(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156261
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】水栓用ハンドル
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
E03C1/042 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070576
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】蒲 将也
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB01
2D060BC23
2D060BE11
2D060BE20
2D060BF03
(57)【要約】
【課題】ハンドル本体の内部から外部へ液体が垂れることを抑制する。
【解決手段】水栓本体12に取り付けて用いられる水栓用ハンドル30であって、軸方向の他端部が開放されているとともに、一端部が封鎖されている有底筒状のハンドル本体31を有しており、ハンドル本体31の内部に吸水部材40が配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体に取り付けて用いられる水栓用ハンドルであって、
軸方向の他端部が開放されているとともに、一端部が封鎖されている有底筒状のハンドル本体を有しており、
前記ハンドル本体の内部に吸水部材が配置されていることを特徴とする水栓用ハンドル。
【請求項2】
前記吸水部材は、板状に構成されており、前記ハンドル本体の前記他端部を塞いでいる請求項1に記載の水栓用ハンドル。
【請求項3】
前記水栓用ハンドルは、前記水栓本体から突出する軸部材に接続されており、
前記吸水部材は、前記軸部材に係合する係合部を有する請求項1に記載の水栓用ハンドル。
【請求項4】
前記係合部は、前記吸水部材に形成された貫通孔である請求項3に記載の水栓用ハンドル。
【請求項5】
前記吸水部材は、スリットを有しており、曲面状に湾曲した状態で配置されている請求項2に記載の水栓用ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓本体に取り付けて用いられる水栓用ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、キッチン流し台の上面に設置して使用される水栓について記載している。
図8、9に示すように、特許文献1等に記載された水栓10は、筒状の水栓本体12と、水栓本体12の上部に取り付けられる吐水管(図示省略)と、水栓本体12の側部に取り付けられるレバーハンドル(水栓用ハンドル30ともいう)とを有している。水栓10は、水栓本体12の内部に弁部材20を有している。水栓10は、弁部材20に接続されるとともに水栓本体12の側部から突出する軸部材20aを有している。軸部材20aは水栓用ハンドル30に接続されており、水栓用ハンドル30を操作することによって、軸部材20aを介して弁部材20を操作することができる。
【0003】
水栓用ハンドル30は、軸方向の他端部が開放されているとともに、一端部が封鎖されている有底筒状のハンドル本体31と、ハンドル本体31の側部からハンドル本体31の径方向に延びる棒状のレバー32とを有している。
【0004】
図8に示すように、例えばハンドル本体31の軸方向が水平方向に対して傾斜するように水栓用ハンドル30を操作すると、弁部材20が開状態になって吐水管からの吐水を行うことができる。
【0005】
図9に示すように、例えばハンドル本体31の軸方向が水平方向に沿うように水栓用ハンドル30を操作すると、弁部材20が閉状態になって吐水管からの吐水を止めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1等の水栓用ハンドル30は、有底筒状のハンドル本体31を有しているため、水栓10の使用時や洗浄時等にハンドル本体31に液体がかかると、ハンドル本体31の内部に液体Wが入る虞があった。
【0008】
