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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156287
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】角度調整機構及び穿刺装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20241029BHJP
   B26F 1/24 20060101ALI20241029BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20241029BHJP
   B26D 5/08 20060101ALI20241029BHJP
   B23Q 16/02 20060101ALI20241029BHJP
   B23Q 1/64 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 5/00 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
B26F1/24
B26D7/26
B26D5/08 A
B23Q16/02 G
B23Q1/64 D
C12N5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070630
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511155187
【氏名又は名称】株式会社サイフューズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若▲崎▼ 知己
(72)【発明者】
【氏名】溶田 涼
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知明
【テーマコード(参考)】
3C021
3C048
3C060
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
3C021JA09
3C048BB20
3C060AA20
3C060BA06
3C060BD01
3C060BE08
3C060BG11
3C060BG13
4B029AA07
4B029AA09
4B029BB11
4B029BB12
4B029FA15
4B029HA01
4B029HA10
4B065AA87X
4B065BD50
4B065CA46
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】小型化を図りつつ高い精度で針状部材の角度を調整すること。
【解決手段】ニードルNを挟持する挟持部200と、挟持部200が固定される可動部材40と、可動部材40と重ねて配置される固定部材50と、可動部材40と固定部材50とを連結することにより、可動部材40を固定部材50に対して揺動自在に連結する連結部60と、可動部材40を固定部材50に対して連結部60を支点として揺動させる第1調整部71と、第1調整部71が可動部材40を揺動させる方向とは異なる方向に、可動部材40を固定部材50に対して連結部60を支点として揺動させる第2調整部72と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状部材を挟持する挟持部と、
前記挟持部が固定される可動部材と、
前記可動部材と重ねて配置される固定部材と、
前記可動部材と前記固定部材とを連結することにより、前記可動部材を前記固定部材に対して揺動自在に連結する連結部と、
前記可動部材を前記固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる第1調整部と、
前記第1調整部が前記可動部材を揺動させる方向とは異なる方向に、前記可動部材を前記固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる第2調整部と、
を備える角度調整機構。
【請求項2】
前記可動部材は、前記挟持部で挟持する前記針状部材の延在方向に対して直交する平面上において一方向に延びる第1可動部材と、前記平面上において前記第1可動部材が延びる方向とは異なる方向に延びると共に前記第1可動部材に接続される第2可動部材とを有し、
前記固定部材は、前記第1可動部材に沿って延びて前記第1可動部材と重ねて配置される第1固定部材と、前記第2可動部材に沿って延びて前記第2可動部材と重ねて配置されると共に第1固定部材に接続される第2固定部材とを有し、
前記連結部は、前記第1可動部材と前記第2可動部材との接続部と、前記第1固定部材と前記第2固定部材との接続部とを連結することにより、前記可動部材を前記固定部材に対して揺動自在に連結し、
前記第1調整部は、前記第1可動部材を前記第1固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させ、
前記第2調整部は、前記第2可動部材を前記第2固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる請求項1に記載の角度調整機構。
【請求項3】
前記連結部を支点として揺動する前記可動部材と前記固定部材とに対して互いに接近する方向の付勢力を付与するばね部材を備え、
前記第1調整部と前記第2調整部とは、
それぞれ駆動部と、
前記固定部材を貫通して前記可動部材と前記固定部材とが重なる方向に延びると共に端部が前記可動部材に当接し、前記駆動部から伝達される駆動力により前記可動部材と前記固定部材とが重なる方向に前記固定部材に対して相対移動する回転軸と、
を有する請求項1または2に記載の角度調整機構。
【請求項4】
前記回転軸は、前記回転軸の延在方向に伸縮する伸縮カップリングを介して、前記駆動部の出力軸に連結される請求項3に記載の角度調整機構。
【請求項5】
針状部材を挟持する挟持部と、
前記挟持部が固定される可動部材と、
前記可動部材と重ねて配置される固定部材と、
前記可動部材と前記固定部材とを連結することにより、前記可動部材を前記固定部材に対して揺動自在に連結する連結部と、
前記可動部材を前記固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる第1調整部と、
前記第1調整部が前記可動部材を揺動させる方向とは異なる方向に、前記可動部材を前記固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる第2調整部と、
前記固定部材に取り付けられる取付部材と、
前記取付部材が取り付けられ、前記取付部材と共に前記固定部材と前記可動部材と前記挟持部とを前記針状部材の延在方向に移動させる穿刺方向駆動装置と、
を備える穿刺装置。
【請求項6】
前記第1調整部の駆動部と、前記第2調整部の駆動部とは、それぞれ前記取付部材に固定される請求項5に記載の穿刺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、角度調整機構及び穿刺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の細胞塊を互いに接触させて細胞構造体を形成する装置の中には、針状部材によって複数の細胞塊を串刺しにすることにより、細胞塊を互いに接触させて細胞構造体の形成を行っているものがある。例えば、特許文献1に記載された細胞構造体製造システムでは、ニードルクランプ機構でニードルを挟持し、ニードル角度検知器により検出するニードルの傾斜角度が所定の範囲に入っていれば、細胞塊の上から細胞塊にニードルを貫通させ、細胞塊が入っている積層トレイのウェル孔の底部の多孔質材のシートも貫通させる。これらを繰り返すことによって、複数の細胞塊をニードルで串刺しにし、細胞塊を互いに接触させることによって細胞構造体の形成を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020-157983号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年では、効率よく細胞構造体の形成を行うために、1本の針状部材で細胞塊を串刺しにする際における細胞塊の数を増加させることが検討させている。1本の針状部材で串刺しをする細胞塊の数を増やすには、針状部材の長さを長くすることが有効である。しかし、針状部材の長さを長くした場合、細胞塊に針状部材を穿刺する際における針状部材の移動方向に対して針状部材が傾斜していると、細胞塊を針状部材で穿刺する際に針状部材に負荷がかかり易くなり、針状部材が曲がり易くなる。このため、針状部材の長さを長くした場合は、針状部材の角度をより高い精度で調整する必要がある。
【0005】
