C350
3C030
3F036
【Fターム(参考)】
2C350GA04
2C350KF05
2C350NE02
3C030DA22
3F036CA05
3F036CB08
(57)【要約】
【課題】
本発明は、搬送装置の搬送停止・再開の煩雑な動作制御をすることなく、組立装置により対象物の組立が可能な組立ラインを提供する。
【解決するための手段】
対象物に部材を組み付ける組立装置と、一定間隔毎に対象物を保持する複数の溝を形成した固定レールと、前記溝と同間隔で前記対象物を保持する凹部を形成し前記固定レールに対して上下及び長さ方向に相対的に反復運動する駆動レールとを有し、前記対象物の搬送過程において前記駆動レールが、前記対象物と接触した状態の移送状態と、前記対象物と非接触の非移送状態とを繰り返す事により前記組立装置に前記対象物を搬送する搬送装置と、からなる組立ラインであって、前記組立装置は、前記搬送装置が非移送状態のときに前記対象物の組立作業を行うように制御されている事を特徴とする組立ライン
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に部材を組み付ける組立装置と、
一定間隔毎に対象物を保持する複数の溝を形成した固定レールと、前記溝と同間隔で前記対象物を保持する凹部を形成し前記固定レールに対して上下及び長さ方向に相対的に反復運動する駆動レールとを有し、前記対象物の搬送過程において前記駆動レールが、前記対象物と接触した状態の移送状態と、前記対象物と非接触の非移送状態とを繰り返す事により前記組立装置に前記対象物を搬送する搬送装置と、
からなる組立ラインであって、
前記組立装置は、前記搬送装置が非移送状態のときに前記対象物の組立作業を行うように制御されている事を特徴とする組立ライン。
【請求項2】
前記対象物が筆記具本体であることを特徴とする請求項1に記載の組立ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置の搬送停止・再開の煩雑な動作制御をすることなく、組立装置により対象物の組立が可能な組立ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場で筆記具の量産を行うにあたり、回転テーブルを用いて組立装置に筆記具本体を搬送し、順次部材の組付けを行う筆記具組み立てラインが知られている(特許文献1)。この場合、組立作業時に搬送動作を一時停止し、次の組立装置へ移送する際に搬送動作を再開する必要があり、搬送装置の動作制御が煩雑であった。
一方、対象物が載置される固定レールと、固定レールに載置された対象物を持ち上げて水平方向に搬送する駆動レールとからなる搬送装置(所謂ウォーキングビーム方式の搬送装置)は、特許文献2、3に開示がある。この方式の搬送装置は、対象物の搬送過程において駆動レールが、前記対象物と接触した状態の移送状態と、前記対象物と非接触の非移送状態とを繰り返す事により対象物を搬送するものである。即ち、「非移送状態」においては、対象物が静止する時間が存在するものであり、この性質を利用して、当該静止時間に組立装置による組立作業を行うように制御した組立ラインは従来技術には無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭55-41200号
【特許文献2】特開平07-40697号
【特許文献3】実開昭56-158421号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであって、搬送装置の搬送動作の停止・再開の煩雑な動作制御をする必要が無い組立ラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために完成された本発明は、対象物に部材を組み付ける組立装置と、一定間隔毎に対象物を保持する複数の溝を形成した固定レールと、前記溝と同間隔で前記対象物を保持する凹部を形成し前記固定レールに対して上下及び長さ方向に相対的に反復運動する駆動レールとを有し、前記対象物の搬送過程において前記駆動レールが、前記対象物と接触した状態の移送状態と、前記対象物と非接触の非移送状態とを繰り返す事により前記組立装置に前記対象物を搬送する搬送装置と、からなる組立ラインであって、前記組立装置は、前記搬送装置が非移送状態のときに前記対象物の組立作業を行うように制御されている事を特徴とする組立ラインである。