(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156288
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】加工システム
(51)【国際特許分類】
B21D 43/00 20060101AFI20241029BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B21D43/00 A
G01N21/84 C
B21D43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070631
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】592108676
【氏名又は名称】日伸工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】原田 誠
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 秀岳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陽
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB02
2G051AB10
2G051CA04
2G051DA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加工装置による加工の流れの中で加工品(検査対象品)の両面を検査することができる加工システムを提供すること。
【解決手段】一対の腕部6a,6bを有する加工品2を形成するプレス装置22と、加工品2を検査する検査装置とを備えた加工システム。プレス装置22の下流側に搬送機構72が設けられ、検査装置は、加工品2の片面側を検査する第1検査域に配設された第1検査装置と、加工品2の他面側を検査する第2検査域に配設された第2検査装置とを含み、第1検査域と第2検査域の間に反転域86が設けられ、この反転域86に反転機構92(反転ローラ110)に加工品2を反転させるための反転機構92が配設されている。搬送機構72は一対の腕部6a,6bに作用して搬送方向下流側に搬送し、反転機構92は一対の腕部6a,6bを支点として加工品2を反転させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に突出する一対の腕部を有する加工品を形成する加工装置と、前記加工装置により加工した前記加工品を検査する検査装置とを備えた加工システムであって、
前記加工品の流れ方向において、前記加工装置の下流側に前記加工品を搬送する搬送機構が設けられ、前記検査装置は、前記加工品の片面側を検査する第1検査装置と、前記加工品の他面側を検査する第2検査装置とを含み、前記搬送機構の反転域に前記加工品を反転させるための反転機構が配設されており、
前記搬送機構は前記一対の腕部に作用して前記加工品を搬送方向下流側に搬送し、前記反転機構は前記一対の腕部を支点として前記加工品を反転させるように構成されており、
また、前記加工品の流れ方向に見て前記反転機構よりも上流側に第1検査域が設けられ、前記第1検査域に前記第1検査装置が配設され、また前記加工品の流れ方向に見て前記反転機構よりも下流側に第2検査域が設けられ、前記第2検査域に前記第2検査装置が配設されていることを特徴とする加工システム。
【請求項2】
前記加工装置はプレス加工を施すプレス装置であり、前記搬送機構は、前記プレス装置により加工された前記加工品を前記搬送方向に前記第1検査域、前記反転域及び前記第2搬送域を通して搬送し、前記反転機構は、前記加工品の前記搬送方向下流側への移動に伴って前記一対の腕部を支点として前記加工品を反転させる反転ローラを含んでいることを特徴とする請求項2に記載の加工システム。
【請求項3】
前記搬送機構は、幅方向に間隔をおいて配設された一対の搬送ベルトと、前記一対の搬送ベルト間に配設された第1及び第2支持部材とを備え、前記一対の搬送ベルトには、前記加工品の前記一対の腕部を受け入れるための複数の搬送受け部が前記搬送方向に間隔をおいて設けられ、また前記第1支持部材は前記第1検査域に対応して配設され、前記第2支持部材は前記第2検査域に対応して配設されており、前記加工品は、前記第1検査域においては前記第1支持部材に支持され且つ前記一対の腕部が前記一対の搬送ベルトの前記搬送受け部に受け入れられた状態にて移動され、前記反転域においては前記一対の腕部が前記一対の搬送ベルトの前記搬送受け部に受け入れられた状態にて移動され、また前記第2検査域においては前記第2支持部材に支持され且つ前記一対の腕部が前記一対の搬送ベルトの前記搬送受け部に受け入れられた状態にて移動されることを特徴とする請求項2に記載の加工システム。
【請求項4】
前記プレス装置で加工された前記加工品は、前記一対の腕部を支点として片側部が他側部よりも重くなっており、前記加工品は、前記第1検査域を通して移動されるときには前記第1支持部材に支持されながら前記加工品の前記他側部が前記搬送方向下流側を向いた状態で移動され、前記反転域の上流側域において前記第1支持部材から外れて前記加工品の前記片側部が自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、前記反転域において前記反転ローラによって前記加工品の前記他側部が押し下げられてその前記片側部が前記搬送方向下流側に向くように反転された後に前記第2支持部材に支持され、そして前記第2検査域を通して移動されるときには前記第2支持部材に支持されながら前記加工品の前記片側部が前記搬送方向下流側を向いた状態で移動されることを特徴とする請求項3に記載の加工システム。
【請求項5】
前記プレス装置で加工された前記加工品は、前記一対の腕部を支点として片側部が他側部よりも重くなっており、前記加工品は、前記第1検査域を通して移動されるときには前記第1支持部材に支持されながら前記加工品の前記片側部が前記搬送方向下流側を向いた状態で移動され、前記反転域の上流側域において前記第1支持部材から外れて前記加工品の前記片側部が自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、前記反転域において前記反転ローラによって前記加工品の前記片側部が持ち上げられてその前記他側部が前記搬送方向下流側に向くように反転された後に前記第2支持部材に支持され、そして前記第2検査域を通して移動されるときには前記第2支持部材に支持されながら前記加工品の前記他側部が前記前記搬送方向下流側を向いた状態で移動されることを特徴とする請求項3に記載の加工システム。
