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  • 特開-分岐クランプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156308
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】分岐クランプ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/32 20060101AFI20241029BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20241029BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H02G3/32
F16B2/10 E
F16B2/08 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070664
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】田中 良明
【テーマコード(参考)】
3J022
5G363
【Fターム(参考)】
3J022DA30
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC03
3J022EC22
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB08
3J022FB10
3J022GA16
3J022GB23
3J022HA03
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】複数の引出部から引き出される幹線及び分岐線の径の違いにそれぞれ対応することができる分岐クランプを提供する。
【解決手段】幹線が配置される幹線部7と幹線から分岐する分岐線が配置される分岐部9とを有し、一面側に幹線と分岐線とを収容可能な開口部11が設けられた本体3と、開口部11を閉塞可能に設けられた蓋体5とを備えた分岐クランプ1において、蓋体5を、少なくとも幹線及び分岐線が本体3から外部に引き出される複数の引出部19に対応して、複数に分割した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹線が配置される幹線部と前記幹線から分岐する分岐線が配置される分岐部とを有し、一面側に前記幹線と前記分岐線とを収容可能な開口部が設けられた本体と、
前記開口部を閉塞可能に設けられた蓋体と、
を備え、
前記蓋体は、少なくとも前記幹線及び前記分岐線が前記本体から外部に引き出される複数の引出部に対応して、複数に分割されている分岐クランプ。
【請求項2】
前記蓋体は、ヒンジ部を介して前記本体に開閉可能に設けられている請求項1に記載の分岐クランプ。
【請求項3】
前記本体には、前記幹線から分岐する前記分岐線を沿わせて前記分岐線を前記分岐部にガイドするガイド部が設けられている請求項1又は2に記載の分岐クランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分岐クランプとしては、幹線が配置される幹線部と幹線から分岐する分岐線が配置される分岐部とをそれぞれ有するように分割された一対の半割り体を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この分岐クランプでは、一対の半割り体が、ヒンジ部を介して、幹線と分岐線とを収容可能な互いの開口部を開閉可能に設けられている。このような分岐クランプでは、一方の半割り体に幹線と分岐線とを配置した後、他方の半割り体で開口部を閉塞し、幹線及び分岐線が一対の半割り体から外部に引き出された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-294320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の分岐クランプでは、一対の半割り体の3箇所において、幹線及び分岐線が外部に引き出される引出部となっている。一対の半割り体は、それぞれ連続する1つの部材からなるので、例えば、互いに係合する係合部を段階的に係合可能として幹線及び分岐線の径の違いを吸収する吸収構造を、1つの引出部に対応させることしかできない。このため、複数の引出部において、引き出される幹線及び分岐線の径の違いをそれぞれ吸収することができなかった。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、複数の引出部から引き出される幹線及び分岐線の径の違いにそれぞれ対応することができる分岐クランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る分岐クランプは、幹線が配置される幹線部と前記幹線から分岐する分岐線が配置される分岐部とを有し、一面側に前記幹線と前記分岐線とを収容可能な開口部が設けられた本体と、前記開口部を閉塞可能に設けられた蓋体とを備え、前記蓋体は、少なくとも前記幹線及び前記分岐線が前記本体から外部に引き出される複数の引出部に対応して、複数に分割されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の引出部から引き出される幹線及び分岐線の径の違いにそれぞれ対応することができる分岐クランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る分岐クランプの斜視図である。
