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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156247
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241029BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241029BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20241029BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20241029BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20241029BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241029BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20241029BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20241029BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
G05D1/02 P
H02J50/10
H02J50/90
H02J7/00 P
H02J50/40
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070549
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英介
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
(72)【発明者】
【氏名】柴沼 満
(72)【発明者】
【氏名】中屋敷 侑生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩成
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
5H301
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
5H105BA09
5H105BB07
5H105CC04
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA11
5H125AC12
5H125AC27
5H125CA00
5H125DD01
5H125DD02
5H125EE51
5H125EE55
5H301AA02
5H301BB05
5H301DD17
5H301EE04
5H301EE07
5H301EE13
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK09
5H301KK18
5H301KK19
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】移動体の走行自由度を損なうことなく、効率的に給電が可能な非接触給電システムを提供する。
【解決手段】受電コイルを有する受電ユニットを備えた移動体2に非接触で給電する非接触給電システム1であって、交流電力を供給する電源10と、移動体が移動する移動路面6の少なくとも一部に配けられた送電ユニット4a、4b、4cであって、収容ケース内に送電コイルを含み、電源からの電力の供給を受けて、送電コイルを介した受電ユニットへの給電を、移動体の下から行う送電ユニットと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電コイル(26)を有する受電ユニット(24)を備えた移動体(2)に非接触で給電する非接触給電システムであって、
交流電力を供給する電源(10)と、
前記移動体が移動する移動路面(6)の少なくとも一部に配けられた送電ユニットであって、収容ケース(66)内に送電コイル(61)を含み、前記電源からの電力の供給を受けて、前記送電コイルを介した前記受電ユニットへの給電を、前記移動体の下から行う送電ユニット(4)と、
を備える、非接触給電システム。
【請求項2】
前記移動路面には、前記移動体が走行するラインの目印である位置マーカ(7)が複数設けられており、
前記移動体は、前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記送電ユニットは、前記位置マーカを基準とした前記移動路面における予め定められた位置に設けられている、請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項3】
前記送電ユニットには、前記位置マーカが一体化されている請求項2に記載の非接触給電システム。
【請求項4】
前記移動体は、複数の車輪(22,23)を有し、
前記送電ユニットは、前記移動路面の上に露出して設けられ、
前記収容ケースは、前記複数の車輪の全てが同時に前記収容ケースの上に乗る大きさの上面部(72)を有する、請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項5】
前記収容ケースの前記上面部に接続され、前記上面部と前記移動路面とを繋ぐスロープ(73)、をさらに備える、請求項4に記載の非接触給電システム。
【請求項6】
前記移動体は、複数の車輪(22,23)を有し、
前記送電ユニットは、前記複数の車輪が通過する部位を避けて前記移動路面の上に露出して設けられている、請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項7】
前記移動体は、複数の車輪(22,23)を有し、
前記送電ユニットは、
前記収容ケース内に電子部品(67)を有し、
前記電子部品の位置が、前記複数の車輪が通過するラインである走行軌跡線(L)と上下方向においてずれた位置となるように、前記移動路面に設けられている、請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項8】
