(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156266
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20241029BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1343
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070588
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森本 政輝
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
【Fターム(参考)】
2H092GA17
2H092GA29
2H092HA04
2H092JA46
2H092JA48
2H092KA04
2H092NA25
2H092QA06
2H192AA24
2H192BB12
2H192BC33
2H192BC35
2H192BC42
2H192CB02
2H192CB34
2H192CC04
2H192DA32
2H192EA67
2H192JA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高精細液晶表示装置において、映像信号線とソース電極の絶縁の信頼性を向上させる。
【解決手段】第1映像信号線と第2映像信号線の間に半導体膜を有するTFTが形成され、半導体膜の第1端部は第1映像信号線と接続し、第2端部はソース電極と接続し、第1及び第2映像信号線とソース電極は第1層間絶縁膜の上に存在し、ソース電極は画素電極と接続し、かつ、第1映像信号線と第2映像信号線の間に存在している液晶表示装置であって、第1及び第2映像信号線とソース電極を覆って第2層間絶縁膜が形成され、第2層間絶縁膜の上に、ソース電極と接続した中継電極が形成され、第2層間絶縁膜を覆って有機パッシベーション膜が形成され、有機パッシベーション膜を覆って容量絶縁膜が形成され、有機パッシベーション膜と容量絶縁膜の間に設けられる画素電極は、有機パッシベーション膜に形成された第1スルーホール内で、中継電極と接続する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1映像信号線と第2映像信号線の間に半導体膜を有するTFT(薄膜トランジスタ)が形成され、
前記半導体膜の第1端部は前記第1映像信号線と接続し、第2端部はソース電極と接続し、
前記第1映像信号線と前記第2映像信号線と前記ソース電極は第1層間絶縁膜の上に存在し、
前記ソース電極は画素電極と接続し、かつ、前記第1映像信号線と前記第2映像信号線の間に存在している液晶表示装置であって、
前記第1映像信号線、前記第2映像信号線、及び、前記ソース電極を覆って第2層間絶縁膜が形成され、
前記第2層間絶縁膜の上に、前記ソース電極と接続した中継電極が形成され、
前記第2層間絶縁膜を覆って有機パッシベーション膜が形成され、
前記有機パッシベーション膜を覆って容量絶縁膜が形成され、
前記有機パッシベーション膜と前記容量絶縁膜の間に設けられる前記画素電極は、前記有機パッシベーション膜に形成された第1スルーホール内で、前記中継電極と接続することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記ソース電極は前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホール内に延在し、前記ソース電極と前記中継電極を接続する、前記第2層間絶縁膜に形成された第2スルーホールは、前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホール内に存在することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記ソース電極と前記半導体膜を接続する、前記第1層間絶縁膜に形成された第3スルーホールは、平面で視て、前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホールの外側に存在することを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ソース電極と前記半導体膜を接続する、前記第1層間絶縁膜に形成された第3スルーホールは、平面で視て、前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホールの内側に存在することを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記ソース電極と前記中継電極を接続する、前記第2層間絶縁膜に形成された第2スルーホールは、平面で視て、前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホールの外側に形成され、前記中継電極が前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホールの内側に延在することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記ソース電極は前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホールの内側には延在しないことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記中継電極はITO(Indium Tin Oxide)によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第2層間絶縁膜は、無機絶縁膜で形成され、