【請求項6】
両側に突出する一対の腕部を有する一次加工品を形成する第1加工装置と、前記一次加工品に加工を施して二次加工品を形成する第2加工装置と、前記第1加工装置にて形成された前記一次加工品を前記第2加工装置に搬送する搬送機構と、前記第1加工装置により加工された前記一次加工品を検査する検査装置とを備えた加工システムであって、
前記搬送機構には、第1及び第2反転域に前記一次加工品を反転させるための第1及び第2反転機構が設けられ、前記検査装置は、前記一次加工品の片面側を検査する第1検査装置と前記一次加工品の他面側を検査する第2検査装置を含んでおり、
前記搬送機構は前記一対の腕部に作用して前記一次加工品を搬送方向下流側に搬送し、前記第1及び第2反転機構は前記一対の腕部を支点として前記一次加工品を反転させるように構成されており、
また、前記一次加工品の流れ方向に見て前記第1反転機構よりも上流側に第1検査域が設けられ、前記第1検査域に前記第1検査装置が配設され、前記一次加工品の流れ方向に見て前記第1反転機構と前記第2反転機構との間に第2検査域が設けられ、前記第2検査域に前記第2検査装置が配設されていることを特徴とする加工システム。
【請求項7】
前記第1及び第2加工装置はプレス加工を施す第1及び第2プレス装置であり、前記搬送機構は、前記第1プレス装置により加工された前記一次加工品を前記搬送方向に前記第1検査域、前記第1反転域、前記第2検査域及び前記第2反転域を通して順に搬送し、前記第1反転機構は、前記一次加工品の前記搬送方向下流側への移動に伴って前記一対の腕部を支点として前記一次加工品を所定方向に回動させて反転させる第1反転ローラを含み、前記第2反転機構は、前記一次加工品の前記搬送方向下流側への移動に伴って前記一対の腕部を支点として前記一次加工品を前記所定方向と反対方向に回動させて反転させる第2反転ローラを含んでいることを特徴とする請求項に記載の加工システム。
【請求項8】
前記搬送機構は、幅方向に間隔をおいて配設された一対の搬送ベルトと、前記一対の搬送ベルト間に配設された第1、第2及び第3支持部材とを備え、前記一対の搬送ベルトには、前記一次加工品の前記一対の腕部を受け入れるための複数の搬送受け部が前記搬送方向に間隔をおいて設けられ、また前記第1支持部材は前記第1検査域に対応して配設され、前記第2支持部材は前記第2検査域に対応して配設され、前記第3支持部材は前記第2反転域の下流側に配設されており、前記一次加工品は、前記第1検査域においては前記第1支持部材に支持され且つ前記一対の腕部が前記一対の搬送ベルトの前記搬送受け部に受け入れられた状態にて移動され、前記第1反転域においては前記一対の腕部が前記一対の搬送ベルトの前記搬送受け部に受け入れられた状態にて移動され、前記第2検査域においては前記第2支持部材に支持され且つ前記一対の腕部が前記一対の搬送ベルトの前記搬送受け部に受け入れられた状態にて移動され、前記第2反転域においては前記一対の腕部が前記一対の搬送ベルトの前記搬送受け部に受け入れられた状態にて移動され、前記第2反転域の下流側においては前記第3支持部材に支持され且つ前記一対の腕部が前記一対の搬送ベルトの前記搬送受け部に受け入れられた状態にて移動されることを特徴とする請求項7に記載の加工システム。
【請求項9】
前記プレス装置で加工された前記一次加工品は、前記一対の腕部を支点として片側部が他側部よりも重くなっており、前記一次加工品は、前記第1検査域を通して移動されるときには前記第1支持部材に支持されながら前記一次加工品の前記他側部が前記搬送方向下流側を向いた状態で移動され、前記第1反転域の上流側域において前記第1支持部材から外れて前記一次加工品の前記片側部が自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、前記第1反転域において前記第1反転ローラによって前記一次加工品の前記他側部が押し下げられてその前記片側部が前記搬送方向下流側に向くように反転された後に前記第2支持部材に支持され、そして前記第2検査域を通して移動されるときには前記第2支持部材に支持されながら前記一次加工品の前記片側部が前記搬送方向下流側を向いた状態で移動され、更に前記第2反転域の上流側域において前記第2支持部材から外れて前記一次加工品の前記片側部が再び自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、前記第2反転域において前記第2反転ローラによって前記一次加工品の前記片側部が持ち上げられてその前記他側部が前記搬送方向下流側に向くように反転された後に前記第3支持部材に支持されて移動されることを特徴とする請求項8に記載の加工システム。
【請求項10】
前記プレス装置で加工された前記一次加工品は、前記一対の腕部を支点として片側部が他側部よりも重くなっており、前記一次加工品は、前記第1検査域を通して移動されるときには前記第1支持部材に支持されながら前記一次加工品の前記片側部が前記搬送方向下流側を向いた状態で移動され、前記第1反転域の上流側域において前記第1支持部材から外れて前記一次加工品の前記片側部が自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、前記第1反転域において前記第1反転ローラによって前記一次加工品の前記片側部が持ち上げられてその前記他側部が前記搬送方向下流側に向くように反転された後に前記第2支持部材に支持され、そして前記第2検査域を通して移動されるときには前記第2支持部材に支持されながら前記一次加工品の前記他側部が前記搬送方向下流側を向いた状態で移動され、更に前記第2反転域の上流側域において前記第2支持部材から外れて前記一次加工品の前記片側部が再び自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、前記第2反転域において前記第2反転ローラによって前記一次加工品の前記他側部が押し下げられてその前記片側部が前記搬送方向下流側に向くように反転された後に前記第3支持部材に支持されて移動されることを特徴とする請求項8に記載の加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工品を検査する検査装置を備え、加工装置により加工された加工品を加工の流れの中で検査する加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プレス加工された加工品を検査する検査装置を備えた加工システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この加工システムは、帯状材料にプレス加工を施すプレス装置と、このプレス装置により加工された帯状加工物を検査する検査装置を備え、この検査装置は、プレス加工の流れの中で加工物を検査するように構成されている。
