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特開2024-156278超高純度酸素製造方法及び超高純度酸素製造装置
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  • 特開-超高純度酸素製造方法及び超高純度酸素製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156278
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】超高純度酸素製造方法及び超高純度酸素製造装置
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/02 20060101AFI20241029BHJP
   F25J 3/04 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F25J3/02 Z
F25J3/04 103
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070607
(22)【出願日】2023-04-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 献児
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA07
4D047AA08
4D047AB01
4D047AB02
4D047CA16
4D047CA17
4D047DA04
4D047DA06
(57)【要約】
【課題】水電解による副生酸素から低沸点成分を除去し超高純度酸素を低コストで得ることができる超高純度酸素製造方法を提供する。
【解決手段】超高純度酸素製造方法は、低沸点成分を不純物として含む原料酸素が主熱交換器1の温端から導入され、冷却された後に酸素精留塔5に導入され、酸素精留塔5の下部から前記低沸点成分が除去された製品超高純度酸素としてガスまたは液体として導出される工程を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主熱交換器、窒素精留塔、窒素凝縮器、酸素精留塔、酸素蒸発器を備える空気分離装置を用いる超高純度酸素製造方法であって、
低沸点成分を不純物として含む原料酸素が主熱交換器の温端から導入され、冷却されて少なくとも一部液化された後に酸素精留塔に導入され、酸素精留塔の下部あるいは酸素蒸発器から前記低沸点成分が除去された超高純度酸素としてガスまたは液体として導出される工程と、
前記酸素蒸発器において、前記主熱交換器で冷却された原料空気の一部、前記主熱交換器で冷却された原料酸素の一部、窒素精留塔を構成する中圧精留塔から導出される液またはガスの内一つ以上を熱媒として利用して、酸素精留塔の底部から供給される液化酸素を蒸発し、その蒸気流を酸素精留塔の底部に供給する工程と、
を含む、
超高純度酸素製造方法。
【請求項2】
前記酸素精留塔の上方あるいは頂部に備えてある酸素凝縮器において、中圧精留塔から供給される液化窒素または酸素含有液、空気分離装置の外部から供給される液体窒素または液化空気を冷媒として利用して、前記酸素精留塔から供給される低沸点成分含有酸素流を液化し、その還流液として酸素精留塔の頂部に供給する工程を、
さらに含む、
請求項1に記載の超高純度酸素製造方法。
【請求項3】
前記主熱交換器の途中から導出され原料酸素の一部を膨張タービンで膨張して冷却されたのちに、再度主熱交換器に供給される工程を、さらに含む、
請求項1に記載の超高純度酸素製造方法。
【請求項4】
原料空気および原料酸素が導入される主熱交換器と、
前記主熱交換器で熱交換された原料空気が導入される底部を有する第一精留塔と、
前記第一精留塔の塔頂から導出された窒素富化ガスを凝縮する少なくとも一つの窒素凝縮器と、
前記窒素凝縮器で凝縮された窒素富化ガスおよび/または前記第一精留塔の塔頂から導出された窒素富化ガスを、サブクーラで冷却された後で、導入される塔頂を有する第二精留塔と、
前記主熱交換器で熱交換された前記原料酸素が導入される塔頂あるいは精製部を有する酸素精留塔と、
前記酸素精留塔の底部の下方に配置され、前記主熱交換器で冷却された原料空気の一部、前記主熱交換器で冷却された原料酸素の一部、窒素精留塔を構成する中圧精留塔から導出される液またはガスの内一つ以上を熱媒として、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器と、
前記第一精留塔の底部から導出される酸素富化液と、前記窒素凝縮器で凝縮された精製ガスおよび/または前記第一精留塔の塔頂から導出された精製ガスと、前記第二精留塔の塔頂から導出される窒素富化ガスとを、熱交換するサブクーラと、
を備える、
超高純度酸素製造装置。
【請求項5】
前記窒素凝縮器の気相から導出されるガスを前記主熱交換器に部分的に通過させた後で導入される膨張タービンを備える、
請求項4に記載の超高純度酸素製造装置。
【請求項6】
前記酸素精留塔の塔頂から導出される低沸点成分含有酸素ガスを凝縮する酸素凝縮器を備える、
請求項4に記載の超高純度酸素製造装置。
【請求項7】
前記原料酸素を、前記主熱交換器を介して前記酸素精留塔の塔頂あるいは精留部へ導入する原料酸素配管ラインと、
前記原料酸素を、前記原料酸素配管ラインの前記主熱交換器の途中から分岐し、前記膨張タービンへ接続される前の配管ラインへ合流する分岐原料酸素配管ラインと、
前記酸素蒸発器の蒸発液部から超高純度酸素を取り出す超高純度酸素取出配管ラインと、
を備える、
請求項4に記載の超高純度酸素製造装置。
【請求項8】
原料空気および原料酸素が導入される主熱交換器と、
前記主熱交換器で熱交換された原料空気が導入される底部を有する窒素精留塔と、
前記窒素精留塔の塔頂から導出された窒素富化ガスを凝縮する第一窒素凝縮器と、
前記窒素精留塔の塔頂から導出された窒素富化ガスを凝縮する第二窒素凝縮器と、
前記第一窒素凝縮器の気相から導出されるガスを前記主熱交換器に部分的に通過させた後で導入される膨張タービンと、