前記ソース電極は、前記映像信号線に平行な線状に形成され、
前記中継電極は、前記ソース電極に重なり、前記ソース電極に平行な線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
第1映像信号線と第2映像信号線の間に半導体膜を有するTFT(薄膜トランジスタ)が形成され、
前記半導体膜の第1端部は前記第1映像信号線と接続し、第2端部はソース電極と接続し、
前記第1映像信号線と前記第2映像信号線と前記ソース電極は第1層間絶縁膜の上に存在し、
前記ソース電極は画素電極と接続し、かつ、前記第1映像信号線と前記第2映像信号線の間に存在している液晶表示装置であって、
第1映像信号線、前記第2映像信号線、及び前記ソース電極を覆って第2層間絶縁膜が形成され、
前記第2層間絶縁膜を覆って有機パッシベーション膜が形成され、
前記有機パッシベーション膜を覆って容量絶縁膜が形成され、
前記容量絶縁膜上に前記画素電極と対向するコモン電極が形成され、
前記有機パッシベーション膜と前記容量絶縁膜との間に設けられる前記画素電極は、前記有機パッシベーション膜に形成された第1スルーホール内に、設けられる前記第2層間絶縁膜に形成された第2スルーホールを介して前記ソース電極に接続される、液晶表示装置。
【請求項10】
前記半導体膜と前記ソース電極を接続する第3スルーホールは、平面で視て、前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホール及び前記第2層間絶縁膜に形成された前記第2スルーホールの外側に形成され、
前記ソース電極は、前記第1映像信号線と平行に線状に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精細液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして画素毎に、液晶分子によりバックライトからの光の透過率を制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置は、VR(Virtual Reality)表示装置(以後VRともいう)等では、画素ピッチを極めて小さくする必要がある。これに伴い、配線の幅も小さくする必要があるとともに、配線間の間隔が小さくなる。特許文献1には、画素ピッチを小さくするために、TFTと接続するソース電極の幅を映像信号線の幅と同程度にまで、小さくした構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フルHD(Full High Definition)と呼ばれる高精細化した液晶表示装置では、水平方向の画素ピッチが20μm乃至30μm程度まで小さくなっている。VR(Virtual Reality)表示装置等では、水平方向の画素ピッチは8μm程度にまで小さくなる。
【0006】
そうすると、配線の線幅を小さくし、配線間の間隔を小さくする必要がある。配線間の間隔が小さくなると、配線間の絶縁特性が問題になる。また、配線の線幅を小さくする一方、配線抵抗の問題から、配線の厚さは大きくしなければならない。
【0007】
本発明の課題は、画素ピッチが小さい、高精細の液晶表示装置において、画質を維持しつつ、配線間の絶縁特性を維持し、信頼性の高い表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記問題を克服するものであり、具体的な手段は次のとおりである。
【0009】
(1) 第1映像信号線と第2映像信号線の間に半導体膜を有するTFT(薄膜トランジスタ)が形成され、前記半導体膜の第1端部は前記第1映像信号線と接続し、第2端部はソース電極と接続し、前記第1映像信号線と前記第2映像信号線と前記ソース電極は第1層間絶縁膜の上に存在し、前記ソース電極は画素電極と接続し、かつ、前記第1映像信号線と前記第2映像信号線の間に存在している液晶表示装置であって、前記第1映像信号線、前記第2映像信号線、及び、前記ソース電極を覆って第2層間絶縁膜が形成され、前記第2層間絶縁膜の上に、前記ソース電極と接続した中継電極が形成され、前記第2層間絶縁膜を覆って有機パッシベーション膜が形成され、前記有機パッシベーション膜を覆って容量絶縁膜が形成され、前記有機パッシベーション膜と前記容量絶縁膜の間に設けられる前記画素電極は、前記有機パッシベーション膜に形成された第1スルーホール内で、前記中継電極と接続することを特徴とする液晶表示装置。
【0010】
(2)前記ソース電極は前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホール内に延在し、前記ソース電極と前記中継電極を接続する、前記第2層間絶縁膜に形成された第2スルーホールは、前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホール内に存在することを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0011】
(3)前記ソース電極と前記半導体膜を接続する、前記第1層間絶縁膜に形成された第3スルーホールは、平面で視て、前記有機パッシベーション膜に形成された前記第1スルーホールの外側に存在することを特徴とする(2)に記載の液晶表示装置。
【0012】