また、前記対象物が筆記具本体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、対象物に部材を組み付ける組立装置と、一定間隔毎に対象物を保持する複数の溝を形成した固定レールと、前記溝と同間隔で前記対象物を保持する凹部を形成し前記固定レールに対して上下及び長さ方向に相対的に反復運動する駆動レールとを有し、前記対象物の搬送過程において前記駆動レールが、前記対象物と接触した状態の移送状態と、前記対象物と非接触の非移送状態とを繰り返す事により前記組立装置に前記対象物を搬送する搬送装置と、からなる組立ラインであって、前記組立装置は、前記搬送装置が非移送状態のときに前記対象物の組立作業を行うように制御されている事を特徴とする組立ラインである為、搬送過程で対象物が静止する時間(非移送状態)が存在し、この時間に組立装置により対象物の組立が可能となる。従って、搬送装置の搬送動作の停止・再開の煩雑な動作制御をすることなく、装置の簡略化が望める。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】組立てられた筆記具の中央縦断面図である。
図2】実施形態の組立ラインの全体図である。
図3】実施形態の各組立ユニットを側面視で概略的に示した模式図である。
図4】実施形態の搬送装置の平面図である。
図5】実施形態の搬送装置の搬送過程を説明する為の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(筆記具)
以下に本発明の実施形態を説明するが、まず、組立てられた筆記具1の構造を示す。
図1は、この筆記具1の中央縦断面図であり、中空の筆記具本体10の内部に細長円筒状の吸収体11が挿入されている。吸収体11は多孔質であり、インクを含浸させてある。筆記具本体10の開口端部にはペン芯ホルダ12が嵌合されている。ペン芯ホルダ12は中心孔を備え、その内部にペン芯13が挿入されている。ペン芯13の一端は吸収体11に差し込まれている。ペン芯ホルダ12とペン芯13はキャップ14で覆われている。なお、本明細書では、図1に示す筆記具1の軸線方向Dにおいて、ペン芯13側を前側、ペン芯13側と反対側を後側とする。
【0009】
本実施形態における筆記具組立ライン2は、図2に示すように、筆記具本体10に各部材(吸収体11、ペン芯ホルダ12、ペン芯13、キャップ14)を組み付けるための複数の組立ユニットから構成される組立装置4と、各組立ユニットに筆記具本体10を搬送するための搬送装置3と、搬送装置3の最上流位置に筆記具本体10を供給する筆記具本体供給装置5と、完成された筆記具1を排出する排出部6とからなる。
【0010】
(組立装置)
本実施形態における筆記具1の組立装置4の概略を説明する。組立装置4は図2に示されるように、搬送装置3に沿って直線状に配置され、搬送装置3から搬送されてくる筆記具本体10に各部材の組付けを行うための複数の組立ユニットから構成されている。具体的には、筆記具本体10に吸収体11を挿入する吸収体挿入ユニット40と、吸収体11にペン芯ホルダ12を係止するペン芯ホルダ係止ユニット41と、ペン芯ホルダ12を吸収体11とともに筆記具本体10の内部に圧入し嵌合させるペン芯ホルダ圧入ユニット42と、筆記具本体10に嵌合されたペン芯ホルダ12にペン芯13を挿入するペン芯挿入ユニット43と、挿入されたペン芯13を圧入するペン芯圧入ユニット44と、筆記具本体10にキャップ14を被せるキャップ挿入・圧入ユニット45と、から構成される。
【0011】
尚、吸収体挿入ユニット40よりも上流側には筆記具本体を搬送装置3に供給する筆記具本体供給装置5が設置され、また、キャップ係止・圧入ユニット45の下流側には各組立ユニットを経て完成された筆記具1を排出する排出部6が設置されている。
【0012】
以下に、図2図3に基づいて筆記具本体供給装置5及び各組立ユニットについて説明する。尚、各組立ユニットの動作制御については後述する(制御方式)の欄で詳細に説明する。
【0013】
(供給装置)
実施形態の筆記具本体供給装置5は、図2に示すように、筆記具本体10の筆記具本体供給ホッパー50から搬送装置3に筆記具本体10を供給する。供給ホッパーには筆記具本体10が搬送される向きに収容されており、供給口に連結した傾斜面(図示なし)を転がって後述する搬送装置3の固定レール30の溝32に保持される。
【0014】
(吸収体挿入ユニット)
吸収体挿入ユニット40は、図2図3(a)に示すように、吸収体ホッパー40aと、吸収体受け治具40bと、吸収体プッシャー40cと、ワーク保持部40dとから構成される。