前記移動体は、複数の車輪(22,23)を有し、
前記収容ケース内には、前記複数の車輪が通過するラインである走行軌跡線(L)と対応する部位に、前記収容ケース内の上下方向の空間を保持する複数の支柱(71)が設けられている、請求項1に記載の非接触給電システム。
【請求項9】
前記移動体は、前記位置マーカを検出するマーカセンサ(25)を有し、前記マーカセンサにより前記位置マーカを読み取り、読み取った前記位置マーカを利用して前記移動体の自己位置を検出して前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記受電ユニットには、前記マーカセンサの検出範囲に対応した開口部(29)が形成されている、請求項2に記載の非接触給電システム。
【請求項10】
前記移動体は、前記位置マーカを検出するマーカセンサ(25)を有し、前記マーカセンサにより前記位置マーカを読み取り、読み取った前記位置マーカを利用して前記移動体の自己位置を検出して前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記受電ユニットが有する基板に、前記マーカセンサが一体に組み込まれている、請求項2に記載の非接触給電システム。
【請求項11】
請求項2に記載の非接触給電システムであって、複数の前記送電ユニットを備え、
前記移動体は、
前記位置マーカを検出するマーカセンサ(25)を有し、前記マーカセンサにより前記位置マーカを読み取り、読み取った前記位置マーカを利用して前記移動体の自己位置を検出して前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記送電ユニットが対応して設けられている前記位置マーカを検出し、かつ、給電許可を前記移動体から発信しているにもかかわらず受電できないことを検出した場合に、当該送電ユニットとは異なる他の前記送電ユニット上において受電ができたか否かの情報を用いて、前記電源および当該送電ユニットを含む送電系統の故障を判定する故障判定部(31)を備える、非接触給電システム。
【請求項12】
前記送電系統において、前記複数の送電ユニットは、単一の前記電源に接続されており、
前記故障判定部は、
前記送電系統の故障として各前記送電ユニットの故障の有無を判定する際に、単一の前記電源に接続される他の前記送電ユニット上において受電ができたか否かの情報を用いて判定する、請求項11に記載の非接触給電システム。
【請求項13】
前記移動体は、前記位置マーカを検出するマーカセンサ(25)を有し、前記マーカセンサにより前記位置マーカを読み取り、読み取った前記位置マーカを利用して前記移動体の自己位置を検出して前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記送電ユニットは、
自らの故障の有無を判定する故障判定部と、
前記故障判定部により故障があると判定された場合に、故障があることを前記マーカセンサにより読み取ることが可能な形態で報知する報知部と、
を有する、請求項2に記載の非接触給電システム。
【請求項14】
前記移動体は、搬送物を搬送可能な無人の搬送車であり、
前記送電ユニットは、前記搬送物の積載が行われる場所であって前記搬送車が停止する停止場所、または、前記停止場所への出入り通路、に設けられている、請求項1~請求項13のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されるように、作業空間としての工場内を走行する移動体を使用して、搬送を行うシステムが知られている。こうした移動体は、前後移動、その場旋回等の動作が可能であり、工場内を縦横無尽に走行可能である。具体的な移動体としては、例えば、無人搬送車(Automatic Guided Vehicle,AGV)が知られている。また、移動体への給電方式としては、工場内の所定箇所に給電設備を設け、給電設備が設けられる給電場所において、接触式や移動体の側面からの非接触式にて給電するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8831984号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、接触式や移動体の側面からの非接触式給電では、給電中の移動体の走行自由度が損なわれるとともに、給電設備の設置場所も限られるため、給電機会を増やすことが困難であった。給電機会が少ないと、給電のために給電場所に待機して仕事をしない移動体が発生するため、搬送システムとしての稼働率が低下する。これを補うために、移動体の台数を増やす必要が生じていた。本開示は、上記のような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、移動体の走行自由度を損なうことなく、効率的に給電が可能な非接触給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、非接触給電システムが提供される。この非接触給電システムは、受電コイル(26)を有する受電ユニット(24)を備えた移動体(2)に非接触で給電する非接触給電システムであって、交流電力を供給する電源(10)と、前記移動体が移動する移動路面(6)の少なくとも一部に配けられた送電ユニットであって、収容ケース(66)内に送電コイル(61)を含み、前記電源からの電力の供給を受けて、前記送電コイルを介した前記受電ユニットへの給電を、前記移動体の下から行う送電ユニット(4)と、を備える。
上記構成によれば、走行中の移動体に対して、移動体の下から非接触で給電することができるので、移動路面に送電ユニットを設ける設置自由度を高くでき、給電機会を設けやすい。したがって、例えば、給電のために給電場所に待機して稼働を休止する移動体が発生することもなく、移動体の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1実施形態における、走行中給電システムの概略構成を示す平面図である。
図2】本開示の第1実施形態における、走行中給電システムの概略構成を示す側面図である。
図3】搬送車を模式的に示す側面図である。
図4】搬送車を模式的に示す下面図である。
図5】本開示の第1実施形態における、走行中給電システムの概略構成を示すブロック図である。
