(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156272
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】コントローラおよびポンプシステム
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
F04B49/06 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070599
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】片岡 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】梅川 淳
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA04
3H145AA12
3H145AA24
3H145AA33
3H145AA42
3H145AA44
3H145BA12
3H145CA21
3H145DA04
3H145EA20
3H145EA34
3H145GA02
(57)【要約】
【課題】液圧ポンプの最小使用吐出容量または基準回転数における最小使用吐出流量を正確に設定することができるコントローラを提供する。
【解決手段】一実施形態に係るコントローラ3は、指令電流が大きくなるほど一回転あたりの吐出量である吐出容量が増大する液圧ポンプ2へ指令電流を送給するものである。コントローラ3には、液圧ポンプ2の前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データ、または所定回転数と当該所定回転数における液圧ポンプ2の前記指令電流と吐出流量との実際の関係を示す実測データが入力されるとともに、前記液圧ポンプの最小使用吐出容量または基準回転数における最小使用吐出流量が入力される。コントローラ3は、前記実測データを使用して前記最小使用吐出容量または前記最小使用吐出流量に対応する最小使用電流を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指令電流が大きくなるほど一回転あたりの吐出量である吐出容量が増大する液圧ポンプへ指令電流を送給するコントローラであって、
前記液圧ポンプの前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データ、または所定回転数と当該所定回転数における前記液圧ポンプの前記指令電流と吐出流量との実際の関係を示す実測データが入力されるとともに、前記液圧ポンプの最小使用吐出容量または基準回転数における最小使用吐出流量が入力され、前記実測データを使用して前記最小使用吐出容量または前記最小使用吐出流量に対応する最小使用電流を決定する、コントローラ。
【請求項2】
前記液圧ポンプの前記最小使用吐出容量または前記最小使用吐出流量は、前記コントローラと電気的に接続された入力装置を介して前記コントローラへ入力される、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
指令電流が大きくなるほど一回転あたりの吐出量である吐出容量が増大する液圧ポンプと、
前記液圧ポンプへ指令電流を送給する請求項1または2に記載のコントローラと、
前記液圧ポンプの表面に表示された、前記液圧ポンプの前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データ、もしくは前記所定回転数と前記所定回転数における前記液圧ポンプの前記指令電流と前記吐出流量との実際の関係を示す実測データ、または前記実測データの保存先情報を格納するシンボルと、
前記シンボルを撮像することで前記実測データを取得し、取得した前記実測データを無線通信を介して前記コントローラへ送信する携帯端末と、
を備える、ポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液圧ポンプ用のコントローラと、前記コントローラを含むポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械や産業機械などの機械では、液圧アクチュエータへ作動液を供給する液圧ポンプとして、指令電流が大きくなるほど一回転あたりの吐出量である吐出容量が増大する液圧ポンプが採用されることがある。例えば、特許文献1参照。この場合、ポンプがコントローラにより、液圧アクチュエータの作動速度が速くなるほど液圧ポンプの吐出容量が増大するように制御される。