(4)第1映像信号線と第2映像信号線の間に半導体膜を有するTFT(薄膜トランジスタ)が形成され、前記半導体膜の第1端部は前記第1映像信号線と接続し、第2端部はソース電極と接続し、前記第1映像信号線と前記第2映像信号線と前記ソース電極は第1層間絶縁膜の上に存在し、前記ソース電極は画素電極と接続し、かつ、前記第1映像信号線と前記第2映像信号線の間に存在している液晶表示装置であって、第1映像信号線、前記第2映像信号線、及び前記ソース電極を覆って第2層間絶縁膜が形成され、前記第2層間絶縁膜を覆って有機パッシベーション膜が形成され、前記有機パッシベーション膜を覆って容量絶縁膜が形成され、前記容量絶縁膜上に前記画素電極と対向するコモン電極が形成され、前記有機パッシベーション膜と前記容量絶縁膜との間に設けられる前記画素電極は、前記有機パッシベーション膜に形成された第1スルーホール内に、設けられる前記第2層間絶縁膜に形成された第2スルーホールを介して前記ソース電極に接続される、液晶表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】比較例1による液晶表示装置の画素部の平面図である。
【
図4】比較例2による液晶表示装置の画素部の平面図である。
【
図8】本発明の断面図(実施例1の
図9のE-E断面図、及び、実施例2の
図12のI-I断面図)である。
【
図9】実施例1による液晶表示装置の画素部の平面図である。
【
図12】実施例2による液晶表示装置の画素部の平面図である。
【
図14】実施例3による液晶表示装置の画素部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、実施例によって本発明の内容を詳細に説明する。液晶表示装置には、画素電極とコモン電圧の上下関係によって、画素電極トップ、コモン電極トップの方式が存在するが、本発明は、コモン電極トップの構成について説明する。また、従来は、カラーフィルタは対向基板に形成される場合が多かったが、高精細液晶表示装置では、TFT基板に形成される場合もある。これは、COA(Color Filter on Array)と呼ばれている。本発明は、このいずれの方式でも適用することが出来る。実施例では、カラーフィルタは対向基板側に形成された場合について説明する。
【実施例0015】
図1は液晶表示装置の平面図である。
図1において、TFT基板100と対向基板200が周辺でシール材150を介して接着し、内部に液晶300が封止されている。TFT基板100と対向基板200が重なった領域に表示領域10が形成されている。表示領域10内のTFT基板100には、横方向(x方向)に走査線11が延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在し、横方向に配列している。走査線11と映像信号線12に囲まれた領域に画素13が形成されている。
【0016】
TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成され、TFT基板100が対向基板200と重なっていない部分は端子領域20となっている。端子領域20には、液晶表示装置に電源や信号を供給するためのフレキシブル配線基板40が接続している。また、端子領域60には、映像信号等を形成するための、ドライバIC30が配置している。なお、端子領域20の面積が小さい場合は、ドライバIC30はフレキシブル配線基板40側に搭載される場合もある。
【0017】
図2は、比較例1による液晶表示装置における、ポリシリコン半導体を用いたTFTを有する画素領域の平面図である。本発明では、半導体としてポリシリコン半導体を用いる。以後、特に断らない限り、半導体膜という場合は、ポリシリコン半導体膜をいう。
【0018】
図2において、走査線11が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在し、横方向に配列している。走査線11と映像信号線12に囲まれた領域に矩形の画素電極111が形成されている。
【0019】
スルーホール131を介して半導体膜102が映像信号線12と接続している。半導体膜102は横方向に延在した後、L字状に屈曲し、縦方向に延在する。半導体膜102が走査線11の下を通過した領域が、TFTのチャンネル領域を形成する。半導体膜102は、さらに下方に延在し、スルーホール132を介してコンタクト電極を兼ねたソース電極107と接続する。
【0020】
図2におけるスルーホール130は、有機パッシベーション膜110(
図3参照)に形成されたスルーホールの底部である。有機パッシベーション膜110は、2μm乃至3μmというように、厚く形成されるので、スルーホール130の径は大きくなる。
図2においては、スルーホール130内において、半導体膜102は、スルーホール132を介してコンタクト電極を兼ねたソース電極107と接続する。スルーホール130内において、ソース電極107と画素電極が接続することになる。
【0021】
図3は、
図2のA-A断面図である。
図3において、例えば、ガラスで形成されたTFT基板100の上に下地膜101が形成されている。下地膜101の役割は、ガラス基板100等からの不純物が半導体膜102を汚染することを防止することである。下地膜101は一般には、窒化シリコン膜(以後SiN層とも言う)と酸化シリコン膜(以後SiOとも言う)の2層構造となっている。
【0022】
下地膜101の上に半導体膜102が形成されている。
図2における半導体膜102を構成するポリシリコンは、a-Silicon(アモーファス シリコン)をエキシマレーザよってポリシリコンに変換したものである。
【0023】