【0003】
この検査装置では、加工前に正常品としての加工物(正規部品)の撮像画像情報に基づき正規部品の基準ピッチ及びテンプレートを作成し、加工中に検査品としての加工品(検査対象部品)の撮像画像情報に基づき検査対象部品の計測ピッチを演算し、正規部品の基準ピッチと検査対象部品の計測ピッチを対比して検査対象部品の良否を判定している。
【0004】
具体的には、この検査装置は、加工物を撮像する撮像手段(例えば、CCDカメラ)と、正規部品の画像情報を取得する正規部品画像取得部と、正規部品画像取得手段により取得した正規部品画像情報に基づき基準ピッチを算出する基準ピッチ作成手段と、この正規部品画像情報に基づいてテンプレートを作成するテンプレート作成手段とを備え、更に検査対象部品を加工の流れの中で検査するために、検査対象部品の画像情報を取得する検査対象部品画像取得手段と、検査対象部品の計測ピッチを算出する計測ピッチ算出手段と、基準ピッチと計測ピッチに基づき加工対象部品の良否を判定する良否判定手段とを含み、この計測ピッチ算出手段は、画像取得手段により取得した検査対象部品の画像情報からテンプレートを利用したテンプレートマッチングにより抽出してこの検査対象部品の計測ピッチを算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この加工システムの検査装置では、帯状に連続する検査対象部品における特定形状の計測ピッチを算出し、この計測ピッチと基準ピッチに基づいて加工の良否を判定しているために、この計測ピッチが変化する加工不良、例えば加工の際に生じる変形、欠損、大きな傷などは検知して不良と判定することができるが、例えば検査対象部品の表面に生じた加工不良、例えば表面の傷、表面の変形、表面の加工の位置ズレなどを検知することがでず、更には検査対象部品の両面の加工不良も検知することができない。
【0007】
本発明の目的は、加工装置による加工の流れの中で加工品(検査対象品)の両面を検査することができる加工システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の発明の加工システムは、両側に突出する一対の腕部を有する加工品を形成する加工装置と、前記加工装置により加工した前記加工品を検査する検査装置とを備えた加工システムであって、
前記加工品の流れ方向において、前記加工装置の下流側に前記加工品を搬送する搬送機構が設けられ、前記検査装置は、前記加工品の片面側を検査する第1検査装置と、前記加工品の他面側を検査する第2検査装置とを含み、前記搬送機構の反転域に前記加工品を反転させるための反転機構が配設されており、
前記搬送機構は前記一対の腕部に作用して前記加工品を搬送方向下流側に搬送し、前記反転機構は前記一対の腕部を支点として前記加工品を反転させるように構成されており、
また、前記加工品の流れ方向に見て前記反転機構よりも上流側に第1検査域が設けられ、前記第1検査域に前記第1検査装置が配設され、また前記加工品の流れ方向に見て前記反転機構よりも下流側に第2検査域が設けられ、前記第2検査域に前記第2検査装置が配設されていることを特徴とする。
【0009】
この加工システムはプレス装置に適用され、プレス装置により加工された加工品を搬送方向に第1検査域、反転域及び第2検査域を通して搬送し、加工品の搬送方向下流側への移動に伴って一対の腕部を支点として反転ローラにより反転させるのが好ましく、このように構成することによって、簡単な構成で確実に反転させることができる。
【0010】
また、この加工システムの搬送機構を一対の搬送ベルトと一対の搬送ベルト間に配設された第1及び第2支持部材とから構成し、一対の搬送ベルトに加工品の一対の腕部を受け入れるための複数の搬送受け部を設けるのが好ましく、このように構成することにより、一対の搬送ベルトの移動に伴って加工品を搬送方向に移動させることができる。また、第1及び第2検査域に対応して第1及び第2支持部材を配設するのが好ましく、このように構成することによって、第1及び第2検査域においては第1及び第2支持部材に支持された状態で加工品を移動させることができ、これによって、第1検査域においては加工品を第1支持部材により安定して支持してその一表面を検査することができ、また第2検査域においては加工品を第2支持部材により安定して支持してその他表面を検査することができる。
【0011】
この加工システムにおいては、プレス装置により加工された加工品は、一対の腕部を支点として片側部が他側部よりも重くなっており、加工品の片側部の重量が重いことを利用して加工品を反転させるようにしている。この加工品は、第1検査域を通して移動されるときには加工品の他側部が搬送方向下流側を向いた状態で移動され、反転域の上流側域において第1支持部材から外れてその片側部が自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、そして反転域において反転ローラによって加工品の他側部が押し下げられてその片側部が搬送方向下流側に向くように反転され、このように反転ローラを利用して簡単な構成で且つ確実に反転させることができる。
【0012】
この加工品は、第1検査域を通して移動されるときには加工品の片側部が搬送方向下流側を向いた状態で移動するように構成される場合もあり、このような場合においては、反転域の上流側域において第1支持部材から外れてその片側部が自重により下側に垂れ下がった状態となるが、反転域において反転ローラによって加工品の片側部が持ち上げられてその他側部が搬送方向下流側に向くように反転され、このようにしても反転ローラを利用して簡単な構成で勝つ確実に反転させることができる。
【0013】
また、本発明の第2の発明の加工システムは、両側に突出する一対の腕部を有する一次加工品を形成する第1加工装置と、前記一次加工品に加工を施して二次加工品を形成する第2加工装置と、前記第1加工装置にて形成された前記一次加工品を前記第2加工装置に搬送する搬送機構と、前記第1加工装置により加工された前記一次加工品を検査する検査装置とを備えた加工システムであって、
前記搬送機構には、第1及び第2反転域に前記一次加工品を反転させるための第1及び第2反転機構が設けられ、前記検査装置は、前記一次加工品の片面側を検査する第1検査装置と前記一次加工品の他面側を検査する第2検査装置を含んでおり、
前記搬送機構は前記一対の腕部に作用して前記一次加工品を搬送方向下流側に搬送し、前記第1及び第2反転機構は前記一対の腕部を支点として前記一次加工品を反転させるように構成されており、