図8に示すように、水栓用ハンドル30を傾斜させると、弁部材20と、水栓用ハンドル30のハンドル本体31との間の隙間Sが大きくなりやすい。そのため、この隙間Sからハンドル本体31の内部に液体Wが入りやすくなる。さらに、ハンドル本体31の底部が下方に位置するため、ハンドル本体31の内部に液体Wが滞留しやすくなる。
【0009】
図9に示すように、ハンドル本体31の内部に液体Wが滞留した状態で、水栓用ハンドル30を傾斜した状態から元の状態に戻すと、ハンドル本体31の内部に滞留していた液体Wがキッチン流し台上に垂れる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
態様1の水栓用ハンドルは、水栓本体に取り付けて用いられる水栓用ハンドルであって、軸方向の他端部が開放されているとともに、一端部が封鎖されている有底筒状のハンドル本体を有しており、前記ハンドル本体の内部に吸水部材が配置されている。
【0011】
この構成によれば、水栓用ハンドルは、ハンドル本体の内部に液体が入っても、入った液体を吸水部材で吸収して保持することができる。そのため、ハンドル本体の内部から外部へ液体が垂れることを抑制することができる。
【0012】
態様2は、態様1の水栓用ハンドルにおいて、前記吸水部材は、板状に構成されており、前記ハンドル本体の前記他端部を塞いでいる。この構成によれば、水栓用ハンドルは、ハンドル本体の開放された他端部を吸水部材で塞ぐことによって、ハンドル本体の内部に液体が入りにくくなる。そのため、より効率良くハンドル本体の内部から外部へ液体が垂れることを抑制することができる。
【0013】
態様3は、態様1又は2の水栓用ハンドルにおいて、前記水栓用ハンドルは、前記水栓本体から突出する軸部材に接続されており、前記吸水部材は、前記軸部材に係合する係合部を有する。この構成によれば、水栓用ハンドルは、吸水部材の係合部を軸部材に係合させることによって、水栓用ハンドルを操作した際に、吸水部材の位置ずれを抑制することができる。
【0014】
態様4は、態様3の水栓用ハンドルにおいて、前記係合部は、前記吸水部材に形成された貫通孔である。この構成によれば、水栓用ハンドルは、吸水部材の貫通孔に軸部を挿通させるという簡単な構成で、吸水部材を軸部材に係合させることができる。
【0015】
態様5は、態様2の水栓用ハンドルにおいて、前記吸水部材は、スリットを有しており、曲面状に湾曲した状態で配置されている。この構成によれば、水栓用ハンドルは、吸水部材を曲面状に湾曲した状態で配置することによって、水栓用ハンドルを操作する際に、吸水部材が水栓の他の部材に干渉することを抑制しやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の水栓用ハンドルによれば、ハンドル本体の内部から外部へ液体が垂れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】
図4は、水栓用ハンドルが閉状態である水栓の部分断面図である。
【
図5】
図5は、水栓用ハンドルが開状態である水栓の部分断面図である。
【
図6】
図6は、変更例の水栓用ハンドルの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、変更例の水栓用ハンドルの断面図である。
【
図8】
図8は、従来技術の水栓であって、水栓用ハンドルが開状態である水栓の部分断面図である。
【
図9】
図9は、従来技術の水栓であって、水栓用ハンドルが閉状態である水栓の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
水栓用ハンドルの実施形態を説明する。
図1に示すように、水栓10は、キッチンキャビネットのカウンタである壁部11に設置されている。水栓10は、筒状の水栓本体12と、水栓本体12の上部に取り付けられたグースネック状の吐水管13と、水栓本体12の側部に取り付けられた水栓用ハンドル30とを有する。また、水栓10は、吐水管13の先端に着脱可能に取り付けられた吐水ヘッド15を有する。
【0019】
図1に示すように、吐水ヘッド15は切替ボタン16を有するとともに、ホース(図示省略)が接続されている。