前記第二窒素凝縮器の気相から導出されるガスを圧縮するコンプレッサーと、
前記主熱交換器で熱交換された前記原料酸素が導入される塔頂あるいは精製部を有する酸素精留塔と、
前記酸素精留塔の底部の下方に配置され、前記主熱交換器で冷却された原料空気の一部、前記主熱交換器で冷却された原料酸素の一部、窒素精留塔から導出される液またはガスの内一つ以上を熱媒として、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器と、
を備える、
超高純度酸素製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高純度酸素製造方法及び超高純度酸素装置に関する。特に、不純物濃度がppbレベル以下に制御された、超高純度酸素の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素中不純物として、メタン等の高沸点成分及びアルゴン等の低沸点成分が、ppbレベル以下に制御された高純度酸素の需要が、特に半導体産業向けにある。
不純物を除去する方法として、触媒と吸着材を併用する方法や、酸素を液化して精留操作によって分離する深冷分離法が知られているが、特にアルゴン不純物については化学的に不活性であることや、分子サイズが酸素分子と極めて近いことから吸着法や分子ふるいで除去することは困難であり、深冷分離法が適当である。
超高純度酸素を得る方法として、空気分離装置から供給される液化酸素(例えば特許文献1参照)または液化酸素(例えば特許文献2参照)を精留する方法、または空気を精留する精留塔から高沸点成分が除去された酸素含有液を導出し、酸素精留塔でアルゴンを除去する方法が知られている。
特許文献3では、複式精留システムにおいて超高純度酸素を製造する方法であり、特許文献4では、単式窒素精留システムにおいて超高純度酸素を製造する方法である。
【0003】
しかしながら、超高純度酸素製造の原料として、水を電気分解して水素を発生する際の副生酸素を原料とする場合がある。この水電気分解由来の酸素は、大気成分を原料とする空気分離装置から得られる酸素とは異なり、大気由来のメタン等の高沸点成分を含まない一方、水に溶解していた低沸点成分を若干含む。水中の低沸点不純物は、窒素ガスや酸素ガスを利用したバブリング法等によって低減することが可能であるが、高水準の不純物除去およびその安定度の観点から、深冷分離法によって制御することが望ましい。
従来技術では、酸素ガスの深冷分離では、特許文献2に記載の技術の適用が妥当であるが、複数の熱交換器や圧縮機を利用する窒素熱媒サイクルのコストが高く、より低コストの技術開発が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3929799号
【特許文献2】特開2021-55890号公報
【特許文献3】米国特許第5,049,173号
【特許文献4】国際出願公開WO2014/173496 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、水電解による副生酸素から低沸点成分を除去し超高純度酸素を低コストで得ることができる超高純度酸素製造方法及び超高純度酸素装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の超高純度酸素製造方法は、主熱交換器(1)、窒素精留塔(第一(中圧)精留塔(2))、窒素凝縮器(3)、酸素精留塔(5)、酸素蒸発器(6)を備える空気分離装置で適用されてもよい。
前記超高純度酸素製造方法は、
低沸点成分(例えば、窒素やアルゴン)を不純物として含む原料酸素が主熱交換器(1)の温端から導入され、冷却された後に酸素精留塔(5)に導入され、酸素精留塔(5)の下部あるいは酸素蒸発器(6)から前記低沸点成分が除去された製品超高純度酸素としてガスまたは液体として導出される工程を含む。
前記主熱交換器(1)で少なくとも一部液化された原料酸素を前記酸素精留塔(5)に導入する工程を含んでいてもよい。
前記酸素蒸発器(6)において、前記主熱交換器(1)で冷却された原料空気の一部、前記主熱交換器(1)で冷却された原料酸素の一部、中圧精留塔(2)から導出される液またはガスの内一つ以上を熱媒として利用して、酸素精留塔(5)の底部(51)から供給される液化酸素を蒸発し、その蒸気流を酸素精留塔(5)の底部(51)に供給する工程を含んでいてもよい。
前記酸素精留塔(5)は、その頂部または上方に、前記酸素凝縮器(7)を備えていてもよい。
中圧精留塔(2)から導出される液またはガスは、例えば、酸素含有液、酸素含有ガス、液化窒素、または窒素ガスなどが挙げられる。
前記酸素凝縮器(7)において、中圧精留塔(2)から供給される液化窒素または酸素含有液、空気分離装置の外部から供給される液体窒素または液化空気を冷媒として、前記酸素精留塔(5)から供給される低沸点成分含有酸素流を液化し、その還流液として酸素精留塔(5)の頂部(53)に供給する工程を含んでいてもよい。
前記主熱交換器(1)の熱バランスを保持するように、前記主熱交換器(1)の途中から導出され原料酸素の一部を膨張タービン(92)で膨張して冷却されたのちに、再度主熱交換器(1)に供給される工程を含んでいてもよい。
「超高純度酸素」は、酸素の濃度が99.99999%以上である。
「原料酸素」は水電解分解により生成された副生酸素(高純度酸素 酸素濃度が99.99%程度)であってもよい。
【0007】
本開示の超高純度酸素製造装置(A1、A2、A3)は、
原料空気および原料酸素が導入される主熱交換器(1)と、
前記主熱交換器(1)で熱交換された原料空気が導入される底部(21)を有する第一(中圧)精留塔(2)と、
前記第一精留塔(2)の塔頂(23)から導出された窒素富化ガスを凝縮する少なくとも一つの窒素凝縮器(3)と、
前記窒素凝縮器(3)で凝縮された窒素富化ガスおよび/または前記第一精留塔(2)の塔頂(23)から導出された窒素富化ガスを、サブクーラ(8)で冷却された後で、導入される塔頂(43)を有する第二(低圧)精留塔(4)と、