半導体膜102を覆って、ゲート絶縁膜103が形成されている。ゲート絶縁膜103は、例えば、TEOSを原料とし、CVD(Chemical Vapour Deposition)によって成膜したものである。ゲート絶縁膜103の上に金属によってゲート電極104が形成されている。
図2および
図3では、ゲート電極104は走査線11が兼用している。半導体膜102はイオンインプランテーションによって、リンあるいはボロンなどがドープされているが、走査線11(ゲート電極104)の下はドープされず、この部分がTFTのチャンネル領域を形成する。
【0024】
ゲート電極104およびゲート絶縁膜103を覆って、第1層間絶縁膜105が形成されている。第1層間絶縁膜105は、酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜、あるいは、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜で形成される。半導体膜102の一方の端部は、ゲート絶縁膜103と第1層間絶縁膜105に形成れたスルーホール131によって映像信号線12と接続する。
図3では、映像信号線12がTFTのドレイン電極106を兼用する。半導体膜102の一方の端部付近は、ゲート絶縁膜103と第1層間絶縁膜105に形成れたスルーホール132を介して、ソース電極107と接続している。
図3におけるソース電極107はいわゆるコンタクト電極を兼用している。
【0025】
ドレイン電極106、ソース電極107、第1層間絶縁膜105を覆って、有機パッシベーション膜110が形成されている。有機パッシベーション膜110は、アクリル等の透明感光性樹脂で形成されている。アクリル樹脂110には、画素電極111とTFTのソース電極107を接続するために、スルーホール130が形成されている。
【0026】
有機パッシベーション膜130は、平坦化膜として使用するためと、映像信号線12と画素電極111との容量カップリングを小さくするために、2μm乃至4μmと、厚く形成される。そうすると、この厚い膜に形成されるスルーホール130径が大きくなる。スルーホール130の径は、VRなどの、水平ピッチの小さい表示装置では、水平方向の画素ピッチとほぼ同程度の大きさになる。
【0027】
有機パッシベーション膜110の上に画素電極111が透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)膜で形成される。画素電極111の形状は、
図2に示すように矩形である。画素電極111を覆って容量絶縁膜112が形成される。容量絶縁膜112は、画素電極111とコモン電極113との絶縁のためと、画素容量を形成する役割があるので、このように呼ばれる。容量絶縁膜112は、容量を大きくするために、窒化シリコン膜で形成され、厚さは100nm以下である。
【0028】
容量絶縁膜112を覆ってコモン電極113が透明導電膜であるITO膜で形成される。コモン電極113は複数の画素に共通に形成される。コモン電極113が画素電極111と対向する部分にスリット1131が形成されている。画素電極111に電圧が印加されると、
図3に示すような、液晶層300を通過し、スリット1131を介して、コモン電極113に向かう電気力線が発生し、液晶分子301を回転させる。液晶分子301の回転の量によって、各画素の光の透過率が制御される。
【0029】
コモン電極113を覆って配向膜114が形成されている。液晶分子301を初期配向させるためである。配向膜114の配向処理は、配向膜114の表面を布等で1方向に擦る、いわゆるラビング処理、あるいは、光配向処理が行われている。光配向処理は、偏向紫外線を用いて、ポリイミドの特定方向の鎖を分断し、配向膜114に1軸異方性を与えるものである。
図3に示すようなIPS構造では、いわゆるティルト角が必要ないので、光配向処理が適している。
【0030】
図3において、液晶層300を挟んで対向基板200が配置している。対向基板200には、カラーフィルタ201とブラックマトリクス202が形成されている。ブラックマトリクス202は、スルーホール130、映像信号線12、走査線11など、遮光が必要な領域を覆うように形成される。カラーフィルタ201は、画素電極111に対応する領域に形成される。カラーフィルタ201及びブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。オーバーコート膜203は、アクリル等の透明樹脂で形成される。オーバーコート膜203を覆って、配向膜204が形成されている。配向膜204は、液晶分子301の初期配向方向を決めるものであるが、製造方法等はTFT基板100側の配向膜114で説明したのと同じである。
【0031】
図4は、画素ピッチが小さくなった場合の画素の平面図である。
図2での画素ピッチは例えば20μm程度であるのに対し、
図4での画素ピッチは例えば8μm程度である。画素ピッチが小さくなるに伴い、ソース電極107の横方向の幅も小さくする必要がある。これに伴い、有機パッシベーション膜110に形成されたスルーホール130の径が少し小さくなっている。ソース電極107の幅は大幅に小さくなっている。ソース電極107と半導体膜102を接続するスルーホール132はスルーホール130の外側に形成されている。
図4のその他の構成は
図2と同じである。
【0032】
図5は、
図4のB-B断面図である。
図5において、ソース電極107と半導体膜102を接続するスルーホール132は、スルーホール130の外側に形成されている。
図5のその他の構造は
図4で説明したのと同じである。
【0033】
図6は
図2のC-C断面図である。