図2に示すように、水栓本体12は、軸方向である上下方向の中央部に、径方向外側に突出する円筒状の周壁12aを有する。周壁12aの内部に弁部材20が収容されている。弁部材20は円柱状に構成されており、内部に弁機構(図示省略)を有している。周壁12aの内周にネジ溝(図示省略)が形成されており、ナット部材21を弁部材20の一端側から周壁のネジ溝に螺合させることによって、弁部材20は周壁12aに固定されている。周壁12aに固定された状態で、弁部材20の軸方向の一端側は、周壁12aから露出している。
【0020】
弁部材20は、一端側の端部から軸方向である水平方向に突出する軸部材20aを有する。軸部材20aは、水栓本体12から突出している。また、弁部材20は、軸部材20aを挟んで径方向に対向する2箇所から、弁部材20の軸方向に突出する一対の凸部20bを有する。弁部材20の一端側の端面20cは、一対の凸部20bが対向する方向から弁部材20を見た際に、径方向の中央部が最も一端側に凸となるように曲面状になっている。また、弁部材20の一端側の端面20cは、一対の凸部20bが対向する方向に直交する径方向から弁部材20を見た際に、同じ突出高さになっている。
【0021】
軸部材20aは、他端側が弁機構に接続されているとともに、一端側が水栓用ハンドル30に接続されている。水栓用ハンドル30を操作すると、軸部材20aは、弁部材20の一端側の端面20cにおける曲面に沿って回動するように操作される。弁部材20の一端側の端面20cが曲面状になっていることによって、水栓用ハンドル30を操作して軸部材20aを回動操作した際に、水栓用ハンドル30と、弁部材20の一端側の端面20cとが干渉することを抑制することができる。水栓用ハンドル30を操作することによって、軸部材20aを介して弁機構を操作することができる。弁機構を操作することによって、水栓10の吐水や止水を切り換えることができる。また、軸部材20aは、水栓本体12の周壁12aの中心軸を中心とする回動操作を行うこともできる。この回動操作によって、吐水温度を調整することができる。
【0022】
図2に示すように、水栓用ハンドル30の内部に吸水部材40が配置されている。
以下では、水栓用ハンドル30の詳細について説明する。
<水栓用ハンドル>
図2に示すように、水栓用ハンドル30は、ハンドル本体31と、レバー32とを有する。ハンドル本体31は、筒状の周壁33を有している。ハンドル本体31は、周壁33の軸方向における他端側の端部(他端部ともいう。)が開放されているとともに、一端側の端部(一端部ともいう。)が底壁34で封鎖されており、有底筒状に構成されている。底壁34は、周壁33と一体に形成されている。底壁34は、周壁33と別体に、例えばキャップ部材として形成されて、周壁33に装着されていてもよい。
【0023】
図2、4に示すように、ハンドル本体31は、周壁33の内周側において、底壁34から底壁34の厚さ方向に対して若干傾斜した方向に突出する突出壁35を有する。突出壁35の横断面、すなわち、突出壁35の突出方向に直交する断面は四角形状であり、内部に四角形状の空洞を有している。
【0024】
図4に示すように、突出壁35は、突出壁35を貫通するネジ孔35aを有している。ネジ孔35aの内部にネジ溝35a1が形成されている。また、ハンドル本体31の周壁33は、ネジ孔35aの中心に重なる位置に、ネジ頭を収容した状態でネジ(図示省略)を挿通させる挿通孔33aを有している。
【0025】
図2に示すように、レバー32は、ハンドル本体31の周壁33の外周面から周壁33の径方向外側に突出している。レバー32は、断面が円形の棒状に構成されている。レバー32を把持することによって、水栓用ハンドル30を操作することが容易になる。
【0026】
水栓用ハンドル30の材質は特に制限されない。水栓用ハンドル30の材質は、樹脂や金属を採用することができる。樹脂の表面にメッキが施されていてもよい。
<吸水部材>
図3は、吸水部材40を平板状にして平面視している。
【0027】