【0015】
吸収体ホッパー40aは、吸収体11を収容しており、吸収体受け治具40bに吸収体11を供給する。また、吸収体ホッパー40aは、図示しないインキタンクと接続されたインキ注入用のニードルNを挿入可能な構成としてもよい。実施形態の吸収体ホッパー40aは、前後方向に進退可能なニードルNによって内部の吸収体11にインキが注入される構造となっている。
【0016】
吸収体受け治具40bは、吸収体ホッパー40aの下方に設けられ、供給された吸収体11を載置する。載置する面には前後方向にわたって断面半円形状の溝部(図示無し)が形成されており、吸収体11はこの溝部内に保持される。この溝部の深さ寸法は吸収体11の直径より小さいことが好ましい。
【0017】
吸収体プッシャー40cは、図3(a)に示されるように、吸収体受け治具40b上に保持された吸収体11を前方から後方へ押圧して筆記具本体10の内部に挿入する。このとき、吸収体11は筆記具本体10から一部が突出した状態で挿入される。実施形態の吸収体プッシャー40cは、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。吸収体プッシャー40cの中心軸と、吸収体受け治具40b上に載置された筆記具本体10及び吸収体11の中心軸は同軸である。
【0018】
ワーク保持部40dは、吸収体受け治具40bの上方に、図示しない駆動源により上下動可能に設けられている。搬送されてきた筆記具本体10に対して上方から加圧することができ、筆記具本体10を安定させることができる。本実施形態において、駆動源は圧縮空気によって作動するエアシリンダを用いる。
【0019】
次に、吸収体挿入ユニット40の動作について説明する。実施形態の吸収体挿入ユニット40はワーク保持部40dを下降させることで、図4(a)に模式的に示されるように筆記具本体10の側面を押圧し、ワークである筆記具本体10が動かないように保持する。筆記具本体10がワーク保持部材40dによって保持されると、吸収体プッシャー40cが吸収体11を筆記具本体10に向かって押圧し、吸収体11が一部を突出した状態で筆記具本体10の内部に挿入される。
【0020】
吸収体11が、図3(a)に示すように規定の長さの出代を残して筆記具本体10に挿入されると、吸収体プッシャー40cは押圧を止めて元の位置に戻り、ワーク保持部40dが上昇して筆記具本体10の押圧が解除される。この一連の動作は、後述する搬送装置3の駆動レール31が「非移送状態」の間に行うように制御されている。その後、吸収体11が挿入された筆記具本体10は、駆動レール31によって持ち上げられてペン芯ホルダ係止ユニット41まで水平方向に搬送される。
【0021】
(ペン芯ホルダ係止ユニット)
ペン芯ホルダ係止ユニット41は、図2図3(b)に示されるように、ペン芯ホルダ供給ホッパー41aと、ペン芯ホルダ供給スライダ41bと、ペン芯ホルダ受け治具41cと、ペン芯ホルダプッシャ41dと、ワーク保持部41eと、吸収体押さえ部材41fを備えている。
【0022】
ペン芯ホルダ供給スライダ41bは、図2に示すように、ペン芯ホルダ供給ホッパー41aと接続された傾斜面を有する部材である。実施形態では、ペン芯ホルダ12は、傾斜面にガイドされてペン芯ホルダ受け治具41cの上に1個ずつ供給される。
【0023】
ペン芯ホルダ受け治具41cは、供給スライダ41bから供給されたペン芯ホルダ12を載置する。ペン芯ホルダ12は、載置面上の前後方向にわたって形成された断面半円形状の溝部(図示無し)内に載置される。
【0024】
ペン芯ホルダプッシャー41dは、ペン芯ホルダ受け治具41c上に載置されたペン芯ホルダ12を前方から後方へ押圧し、筆記具本体10から一部突出した吸収体11に被せて係止させる。実施形態のペン芯ホルダプッシャー41dは、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。ペン芯ホルダ係止ユニット41では、ペン芯ホルダプッシャー41dとペン芯ホルダ受け治具41c上に載置されたペン芯ホルダ12と、筆記具本体10とが同軸となるように配置される。
【0025】
ワーク保持部41eは、ペン芯ホルダ12係止時にワークを押さえて安定させるものであり、その基本的な構造は吸収体挿入ユニット40に設けられたワーク保持部40dと共通である為、重複する説明を省略する。
【0026】
吸収体押さえ部材41fは筆記具本体10から1部突出した吸収体11を固定するものであり、ワーク保持部41eと同時に作動して吸収体11へのペン芯ホルダ12の係止を安定化させる。
