(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156267
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】過酸化物架橋ゴムの架橋度合分析方法
(51)【国際特許分類】
C08L 21/00 20060101AFI20241029BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K5/14
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070589
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津村 弦輝
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 朱香
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC001
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002AC121
4J002BB151
4J002BD121
4J002CP031
4J002EK006
4J002EK036
4J002EK046
4J002EK056
4J002EK066
4J002FD010
4J002FD146
4J002GT00
(57)【要約】
【課題】過酸化物架橋ゴムの架橋度合分析方法を提供する。
【解決手段】ゴム成分と架橋剤の過酸化物とを含有する未架橋ゴム組成物から得られた過酸化物架橋ゴムの架橋度合分析方法である。未架橋ゴム組成物、その完全架橋物、及び分析対象の過酸化物架橋ゴムのそれぞれについて、所定の過酸化物分解温度域における熱重量測定を行う。熱重量測定の結果から、未架橋ゴム組成物及び完全架橋物の重量減少率の差を、未架橋ゴム組成物から完全架橋物を得る際に消費される架橋剤の過酸化物の消費量とするとともに、未架橋ゴム組成物及び過酸化物架橋ゴムの重量減少率の差を、未架橋ゴム組成物から過酸化物架橋ゴムを得る際に消費される架橋剤の過酸化物の消費量として、過酸化物架橋ゴムの架橋度合を算出する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と架橋剤の過酸化物とを含有する未架橋ゴム組成物から得られた過酸化物架橋ゴムの架橋度合分析方法であって、
前記未架橋ゴム組成物、前記未架橋ゴム組成物の完全架橋物、及び分析対象の前記過酸化物架橋ゴムのそれぞれについて熱重量測定を行い、
前記熱重量測定の結果から、前記未架橋ゴム組成物及び前記完全架橋物の重量減少率の差を、前記未架橋ゴム組成物から前記完全架橋物を得る際に消費される前記架橋剤の過酸化物の消費量とみなすとともに、前記未架橋ゴム組成物及び前記過酸化物架橋ゴムの重量減少率の差を、前記未架橋ゴム組成物から前記過酸化物架橋ゴムを得る際に消費される前記架橋剤の過酸化物の消費量とみなし、前記過酸化物架橋ゴムの架橋度合を算出する過酸化物架橋ゴムの架橋度合分析方法。
【請求項2】
請求項1に記載された架橋度合分析方法において、
前記熱重量測定の結果から、所定の分析温度における前記未架橋ゴム組成物及び前記完全架橋物の重量減少率の差に対する前記未架橋ゴム組成物及び前記過酸化物架橋ゴムの重量減少率の差の比を前記過酸化物架橋ゴムの架橋度合として算出する架橋度合分析方法。
【請求項3】
請求項2に記載された架橋度合分析方法において、
前記分析温度が200℃以上250℃以下の温度である架橋度合分析方法。
【請求項4】
請求項1に記載された架橋度合分析方法において、
前記熱重量測定の結果から、所定の過酸化物分解温度域における前記未架橋ゴム組成物及び前記完全架橋物の重量減少率の差を時間積分した過酸化物消費パラメータに対する前記未架橋ゴム組成物及び前記過酸化物架橋ゴムの重量減少率の差の時間積分した過酸化物消費パラメータの比を前記過酸化物架橋ゴムの架橋度合として算出する架橋度合分析方法。
【請求項5】
請求項4に記載された架橋度合分析方法において、
前記過酸化物分解温度域の下限温度が100℃である架橋度合分析方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された架橋度合分析方法において、
