特開 2024-156282 清掃具及び動物用トイレ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024156282

(43)【公開日】2024-11-06

(54)【発明の名称】清掃具及び動物用トイレ

(51)【国際特許分類】

   A01K 1/01 20060101AFI20241029BHJP

【ＦＩ】

A01K1/01 801Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】25

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023070616

(22)【出願日】2023-04-24

(71)【出願人】

【識別番号】321000026

【氏名又は名称】株式会社大貴

(74)【代理人】

【識別番号】100179327

【弁理士】

【氏名又は名称】大坂 憲正

(72)【発明者】

【氏名】吉永 隼士

【テーマコード（参考）】

2B101

【Ｆターム（参考）】

2B101AA13

2B101CA08

2B101CC01

2B101GB08

(57)【要約】

【課題】動物用トイレの仕切部を清掃する手間を軽減できる清掃具、及びそれを備える動物用トイレを提供する。
【解決手段】清掃具６０は、排泄された尿を受ける本体部１０と、尿を通過させる多数の貫通孔２２を有するとともに本体部１０内を上下に区画する仕切部２０とを含む動物用トイレ１の仕切部２０の清掃に用いられる。清掃具６０は、複数の凸部６２を備えている。複数の凸部６２は、多数の貫通孔２２のうち複数の貫通孔２２に対して同時に挿入可能である。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

排泄された尿を受ける本体部と、前記尿を通過させる多数の貫通孔を有するとともに前記本体部内を上下に区画する仕切部とを含む動物用トイレの前記仕切部の清掃に用いられる清掃具であって、
前記多数の貫通孔のうち複数の貫通孔に対して同時に挿入可能な複数の凸部を備えることを特徴とする清掃具。

【請求項2】

請求項１に記載の清掃具において、
前記複数の凸部の個数は、前記多数の貫通孔の個数の４分の１以上である清掃具。

【請求項3】

請求項２に記載の清掃具において、
前記複数の凸部の個数は、前記多数の貫通孔の個数の２分の１以上である清掃具。

【請求項4】

請求項３に記載の清掃具において、
前記複数の凸部の個数は、前記多数の貫通孔の個数に等しい清掃具。

【請求項5】

請求項１乃至４の何れかに記載の清掃具において、
前記複数の凸部は、当該清掃具において二次元的に配列されている清掃具。

【請求項6】

請求項１乃至４の何れかに記載の清掃具において、
前記各凸部は、前記各貫通孔の内面の全体に同時に接することが可能な形状をしている清掃具。

【請求項7】

請求項６に記載の清掃具において、
前記各凸部は、前記各貫通孔の前記内面の全体に接したまま、当該貫通孔に対して摺動することが可能である清掃具。

【請求項8】

請求項１乃至４の何れかに記載の清掃具において、
前記複数の凸部が接続された基部を備える清掃具。

【請求項9】

請求項８に記載の清掃具において、
前記基部は、板状をしている清掃具。

【請求項10】

請求項８に記載の清掃具において、
前記基部は、前記複数の凸部と一体に成形されている清掃具。

【請求項11】

請求項８に記載の清掃具において、
前記基部に接続された把手を備える清掃具。

【請求項12】

請求項１１に記載の清掃具において、
前記把手は、前記基部と一体に成形されている清掃具。

【請求項13】

請求項１乃至４の何れかに記載の清掃具と、
前記本体部と、
前記仕切部と、
を備えることを特徴とする動物用トイレ。

【請求項14】

請求項１３に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部は、前記清掃具が収納される収納空間を有する動物用トイレ。

【請求項15】

請求項１４に記載の動物用トイレにおいて、
前記収納空間は、前記本体部の底部内に存在する動物用トイレ。

【請求項16】

請求項１３に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部上に敷設され、疎水性を有する複数の粒状体を備える動物用トイレ。

【請求項17】

請求項１６に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物を主材料とする動物用トイレ。

【請求項18】

請求項１７に記載の動物用トイレにおいて、
前記各粒状体は、有機物のみからなる動物用トイレ。

【請求項19】

請求項１３に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部は、一体の容器からなる動物用トイレ。

【請求項20】

請求項１３に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、前記本体部に固定されていない動物用トイレ。