図6において、下地膜101の上に半導体膜102が形成され、その上にゲート絶縁膜103が形成され、その上に第1層間絶縁膜105が形成されている。第1層間絶縁膜105の上に映像信号線12とソース電極107が形成されている。
図6において、厚く形成された有機パッシベーション膜110にスルーホール130が形成されている。スルーホール130は映像信号線12と映像信号線12との間に存在している。スルーホール130の側面および底面に沿って画素電極111が形成されている。スルーホール130の底面にソース電極107が存在し、画素電極111と接続している。
図6において、ソース電極の幅はスルーホール130の底面の幅よりも大きい。それでも、映像信号線12とソース電極107の間の間隔は十分とれている。
【0034】
図7は
図4のD-D断面図である。
図7は、映像信号線12映像信号線12の間隔は小さいが、基本構造は
図6とほぼ同じとなっている。しかし、
図7では、ソース電極107の幅が小さくなっている。にもかかわらず、画素ピッチが非常に小さくなると、ソース電極107と映像信号線12との間隔d2が小さくなり、相互の絶縁を保つのが困難になる。さらに映像信号線12と画素電極111との間隔d1は、映像信号線12とソース電極107との間隔d1よりも小さく、絶縁を保つのがさらに困難になる。
【0035】
図8は、上記で説明した
図7の問題を対策する本発明の実施例1の断面図である。
図8は、実施例1の平面図を示す
図9のE-E断面図である。
図8が
図7と異なる点は、酸化シリコン膜あるいは窒化シリコン膜等の無機絶縁膜によって形成された第2層間絶縁膜108が映像信号線12とソース電極107を覆って形成されているということである。この第2層間絶縁膜絶縁膜108によって、映像信号線12と、ソース電極107あるいは画素電極111との絶縁を安定して保つことができる。
【0036】
図9は、実施例1の平面図である。
図9では、
図8で説明した第2層間絶縁膜108は記載されていないが、第2層間絶縁膜108を介して形成される中継電極109が記載されている。
図9において、ソース電極107は、映像信号線12との間隔を安定して維持するために、映像信号線12と平行な線状に形成され、ソース電極107の線幅は半導体膜102と同程度にまで小さくなっている。ソース電極107と半導体膜102とを接続するスルーホール132は、有機パッシベーション膜110に形成されているスルーホール130の外側に配置している。そして、第2層間絶縁膜108の下を延在してスルーホール130内において、第2層間絶縁膜108に形成されたスルーホール133を介して中継電極109と接続する。
【0037】
中継電極109は透明導電膜であるITO膜で形成されている。中継電極109も映像信号線12に平行な線状に形成され、線状のソース電極107と平行に延伸しているが、中継電極109の幅はソース電極107の幅よりも大きい。すなわち、中継電極109は第2層間絶縁膜108の存在によって、映像信号線12との絶縁を維持することが出来るので、幅を大きくすることが出来る。これによって、画素電極111との接続を安定化することが出来る。
図9において、ソース電極107と中継電極109の重複領域にはハッチングが施してある。
図9のその他の構成は、
図4で説明したのと同じである。
【0038】
図10は、
図9のF-F断面図である。
図10が
図8と異なる点は、
図10で示す断面では、ソース電極107と中継電極109を接続するスルーホール133を含んでいることである。すなわち、実施例1では、スルーホール130内に、スルーホール133が存在しているということである。
【0039】
図11は、
図9のG-G断面図である。
図11において、ソース電極107と半導体膜102を接続するスルーホール132は、有機パッシベーション膜110に形成されたスルーホール130の外側に配置している。ソース電極107はスルーホール132から左側に延在する。
【0040】
図11において、ソース電極107を覆って、無機絶縁膜による第2層間絶縁膜108が形成されている。第2層間絶縁膜108は、映像信号線12とソース電極109間の絶縁を確実にしている。第2層間絶縁膜108には、スルーホール130内において、スルーホール133が形成され、ソース電極109と中継電極109が接続している。その他の構成は
図3で説明したのと同様である。
【0041】
実施例1の構成によれば、映像信号線12及びソース電極107を無機絶縁膜で形成された第2層間絶縁膜108で覆うことによって、画素ピッチが小さくなっても、映像信号線12とソース電極107間の絶縁を確実に維持することが出来る。また、中継電極109を使用することによって、スルーホール130内が複雑な構造になっても、画素電極111とソース電極107の接続を確実に行うことが出来る。
画素の水平ピッチが小さくなると、映像信号線12の幅も小さくなる。例えば、水平方向の画素ピッチが8μm程度だと、映像信号線12の幅は例えば、1.7μm程度になる。映像信号線12の幅がこのように細くなると、電気抵抗が大きくなり、信号の書き込み速度が低下する。これを防止するために、映像信号線12の厚さを大きくする必要がある。映像信号線12の厚さは、例えば、700nm程度になる。ソース電極107は、映像信号線12と同時に形成されるので、映像信号線12と同じ厚さになる。
実施例1の構成では、有機パッシベーション膜110に形成されたスルーホール130内に、厚いソース電極107が延在するので、スルーホール130内の凹凸が激しくなり、ソース電極107、中継電極109及び画素電極111の接続が問題となる場合がある。また、厚いソース電極107によって段差が形成され、絶縁膜の破壊等による絶縁不良が生ずるおそれがある。