針状部材の角度を調整する機構としては、モータとギヤとを用いて角度を調整する角度調整機構が考えられるが、針状部材の角度を高い精度で調整する場合には、ギヤの減速比を大きくすることによって、針状部材の角度を細かい調整幅で調整する必要がある。しかし、ギヤの減速比を大きくした場合、ギヤが大型化するため、角度調整機構全体が大型化したり、大型化に伴って重量も重くなったりし易くなる。このため、角度調整機構が大型化することなく、針状部材の角度を高い精度で調整するのは困難なものとなっていた。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化を図りつつ高い精度で針状部材の角度を調整することのできる角度調整機構及び穿刺装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の角度調整機構は、針状部材を挟持する挟持部と、前記挟持部が固定される可動部材と、前記可動部材と重ねて配置される固定部材と、前記可動部材と前記固定部材とを連結することにより、前記可動部材を前記固定部材に対して揺動自在に連結する連結部と、前記可動部材を前記固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる第1調整部と、前記第1調整部が前記可動部材を揺動させる方向とは異なる方向に、前記可動部材を前記固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる第2調整部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、可動部材は固定部材に対して、連結部を支点として複数の方向に揺動することができる。これにより、可動部材に固定される挟持部が挟持する針状部材の延在方向の角度を、固定部材に対して可動部材を揺動させることによって調整することができる。また、角度調整機構は、挟持部が固定される可動部材を、固定部材に対して揺動自在に連結し、固定部材に対して可動部材を揺動させることによって針状部材の角度を調整するため、針状部材の角度を高い精度で調整するための機構の小型化を図ることができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度で針状部材の角度を調整することができる。
【0009】
望ましい形態として、前記可動部材は、前記挟持部で挟持する前記針状部材の延在方向に対して直交する平面上において一方向に延びる第1可動部材と、前記平面上において前記第1可動部材が延びる方向とは異なる方向に延びると共に前記第1可動部材に接続される第2可動部材とを有し、前記固定部材は、前記第1可動部材に沿って延びて前記第1可動部材と重ねて配置される第1固定部材と、前記第2可動部材に沿って延びて前記第2可動部材と重ねて配置されると共に第1固定部材に接続される第2固定部材とを有し、前記連結部は、前記第1可動部材と前記第2可動部材との接続部と、前記第1固定部材と前記第2固定部材との接続部とを連結することにより、前記可動部材を前記固定部材に対して揺動自在に連結し、前記第1調整部は、前記第1可動部材を前記第1固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させ、前記第2調整部は、前記第2可動部材を前記第2固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる。
【0010】
この構成によれば、第1調整部と第2調整部とによって可動部材を揺動させることにより、可動部材を固定部材に対して複数の方向に揺動させることができ、挟持部が挟持する針状部材の延在方向の角度を、固定部材に対して可動部材を複数の方向に揺動させることによって調整することができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度で針状部材の角度を調整することができる。
【0011】
望ましい形態として、前記連結部を支点として揺動する前記可動部材と前記固定部材とに対して互いに接近する方向の付勢力を付与するばね部材を備え、前記第1調整部と前記第2調整部とは、それぞれ駆動部と、前記固定部材を貫通して前記可動部材と前記固定部材とが重なる方向に延びると共に端部が前記可動部材に当接し、前記駆動部から伝達される駆動力により前記可動部材と前記固定部材とが重なる方向に前記固定部材に対して相対移動する回転軸と、を有する。
【0012】
この構成によれば、可動部材は、第1調整部や第2調整部の回転軸が、可動部材と固定部材とが重なる方向に固定部材に対して相対移動することにより、連結部を支点として固定部材に対して揺動することができる。これにより、針状部材を挟持する挟持部を可動部材に固定することにより、簡易な構成で針状部材の角度を調整する機構を実現することができ、針状部材の角度を調整する機構の小型化を図ることができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度で針状部材の角度を調整することができる。
【0013】
望ましい形態として、前記回転軸は、前記回転軸の延在方向に伸縮する伸縮カップリングを介して、前記駆動部の出力軸に連結される。
【0014】
この構成によれば、回転軸は、伸縮カップリングを介して駆動部の出力軸に連結されるため、第1調整部や第2調整部が有する駆動部を固定部材と一体にして配置しつつ、駆動部からの駆動力で回転軸を回転させることによって固定部材に対して相対移動させることができる。これにより、固定部材に対して可動部材を揺動させるための構成を容易に実現することができ、針状部材の角度を調整する機構の小型化を図ることができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度で針状部材の角度を調整することができる。
【0015】
本開示の穿刺装置は、針状部材を挟持する挟持部と、前記挟持部が固定される可動部材と、前記可動部材と重ねて配置される固定部材と、前記可動部材と前記固定部材とを連結することにより、前記可動部材を前記固定部材に対して揺動自在に連結する連結部と、前記可動部材を前記固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる第1調整部と、前記第1調整部が前記可動部材を揺動させる方向とは異なる方向に、前記可動部材を前記固定部材に対して前記連結部を支点として揺動させる第2調整部と、前記固定部材に取り付けられる取付部材と、前記取付部材が取り付けられ、前記取付部材と共に前記固定部材と前記可動部材と前記挟持部とを前記針状部材の延在方向に移動させる穿刺方向駆動装置と、を備える。
【0016】
この構成によれば、可動部材は固定部材に対して連結部を支点として複数の方向に揺動することができるため、可動部材に固定される挟持部が挟持する針状部材の延在方向の角度を、固定部材に対して可動部材を揺動させることによって調整することができる。また、穿刺装置は、挟持部が固定される可動部材を、固定部材に対して揺動自在に連結し、固定部材に対して可動部材を揺動させることによって針状部材の角度を調整するため、針状部材の角度を高い精度で調整するための機構の小型化を図ることができる。さらに、固定部材は、取付部材を介して穿刺方向駆動装置に取り付けられるため、角度の調整を行った針状部材を、調整後の角度を維持したまま穿刺方向駆動装置によって針状部材の延在方向に移動させることができる。即ち、角度の調整を行った針状部材を、調整後の角度を維持したまま、細胞塊を穿刺する方向に穿刺方向駆動装置によって移動させることができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度で針状部材の角度を調整することができる。
【0017】
望ましい形態として、前記第1調整部の前記駆動部と、前記第2調整部の前記駆動部とは、それぞれ前記取付部材に固定される。
【0018】
この構成によれば、第1調整部の駆動部と、第2調整部の駆動部とは、それぞれ取付部材に固定されるため、駆動部を固定部材と一体にして配置することができる。これにより、駆動部を固定した状態で、可動部材を固定部材に対して揺動させることができ、可動部材を揺動させるための駆動力に大きな駆動力を用いることなく、可動部材を揺動させることができる。即ち、可動部材を揺動させる際に、可動部材と共に駆動部を揺動させることなく、駆動部は固定したまま可動部材を揺動させることができるため、揺動させる部材の質量を抑えることができる。このため、駆動部には、大きな駆動力を発生する駆動部を用いる必要がないため、駆動部が大型化することを抑制しつつ、駆動部で発生する駆動力を用いて可動部材と共に挟持部を揺動させることができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度で針状部材の角度を調整することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示に係る角度調整機構及び穿刺装置は、小型化を図りつつ高い精度で針状部材の角度を調整することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る角度調整機構を有する穿刺装置を示す模式図である。