また、前記一次加工品の流れ方向に見て前記第1反転機構よりも上流側に第1検査域が設けられ、前記第1検査域に前記第1検査装置が配設され、前記一次加工品の流れ方向に見て前記第1反転機構と前記第2反転機構との間に第2検査域が設けられ、前記第2検査域に前記第2検査装置が配設されていることを特徴とする。
【0014】
この加工システムは第1及び第2加工装置としての第1及び第2プレス装置に適用され、第1プレス装置により加工された一次加工品を搬送方向に第1検査域、第1反転域及び第2検査域及び第2反転域を通して搬送し、第1反転域においては一次加工品の搬送方向下流側への移動に伴って一対の腕部を支点として第1反転ローラにより所定方向に回動させて反転させ、また第2反転域においては、一次加工品の搬送方向下流側への移動に伴って一対の腕部を支点として第2反転ローラにより所定方向と反対方向に回動させて反転させるのが好ましく、このように構成することによって、簡単な構成で確実に反転させて元の状態に戻して第2プレス装置に搬送することができる。
【0015】
また、この加工システムの搬送機構を一対の搬送ベルトと一対の搬送ベルト間に配設された第1~第3支持部材とから構成し、一対の搬送ベルトに一次加工品の一対の腕部を受け入れるための複数の搬送受け部を設けるのが好ましく、このように構成することにより、一対の搬送ベルトの移動に伴って一次加工品を搬送方向に移動させることができる。また、第1及び第2検査域に対応して第1及び第2支持部材を配設し、第2反転域の下流側に第3支持部材を配設するのが好ましく、このように構成することによって、第1及び第2検査域においては第1及び第2支持部材に支持された状態で一次加工品を移動させることができ、また第2反転域の下流側においては第3支持部材に支持された状態で一次加工品を移動させることができる。
【0016】
この加工システムにおいては、第1プレス装置により加工された一次加工品は、一対の腕部を支点として片側部が他側部よりも重くなっており、この一次加工品の片側部の重量が重いことを利用して加工品を反転させるようにしている。この一次加工品は、第1検査域を通して移動されるときには一次加工品の他側部が搬送方向下流側を向いた状態で移動され、第1反転域の上流側域において第1支持部材から外れてその片側部が自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、そして第1反転域において第1反転ローラによって一次加工品の他側部が押し下げられてその片側部が搬送方向下流側に向くように反転され、このように反転された状態で第2検査域を通して移動される。また、第2反転域の上流側域において第2支持部材から外れて一次加工品の片側部が再び自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、第2反転域において第2反転ローラによって一次加工品の片側部が持ち上げられてその他側部が搬送方向下流側に向くように反転されて元の状態に戻り、このように第1及び第2反転ローラを用いて一次加工品を元の状態に戻して第2プレス装置に搬送することができる。
【0017】
この一次加工品は、第1検査域を通して移動されるときには一次加工品の片側部が搬送方向下流側を向いた状態で移動するように構成される場合もあり、このような場合においては、第1反転域の上流側域において第1支持部材から外れてその片側部が自重により下側に垂れ下がった状態となるが、第1反転域において第1反転ローラによって一次加工品の片側部が持ち上げられてその他側部が搬送方向下流側に向くように反転され、このよう反転された状態で第2検査域に送られる。また、第2検査域を通過した後の第2反転域の上流側域において第2支持部材から外れてその片側部が自重により下側に垂れ下がった状態で移動され、そして第2反転域において第2反転ローラによって一次加工品の他側部が押し下げられてその片側部が搬送方向下流側に向くように反転されて元の状態に戻り、このような場合においても、第1及び第2反転ローラを用いて一次加工品を元の状態に戻して第2プレス装置に搬送することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の発明の加工システムによれば、加工品を形成する加工装置と、この加工品を検査する検査装置とを備え、検査装置は、加工品の片面側を検査する第1検査装置と、その他面側を検査する第2検査装置とを含んでいるので、加工装置による加工の流れの中で加工品の片面及び他面を所要の通りに検査することができる。また、加工品を搬送する搬送装置に反転機構を設け、この反転機構の上流側の第1検査域に第1検査装置が配設され、この変転機構の下流側の第2検査域に第2検査装置が配設されているので、第1検査域において加工品の片面を検査し、その後反転機構により反転させた後に、第2検査域において加工品の他面を検査することができる。更に、この反転機構は加工品の一対の腕部を支点として反転させるように構成されているので、加工品の形状的特徴を利用して簡単に且つ確実に反転させることができる。
【0019】
また、本発明の第2の発明の加工システムによれば、一次加工品を形成する第1加工装置と、この一次加工品を二次加工する第1加工装置と、この一次加工品を検査する検査装置とを備え、検査装置は、一次加工品の片面側を検査する第1検査装置と、その他面側を検査する第2検査装置とを含んでいるので、加工の流れの中で一次加工品の片面及び他面を所要の通りに検査することができる。また、一次加工品を搬送する搬送装置に第1及び第2反転機構を設け、第1反転機構の上流側の第1検査域に第1検査装置が配設され、また第1反転機構と第2反転機構との間の第2検査域に第2検査装置が配設されているので、第1検査域において加工品の片面を検査し、その後第1反転機構により反転させた後に、第2検査域において加工品の他面を検査することができる。更に、この第1及び第2反転機構は一次加工品の一対の腕部を支点として反転させるように構成されているので、一次加工品の形状的特徴を利用して簡単に且つ確実に反転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に従う加工システムの一実施形態により加工された加工品の一例を示す斜視図。
【
図2】本発明に従う加工システムの一実施形態を簡略的に示す全体図。
【
図3】
図2に示す加工システムの搬送機構を簡略的に示す平面図。
【
図4】
図3の搬送機構の第1検査域に加工品が位置するときの状態を示す図。
【
図5】
図3の搬送機構の反転域の上流側に加工品が位置するときの状態を示す図。
【
図6】
図3の搬送機構の反転域において、反転機構により加工品が反転され始めたときの状態を示す図。
【
図7】
図3の搬送機構の反転域において、転機構による加工品の反転が終了する前の状態を示す図。
【
図8】
図3の搬送機構の反転域において、反転機構による加工品の反転が終了した状態を示す図。