図3に示すように、吸水部材40は可撓性を有しており、平板状にした状態で、円形状の外形を有している。吸水部材40は、中心部に略四角形状の貫通孔(第1貫通孔ともいう。)41を有する。第1貫通孔41は、軸部材20aを挿通させるものであり、後述のように吸水部材40が軸部材20aに係合する係合部として機能する。また、第1貫通孔41を挟んで吸水部材40の径方向に対向する2箇所に、互いに平行に延びる一対の貫通孔(第2貫通孔ともいう。)42を有する。第2貫通孔42は、弁部材20の一対の凸部20bを挿通させるものであり、水栓用ハンドル30の操作に伴い、軸部材20aとともに吸水部材40が移動しても、吸水部材40が凸部20bと干渉しない程度の長さを有している。また、吸水部材40は、外周縁から中心部に向かって複数のスリット43を有する。複数のスリット43は、吸水部材40の外周に沿って略等間隔で形成されている。各スリット43は、吸水部材40の外周縁から中心部に向かうにつれてスリット幅が小さくなるように形成されており、三角形の2辺に沿う形状を有している。複数のスリット43のうち、対向する一対のスリット43aは、他のスリット43よりも長さが長く構成されている。この一対のスリット43aが対向する方向は、第2貫通孔42が平行に延びる方向に沿っている。
【0028】
吸水部材40の厚さは特に制限されないが、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい。また、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましい。
【0029】
吸水部材40の材質は特に制限されず、吸水性を有する材質を適宜採用することができる。吸水部材40の材質としては、例えば多孔質の樹脂やセラミックスを挙げることができる。樹脂の具体例としては、発泡させたウレタン樹脂を挙げることができる。
【0030】
図2に示すように、吸水部材40は、複数のスリット43を有しているため、曲面状に湾曲させた際に、皺状の凹凸が形成されにくい。そのため、例えば弁部材20の一端側の端面20cに沿った曲面状にすることが容易になる。
【0031】
なお、吸水部材40を曲面状に湾曲させた態様も、板状に含まれるものとする。すなわち、板状は、平板状に限定されず、曲面状のものも含まれるものとする。例えば可撓性を持った扁平の素材を曲面状に変形させて組み付けた態様も板状に含まれるものとする。
【0032】
<水栓用ハンドルの組付け手順>
図2に示すように、まず、吸水部材40のスリット43の幅が小さくなるように吸水部材40を折り曲げて、全体を曲面状に湾曲させる。予め吸水部材40をプレスして、曲面状を維持するようにしてもよいし、後述するハンドル本体31の内部に吸水部材40を配置した際に、吸水部材40の外周縁がハンドル本体31の内周縁に当接することによって曲面状が維持されるようにしてもよい。
【0033】
次に、曲面状にした吸水部材40の第1貫通孔41に弁部材20の軸部材20aを挿通させる。また、吸水部材40の第2貫通孔42に弁部材20の凸部20bを挿通させる。
次に、軸部材20aを、水栓用ハンドル30の突出壁35の空洞に挿入する。水栓用ハンドル30の周壁33の挿通孔33aにネジを挿通させ、このネジを突出壁35のネジ孔35aのネジ溝35a1に螺合させる。ネジの先端が、突出壁35の空洞に挿入された軸部材20aに当接することによって、水栓用ハンドル30の突出壁35に軸部材20aが固定される。
【0034】
図4に示すように、水栓用ハンドル30のハンドル本体31の突出壁35に、弁部材20の軸部材20aを固定して、ハンドル本体31の周壁33の軸方向を、略水平方向に沿う状態にする。
【0035】
吸水部材40の第1貫通孔41に軸部材20aが挿通する、言い換えれば吸水部材40の第1貫通孔41が軸部材20aに係合することによって、水栓用ハンドル30の操作時における吸水部材40の位置ずれを抑制することができる。また、吸水部材40の第2貫通孔42に弁部材20の一対の凸部20bを挿通させることによっても、吸水部材40の位置ずれ、例えば吸水部材40の周方向の位置ずれを抑制することができる。また、吸水部材40を曲面状に湾曲した状態で配置することによって、水栓用ハンドル30を操作する際に、吸水部材40が軸部材20aや凸部20bを除いた、水栓10の他の部材としての弁部材20に干渉することを抑制しやすくなる。
【0036】