前記過酸化物分解温度域の上限温度が200℃以上250℃以下の温度である架橋度合分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化物架橋ゴムの架橋度合分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋ゴムの分析に熱重量測定を用いることが知られている。特許文献1には、架橋ゴムの内層と熱可塑性樹脂の外層とを有する多層構造重合体粒子において、熱重量測定での重量減少率が5%以下であれば、成形体加工時に発生する外観不良や金型汚れを抑制することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、過酸化物架橋ゴムの架橋度合分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ゴム成分と架橋剤の過酸化物とを含有する未架橋ゴム組成物から得られた過酸化物架橋ゴムの架橋度合分析方法であって、前記未架橋ゴム組成物、前記未架橋ゴム組成物の完全架橋物、及び分析対象の前記過酸化物架橋ゴムのそれぞれについて熱重量測定を行い、前記熱重量測定の結果から、前記未架橋ゴム組成物及び前記完全架橋物の重量減少率の差を、前記未架橋ゴム組成物から前記完全架橋物を得る際に消費される前記架橋剤の過酸化物の消費量とみなすとともに、前記未架橋ゴム組成物及び前記過酸化物架橋ゴムの重量減少率の差を、前記未架橋ゴム組成物から前記過酸化物架橋ゴムを得る際に消費される前記架橋剤の過酸化物の消費量とみなし、前記過酸化物架橋ゴムの架橋度合を算出するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、未架橋ゴム組成物、その完全架橋物、及び分析対象の過酸化物架橋ゴムのそれぞれの熱重量測定の結果を用いることにより、過酸化物架橋ゴムの架橋度合を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】未架橋ゴム組成物A、完全架橋物B、及び過酸化物架橋ゴムXについての熱重量測定における温度と重量保持率との関係を示すグラフである。
【
図2A】未架橋ゴム組成物A及び完全架橋物Bについての熱重量測定における時間と重量保持率との関係を示すグラフである。
【
図2B】未架橋ゴム組成物A及び過酸化物架橋ゴムXについての熱重量測定における時間と重量保持率との関係を示すグラフである。
【
図3A】第1分析方法で算出した完全架橋物B及び過酸化物架橋ゴムX1乃至X5の架橋度合と100%引張応力との関係を示すグラフである。
【
図3B】第2分析方法で算出した完全架橋物B及び過酸化物架橋ゴムX1乃至X5の架橋度合と100%引張応力との関係を示すグラフである。
【
図4】第1分析方法で算出した架橋度合と第2分析方法で算出した架橋度合との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について説明する。
【0009】
実施形態に係る過酸化物架橋ゴムXの架橋度合分析方法において、分析対象の過酸化物架橋ゴムXは、ゴム成分と架橋剤の過酸化物とを含有する配合が既知の未架橋ゴム組成物Aから得られる架橋ゴム組成物である。
【0010】
未架橋ゴム組成物Aにおける過酸化物架橋可能なゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(F)等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0011】
架橋剤の過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,3-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン-3などのジアルキルパーオキサイド;1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレートなどのパーオキシケタール;2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどのパーオキシエステル等が挙げられる。過酸化物は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。未架橋ゴム組成物Aにおける過酸化物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5質量部以上10質量部以下である。
【0012】
未架橋ゴム組成物Aには、カーボンブラックなどの補強剤、充填剤、加工助剤、老化防止剤、可塑剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等が配合されていてもよい。
【0013】
実施形態に係る過酸化物架橋ゴムXの架橋度合分析方法では、まず、未架橋ゴム組成物A、その未架橋ゴム組成物Aの完全架橋物B、及び分析対象の過酸化物架橋ゴムXのそれぞれについて熱重量測定を行う。
【0014】
ここで、本出願における「完全架橋物B」とは、未架橋ゴム組成物Aを、所定の架橋温度で、キュラストメーター(登録商標)を用いてJIS K6300-2:2001に準拠して求められる100%架橋時間tc(100)の加熱を行って架橋させたものをいう。