【請求項21】

請求項２０に記載の動物用トイレにおいて、
前記本体部は、当該本体部の壁部から内側に突出する支持部を有し、
前記仕切部は、前記支持部上に載置される動物用トイレ。

【請求項22】

請求項２１に記載の動物用トイレにおいて、
前記支持部は、平面視で、前記壁部の内周の全体に設けられている動物用トイレ。

【請求項23】

請求項１３に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部は、当該仕切部の周囲の全体が前記本体部の壁部から離間した状態で、当該本体部内に配設することが可能である動物用トイレ。

【請求項24】

請求項１３に記載の動物用トイレにおいて、
前記仕切部の下方に配設され、前記尿を吸収する吸水性シートを備える動物用トイレ。

【請求項25】

請求項２４に記載の動物用トイレにおいて、
前記吸水性シートが収容される引出部を備え、
前記本体部の壁部には、開口が形成されており、
前記引出部は、前記開口を通じて前記本体部に対して抜き挿しすることが可能である動物用トイレ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、動物用トイレの仕切部の清掃に用いられる清掃具、及びそれを備える動物用トイレに関する。

【背景技術】

【0002】

従来の動物用トイレとしては、例えば特許文献１に記載されたものがある。同文献に記載された動物用トイレは、排泄された尿を受ける本体部（トレー）、及び本体部の内部空間を上部空間と下部空間とに区画する仕切部（簀子）を備えている。仕切部は、尿を通過させる多数の貫通孔を有している。上部空間（仕切部上）には、低吸水性を有する複数の粒状体が敷設されている。下部空間には、尿を吸収する吸水性シートが配設されている。本体部に排泄された尿は、粒状体どうしの隙間を通り抜けた後、仕切部の貫通孔を通じて上部空間から下部空間へと移動する。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００３－１８０１８２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

このように粒状体の隙間を通り抜けた尿が貫通孔を通過するため、貫通孔には、粒状体の欠片や尿に起因する汚れが詰まりやすい。かかる汚れを放置しておくと、動物用トイレの周囲に悪臭が漂う原因となる。しかしながら、仕切部には多数の貫通孔が存在するため、それらの貫通孔を一つずつ清掃するには多大な手間を要するという問題があった。

【0005】

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、動物用トイレの仕切部を清掃する手間を軽減できる清掃具、及びそれを備える動物用トイレを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明による清掃具は、排泄された尿を受ける本体部と、上記尿を通過させる多数の貫通孔を有するとともに上記本体部内を上下に区画する仕切部とを含む動物用トイレの上記仕切部の清掃に用いられる清掃具であって、上記多数の貫通孔のうち複数の貫通孔に対して同時に挿入可能な複数の凸部を備えることを特徴とする。

【0007】

この清掃具においては、複数の凸部が設けられている。複数の凸部は、動物用トイレの仕切部に形成された多数の貫通孔のうち複数の貫通孔に対して同時に挿入できるように構成されている。このため、複数の凸部を複数の貫通孔に挿入することにより、当該複数の貫通孔に詰まった汚れを同時に除去することが可能となる。このようにして複数の貫通孔を同時に清掃することができる。

【0008】

また、本発明による動物用トイレは、上記清掃具と、上記本体部と、上記仕切部と、を備えることを特徴とする。

【発明の効果】

【0009】

本発明によれば、動物用トイレの仕切部を清掃する手間を軽減できる清掃具、及びそれを備える動物用トイレが実現される。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。

【図2】本体部１０を示す端面図である。

【図3】本体部１０を示す正面図である。

【図4】本体部１０を示す平面図である。

【図5】仕切部２０を示す平面図である。

【図6】引出部５０を示す斜視図である。

【図7】清掃具６０を示す平面図である。

【図8】清掃具６０を示す底面図である。

【図9】図８のIX－IX線に沿った断面図である。

【図10】清掃具６０の使用方法の一例を説明するための断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。