前記窒素凝縮器(3)の気相から導出されるガスを前記主熱交換器(1)に部分的に通過させた後で導入される膨張タービン(92)と、
前記主熱交換器(1)で熱交換された前記原料酸素が導入される塔頂(53)あるいは精製部(52)を有する酸素精留塔(5)と、
前記酸素精留塔(5)の底部(51)の下方に配置され、前記主熱交換器で冷却された原料空気の一部、前記主熱交換器で冷却された原料酸素の一部、窒素精留塔を構成する中圧精留塔から導出される液またはガスの内一つ以上を熱媒として(例えば、前記第一精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を熱媒として)、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器(6)と、
前記第一精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液と、前記窒素凝縮器(3)で凝縮された精製ガスおよび/または前記第一精留塔(2)の塔頂(23)から導出された精製ガスと、前記第二精留塔(4)の塔頂(43)から導出される窒素富化ガスとを、熱交換するサブクーラ(8)と、
を備えていてもよい。
【0008】
前記超高純度酸素製造装置(A1、A2、A3)は、
前記酸素精留塔(5)の塔頂(53)から導出される低沸点成分含有酸素ガスを凝縮する酸素凝縮器(7)を備えていてもよい。
【0009】
前記超高純度酸素製造装置(A1、A2、A3)は、
前記原料空気を、主熱交換器(1)を介して前記第一精留塔(2)の底部(21)の気相あるいは精製部(22)の下部へ導入する原料空気配管ライン(L1)と、
前記第一精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記サブクーラ(8)を介して、前記第二精留塔(4)の精留部(42)の中間段へ導入する第一酸素富化液配管ライン(L21a)と、
前記第一精留塔(2)の塔頂(23)から導出される窒素富化ガスを、前記窒素凝縮器(3)へ送り、前記塔頂(23)から導出される配管ライン(L231)へ合流する凝縮配管ライン(L23)と、
前記第一精留塔(2)の塔頂(23)から導出される窒素富化ガスを、前記サブクーラ(8)を介して、第二精留塔(4)の塔頂(43)へ導入する第一循環ガス配管ライン(L231)と、
前記窒素凝縮器(3)の気相から導出されるガスを、前記主熱交換器(1)に部分的に通過させ、次いで膨張タービン(92)で使用され、再び、前記主熱交換器(1)を通過させる第一廃ガス配管ライン(L31)と、
前記第二精留塔(4)の塔頂(43)から導出される窒素富化ガスを、前記サブクーラ(8)を介して、前記主熱交換器(1)に通過させる製品窒素ガス配管ライン(L43)と、
前記原料酸素を、前記主熱交換器(1)を介して前記酸素精留塔(5)の塔頂(53)あるいは精留部(52)へ導入する原料酸素配管ライン(L10)と、
前記原料酸素を、前記原料酸素配管ライン(L10)の主熱交換器(1)の途中から分岐し、前記膨張タービン(92)へ接続される前の前記第一廃ガス配管ライン(L31)へ合流する分岐原料酸素配管ライン(L11)と、
前記酸素精留塔(5)の塔頂(53)から導出される低沸点成分含有酸素ガスを、廃ガス配管ライン(L31)へ合流させる、あるいは前記主熱交換器(1)に通過させる第二廃ガス配管ライン(L53)と、
前記第一精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記酸素蒸発器(6)へ導入し、前記第二精留塔(4)の精留部(42)の中間段へ導入する、あるいは、前記酸素精留塔(5)の塔頂(53)から導出される低沸点成分含有酸素ガスを凝縮する酸素凝縮器(7)の冷熱液部(71)へ導入するための第二酸素富化液配管ライン(L21b)と、
前記酸素凝縮器(7)の冷熱液部(71)から導出される酸素富化液を、前記第二精留塔(4)の精留部(42)の中間段へ導入する第二循環ガス配管ライン(L71)と、
前記酸素凝縮器(7)の塔頂(73)から導出されるガスを、前記第二精留塔(4)の精留部(42)の中間段へ導入する第三循環ガス配管ライン(L73)と、
前記酸素蒸発器(6)の蒸発液部(61)から超高純度酸素(液)を取り出す超高純度酸素取出配管ライン(L61)と、
を備えていてもよい。
【0010】
他の開示の超高純度酸素製造装置(B1、B2)は、
原料空気および原料酸素が導入される主熱交換器(1)と、
前記主熱交換器(1)で熱交換された原料空気が導入される底部(21)を有する窒素精留塔(2)と、
前記窒素精留塔(2)の塔頂(23)から導出された窒素富化ガスを凝縮する第一窒素凝縮器(3)と、
前記窒素精留塔(2)の塔頂(23)から導出された窒素富化ガスを凝縮する第二窒素凝縮器(30)と、
前記第一窒素凝縮器(3)の気相から導出されるガスを前記主熱交換器(1)に部分的に通過させた後で導入される膨張タービン(92)と、
前記膨張タービン(92)と連結され、前記第二窒素凝縮器(30)の気相から導出されるガスを圧縮するコンプレッサー(91)と、
前記主熱交換器(1)で熱交換された前記原料酸素が導入される塔頂(53)あるいは精製部(52)を有する酸素精留塔(5)と、
前記酸素精留塔(5)の底部(51)の下方に配置され、前記窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を熱媒として、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器(6)と、
を備えていてもよい。
【0011】
前記超高純度酸素製造装置(B1、B2)は、
前記原料空気を、主熱交換器(1)を介して前記窒素精留塔(2)の底部(21)の気相あるいは精留部(22)の下部へ導入する原料空気配管ライン(L1)と、
前記窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記第二窒素凝縮器(30)の冷熱液部(不図示)へ導入する第一酸素富化液配管ライン(L21a)と、