【0003】
具体的に、コントローラには、液圧アクチュエータを作動させるための操作装置の操作量に対応する操作信号が入力される。操作装置は、当該操作装置の操作量によって液圧アクチュエータの作動速度を決定するためのものである。コントローラからポンプへは、操作信号に応じた指令電流が送給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液圧ポンプに対しては、搭載される機械によって異なる最小吐出容量が要求される。指令電流が大きくなるほど吐出容量が増大する液圧ポンプであれば、機械的な最小容量以上の最小使用吐出容量を電気的に設定することが可能である。このように最小使用吐出容量を設定すれば、要求される最小吐出容量が異なる機械に対して同じ液圧ポンプを用いることができる。
【0006】
しかし、液圧ポンプには、指令電流と吐出容量との関係であるI-q特性に個体差によるばらつきがある。このため、最小使用吐出容量に対応する最小使用電流を設計上の性能特性に基づいて決定すると、最小使用吐出容量が設定すべき値からずれることがある。
【0007】
液圧ポンプに対しては、最小吐出容量の代わりに、基準回転数における最小吐出流量が要求されることがある。この場合には、上記と同様に前記基準回転数における最小使用吐出流量を電気的に設定することが可能であるが、最小使用吐出流量に対応する最小使用電流を設計上の性能特性に基づいて決定すると、上記と同様の理由で最小使用吐出流量が設定すべき値からずれることがある。
【0008】
そこで、本開示は、液圧ポンプの最小使用吐出容量または基準回転数における最小使用吐出流量を正確に設定することができるコントローラを提供すること、および前記コントローラを含むポンプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、一つの側面から、指令電流が大きくなるほど一回転あたりの吐出量である吐出容量が増大する液圧ポンプへ指令電流を送給するコントローラであって、前記液圧ポンプの前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データ、または所定回転数と当該所定回転数における前記液圧ポンプの前記指令電流と吐出流量との実際の関係を示す実測データが入力されるとともに、前記液圧ポンプの最小使用吐出容量または基準回転数における最小使用吐出流量が入力され、前記実測データを使用して前記最小使用吐出容量または前記最小使用吐出流量に対応する最小使用電流を決定する、コントローラを提供する。
【0010】
本開示は、別の側面から、指令電流が大きくなるほど一回転あたりの吐出量である吐出容量が増大する液圧ポンプと、前記液圧ポンプへ指令電流を送給する上記のコントローラと、前記液圧ポンプの表面に表示された、前記液圧ポンプの前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データ、もしくは前記所定回転数と前記所定回転数における前記液圧ポンプの前記指令電流と前記吐出流量との実際の関係を示す実測データ、または前記実測データの保存先情報を格納するシンボルと、前記シンボルを撮像することで前記実測データを取得し、取得した前記実測データを無線通信を介して前記コントローラへ送信する携帯端末と、を備える、ポンプシステムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、液圧ポンプの最小使用吐出容量または基準回転数における最小使用吐出流量を正確に設定することができるコントローラ、および前記コントローラを含むポンプシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係るコントローラを含むポンプシステムの概略構成図である。
【
図2】液圧ポンプおよび前記コントローラを含む液圧システムの概略構成図である。
【
図3】液圧ポンプの指令電流と吐出容量との関係を示すグラフである。
【
図4】最小使用電流の決定方法を説明するための図である。
【
図5】最小使用電流の別の決定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、液圧ポンプ2と、液圧ポンプ2用の一実施形態に係るコントローラ3を含むポンプシステム1を示す。また、