図2図2は、図1に示す角度調整機構の詳細図である。
図3図3は、図2に示す角度調整機構を異なる方向から見た斜視図である。
図4図4は、図2に示す角度調整機構を上側から見た平面図である。
図5図5は、図4に示す可動部材の単体の平面図である。
図6図6は、図2に示す角度調整機構を下側から見た平面図である。
図7図7は、図6に示す固定部材の単体の平面図である。
図8図8は、図2に示す可動部材と固定部材の単体の斜視図である。
図9図9は、図4のA-A断面図である。
図10図10は、図4のB-B断面図である。
図11図11は、図1に示す穿刺装置が有する制御装置の説明図である。
図12図12は、図4のC-C矢視図である。
図13図13は、図4のD-D矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0022】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る角度調整機構30を有する穿刺装置10を示す模式図である。図1は、穿刺装置10の要部の構成を模式的に示している。なお、以下の説明では、穿刺装置10の通常の使用態様における平面内の一方向をX軸方向とし、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する鉛直方向をZ軸方向として説明する。
【0023】
穿刺装置10は、針状部材であるニードルNを挟持する挟持部200を有する角度調整機構30と、角度調整機構30を移動させるX軸方向駆動装置21、Y軸方向駆動装置22、Z軸方向駆動装置23とを有している。X軸方向駆動装置21とY軸方向駆動装置22とZ軸方向駆動装置23とには、それぞれ直線方向に動作をする、いわゆるリニアアクチュエータが用いられる。穿刺装置10は、挟持部200で挟持するニードルNが延在する方向が、実質的にZ軸方向となる向きで使用する。
【0024】
挟持部200で挟持するニードルNの下方には、細胞塊が載置されるトレイ250が配置される。トレイ250は、トレイ250を保持する保持機構260により保持される。トレイ250は、略矩形の板状の形状で形成されており、一方の面に、表面から凹んだ凹部255が複数形成されている。トレイ250に複数形成される凹部255は、それぞれ底部が例えば不織布等の多孔質材からなり、ニードルNを貫通させることが可能になっている。トレイ250は、凹部255が形成される側の面が上側に位置する向きで配置され、細胞塊は、トレイ250の凹部255内に位置して載置される。
【0025】
Z軸方向駆動装置23は、Z軸方向に延在するニードルNを挟持する挟持部200を有する角度調整機構30を、Z軸方向に移動させることが可能になっている。ニードルNは、挟持部200がZ軸方向駆動装置23によってZ軸方向における下側に移動した際に、トレイ250の凹部255に入っている細胞塊に穿刺することが可能になっている。Z軸方向駆動装置23はこのように挟持部200を、ニードルNの延在方向であり、細胞塊に対してニードルNを穿刺させる方向である穿刺方向に移動させる穿刺方向駆動装置になっている。
【0026】
X軸方向駆動装置21とY軸方向駆動装置22は、Z軸方向に対して直交する平面上において互いに直交する方向に、角度調整機構30を移動させることが可能になっている。即ち、X軸方向駆動装置21は、Z軸方向に対して直交する平面上における一方向であるX軸方向に、角度調整機構30を移動させることが可能になっている。また、Y軸方向駆動装置22は、Z軸方向に対して直交する平面上においてX軸方向に直交する方向であるY軸方向に、角度調整機構30を移動させることが可能になっている。
【0027】
詳しくは、Y軸方向駆動装置22には、Z軸方向駆動装置23が取り付けられており、Y軸方向駆動装置22は、Z軸方向駆動装置23と角度調整機構30とを一体でY軸方向に移動させることができる。また、X軸方向駆動装置21には、Y軸方向駆動装置22が取り付けられており、X軸方向駆動装置21は、Y軸方向駆動装置22とZ軸方向駆動装置23と角度調整機構30とを一体でX軸方向に移動させることができる。ニードルNを挟持する挟持部200は、これらのX軸方向駆動装置21とY軸方向駆動装置22とZ軸方向駆動装置23とによって、X軸方向とY軸方向とZ軸方向とのそれぞれに移動することができる。
【0028】
さらに、穿刺装置10は、挟持部200で挟持するニードルNを撮影する撮影装置と、穿刺装置10の動作を制御する制御装置300(図11参照)とを有している。撮影装置には、例えば、対象物を撮影し、撮影した映像を電気信号として出力することが可能なカメラ270(図11参照)が用いられる。カメラ270は、トレイ250を保持する保持機構260が配置される位置とは異なる位置に配置されている。
【0029】
図2は、図1に示す角度調整機構30の詳細図である。図3は、図2に示す角度調整機構30を異なる方向から見た斜視図である。角度調整機構30は、ニードルNを挟持する挟持部200と、可動部材40と、固定部材50とを有している。挟持部200は、実質的にZ軸方向に延びて配置される部材になっており、Z軸方向における下端側の部分でニードルNを挟持する。このため、挟持部200によってニードルNを挟持している状態では、ニードルNは、挟持部200の下端から下側に向かって延びる。
【0030】
図4は、図2に示す角度調整機構30を上側から見た平面図である。図5は、図4に示す可動部材40の単体の平面図である。図6は、図2に示す角度調整機構30を下側から見た平面図である。図7は、図6に示す固定部材50の単体の平面図である。可動部材40と固定部材50とは、Z軸方向に見た平面視において、それぞれ略L字状の形状で形成されている。詳しくは、可動部材40は、Z軸方向に直交する平面上において一方向に延びる第1可動部材41と、Z軸方向に直交する平面上において第1可動部材41が延びる方向とは異なる方向に延びる第2可動部材42とを有している。本実施形態では、第2可動部材42は、Z軸方向に直交する平面上において第1可動部材41と直交する方向に延びている。可動部材40が有する第1可動部材41と第2可動部材42とは、互いに端部が接続されており、一体となって形成されている。これにより、可動部材40は、Z軸方向に見た平面視において略L字状の形状で形成されている。
【0031】
同様に、固定部材50は、Z軸方向に直交する平面上において一方向に延びる第1固定部材51と、Z軸方向に直交する平面上において第1固定部材51が延びる方向とは異なる方向に延びる第2固定部材52とを有している。本実施形態では、第2固定部材52は、Z軸方向に直交する平面上において第1固定部材51と直交する方向に延びている。固定部材50が有する第1固定部材51と第2固定部材52とは、互いに端部が接続されており、一体となって形成されている。これにより、固定部材50は、Z軸方向に見た平面視において略L字状の形状で形成されている。
【0032】
また、第1固定部材51は、第1可動部材41と同じ長さで形成され、第2固定部材52は、第2可動部材42と同じ長さで形成されている。これらのように形成される可動部材40と固定部材50とは、固定部材50が可動部材40の下側になる位置関係で、Z軸方向において僅かに離隔しつつ、Z軸方向に重ねて配置されている。
【0033】
つまり、固定部材50の第1固定部材51は、可動部材40の第1可動部材41に沿って延び、第1可動部材41の下側に位置して第1可動部材41に対して重ねて配置されている。固定部材50の第2固定部材52は、可動部材40の第2可動部材42に沿って延び、第2可動部材42の下側に位置して第2可動部材42に対して重ねて配置されている。本実施形態では、第1可動部材41と第1固定部材51は、X軸方向に延びて配置され、第2可動部材42と第2固定部材52は、Y軸方向に延びて配置されている。
【0034】
また、本実施形態では、可動部材40には、第1可動部材41における第2可動部材42に接続される端部の反対側の端部に、Y軸方向において第2可動部材42が延在する方向と同じ方向に、第2可動部材42よりも短い長さでY軸方向に延びる補助部材43が接続されている。
【0035】
挟持部200は、Z軸方向に見た場合において略L字状の形状で形成される可動部材40と固定部材50に対してL字の劣角側の位置に、可動部材40と固定部材50とから離隔して配置されている。また、挟持部200は、X軸方向における位置が第1可動部材41や第1固定部材51が配置される範囲内に位置し、Y軸方向における位置が第2可動部材42や第2固定部材52が配置される範囲内に位置して配置されている。
【0036】
また、可動部材40や固定部材50と、挟持部200とのZ軸方向における相対的な位置関係は、Z軸方向における挟持部200の上端付近に、可動部材40が位置する位置関係となって配置されている。このため、挟持部200は、Z軸方向において可動部材40が配置されている位置から、Z軸方向における下側に向かって延在して形成されている。