【0012】

図１は、本発明による動物用トイレの一実施形態を示す端面図である。動物用トイレ１は、本体部１０、仕切部２０、複数の粒状体３０、吸水性シート４０、引出部５０、及び清掃具６０を備えている。動物用トイレ１は、例えば猫用トイレである。本体部１０は、箱状の一体の容器からなり、底部１０ａ及び壁部１０ｂを有している。本体部１０は、排泄された尿を受ける。本体部１０の外形は、略直方体である。本体部１０の材料としては、例えば、プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンが挙げられる。

【0013】

本体部１０は、上部空間Ｓ１、下部空間Ｓ２、及び収納空間Ｓ３を有している。上部空間Ｓ１は、仕切部２０の上方に存在し、複数の粒状体３０が敷設される空間である。下部空間Ｓ２は、仕切部２０の下方に存在し、尿が溜まる空間である。収納空間Ｓ３は、底部１０ａ内に存在し、清掃具６０が収納される空間である。

【0014】

図２及び図３は、それぞれ、本体部１０を示す端面図及び正面図である。本体部１０の壁部１０ｂには、引出部５０を抜き挿しするための開口１２が形成されている。開口１２は、底部１０ａの近傍に位置し、横長の長方形状をしている。開口１２の横方向（図３の左右方向）の長さは、本体部１０の横幅（内寸）に略等しく、例えば２０ｃｍ以上４０ｃｍ以下である。開口１２の縦方向（図３の上下方向）の長さは、例えば２ｃｍ以上５ｃｍ以下である。また、底部１０ａには、収納空間Ｓ３に清掃具６０を出し入れするための開口１４が存在する。開口１４は、開口１２と同一の平面上に位置している。収納空間Ｓ３は、開口１４を通じてのみ、収納空間Ｓ３の外部と連通している。

【0015】

図４は、本体部１０を示す平面図である。本体部１０は、支持部１６を有している。支持部１６は、壁部１０ｂから本体部１０の内側に突出している。支持部１６は、仕切部２０を下から支持する。支持部１６は、平面視で、壁部１０ｂの内周の全体に設けられている。すなわち、支持部１６は、壁部１０ｂの内周に沿って環状に設けられた突条からなる。壁部１０ｂの内周は、平面視で、略矩形状をしている。ここで、略矩形とは、矩形に限らず、角丸四角形のように矩形に近い形状も含む趣旨である。支持部１６の突出長さ（当該支持部１６が設けられた壁部１０ｂの内面に垂直な方向の長さ）は、例えば５ｍｍ以上１５ｍｍ以下である。支持部１６は、壁部１０ｂと一体に成形されてもよいし、壁部１０ｂと別々に成形された後に壁部１０ｂに取り付けられてもよい。

【0016】

図５は、仕切部２０を示す平面図である。仕切部２０は、支持部１６上に載置されている。仕切部２０は、本体部１０に固定されていない。仕切部２０は、本体部１０に対して着脱可能である。仕切部２０は、その周囲全体が壁部１０ｂから離間した状態で本体部１０内に配設することが可能である。仕切部２０は、板状の部材からなる。仕切部２０は、平面視で、略矩形状をしている。仕切部２０は、底部１０ａの上面と平行に配置されている。また、仕切部２０は、本体部１０（壁部１０ｂ）の上端及び吸水性シート４０の双方から離間した位置に配設されている。これにより、仕切部２０は、本体部１０内を上下に区画している。具体的には、仕切部２０は、本体部１０の内部空間（壁部１０ｂで囲まれた空間）を上部空間Ｓ１と下部空間Ｓ２とに区画している。仕切部２０の材料としては、例えば、プラスチックを用いることができる。

【0017】

仕切部２０は、尿を通過させる貫通孔２２を有している。貫通孔２２は、尿を通過させる一方で、各粒状体３０を通過させない。仕切部２０は、多数の貫通孔２２を有している。ここで、「多数」とは、１０以上の個数を意味する。以下の記述において「多数の貫通孔２２」は、別段の断りがない限り、仕切部２０に設けられた全ての貫通孔２２を指すものとする。多数の貫通孔２２は、仕切部２０において二次元的に配列されている。具体的には、多数の貫通孔２２は、格子状に配列されている。各貫通孔２２の平面形状は、円形である。仕切部２０の厚み方向について、各貫通孔２２の径は一定である。それゆえ、各貫通孔２２の内部は、円柱状の空間となっている。各貫通孔２２の径は、例えば２ｍｍ以上４ｍｍ以下である。