【
図9】
図3の搬送機構の反転域にて反転された後に搬送方向下流側に移動するときの状態を示す図。
【
図10】本発明に従う加工システムの第2の実施形態により加工された一次加工品及び二次加工品の一例を示す斜視図。
【
図11】本発明に従う加工システムの第2の実施形態を簡略的に示す平面図。
【
図12】第2の実施形態の加工システムにおける第2反転機構による反転動作を説明するための説明図であって、
図12(a)は、第2反転域の上流側に位置するときの一次加工品の状態を示す図、
図12(b)は、第2反転機構による反転が開始され始めたときの一次加工品の状態を示す図、
図12(c)は、第2反転機構による反転が終了する前の一次加工品の状態を示す図、及び
図12(d)は、第2反転機構による反転が終了した後に一次加工品が下流側に移動する状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う加工システムの種々の実施形態について説明する。まず、
図1~
図9を参照して、本発明に従う加工システムの第1の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、第1の実施形態の加工システムにより加工された加工品の一例を示している。
図1において、この加工品2は、矩形状の本体部4を備え、この本体部4の一端部(
図1において右端部)に両側(
図1において上側及び下側)に延びる一対の腕部6(6a,6b)が設けられ、またその一端部に外側(
図1において右側)に延びる脚部8が設けられ、これら本体部4、一対の腕部6(6a,6b)及び脚部8がプレス加工により一体的に形成されている。また、この本体部4の略中央部には円形状の孔10が形成され、また本体部4における孔10の外側に一対の円形状凹部12が設けられ、この孔10の内側に一対の円形状突部14が設けられている。
【0023】
この加工品2においては、加工品2の片側部側(
図1において左端部側であって、この実施形態では本体部4)の面積がその他側部側(
図1において右端部側であって、この実施形態では脚部8)の面積よりも大きくなっており、これによって、加工品2の片側部側(本体部4側)の重量がその他側部側の重量よりも重くなり、この重量差を利用して加工品2を後述する如く反転させるように構成されている。
【0024】
この加工品2を加工するのに、例えば、加工装置としての
図2に示すプレス装置22が用いられる。
図2を参照して、図示のプレス装置22では、例えば、矢印24で示す流れ方向に下流側に向けて、打抜き加工域26、凹部形成域28、突部形成域30及び孔形成域32がこの順に設けられている。打抜き域26に対応して打抜き用金型34が設けられ、その上型36がスライド38に取り付けられ、その下型40がボルスタ42に取り付けられている。凹部形成域28に対応して凹部形成用金型44が設けられ、その上型46がスライド38に取り付けられ、その下型47がボルスタ42に取り付けられている。また、突部形成域30に対応して突部形成用金型48が設けられ、その上型50がスライド38に取り付けられ、その下型52がボルスタ42に取り付けられている。更に孔形成域32に対応して孔形成用金型54が設けられ、その上型56(穴開け用のパンチ)がスライド38に取り付けられ、その下型58がボルスタ42に取り付けられている。
【0025】
このように構成されているので、ボルスタ42に対してスライド38が上下動されると、このスライド38と一体的に、打抜き用金型34の上型36、凹部形成用金型44の上型46、突部形成用金型48の上型50及び孔形成用金型54の上型56が上下移動され、打抜き加工域26、凹部形成域28、突部形成域30及び孔形成域32において所定の加工が行われる。
【0026】
例えば、打抜き加工域26においては、細長いシート状材料に打抜き用金型36(上型38及び下型40)が作用して打抜き加工が施され、このシート状材料から
図1で示す外形状の第1中間品60aが形成される。凹部形成用域28においては、第1中間品60aに凹部形成用金型44(上型46及び下型47)が作用して凹部形成加工が施され、この第1中間品60aから円形状凹部12(
図1参照)を有する第2中間品60bが形成される。また、突部形成域30においては、第2中間品60bに突部形成用金型50(上型52及び下型54)が作用して突部形成加工が施され、この第2中間品60bから円形状突部14(
図1参照)を有する第3中間品60cが形成される。更に、孔形成域32においては、第3中間品60cに孔形成用金型54(上型56及び下型58)が作用して孔形成加工が施され、この第3中間品60cから円形状孔10(
図1参照)を有する成形品2が形成される。
【0027】
このプレス装置22においては、第1~第3中間品60a~60c及び成形品2を矢印24で示す下流側に移送するためのトランスファー装置62(
図3にその一部を簡略的に示す。)が設けられている。トランスファー装置62は、一対の送り部材64,66を有し、かかる一対の送り部材64,66に間隔をおいて保持部材(図示せず)が設けられ、
成形品2を保持して下流側に移送する。
【0028】
このトランスファー装置62は、例えば打抜き加工域26(又は凹部形成域28、突部形成域30、孔形成域32)において加工された第1中間品60a(又は第2中間品60b、第3中間品60c、加工品2)を矢印24を示す送り方向下流側の凹部形成域28(突部形成域30、孔形成域32、搬送機構72)に間欠的に移送する。
【0029】
この実施形態では、プレス装置22の送り方向下流側に加工品2を搬送する搬送機構72が配設され、この搬送機構72を通して搬送される間に加工品2の両面が検査される。
図2とともに
図3を参照して更に説明すると、図示の搬送機構72は、幅方向(
図2において紙面に対して垂直な方向、
図3において上下方向)に間隔をおいて配設された一対の搬送ベルト74,76を備え、かかる一対の搬送ベルト74,76に所定間隔をおいて複数の搬送受け部78,80(
図2において省略して示している)が設けられている。搬送ベルト74,76は、例えば無端状の歯付きベルトなどから構成され、これら搬送ベルト74,76の表面に一対の矩形状部材82を含む組みが複数設けられており、かかる一対の矩形状部材82と搬送ベルト74,76の一部とにより搬送受け部78,80が構成される。尚、一対の矩形状部材82に代えて、例えば受け凹部を有する受け部材から構成するようにしてもよく、この場合、この受け部材が搬送受け部として機能する。
【0030】
この搬送機構72の長手方向(換言すると、矢印84で示す搬送方向)中間部に反転域86が設けられ、また矢印84で示す搬送方向に見て、この反転域86の上流側に第1検査域88が設けられ、この反転域86の下流側に第2検査域90が配設されている。反転域86には反転機構92が配設され、この反転機構92により加工品2が後述する如くして反転される。