前記窒素精留塔(2)の塔頂(23)から導出される窒素富化ガスを、前記第一窒素凝縮器(3)へ送り、前記塔頂(23)へ戻す第一凝縮配管ライン(L231)と、
前記窒素精留塔(2)の塔頂(23)から導出される窒素富化ガスを、前記第二窒素凝縮器(30)へ送り、前記塔頂(23)へ戻す第二凝縮配管ライン(L232)と、
前記窒素精留塔(2)の塔頂(23)から導出される窒素富化ガスを、前記主熱交換器(1)に通過させる製品窒素ガス配管ライン(L23)と、
前記窒素精留塔(2)の精留部(22)から導出される酸素含有液を、前記酸素精留塔(5)の塔頂(53)あるいは精留部(52)へ導入する酸素含有液配管ライン(L22)と、
前記第一窒素凝縮器(3)の塔頂の気相(31)から導出されるガスを、前記主熱交換器(1)に部分的に通過させ、次いで膨張タービン(92)で使用され、再び、前記主熱交換器(1)に通過させる第一廃ガス配管ライン(L31)と、
前記第二窒素凝縮器(30)の塔頂の気相(301)から導出されるガスを、前記コンプレッサー(91)で圧縮させ、次いで前記主熱交換器(1)に部分的に通過させ、前記窒素精留塔(2)の精留部(22)の下部へ導入するリサイクルガス配管ライン(L301)と、
前記原料酸素を、主熱交換器(1)を介して前記酸素精留塔(5)の塔頂(53)あるいは精留部(52)へ導入する原料酸素配管ライン(L10)と、
前記原料酸素を、前記原料酸素配管ライン(L10)の主熱交換器(1)の途中から分岐し、前記膨張タービン(92)へ接続される前の前記第一廃ガス配管ライン(L31)へ合流する分岐原料酸素配管ライン(L11)と、
前記酸素精留塔(5)の塔頂(53)から導出される低沸点成分含有酸素ガスを、廃ガス配管ライン(L31)へ合流させる、あるいは前記主熱交換器(1)を通過させる第二廃ガス配管ライン(L53)と、
前記窒素精留塔(2)の底部(21)から導出される酸素富化液を、前記酸素蒸発器(6)へ導入し、前記第二窒素凝縮器(30)の冷熱液部(不図示)へ導入するための第二酸素富化液配管ライン(L21b)と、
前記酸素蒸発器(6)の蒸発液部(61)から超高純度酸素(液)を取り出す超高純度酸素取出配管ライン(L61)と、
を備えていてもよい。
【0012】
前記超高純度酸素製造装置(A1、A2、A3、B1、B2)の前記酸素蒸発器(6)は、前記主熱交換器(1)で冷却された原料空気の一部、前記主熱交換器(1)で冷却された原料酸素の一部、前記中圧精留塔(4)から導出される酸素含有液または液化窒素のうち1つ以上を熱媒として利用してもよい。
前記超高純度酸素製造装置(A1、A2、A3、B1)は、
流量測量器、圧力測定器、温度測定器、液レベル測定器などの各種計測器と、
制御弁、仕切弁などの各種弁と、
各要素間を連結する配管と、
を有していてもよい。
【0013】
(作用効果)
(1)窒素ガスを製造する空気分離装置や窒素発生装置に酸素精留塔を組み合わせ、従来技術より少ない機器構成で効率的に水電気分解による副生酸素を超高純度酸素に生成することができる。
(2)特に、主熱交換器で原料酸素を液化するプロセスは、特許文献2で見られるような酸素ガスの精製方法と異なり、空気分離装置の主熱交換器冷端部で酸素を液化するに足る低温を十分に確保できるからこそ可能となるものである。
(3)サイクル窒素圧縮機や専用の主熱交換器を要する従来法に比べると、1装置あたり設備投資コストで大きなコストダウンが図れると同時に、サイクル窒素圧縮機に要する電力も削減することができた。
(4)水電気分解装置を使用する半導体製造プロセスにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の超高純度酸素製造装置を示す図である。
図2】実施形態2の超高純度酸素製造装置を示す図である。
図3】実施形態3の超高純度酸素製造装置を示す図である。
図4】実施形態4の超高純度酸素製造装置を示す図である。
図5】実施形態5の超高純度酸素製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本開示のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本開示の一例を説明するものである。本開示は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本開示の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本開示の必須の構成であるとは限らない。上流や下流はガス流の流れ方向を基準にしている。
【0016】
(実施形態1)
実施形態1の超高純度酸素装置A1を図1を用いて説明する。
超高純度酸素装置A1は、主熱交換器1と、中圧精留塔2と、窒素凝縮器3と、低圧精留塔4と、膨張タービン92と、酸素精留塔5と、酸素蒸発器6と、サブクーラ8と、を備える空気分装置を構成する。
主熱交換器1は、原料空気および原料酸素が温端から導入され冷端から導出され、製品窒素ガス、廃ガスが冷端から導入され温端から導出される。原料空気は所定の不純物、水分除去が行われる。原料酸素は、水電気分解の副生成物の酸素であり、低沸点成分(例えば、窒素やアルゴン)を不純物として含む。原料酸素の酸素濃度は、99.99%程度である。
酸素中の低沸点成分を深冷分離法で除去するには、まず酸素を液化してから精留塔内で酸素を含有する蒸気流と熱と物質を交換し、液相に酸素を濃縮しつつ低沸点成分を除去するのが望ましく、そのために本実施形態では主熱交換器1で原料酸素の少なくとも一部を液化してから酸素精留塔5に原料酸素を供給する。
【0017】
中圧精留塔2は、主熱交換器1で冷却された原料空気が導入される底部21と、精留部22、塔頂23を有する。原料空気配管ラインL1は、原料空気を、主熱交換器1を介して中圧精留塔2の底部21の気相あるいは精製部22の下部へ導入する配管ラインである。第一酸素富化液配管ラインL21aは、中圧精留塔2の底部21から導出される酸素富化液を、サブクーラ8を介して、低圧精留塔4の精留部42の中間段へ導入する配管ラインである。第一酸素富化液配管ラインL21aと第二酸素富化液配管ラインL21bは、酸素富化液の主配管ラインL21から分岐してあってもよい。凝縮配管ラインL23は、中圧精留塔2の塔頂23から導出される窒素富化ガスを、窒素凝縮器3へ送り、塔頂23から導出される第一循環ガス配管ラインL231へ合流する配管ラインである。第一循環ガス配管ラインL231は、中圧精留塔2の塔頂23から導出される窒素富化ガスを、サブクーラ8を介して、低圧精留塔4の塔頂43へ導入する配管ラインである。
