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  • 特開-2重シールドTIG溶接装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015628
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】2重シールドTIG溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/29 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
B23K9/29 B
B23K9/29 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117825
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 晋太朗
(72)【発明者】
【氏名】中俣 利昭
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001LB02
4E001LH04
4E001LH06
4E001NA01
(57)【要約】
【課題】シールドガスの使用量が削減できる2重シールドTIG溶接装置を提供する。
【解決手段】制御装置(CPU)は、溶接停止指示に応じて、第3時刻t3において溶接電流Iwの非消耗電極への供給及び第2不活性ガス(アウターガス)のガスノズルへの供給を停止し、第3時刻t3から予め定められたアフターフロー期間Ta経過後の第4時刻t4において、第1不活性ガス(インナーガス)のガスノズルへの供給を停止するように電源回路および流量調整装置3を制御する。制御装置(CPU)は、第2時刻t2と第3時刻t3との間の第1不活性ガス(インナーガス)の流量よりも第3時刻t3と第4時刻t4との間の第1不活性ガス(インナーガス)の流量が少なくなるように流量調整装置を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非消耗電極とガスノズルとを有する溶接トーチと、
前記非消耗電極に溶接電流を供給する電源回路と、
前記ガスノズルに供給するガスの流量を調整する流量調整装置と、
前記電源回路と前記流量調整装置とを制御する制御装置とを備え、
前記ガスノズルは、
前記非消耗電極の径方向外側に配置された筒状の第1ノズルと、
前記第1ノズルの径方向外側に配置された筒状の第2ノズルとを含み、
前記流量調整装置は、第1不活性ガスを前記第1ノズルと前記非消耗電極との間の第1ガス流路に供給し、第2不活性ガスを前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の第2ガス流路に供給するように構成され、
前記制御装置は、溶接開始指示に応じて、第1時刻において前記第1不活性ガスおよび前記第2不活性ガスの前記ガスノズルへの供給を開始し、前記第1時刻から予め定められたプリフロー期間経過後の第2時刻において、溶接電流の前記非消耗電極への供給を開始するように前記電源回路および前記流量調整装置を制御し、
前記制御装置は、溶接停止指示に応じて、第3時刻において溶接電流の前記非消耗電極への供給及び前記第2不活性ガスの前記ガスノズルへの供給を停止し、前記第3時刻から予め定められたアフターフロー期間経過後の第4時刻において、前記第1不活性ガスの前記ガスノズルへの供給を停止するように前記電源回路および前記流量調整装置を制御し、
前記制御装置は、前記第2時刻と前記第3時刻との間の前記第1不活性ガスの流量よりも前記第3時刻と前記第4時刻との間の前記第1不活性ガスの流量が少なくなるように前記流量調整装置を制御する、2重シールドTIG溶接装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2時刻と前記第3時刻との間の前記第1不活性ガスの流量が第1流量となり、前記第3時刻と前記第4時刻との間の前記第1不活性ガスの流量が前記第1流量よりも少ない第2流量となるように前記流量調整装置を制御する、請求項1に記載の2重シールドTIG溶接装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2時刻と前記第3時刻との間の前記第1不活性ガスの流量が第1流量となり、前記第3時刻と前記第4時刻との間の前記第1不活性ガスの流量が前記第1流量から次第に減少して流量ゼロとなるように前記流量調整装置を制御する、請求項1に記載の2重シールドTIG溶接装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第3時刻以降前記第4時刻より前の時刻において、前記第2不活性ガスの前記ガスノズルへの供給を停止するように前記流量調整装置を制御する、請求項1に記載の2重シールドTIG溶接装置。
【請求項5】
前記流量調整装置は、
前記第2不活性ガスの流量を設定するガス流量調整器と、
前記制御装置からの制御信号に応じて前記ガス流量調整器から前記第2ガス流路への前記第2不活性ガスの供給と遮断とを切り替える電磁弁と、
前記第1不活性ガスの圧力を設定するガス圧力調整器と、