【0027】
ペン芯ホルダ係止ユニット41の動作について説明する。実施形態のペン芯ホルダ係止ユニット41はワーク保持部41eを下降させることで、図3(b)に模式的に示されるように、ワークである筆記具本体10が動かないように保持する。このとき、吸収体11のうち筆記具本体10から突出した部分は、下降した吸収体押さえ部材41fによって押さえられて固定される。吸収体押さえ部材41fの吸収体11と当接する部分は、吸収体11の外周面に沿った形状とすることが好ましい。また、吸収体押さえ部材41fと対向する位置には、吸収体11の下側を支持する部材が設けられていることが好ましい。
【0028】
吸収体11の突出部分が吸収体押さえ部材41fによって固定されると、ペン芯ホルダ圧入プッシャー41dがペン芯ホルダ12を吸収体11に向かって押し、ペン芯ホルダ12が吸収体11の前端部に被せられて係止される。
【0029】
ペン芯ホルダ12が吸収体11に係止されると、ペン芯ホルダ圧入プッシャー41dは押圧を止めて元の位置に戻り、ワーク保持部41eが上昇して筆記具本体10及び吸収体11の固定が解除される。この一連の動作は、後述する搬送装置3の駆動レール31が「非移送状態」の間に行うように制御されている。その後、吸収体11の前端部にペン芯ホルダ12が係止された筆記具本体10は、駆動レール31によって持ち上げられてペン芯ホルダ圧入ユニット42に搬送される。
【0030】
(ペン芯ホルダ圧入ユニット)
ペン芯ホルダ圧入ユニット42は、図3(c)に示すように、ペン芯ホルダ圧入プッシャー42aと、ワーク保持部42bとを備えている。
【0031】
ペン芯ホルダ圧入プッシャー42は、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。ペン芯ホルダ圧入プッシャー42aと筆記具本体10とは同軸に配置される。
【0032】
ペン芯ホルダ圧入ユニット42に設けられたワーク保持部42bも、基本的な構造は吸収体挿入ユニット40に設けられたワーク保持部40dと共通である為、重複する説明を省略する。
【0033】
ペン芯ホルダ圧入ユニット42の動作について説明する。実施形態のペン芯ホルダ圧入ユニット42はワーク保持部42bを下降させることで、図3(c)に模式的に示されるように、ワークである筆記具本体10が動かないように保持する。
【0034】
筆記具本体10が固定されると、ペン芯ホルダ圧入プッシャー42aがペン芯ホルダ12を筆記具本体10に向かって押し込み、ペン芯ホルダ12は吸収体11とともに筆記具本体10に押し込まれて圧入され、筆記具本体10の開口端部に嵌合する。
【0035】
ペン芯ホルダ12が筆記具本体10の開口端部に嵌合すると、ペン芯ホルダ圧入プッシャー42aは押圧を止めて元の位置に戻り、ワーク保持部42bが上昇して筆記具本体10の固定が解除される。この一連の動作は、後述する搬送装置3の駆動レール31が「非移送状態」の間に行うように制御されている。その後、筆記具本体10は、駆動レール31によって持ち上げられてペン芯挿入ユニット43に搬送される。
【0036】
(ペン芯挿入ユニット)
ペン芯挿入ユニット43は、図2図3(d)に示すように、ペン芯供給ホッパー43aと、ペン芯載置ステージ43bと、ペン芯把持装置43cと、ペン芯供給スライダ43dと、ペン芯受け治具43eと、ペン芯プッシャー43fと、ワーク保持部43gと、を備えている。
【0037】
ペン芯載置ステージ43bは、ペン芯供給ホッパー43aから供給されたペン芯13を載置するものであり、図示しない駆動源により、ペン芯供給ホッパー43aから供給される供給位置とペン芯把持装置43cによる把持に適した位置の間を往復できるように構成されている。また、ペン芯挿入ユニット43には、ペン芯載置ステージ43bが載置されたペン芯の重なりを解除する為に振動発生手段を更に設けていることが好ましい。
【0038】
ペン芯把持装置43は、ペン芯載置ステージ43b上のペン芯を撮像する図示しない撮像手段と、撮像手段により撮像した画像の解析結果に基づいてペン芯を1つずつ把持してペン芯供給スライダ43dまで移動させるアームを有する。
【0039】
ペン芯供給スライダ43dは、ペン芯把持装置43cから受け取ったペン芯13をペン芯受け治具43eの上に1個ずつ供給する。
【0040】
ペン芯受け治具43eには、ペン芯供給スライダ43dから供給されたペン芯13が載置される。また、実施形態のペン芯プッシャー43fは、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。