【0018】
窒素凝縮器3は、中圧精留塔2の塔頂23から導出された窒素富化ガスを凝縮する。第一廃ガス配管ラインL31は、窒素凝縮器3の気相から導出されるガスを、主熱交換器1に部分的に通過させ、次いで膨張タービン92で使用され、再び、主熱交換器1に通過させる配管ラインである。
【0019】
低圧精留塔4は、窒素凝縮器3で凝縮された窒素富化ガスおよび/または中圧精留塔2の塔頂23から導出された窒素富化ガスを、サブクーラ8で冷却された後で、導入される塔頂43、精留部42を有する。製品窒素ガス配管ラインL43は、低圧第二精留塔4の塔頂43から導出される窒素富化ガスを、サブクーラ8を介して、主熱交換器1に通過させる配管ラインである。
【0020】
膨張タービン92は、窒素凝縮器3の気相から導出されるガスを主熱交換器1に部分的に通過させた後で導入される。膨張タービン92で使用された後のガスは、再び主熱交換器1へ送られ、廃ガスとして導出される。
【0021】
酸素精留塔5は、主熱交換器1で熱交換された原料酸素が導入される塔頂53あるいは精製部52を有する。原料酸素配管ラインL10は、原料酸素を、主熱交換器1を介して酸素精留塔5の塔頂53あるいは精留部52へ導入する配管ラインである。第二廃ガス配管ラインL53は、酸素精留塔5の塔頂53から導出される低沸点成分含有酸素ガスを、膨張タービン92より下流で主熱交換器1より上流の廃ガス配管ラインL31へ合流させる配管ラインである。
【0022】
酸素蒸発器6は、酸素精留塔5の底部51の下方に配置され、中圧精留塔2の底部21から導出される酸素富化液を熱媒として、液化酸素を蒸発させる。第二酸素富化液配管ラインL21bは、中圧精留塔2の底部21から導出される酸素富化液を、酸素蒸発器6へ導入し、低圧精留塔4の精留部42の中間段へ導入するための配管ラインである。超高純度酸素取出配管ラインL61は、酸素蒸発器6の蒸発液部61から超高純度酸素(液)を取り出す配管ラインである。
【0023】
酸素精留塔5に蒸気流を供給するために酸素蒸発器6が酸素精留塔5の下方に配置される。酸素蒸発器6は、酸素精留塔5の底部51から供給される液化酸素を蒸発してその蒸気流を酸素精留塔5の底部51に供給する。熱媒として原料酸素の一部を利用する。別実施形態として、主熱交換器1から供給される原料空気の一部や、中圧精留塔2から供給される酸素含有液または液化窒素の一部を利用してもよい。
熱媒として使用されたガスは、液化されて低圧精留塔4の還流液や主熱交換器1やサブクーラ8の冷媒として使用されてもよい。熱媒として使用された液は、サブクールされるので、減圧時の蒸発損失が低減される。
【0024】
サブクーラ8は、中圧精留塔2の底部21から導出される酸素富化液と、窒素凝縮器3で凝縮された精製ガスおよび/または中圧精留塔2の塔頂23から導出された精製ガスと、低圧精留塔4の塔頂43から導出される窒素富化ガスとを熱交換する。
【0025】
(実施形態2)
実施形態2の超高純度酸素装置A2を図2を用いて説明する。
超高純度酸素装置A2は、実施形態1の超高純度酸素装置A1と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は説明を省略あるいは簡単にする。同じ符号は同じ機能を有する。超高純度酸素装置A2は、酸素精留塔5の塔頂53から導出される低沸点成分含有酸素ガスを凝縮する酸素凝縮器7を備える。
【0026】
第二酸素富化液配管ラインL21bは、中圧精留塔2の底部21から導出される酸素富化液を、酸素蒸発器6へ導入し、熱を放出後に、酸素凝縮器7の冷熱液部71へ導入する配管ラインである。第二循環ガス配管ラインL71は、酸素凝縮器7の冷熱液部71から導出される酸素富化液を、低圧精留塔4の精留部42の中間段へ導入する配管ラインである。第三循環ガス配管ラインL73は、酸素凝縮器7の塔頂73から導出されるガスを、低圧精留塔4の精留部42の中間段へ導入する配管ラインである。
【0027】
超高純度酸素の回収率を向上するために、酸素凝縮器7を酸素精留塔5の上方に配置する。これにより、超高純度酸素の純度を維持しながら、供給される原料酸素に対して回収可能な超高純度酸素量を向上することができる。酸素凝縮器7の冷媒としては、中圧精留塔2あるいは低圧精留塔4から供給される酸素含有液、液化窒素、酸素蒸発器6で凝縮された液化原料空気を利用することができる。また外部から液化窒素または液化空気を供給することもできる。
【0028】
(実施形態3)
実施形態3の超高純度酸素装置A3を図3を用いて説明する。
超高純度酸素装置A3は、実施形態2の超高純度酸素装置A2と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は説明を省略あるいは簡単にする。同じ符号は同じ機能を有する。超高純度酸素装置A3は、分岐原料酸素配管ラインL11を備える。分岐原料酸素配管ラインL11は、原料酸素を、原料酸素配管ラインL10の主熱交換器1の途中から分岐し、膨張タービン92へ接続される前の第一廃ガス配管ラインL31へ合流する配管ラインである。
【0029】
主熱交換器1の熱バランスを保持するように、原料高圧酸素の一部が主熱交換器1の途中から導出され、膨張タービン92で膨張されて冷却されたのちに、再度主熱交換器1に供給される。これにより、原料酸素の液化に要する冷熱を主熱交換器1に供給することが可能になる。余剰の原料酸素があった場合、空気分離装置や窒素発生装置の冷熱バランス保持に貢献するように、その冷熱が利用されてもよい。
【0030】
(実施形態4)
実施形態4の超高純度酸素装置B1を図4を用いて説明する。