図2に、液圧ポンプ2、液圧アクチュエータ92およびコントローラ3を含む液圧システム10を示す。液圧システム10で用いられる作動液は、典型的には油である。
【0014】
まず、
図2を参照して液圧システム10について説明する。液圧システム10は、例えば、油圧ショベルや油圧クレーンなどの建設機械、またはプレス機械などの産業機械に搭載される。
【0015】
液圧ポンプ2は、可変容量型のポンプである。本実施形態では、液圧ポンプ2が斜板ポンプや斜軸ポンプなどのアキシャルピストンポンプである。ただし、液圧ポンプ2はベーンポンプなどの他の形式のポンプであってもよい。
【0016】
液圧ポンプ2は、原動機8により駆動される。原動機8は、エンジンであってもよいし電動機であってもよい。
【0017】
液圧ポンプ2の一回転あたりの吐出量である吐出容量qは、当該液圧ポンプ2に設けられたレギュレータ21により変更される。レギュレータ21には、コントローラ3から指令電流Iが送給される。例えば、液圧ポンプ2が斜板ポンプである場合、レギュレータ21は、液圧ポンプ2の斜板と連結されたサーボピストンに作用する液圧を電気的に変更するものであってもよいし、液圧ポンプ2の斜板と連結された電動アクチュエータであってもよい。
【0018】
液圧ポンプ2の吐出容量qは、機械的な最小容量qminと最大容量qmaxとの間で指令電流Iに応じて変化する。指令電流Iと吐出容量qとの関係であるI-q特性は、
図3に示す通りである。指令電流IがIa以下のとき吐出容量qが最小容量qminであり、指令電流IがIb以上のとき吐出容量qが最大容量qmaxであり、指令電流IがIaとIbの間のとき指令電流Iが大きくなるほど吐出容量qが増大する。
【0019】
図2に戻って、液圧ポンプ2は、方向切換弁91を介して液圧アクチュエータ92へ作動液を供給する。液圧アクチュエータ92の数は単数であっても複数であってもよい。本実施形態では、液圧アクチュエータ92が双方向に作動する複動シリンダまたは液圧モータである。
【0020】
また、液圧システム10は、液圧アクチュエータ92を作動させるための操作装置31を含む。操作装置31は、当該操作装置31の操作量に応じた操作信号を出力する。本実施形態では、操作装置31が、操作信号として電気信号を出力する電気ジョイスティックである。操作装置31から出力される操作信号は、コントローラ3へ入力される。
【0021】
なお、液圧システム10が搭載される機械が無人機械の場合、操作装置31は省略可能である。この場合、コントローラ3がカメラにより撮像される画像などに基づいて操作信号を自ら作成してもよい。
【0022】
本実施形態では、上述した方向切換弁91が一対のパイロットポートを有し、これらのパイロットポートに電磁比例弁が接続される。コントローラ3は、操作装置31の操作量が大きくなるほど方向切換弁91の開口面積が大きくなるように、電磁比例弁を介して方向切換弁91を制御する。このため、操作装置31の操作量が大きくなるほど液圧アクチュエータ92の作動速度が速くなる。
【0023】
ただし、操作装置31は、方向切換弁91のパイロットポートにパイロット圧を出力するパイロット操作弁であってもよい。パイロット操作弁から出力されるパイロット圧は、当該パイロット操作弁である操作装置31の操作量が大きくなるほど高くなる。操作装置31がパイロット操作弁である場合、操作装置31から出力されるパイロット圧が圧力センサにより検出されて操作信号としてコントローラ3へ入力される。あるいは、方向切換弁91は、コントローラ3により直接的に制御される電磁弁であってもよい。
【0024】
コントローラ3は、操作信号に応じた指令電流Iをレギュレータ21へ送給する。指令電流Iは、操作装置31の操作量が大きくなるほど大きくなる。このため、液圧ポンプ2の吐出容量qは、操作装置31の操作量が大きくなるほど増大する。
【0025】
次に、
図1を参照してポンプシステム1について説明する。コントローラ3に関し、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアはハードウエアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0026】
コントローラ3には、入力装置4が電気的に接続されている。入力装置4は、液圧ポンプ2の最小使用吐出容量q0の入力を受け付ける。液圧ポンプ2の最小使用吐出容量q0は入力装置4を介してコントローラ3へ入力される。