【0018】

本体部１０の上部空間Ｓ１には、排泄物（主に尿）を処理するための複数の粒状体３０が敷設される。複数の粒状体３０は、仕切部２０上に直接敷設される。各粒状体３０は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体３０の粒径は、例えば、５ｍｍ以上３０ｍｍ以下である。ここで、粒状体３０の粒径は、当該粒状体３０を内包し得る最小の球の直径として定義される。動物用トイレ１の使用時、粒状体３０は、排泄物を直接に受けることになる。

【0019】

粒状体３０は、疎水性を有している。すなわち、粒状体３０は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。かかる疎水性を有する粒状体３０は、吸水性を有する粒状体とは異なり、尿で濡れたときに粒状体どうしが接着して固まりを形成するということはない。

【0020】

粒状体３０が疎水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が６０％以上であることが必要である。まず、内径１０ｃｍ、目開き１ｍｍの篩に５０ｇ相当の粒状体３０（サンプル）を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径３ｃｍ、筒先の内径４ｍｍのシリンジ（テルモ社製６０ｍｌシリンジ）を用いて、３０ｍｌの水を１０秒かけて滴下する。１分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量（３０ｍｌ）に対する割合をもって液通過率とする。このとき、ビーカー内の水量が１８ｍｌ以上であれば、液通過率が６０％以上となるため、粒状体３０が疎水性を有するといえる。

【0021】

各粒状体３０は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、粒状体３０の主材料とは、粒状体３０を構成する１又は２以上の材料のうち、当該粒状体３０に占める重量割合が最大のものをいう。かかる有機物としては、例えば、紙類、植物類、プラスチック類、又は有機汚泥類が挙げられる。各粒状体３０は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。

【0022】

紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙（紙粉）の他にも、印画紙、剥離紙、フラッフパルプ、塩ビ壁紙由来の紙（塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生する紙）、石膏ボード由来の紙（石膏ボードの製造時又は分級時に発生する紙）、又は衛生用品由来の紙（紙を含む衛生用品の製造時又は分級時に発生する紙）を用いることができる。紙を含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生用紙（ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等）が挙げられる。植物類としては、例えば、木粉、大鋸屑、又は植物性残渣（茶殻、オカラ等）を用いることができる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、アルミ蒸着フィルム、塩ビ壁紙由来のプラスチック（塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生するプラスチック）、又は衛生用品由来のプラスチック（プラスチックを含む衛生用品の製造時又は分級時に発生するプラスチック）を用いることができる。プラスチックを含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生マスクが挙げられる。有機汚泥類としては、例えば、製紙スラッジ、又はパルプスラッジを用いることができる。これらの材料には、疎水処理（撥水処理）が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。

【0023】

粒状体３０を構成する材料は、１つのみであってもよいし、２つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体３０を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体３０は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば、石膏又は重曹が挙げられる。石膏又は重曹を加えることにより、粒状体３０に疎水性を付与しやすくなる。石膏又は重曹の割合は、例えば、粒状体３０の全体に対して５重量％以上５０重量％未満とされる。

【0024】

粒状体３０は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、造粒装置を用いて造粒材料（粒状体３０を構成する材料）を造粒することにより、粒状体３０となる造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。疎水処理は、例えば、造粒物の表面を疎水剤（撥水剤）でコーティングすることにより行うことができる。疎水処理を行わない場合、造粒時に造粒材料に加わる圧力を高めることにより、造粒物内に隙間が極力生じないようにすることが好ましい。かかる隙間は、粒状体３０の内部に尿等の液体が浸入する経路となるからである。造粒に先立って、造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け（分粒）、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。

【0025】

本体部１０の下部空間Ｓ２（仕切部２０の下方）には、吸水性シート４０が配設される。吸水性シート４０は、仕切部２０の貫通孔２２を通過した尿を吸収する。すなわち、貫通孔２２を通過した尿は、吸水性シート４０に吸収された状態で下部空間Ｓ２に溜まる。