【0037】
挟持部200は、重ねて配置される可動部材40と固定部材50とのうち可動部材40に固定されており、挟持部200は、可動部材40が有する第1可動部材41と第2可動部材42との少なくともいずれか一方に固定されている。本実施形態では、挟持部200は、可動部材40が有する第1可動部材41に、挟持部取付部材210によって固定されている。
【0038】
挟持部取付部材210は、可動部材40の第1可動部材41における、Y軸方向において挟持部200が位置する側の反対の面から第1可動部材41の上側を通ってY軸方向において挟持部200が位置する側に向かい、挟持部200が配置される位置で挟持部200に沿ってZ軸方向における下側に向かって延びて形成されている。このように形成される挟持部取付部材210は、第1可動部材41における、Y軸方向において挟持部200が位置する側の反対の面と、挟持部200における、Y軸方向において第1可動部材41が位置する側の面とに、それぞれ取り付けられている。これにより、挟持部取付部材210は、挟持部200を、可動部材40が有する第1可動部材41に固定している。
【0039】
図8は、図2に示す可動部材40と固定部材50の単体の斜視図である。可動部材40と固定部材50とは、連結部60によって連結されている。連結部60は、第1可動部材41と第2可動部材42との接続部45と、第1固定部材51と第2固定部材52との接続部55とを連結している。
【0040】
ここでいう第1可動部材41と第2可動部材42との接続部45は、第1可動部材41と第2可動部材42とに跨る部分になっており、第1可動部材41における、X軸方向において第2可動部材42が配置される範囲の部分、或いは、第2可動部材42における、Y軸方向において第1可動部材41が配置される範囲の部分である。つまり、第1可動部材41と第2可動部材42との接続部45は、略L字状の形状で形成される可動部材40における、角部の部分になっている。
【0041】
同様に、第1固定部材51と第2固定部材52との接続部55は、第1固定部材51と第2固定部材52とに跨る部分になっており、第1固定部材51における、X軸方向において第2固定部材52が配置される範囲の部分、或いは、第2固定部材52における、Y軸方向において第1固定部材51が配置される範囲の部分である。つまり、第1固定部材51と第2固定部材52との接続部55は、略L字状の形状で形成される固定部材50における、角部の部分になっている。
【0042】
これらのため、第1可動部材41と第2可動部材42との接続部45と、第1固定部材51と第2固定部材52との接続部55とは、X軸方向やY軸方向における位置が同じ位置に配置されており、Z軸方向に離隔しつつ、Z軸方向に重なっている。
【0043】
連結部60は、略球状の部材を有しており、第1可動部材41と第2可動部材42との接続部45と、第1固定部材51と第2固定部材52との接続部55とを、いわゆるボールジョイントによって連結している。つまり、第1可動部材41と第2可動部材42との接続部45と、第1固定部材51と第2固定部材52との接続部55とには、それぞれ連結部60における略球状の部材に対向する部分に、略球状の部材に対応する凹部が形成されている。
【0044】
連結部60は、略球状の部材が、第1可動部材41と第2可動部材42との接続部45や第1固定部材51と第2固定部材52との接続部55に形成される凹部に入り込んだ状態で、略球状の部材と可動部材40、及び略球状の部材と固定部材50とがそれぞれ連結される。これにより、連結部60は、ボールジョイント状の状態で可動部材40と固定部材50とを揺動自在に連結しており、可動部材40を、固定部材50に対して揺動自在に連結している。
【0045】
連結部60は、このようにボールジョイント状の状態で可動部材40と固定部材50とを連結するため、連結部60を支点として可動部材40と固定部材50とを複数の方向に揺動させることができる。
【0046】
連結部60によって連結される可動部材40と固定部材50とは、例えば、重ねて配置される第1可動部材41と第1固定部材51とが連結部60を支点として、Y軸方向に見た場合における相対的な角度が変化する方向に揺動することができる。つまり、可動部材40と固定部材50とは、第1可動部材41と第1固定部材51とにおける、X軸方向において連結部60が位置する側の反対側の端部同士のZ軸方向における距離が変化する方向に、連結部60を支点として相対的に揺動することができる。
【0047】
また、可動部材40と固定部材50とは、重ねて配置される第2可動部材42と第2固定部材52とが連結部60を支点として、X軸方向に見た場合における相対的な角度が変化する方向に揺動することができる。つまり、可動部材40と固定部材50とは、第2可動部材42と第2固定部材52とにおける、Y軸方向において連結部60が位置する側の反対側の端部同士のZ軸方向における距離が変化する方向に、連結部60を支点として相対的に揺動することができる。
【0048】
可動部材40と固定部材50とが連結部60によって連結される角度調整機構30は、可動部材40と固定部材50とを相対的に揺動させることができる調整部70を有している。調整部70は、可動部材40を固定部材50に対して連結部60を支点として揺動させる第1調整部71と、第1調整部71が可動部材40を揺動させる方向とは異なる方向に、可動部材40を固定部材50に対して連結部60を支点として揺動させる第2調整部72とを有している。詳しくは、第1調整部71は、第1可動部材41を第1固定部材51に対して連結部60を支点として揺動させ、第2調整部72は、第2可動部材42を第2固定部材52に対して連結部60を支点として揺動させる。
【0049】
図9は、図4のA-A断面図である。図10は、図4のB-B断面図である。第1調整部71と第2調整部72とは、それぞれ駆動部80と回転軸90とを有している。つまり、第1調整部71は、駆動部80である第1駆動部81と、回転軸90である第1回転軸91とを有しており、第2調整部72は、駆動部80である第2駆動部82と、回転軸90である第2回転軸92とを有している。
【0050】
駆動部80は、第1調整部71と第2調整部72とにおける動力源になっており、例えば、ステッピングモータが用いられる。駆動部80は、固定部材50に対してZ軸方向における可動部材40が位置する側の反対側に配置されており、即ち、Z軸方向における固定部材50の下側に配置されている。詳しくは、第1駆動部81は、第1固定部材51における、X軸方向において連結部60が位置する側の反対側の端部付近の下側に配置されている。同様に、第2駆動部82は、第2固定部材52における、Y軸方向において連結部60が位置する側の反対側の端部付近の下側に配置されている。
【0051】
回転軸90は、固定部材50を貫通して可動部材40と固定部材50とが重なる方向に延びると共に、可動部材40が位置する側の端部が可動部材40に当接して配置されている。また、固定部材50を貫通する回転軸90には、外周面におねじが形成されており、固定部材50における回転軸90が貫通する部分には、内周面にめねじが形成される貫通孔が形成されており、回転軸90は、外周面に形成されるおねじが、固定部材50の貫通孔に形成されるめねじと噛み合っている。つまり、固定部材50における回転軸90が貫通する貫通孔と、回転軸90との間には、すべりねじが形成されている。このため、回転軸90は、回転軸90の軸心を中心として回転することにより、固定部材50に対して回転軸90の延在方向に移動可能になっている。
【0052】
また、回転軸90は、回転軸90の延在方向に伸縮する伸縮カップリング100を介して駆動部80の出力軸80aに連結されており、駆動部80から伝達される駆動力によって、回転軸90の軸心を中心として回転することが可能になっている。詳しくは、回転軸90は、両端がそれぞれ回転軸90と伸縮カップリング100とに連結される連結部材105を介して伸縮カップリング100に連結されている。このため、回転軸90は、伸縮カップリング100及び連結部材105を介して駆動部80から伝達される駆動力によって回転することにより、伸縮カップリング100の伸縮方向である回転軸90の延在方向、即ち、可動部材40と固定部材50とが重なる方向に、固定部材50に対して相対移動することが可能になっている。
【0053】
具体的には、第1回転軸91は、第1固定部材51における、X軸方向において連結部60が位置する側の反対側の端部付近をZ軸方向に貫通し、第1固定部材51との間にすべりねじを有してZ軸方向に延びて配置されている。また、第1回転軸91は、Z軸方向における上側の端部91aが、第1可動部材41における下側の面に当接しており、Z軸方向における下側の端部が、連結部材105を介して、第1回転軸91と第1駆動部81とを接続する伸縮カップリング100である第1伸縮カップリング101に接続されている。第1回転軸91の上側の端部91aには、第1回転軸91が第1回転軸91の延在方向に移動した場合でも第1可動部材41に対して滑らかに接触し続けることができる球状部材が配置されている。