【0041】
ペン芯挿入ユニット43に設けられたワーク保持部43gも、基本的な構造は吸収体挿入ユニット40に設けられたワーク保持部40dと共通である為、重複する説明を省略する。
【0042】
ペン芯挿入ユニット43の動作について説明する。実施形態のペン芯挿入ユニット43はワーク保持部43gを下降させることで、図3(c)に模式的に示されるように、ワークである筆記具本体10が動かないように保持する。筆記具本体10が固定されると、ペン芯プッシャー43fがペン芯13を押圧し、ペン芯ホルダ12に挿入する。
【0043】
ペン芯ホルダ12へのペン芯13の挿入が完了すると、ワーク保持部43gが上昇して筆記具本体10の固定が解除される。この一連の動作は、後述する搬送装置3の駆動レール31が「非移送状態」の間に行うように制御されている。その後、筆記具本体10は、駆動レール31によって持ち上げられてペン芯圧入ユニット44に搬送される。
【0044】
(ペン芯圧入ユニット)
ペン芯圧入ユニット44は、図4(e)に模式的に示されるように、ペン芯圧入プッシャー44aと、ワーク保持部44bとを備えている。
【0045】
ペン芯圧入プッシャー44aは、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。ペン芯圧入プッシャー44aと筆記具本体10とは同軸に配置される。
【0046】
ペン芯圧入ユニット44に設けられたワーク保持部44bも、基本的な構造は吸収体挿入ユニット40に設けられたワーク保持部40dと共通である為、重複する説明を省略する。
【0047】
ペン芯圧入ユニット44の動作について説明する。ペン芯圧入ユニット44はワーク保持部44bを下降させることで、図3(e)に模式的に示されるように、ワークである筆記具本体10が動かないように保持する。
【0048】
筆記具本体10が固定されると、ペン芯圧入プッシャー44aがペン芯13をペン芯ホルダ12に向かって押し込み、ペン芯13はペン芯ホルダ12に押し込まれて圧入され、ペン芯ホルダ12の開口端部に嵌合する。ペン芯13がペン芯ホルダ12の開口端部に嵌合すると、ペン芯圧入プッシャー44aは押圧を止めて元の位置に戻り、ワーク保持部44bが上昇して筆記具本体10の固定が解除される。この一連の動作は、後述する搬送装置3の駆動レール31が「非移送状態」の間に行うように制御されている。その後、筆記具本体10は、駆動レール31によって持ち上げられてキャップ挿入・圧入ユニット45に搬送される。
【0049】
(キャップ挿入・圧入ユニット)
実施形態のペン芯圧入ユニット45は図2図4(f)に模式的に示されるように、キャップ供給ホッパー45aと、キャップ供給スライダ45bと、キャップ受け治具45cと、キャップ挿入・圧入プッシャー45dと、ワーク保持部45eを備えている。
【0050】
キャップ供給スライダ45bは、図2に示すように、キャップ供給ホッパー45aと接続されている。実施形態では、キャップ14は、キャップ供給スライダ45bからペン芯ホルダ受け治具45cの上に1個ずつ供給される。
【0051】
キャップ受け治具45cには、ペン芯供給スライダ45bから供給されたキャップ14が載置される。また、実施形態のキャップ挿入・圧入プッシャー45dは、図示しないシリンダなどの駆動機構によって前後方向に進退可能な長尺の棒状部材である。
【0052】
キャップ挿入・圧入ユニット45に設けられたワーク保持部45eも、基本的な構造は吸収体挿入ユニット40に設けられたワーク保持部40dと共通である為、重複する説明を省略する。
【0053】
キャップ挿入・圧入ユニット45の動作について説明する。キャップ挿入・圧入ユニット45はワーク保持部45eを下降させることで、図3(f)に模式的に示されるように、ワークである筆記具本体10が動かないように保持する。
【0054】
筆記具本体10が固定されると、キャップ挿入・圧入プッシャー45dがキャップ14をペン芯ホルダ12に向かって押し込み、キャップ14はペン芯ホルダ12に押し込まれて圧入され嵌合する。キャップ14がペン芯ホルダ12に嵌合すると、圧入プッシャー45dは押圧を止めて元の位置に戻り、ワーク保持部45eが上昇して筆記具本体10の固定が解除される。この一連の動作は、後述する搬送装置3の駆動レール31が「非移送状態」の間に行うように制御されている。
【0055】
(搬送装置)