【0026】

図６は、引出部５０を示す斜視図である。引出部５０は、底板５０ａ、前板５０ｂ、先板５０ｃ、及び一対の側板５０ｄを有している。底板５０ａの大きさは、底部１０ａの上面の大きさに略等しい。前板５０ｂは、開口１２と略同一の形状及び大きさをしている。前板５０ｂには、把手５２が取り付けられている。引出部５０は、開口１２を通じて本体部１０に対して抜き挿しすることが可能である。引出部５０には、吸水性シート４０が収容される。すなわち、吸水性シート４０は、引出部５０に収容された状態で本体部１０内に配設される。引出部５０の材料としては、例えば、プラスチックを用いることができる。

【0027】

図７及び図８は、それぞれ、清掃具６０を示す平面図及び底面図である。また、図９は、図８のIX－IX線に沿った断面図である。清掃具６０は、仕切部２０の清掃に用いられる清掃具であって、複数の凸部６２、基部６４、及び把手６６を有している。以下の記述において「複数の凸部６２」は、別段の断りがない限り、清掃具６０に設けられた全ての凸部６２を指すものとする。複数の凸部６２は、多数の貫通孔２２のうち複数の貫通孔２２に対して同時に挿入可能である。多数の貫通孔２２の個数をｎ（ｎは１０以上の整数）とし、複数の貫通孔２２の個数をｍとしたとき、２≦ｍ≦ｎが成立する。すなわち、ｍは、２以上の整数である限り、ｎに等しくてもよいし、ｎより小さくてもよい。複数の凸部６２と複数の貫通孔２２とは、一対一に対応する。すなわち、複数の凸部６２の各々が何れか１つの貫通孔２２に挿入されるとともに、複数の貫通孔２２の各々に何れか１つの凸部６２が挿入される。当然ながら、複数の凸部６２の個数は、複数の貫通孔２２の個数に等しい。

【0028】

清掃具６０における複数の凸部６２の配列パターンは、仕切部２０における複数の貫通孔２２の配列パターンと一致する。複数の凸部６２は、清掃具６０において二次元的に配列されている。複数の凸部６２の個数は、多数の貫通孔２２の個数の４分の１以上であることが好ましく、２分の１以上であることがより好ましい。本実施形態において複数の凸部６２の個数は、多数の貫通孔２２の個数に等しい。すなわち、清掃具６０に設けられた全ての凸部６２は、仕切部２０に設けられた全ての貫通孔２２と一対一に対応する。

【0029】

各凸部６２は、各貫通孔２２と嵌合する。すなわち、各凸部６２は、各貫通孔２２の内面の全体に同時に接することが可能な形状をしている。本実施形態において各凸部６２は、円柱状をしている。各凸部６２の径は、各貫通孔２２の径に略等しい。ただし、各凸部６２の高さｈ１（図９参照）は、各貫通孔２２の長さ（仕切部２０の厚み）よりも大きい。これにより、各凸部６２は、各貫通孔２２の内面の全体に接したまま、当該貫通孔２２に対して摺動することが可能である。

【0030】

複数の凸部６２は、基部６４に接続されている。基部６４は、板状をしている。複数の凸部６２は、１枚の板状の基部６４の一方の面に接続されている。基部６４は、複数の凸部６２と一体に成形されることが好ましい。基部６４の他方の面には、把手６６が接続されている。把手６６は、平面視で、基部６４の中心部に配置されている。把手６６は、動物用トイレ１のユーザ（動物の飼主等）が片手で握れる形状をしている。把手６６は、基部６４と一体に成形されることが好ましい。複数の凸部６２、基部６４及び把手６６からなる清掃具６０は、全体が一体に成形されることが特に好ましい。清掃具６０の材料としては、例えば、プラスチックを用いることができる。