【0054】
また、第1伸縮カップリング101は、連結部材105に接続される側の反対側の端部側が、第1駆動部81の出力軸81aに接続されているため、第1回転軸91は、連結部材105と第1伸縮カップリング101とを介して、第1駆動部81の出力軸81aに接続されている。このため、第1回転軸91は、第1伸縮カップリング101を介して第1駆動部81から伝達される駆動力によって回転し、回転と共に第1伸縮カップリング101が伸縮しながら第1回転軸91がすべりねじによってZ軸方向に移動することにより、第1固定部材51に対してZ軸方向に相対移動することが可能になっている。
【0055】
また、第2回転軸92は、第2固定部材52における、Y軸方向において連結部60が位置する側の反対側の端部付近をZ軸方向に貫通し、第2固定部材52との間にすべりねじを有してZ軸方向に延びて配置されている。また、第2回転軸92は、Z軸方向における上側の端部92aが、第2可動部材42における下側の面に当接しており、Z軸方向における下側の端部が、連結部材105を介して、第2回転軸92と第2駆動部82とを接続する伸縮カップリング100である第2伸縮カップリング102に接続されている。第2回転軸92の上側の端部92aには、第2回転軸92が第2回転軸92の延在方向に移動した場合でも第2可動部材42に対して滑らかに接触し続けることができる球状部材が配置されている。
【0056】
また、第2伸縮カップリング102は、連結部材105に接続される側の反対側の端部側が、第2駆動部82の出力軸82aに接続されているため、第2回転軸92は、連結部材105と第2伸縮カップリング102とを介して、第2駆動部82の出力軸82aに接続されている。このため、第2回転軸92は、第2伸縮カップリング102を介して第2駆動部82から伝達される駆動力によって回転し、回転と共に第2伸縮カップリング102が伸縮しながら第2回転軸92がすべりねじによってZ軸方向に移動することにより、第2固定部材52に対してZ軸方向に相対移動することが可能になっている。
【0057】
さらに、可動部材40と固定部材50とには、連結部60を支点として揺動する可動部材40と固定部材50とに対して、互いが接近する方向の付勢力を双方に付与するばね部材110が配置されている。詳しくは、ばね部材110は、長さが短くなる方向への張力を発生する、いわゆるコイル状の引張ばねになっており、第1可動部材41と第1固定部材51との間、及び第2可動部材42と第2固定部材52との間にそれぞれ設けられている。可動部材40と固定部材50とには、ばね部材110が配置される部分にばね部材110が入り込む孔が形成されており、ばね部材110は、可動部材40と固定部材50とに形成される孔に入り込みつつ、一端側が可動部材40に引っ掛けられ、他端側が固定部材50に引っ掛けられる。
【0058】
このため、第1可動部材41と第1固定部材51との間に配置されるばね部材110は、連結部60を支点として揺動する第1可動部材41と第1固定部材51とが、揺動して互いに近づく方向の付勢力を第1可動部材41と第1固定部材51とに対して付与する。同様に、第2可動部材42と第2固定部材52との間に配置されるばね部材110は、連結部60を支点として揺動する第2可動部材42と第2固定部材52とが、揺動して互いに近づく方向の付勢力を第2可動部材42と第2固定部材52とに対して付与する。
【0059】
可動部材40と固定部材50とには、このように双方が近づく方向の付勢力を付与するばね部材110が配置されているため、回転軸90の上側の端部90aに当接する可動部材40は、ばね部材110から付与される付勢力により、回転軸90の端部90aに当接し続けることが可能になっている。つまり、回転軸90の端部90aに当接する可動部材40は、固定部材50に近づく方向の付勢力がばね部材110から付与されることにより、回転軸90の上側の端部90aに対して付勢力を付与しながら当接する。このため、回転軸90が、駆動部80から伝達される駆動力により固定部材50に対してZ軸方向に相対移動した場合でも、可動部材40はばね部材110から付与される付勢力によって固定部材50に対して揺動することにより、回転軸90の上側の端部90aに当接し続けることが可能になっている。
【0060】
角度調整機構30は、取付部材150によってZ軸方向駆動装置23に取り付けられている。取付部材150は、固定部材50に取り付けられており、角度調整機構30は、固定部材50に取り付けられる取付部材150をZ軸方向駆動装置23に取り付けることにより、Z軸方向駆動装置23に取り付けられる。取付部材150は板状の部材からなり、板の厚み方向がX軸方向となる向きで、固定部材50の第2固定部材52における、X軸方向において第1固定部材51が位置する側の反対側の部分に取り付けられている。
【0061】
可動部材40は固定部材50に連結され、挟持部200は、挟持部取付部材210によって可動部材40に取り付けられている。このため、固定部材50に取り付けられる取付部材150をZ軸方向駆動装置23に取り付けることにより、固定部材50と可動部材40と挟持部200とは、取付部材150共に一体でZ軸方向駆動装置23によってZ軸方向に移動可能になっている。
【0062】
第1調整部71の駆動部80である第1駆動部81と、第2調整部72の駆動部80である第2駆動部82とは、これらのように固定部材50に取り付けられる取付部材150にそれぞれ固定されている。詳しくは、取付部材150には、Y軸方向における第2駆動部82が配置される位置に、Z軸方向における固定部材50が配置される位置から板状の形状で下側に向かって延びる、第2駆動部支持部151が形成されている。第2駆動部82は、このように取付部材150に形成される第2駆動部支持部151に取り付けられている。
【0063】
また、取付部材150には、Y軸方向における第1可動部材41や第1固定部材51が位置する側の端部に、駆動部取付部材155が取り付けられている。駆動部取付部材155は板状の形状で形成され、板の厚み方向がY軸方向となる向きで取付部材150に取り付けられている。駆動部取付部材155は、取付部材150に取り付けられている位置から、X軸方向において第1駆動部81が配置されている位置側に向かってX軸方向に延びて形成されている。さらに、駆動部取付部材155には、X軸方向における第1駆動部81が配置される位置に、Z軸方向における固定部材50が配置される位置から板状の形状で下側に向かって延びる、第1駆動部支持部156が形成されている。第1駆動部81は、このように駆動部取付部材155に形成される第1駆動部支持部156に取り付けられている。
【0064】
これらのように、第2調整部72の駆動部80である第2駆動部82は、取付部材150に形成される第2駆動部支持部151に取り付けられることにより、取付部材150に固定されている。また、第1調整部71の駆動部80である第1駆動部81は、取付部材150に取り付けられる駆動部取付部材155に形成される第1駆動部支持部156に取り付けられることにより、駆動部取付部材155を介して取付部材150に固定されている。
【0065】
図11は、図1に示す穿刺装置10が有する制御装置300の説明図である。穿刺装置10は、穿刺装置10の各部の制御を行う制御装置300を有している。穿刺装置10が有する角度調整機構30も、制御装置300によって制御される。このため、制御装置300には、X軸方向駆動装置21、Y軸方向駆動装置22、Z軸方向駆動装置23、角度調整機構30が、それぞれ電気的に接続されている。また、制御装置300には、撮影装置であるカメラ270も電気的に接続されている。カメラ270は、角度調整機構30が有する挟持部200で挟持する、ニードルNを撮影することが可能になっている。本実施形態では、カメラ270は、ニードルNをX軸方向から撮影するカメラ270と、Y軸方向から撮影するカメラ270との2つが設けられている。
【0066】
制御装置300は、処理部310と、記憶部350とを有している。処理部310は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有している。処理部310の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0067】
記憶部350は、処理部310と電気的に接続され、情報を記憶する記憶装置である。制御装置300による穿刺装置10の制御時は、処理部310によって取得した情報や処理部310によって演算した情報を記憶部350に記憶したり、記憶部350に記憶されている情報を処理部310で呼び出して穿刺装置10の制御に用いたりする。
【0068】
