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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001563
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/06 20060101AFI20231227BHJP
   F25C 1/10 20060101ALI20231227BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
F25D17/06 308
F25C1/10 301Z
F25D17/08 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100296
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】倉谷 利治
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA14
3L345AA18
3L345AA23
3L345BB02
3L345CC01
3L345DD12
3L345DD13
3L345DD18
3L345DD24
3L345DD70
3L345EE14
3L345EE37
3L345EE44
3L345FF15
3L345FF44
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冷凍室内の自動製氷ユニットが取り外された領域を効率的に冷却して、有効に使える冷凍収納領域を増やし、急速冷凍が実施可能な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷凍室4内に、製氷皿及び製氷皿を回転させる駆動モータを有する着脱可能な自動製氷ユニットと、蒸発器12を通過した気体が製氷皿に向けて流出する吹出口16Aと、自動製氷ユニットが取り外されたとき、取り外された領域に着脱可能な状態で取り付けられる急速冷凍ダクト20と、を備え、急速冷凍ダクト20は、筐体と、筐体に設けられ、吹出口16Aと対向するまたは吹出口16Aを有する製氷用ダクト16が吹出口16Aが筐体内に位置するように挿入される入側開口と、筐体内に配置され、吹出口16Aから筐体内に流入した気体の流速を上げて吐出する冷却ファン28と、筐体に設けられ、冷却ファン28から吐出された気体が筐体の外部へ流出する出側開口26と、を備える冷蔵庫。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍室内に、
製氷皿及び前記製氷皿を回転させる駆動モータを有する着脱可能な自動製氷ユニットと、
蒸発器を通過した気体が前記製氷皿に向けて流出する吹出口と、
前記自動製氷ユニットが取り外されたとき、取り外された領域に着脱可能な状態で取り付けられる急速冷凍ダクトと、
を備え、
前記急速冷凍ダクトは、
筐体と、
前記筐体に設けられ、前記吹出口と対向するまたは前記吹出口を有する製氷用ダクトが前記吹出口が前記筐体内に位置するように挿入される入側開口と、
前記筐体内に配置され、前記吹出口から前記筐体内に流入した気体の流速を上げて吐出する冷却ファンと、
前記筐体に設けられ、前記冷却ファンから吐出された気体が前記筐体の外部へ流出する出側開口と、
を備えることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷却ファンの吐出方向が、前記吹出口から気体が流出する方向に対して、15度以上45度以下の範囲の角度をなして下側に向いていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記自動製氷ユニット及び前記急速冷凍ダクトを制御する制御部と、
前記自動製氷ユニットのユニット側コネクタと着脱可能な状態で接続する製氷用コネクタと、
を備え、
前記急速冷凍ダクトは、着脱可能な状態で前記製氷用コネクタと接続するダクト側コネクタを備え、
前記制御部は、
前記自動製氷ユニットが取り外された領域に前記急速冷凍ダクトが取り付けられ、前記ダクト側コネクタが前記製氷用コネクタに接続された状態で、互いに接続された前記製氷用コネクタ及び前記ダクト側コネクタを介して、前記冷却ファンのファンモータに電力を供給する制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記ダクト側コネクタに接続されたハーネスに逆極性防止用ダイオードが装着されていること特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動製氷ユニットを備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