図6】送電ユニットを模式的に示す平面図である。
図7】送電ユニットを模式的に示す側面図である。
図8】配線を模式的に示す断面図である。
図9】故障判定処理の処理手順を説明するフローチャートである。
図10】本開示の第2実施形態における、送電ユニットを模式的に示す平面図である。
図11】本開示の第2実施形態における、送電ユニットを模式的に示す側面図である。
図12】本開示の他の実施形態における、配線を模式的に示す断面図である。
図13】本開示の他の実施形態における、故障判定処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の複数の実施形態について図1図12に基づいて説明する。
【0009】
A.第1実施形態:
A1.非接触給電システム1の全体構成:
図1図2に示すように、第1実施形態の非接触給電システム1は、例えば、倉庫内において、複数台配備された無人の搬送車2と、各搬送車2と無線通信が可能な管理装置3と、移動路面6上に設けられた複数の送電ユニット4と、を備えている。非接触給電システム1は、搬送車2の走行中に送電ユニット4から搬送車2が有する受電ユニット24(図3参照)にワイヤレスで給電することが可能なシステムである。搬送車2は、「移動体」の一例に相当する。
【0010】
作業者8は、倉庫内の例えば一端側に設けられた積載ステーション9において、搬送車2が搬送してきた棚5に対して、棚5に積載された荷物の受け取りや、棚5への荷物の受け渡しといった積載作業を行う。棚5には、任意の種類の荷物が搭載される。搬送車2は、一例として、図1において白抜きの矢印A1で示すような経路を巡回し、棚5の搬送を行う。積載ステーション9は、搬送物の積載が行われる場所であって搬送車2が停止する「停止場所」の一例に相当する。
【0011】
搬送車2は、倉庫内の移動路面6上に複数台(本実施形態では5台)配備される。搬送車2は、前後左右の移動および旋回が可能であり、自律的に走行可能な無人搬送車(Automatic Guided Vehicle,AGV)である。また、搬送車2は、移動路面6上に略等間隔に設けられた複数の位置マーカ7に沿って走行する。位置マーカ7は、搬送車2の走行軌道や停止位置等の座標情報が記録されたマーカであり、例えばQRコード(登録商標)やRFID(radio frequency identification)である。
【0012】
管理装置3は、例えば、積載ステーション9の近くに配置され、搬送車2への給電や、搬送車2の移動、積載物の搬送等を統括して管理する。送電ユニット4は、積載ステーション9の移動路面6上に、複数(本実施形態では3つ)設けられている。送電ユニット4は、搬送車2が有する受電ユニット24へ非接触で電力を供給する。本実施形態では、3つの送電ユニット4a、4b、4cが一体にモジュール化されている。なお、モジュール化される個数は2つでも、4つ以上での複数でもよいし、モジュール化されていなくてもよい。
【0013】
なお、以下、3つの送電ユニット4a、4b、4cを特に区別しないときは、単に、「送電ユニット4」と記載する。送電ユニット4の詳細構成については、後述する。電源10は、送電ユニット4に交流電力を供給する。電源10は、地上に設けられている外部電源である。電源10と、複数の送電ユニット4は、ワイヤ等の配線11により連続的に接続されている。
【0014】
A2.搬送車2の構成:
図3図4に示すように、本実施形態における搬送車2は、荷台21と、一対の駆動輪22と、一対の操舵輪23と、受電ユニット24と、マーカセンサ25と、を備えている。荷台21上には、棚5を積載可能である。駆動輪22は、搬送車2の前後方向における中央付近且つ左右方向の端部に一対設けられており、図示しないモータジェネレータから伝達された駆動力により、搬送車2を前進または後進させる。操舵輪23は、搬送車2の左右方向の中央付近であって、前後方向の端部に一対設けられており、搬送車2の進行方向を変更させる。以下、駆動輪22と操舵輪23とを特に区別しないときは、単に「車輪22,23」という。
【0015】
受電ユニット24は、受電コイル26と、受電回路27と、を有する。受電コイル26は、ケースに収容されている。受電コイル26は、受電回路27に接続されている。受電回路27の出力には、バッテリ28が接続されている。受電回路27は、受電コイル26から出力される交流電圧を直流電圧に変換する整流回路を含む。なお、受電回路27は、整流回路にて生成した直流の電圧を、バッテリ28の給電に適した電圧に変換するDC/DCコンバータ回路を含んでいても良い。受電回路27から出力される直流電圧は、バッテリ28の給電の他、図示しないインバータ回路を介したモータジェネレータの駆動に利用することができる。
【0016】
マーカセンサ25は、位置マーカ7を検出する画像センサである。マーカセンサ25は、受電コイル26の上方であって、車体の略中央部に固定されている。マーカセンサ25の下方には、開口部29が形成されている。開口部29は、周回状に形成される受電コイル26の中央中空領域に対応する。なお、搬送車2は、上記の他、電力メータを有していてもよい。
【0017】
A3.機能ブロック構成:
次に、上記非接触給電システム1を構成する各部の機能について、図5を参照して詳細に説明する。図5に示すように、搬送車2は、制御部30と、無線通信部41と、各種センサ類42と、を備えている。制御部30は、例えばマイクロコンピュータを主体に構成されており、図示しないCPU、ROM、RAM等を備える。ROM、RAM等の記憶部には、走行経路のレイアウトや積載作業位置等を示す地図データが記憶されるとともに、走行プログラムや作業実行用プログラム、通信用プログラム等が記憶されている。
【0018】
制御部30には、上記位置マーカ7を含む各種センサ類42、管理装置3と通信を行うための無線通信部41、その他、図示しない車輪駆動用のモータドライバ等が接続されている。制御部30は、管理装置3から受信した情報や各種センサ類42からの入力信号に基づき、モータドライバを介して車輪22,23を駆動操舵制御する。モータドライバは、バッテリ28から与えられる直流電力の供給を受けて動作する。そして、搬送車2は、予め計画された走行経路に沿って自律的に走行する。また、制御部30は、後述するように、送電ユニット4側の故障を検知したときに、その検知結果を管理装置3へ送信可能である。