図4に示すように、水栓用ハンドル30の突出壁35に軸部材20aが固定された状態において、吸水部材40は、水栓用ハンドル30のハンドル本体31の内部に配置された状態になる。吸水部材40は、水栓用ハンドル30の開放された他端部を塞いだ状態になる。なお、吸水部材40が水栓用ハンドル30の開放された他端部を塞いだ状態とは、吸水部材40が水栓用ハンドル30のハンドル本体31における他端部を完全に塞いだ態様に限定されない。吸水部材40は、外周縁に複数のスリット43を有しているため、スリット43の空間部分や、吸水部材40の外周縁とハンドル本体31の内周縁との間が完全に塞がれてなくてもよい。すなわち、ハンドル本体31の他端部に若干の隙間を有しており、ハンドル本体31の他端部が部分的に塞がれた状態であってもよい。ハンドル本体31の他端部が完全に塞がれていなくても、ハンドル本体31の内部に液体が入りにくくすることができる。また、本発明において、「液体」は、水に限定されず、水栓10周りで使用される液体、例えば液状の洗剤等を含むものとする。
【0037】
<作用及び効果>
本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、水栓用ハンドル30のハンドル本体31の軸方向が水平方向に沿う状態において弁部材20が閉状態になり、
図5に示すように、ハンドル本体31の軸方向が水平方向に対して傾斜した状態において弁部材20が開状態になるとする。
【0038】
図5に示すように、弁部材20が開状態である際に、弁部材20の一端側と、ハンドル本体31の開放された他端部との間の隙間Sが大きくなりやすい。そのため、水栓10の使用時や洗浄時等にハンドル本体31に液体がかかると、この隙間Sからハンドル本体31の内部に液体が入りやすくなる。
【0039】
これに対し、本実施形態では、吸水部材40が、ハンドル本体31の内部に配置されていることによって、仮に、ハンドル本体31の内部に液体が入り込んだとしても、入り込んだ液体を吸水部材40で吸収して保持することができる。そのため、ハンドル本体31の軸方向が傾斜した状態から、水平方向に戻しても、ハンドル本体31の内部から外部へ液体が垂れることを抑制することができる。さらに、吸水部材40が、水栓用ハンドル30の開放された他端部を塞いでいることによって、ハンドル本体31の内部に液体が入りにくくなっている。そのため、より効率良くハンドル本体31の内部から外部へ液体が垂れることを抑制することができる。また、吸水部材40で保持された液体は、経時的に吸水部材40から蒸発させて除去することもできる。
【0040】
本実施形態の効果について説明する。
(1)水栓本体12に取り付けて用いられる水栓用ハンドル30であって、軸方向の他端部が開放されているとともに、一端部が封鎖されている有底筒状のハンドル本体31を有しており、ハンドル本体31の内部に吸水部材40が配置されている。したがって、ハンドル本体31の内部に液体が入っても、入った液体を吸水部材40で吸収して保持することができる。そのため、ハンドル本体31の内部から外部へ液体が垂れることを抑制することができる。また、ハンドル本体31の内部に吸水部材40が配置されていることによって、吸水部材40を目立たなくすることができるため、水栓10の外観を良好にすることができる。
【0041】
(2)吸水部材40は、板状に構成されており、ハンドル本体31の他端部を塞いでいる。ハンドル本体31の開放された他端部を吸水部材40で塞ぐことによって、ハンドル本体31の内部に液体が入りにくくなる。したがって、より効率良くハンドル本体31の内部から外部へ液体が垂れることを抑制することができる。
【0042】
(3)水栓用ハンドル30は、水栓本体12の弁部材20から突出する軸部材20aに接続されており、吸水部材40は、軸部材20aに係合する係合部を有する。したがって、吸水部材40の係合部を軸部材20aに係合させることによって、水栓用ハンドル30を操作した際に、吸水部材40の位置ずれを抑制することができる。
【0043】
(4)係合部は、吸水部材40に形成された貫通孔(第1貫通孔41、第2貫通孔42)である。したがって、吸水部材40の貫通孔(第1貫通孔41、第2貫通孔42)に軸部材20aを挿通させるという簡単な構成で、吸水部材40を軸部材20aに係合させることができる。
【0044】