製氷皿及び製氷皿を回転させる駆動モータを有する自動製氷ユニットを備えた冷蔵庫が知られている。このような自動製氷ユニットでは、製氷後、駆動モータで製氷皿をその上面が下側を向くように回転させて、生成された氷を下方に配置された収納容器に落下させて収容するようになっている。
【0003】
このような自動製氷ユニットを備えた冷蔵庫において、自動製氷ユニットを冷蔵庫から取り外し可能なものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の冷蔵庫では、例えば、氷をあまり必要としない冬季において自動製氷ユニットを取り外して、自動製氷ユニットが取り外された領域を、冷凍収納領域として有効活用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-105419号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、蒸発器を通過した冷気を製氷皿の周囲に流すように吹出口が配置されているので、製氷皿より下側の収納容器が配置されるより大きな収納領域には、冷気が十分に供給されない虞がある。これにより、自動製氷ユニットが取り外された領域は、効率的に冷却されず、冷凍収納領域として十分に活用できない虞がある。これにより、十分な急速冷凍が実施できない虞がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、冷凍室内の自動製氷ユニットが取り外された領域を効率的に冷却して、有効に使える冷凍収納領域を確実に増やすことができ、確実に急速冷凍が実施可能な冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の冷蔵庫は、
冷凍室内に、
製氷皿及び前記製氷皿を回転させる駆動モータを有する着脱可能な自動製氷ユニットと、 蒸発器を通過した気体が前記製氷皿に向けて流出する吹出口と、
前記自動製氷ユニットが取り外されたとき、取り外された領域に着脱可能な状態で取り付けられる急速冷凍ダクトと、
を備え、
前記急速冷凍ダクトは、
筐体と、
前記筐体に設けられ、前記吹出口と対向するまたは前記吹出口を有する製氷用ダクトが前記吹出口が前記筐体内に位置するように挿入される入側開口と、
前記筐体内に配置され、前記吹出口から前記筐体内に流入した気体の流速を上げて吐出する冷却ファンと、
前記筐体に設けられ、前記冷却ファンから吐出された気体が前記筐体の外部へ流出する出側開口と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、急速冷凍ダクトの筐体内に備えられた冷却ファンにより、蒸発器を通過し吹出口から流出した気体の流速を上げて、筐体の出側開口から冷凍室内に供給することができる。これにより、冷凍室内の自動製氷ユニットが取り外された領域を効率的に冷却して、有効に使える冷凍収納領域を確実に増やすことができ、確実に急速冷凍が実施できる。
【0009】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記冷却ファンの吐出方向が、前記吹出口から気体が流出する方向に対して、15度以上45度以下の範囲の角度をなして下側に向いていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、冷却ファンの吐出方向が、吹出口の吹出方向に対して、15度以上45度以下の範囲の角度をなして下側に向いているので、吹出口より下側に配置された収納容器の内部をはじめとする、より大きな収納領域に冷気を供給することができる。これにより、冷凍室内の自動製氷ユニットが取り外された領域を確実に効率的に冷却することができる。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記自動製氷ユニット及び前記急速冷凍ダクトを制御する制御部と、
前記自動製氷ユニットのユニット側コネクタと着脱可能な状態で接続する製氷用コネクタと、
を備え、
前記急速冷凍ダクトは、着脱可能な状態で前記製氷用コネクタと接続するダクト側コネクタを備え、
前記制御部は、
前記自動製氷ユニットが取り外された領域に前記急速冷凍ダクトが取り付けられ、前記ダクト側コネクタが前記製氷用コネクタに接続された状態で、互いに接続された前記製氷用コネクタ及び前記ダクト側コネクタを介して、前記冷却ファンのファンモータに電力を供給する制御を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、自動製氷ユニットに電力を供給する製氷用コネクタに着脱可能なダクト側コネクタを用いて、確実に冷却ファンのファンモータに電力を供給することができる。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記ダクト側コネクタに接続されたハーネスに逆極性防止用ダイオードが装着されていること特徴とする。