【0019】
制御部30は、故障判定部31、位置推定部32、移動制御部33、および給電制御部34等の機能ブロックを有している。これらの各機能ブロックは、制御部30が備えるCPUがROMに格納されているコンピュータプログラムを実行してコンピュータプログラムに対応する処理を実行することにより実現される、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、各機能ブロックのうち少なくとも一部をハードウェアにより実現する構成としてもよい。
【0020】
故障判定部31は、送電ユニット4や電源10を含む送電系統の故障を判定する。詳細については後述する。位置推定部32は、マーカセンサ25による位置情報やモータの回転位置等を用いて搬送車2の現在の位置を推定する。移動制御部33は、位置推定部32により推定される自己位置が目標位置に一致するように、モータドライバを介して移動体の動作を制御する。給電制御部34は、走行中に非接触給電を受ける際には、受電回路27を制御して受電を実行する。
【0021】
管理装置3は、無線通信部51と、制御部50と、を備えている。制御部50は、例えばマイクロコンピュータを主体に構成されており、図示しないCPU、ROM、RAM等を備える。ROM、RAM等の記憶装置には、給電に関する給電用プログラム、搬送車2との通信用プログラム、および搬送車2を識別する識別情報等が記憶されている。無線通信部51は、制御部50に接続されている。管理装置3は、無線通信部51を介して、各搬送車2と送受信を行い、搬送車2の移動を統括して管理する。管理装置3は、後述する送電制御部64を制御し、給電対象の搬送車2への給電を管理する。また、管理装置3は、搬送車2が搬送する積載物の情報等を管理する。
【0022】
A4.送電ユニット4の構成:
送電ユニット4は、送電コイル61、共振用のコンデンサ62、送電制御部64、報知部63、および受電コイル検出部68を有している。報知部63は、例えばQRコードに組み込まれたLEDであり、点灯した状態で送電系統の故障を外部に通知する。搬送車2のマーカセンサ25は、LEDの点灯を読み取ることができる。報知部63は、送電系統の故障を外部に通知する。報知部63は、例えば、送電ユニット4の故障を通知する青色のLEDと、電源10の故障を通知する赤色のLEDと、を有してもよい。電源10は、系統電力を高周波の交流電力に変換し、インバータ等で構成される。送電制御部64は、受電コイル検出部68により受電コイル26の存在を検出し、電源10の高周波交流電力を送電コイル61に供給するか否かを制御する。
【0023】
図6図7に示すように、送電ユニット4は、上記送電コイル61を収容する内側ケース部材65と、内側ケース部材65を内部に収容する収容ケース66と、を有している。なお、図6図7では、3つの送電ユニット4のうち、例示として2つの送電ユニット4b、4cを図示している。内側ケース部材65の内部には、上記送電コイル61が形成されるコイル基板の他、送電回路(図6では図示しない)、その他図示しないフェライト板や、放熱板等が収容される。なお、本実施形態の送電ユニット4は、内側ケース部材65や送電回路を有するものとしたが、少なくとも、送電コイル61と、収容ケース66を含んでいればよい。つまり、内側ケース部材65はなくてもよい。内側ケース部材65および収容ケース66は、非導電性を有し、例えば樹脂などの非磁性体によって形成されている。
【0024】
送電ユニット4は、内側ケース部材65内に電子部品67を有している。電子部品67は、例えば、共振用のコンデンサである。電子部品67は、送電制御部64の電子部品を含んでもよい。図6では、平面視において、搬送車2の車輪22,23が通過するライン、すなわち走行軌跡線を二点鎖線で図示している。車輪22,23の前後左右方向の移動による走行軌跡線L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12は、図6において上下左右に垂直に延びる複数(一つの送電ユニット4に対応する部位に12本)の直線として描かれている。車輪22,23の旋回の移動による走行軌跡線L13,L14,L15は、図6において大小が異なる複数(一つの送電ユニット4に対応する部位に3つ)の円状の線として描かれている。なお、以下、複数の走行軌跡線を特に区別しないときは、単に「走行軌跡線L」と記載する。
【0025】
送電ユニット4は、電子部品67が、走行軌跡線Lと上下方向においてずれた位置となるように、移動路面6上に設けられている。このように送電ユニット4を配置することで、電子部品67に上方から搬送車2による負荷がかからないようにできるため、電子部品67の故障を抑制できる。
【0026】
送電ユニット4の中心部と、移動路面6上の位置マーカ7とは、略一致している。また、位置マーカ7は、搬送車2の旋回時の中心に略一致する。なお、本実施形態では、位置マーカ7は、収容ケース66の上面略中央にプリントされることで、送電ユニット4と一体化されている。なお、位置マーカ7がQRコードの場合には、収容ケース66の上面にプリントされた形態で実施可能であり、RFIDタグなどの場合には、収容ケース66内に格納した形態としてもよい。このように、送電ユニット4に位置マーカ7を一体化することで、送電ユニット4とは別に位置マーカ7を設置する必要がなく、設置性を向上できる。
【0027】
送電ユニット4は、位置マーカ7を基準として設けられている。ここで、「位置マーカ7を基準として設けられている」とは、本実施形態のように、送電ユニット4の中心と位置マーカ7の中心が一致し、かつ送電ユニット4が位置マーカ7全体と上下方向に重なる形態を含む。その他、送電ユニット4が、位置マーカ7を基準ラインとして位置マーカ7の一部と上下方向に重なる態様、位置マーカ7と上下方向に重ならないものの位置マーカ7を基準ラインとして、位置マーカ7から水平方向に所定距離離間した位置に設けられる形態も含む。なお、この構成の場合、位置マーカ7は、送電ユニット4とは別体として設けられる。
【0028】
搬送車2が、送電ユニット4上を走行する際に、送電コイル61と受電コイル26とが対向した状態となり、搬送車2の下から給電が可能となる。なお、いずれの搬送車2に給電を実施するかは、管理装置3が、各搬送車2のバッテリ28の残電力に基づいて判断してもよいし、前回の給電からの経過時間により決定してもよい。