超高純度酸素装置B1は、主熱交換器1と、窒素精留塔2と、第一窒素凝縮器3と、第二窒素凝縮器30と、膨張タービン92と、コンプレッサー91と、酸素精留塔5と、酸素蒸発器6と、を備える。実施形態1から3との相違は、単式の窒素精留塔で、2つの窒素凝縮器と、リサイクルガス用のコンプレッサーを備える。異なる構成を主に説明する。
【0031】
窒素精留塔2は、主熱交換器1で冷却された原料空気が導入される底部21、精留部22、塔頂23を有する。
第一窒素凝縮器3は、窒素精留塔2の塔頂23から導出された窒素富化ガスを凝縮する。第二窒素凝縮器30は、窒素精留塔2の塔頂23から導出された窒素富化ガスを凝縮する。膨張タービン92は、第一窒素凝縮器3の気相から導出されるガスを主熱交換器1に部分的に通過させた後で導入される。コンプレッサー91は、膨張タービン92と連結され、第二窒素凝縮器30の気相から導出されるガスを圧縮する。酸素蒸発器6は、酸素精留塔5の底部51の下方に配置され、窒素精留塔2の底部21から導出される酸素富化液を熱媒として、液化酸素を蒸発させる。
【0032】
原料空気配管ラインL1は、原料空気を、主熱交換器1を介して窒素精留塔2の底部21の気相あるいは精製部22の下部へ導入する配管ラインである。第一酸素富化液配管ラインL21aは、窒素精留塔2の底部21から導出される酸素富化液を、第二窒素凝縮器30の冷熱液部(不図示)へ導入する配管ラインである。第一凝縮配管ラインL231は、窒素精留塔2の塔頂23から導出される窒素富化ガスを、第一窒素凝縮器3へ送り、塔頂23へ戻す配管ラインである。第二凝縮配管ラインL232は、窒素精留塔2の塔頂23から導出される窒素富化ガスを、第二窒素凝縮器30へ送り、塔頂23へ戻す配管ラインである。製品窒素ガス配管ラインL23は、窒素精留塔2の塔頂23から導出される窒素富化ガスを、主熱交換器1に通過させ、製品窒素ガスとして導出する配管ラインである。
【0033】
第一廃ガス配管ラインL31は、第一窒素凝縮器3の塔頂の気相31から導出されるガスを、主熱交換器1に部分的に通過させ、次いで膨張タービン92で使用され、再び、主熱交換器1に通過させる配管ラインである。リサイクルガス配管ラインL301は、第二窒素凝縮器30の塔頂の気相301から導出されるガスを、コンプレッサー91で圧縮させ、次いで主熱交換器1に部分的に通過させ、窒素精留塔2の精留部22の下部へ導入する配管ラインである。原料酸素配管ラインL10は、原料酸素を、主熱交換器1を介して酸素精留塔5の塔頂53へ導入する配管ラインである。第二廃ガス配管ラインL53は、酸素精留塔5の塔頂53から導出される低沸点成分含有酸素ガスを、廃ガス配管ラインL31へ合流させる配管ラインである。第二酸素富化液配管ラインL21bは、窒素精留塔2の底部21から導出される酸素富化液を、酸素蒸発器6へ導入し、第二窒素凝縮器30の冷熱液部(不図示)へ導入するため配管ラインである。超高純度酸素取出配管ラインL61は、酸素蒸発器6の蒸発液部61から超高純度酸素(液)を取り出す配管ラインである。
【0034】
(実施形態5)
実施形態5の超高純度酸素装置B2を図5を用いて説明する。実施形態5は、実施形態4と基本構成は同じである。異なる点は、原料酸素配管ラインL10と、酸素含有液配管ラインL22である。
原料酸素配管ラインL10は、原料酸素を、主熱交換器1を介して酸素精留塔5の精留部52の中間段へ導入する配管ラインである。酸素含有液配管ラインL22は、窒素精留塔2の精留部22の中間段(原料空気導入配管ラインL1よりも上方位置)から導出される酸素含有液を、酸素精留塔5の塔頂53へ導入する配管ラインである。
即ち、酸素精留塔5の中間段に原料酸素を導入し、酸素精留塔5の塔頂53には、窒素精留塔2の中間段からの酸素含有液を供給する。酸素含有液は大気由来の高沸点不純物を含まないように、窒素精留塔の原料空気供給段より上段から導出される。この構成によって、原料酸素を凝縮するための液を酸素精留塔に供給することができると同時に、窒素精留塔由来の酸素を高純度酸素に精製することが可能となって、高純度酸素の需要に対して、水電解装置と窒素発生装置の稼働率を最適化しながら高純度酸素を製造することができる。例えば、水素需要が少ない一方で高純度酸素需要が大量にある場合に、水電解装置由来の酸素を高純度酸素に精製しながら、高純度酸素の不足分を窒素精留塔からの酸素含有液を酸素精留塔で精製することによって得る。こうすることで、大電力を消費する水電解装置を高純度酸素需要に合わせて稼働する必要がなくなり、電力消費量を最適化することができる。
【0035】
(実施例)
実施形態1の超高純度酸素製造装置A1(空気分離装置(窒素発生装置))は、流量1000Nm/h、温度20℃、圧力7.7barの原料空気を主熱交換器1に導入し、冷却してから中圧精留塔2の底部21に原料空気を導入する。原料空気は7.5barで運転される中圧精留塔2の塔内で精留され、塔頂23から液体窒素408Nm/hが導出され、塔底部21から酸素含有液(酸素富化液)が592Nm/h導出される。
配管L231で導出される液体窒素(凝縮器3で凝縮された窒素ガス)と、配管L21aで導出される酸素含有液(酸素富化液)はそれぞれサブクーラ8で冷却された後、液体窒素(凝縮器3で凝縮された窒素ガス)は、2.5barAで運転される低圧精留塔4の頂部43に供給される。酸素含有液(酸素富化液)は、低圧精留塔4の中間部に供給される。液体窒素と酸素含有液は、窒素凝縮器3から供給される蒸気流と熱および物質交換しながら精留され、低圧精留塔4の頂部43からは窒素ガスが730Nm/h導出され、底部31からは廃ガスが270Nm/h導出される。
配管L43で導出される窒素ガスは、サブクーラ8で加温された後にさらに主熱交換器1で加温され、温度17.5℃、圧力2.3barAで主熱交換器1の温端から導出される。
配管L31で導出される廃ガスは、主熱交換器1で‐120℃まで加温された後に膨張タービン92で膨張され、冷却された後に再度主熱交換器1に供給され、温度17.5℃、圧力1.15barAで主熱交換器1の温端から導出される。