【0014】
ダクト側コネクタが製氷用コネクタに接続されるとき、コネクタの極性が正負逆に接続される虞がある。仮に、コネクタの極性が正負逆に接続されたまま通電すると、冷却ファンのファンモータが逆転する不具合が生じる。本発明では、逆極性防止用ダイオードにより、コネクタが正しく接続された場合には電流が流れ、コネクタの極性が正負逆に接続された場合には電流が流れないようになっている。この逆極性防止用ダイオードにより、常に適正に冷却ファンを稼働させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、冷凍室内の自動製氷ユニットが取り外された領域を効率的に冷却して、有効に使える冷凍収納領域を確実に増やすことができ、確実に急速冷凍が実施可能な冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫における急速冷凍ダクトの取付構造を模式的に示す側面断面図である。
図2図1の矢視A-A図であり、急速冷凍ダクトを前側から見た側面図である。
図3】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫における自動製氷ユニットの取付構造を模式的に示す側面断面図である。
図4】ダクト側コネクタに接続され、逆極性防止用ダイオードが装着されたハーネスを電気的に示す回路図である。
図5】本発明の1つの実施形態に係る急速冷凍ダクトを制御する制御システムの一例を示すブロック図である。
図6】自動製氷ユニットが取り外されて急速冷凍ダクトが取り付けられ、ダクト側コネクタが製氷用コネクタに接続されて実施される急速冷凍プロセスの制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する冷蔵庫は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。以下の記載及び図面では、冷蔵庫が水平面に設置された場合を想定して、上下方向を示してある。また、扉側を前側、その反対側を後側として示す。
【0018】
(本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫)
図1は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫2における急速冷却ダクト20の取付構造を模式的に示す側面断面図である。図2は、図1の矢視A-A図であり、急速冷却ダクト20を前側から見た側面図である。図3は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫2における自動製氷ユニット50の取付構造を模式的に示す側面断面図である。
【0019】
はじめに、図1から図3を参照しながら、本実施形態に係る冷蔵庫2の概要を説明する。図1及び図3には、冷蔵庫2の冷凍室4と、その後側に配置された冷却流路10とが示されている。冷凍室4の上側には、図示されていない冷蔵室が配置されている。
【0020】
冷却流路10には、蒸発器12及び冷蔵庫側ファン14が配置されている。蒸発器12は、冷媒が流れる冷却サイクル機構の一部を構成する。冷却サイクル機構では、圧縮機6で吐出された冷媒が、凝縮器、キャピラリチューブ等を流れて蒸発器12に流入し、蒸発器12の熱交換チューブを流れた溶媒が、再び圧縮機6の吸込側に戻るようになっている。
【0021】
冷蔵庫側ファン14が稼働することにより、冷却流路10内の気体が下から上の方向に流動し、蒸発器12を通過する。気体は、蒸発器12の熱交換チューブの間を通過するときに冷却される。冷却された気体は、製氷用ダクト16の吹出口16Aを介して、冷凍室4内に流入する。蒸発器12を通過した気体が冷凍室4内に流入する開口は、その他にも存在するが、ここでは、製氷用ダクト16の吹出口16だけを示している。
【0022】
本実施形態に係る冷蔵庫2では、図3に示すように、冷凍室4内に自動製氷ユニット50を配置することができる。更に、図1,2に示すように、自動製氷ユニット50を取り外して、代わりに、冷凍室4内に急速冷却ダクト20を配置することもできる。例えば、夏季では氷の消費が多いので、自動製氷ユニット50を配置して、冷蔵庫2で氷を生成する。一方、冬季では氷の消費が減るので、自動製氷ユニット50を取り外して、空いたスペースを冷凍室4内の冷凍収納領域として活用することができる。