【0029】
収容ケース66内には、図6において黒塗り潰しの丸印で示すように、複数の支柱71が設けられている。なお、図面の煩雑化を回避するため、図6では、送電ユニット4b内にのみ支柱71を図示しているが、送電ユニット4c内にも同様に支柱71が形成されている。
【0030】
各支柱71は、収容ケース66内の上面から下面まで連続して設けられ、収容ケース66内の上下方向の空間を保持する。各支柱71は、いずれも同じ大きさの円柱形状をなしている。複数の支柱71aは、例えば、走行軌跡線Lに一致するように設けられている。走行軌跡線Lに対応する送電ユニット4の部位は、車輪22,23を介して搬送車2および搬送物の重量が直接送電ユニット4に作用する部位である。このため、収容ケース66においてより負荷がかかる走行軌跡線Lに対応する部位に支柱71を設けることで、効果的に送電ユニット4の強度を高めることができる。
【0031】
また、複数の支柱71bは、走行軌跡線Lが互いに近接する走行軌跡線Lの間に、設けられている。例えば、走行軌跡線Lが互いに近接している部位の例としては、最も外側の円状の走行軌跡線L15と、その内側に位置する円状の走行軌跡線L14との間である。最も外側の円状の走行軌跡線L15と、その内側に位置する円状の走行軌跡線L14とは近接しており、それぞれの走行軌跡線L14,L15に対応する位置に支柱71を設けると、支柱71の数が多くなりその他の部材の配置の妨げになることもあり得る。よって、走行軌跡線Lが近接している場合には、近接する走行軌跡線Lの間に支柱71を設けることで、無駄にスペースを取ることなく、荷重を受ける部位に近い位置での収容ケース66の強度を高めることができる。
【0032】
収容ケース66の上面部72は、搬送車2の全ての車輪22,23が同時に乗る大きさを有している。これにより、例えば搬送車2の車輪22,23の一輪のみが送電ユニット4に乗り上げてしまい、搬送車2の姿勢が不安定になることを抑制できる。また、図1に示すように、任意の送電ユニット4には、収容ケース66の上面部72に接続され、上面部72と移動路面6とを繋ぐスロープ73が設けられている。本実施形態のスロープ73は、積載ステーション9へ進入する走行経路上、一番目に通過する送電ユニット4Aにおける搬送車2の進入側と、三番目に通過する送電ユニット4Cにおける搬送車2の退出側とに設けられている。このスロープ73により、搬送車2が送電ユニット4に乗り上げるとき、および、送電ユニット4から降りるときに搬送車2に加わる衝撃を和らげることができる。
【0033】
図8に示すように、電源10と各送電ユニット4を繋ぐ配線11は、扁平形状をなす。配線11は、設置状態において、横方向の長さが上下方向の長さより長い。配線11は、絶縁体81の内部に、導体82を有する。図8に示す導体82において、往復の導通経路を区別するために、向きの異なるハッチングを施している。導体82は、薄型シート状の導体であり、往復の導通経路を上下に離間する形態にて絶縁体81内に配置されている。これにより、往復の導通経路において導体82で発生する互いに向きが逆の磁界を打ち消すことができるため、高周波を通電することによる高周波磁界の発生に伴う導体82での渦電流損失を抑制できる。さらに、薄型の配線とすることで、往復の導通経路の平均距離を近づける事が可能となり、磁界を打ち消す効果を高めることができる。なお、導体82だけでなく、導体82の外周を覆う図示しない電磁ノイズ遮蔽シールドでの渦電流損を低減することも可能である。また、薄型の配線11を用いることで、床上に配線11を設けた場合でも、搬送車2の走行を妨げないようにできる。
【0034】
A5.故障判定処理:
次に、搬送車2の制御部30が有する故障判定部31により実行される故障判定処理について説明する。図9に示す故障判定処理は、移動路面6を搬送車2が走行中に、予め定められた所定時間ごとに繰り返し実行される。図9に示すように、S101において、マーカセンサ25により位置マーカ7が検出されたか否かが判断される。位置マーカ7が検出された場合には、S102に進み、検出された位置マーカ7に送電ユニット4が設けられているか否かが判断される。送電ユニット4が設けられているかの判断は、送電ユニット4が設けられていることを位置マーカ7の検出信号に組み込むことにより搬送車2の制御部30が読み取って判断することができる。または、制御部30が読み取った位置マーカ7の位置マーカ7IDを管理装置3に送信して、当該位置マーカ7IDに送電ユニット4が設けられているかを管理装置3に問い合わせることにより判断してもよい。
【0035】
検出された位置マーカ7に送電ユニット4が設けられていると判断された場合には(S102:Yes)、S103に進み、受電ユニット24からバッテリ28に給電されないか否かが判断される。S102では、例えば、搬送車2が読み取った位置上に送電ユニット4が設けられており、かつ、給電許可が出されているにもかかわらず、給電がされない状態を検知した場合には、給電されないと判断される。このように給電がなされない状態では、受電側か送電側のいずれかの機器において異常があると推定できる。
【0036】
S103において受電ユニット24からバッテリ28に給電されない場合には(S103:True)、S104に進み、単一の、すなわち同じ電源10に接続されている他の送電ユニット4では給電できたか否かが判断される。この判断は、例えば、管理装置3に記憶された給電の履歴を受信することにより行われる。単一の電源10に接続されている他の送電ユニット4では給電できた場合には(S104:Yes)、S105に進み、送電ユニット4の故障であることを管理装置3に通知する。これは、例えば、現在、送電ユニット4C上にいる搬送車2が故障検知処理を実行しており、単一の電源10に接続されている他の送電ユニット4A、4Bにおいて給電ができていた場合には、電源10および受電ユニット24は正常であり、送電ユニット4Cの故障である可能性が高いためである。
【0037】