前記制御装置からの制御信号に応じて前記ガス圧力調整器から前記第1ガス流路への前記第1不活性ガスの流量を増減させるマスフローコントローラとを含む、請求項1に記載の2重シールドTIG溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非消耗電極の周囲にシールドガスを供給するガスノズルを有する2重シールドTIG溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非消耗電極を備えた溶接トーチを用いて行なう溶接では、通常、タングステンで形成された電極と被溶接物との間にアークを発生させ、そのアークの熱で被溶接物を溶融させる。TIG(Tungsten Inert Gas)溶接法では、ガスノズルと電極との間にシールドガスを流す。
【0003】
特開2020-15048号公報(特許文献1)には、シールドガスをタングステン電極とワークとの間に発生したアークの周囲に放出するシールドノズルと、シールドノズル内に設けられ、シールドガスよりも高速でガスを噴射させる狭窄ノズルとを備えるTIG溶接用トーチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-15048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にTIG溶接に用いられる不活性ガスは、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの比較的高価なガスが用いられる。溶接装置のランニングコストを低減させるため、不活性ガスの使用量はなるべく抑える方が望ましい。
【0006】
一般にTIG溶接では、タングステン電極と溶融池の酸化を防止するため、溶接終了後に不活性ガスを一定期間流すアフターフローと呼ばれる区間が設けられる。特開2020-15048号公報(特許文献1)には、不活性ガスの使用量の削減についてはとくに言及されていないが、狭窄ノズルを備えた溶接装置では、アフターフロー区間におけるガス使用量の改善の余地がある。
【0007】
本開示は、このような課題を解決するものであって、シールドガスの使用量が削減できる2重シールドTIG溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の2重シールドTIG溶接装置は、非消耗電極とガスノズルとを有する溶接トーチと、非消耗電極に溶接電流を供給する電源回路と、ガスノズルに供給するガスの流量を調整する流量調整装置と、電源回路と流量調整装置とを制御する制御装置とを備える。ガスノズルは、非消耗電極の径方向外側に配置された筒状の第1ノズルと、第1ノズルの径方向外側に配置された筒状の第2ノズルとを含む。流量調整装置は、第1不活性ガスを第1ノズルと非消耗電極との間の第1ガス流路に供給し、第2不活性ガスを第1ノズルと第2ノズルとの間の第2ガス流路に供給するように構成される。制御装置は、溶接開始指示に応じて、第1時刻において第1不活性ガスおよび第2不活性ガスのガスノズルへの供給を開始し、第1時刻から予め定められたプリフロー期間経過後の第2時刻において、溶接電流の非消耗電極への供給を開始するように電源回路および流量調整装置を制御する。制御装置は、溶接停止指示に応じて、第3時刻において溶接電流の非消耗電極への供給及び前記第2不活性ガスの前記ガスノズルへの供給を停止し、第3時刻から予め定められたアフターフロー期間経過後の第4時刻において、第1不活性ガスのガスノズルへの供給を停止するように電源回路および流量調整装置を制御する。制御装置は、第2時刻と第3時刻との間の第1不活性ガスの流量よりも第3時刻と第4時刻との間の第1不活性ガスの流量が少なくなるように流量調整装置を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の2重シールドTIG溶接装置によれば、非溶接区間中の第2不活性ガス(アウターガス)の供給を停止し、かつ、第1不活性ガス(インナーガス)の流量を本溶接区間中よりも少なくすることで、ガスのランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態の2重シールドTIG溶接装置の構成図である。
図2】溶接電流とシールドガスの制御を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
図1は、本実施の形態の2重シールドTIG溶接装置の構成図である。図1に示す2重シールドTIG溶接装置1000は、溶接トーチ1と、電源回路21と、制御装置(CPU22)とを備える。
【0013】
溶接トーチ1は、非消耗電極11とガスノズル12とを有する。電源回路21は、非消耗電極11に溶接電流を供給する。流量調整装置3は、ガスノズル12に供給するガスの流量を調整する。制御装置(CPU22)は、電源回路21と流量調整装置3とを制御する。
【0014】
電源回路21と、制御装置(CPU22)と、操作パネル23は、直流溶接電源2に搭載されている。制御装置(CPU22)は、作業者が操作するトーチスイッチ24からON/OFF信号および操作パネル23の設定に基づいて電源回路21と流量調整装置3とを制御する。