【0015】
完全架橋物B及び過酸化物架橋ゴムXについての熱重量測定は、分析精度を高める観点から、プレス成形等で加熱する一次架橋の後で且つオーブン等で加熱する二次架橋の前に行うことが好ましい。
【0016】
熱重量測定は、窒素等の不活性気体が流通する雰囲気で行うことが好ましい。不活性気体の流量は、例えば300ml/min以上1000ml/minである。
【0017】
熱重量測定における昇温速度は、測定時間が長時間になるのを回避する観点から、好ましくは1℃/min以上であり、試料の温度上昇を追随させて測定精度を高める観点から、好ましくは10℃/min以下、より好ましくは5℃/min以下、更に好ましくは2℃/min以下である。
【0018】
熱重量測定の結果において、
図1に示す温度Tにおける未架橋ゴム組成物A及び完全架橋物Bの重量保持率の差Pは、未架橋ゴム組成物A及び完全架橋物Bの重量減少率の差に一致するので、未架橋ゴム組成物Aを加熱して架橋させることにより完全架橋物Bを得る際に消費される架橋剤の過酸化物の消費量とみなすことができる。同様に、
図1に示す温度Tにおける未架橋ゴム組成物A及び過酸化物架橋ゴムXの重量保持率の差Qは、未架橋ゴム組成物A及び過酸化物架橋ゴムXの重量減少率の差に一致するので、未架橋ゴム組成物Aを加熱して架橋させることにより過酸化物架橋ゴムXを得る際に消費される架橋剤の過酸化物の消費量とみなすことができる。
【0019】
以上のことより、実施形態に係る過酸化物架橋ゴムXの架橋度合分析方法では、熱重量測定の結果から、温度Tにおける未架橋ゴム組成物A及び完全架橋物Bの重量保持率の差P、すなわち、重量減少率の差を、未架橋ゴム組成物Aから完全架橋物Bを得る際に消費される架橋剤の過酸化物の消費量とみなすとともに、温度Tにおける未架橋ゴム組成物A及び過酸化物架橋ゴムXの重量保持率の差Q、すなわち、重量減少率の差を、未架橋ゴム組成物Aから過酸化物架橋ゴムXを得る際に消費される架橋剤の過酸化物の消費量とみなし、そして、それに基づいて過酸化物架橋ゴムXの架橋度合を算出する。具体的な分析方法としては、以下の第1分析方法及び第2分析方法がある。
【0020】
<第1分析方法>
第1分析方法では、熱重量測定の結果から、
図1に示すように、架橋剤の過酸化物のほとんどが分解する所定の分析温度Tにおける未架橋ゴム組成物A及び完全架橋物Bの重量減少率の差P及び未架橋ゴム組成物A及び過酸化物架橋ゴムXの重量減少率の差Qを求める。そして、未架橋ゴム組成物A及び完全架橋物Bの重量減少率の差Pに対する未架橋ゴム組成物A及び過酸化物架橋ゴムXの重量減少率の差Qの比を過酸化物架橋ゴムXの架橋度合として算出する。
【0021】
分析温度Tは、できるだけ多くの過酸化物の分解を検出して分析精度を高める一方、重量減少における過酸化物以外の高温分解成分の影響を小さくする観点から、200℃以上250℃以下の温度であることが好ましく、220℃がより好ましい。この分析温度Tは、未架橋ゴム組成物Aの示唆熱重量測定(DTG)により得られるDTG曲線より、過酸化物の分解を確認して設定することができる。
【0022】
この第1分析方法は、未架橋ゴム組成物Aが比較的単純な配合の場合に適した簡便な方法である。
【0023】
<第2分析方法>
第2分析方法では、熱重量測定の結果から、
図2Aに示すように、未架橋ゴム組成物A及び完全架橋物Bの重量保持率の差Pを、所定の過酸化物分解温度域の下限温度Tminから上限温度Tmaxまで時間積分した領域Iの面積に相当する過酸化物消費パラメータS
I(=∫Pdt)を求める。この過酸化物消費パラメータS
Iは、未架橋ゴム組成物Aから完全架橋物Bを得る際に消費される架橋剤の過酸化物の消費量の指標であって、指標の最大値である。
【0024】
また、
図2Bに示すように、未架橋ゴム組成物A及び過酸化物架橋ゴムXの重量保持率の差Qを、所定の過酸化物分解温度域の下限温度Tminから上限温度Tmaxまで時間積分した領域IIの面積に相当する過酸化物消費パラメータS
II(=∫Qdt)を求める。この過酸化物消費パラメータS
IIは、未架橋ゴム組成物Aから過酸化物架橋ゴムXを得る際に消費される架橋剤の過酸化物の消費量の指標である。
【0025】
そして、過酸化物消費パラメータSIに対する過酸化物消費パラメータSIIの比を過酸化物架橋ゴムXの架橋度合として算出する。
【0026】
ここで、過酸化物分解温度域は、熱重量測定(TGA)により主に架橋剤の過酸化物の分解に起因する重量減少を検出するための温度域である。この過酸化物分解温度域は、未架橋ゴム組成物Aの示唆熱重量測定(DTG)により得られるDTG曲線より、過酸化物の分解を確認して設定することができる。
【0027】