他方、S104において、単一の電源10に接続されている他の送電ユニット4においても給電できなかった場合には(S104:No)、S106に進み、電源10の故障であることを管理装置3に通知する。これは、例えば、現在、送電ユニット4C上にいる搬送車2が故障検知処理を実行している場合において、単一の電源10に接続されている他の送電ユニット4A、4Bにおいても給電ができていなかった場合には、電源10の故障である可能性がより高いためである。
【0038】
以上のように、故障判定部31は、他の送電ユニット4上において受電ができたか否かの情報を用いて、送電系統の故障の判定を行う。なお、上記S104後の故障判定では、送電系統ではなく受電ユニット24が、例えば送電ユニット42Bを通過後に故障した可能性も考え得る。しかし、上方からの負荷を受ける送電系統の故障頻度の方が高く、また、受電可能であった直後に故障する可能性も低いため、上記の通り判定する。S105、またはS106で故障の通知がなされた後は、本処理ルーチンは終了する。なお、S105,S106における通知は、管理装置3への通知の他、搬送車2に搭載された液晶ディスプレイ等に故障機器のID等を表示してもよい。
【0039】
なお、故障判定処理において、位置マーカ7が検出されなかったと判断された場合(S101:No)、検出された位置マーカ7に送電ユニット4が設けられていないと判断された場合(S102:No)、受電ユニット24からバッテリ28に給電されたと判断された場合(S103:False)、には、いずれも本処理ルーチンを終了する。
【0040】
上記図9に示すフローチャートでは、搬送車2が故障判定処理を行うものとした。上記故障判定の他、送電ユニット4側が、自らの故障の有無を判定する故障判定部を有し、通電状態や印加電圧を用いて、故障の判定をしてもよい。このとき、送電ユニット4において、故障と判定された場合には、報知部63のLEDを点灯させることにより外部に報知する。そして、搬送車2の故障判定部31は、マーカセンサ25により報知部63の点灯を読み取り、故障を管理装置3に通知してもよい。
【0041】
A6.効果:
上記第1実施形態の非接触給電システムでは、走行中、すなわち搬送動作を行っている稼働中の搬送車2に対して、搬送車2の下から給電することができる。例えば、接触式給電や、搬送車2の側面からの非接触式給電では、給電中の搬送車2の走行自由度が損なわれるとともに、給電設備の設置場所も限られる。しかし、上記実施形態では、搬送車2の走行自由度を損なうことなく給電ができるとともに、移動路面6に送電ユニット4を設ける設置自由度が高いため、給電機会を設けやすい。
【0042】
したがって、例えば、給電のために給電場所に待機して仕事をしない搬送車2が発生することもなく、搬送システムとしての稼働率を向上させることができる。積載ステーション9での停止時間を効率的に給電時間に活用できるため、給電のためにわざわざ停止する必要がない。よって、搬送車2の必要台数を削減できる。
【0043】
なお、上記実施形態では、積載ステーション9における移動路面6の位置マーカ7を基準に送電ユニット4を設けたが、送電ユニット4は、その他、搬送車2の滞在率が高い領域に設けるとよい。例えば、積載ステーション9に進入する経路に複数の送電ユニット4を設けることもできる。このように、搬送車2が、低速となる、または停止することが多い領域や、走行頻度の高い領域に送電ユニット4を多く配置することで、より少ない送電コイル61数で必要な電力を給電でき、効率よく給電できる。上記のように、積載ステーション9への入退出ルート上となる出入り通路や、積載ステーション9へ往復する行程で重複して走行するルートがあれば、そういったルートの移動路面6に送電ユニット4を積極的に設けるとよい。
【0044】
上記第1実施形態の非接触給電システム1では、位置マーカ7は送電ユニット4に一体化されている。すなわち、位置マーカ7と送電ユニット4とをそれぞれ別に設置する必要がないため、位置マーカ7および送電ユニット4の設置性を向上させることができる。
【0045】
上記第1実施形態の非接触給電システム1では、収容ケース66内において、車輪22,23の走行軌跡線Lと対応する部位に、複数の支柱71が設けられている。このため、収容ケース66の破損を抑制できる。また、支柱71は、走行軌跡線Lに対応するように、走行軌跡線L上や走行軌跡線Lに近接する位置に設けられているため、負荷のかかる部位を効率的に補強できるとともに、不必要に多くの支柱71を設けることによるコストアップを抑制できる。
【0046】
上記第1実施形態の非接触給電システム1では、搬送車2が有する受電ユニット24には、マーカセンサ25の検出範囲に対応した開口部29が形成されている。このため、搬送車2の下側に存在する位置マーカ7を確実に読み取ることができ、マーカセンサ25により位置マーカ7の検出動作を阻害しない構成とできる。
【0047】
上記第1実施形態の非接触給電システムの送電ユニット4には、スロープ73が設けられている。よって、送電ユニット4が移動路面6の上に露出して設けられる形態において、搬送車2が送電ユニット4に乗り上げるとき、および、送電ユニット4から降りるときの搬送車2に加わる衝撃を和らげることができる。
【0048】
上記第1実施形態の非接触給電システムの搬送車2は、故障判定部31を有している。このため、故障した送電ユニット4の修理および交換が可能となる。故障を検知して、故障した機器を早期に修理交換することで、搬送車2の給電不足により稼働率低下を抑制できる。さらに、位置マーカ7の情報と、給電状態とを用いて故障判定をしているため、故障判定のための追加機器や機能を設ける必要がなく、システム構成を容易にできる。
【0049】
さらに、送電ユニット4は、マーカセンサ25により読み取ることが可能な形態で故障を報知する報知部63を有している。そして、搬送車2は、報知部63の点灯をマーカセンサ25により検出し、管理装置3へ通知することができる。すなわち、送電ユニット4が管理装置3と通信を行って故障を通知するのではなく、送電ユニット4は外部に故障を報知するのみであり、搬送車2が、故障報知を走行中に読み取って管理装置3に通知する形態とできる。すなわち、送電ユニット4側に通信手段を持たせることなく、搬送車2のマーカセンサ25を介して故障を管理装置3に通知できる。例えば、倉庫管理者がLEDの点灯を見て回って故障を確認する形態よりも効率的である。
【0050】
B.第2実施形態:
次に、第2実施形態について、図10図12を参照して説明する。なお、第2実施形態において、非接触給電システム1の全体構成、非接触給電システム1の回路構成、搬送車2の機械的構成等は、上記第1実施形態と略同様であるため、実質的に同一の部分については同一の符号を付すとともに説明は省略する。
【0051】
図10図11に示すように、第2実施形態の非接触給電システム1における送電ユニット4dは、第1実施形態の送電ユニット4よりも小型である。送電ユニット4dは、搬送車2の旋回中心に対応する位置に、移動路面6の上に露出して設けられ、複数の走行軌跡線Lを避けるように設けられている。なお、搬送車2の受電コイル26の大きさについては、送電コイル61との結合係数等を考慮して適宜設定変更され得る。また、内側ケース部材65を有さず、コイル基板やフェライト板等が収容ケース66内に収容されている。
【0052】
第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、送電ユニット4は移動路面6の上に露出して設けられているものの、車輪22,23の走行軌跡線Lを避けるようにして、第1実施形態と比較して小型化して設けられている。このため、走行時、搬送車2が送電ユニット4に乗り上げることがないため、使用電力を少なくできる。また、走行の安定性が保たれる。
【0053】
C.他の実施形態:
(C1)上記各実施形態では、送電ユニット4を移動路面6の上に設けたが、移動路面6内に埋設してもよい。この構成においても、電子部品67の位置が、車輪22,23の走行軌跡線Lと上下方向においてずれた配置にて、送電ユニット4を埋設するとよい。また、この構成における支柱71についても、走行軌跡線Lと対応する部位に設けて、収容ケース66の強度を高めることができる。また、扁平形状の配線11を用いることで、配線11を床に埋設する場合でも、床の堀削量を低減でき、敷設性を向上できる。
【0054】
(C2)上記各実施形態では、搬送車2は、移動路面6に設けられた位置マーカ7を検出して位置マーカ7上を走行するものとした。これに代えて、ライダーを用いて、搬送車2の走行制御を行う構成としてもよい。この構成では、位置マーカ7やマーカセンサ25は設けなくてよい。
【0055】
(C3)上記各実施形態では、マーカセンサ25は受電コイル26とは別体に構成されたが、受電ユニット24にマーカセンサ25を組み込んで構成してもよい。例えば、位置マーカ7がRFIDである場合には、RFIDを検出するマーカセンサ25を受電ユニットの基板に組み込むことができる。この構成であれば、受電コイル26とマーカセンサ25の相対位置が固定されるため、マーカセンサ25の動作や給電動作が互いに阻害されることがない。また、マーカセンサ25と位置マーカ7との相対位置のずれを考慮する必要がないため、開口部29を設ける必要がない。なお、マーカセンサ25は、移動路面6の位置マーカ7を読み取り可能であればよく、搬送車2の側面に設けられていてもよい。
【0056】
(C4)上記各実施形態において、位置マーカ7を、送電ユニット4とは別体のプレートにプリントして、移動路面6に設けてもよい。
【0057】
(C5)上記各実施形態では、単一の電源10に複数の送電ユニット4a、4b、4cが配線11により接続されているとしたが、単一に電源10に単一の送電ユニット4が接続されてもよい。この構成における故障判定処理では、例えば、他の送電ユニット4上で受電できたにも関わらず、任意の送電ユニット4上で受電できないという情報を用いて、送電系統の故障を判定してもよい。
【0058】
(C6)また、電源10を複数有し、第1の電源に複数の送電ユニット4が接続される第1系統と、第2の電源に複数の送電ユニット4が接続される第2系統とを備えてもよい。この構成において、例えば、第1系統の全ての送電ユニット4から給電ができたにも関わらず、第2系統の全ての送電ユニット4から給電ができなかった場合には、第2の電源の故障と判定できる。また、第1系統の全ての送電ユニット4から給電ができ、さらに、第2系統のいくつかの送電ユニット4からの給電ができたにも関わらず、第2系統の任意の送電ユニット4からの給電ができなかった場合には、第2系統の任意の送電ユニット4の故障であると判定できる。
【0059】
(C7)上記各実施形態の故障判定処理において、受電ユニット24側の故障を検知する処理を組み込んでもよい。この構成では、図13に示すように、S104において、単一の電源10に接続されている他の送電ユニット4においても給電できなかった場合には(S104:No)、S104Aに進み、他の電源に接続されている送電ユニット4では充電できたか否かが判断される。そして、他の電源に接続されている送電ユニット4では充電できた場合には(S104A:Yes)、S106に進み、電源10の故障であることを管理装置3に通知する。他方、他の電源に接続されている送電ユニット4でも充電できなかった場合には(S104A:No)、S107に進み、受電ユニット24の故障であることを管理装置3に通知する。
【0060】
(C8)上記各実施形態において、電源10と送電ユニット4とを接続する配線11は扁平なシート状としたが、断面円形状をなすワイヤでもよい。また、扁平なシート状であって、図12に示すような断面構造を持つ配線12としてもよい。図12に示す導体83では、往復の導通経路を区別するために、向きの異なるハッチングを施している。図12に示すように、絶縁体81の内部の導体83を、往復の導通経路を上下に加えて横方向においても離間する形態にて配置してもよい。この構成によれば、さらに磁界の発生を抑制、渦電流損失を低減することができる。
【0061】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0062】
(態様1)
受電コイル(26)を有する受電ユニット(24)を備えた移動体(2)に非接触で給電する非接触給電システムであって、
交流電力を供給する電源(10)と、
前記移動体が移動する移動路面(6)の少なくとも一部に配けられた送電ユニットであって、収容ケース(66)内に送電コイル(61)を含み、前記電源からの電力の供給を受けて、前記送電コイルを介した前記受電ユニットへの給電を、前記移動体の下から行う送電ユニット(4)と、
を備える、非接触給電システム。
(態様2)