【0027】
最小使用吐出容量q0は、
図3に示すように、液圧ポンプ2が機械に搭載されたときの吐出容量qの使用範囲の下限を規定するものである。最小使用吐出容量q0は、機械的な最小容量qminと同じであってもよいし、最小容量qminよりも大きくてもよい。
【0028】
最小使用吐出容量q0が機械的な最小容量qminと同じ場合には、液圧ポンプ2が機械に搭載されたときの吐出容量qの使用範囲は
図3中の範囲Aとなるとともに、指令電流Iの使用範囲は
図3中の範囲Cとなる。一方、最小使用吐出容量q0が機械的な最小容量qminよりも大きい場合には、液圧ポンプ2が機械に搭載されたときの吐出容量qの使用範囲は
図3中の範囲Bとなるとともに、指令電流Iの使用範囲は
図3中の範囲Dとなる。
【0029】
図1に戻って、ポンプシステム1は、液圧ポンプ2およびコントローラ3に加えて、コントローラ3と無線通信を介して通信可能な携帯端末6を含む。本実施形態では、コントローラ3に無線LANルータ5が有線で接続されており、携帯端末6が無線LANルータ5と無線通信を行う。ただし、コントローラ3が無線通信モジュールを含み、携帯端末6がコントローラ3と直接的に無線通信を行ってもよい。
【0030】
液圧ポンプ2の表面にはシンボル7が表示されている。液圧ポンプ2の表面へのシンボル7の表示に関しては、シンボル7が銘板や表示板などのプレートに印刷され、そのプレートが液圧ポンプ2の表面に取り付けられてもよい。あるいは、シンボル7は液圧ポンプ2の表面に直接印刷されてもよい。
【0031】
本実施形態では、シンボル7が、液圧ポンプ2の実際のI-q特性を示す実測データを格納する。実際のI-q特性は、液圧ポンプ2に対して性能確認試験を行ったときの試験結果である。例えば、シンボル7はマトリクス型の二次元コード(QRコード(登録商標))である。ただし、シンボル7は、IC(Integrated Circuit)タグやRFID(Radio Frequency Identification)タグなどのタグであってもよい。
【0032】
携帯端末6は、シンボル7を撮像可能なカメラを含む。携帯端末6は、カメラがシンボル7を撮像することで当該シンボル7に格納されている液圧ポンプ2の実測データを取得する。携帯端末6は、取得した実測データを無線通信および無線LANルータ5を介してコントローラ3へ送信する。これにより、コントローラ3に液圧ポンプ2の実測データが入力される。このため、実測データを簡単にコントローラ3へ入力することができる。
【0033】
コントローラ3は、入力された液圧ポンプ2の実測データを記憶する。そして、コントローラ3は、I-q特性の個体差によるばらつきを電子的にキャリブレーションする。具体的には、コントローラ3が、操作信号に対応する設定吐出容量が得られるように、液圧ポンプ2へ送給する指令電流Iを調整する。
【0034】
さらに、本実施形態では、コントローラ3が、記憶した実測データを使用して、最小使用吐出容量q0に対応する最小使用電流I0を決定する。最小使用電流I0の決定方法としては、例えば、
図4に示す方法と、
図5に示す方法がある。
【0035】
図4に示す方法では、液圧ポンプ2の実測データのうちの最小使用吐出容量q0に最も近いデータ点の指令電流(
図4ではI8)を最小使用電流I0とする。
図5に示す方法では、液圧ポンプ2の実測データのうちの最小使用吐出容量q0の両側に位置するデータ点を直線で結び、その直線から最小使用吐出容量q0に対応する最小使用電流I0を算出する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態のコントローラ3では、実測データを使用して最小使用電流I0が決定されるので、液圧ポンプ2の最小使用吐出容量q0を正確に設定することができる。
【0037】
また、本実施形態では、液圧ポンプ2の最小使用吐出容量q0が入力装置4を介してコントローラ3へ入力されるので、液圧ポンプ2およびコントローラ3の使用者が最小使用吐出容量q0を任意の値に設定することができる。
【0038】
<変形例>
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0039】
例えば、シンボル7は、液圧ポンプ2の実測データを格納する代わりに、その実測データの保存先情報を格納してもよい。保存先情報は、例えば、保存先であるサーバのIP(Internet Protocol)アドレス、またはそのサーバの特定の階層のURL(Uniform Resource Locator)である。この場合、シンボル7は文字列であってもよい。