【0031】
この実施形態では、搬送機構72は、本体フレーム94を有し、この本体フレーム94の一端側(搬送方向上流側)に従動軸96が回転自在に支持され、この従動軸96の両端部に例えば歯付き従動プーリ98(
図2にそれらの一方のみを示す)が装着されている。また、本体フレーム94の他端側(搬送方向下流側)に駆動軸100が回転自在に支持され、この駆動軸100の両端部に例えば歯付き駆動プーリ102(
図2にそれらの一方のみ示す)が装着されている。
【0032】
一対の搬送ベルト74,76は、駆動側の歯付き駆動プーリ102及び従動側の歯付き従動プーリ98に巻き掛けられ、また駆動軸100は、駆動源としての駆動モータ104に駆動連結されている。このように構成されているので、駆動モータ104が回動すると、駆動軸100及び歯付き駆動プーリ102を介して一対の搬送ベルト74,76の上走行部が矢印84で示す方向に移動され、これにより、加工品2は後述するように搬送方向に第1検査域88、反転域86及び第2検査域90を通して搬送される。尚、この実施形態では、トランスファー装置62による送りと連動して駆動モータ104が作動されるように構成され、トランスファー装置62が第1~第3中間品62a~62c及び加工品2を矢印24で示す送り方向に移送するのと同期して搬送機構72が加工品2を矢印84で示す搬送方向に搬送するように構成されている。
【0033】
この加工システムにおいては、第1検査域88には第1検査装置106が配設され、この第1検査装置106は、一対の搬送ベルト74,76間の上方に配置され、第1検査域88に位置付けられた加工物2の表面(具体的には、片面側表面の検査領域であって、例えば
図1及び
図3において一点鎖線で示す領域S1)を検査する。また、第2検査域90には第2検査装置108が配設され、この第2検査装置108は、一対の搬送ベルト74,76間の上方に配置され、第2検査域90に位置付けられた加工物の表面(具体的には、後述する如くして反転された他面側表面の検査領域であって、例えば
図3において一点鎖線で示す領域S2)を検査する。
【0034】
第1及び第2検査装置106,108は、例えばCCDセンサ、CMOSセンサなどの撮像素子を備えたものを用いることができ、この撮像素子によって加工品2の表面(片面側及び他面側)の加工不良などによる打痕、キズ、変形などを検知することができる。
【0035】
次に、搬送機構86の反転機構92について説明すると、図示の反転機構92は、反転ローラ110を有し、この反転ローラ110を利用して加工品2は、後述するように反転される。この実施形態では、上述したように、加工品2の片側部側(本体部4側)の重量がその他側部側(脚部8側)の重量よりも重くなっており、従って、加工品1の一方側の腕部6aが片方の搬送ベルト74の搬送受け部78に支持され、その他方側の腕部6bが他方の搬送ベルト76の搬送受け部80に支持された状態では、加工品2の片側部側の自重により、一対の搬送ベルト74間の空間内にて加工品2の片側部側(本体部4側)が下方に垂れ下がった状態となる(
図5参照)。
【0036】
この実施形態では、
図3に示すように、プレス装置22で加工された加工品2は、搬送機構72に導入される際にその他側部(脚部8側)が搬送方向下流側を向いた状態で送給されるように構成されており、このことに関連して、反転ローラ110は、一対の搬送ベルト74,76間の上方側に配設され、一対の搬送ベルト74,76に保持されて搬送される加工品2の脚部8に上側から作用するように配置されている。この形態では、本体フレーム94(
図2参照)の所定部位に柱状部材112が取り付けられ、この柱状部材112の先端部に支持軸114が固定され、この支持軸114に反転ローラ110が回転自在に装着されている。
【0037】
この搬送機構72においては、第1検査域88に対応して第1支持部材116が配設され、また第2検査域90に対応して第2支持部材118が配設されている(
図3参照)。第1及び第2支持部材116,118は、一対の搬送ベルト74,76間に配設されて本体フレーム94に取り付けられ、それらの上面は、搬送ベルト74,76の上走行部の表面とほぼ同一面を規定するように配置されている。
【0038】
図3に示すように、第1支持部材は116は、搬送機構72の一端部(搬送方向上流側部)から第1検査域88の下流側まで延びており、加工品2が第1検査域88を通して移動される間においては、この第1支持部材116は加工品2の本体部4及び脚部8を支持する。また、第2支持部材118は、搬送機構72の反転域86の下流側からその他端部(搬送方向下流側部)まで延びており、加工品2が第2検査域90を通して移動される間においては、この第2支持部材118は、加工品2の本体部4及び脚部8を支持する。尚、この実施形態では、第1支持部材116及び第2支持部材118を一つのプレート状部材から構成しているが、第1支持部材116及び/または第2支持部材118を二つ以上のプレート状部材から構成するようにしてもよい。
【0039】
この加工システムにおける加工品2の検査は、例えば次のようにして行われる。主として
図3とともに
図4~
図9を参照して、プレス装置22により上述したように加工された加工品2は、トランスファー装置62によって搬送機構72に送給され、この搬送機構72によって第1検査域88、反転域86及び第2検査域90を通して搬送される。第1検査域88を通して移動するときには、加工品2は、
図3及び
図4に示すように支持されて移動される。即ち、加工品2は、一対の腕部6a,6bが一対の搬送ベルト74,76の搬送受け部78に受け入れられ且つその本体部4及び脚部8が第1支持部材116に支持された状態で搬送される。従って、一対の搬送ベルト74,76が移動すると、それらの搬送受け部78の移動に伴って加工品2が矢印84で示す搬送方向に移動され、この加工品2の移動は、その片面側が上を向いた状態で第1支持部材116の表面を滑るように移動される。
【0040】
そして、第1検査域88まで移動すると、第1検査装置106(
図2参照)が作動してその撮像素子(図示せず)が加工品2の本体部4の片面側の検査領域S1を撮像し、この第1検査装置106は、取得した撮像情報を所要の通りに画像処理して加工品2の片面側の検査領域S1に加工不良によるキズ、変形などがあるかを検査し、このようにして加工品2の片面側の検査を行うことができる。
【0041】
第1検査域88にて検査が終了すると、この加工品2は反転域86に向けて搬送方向下流側に搬送され、この反転域86の上流側まで搬送されると、この加工品2の本体部4及び脚部8が第1支持部材116から外れる。このようにして外れると、