前記移動路面には、前記移動体が走行するラインの目印である位置マーカ(7)が複数設けられており、
前記移動体は、前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記送電ユニットは、前記位置マーカを基準とした前記移動路面における予め定められた位置に設けられている、態様1に記載の非接触給電システム。
(態様3)
前記送電ユニットには、前記位置マーカが一体化されている態様2に記載の非接触給電システム。
(態様4)
前記移動体は、複数の車輪(22,23)を有し、
前記送電ユニットは、前記移動路面の上に露出して設けられ、
前記収容ケースは、前記複数の車輪の全てが同時に前記収容ケースの上に乗る大きさの上面部(72)を有する、態様1~態様3のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
(態様5)
前記収容ケースの前記上面部に接続され、前記上面部と前記移動路面とを繋ぐスロープ(73)、をさらに備える、態様4に記載の非接触給電システム。
(態様6)
前記移動体は、複数の車輪(22,23)を有し、
前記送電ユニットは、前記複数の車輪が通過する部位を避けて前記移動路面の上に露出して設けられている、態様1~態様3のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
(態様7)
前記移動体は、複数の車輪(22,23)を有し、
前記送電ユニットは、
前記収容ケース内に電子部品(67)を有し、
前記電子部品の位置が、前記複数の車輪が通過するラインである走行軌跡線(L)と上下方向においてずれた位置となるように、前記移動路面に設けられている、態様1~態様6のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
(態様8)
前記移動体は、複数の車輪(22,23)を有し、
前記収容ケース内には、前記複数の車輪が通過するラインである走行軌跡線(L)と対応する部位に、前記収容ケース内の上下方向の空間を保持する複数の支柱(71)が設けられている、態様1~態様7のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
(態様9)
前記移動体は、前記位置マーカを検出するマーカセンサ(25)を有し、前記マーカセンサにより前記位置マーカを読み取り、読み取った前記位置マーカを利用して前記移動体の自己位置を検出して前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記受電ユニットには、前記マーカセンサの検出範囲に対応した開口部(29)が形成されている、態様2または態様3に記載の非接触給電システム。
(態様10)
前記移動体は、前記位置マーカを検出するマーカセンサ(25)を有し、前記マーカセンサにより前記位置マーカを読み取り、読み取った前記位置マーカを利用して前記移動体の自己位置を検出して前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記受電ユニットが有する基板に、前記マーカセンサが一体に組み込まれている、態様2または態様3に記載の非接触給電システム。
(態様11)
態様2または態様3に記載の非接触給電システムであって、複数の前記送電ユニットを備え、
前記移動体は、
前記位置マーカを検出するマーカセンサ(25)を有し、前記マーカセンサにより前記位置マーカを読み取り、読み取った前記位置マーカを利用して前記移動体の自己位置を検出して前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記送電ユニットが対応して設けられている前記位置マーカを検出し、かつ、給電許可を前記移動体から発信しているにもかかわらず受電できないことを検出した場合に、当該送電ユニットとは異なる他の前記送電ユニット上において受電ができたか否かの情報を用いて、前記電源および当該送電ユニットを含む送電系統の故障を判定する故障判定部(31)を備える、非接触給電システム。
(態様12)
前記送電系統において、前記複数の送電ユニットは、単一の前記電源に接続されており、
前記故障判定部は、
前記送電系統の故障として各前記送電ユニットの故障の有無を判定する際に、単一の前記電源に接続される他の前記送電ユニット上において受電ができたか否かの情報を用いて判定する、態様11に記載の非接触給電システム。
(態様13)
前記移動体は、前記位置マーカを検出するマーカセンサ(25)を有し、前記マーカセンサにより前記位置マーカを読み取り、読み取った前記位置マーカを利用して前記移動体の自己位置を検出して前記位置マーカに沿って走行するものであり、
前記送電ユニットは、
自らの故障の有無を判定する故障判定部と、
前記故障判定部により故障があると判定された場合に、故障があることを前記マーカセンサにより読み取ることが可能な形態で報知する報知部と、
を有する、態様2または態様3に記載の非接触給電システム。
(態様14)
前記移動体は、搬送物を搬送可能な無人の搬送車であり、
前記送電ユニットは、前記搬送物の積載が行われる場所であって前記搬送車が停止する停止場所、または、前記停止場所への出入り通路、に設けられている、態様1~態様13のうちいずれか一項に記載の非接触給電システム。
【符号の説明】
【0063】
1…非接触給電システム、2…搬送車(移動体)、3…管理装置、4、4a、4b、4c、4d…送電ユニット、5…棚、6…移動路面、7…位置マーカ、8…作業者、9…積載ステーション、10…電源、11…配線、21…荷台、22…駆動輪(車輪)、23…操舵輪(車輪)、24…受電ユニット、25…マーカセンサ、26…受電コイル、27…受電回路、28…バッテリ、29…開口部、30…制御部、31…故障判定部、32…位置推定部、33…移動制御部、34…給電制御部、41…無線通信部、42…各種センサ類、50…制御部、51…無線通信部、61…送電コイル、62…共振用のコンデンサ、63…報知部、64…送電制御部、65…内側ケース部材、66…収容ケース、67…電子部品、68・・・受電コイル検出部、71…支柱、72…上面部、73…スロープ、81…絶縁体、82…導体、83…導体、L…走行軌跡線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13