【0023】
(自動製氷ユニット)
はじめに、図3を参照しながら、冷凍室4内における自動製氷ユニット50の取付構造を説明する。自動製氷ユニット50は、樹脂製の製氷皿52及び製氷皿52を回転させる駆動モータ54Aを有する駆動部54を備える。製氷皿52の後側には、冷蔵庫2の冷却流路10から前側に延びた製氷用ダクト16が配置され、製氷用ダクト16の吹出口16Aが製氷皿52に向かって開口している。
【0024】
蒸発器12を通過した気体は、冷蔵庫側ファン14の風力で製氷用ダクト16に流入し、製氷用ダクト16内を流れて、吹出口16Aから冷凍室4に流出する。気体は吹出口16Aから略水平方向を中心に多少広がりながら流出する。これにより、吹出口16Aから流出した気体は、製氷皿52の上面、両側面及び底面に沿って後方から前方へ流れる。この冷気の流れにより、製氷皿52の各セルに蓄えられた水が冷却されて凍結する。
【0025】
各セルの水が凍結して氷が生成されると、冷蔵庫2の制御装置の一部を構成する制御部60は、駆動部54の駆動モータ54Aに電力を供給して、上面が上側を向いていた製氷皿52をその上面が下側を向くように回転させる。回転していくと、製氷皿52の一部が冷蔵庫2側と当接するようになっており、更に製氷皿52を回転させると、製氷皿52が捻られてセルから氷が離脱する。そして、製氷皿52の下方に配置された収納容器44に落下し収納される。
【0026】
自動製氷ユニット50の上側には、冷蔵庫2の仕切板40が配置されている。仕切板40には、幅方向で自動製氷ユニット50の左右の端部の位置にスライド受部42が形成されている。スライド受部42は、前後に延びるように形成されている。スライド受部42の長手方向から見た形状はL字形になっている(図2参照)。自動製氷ユニット50のベース部の両端が、L字形のスライド受部42と上側の仕切板40とで囲まれた空間に、摺動可能な状態で挿入されるようになっている。
【0027】
自動製氷ユニット50を冷凍室4内に取り付けるには、冷蔵庫2の冷凍室4を覆う前方の扉をあけ、自動製氷ユニット50のベース部の両端が、L字形のスライド受部42と仕切板40とで囲まれた空間に入るようにして、自動製氷ユニット50を後方に押し込んでいく。これにより、自動製氷ユニット50はスライド受部42にガイドされて後方にスライド移動し、設置位置で冷蔵庫2側とスナップ係合するようになっている。
【0028】
自動製氷ユニット50を後方にスライド移動させて設置位置に達するとき、自動製氷ユニット50に固定されたユニット側コネクタ56が、冷蔵庫2側に固定された製氷用コネクタ18に接続されるようになっている。例えば、ユニット側コネクタ56が雄形ピンを有し、製氷用コネクタ18が雌形ピンを有する場合を例示できる。また、逆に、ユニット側コネクタ56が雌形ピンを有し、製氷用コネクタ18が雄形ピンを有する場合もあり得る。
【0029】
ユニット側コネクタ56は駆動部54の駆動モータ54Aと電気的に接続されている。製氷用コネクタ18は、制御部60で制御された電源部と電気的に接続されている。これにより、制御部60の制御信号に基づいて、電源部からの電力が互いに接続された製氷用コネクタ18及びユニット側コネクタ56を介して、駆動モータ54Aに供給される。これにより、駆動モータ54Aを稼働させて、製氷皿52を回転させることができる。
【0030】
冷凍室4に取り付けられた自動製氷ユニット50を外部へ取り外す場合には、冷蔵庫2の冷凍室4を覆う前方の扉をあけ、自動製氷ユニット50を固定していたスナップ係合を外して、自動製氷ユニット50を手前に引く。このとき、ユニット側コネクタ56が製氷用コネクタ18から外れる。これにより、自動製氷ユニット50はスライド受部42にガイドされて前方にスライド移動し、容易に自動製氷ユニット50を冷凍室4の外に取り出すことができる。
【0031】
以上のように、自動製氷ユニット50は、着脱可能な状態で冷蔵庫2の冷凍室4に取り付けられ、自動製氷ユニット50のユニット側コネクタ56は、着脱可能な状態で製氷用コネクタ18に接続されるようになっている。
【0032】
(急速冷凍ダクト)
次に、図1及び図2を参照しながら、冷凍室4内における本実施形態に係る急速冷却ダクト20の取付構造を説明する。本実施形態に係る急速冷却ダクト20は、内部に気体が流れる空間を有する筐体22を備える。筐体22の左右両側には板状のスライドベース22Aが延びている。図2に示すように、スライドベース22Aの左右両側の端部が、L字形のスライド受部42と上側の仕切板40とで囲まれた空間に、摺動可能な状態で挿入されるようになっている。これにより、急速冷却ダクト20はスライド受部42にガイドされて、前後にスライド移動可能である。よって、自動製氷ユニット50と同様な方法で、急速冷却ダクト20の冷凍室4への取り付け、冷凍室4からの取り外しを行うことができる。