図3及び
図5に示すように、加工品2は、その本体部4の自重により一対の腕部6a,6b(一対の腕部6a,6bは搬送受け部6a,6bにより支持されている)を支点としてその本体部4が下側に垂れ下がった状態となるように回動し、この加工品2は、本体部4が下側となった状態で下流側に搬送される。
【0042】
このように垂れ下がった状態で反転域86まで搬送されると、
図3及び
図6に示すように、加工品2の脚部8が反転機構92の反転ローラ110に当接し、この反転ローラ110は、搬送方向の移動に伴って加工品2の脚部8を押し下げるように作用し、これによって、加工品2は、その一対の腕部6a,6b(一対の受け部6a,6bは搬送ベルト74,76の搬送受け部78,80に支持されている)を支点として矢印120(
図6参照)で示す方向に回動される。
【0043】
この加工品2が矢印84で示す搬送方向に更に移動されると、
図7に示すように、反転ローラ110は加工品2の脚部8を更に下側に押し下げるようになる。そして、加工品2の脚部8が反転ローラ110の下端部(最も低い部位)を通過するようになると、
図8に示すように、この加工品2の本体部4の先端側は、持ち上げられたように斜め上方を向くようになって第2支持部材118の上方に位置するようになり、更に搬送方向に移動してその脚部8が反転ローラ110の下側を通過すると、
図8から理解されるように、加工品2の本体部4の先端側は第2支持部材118の一端部に載置され、その本体部4が下流側に向いた状態、即ち反転した状態となり、この反転状態において加工品2の一部が第2支持部材118に載置される。
【0044】
この加工品2が搬送方向下流側に更に移動すると、
図3及び
図9に示すように、それらの搬送受け部78の移動に伴って加工品2が第2支持部材118の表面に支持された状態で移動され、この加工品2の移動は、その他面側が上を向いた状態で第2支持部材118の表面を滑るように移動される。
【0045】
そして、第2検査域90まで移動すると、第2検査装置108(
図2参照)が作動してその撮像素子(図示せず)が加工品2の本体部4の他面側の検査領域S2を撮像し、この第2検査装置108は、取得した撮像情報を所要の通りに画像処理して加工品2の他面側の検査領域S2に加工不良によるキズ、変形などがあるかを検査し、このようにして加工品2の他面側の検査を行うことができ、プレス装置22に上述した搬送機構72を組み合わせることによって、プレス装置22により加工した加工品22の両面を検査することができる。
【0046】
次に、
図10~
図12を参照して、本発明に従う加工システムの第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態においては、流れ方向上流側のプレス装置により一次加工を施し、その後一次加工品の両面を検査した後、この検査後の一次加工品に下流側のプレス装置によって二次加工を施している。尚、第2の実施形態において、上述した第1の実施形態と同様の部材には同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0047】
図10及び
図11において、この第2の実施形態の加工システムにおいては、二つの加工装置、即ち第1及び第2加工装置が用いられ、第1及び第2加工装置として第1及び第2プレス装置202,204が用いられており、矢印206で示す流れ方向に見て上流側に第1プレス装置202が設置され、下流側に第2プレス装置204が設置されている。第1プレス装置202は一次加工を施すものであり、この一次加工によって、例えば
図10において左側に示す一次加工品208が形成される。また、第2プレス装置204は一次加工品208に二次加工を施すものであり、この二次加工によって、
図10に右側に示す二次加工品210が形成される。
【0048】
第1プレス装置202は、例えば、第1の実施形態の加工システムにおけるプレス装置(
図2参照)と応用の構成のものでよく、この第1プレス装置202によって、例えば、第1の実施形態の加工システムにより形成される加工品2と同様の形状の一次加工品208が形成される。この一次加工品208は、本体部210を有し、この本体部210の一端部に両側に延びる一対の腕部212(212a,212b)が設けられ、またその一端部に外側に延びる脚部214が設けられ、更に、この本体部210の略中央部には円形状の孔216が形成されるともに、この孔216の外側に円形状凹部218及び円形状突部220が設けられる。
【0049】
また、第2プレス装置204は、例えば、一次加工品208の腕部212a,212bに二次加工としての折曲げ加工を施して二次加工品210が形成される。この二次加工品210は、例えば、一次加工品208の一対の腕部212a,212bが直角方向に接触されたものである。
【0050】
この加工システムにおいては、第1プレス装置202と第2プレス装置204との間に搬送機構222が配設され、この搬送機構222は、第1プレス装置202にて加工された一次加工品208を第2プレス装置204に搬送するとともに、この搬送中に一次加工品208の両面を検査するように構成されている。
【0051】
この搬送機構222には、矢印224で示す搬送方向に第1検査域226、第1反転域228、第2検査域230及び第2反転域232が設けられ、第1及び第2検査域226,230には、第1の実施形態と同様に、第1及び第2検査装置(図示せず)が配設される。この搬送機構222による一次加工品208の搬送機構(搬送ベルト233、搬送受け部235などの構成)、第1検査域228、第1反転域228及び第2検査域230の構成については、上述した第1の実施形態と同様であり、また第1検査域226に対応して第1支持部材(図示せず)が配設され、第2検査域230に対応して第2支持部材(図示せず)が配設されることも、上述した第1の実施形態と同様であり、第2反転域232及びこれに関連する構成のみが上述の第1の実施形態と相違している。
【0052】
次に、
図12を参照して、第2反転域232には第2反転機構234が配設され、第2反転機構234は、第2反転ローラ236を備え、この第2反転ローラ236によって、一次加工品208は再度反転されて元の状態(第1プレス装置202から搬送機構222に送給される状態)に戻って下流側に第2プレス装置204に向けて搬送される。
【0053】