続いて本実施形態における搬送装置3について説明する。搬送装置3は、図4図5に示すように、一定間隔毎に筆記具本体10を載置・保持する複数の溝32を形成した1対の固定レール30と、前記溝32と同間隔で前記筆記具本体10を載置・保持する凹部33を形成し、前記固定レール30に対して相対的に反復円運動する1対の駆動レール31とを有している。溝32と凹部33は共に同寸法の逆三角形状で形成されており、また、固定レール30と駆動レール31は、図2に示すように、筆記具本体10の筆記具本体供給装置5から筆記具1完成品の排出部6に至るまで直線状に設けられる。また、固定レール30の1対のレールの間隔は筆記具本体10を両端部で保持できるように筆記具本体10の全長より少し短く設計されており、1対の駆動レール31は、1対の固定レール30の各レールの内側に設けられている。尚、駆動レール31は1対とも固定レール30の外側に設けても良いし、一方を外側、他方を内側に設けても良い。
【0056】
駆動レール31は、図5(a)~(d)に示すように、図示しないモーター(駆動源)により軸35を中心に回転する偏心板34を介して取り付けられており、モーターが回転すると、固定レール30に対して相対的に円運動する。尚、本実施例において、モーターの1回転が駆動レール31の1回転と対応している。
【0057】
駆動レール31の円運動は、固定レール30の上縁の上下においてそれぞれ動くように位置設定されており、駆動レール31の上縁と固定レール30の上縁が同一高さになったときにそれぞれの溝32、凹部33の位置が一致する(図5(a))。この状態の駆動レール31の位置を「原点位置」とする。原点位置においては駆動レール31の凹部33は、固定レール30の溝32に保持された筆記具本体10に接触している。この状態から偏心板34が更に回転すると、筆記具本体10は駆動レール31の凹部33によりさらわれて半円状の軌跡を描くように移動し(図5(b))、固定レール30の次の溝32まで移送され、再度、凹部33と溝32の位置が一致する(図5(c))。尚、図5(c)の状態では駆動レール31の凹部33と筆記具本体10は依然として接触状態にある。
【0058】
前記した図5(a)~(c)までの状態、即ち、凹部33と筆記具本体10が接触した状態を本発明において「移送状態」と定義する。また、図5(c)の状態から、偏心板34が更に回転し、駆動レール31の凹部33と筆記具本体10が非接触状態になった後、半円状の軌跡を描くように移動し(図5(d))、再度凹部33と筆記具本体10とが接触する(図5(a))直前までの状態、即ち、凹部33と筆記具本体10が非接触状態を本発明において「非移送状態」と定義する。搬送装置3は「移送状態」と、「非移送状態」とを繰り返す事により各組立ユニットに筆記具本体10を搬送することが可能となる。
【0059】
尚、本実施形態において、駆動レール31は固定レール30に対して円運動しながら搬送する方式を採用しているが、矩形運動による搬送方式でも問題なく採用可能である。即ち、駆動レール31は、駆動源による垂直方向の上昇、下降運動及び水平方向の前進、後進運動を組み合わせることで固定レール30に対して矩形状に運動しながら筆記具の搬送ができる。
【0060】
各組立ユニットは、搬送装置3が「非移送状態」のときに筆記具本体に部材の組付けを行うように制御されている。具体的な制御方法について以下に説明する。
【0061】
(制御方式)
搬送装置3のモーターは図示しないロータリエンコーダを備えている。ロータリエンコーダは、モーターの回転速度や回転量を検出するセンサである。ロータリエンコーダは、モーターと一体で回転する円板状のエンコーダディスク(図示無し)と、フォトインタラプタ(図示無し)とを備える。エンコーダディスクは、光を透過する透光部と、光を遮光する遮光部とが周方向に沿って交互に並ぶ構成を有する。フォトインタラプタは、対向する発光部と受光部を持ち、発光部からの光を物体が遮るのを受光部で検出することによって、物体の有無判定するセンサである。フォトインタラプタは、発光部と受光部の間に配置したエンコーダディスクを走査し、複数のパルス信号を出力する。この複数のパルス信号をカウンタでカウントしたものが制御装置(図示無し)に入力され、制御装置は入力したパルス数に基づいて各組立ユニットの動作を制御する。
【0062】