【0033】
筐体22の後面側には、入側開口24が設けられている。冷蔵庫2の製氷用ダクト16がこの入側開口24を介して、筐体22内に差し込まれている。これにより、製氷用ダクト16の吹出口16Aが筐体22内に位置するようになっている。このような構造により、蒸発器12を通過した気体は、製氷用ダクト16を介して筐体22内に流入する。
【0034】
ただし、このような構造に限られるものではなく、例えば、製氷用ダクト16の冷却通路10から前方への突出量が、図示した場合より少ない場合もあり得る。その場合、製氷用ダクト16が筐体22内に挿入されず、製氷用ダクト16の吹出口16Aが筐体22の後面の後側に位置する場合もあり得る。そのような場合には、入側開口24を吹出口16Aと対向するように配置することにより、蒸発器12を通過した気体を筐体22内に流入させることができる。
【0035】
筐体22内には、冷却ファン28が配置されている。製氷用ダクト16の吹出口16Aから筐体22内に流入した気体を吸引して、吐出口から吐出する。冷却ファン28により、流入した気体の流速を上げて吐出することができる。冷却ファン28は、インペラを回転させるファンモータ28Aを備える。冷却ファン28は、筐体22に固定されたダクト側コネクタ30と電気的に接続されている。ダクト側コネクタ30は製氷用コネクタ18と接続可能であり、これにより、自動製氷ユニット50と同様に、ファンモータ28Aは冷蔵庫2の電源部から電力を受けることができる。
【0036】
筐体22の前側には、冷却ファン28から吐出された気体が筐体22の外部へ流出する出側開口26が設けられている。本実施形態では、細い部材でメッシュ状に仕切られた出側開口26を有する。これにより、蒸発器12を通過した気体が吹出口16Aから筐体22内に流入し、流入した気体を冷却ファン28で風速を上げて、出側開口26から筐体22の外部に吹き出すことができる。これにより、冷凍室4をより効率的に冷却することができ、急速冷凍を実施できる。
【0037】
また、上記と同様な手順で、冷凍室4内の自動製氷ユニット50が取り外された領域に急速冷却ダクト20を取り付けることができる。具体的には、冷蔵庫2の冷凍室4を覆う前方の扉をあけ、急速冷却ダクト20のスライドベース22Aの両端が、L字形のスライド受部42と仕切板40とで囲まれた空間に入るようにして、急速冷却ダクト20を後方に押し込んでいく。これにより、急速冷却ダクト20はスライド受部42にガイドされて後方にスライド移動し、設置位置で冷蔵庫2側とスナップ係合するようになっている。このとき、入側開口24を介して、製氷用ダクト16が筐体22の内部に差し込まれる。
【0038】
急速冷却ダクト20を後方にスライド移動させて設置位置に達するとき、急速冷却ダクト20に固定されたダクト側コネクタ30が、冷蔵庫2側に固定された製氷用コネクタ18に接続される。ダクト側コネクタ30は、自動製氷ユニット50のユニット側コネクタ56と同様なピン形状を有する。
【0039】
これにより、制御部60の制御信号に基づいて、電源部からの電力が互いに接続された製氷用コネクタ18及びダクト側コネクタ30を介して、冷却ファン28のファンモータ28Aに供給される。これにより、冷却ファン28を稼働させることができる。
【0040】
冷凍室4に取り付けられた急速冷却ダクト20を外部へ取り外す場合には、冷蔵庫2の冷凍室4を覆う前方の扉をあけ、急速冷却ダクト20を固定していたスナップ係合を外して、急速冷却ダクト20を手前に引く。このとき、ダクト側コネクタ30が製氷用コネクタ18から外れる。これにより、急速冷却ダクト20はスライド受部42にガイドされて前方にスライド移動し、容易に急速冷却ダクト20を冷凍室4の外に取り出すことができる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫2は、冷凍室4内に、製氷皿52及び製氷皿52を回転させる駆動モータ54Aを有する着脱可能な自動製氷ユニット50と、蒸発器12を通過した気体が製氷皿52に向けて流出する吹出口16Aと、自動製氷ユニット50が取り外されたとき、取り外された領域に着脱可能な状態で取り付けられる急速冷凍ダクト20と、を備え、急速冷凍ダクト20は、筐体22と、筐体22に設けられ、吹出口16Aと対向するまたは吹出口16Aを有する製氷用ダクト16が吹出口16Aが筐体22内に位置するように挿入される入側開口24と、筐体22内に配置され、吹出口16Aから筐体22内に流入した気体の流速を上げて吐出する冷却ファン28と、筐体22に設けられ、冷却ファン28から吐出された気体が筐体22の外部へ流出する出側開口26と、を備える。