なお、処理部310により実現される各機能は、プログラムとして予め記憶部350に記憶されていてもよい。この場合、処理部310は、記憶部350に記憶されているプログラムを処理部310で呼び出し、プログラムに沿った動作を処理部310で実行することにより、各機能を実行する。また、記憶部350は、制御装置300に一体に備えられていてもよく、制御装置300に対して着脱自在に構成されていてもよい。
【0069】
処理部310は、機能的に移動制御部311と、挟持制御部312と、角度調整部313と、画像データ取得部314と、角度演算部315とを有している。このうち、移動制御部311は、X軸方向駆動装置21、Y軸方向駆動装置22、Z軸方向駆動装置23の制御を行うことが可能になっており、これらの制御を介して、角度調整機構30の移動制御を行うことが可能になっている。つまり、移動制御部311は、角度調整機構30の移動制御を行うことにより、挟持部200で挟持するニードルNの移動制御を行うことが可能になっている。
【0070】
挟持制御部312は、角度調整機構30が有する挟持部200の制御を行うことが可能になっている。このため、挟持制御部312は、挟持部200によるニードルNの挟持と、挟持部200によって挟持しているニードルNの解放とを制御することができる。
【0071】
角度調整部313は、角度調整機構30が有する第1駆動部81と、第2駆動部82との制御を行うことが可能になっている。これにより、角度調整部313は、角度調整機構30が有する挟持部200の傾斜角度を調整することができ、挟持部200で挟持するニードルNの角度を調整することができる。
【0072】
画像データ取得部314は、カメラ270で撮影した画像データを取得する。具体的には、画像データ取得部314は、カメラ270で撮影した、挟持部200で挟持するニードルNの画像データを取得する。
【0073】
角度演算部315は、画像データ取得部314で取得したニードルNの画像データに基づいて、ニードルNの角度を演算する。角度演算部315は、例えば、Z軸方向に対するニードルNの傾斜角度を、ニードルNの画像データに基づいて演算する。角度演算部315では、ニードルNの画像データに基づいてニードルNの角度を演算するため、カメラ270は、ニードルNを複数の方向から撮影することが可能になっている。例えば、カメラ270は、ニードルNをX軸方向から撮影するカメラ270と、Y軸方向から撮影するカメラ270との2つが設けられ、角度演算部315は、2つのカメラ270で撮影したニードルNの画像データに基づいて、ニードルNの角度を演算する。即ち、角度演算部315は、2つのカメラ270で撮影したニードルNのそれぞれの画像データに基づいて、Z軸方向に対するニードルNのX軸方向への傾斜角度とY軸方向への傾斜角度とを演算する。
【0074】
次に、穿刺装置10及び角度調整機構30の作用について説明する。穿刺装置10は、複数のニードルNを収容するニードル供給機構(図示省略)を有しており、細胞塊に対してニードルNを穿刺する際には、ニードル供給機構からニードルNを、角度調整機構30を有する挟持部200で受け取る。ニードルNを受け取った挟持部200は、ニードルNの延在方向がZ軸方向となり、ニードルNにおける先が尖った側の端部が下側になる向きで、ニードルNの上端部側を挟持する。穿刺装置10は、挟持部200によって挟持するニードルNを、トレイ250に形成される複数の凹部255のうち、細胞塊が入っている任意の凹部255の真上に位置させ、ニードルNを下降させることにより、ニードルNを細胞塊に穿刺する。
【0075】
詳しくは、穿刺装置10は、挟持部200を有する角度調整機構30を、X軸方向駆動装置21によってX軸方向に移動させたりY軸方向駆動装置22によってY軸方向に移動させたりすることにより、挟持部200で挟持するニードルNを、トレイ250の上方でX軸方向やY軸方向に移動させる。これらのX軸方向駆動装置21やY軸方向駆動装置22の制御は、制御装置300の処理部310が有する移動制御部311で行う。これらのように、制御装置300でX軸方向駆動装置21やY軸方向駆動装置22を制御して角度調整機構30を移動させることにより、挟持部200で挟持するニードルNを、トレイ250の任意の凹部255に入っている細胞塊の真上に移動させる。
【0076】
挟持部200で挟持するニードルNが、任意の凹部255に入っている細胞塊の真上に移動したら、穿刺装置10は、制御装置300でZ軸方向駆動装置23を制御してZ軸方向駆動装置23を駆動させることによって、角度調整機構30を下降させる。穿刺装置10は、このように挟持部200で挟持するニードルNが、細胞塊の真上に位置する状態で角度調整機構30を下降させることにより、トレイ250の凹部255に入っている細胞塊に対してニードルNを穿刺する。
【0077】
なお、トレイ250の凹部255は、底部が不織布等の多孔質材からなり、ニードルNを貫通させることが可能になっている。このため、凹部255に入っている細胞塊に対してニードルNを穿刺する際には、ニードルNが凹部255の底部を貫通するまで下降させることにより、ニードルNを細胞塊に対して確実に穿刺させることができる。
【0078】
穿刺装置10は、任意の凹部255に入っている細胞塊に対してニードルNを穿刺したら、Z軸方向駆動装置23を駆動させることによって角度調整機構30をZ軸方向における上側に移動させ、ニードルNを上側に移動させる。これにより、ニードルNは、細胞塊を穿刺した状態でトレイ250の上側に移動する。
【0079】
穿刺装置10は、ニードルNをトレイ250の上側に移動させたら、X軸方向駆動装置21とY軸方向駆動装置22とによって角度調整機構30をX軸方向やY軸方向に移動させることにより、ニードルNを、トレイ250における異なる凹部255に入っている細胞塊の真上に移動させる。
【0080】
ニードルNを、穿刺した細胞塊が入っていた凹部255とは異なる凹部255に入っている細胞塊の真上に移動させたら、Z軸方向駆動装置23によって角度調整機構30をZ軸方向における下側に移動させる。これにより、角度調整機構30が有する挟持部200によって挟持するニードルNを、現在ニードルNで穿刺している細胞塊が入っていた凹部255とは異なる凹部255に入っている細胞塊に対して穿刺する。
【0081】
穿刺装置10は、これらの動作を繰り返すことにより、ニードルNによって複数の細胞塊を穿刺し、複数の細胞塊をニードルNで串刺しにする。本実施形態に係る穿刺装置10では、従来よりも1本のニードルNでより多くの細胞塊を串刺しにするために、ニードルNには従来よりも長さが長いニードルNが用いられる。
【0082】
ニードルNによって所定の数の細胞塊を串刺しにしたら、穿刺装置10は、細胞塊を串刺しにした複数のニードルNを整列させるスペース(図示省略)に、当該ニードルNを配置する。細胞塊を串刺しにしたニードルNを整列させるスペースでは、隣り合うニードルN同士で、それぞれのニードルNに穿刺されている細胞塊同士が接触するようにニードルNを配置する。これにより、従来よりも多くの細胞塊が串刺しにされた複数のニードルNを用いて、細胞構造体の形成を行う。
【0083】
穿刺装置10では、このようにトレイ250の凹部255に入っている細胞塊に対してニードルNによって穿刺を行うが、細胞塊は、大きさが非常に小さなものになっている。このため、ニードルNで細胞塊を穿刺する際には、細胞塊をZ軸方向に見た場合における中心付近を高い精度で穿刺する必要がある。
【0084】
ここで、本実施形態では、ニードルNには比較的長さが長いものを用いる。このため、ニードルNは、ニードルNで細胞塊を穿刺する際に曲がり易くなる。つまり、細胞塊に対してニードルNを穿刺する際に、ニードルNの移動方向に対してニードルNが傾斜している場合、Z軸方向駆動装置23によってニードルNを下降させる力に対する細胞塊からの反力により、ニードルNには、ニードルNを曲げる方向の力が細胞塊から作用する。このため、長さが比較的長いニードルNでは、ニードルNの移動方向に対してニードルNが傾斜していると、細胞塊に対してニードルNを穿刺する際に、細胞塊からの反力によってニードルNは曲がり易くなる。
【0085】
さらに、トレイ250の凹部255に入っている細胞塊に対してニードルNによって穿刺を行う際には、トレイ250の凹部255の底部を貫通させて穿刺を行う。本実施形態では、ニードルNには比較的長さが長いものを用いるため、ニードルNは、ニードルNで細胞塊を穿刺する工程で、細胞塊を貫通して確実に穿刺することを目的としてトレイ250の凹部255の底部を貫通させる際にも、曲がり易くなる。
【0086】
つまり、トレイ250の凹部255の底部に対してニードルNを貫通させる際に、ニードルNが凹部255の底部に対して直交する角度から傾斜している場合、Z軸方向駆動装置23によってニードルNを下降させる際の力により、ニードルNには、ニードルNを曲げる方向の力が凹部255の底部から作用する。このため、長さが比較的長いニードルNでは、凹部255の底部に対して直交する角度からニードルNが傾斜していると、凹部255の底部に対してニードルNを貫通させる際に、ニードルNは凹部255の底部からの力によって曲がり易くなる。
【0087】