【0040】
コントローラ3へは、最小使用吐出容量q0の代わりに、基準回転数Nrにおける最小使用吐出流量Q0が入力装置4を介して入力されてもよい。この構成であれば、液圧ポンプ2およびコントローラ3の使用者が基準回転数Nrにおける最小使用吐出流量Q0を任意の値に設定することができる。
【0041】
コントローラ3に基準回転数Nrにおける最小使用吐出流量Q0が入力される場合、コントローラ3は、最小使用吐出流量Q0を基準回転数Nrで除算して最小使用吐出容量q0を算出し、実際のI-q特性を示す実測データを使用して最小使用吐出容量q0に対応する最小使用電流I0を決定する。このように実測データを使用して最小使用電流I0が決定されれば、液圧ポンプ2の基準回転数Nrにおける最小使用吐出流量Q0を正確に設定することができる。
【0042】
また、実測データは、実際のI-q特性を示すものではなく、所定回転数Npと、所定回転数Npにおける液圧ポンプ2の指令電流Iと吐出流量Qとの実際の関係、すなわち実際のI-Q特性を示すものであってもよい。
【0043】
実測データが所定回転数Npと所定回転数Npにおける実際のI-Q特性を示すものである場合であって、コントローラ3に基準回転数Nrにおける最小使用吐出流量Q0が入力される場合、例えば、コントローラ3は、最小使用吐出流量Q0にNp/Nrを乗算して換算流量を算出し、実測データを使用して換算流量に対応する最小使用電流I0を決定する。
【0044】
あるいは、実測データが所定回転数Npと所定回転数Npにおける実際のI-Q特性を示すものである場合であって、コントローラ3に最小使用吐出容量q0が入力される場合、例えば、コントローラ3は、最小使用吐出容量q0に所定回転数Npを乗算して所定回転数Npにおける最小使用吐出流量を算出し、実測データを使用して最小使用吐出流量に対応する最小使用電流I0を決定する。
【0045】
<まとめ>
第1の態様として、本開示は、一つの側面から、指令電流が大きくなるほど一回転あたりの吐出量である吐出容量が増大する液圧ポンプへ指令電流を送給するコントローラであって、前記液圧ポンプの前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データ、または所定回転数と当該所定回転数における前記液圧ポンプの前記指令電流と吐出流量との実際の関係を示す実測データが入力されるとともに、前記液圧ポンプの最小使用吐出容量または基準回転数における最小使用吐出流量が入力され、前記実測データを使用して前記最小使用吐出容量または前記最小使用吐出流量に対応する最小使用電流を決定する、コントローラを提供する。
【0046】
上記の構成によれば、実測データを使用して最小使用電流が決定されるので、液圧ポンプの最小使用吐出容量または基準回転数における最小使用吐出流量を正確に設定することができる。
【0047】
第2の態様として、第1の態様において、前記液圧ポンプの前記最小使用吐出容量または前記最小使用吐出流量は、前記コントローラと電気的に接続された入力装置を介して前記コントローラへ入力されてもよい。この構成によれば、液圧ポンプおよびコントローラの使用者が最小使用吐出容量または基準回転数における最小使用吐出流量を任意の値に設定することができる。
【0048】
第3の態様として、本開示は、別の側面から、指令電流が大きくなるほど一回転あたりの吐出量である吐出容量が増大する液圧ポンプと、前記液圧ポンプへ指令電流を送給する上記のコントローラと、前記液圧ポンプの表面に表示された、前記液圧ポンプの前記指令電流と前記吐出容量との実際の関係を示す実測データ、もしくは前記所定回転数と前記所定回転数における前記液圧ポンプの前記指令電流と前記吐出流量との実際の関係を示す実測データ、または前記実測データの保存先情報を格納するシンボルと、前記シンボルを撮像することで前記実測データを取得し、取得した前記実測データを無線通信を介して前記コントローラへ送信する携帯端末と、を備える、ポンプシステムを提供する。
【0049】
上記の構成によれば、実測データを簡単にコントローラへ入力することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ポンプシステム
2 液圧ポンプ
3 コントローラ
4 入力装置
6 携帯端末
7 シンボル