(5)吸水部材40は、スリット43を有しており、曲面状に湾曲した状態で配置されている。したがって、吸水部材40がスリット43を有しているため、吸水部材40を曲面状に湾曲させた際に、皺状の凹凸が形成されにくい。また、吸水部材40を曲面状に湾曲した状態で配置することによって、水栓用ハンドル30を操作する際に、吸水部材40が、軸部材20aや凸部20bを除いた水栓10の他の部材としての弁部材20に干渉することを抑制しやすくなる。
【0045】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・本実施形態において、吸水部材40は、板状に構成されており、ハンドル本体31の開放された他端部を塞いでいたが、この態様に限定されない。吸水部材40は、ハンドル本体31の開放された他端部を塞いでいなくてもよい。
【0047】
図6、7に示すように、例えば、吸水部材40が、横断面が略半円形状の柱状に構成されていてもよい。吸水部材40は、横断面における直線部分に、半円形状における径方向内側に凸となる凹部44を有しており、この凹部44は、水栓用ハンドル30のハンドル本体31における突出壁35の外周に沿った形状を有している。また、吸水部材40の半円形状部分は、ハンドル本体31の内周に沿った形状を有している。
【0048】
また、ハンドル本体31の底壁34に、突出壁35と同じ方向に突出する一対の凸壁36を設け、この凸壁36の先端にネジ孔36aを形成している。ハンドル本体31の底壁34に当接した状態となるように吸水部材40を配置し、さらにその上から板状の保持部材45を配置する。保持部材45は、軸部材20aを挿通する貫通孔45aを有するとともに、一対のネジ孔45bを有している。ネジ46を保持部材45のネジ孔45bを挿通させつつ、ハンドル本体31の凸壁36のネジ孔36aに螺合させることによって、保持部材45と吸水部材40の両方をハンドル本体31の内部に固定してもよい。保持部材45の材質は特に制限されず、例えば樹脂や金属を採用することができる。この態様では、ハンドル本体31の内部に入り込んだ液体を、吸水部材40で保持することができる。ハンドル本体31の内部空間を有効に利用して、より大きな体積の吸水部材40を配置することができる。
【0049】
・吸水部材40は、板状に構成されているものの、ハンドル本体31の開放された他端部を塞いでいなくてもよい。すなわち、板状の吸水部材40が、ハンドル本体31の内部において、底壁34側に配置されていてもよい。
【0050】
・本実施形態では、吸水部材40の第1貫通孔41に軸部材20aを挿通させることによって、吸水部材40は軸部材20aに係合していたが、この態様に限定されない。吸水部材40の第1貫通孔41は省略されていてもよい。例えば第1貫通孔41に代えて、吸水部材40の外周縁から延びる切欠が吸水部材40に形成されており、この切欠に軸部材20aを挿通させることによって、吸水部材40が軸部材20aに係合していてもよい。
【0051】
・吸水部材40のスリットは、1つのみであってもよい。また、吸水部材40のスリット43は省略されていてもよい。スリット43が省略された状態で、吸水部材40が曲面状に湾曲していてもよい。例えば、円形板状の吸水部材40の一部を折り重ねることによって、曲面状に湾曲していてもよい。また、円形板状の吸水部材40をプレス成形することによって、曲面状に湾曲させてもよい。吸水部材40は、可撓性を有していなくてもよい。
【0052】
・本実施形態において、水栓用ハンドル30は、ハンドル本体31の軸方向が水平方向に沿う状態で水栓本体12に取り付けられていたが、この態様に限定されない。水栓用ハンドル30は、ハンドル本体31の軸方向が水平方向に直交する上下方向や、上下方向に対して傾斜した斜め方向に沿う状態で水栓本体12に取り付けられていてもよい。例えば、弁部材20の軸部材20aが、上下方向の上方に向かって延びており、この軸部材20aの上方側に水栓用ハンドル30が取り付けられていてもよい。水栓10の使用時や洗浄時等に水栓用ハンドル30のハンドル本体31に対して、下方側から液体がかかっても、液体を吸水部材40で吸収して保持することができる。そのため、ハンドル本体31の内部に液体が入り込んで、入り込んだ液体が外部へ垂れることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0053】
10…水栓、12…水栓本体、30…水栓用ハンドル、31…ハンドル本体、40…吸水部材。