これらのため、穿刺装置10では、ニードルNによって細胞塊の穿刺を行う前に、角度調整機構30を用いてニードルNの角度を調整する。具体的には、制御装置300の処理部310が有する挟持制御部312で挟持部200の制御を行い、挟持部200によってニードルNを挟持したら、ニードルNを挟持する挟持部200を、穿刺装置10が有するカメラ270が配置されている位置に移動させる。即ち、制御装置300の移動制御部311で、X軸方向駆動装置21、Y軸方向駆動装置22、Z軸方向駆動装置23を制御することにより、挟持部200を有する角度調整機構30を、カメラ270が配置されている位置に移動させる。
【0088】
角度調整機構30を移動させることにより、挟持部200をカメラ270が配置される位置に移動させたら、挟持部200で挟持するニードルNをカメラ270で撮影し、撮影した画像データに基づいて挟持部200で挟持するニードルNの延在方向を検出する。詳しくは、本実施形態では、カメラ270は、ニードルNをX軸方向から撮影するカメラ270とY軸方向から撮影するカメラ270との2つが設けられているため、2つのカメラ270で撮影した画像データを、制御装置300の処理部310が有する画像データ取得部314でそれぞれ取得する。
【0089】
画像データ取得部314でニードルNの画像データを取得したら、制御装置300の処理部310が有する角度演算部315でニードルNの角度を演算する。角度演算部315では、ニードルNをX軸方向から撮影した画像データと、Y軸方向から撮影した画像データとに基づいて、Z軸方向に対するニードルNのX軸方向への傾斜角度と、Y軸方向への傾斜角度とを算出する。これにより、制御装置300は、挟持部200で挟持するニードルNの角度を算出し、ニードルNの延在方向を検出する。
【0090】
Z軸方向に対するニードルNの角度を算出したら、算出した角度に基づいて、ニードルNの延在方向がZ軸方向に沿った方向になるようにニードルNに角度を調整する。ニードルNの角度の調整は、角度調整機構30が有する調整部70を作動させることにより行う。調整部70は、第1調整部71と第2調整部72とを有しているため、ニードルNの角度に応じてそれぞれ作動させることにより、Z軸方向に対するニードルNのX軸方向への傾斜角度とY軸方向への傾斜角度を調整する。
【0091】
調整部70を用いてニードルNの角度の調整する際には、それぞれの調整部70が有する駆動部80を駆動させる。図12は、図4のC-C矢視図である。例えば、第1調整部71によってニードルNの角度を調整する場合は、第1調整部71が有する第1駆動部81を駆動させる。第1駆動部81が駆動した場合、第1調整部71では、第1伸縮カップリング101を介して第1駆動部81の出力軸81aに連結される第1回転軸91が回転をする。第1回転軸91は、第1固定部材51を軸方向に貫通すると共に、第1固定部材51との間にすべりねじを有してZ軸方向に延びているため、第1回転軸91が回転をすると、第1回転軸91は回転しながらすべりねじに沿ってZ軸方向に移動する。
【0092】
第1回転軸91がZ軸方向に移動すると、第1回転軸91の上側の端部91aに対して第1可動部材41が当接し続ける方向の付勢力がばね部材110より付与されている可動部材40は、連結部60を支点として、第1固定部材51に対する第1可動部材41の角度が変わる方向に揺動する。
【0093】
例えば、第1駆動部81からの駆動力によって第1回転軸91がZ軸方向における上側に移動した場合は、可動部材40は、連結部60を支点とする、第1固定部材51に対する第1可動部材41の角度が大きくなる方向に連結部60を支点として揺動する。
【0094】
反対に、第1回転軸91がZ軸方向における下側に移動した場合は、可動部材40は、連結部60を支点とする、第1固定部材51に対する第1可動部材41の角度が小さくなる方向に連結部60を支点として揺動する。
【0095】
なお、可動部材40と固定部材50は、Z軸方向に僅かに離隔しているため、可動部材40は、連結部60が配置されている位置よりも第1可動部材41における第1回転軸91の端部91aが当接する端部寄りの部分の方が、固定部材50に対する可動部材40の距離が小さくなる方向に揺動することができる。
【0096】
挟持部200は、挟持部取付部材210によって可動部材40に取り付けられているため、可動部材40が固定部材50に対して揺動した場合は、可動部材40と一体となって揺動をする。このため、可動部材40が固定部材50に対して揺動した場合は、挟持部200で挟持するニードルNも、挟持部200と共に揺動をする。
【0097】
つまり、第1固定部材51に対する第1可動部材41の角度が変わる方向に可動部材40が揺動した場合は、挟持部200で挟持するニードルNは、連結部60を通ってY軸方向に延びる回転軸を中心として、挟持部200と共に揺動をする。これにより、ニードルNは、Z軸方向に対するX軸方向への傾斜角度が変化する。
【0098】
図13は、図4のD-D矢視図である。また、第2駆動部82からの駆動力によって第2回転軸92がZ軸方向における上側に移動した場合は、可動部材40は、連結部60を支点とする、第2固定部材52に対する第2可動部材42の角度が大きくなる方向に連結部60を支点として揺動する。
【0099】
反対に、第2回転軸92がZ軸方向における下側に移動した場合は、可動部材40は、連結部60を支点とする、第2固定部材52に対する第2可動部材42の角度が小さくなる方向に連結部60を支点として揺動する。
【0100】
なお、可動部材40と固定部材50は、Z軸方向に僅かに離隔しているため、可動部材40は、連結部60が配置されている位置よりも第2可動部材42における第2回転軸92の端部92aが当接する端部寄りの部分の方が、固定部材50に対する可動部材40の距離が小さくなる方向に揺動することができる。
【0101】
このように、第2固定部材52に対する第2可動部材42の角度が変わる方向に可動部材40が揺動した場合は、挟持部200で挟持するニードルNは、連結部60を通ってX軸方向に延びる回転軸を中心として、挟持部200と共に揺動をする。これにより、ニードルNは、Z軸方向に対するY軸方向への傾斜角度が変化する。
【0102】
角度調整機構30は、駆動部80を駆動させて、挟持部200が取り付けられる可動部材40を、連結部60を支点として固定部材50に対して揺動させることにより、Z軸方向に対するニードルNの傾斜角度を変化させることができ、ニードルNの角度を調整することができる。角度調整機構30でニードルNの角度を調整する際に駆動させる第1駆動部81と第2駆動部82との制御は、制御装置300の処理部310が有する角度調整部313で行う。即ち、角度調整部313は、駆動部80の駆動制御を介して、ニードルNの角度を調整する。
【0103】
角度調整部313でニードルNの角度を調整する際には、角度演算部315で算出したニードルNの角度に基づいて調整を行う。即ち、角度調整部313は、角度演算部315で算出した、Z軸方向に対するニードルNのX軸方向への傾斜角度と、Y軸方向への傾斜角度とがそれぞれ小さくなる方向に可動部材40を揺動させる方向に、第1駆動部81や第2駆動部82を駆動させる。これにより、角度調整部313は、ニードルNの延在方向を、Z軸方向にほぼ沿った方向にする。
【0104】
穿刺装置10は、このように角度調整機構30でニードルNの角度を調整し、ニードルNの延在方向が実質的にZ軸方向に沿った方向となった状態で、トレイ250の凹部255に入っている細胞塊に対して穿刺を行う。このため、ニードルNは、細胞塊に対して穿刺を行う際に、ニードルNの移動方向にニードルNの延在方向を沿わせた向きで穿刺を行うことができる。これにより、長さが長いニードルNを用いた場合でも、細胞塊に対して穿刺を行う際におけるニードルNの曲がりを抑えることができる。従って、細胞塊を穿刺するニードルNに長さが長いものを用いることができ、1本のニードルNでより多くの細胞塊を串刺しにすることができるため、細胞構造体を効率よく形成することができる。
【0105】
また、ニードルNの延在方向が実質的にZ軸方向に沿った方向となった状態で細胞塊に対して穿刺を行うことにより、ニードルNは、細胞塊と共にトレイ250の凹部255の底部を貫通する際に、底部に対して直交する向きで貫通することができる。これにより、長さが長いニードルNを用いた場合でも、凹部255の底部を貫通させる際におけるニードルNの曲がりを抑えることができる。
【0106】
以上の実施形態に係る角度調整機構30は、ニードルNを挟持する挟持部200と、可動部材40と、固定部材50とを備え、挟持部200は可動部材40に固定され、可動部材40は、連結部60によって連結部60を支点として固定部材50に対して揺動自在に連結されている。また、角度調整機構30は、固定部材50に対して可動部材40を揺動させる第1調整部71と第2調整部72とを有している。このうち、第1調整部71は、可動部材40を固定部材50に対して連結部60を支点として揺動させ、第2調整部72は、第1調整部が可動部材40を揺動させる方向とは異なる方向に、可動部材40を固定部材50に対して連結部60を支点として揺動させる。このため、可動部材40は、固定部材50に対して連結部60を支点として複数の方向に揺動することができ、可動部材40に固定される挟持部200が挟持するニードルNの延在方向の角度を、固定部材50に対して可動部材40を揺動させることによって調整することができる。