【0042】
本実施形態に係る冷蔵庫2では、急速冷凍ダクト20の筐体22内に備えられた冷却ファン28により、蒸発器12を通過し吹出口16Aから流出した気体の流速を上げて、筐体22の出側開口26から冷凍室4内に供給することができる。これにより、冷凍室4内の自動製氷ユニット50が取り外された領域を効率的に冷却して、有効に使える冷凍収納領域を確実に増やすことができ、確実に急速冷凍が実施可能になる。
【0043】
特に、本実施形態に係る冷蔵庫2は、自動製氷ユニット50及び急速冷凍ダクト20を制御する制御部60と、自動製氷ユニット50のユニット側コネクタ56と着脱可能な状態で接続する製氷用コネクタ18と、を備え、急速冷凍ダクト20は、着脱可能な状態で製氷用コネクタ18と接続するダクト側コネクタ30を備え、制御部60は、自動製氷ユニット50が取り外された領域に急速冷凍ダクト20が取り付けられ、ダクト側コネクタ30が製氷用コネクタ18に接続された状態で、互いに接続された製氷用コネクタ18及びダクト側コネクタ30を介して、冷却ファン28のファンモータ28Aに電力を供給する制御を行うようになっている。
【0044】
このように、本実施形態では、自動製氷ユニット50に電力を供給する製氷用コネクタ18に着脱可能なダクト側コネクタ30を用いて、確実に冷却ファン28のファンモータ28Aに電力を供給することができる。
【0045】
(急速冷凍ダクトからの気体の流れ)
本実施形態に係る急速冷却ダクト20では、冷却ファン28の吐出方向が、略水平な製氷用ダクト16の吹出口16Aから気体が流出する方向と異なる。具体的には、図1に示すように、吹出口16Aからの気体の流出方向に対して、15度以上45度以下の範囲の角度(図1のθ=15度~45度)をなして下側に向いている。これにより、吹出口16Aより下側に配置された収納容器44の内部をはじめとする、より大きな収納領域に冷気を供給することができる。これにより、冷凍室4内の自動製氷ユニット50が取り外された領域を確実に効率的に冷却することができる。
【0046】
(ダクト側コネクタに接続されハーネス)
図4は、ダクト側コネクタ30に接続され、逆極性防止用ダイオード34が装着されたハーネス32を電気的に示す回路図である。急速冷却ダクト20に固定されたダクト側コネクタ30が冷蔵庫2側に固定された製氷用コネクタ18に接続されるとき、コネクタの極性が正負逆に接続される虞がある。仮に、コネクタの極性が正負逆に接続されたまま通電すると、冷却ファン28のファンモータ28Aが逆転する不具合が生じる。これに対処するため、本実施形態では、ハーネス32に逆極性防止用ダイオード34が装着されている。逆極性防止用ダイオード34がファンモータ28Aと直列に繋がるように装着されている。
【0047】
この逆極性防止用ダイオード34により、コネクタが正しく接続された場合には電流が流れ、コネクタの極性が正負逆に接続された場合には電流が流れないようになっている。
【0048】
(急速冷凍ダクトの制御)
図5は、本発明の1つの実施形態に係る急速冷却ダクト20を制御する制御システムの一例を示すブロック図である。図6は、ダクト側コネクタ30が製氷用コネクタ18に接続されて実施される急速冷凍プロセスの制御処理を示すフローチャートである。次に、図5及び図6を参照しながら、急速冷却ダクト20を制御する制御システム及び制御方法を説明する。
【0049】
<冷却機構を制御する制御システム>
制御部60は、冷蔵庫2の制御装置の一部を構成し、冷凍室4や冷蔵室の冷却を行う圧縮機6及び冷蔵庫側ファン14を制御する。更に、製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が接続されている場合には、自動製氷ユニット50の駆動モータ54Aを制御する。一方、製氷用コネクタ18にダクト側コネクタ30が接続されている場合には、急速冷却ダクト20のファンモータ28Aを制御する。
【0050】
制御部60は、製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が接続されているか否か判別できる。製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が接続されているか否かの判別は、検出端子から検出信号を発信する方法、端子間抵抗の変化を検出する方法をはじめとする任意の方法を採用できる。
【0051】
<急速冷凍プロセスの制御処理>