【0031】

動物用トイレ１の使用時、本体部１０に排泄された尿は、粒状体３０どうしの隙間を通り抜けた後、仕切部２０の貫通孔２２を通じて、上部空間Ｓ１から下部空間Ｓ２へと移動する。下部空間Ｓ２に移動した尿は、吸水性シート４０に吸収される。動物用トイレ１の使用後、清掃具６０を用いて仕切部２０を清掃する場合は、まず、収納空間Ｓ３から清掃具６０を取り出す。続いて、把手６６を握って、各凸部６２を各貫通孔２２に挿入すればよい（図１０参照）。これにより、複数の貫通孔２２を同時に清掃することができる。このとき、同図に矢印で示すように、仕切部２０に対して清掃具６０を上下動させることにより、各貫通孔２２に対して各凸部６２を摺動させてもよい。なお、清掃の際、仕切部２０は、本体部１０に取り付けられた状態にあってもよいし、本体部１０から取り外された状態にあってもよい。

【0032】

本実施形態の効果を説明する。清掃具６０においては、複数の凸部６２が設けられている。複数の凸部６２は、動物用トイレ１の仕切部２０に形成された多数の貫通孔２２のうち複数の貫通孔２２に対して同時に挿入できるように構成されている。このため、複数の凸部６２を複数の貫通孔２２に挿入することにより、当該複数の貫通孔２２に詰まった汚れを同時に除去することが可能となる。このようにして複数の貫通孔２２を同時に清掃することができる。したがって、動物用トイレ１の仕切部２０を清掃する手間を軽減できる清掃具６０、及びそれを備える動物用トイレ１が実現されている。

【0033】

複数の凸部６２の個数が大きい方が、仕切部２０を清掃する手間を軽減するのに有利である。かかる観点から、複数の凸部６２の個数は、多数の貫通孔２２の個数の４分の１以上であることが好ましく、２分の１以上であることがより好ましい。

【0034】

複数の凸部６２の個数は、多数の貫通孔２２の個数に等しい。この場合、仕切部２０に設けられた全ての貫通孔２２を同時に清掃することが可能であるため、仕切部２０を清掃する手間を特に軽減することができる。

【0035】

複数の凸部６２は、清掃具６０において二次元的に配列されている。この場合、複数の凸部６２を一次元的に配列する場合（一直線状に配列する場合）に比して、複数の凸部６２の個数を増やすのに有利である。

【0036】

各凸部６２は、各貫通孔２２の内面の全体に同時に接することが可能な形状をしている。これにより、凸部６２を貫通孔２２に挿入した際、貫通孔２２の内面に付着した汚れも除去しやすくなる。

【0037】

各凸部６２は、各貫通孔２２の内面の全体に接したまま、当該貫通孔２２に対して摺動することが可能である。この場合、凸部６２を摺動させることにより、凸部６２で貫通孔２２の内面を繰り返し擦ることができる。これにより、貫通孔２２の内面に付着した汚れを一層除去しやすくなる。

【0038】

清掃具６０には、複数の凸部６２が接続された基部６４が設けられている。これにより、簡易な構成で、複数の凸部６２の相対的な位置関係を安定的に維持することができる。

【0039】

基部６４は、板状をしている。かかる形状は、多くの凸部６２を基部６４に接続するのに適している。

【0040】

基部６４が複数の凸部６２と一体に成形される場合、清掃具６０ひいては動物用トイレ１の製造コストを削減することができる。

【0041】

清掃具６０には、基部６４に接続された把手６６が設けられている。これにより、清掃具６０の取扱いが容易になる。

【0042】

把手６６が基部６４と一体に成形される場合、清掃具６０ひいては動物用トイレ１の製造コストを削減することができる。

【0043】

動物用トイレ１は、清掃具６０を備えている。これにより、動物用トイレ１のユーザは、清掃具６０を別途準備しなくても、清掃具６０を用いて仕切部２０の清掃を行うことができる。

【0044】

本体部１０は、清掃具６０が収納される空間（収納空間Ｓ３）を有している。これにより、清掃具６０を本体部１０内に収納しておくことが可能となるため、動物用トイレ１のユーザにとっての利便性が向上する。

【0045】

収納空間Ｓ３は、本体部１０の底部１０ａ内に存在する。この場合、床面における本体部１０が設置される部分の面積を増やすことなく、清掃具６０を収納する空間を確保することができる。