【0107】
また、角度調整機構30は、挟持部200が固定される可動部材40を、固定部材50に対して揺動自在に連結し、固定部材50に対して可動部材40を揺動させることによってニードルNの角度を調整するため、ニードルNの角度を高い精度で調整するための機構の小型化を図ることができる。つまり、例えば、ニードルNの角度を調整する機構をモータとギヤとを用いて構成する場合において、ニードルNの角度を高い精度で調整する際には、ギヤの減速比を大きくしてニードルNの角度を細かい調整幅で調整する必要がある。しかし、ギヤの減速比を大きくした場合は、ギヤが大型化して角度調整機構全体が大型化したり重量も重くなったりし易くなる。これに対し、本実施形態に係る角度調整機構30では、固定部材50に対して可動部材40を揺動自在に連結し、可動部材40に挟持部200を固定するため、ニードルNの角度を調整する機構を、減速比の大きいギヤを用いて構成する場合と比較して小型化することができる。これらの結果、実施形態に係る角度調整機構30は、小型化を図りつつ高い精度で、針状部材であるニードルNの角度を調整することができる。
【0108】
また、可動部材40は互いに異なる方向に延びる第1可動部材41と第2可動部材42とを有し、固定部材50は互いに異なる方向に延びる第1固定部材51と第2固定部材52とを有している。また、第1調整部71は、第1可動部材41を第1固定部材51に対して連結部60を支点として揺動させ、第2調整部72は、第2可動部材42を第2固定部材52に対して連結部60を支点として揺動させる。このため、第1調整部71と第2調整部72とによって可動部材40を揺動させることにより、可動部材40を固定部材50に対して複数の方向に揺動させることができ、挟持部200が挟持するニードルNの延在方向の角度を、固定部材50に対して可動部材40を複数の方向に揺動させることによって調整することができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度でニードルNの角度を調整することができる。
【0109】
また、第1調整部71と第2調整部72とは、それぞれ駆動部80と、端部90aが可動部材40に当接し駆動部80から伝達される駆動力により固定部材50に対して相対移動する回転軸90とを有している。これにより、可動部材40は、第1調整部71や第2調整部72の回転軸90が、可動部材40と固定部材50とが重なる方向に固定部材50に対して相対移動することにより、連結部60を支点として固定部材50に対して揺動することができる。従って、ニードルNを挟持する挟持部200を可動部材40に固定することにより、簡易な構成でニードルNの角度を調整する機構を実現することができ、ニードルNの角度を調整する機構の小型化を図ることができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度でニードルNの角度を調整することができる。
【0110】
また、回転軸90は、伸縮カップリング100を介して駆動部80の出力軸80aに連結されるため、第1調整部71や第2調整部72が有する駆動部80を固定部材50と一体にして配置しつつ、駆動部80からの駆動力で回転軸90を回転させることによって固定部材50に対して相対移動させることができる。これにより、固定部材50に対して可動部材40を揺動させるための構成を容易に実現することができ、ニードルNの角度を調整する機構の小型化を図ることができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度でニードルNの角度を調整することができる。
【0111】
また、実施形態に係る穿刺装置10では、固定部材50は、取付部材150を介してZ軸方向駆動装置23に取り付けられるため、角度の調整を行ったニードルNを、調整後の角度を維持したままZ軸方向駆動装置23によってZ軸方向に移動させることができる。即ち、角度の調整を行ったニードルNを、調整後の角度を維持したまま、細胞塊を穿刺する方向にZ軸方向駆動装置23によって移動させることができる。これにより、トレイ250の凹部255に入っている細胞塊に対してニードルNを穿刺する際に、凹部255の底部に対して直交する状態で穿刺することができる。従って、細胞塊に対してニードルNを穿刺する際におけるZ軸方向に対するニードルNの角度を、適切な角度に調整した状態で穿刺することができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度でニードルNの角度を調整することができ、さらに、穿刺を行う際にニードルNが曲がることを抑制することができる。
【0112】
また、第1調整部71の駆動部80と、第2調整部72の駆動部80とは、それぞれ取付部材150に固定されるため、駆動部80を固定部材50と一体にして配置することができる。これにより、駆動部80を固定した状態で、可動部材40を固定部材50に対して揺動させることができ、可動部材40を揺動させるための駆動力に大きな駆動力を用いることなく、可動部材40を揺動させることができる。即ち、可動部材40を揺動させる際に、可動部材40と共に駆動部80を揺動させることなく、駆動部80は固定したまま可動部材40を揺動させることができるため、揺動させる部材の質量を抑えることができる。このため、駆動部80には、大きな駆動力を発生する駆動部80を用いる必要がないため、駆動部80が大型化することを抑制しつつ、駆動部80で発生する駆動力を用いて可動部材40と共に挟持部200を揺動させることができる。この結果、小型化を図りつつ高い精度でニードルNの角度を調整することができる。
【0113】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、挟持部取付部材210は第1可動部材41に取り付けられ、挟持部200は、挟持部取付部材210を介して第1可動部材41に固定されているが、挟持部200は、第1可動部材41以外に固定されていてもよい。挟持部取付部材210は、例えば、第2可動部材42に取り付けられ、挟持部200は、挟持部取付部材210を介して第2可動部材42に固定されていてもよい。または、挟持部取付部材210は、第1可動部材41と第2可動部材42との双方に取り付けられ、挟持部200は、挟持部取付部材210を介して第1可動部材41と第2可動部材42との双方に固定されていてもよい。
【0114】
また、上述した実施形態では、可動部材40と固定部材50とは、それぞれ略L字状の形状で形成されているが、可動部材40と固定部材50とは、これ以外の形状で形成されていてもよい。可動部材40と固定部材50とは、挟持部200が固定される可動部材40が固定部材50に対して連結部60を支点として複数の方向に揺動することができれば、その形状は問わない。
【0115】
また、上述した実施形態では、調整部70の回転軸90は、伸縮カップリング100を介して駆動部80の出力軸80aに連結されているが、回転軸90は、これ以外の構成で駆動部80の出力軸80aに連結されていてもよい。回転軸90は、駆動部80で発生することにより回転し、可動部材40と固定部材50とが重なる方向に固定部材50に対して相対移動することができるように構成されていれば、その構成は問わない。
【0116】
以上、本開示の好適な実施形態を説明したが、本開示は上記の実施形態に記載されたものに限定されない。実施形態や変形例として説明した構成は、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 穿刺装置
21 X軸方向駆動装置
22 Y軸方向駆動装置
23 Z軸方向駆動装置
30 角度調整機構
40 可動部材
41 第1可動部材
42 第2可動部材
43 補助部材
45 接続部
50 固定部材
51 第1固定部材
52 第2固定部材
55 接続部
60 連結部
70 調整部
71 第1調整部
72 第2調整部
80 駆動部
80a、81a、82a 出力軸
81 第1駆動部
82 第2駆動部
90 回転軸
90a 端部
100 伸縮カップリング
105 連結部材
110 ばね部材
150 取付部材
151 第2駆動部支持部
155 駆動部取付部材
156 第1駆動部支持部
200 挟持部
210 挟持部取付部材
250 トレイ
260 保持機構
270 カメラ
300 制御装置
310 処理部
311 移動制御部
312 挟持制御部
313 角度調整部
314 画像データ取得部
315 角度演算部
350 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13