【0015】
電源回路21は、インバータ回路101と、整流回路102と、平滑コンデンサ104と、カップリング105と、高周波回路103とを含む。直流溶接電源2のマイナス端子106は、ケーブルによって非消耗電極11に接続される。直流溶接電源2のプラス端子107は、ケーブルによって母材6に接続される。
【0016】
図1に示す2重シールドTIG溶接装置1000は、2重ガスシールドのTIG溶接装置である。非消耗電極11は、タングステン電極である。
【0017】
ガスノズル12は、筒状の第1ノズル13と、筒状の第2ノズル14とを含む。第1ノズル13は、非消耗電極11の径方向外側に配置される。第2ノズル14は、第1ノズル13の径方向外側に配置される。
【0018】
ガスノズル12は、タングステン電極を中心として同心円上に2つノズルが配置された2重ガスシールドノズルである。溶接期間中は、内側に流れるシールドガス(以下、インナーガスと呼称)は、流速(=流量/配管内断面積)が速くなるようインナーガス流量が3~6(L/min)程度に設定される。通常のTIG溶接と比較して、配管内断面積が小さいので少ないガス流量でありながら、速いガスの流速が得られる。ガス流速を速くする効果は、ガスの冷却作用によりアークが緊縮することであり、集中したアークが得られる。また、外側のシールドガス(以下、アウターガスと呼称)は、通常のTIG溶接で用いられるようにアークがシールドガス雰囲気下に入るように5~10(L/min)程度に設定される。
【0019】
ガスノズル12には、それぞれ独立したガスボンベ4,5およびガス配管からアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性なアウターガスおよびインナーガスが供給される。流量調整装置3は、第1不活性ガス(インナーガス)を第1ノズル13と非消耗電極11との間の第1ガス流路G1に供給し、第2不活性ガス(アウターガス)を第1ノズル13と第2ノズル14との間の第2ガス流路G2に供給するように構成される。
【0020】
第1不活性ガスと第2不活性ガスは同じガスであっても良いし、異なるガスであっても良い。たとえば、図1に示されるように第1不活性ガスと第2不活性ガスをいずれもArガスとしても良い。またたとえば、第1不活性ガス(インナーガス)としてHeガスを用い、第2不活性ガス(アウターガス)としてArガスを用いるように、二種類のガスを組み合わせて用いても良い。
【0021】
流量調整装置3は、ガス流量調整器31と、電磁弁32と、ガス圧力調整器33と、マスフローコントローラ34とを含む。
【0022】
ガス流量調整器31は、ガスボンベ4から供給される第2不活性ガス(アウターガス)の流量Foを設定する。たとえば、作業者が操作する流量バルブによって、ガス流量調整器31はガス流量Foを増減することができる。電磁弁32は、制御装置(CPU22)からの制御信号に応じてガス流量調整器31から第2ガス流路G2への第2不活性ガス(アウターガス)の供給と遮断とを切り替える。
【0023】
ガス圧力調整器33は、第1不活性ガス(インナーガス)の圧力を設定する。
マスフローコントローラ34は、制御装置(CPU22)からの制御信号に応じてガス圧力調整器33から第1ガス流路G1への第1不活性ガス(インナーガス)の流量Fiを増減させる。マスフローコントローラ34は、流体の質量流量を計測し流量制御を行なう機器であり、高精度な流量計測および制御を要求されるプロセスに用いられる。
【0024】
図1に示すようにアウターガスの流量Foは、ガス流量調整器31(残量メータ、フローメータを内蔵)で一定となるよう設定されている。電磁弁32を介してアウターガスの供給のON/OFFのみをCPU22が制御する。一方、インナーガスについては、ガス圧力調整器33の後にマスフローコントローラ34が設けられており、CPU22からの信号により、ガス供給のON/OFF制御とガス流量Fiの調整が可能である。
【0025】
通常のTIG溶接では、流量を手動で変えるので、流量を溶接終了のタイミングに合わせて変えることは難しい。本実施の形態では、インナーガスに対してマスフローコントローラ34を導入してガス流量を溶接の終了時に同期させて制御する。これによって、2重シールドTIG溶接におけるガス流量を効果的に削減し、ガスのランニングコストを低減することができる。
【0026】
図2は、溶接電流とシールドガスの制御を説明する波形図である。作業者が溶接装置のトーチスイッチ24をオンすると、まず溶接開始前に予め不活性ガスを流すプリフロー期間Tpが設定される(たとえば1秒)。
【0027】
図2に示すように、制御装置(CPU22)は、溶接開始指示に応じて、第1時刻t1において第1不活性ガス(インナーガス)および第2不活性ガス(アウターガス)のガスノズル12への供給を開始する。
【0028】
その後制御装置(CPU22)は、第1時刻t1から予め定められたプリフロー期間Tp経過後の第2時刻t2において、溶接電流Iwの非消耗電極11への供給を開始するように電源回路21および流量調整装置3を制御する。
【0029】
時刻t2においては、高周波回路103から高周波が発生しアークが点弧し、溶接電流Iwが流れる。