【0046】

粒状体３０は、疎水性を有している。この場合、粒状体３０上に排泄された尿の大部分は、粒状体３０に吸収されずに、粒状体３０どうしの隙間を通り抜けていく。これにより、尿を下部空間Ｓ２まで速やかに導くことができる。

【0047】

各粒状体３０が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体３０を得ることができる。このことは、使用済みの粒状体３０の処分の便宜に資する。特に各粒状体３０が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体３０を得ることができる。

【0048】

本体部１０は、一体の容器からなっている。この場合、本体部１０が複数の別体の容器からなる場合に比して簡易な構成で、上部空間Ｓ１及び下部空間Ｓ２を有する動物用トイレ１を実現することができる。

【0049】

仕切部２０は、本体部１０に固定されていない。この場合、本体部１０に対する仕切部２０の着脱が容易になる。

【0050】

仕切部２０は、支持部１６上に載置されている。これにより、本体部１０に固定することなく仕切部２０を本体部１０内の所定の位置に留めておくことができる。

【0051】

支持部１６は、平面視で、壁部１０ｂの内周の全体に設けられている。これにより、仕切部２０が下部空間Ｓ２に落下してしまう事態を防ぎやすくなる。

【0052】

仕切部２０は、その周囲の全体が壁部１０ｂから離間した状態で本体部１０内に配設することが可能である。このように仕切部２０と壁部１０ｂとの間にマージンを設けておくことにより、本体部１０に対する仕切部２０の着脱を円滑に行うことができる。

【0053】

下部空間Ｓ２には、吸水性シート４０が配設されている。これにより、下部空間Ｓ２に溜まった尿を吸水性シート４０内に閉じ込めることができる。このため、当該尿からの悪臭の発生を緩和することができる。

【0054】

本体部１０に対して抜き挿しすることが可能な引出部５０が設けられている。これにより、使用済みの吸水性シート４０を新しいものと交換する作業を楽に行うことができる。

【0055】

ところで、猫は、犬等の他の動物と異なり、排泄後に排泄物を粒状体で隠す習性を有する。それゆえ、上部空間Ｓ１に複数の粒状体３０が敷設される動物用トイレ１は、猫用トイレとして特に好適に用いることができる。

【0056】

本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、各凸部６２が各貫通孔２２の内面の全体に接することが可能である場合を例示した。しかし、各凸部６２は、各貫通孔２２の内面の一部にのみ接することが可能であってもよい。

【0057】

上記実施形態においては、各貫通孔２２の平面形状が円形である場合を例示した。しかし、各貫通孔２２の平面形状は、任意であり、例えば、楕円形であってもよいし、矩形等の多角形であってもよい。同様に、各凸部６２の形状も任意であり、例えば、楕円柱状であってもよいし、多角柱状であってもよい。

【0058】

上記実施形態においては、本体部１０に収納空間Ｓ３が設けられた場合を例示した。しかし、本体部１０に収納空間Ｓ３を設けることは、必須でない。収納空間Ｓ３を設けない場合、清掃具６０は、本体部１０の外部に保管しておけばよい。

【0059】

上記実施形態においては、引出部５０が設けられた場合を例示した。しかし、引出部５０を設けることは必須でない。引出部５０を設けない場合、吸水性シート４０は、底部１０ａ上に直接配設される。その場合、当然ながら、壁部１０ｂに開口１２は設けられない。

【0060】

上記実施形態においては、本体部１０に吸水性シート４０が配設される場合を例示した。しかし、本体部１０に吸水性シート４０を配設することは必須でない。吸水性シート４０を配設しない場合、引出部５０も設けられない。

【符号の説明】

【0061】

１ 動物用トイレ
１０ 本体部
１０ａ 底部
１０ｂ 壁部
１２ 開口
１４ 開口
１６ 支持部
２０ 仕切部
２２ 貫通孔
３０ 粒状体
４０ 吸水性シート
５０ 引出部
５２ 把手
６０ 清掃具
６２ 凸部
６４ 基部
６６ 把手
Ｓ１ 上部空間
Ｓ２ 下部空間
Ｓ３ 収納空間

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】