この第2の加工システムにおいては、一次加工品208は、第1検査域226、第1反転域228及び第2検査域230を通して搬送されるときには第1の実施形態と同様にして搬送され、第1検査域226において一次加工品208(一次加工品208は、その片面側が上を向き且つその脚部214が搬送方向下流側に向いた状態となっている)の片面側の検査領域の検査が行われ、第1反転域228において第1反転機構(図示せず)によって一次加工品208が反転され(一次加工品208は、その他面側が上を向き且つその本体部210が搬送方向下流側に向いた状態となる)、また第2検査域230において一次加工品208の他面側の検査領域の検査が行われ、このように一次加工品208の両面の検査が行われた後に第2反転域232に搬送される。
【0054】
一次加工品208が第2反転域232の上流側まで搬送されると、
図12(a)に示すように、一次加工品208の本体部210及び脚部8が第1支持部材116から外れ、一次加工品208は、その本体部210の自重により一対の腕部212a,212b(一対の腕部212a,212bは一対の搬送ベルト233の搬送受け部235により支持されている)を支点としてその本体部210が下側に垂れ下がった状態となるように回動し、この一次加工品208は、本体部210が下側となった状態で下流側に搬送される。
【0055】
このように垂れ下がった状態で第2反転域232まで搬送されると、
図12(b)に示すように、一次加工品208の本体部210が第2反転機構234の第2反転ローラ236に当接する。一次加工品208は、第2検査域230を通して搬送されるときに本体部210が搬送方向下流側を向いた状態で搬送されていることから、下流側の第2プレス装置204により二次加工をする際には元の搬送状態(脚部214が下流側に向いた状態)に戻すのが好ましく、このことに関連して、第2反転ローラ236は、一対の搬送ベルト233間の下方側に配設され、一対の搬送ベルト233の搬送受け部235に保持されて搬送される一次加工品208の本体部210に下側から作用するように配置され、図示しない支持軸に回転自在に支持される。
【0056】
第2反転ローラ236がこのように構成されるので、一次加工品208の本体部210が第2反転ローラ236に当接すると、
図12(b)で示すように、この第2反転ローラ236によって、一次加工品208の本体部210が上方に持ち上げられ、一対の腕部212a,212bを支点として矢印238で示す方向に回動される。
【0057】
この一次加工品208が更に下流側に搬送されると、
図12(c)に示すように、一次加工品208が第2反転ローラ236を乗り越えるようになって一次中間品208の脚部214の先端部が第3支持部材240(一対の搬送ベルト233間に配置される)の上方に位置する。
【0058】
この状態から一次加工品208が更に下流側に搬送されると、
図12(d)に示すように、一次加工品208は、第2反転ローラ236を乗り越えて第3支持部材240の表面に載置支持され、更に下流側に第2プレス装置204に向けて搬送されるときには、この一次加工品208は、その脚部214が搬送方向下流側に向いた状態で第3支持部材の上面を滑りながら移動される。
【0059】
このように第2の実施形態の加工システムにおいては、第1反転域228(図示しない第1反転機構)において一次加工品208を反転させた後に第2反転域232(第2反転機構234)においてこの一次加工品208を再度反転させているので、二次加工の前に一次加工品208を元の搬送状態に戻すことができ、一次加工品208の両面を検査した後に元の状態に戻して第2プレス装置204に搬送することができる。
【0060】
以上、本発明に従う加工システムを加工装置としてのプレス装置に適用して説明したが、プレス装置以外の種々の加工装置、例えば切削加工装置などにも同様に適用することができる。
【0061】
上述した実施形態では、第1検査装置106を用いて検査する第1検査域88を搬送機構72に設けているが、これに限定されず、この第1検査域88については、搬送機構72の反転域86よりも上流側であってプレス装置22の最終加工域(この形態では、孔形成域32)よりも下流側の範囲の領域に設けることができる。また、第2検査装置108を用いて検査する第2検査域90を搬送機構72に設けているが、これに限定されず、この第2検査域90については、搬送機構72の反転域86の下流側の範囲の領域に設けることができる。
【0062】
また、上述した第1の実施形態の加工システムでは、プレス装置22により加工した加工品2を搬送機構72に送給するときには、加工品2の脚部8(他側部)が搬送方向下流側に向けた状態で送給しているが、これとは反対に、加工品2の本体部4(片側部)が搬送方向下流側に向けた状態で送給するようになる場合もあり、このような場合にも同様に適用することができる。この場合、上述した第1の実施形態と反対方向に反転するようになり、反転機構として第2の実施形態の加工システムにおける第2反転機構234をこの加工システムの反転機構として採用することができ、加工品2は反転ローラ(図示せず)を乗り越えるようにして搬送されて反転され、具体的な構成などについては、この第2反転機構234及びこれに関連する構成を参照されたい。
【0063】
また、上述した第2の実施形態の加工システムでは、第1プレス装置202により一次加工した一次加工品208を搬送機構222に送給するときには、一次加工品208の脚部214(他側部)が搬送方向下流側に向けた状態で送給しているが、これとは反対に、一次加工品208の本体部210(片側部)が搬送方向下流側に向けた状態で送給するようになる場合もあり、このような場合にも同様に適用することができる。この場合、第1及び第2反転域228,232において上述した第2の実施形態と反対方向に反転するようになり、第1反転機構(第1反転域228に配設される反転機構)として第2の実施形態の加工システムにおける第2反転機構234を適用し、第2反転機構(第2反転域232に配設される反転機構)として第2の実施形態の加工システムにおける第1反転機構を適用することができ、一次加工品208は、第1反転域228において反転機構(例えば、反転ローラ)を乗り越えるようにして搬送されて反転され、第2反転域232において反転機構(例えば、反転ローラ)の下側を通して搬送されて反転されるようになり、それらの具体的な構成などについては、第2加工システムの第1反転機構(図示せず)及び第2反転機構234並びにこれらに関連する構成を参照されたい。
【符号の説明】
【0064】
2,208,210 加工品
4、210 本体部
6a,6b,212a,212b 腕部
8,214 脚部
22,202,204 プレス装置
62 トランスファー装置
72,222 搬送機構
74,76 搬送ベルト
78,80 搬送受け部
86,228,232 反転域
88,226 第1検査域
90,230 第2検査域
92,234 反転機構
106 第1検査装置
108 第2検査装置
110,236 反転ローラ
116,118,240 支持部材