不純物としてアルゴンを1ppm含む原料酸素が、流量30Nm/h、温度20℃、圧力10barAで主熱交換器1に導入され、‐153.5℃まで冷却され、液化される。冷却された液化酸素は、減圧された後に1.5barAで運転される酸素精留塔5(NTP=60)の頂部53に供給され、酸素蒸発器6から供給される蒸気流と熱および物質交換しながら精留される。酸素蒸発器6の熱媒として、酸素含有液(酸素富化液)が中圧精留塔2の底部21から310Nm/h供給され、冷却された後、低圧精留塔4の精留部42の中間部に供給される。酸素蒸発器6の蒸発液部61あるいは酸素精留部5の塔底部からは低沸点成分(アルゴン不純物)含有量が10ppbに低減された超高純度酸素液が7.3Nm/h得られる。
【0036】
(別実施形態)
(1)特に明示していないが、各配管ラインに圧力調整装置、流量制御装置などが設置され、圧力調整または流量調整が行われていてもよい。
(2)特に明示していないが、各ラインに制御弁、仕切弁などが設置されていてもよい。
(3)特に明示していないが、各塔に圧力調整装置、温度測定装置などが設置され、圧力調整または温度調整が行われていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 熱交換器
2 中圧精留塔
3 窒素凝縮器
4 低圧精留塔
5 酸素精留塔
6 酸素蒸発器
7 酸素凝縮器
8 サブクーラ
91 コンプレッサー
92 膨張タービン
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主熱交換器、窒素精留塔、窒素凝縮器、酸素精留塔、酸素蒸発器を備える空気分離装置を用いる超高純度酸素製造方法であって、
低沸点成分を不純物として含む原料酸素が主熱交換器の温端から導入され、冷却されて少なくとも一部液化された後に酸素精留塔に導入され、酸素精留塔の下部あるいは酸素蒸発器から前記低沸点成分が除去された超高純度酸素としてガスまたは液体として導出される工程と、
前記酸素蒸発器において、前記主熱交換器で冷却された原料空気の一部、前記主熱交換器で冷却された原料酸素の一部、窒素精留塔を構成する中圧精留塔から導出される液またはガスの内一つ以上を熱媒として利用して、酸素精留塔の底部から供給される液化酸素を蒸発し、その蒸気流を酸素精留塔の底部に供給する工程と、
を含む、
超高純度酸素製造方法。
【請求項2】
前記酸素精留塔の上方あるいは頂部に備えてある酸素凝縮器において、中圧精留塔から供給される液化窒素または酸素含有液、空気分離装置の外部から供給される液体窒素または液化空気を冷媒として利用して、前記酸素精留塔から供給される低沸点成分含有酸素流を液化し、その還流液として酸素精留塔の頂部に供給する工程を、
さらに含む、
請求項1に記載の超高純度酸素製造方法。
【請求項3】
前記主熱交換器の途中から導出され原料酸素の一部を膨張タービンで膨張して冷却されたのちに、再度主熱交換器に供給される工程を、さらに含む、
請求項1に記載の超高純度酸素製造方法。
【請求項4】
原料空気および原料酸素が導入される主熱交換器と、
前記主熱交換器で熱交換された原料空気が導入される底部を有する第一精留塔と、
前記第一精留塔の塔頂から導出された窒素富化ガスを凝縮する少なくとも一つの窒素凝縮器と、
前記窒素凝縮器で凝縮された窒素富化ガスおよび/または前記第一精留塔の塔頂から導出された窒素富化ガスを、サブクーラで冷却された後で、導入される塔頂を有する第二精留塔と、
前記主熱交換器で熱交換された前記原料酸素が導入される塔頂あるいは精製部を有する酸素精留塔と、
前記酸素精留塔の底部の下方に配置され、前記主熱交換器で冷却された原料空気の一部、前記主熱交換器で冷却された原料酸素の一部、窒素精留塔を構成する中圧精留塔から導出される液またはガスの内一つ以上を熱媒として、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器と、
前記第一精留塔の底部から導出される酸素富化液と、前記窒素凝縮器で凝縮された精製ガスおよび/または前記第一精留塔の塔頂から導出された精製ガスと、前記第二精留塔の塔頂から導出される窒素富化ガスとを、熱交換するサブクーラと、
を備える、
超高純度酸素製造装置。
【請求項5】
前記窒素凝縮器の気相から導出されるガスを前記主熱交換器に部分的に通過させた後で導入される膨張タービンを備える、
請求項4に記載の超高純度酸素製造装置。
【請求項6】
前記酸素精留塔の塔頂から導出される低沸点成分含有酸素ガスを凝縮する酸素凝縮器を備える、
請求項4に記載の超高純度酸素製造装置。
【請求項7】
前記原料酸素を、前記主熱交換器を介して前記酸素精留塔の塔頂あるいは精留部へ導入する原料酸素配管ラインと、
前記原料酸素を、前記原料酸素配管ラインの前記主熱交換器の途中から分岐し、前記膨張タービンへ接続される前の配管ラインへ合流する分岐原料酸素配管ラインと、
前記酸素蒸発器の蒸発液部から超高純度酸素を取り出す超高純度酸素取出配管ラインと、
を備える、
請求項に記載の超高純度酸素製造装置。
【請求項8】
原料空気および原料酸素が導入される主熱交換器と、
前記主熱交換器で熱交換された原料空気が導入される底部を有する窒素精留塔と、
前記窒素精留塔の塔頂から導出された窒素富化ガスを凝縮する第一窒素凝縮器と、
前記窒素精留塔の塔頂から導出された窒素富化ガスを凝縮する第二窒素凝縮器と、
前記第一窒素凝縮器の気相から導出されるガスを前記主熱交換器に部分的に通過させた後で導入される膨張タービンと、
前記第二窒素凝縮器の気相から導出されるガスを圧縮するコンプレッサーと、
前記主熱交換器で熱交換された前記原料酸素が導入される塔頂あるいは精製部を有する酸素精留塔と、
前記酸素精留塔の底部の下方に配置され、前記主熱交換器で冷却された原料空気の一部、前記主熱交換器で冷却された原料酸素の一部、窒素精留塔から導出される液またはガスの内一つ以上を熱媒として、液化酸素を蒸発させる酸素蒸発器と、
を備える、
超高純度酸素製造装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、超高純度酸素製造方法及び超高純度酸素製造装置に関する。特に、不純物濃度がppbレベル以下に制御された、超高純度酸素の製造に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