図6に示す制御フローでは、冷蔵庫2の冷凍室4を覆う前方の扉(Fドア)を開かれたとき、常に、製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が取り付けているか否かを確認する制御処理を行う。図6において、まず、前方の扉(Fドア)を開かれたか否か判断する(ステップS2)。この判断で、前方の扉(Fドア)が開かれていない(NO)と判別したときには、この判断処理を繰り返す。ステップS2の判断で、もし、前方の扉(Fドア)が開かれた(YES)と判別したときには、次に、製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が接続されているか否か判断する(ステップS4)。
【0052】
この判断で、もし、製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が接続されている(YES)と判別したときには、自動製氷ユニット50を用いた製氷のための制御処理を実施する(ステップS6)。そして、前方の扉(Fドア)が開かれたときには(S2)、製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が接続されているか否かの判断を行う(ステップS4)。
【0053】
ステップS4の判断で、もし、製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が接続されていない(NO)と判別したときには、製氷用コネクタ18にダクト側コネクタ30が接続されていると仮定して、冷却ファン28の稼働・停止のための制御処理を行う。
【0054】
まず、使用者のスイッチ操作による急速冷凍オンの信号を受信したか否かを判断する(ステップS8)。この判断で、もし、急速冷凍オンの信号を受信していない(NO)と判別したときには、待機状態となる。つまり、ファンモータ28Aが停止した状態が継続される。ステップS8の判断で、もし、急速冷凍オンの信号を受信した(YES)と判別したときには、次に、ファンモータ28Aに対する給電を開始し、ファンモータ28Aが正回転して冷却ファン28が稼働する(ステップS10)。仮に、製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が接続されていない場合には、給電を行う制御処理は実施されるが、実際にファンモータ28Aには電気が流れず、冷却ファン28は稼働しない。
【0055】
次に、使用者のスイッチ操作による急速冷凍オフの信号を受信したか否かを判断する(ステップS12)。この判断で、もし、急速冷凍オフの信号を受信していない(NO)と判別したときには、待機状態となる。つまり、ファンモータ28Aが回転した状態が継続され、急速冷凍が継続される。ステップS12の判断で、もし、急速冷凍オフの信号を受信した(YES)と判別したときには、ファンモータ28Aに対する給電を停止し、ファンモータ28Aの回転が停止して冷却ファン28の稼働が停止する(ステップS14)。
【0056】
そして、前方の扉(Fドア)を開かれたか否かの判断を行う(ステップS16)。この判断で、もし、前方の扉(Fドア)が開かれていない(NO)と判別したときには、ステップS8からS14に示す冷却ファン28の稼働・停止のための制御処理を繰り返す。ステップS16の判断で、もし、前方の扉(Fドア)が開かれた(YES)と判別したときには、ステップS4に戻り、再び、製氷用コネクタ18にユニット側コネクタ56が接続されているか否か判断を行い、上記の制御処理を繰り返す。
【0057】
上記の制御処理では、使用者のスイッチ操作による急速冷凍オン・オフの信号に基づいて、冷却ファン28の稼働・停止の制御が行われているが、これに限られるものではない。例えば、冷凍室4内に設置された温度センサ、好ましくは収納容器44が配置された領域に設置された温度センサの測定データに基づいて、制御部60が急速冷凍オン・オフの信号を発信し、その急速冷凍オン・オフの信号に基づいて、冷却ファン28の稼働・停止を制御することも考えられる。そのとき、圧縮機6、冷蔵庫側ファン14の制御と関連付けて、冷却ファン28の制御を行うのが好ましい。
【0058】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0059】
2 冷蔵庫
4 冷凍室
6 圧縮機
10 冷却流路
12 蒸発器
14 冷蔵庫側ファン
16 製氷用ダクト
16A 吹出口
18 製氷用コネクタ
20 急速冷却ダクト
22 筐体
22A スライドベース
24 入側開口
26 出側開口
28 冷却ファン
28A ファンモータ
30 ダクト側コネクタ
32 ハーネス
34 逆電力防止ダイオード
40 仕切板
42 スライド受部
44 収納容器
50 自動製氷ユニット
52 製氷皿
54 駆動部
54A 駆動モータ
56 ユニット側コネクタ
60 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6