【0030】
作業者がトーチスイッチをオフすると、溶接停止指示が入力される。制御装置(CPU22)は、溶接停止指示に応じて、第3時刻t3において溶接電流Iwの非消耗電極11への供給を停止する。
【0031】
溶接電流Iwが停止し、その後予め設定されたアフターフロー期間Ta(たとえば7秒)中は、アウターガスは停止する一方でインナーガスは流れ続ける。
【0032】
制御装置(CPU22)は、第3時刻t3から予め定められたアフターフロー期間Ta経過後の第4時刻t4において、第1不活性ガス(インナーガス)のガスノズル12への供給を停止するように電源回路21および流量調整装置3を制御する。
【0033】
制御装置(CPU22)は、第2時刻t2と第3時刻t3との間の第1不活性ガス(インナーガス)の流量Fi1よりも第3時刻t3と第4時刻t4との間の第1不活性ガス(インナーガス)の流量Fi2が少なくなるように流量調整装置3を制御する。
【0034】
従来のTIG溶接のシールドガスの流量は、たとえば溶接中5~10(L/min)である。
【0035】
これに対し、本実施の形態では、図2に示すように、制御装置(CPU22)は、第2時刻t2と第3時刻t3との間の第1不活性ガス(インナーガス)の流量が第1流量Fi1となり、第3時刻t3と第4時刻t4との間の第1不活性ガス(インナーガス)の流量が第1流量Fi1よりも少ない第2流量Fi2となるように流量調整装置3を制御する。
【0036】
本実施の形態では、図2に示すように、溶接中は、たとえば、アウターガス流量Fo=7(L/min)、インナ-ガス流量Fi1=3(L/min)(合計流量10(L/min))である。また、本実施の形態では、溶接後のアフターフロー期間中はアウターガス流量Fo=0(L/min)インナーガス流量Fi2=1~1.5(L/min)(合計流量1~1.5(L/min))とすることができる。これにより、アフターフロー期間のシールドガス流量を減らすことができる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態の溶接装置は、非溶接区間中のアウターガス流をOFFにし、かつ、インナーガス流量を本溶接中よりも少なくする。2重シールドTIG溶接は、シールドノズルが一重である通常のTIG溶接と比較して、インナーガスノズル部の断面積が小さいのでガス流速が速くなるため、通常TIG溶接よりもアフターフロー区間中のガス流量を減らすことができる。
【0038】
本実施の形態の溶接装置によれば、2重シールドTIG溶接における非溶接区間中の総ガス流量を減らすことができるので、ガスランニングコストを低減することができる。特に仮付け工程といった、本溶接の時間よりもアフターフロー時間が長くなるようなケースに対して効果が高い。
【0039】
[変形例1]
インナーガスのOFFは、直ちにゼロにするのではなく、図2の波形M1に示すように、一定時間かけて徐々に流量を下げるようにしても良い。
【0040】
この場合、制御装置(CPU22)は、第2時刻t2と第3時刻t3との間の第1不活性ガス(インナーガス)の流量が第1流量Fi1となり、第3時刻t3と第4時刻t4との間の第1不活性ガス(インナーガス)の流量が第1流量Fi1から次第に減少して流量ゼロとなるように流量調整装置3を制御する。
【0041】
[変形例2]
本実施の形態では、アフターフロー中のアウターガスは溶接区間終了と同時にOFFするよう記載したが、溶融池保護の観点から、溶接トーチを溶融池から遠ざけるまでに要する時間を図2の波形M2に示すように、インナーガスとは異なる一定期間独立してアフターフロー区間に別途アウターガスを流すように設定可能としてもよい。
【0042】
この場合、制御装置(CPU22)は、第3時刻t3以降第4時刻t4より前の時刻において、第2不活性ガス(アウターガス)のガスノズル12への供給を停止するように流量調整装置3を制御する。
【0043】
[変形例3]
本実施の形態では、プリフロー中のインナーガス流量は溶接区間中と同流量としているが、図2の波形M3に示すように、スタート直後のシールド性が確保できるインナーガス流量まで減らしてもよい。
【0044】
この場合、制御装置(CPU22)は、第1時刻t1と第2時刻t2との間の第1不活性ガス(インナーガス)の流量が第1流量Fi1よりも少ない第3流量Fi3となるように流量調整装置3を制御する。
【0045】
なお、本実施の形態では、鉄、ステンレスなどに使用される直流溶接電源2を図1に記載して説明したが、表面に酸化皮膜が形成されるアルミ、マグネシウムなどに使用される交流溶接電源にも同様なガスの流量制御を適用しても良い。なお、アフターフローの流量については、同様で良いが、アルミ等ではプリフロー期間を長め(たとえば、5秒)に流すことがある。
【0046】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 溶接トーチ、2 直流溶接電源、3 流量調整装置、31 ガス流量調整器、11 非消耗電極、12 ガスノズル、13 第1ノズル、14 第2ノズル、21 電源回路、32 電磁弁、33 ガス圧力調整器、34 マスフローコントローラ、1000 2重シールドTIG溶接装置、G1,G2 流路。
図1
図2