酸素中不純物として、メタン等の高沸点成分及びアルゴン等の低沸点成分が、ppbレベル以下に制御された高純度酸素の需要が、特に半導体産業向けにある。
不純物を除去する方法として、触媒と吸着材を併用する方法や、酸素を液化して精留操作によって分離する深冷分離法が知られているが、特にアルゴン不純物については化学的に不活性であることや、分子サイズが酸素分子と極めて近いことから吸着法や分子ふるいで除去することは困難であり、深冷分離法が適当である。
超高純度酸素を得る方法として、空気分離装置から供給される液化酸素(例えば特許文献1参照)または酸素ガス(例えば特許文献2参照)を精留する方法、または空気を精留する精留塔から高沸点成分が除去された酸素含有液を導出し、酸素精留塔でアルゴンを除去する方法が知られている。
特許文献3では、複式精留システムにおいて超高純度酸素を製造する方法であり、特許文献4では、単式窒素精留システムにおいて超高純度酸素を製造する方法である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示は、水電解による副生酸素から低沸点成分を除去し超高純度酸素を低コストで得ることができる超高純度酸素製造方法及び超高純度酸素製造装置を提供する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
(実施形態1)
実施形態1の超高純度酸素製造装置A1を図1を用いて説明する。
超高純度酸素製造装置A1は、主熱交換器1と、中圧精留塔2と、窒素凝縮器3と、低圧精留塔4と、膨張タービン92と、酸素精留塔5と、酸素蒸発器6と、サブクーラ8と、を備える空気分装置を構成する。
主熱交換器1は、原料空気および原料酸素が温端から導入され冷端から導出され、製品窒素ガス、廃ガスが冷端から導入され温端から導出される。原料空気は所定の不純物、水分除去が行われる。原料酸素は、水電気分解の副生成物の酸素であり、低沸点成分(例えば、窒素やアルゴン)を不純物として含む。原料酸素の酸素濃度は、99.99%程度である。
酸素中の低沸点成分を深冷分離法で除去するには、まず酸素を液化してから精留塔内で酸素を含有する蒸気流と熱と物質を交換し、液相に酸素を濃縮しつつ低沸点成分を除去するのが望ましく、そのために本実施形態では主熱交換器1で原料酸素の少なくとも一部を液化してから酸素精留塔5に原料酸素を供給する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
(実施形態2)
実施形態2の超高純度酸素製造装置A2を図2を用いて説明する。
超高純度酸素製造装置A2は、実施形態1の超高純度酸素製造装置A1と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は説明を省略あるいは簡単にする。同じ符号は同じ機能を有する。超高純度酸素製造装置A2は、酸素精留塔5の塔頂53から導出される低沸点成分含有酸素ガスを凝縮する酸素凝縮器7を備える。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
(実施形態3)
実施形態3の超高純度酸素製造装置A3を図3を用いて説明する。
超高純度酸素製造装置A3は、実施形態2の超高純度酸素製造装置A2と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は説明を省略あるいは簡単にする。同じ符号は同じ機能を有する。超高純度酸素製造装置A3は、分岐原料酸素配管ラインL11を備える。分岐原料酸素配管ラインL11は、原料酸素を、原料酸素配管ラインL10の主熱交換器1の途中から分岐し、膨張タービン92へ接続される前の第一廃ガス配管ラインL31へ合流する配管ラインである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
(実施形態4)
実施形態4の超高純度酸素製造装置B1を図4を用いて説明する。
超高純度酸素製造装置B1は、主熱交換器1と、窒素精留塔2と、第一窒素凝縮器3と、第二窒素凝縮器30と、膨張タービン92と、コンプレッサー91と、酸素精留塔5と、酸素蒸発器6と、を備える。実施形態1から3との相違は、単式の窒素精留塔で、2つの窒素凝縮器と、リサイクルガス用のコンプレッサーを備える。異なる構成を主に説明する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
(実施形態5)
実施形態5の超高純度酸素製造装置B2を図5を用いて説明する。実施形態5は、実施形態4と基本構成は同じである。異なる点は、原料酸素配管ラインL10と、酸素含有液配管ラインL22である。
原料酸素配管ラインL10は、原料酸素を、主熱交換器1を介して酸素精留塔5の精留部52の中間段へ導入する配管ラインである。酸素含有液配管ラインL22は、窒素精留塔2の精留部22の中間段(原料空気導入配管ラインL1よりも上方位置)から導出される酸素含有液を、酸素精留塔5の塔頂53へ導入する配管ラインである。
即ち、酸素精留塔5の中間段に原料酸素を導入し、酸素精留塔5の塔頂53には、窒素精留塔2の中間段からの酸素含有液を供給する。酸素含有液は大気由来の高沸点不純物を含まないように、窒素精留塔の原料空気供給段より上段から導出される。この構成によって、原料酸素を凝縮するための液を酸素精留塔に供給することができると同時に、窒素精留塔由来の酸素を高純度酸素に精製することが可能となって、高純度酸素の需要に対して、水電解装置と窒素発生装置の稼働率を最適化しながら高純度酸素を製造することができる。例えば、水素需要が少ない一方で高純度酸素需要が大量にある場合に、水電解装置由来の酸素を高純度酸素に精製しながら、高純度酸素の不足分を窒素精留塔からの酸素含有液を酸素精留塔で精製することによって得る。こうすることで、大電力を消費する水電解装置を高純度酸素需要に合わせて稼働する必要がなくなり、電力消費量を最適化することができる。