過酸化物分解温度域の下限温度Tminは、できるだけ多くの過酸化物の分解を検出する一方、重量減少における低揮発成分の散逸の影響を小さくする観点から、80℃以上120℃以下の温度とすることが好ましく、特に重量減少における水分の散逸の影響を排除する観点から、100℃とすることがより好ましい。過酸化物分解温度域の上限温度Tmaxは、できるだけ多くの過酸化物の分解を検出して分析精度を高める一方、重量減少における過酸化物以外の高温分解成分の影響を小さくする観点から、200℃以上250℃以下の温度に設定することが好ましく、220℃とすることがより好ましい。
【0028】
過酸化物消費パラメータSI,SIIは、未架橋ゴム組成物Aから完全架橋物B又は過酸化物架橋ゴムXを得る際に消費される架橋剤の過酸化物の消費量を顕在化したものである。そのため、この第2分析方法は、未架橋ゴム組成物Aが多種多様な成分を含む複雑な配合の場合にも対応することができる。
【0029】
以上の実施形態に係る過酸化物架橋ゴムXの架橋度合分析方法によれば、未架橋ゴム組成物A、その完全架橋物B、及び分析対象の過酸化物架橋ゴムXのそれぞれの熱重量測定の結果を用いることにより、過酸化物架橋ゴムXの架橋度合を分析することができる。しかも、熱重量測定には、微量の過酸化物架橋ゴムXの試料があればよいので、例えばゴム製品のほんの一部を試料として採取できれば、その架橋度合を分析することができる。そのため、実施形態に係る過酸化物架橋ゴムXの架橋度合分析方法は、未架橋ゴム組成物A及びその完全架橋物Bの熱重量測定を予め行い、それをデータベース化しておけば、半製品や完成品から採取した過酸化物架橋ゴムXの試料の架橋度合を分析する工程検査や製品検査として利用することができる。
【実施例0030】
(未架橋ゴム組成物A及び完全架橋物B)
水素化ニトリルゴム(HNBR)をゴム成分とし、このゴム成分100質量部に対し、架橋剤の過酸化物である1,3-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン2.4質量部及びカーボンブラック30質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物Aを調製した。
【0031】
この未架橋ゴム組成物Aを、175℃で、キュラストメーター(登録商標)を用いてJIS K6300-2:2001に準拠して100%架橋時間tc(100)を求めたところ15分であった。このことから、未架橋ゴム組成物Aを架橋温度175℃及び架橋時間15分で架橋させたものを完全架橋物Bとした。
【0032】
(過酸化物架橋ゴムX)
未架橋ゴム組成物Aを架橋温度175℃及び架橋時間7分で架橋させたものを過酸化物架橋ゴムX1とした。また、架橋温度170℃、165℃、160℃、及び155℃としたことを除いて過酸化物架橋ゴムX1と同一構成のものを、それぞれ過酸化物架橋ゴムX2乃至X5とした。
【0033】
(熱重量測定)
未架橋ゴム組成物A及び完全架橋物B並びに過酸化物架橋ゴムX1乃至X5のそれぞれについて熱重量測定を行った。熱重量測定は、試料をセットしたチャンバ内を、窒素を500ml/minの流量で流通させた雰囲気とするとともに、10℃/minの昇温速度で30℃から50℃まで昇温して5分間保持した後、10℃/minの昇温速度で50℃から80℃まで昇温し、それに続いて、2℃/minの昇温速度で80℃から220℃まで昇温する温度履歴で行った。
【0034】
(架橋度合)
<第1分析方法>
過酸化物架橋ゴムX1乃至X5のそれぞれについて、分析温度Tを220℃として、上記実施形態の第1分析方法で架橋度合を算出した。その結果を表1に示す。
【0035】
【0036】
<第2分析方法>
過酸化物架橋ゴムX1乃至X5のそれぞれについて、過酸化物分解温度域を下限温度Tmin100℃及び上限温度Tmax220℃として、上記実施形態の第2分析方法で架橋度合を算出した。その結果を表2に示す。
【0037】
【0038】
(100%伸び時引張応力)
完全架橋物B及び過酸化物架橋ゴムX1乃至X5のそれぞれについて、JIS K6251:2010に基づいて、100%伸び時引張応力を測定した。100%伸び時引張応力は、完全架橋物B及び過酸化物架橋ゴムX1乃至X5の現実の架橋度合が反映する物性であると言える。
【0039】
図3Aは、第1分析方法で算出した完全架橋物B及び過酸化物架橋ゴムX1乃至X5の架橋度合と100%引張応力との関係を示す。
図3Bは、第2分析方法で算出した完全架橋物B及び過酸化物架橋ゴムX1乃至X5の架橋度合と100%引張応力との関係を示す。また、
図4は、第1分析方法で算出した架橋度合と第2分析方法で算出した架橋度合との関係を示す。
【0040】
図3A及びBによれば、第1分析方法及び第2分析方法のいずれで算出した架橋度合も100%伸び時引張応力と強い相関性を有することが分かる。また、
図4によれば、第1分析方法及び第2分析方法のいずれで算出した架橋度合の間にも大きなずれはないことが分かる。