本実施例で使用するロータリエンコーダは、モーターが1回転する間に23400のパルス数を出力する。モーターが回転している間は常にパルス信号が出力され加算されていくが、駆動レール31が原点位置に達したことを認識した場合にパルス数を「0」にリセットするように設定されている。原点位置の認識は、例えば光学式センサー等により駆動レール31の上縁が固定レール32の上縁に一致したことを認識したことを以って行うようにすることが考えられる。
【0063】
この場合において、パルス数が0~8200の領域が、図5(a)~(c)に示すように駆動レール31の凹部33と筆記具本体10が接触状態の「移送状態」に対応する。一方、パルス数が8201~23400の領域は図5(c)の直後から図5(d)の直前までの駆動レール31の凹部33と筆記具本体10が非接触状態の「非移送状態」に対応する。
【0064】
制御装置は、ロータリエンコーダから取得したパルス数が8201~23400の「非移送状態」の間に各組立ユニットを作動させ、筆記具本体10への部材組付けを行うように制御している。即ち、制御装置がパルス数8201を認識した時点で各組立ユニットの各ワーク保持部の駆動源を作動させ、筆記具本体10を保持する。その後、パルス数が23400に達するまでに所定の組立作業を行い、各ワーク保持部を元の位置に復帰させるよう動作制御を行う。所定の組立作業とは、筆記具本体10への各部材の組立に必要な動作を指しており、例えば、吸収体挿入ユニット40の場合、吸収体プッシャー40cの駆動源を作動させ、筆記具本体10への吸収体11の挿入及び、吸収体プッシャー40cの元の位置へ復帰させるまでの作業である。
【0065】
「非移送状態」の時間は筆記具製造におけるタクトタイムを考慮して0.5秒~1.5秒に設定することが好ましく、この時間はモーターの回転速度によって適宜変更可能である。
【0066】
また、本実施形態ではパルス数によって組立ユニットの動作制御を行っているが、それに限定されず制御方式は適宜変更可能である。例えば、駆動レール31の原点位置を認識するセンサーと、当該センサーで原点位置を認識した際に時刻を「0」秒にリセットするカウンタと、「移送状態」「非移送状態」の時間を事前に記憶させた制御装置と、からなる時間計測による制御方式が考えられる。ここで、原点位置の認識は、例えば光学式センサー等により駆動レール31の上縁が固定レール32の上縁に一致したことを認識したことを以って行うようにすることが考えられる。リセット後の「移送状態」の時間経過後が「非移送状態」の始点となる為、その時点から事前に制御装置が記憶している「非移送状態」の時間の間に制御装置は各組立ユニットを制御すればよいことになる。
【0067】
以上説明してきたように、本発明では、搬送装置3のモーターが連続駆動状態であっても駆動レール31と筆記具本体10が非接触となる「非移送状態」が間欠的に発生するというウォーキングビーム方式の搬送装置の特性を利用して、「非移送状態」の間に部材の組付けが行える為、搬送動作の停止・再開といった煩雑な動作制御をする事無く、簡易な組立ラインを実現できる。
【0068】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う組立ラインもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0069】
1 筆記具
10 筆記具本体
11 吸収体
12 ペン芯ホルダ
13 ペン芯
14 キャップ
2 組立ライン
3 搬送装置
30 固定レール
31 駆動レール
32 溝
33 凹部
34 偏心板
35 軸
4 組立装置
40 吸収体挿入ユニット
40a 吸収体ホッパー
40b 吸収体受け治具
40c 吸収体プッシャー
40d ワーク保持部
41 ペン芯ホルダ係止ユニット
41a ペン芯ホルダ供給ホッパー
41b ペン芯ホルダ供給スライダ
41c ペン芯ホルダ受け治具
41d ペン芯ホルダ圧入プッシャー
41e ワーク保持部
41f 吸収体押さえ部材
42 ペン芯ホルダ圧入ユニット
42a ペン芯ホルダ圧入プッシャー
42b ワーク保持部
43 ペン芯挿入ユニット
43a ペン芯供給ホッパー
43b ペン芯載置ステージ
43c ペン芯把持装置
43d ペン芯供給スライダ
43e ペン芯受け治具
43f ペン芯プッシャー
43g ワーク保持部
44 ペン芯圧入ユニット
44a ペン芯圧入プッシャー
44b ワーク保持部
45 キャップ挿入・圧入ユニット
45a キャップ供給ホッパー
45b キャップ供給スライダ
45c キャップ受け治具
45d キャップ挿入・圧入プッシャー
45e ワーク保持部
5 筆記具本体供給装置
50 筆記具本体供給ホッパー
6 排出部
図1
図2
図3
図4
図5