図2】本実施形態に係る分岐クランプの蓋体を開いたときの斜視図である。
図3】本実施形態に係る分岐クランプの蓋体を開いたときの斜視図である。
図4】本実施形態に係る分岐クランプの第1幹線引出部に最小の径の幹線を配置したときの側面図である。
図5】本実施形態に係る分岐クランプの第1幹線引出部に最大の径の幹線を配置したときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る分岐クランプについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る分岐クランプ1は、例えば、車両に配索されるワイヤハーネス(不図示)に適用される。ワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載された電源と機器との間、或いは機器と機器との間など、電気部品の間を電気的に接続する。ワイヤハーネスは、幹線(不図示)と、幹線から分岐する分岐線(不図示)とを有する。
【0011】
分岐クランプ1は、ワイヤハーネスにおいて、幹線の分岐線が位置する部分に配置される。分岐クランプ1から外部に露出される幹線及び分岐線の外周には、コルゲートチューブ(不図示)が配置される。コルゲートチューブは、外周面に周方向に連続する複数の凹凸が長さ方向に沿って設けられ、屈曲可能となっている。コルゲートチューブを配置することにより、周辺部材との干渉を防止するように、幹線及び分岐線が保護される。
【0012】
図1図5に示すように、分岐クランプ1は、本体3と、蓋体5とを備えている。
【0013】
図1図5に示すように、本体3は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。本体3は、幹線が配置される幹線部7と、分岐線が配置される分岐部9とを有するように、全体としてT字状に形成されている。本体3の幹線部7と分岐部9とは、連続する一部材で形成され、周方向の一部が開口された開口部11を有するように、筒状に形成されている。幹線部7及び分岐部9には、内面から内部に向けて突出し、周方向に連続して形成されたリブ13が複数設けられている。リブ13は、コルゲートチューブの外面の凹部に係合され、コルゲートチューブの移動を規制し、コルゲートチューブを分岐クランプ1に保持する。本体3の外面には、例えば、車両のパネルやワイヤハーネスの製造時に用いられる製造治具などの孔に挿入されて分岐クランプ1を固定する固定部15が外方に向けて突出して設けられている。
【0014】
本体3には、幹線部7の分岐部9が位置する部分に、内面から内部に向けて突出する軸状のガイド部17が複数(ここでは2つ)設けられている。ガイド部17は、ワイヤハーネスを製造するときに、本体3が固定部15を介して製造治具に固定された状態で適用される。ガイド部17は、幹線部7に幹線が配置された状態で、幹線から分岐する分岐線を沿わせて分岐部9に分岐線をガイドする。本体3にガイド部17を設けることにより、幹線から分岐線を形成させた後に、本体3に幹線及び分岐線を配置させる工程を省略することができる。このため、分岐クランプ1を分岐線を形成させる製造治具として用いることができ、製造コストを低減することができる。
【0015】
本体3の幹線部7及び分岐部9の分岐クランプ1の外部側は、幹線及び分岐線が外部に引き出される引出部19となっている。幹線部7の両側の引出部19は、それぞれ幹線が分岐クランプ1から引き出される第1幹線引出部21と第2幹線引出部23となっている。分岐部9の引出部19は、分岐線が分岐クランプ1から引き出される分岐引出部25となっている。本体3の開口部11は、幹線部7及び分岐部9に幹線及び分岐線が収容されるように配置され、幹線及び分岐線がコルゲートチューブを挿通した状態で、蓋体5によって閉塞される。
【0016】
蓋体5は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。蓋体5は、本体3の開口部11を閉塞可能となっている。蓋体5は、ヒンジ部27を介して本体3に開閉可能に設けられている。蓋体5は、少なくとも複数(ここでは3つ)の引出部19に対応して、複数(ここでは3つ)に分割されている。複数の蓋体5は、第1幹線引出部21に配置される第1幹線蓋体29と、第2幹線引出部23に配置される第2幹線蓋体31と、分岐引出部25に配置される分岐蓋体33とを備えている。
【0017】
第1幹線蓋体29は、本体3の幹線部7が位置する開口部11に対して、第1幹線引出部21と幹線部7の中央とに位置する開口部11を閉塞可能な形状に形成されている。第1幹線蓋体29は、第1幹線ヒンジ部35を介して開口部11を開閉可能に本体3と連続する一部材で形成されている。第1幹線蓋体29には、内面から内部に向けて突出し、周方向に連続して形成されたリブ13が複数設けられている。リブ13は、コルゲートチューブの外面の凹部に係合され、コルゲートチューブの移動を規制し、コルゲートチューブを分岐クランプ1に保持する。第1幹線蓋体29の第1幹線引出部21側には、第1幹線引出部21の第1幹線被係合部37に対して、段階的に係合可能な第1幹線係合部39が設けられている。第1幹線係合部39は、第1幹線蓋体29が本体3の開口部11を閉塞した状態で、第1幹線被係合部37に係合される。第1幹線被係合部37と第1幹線係合部39との係合により、第1幹線蓋体29が本体3の開口部11を閉塞した状態が保持される。第1幹線被係合部37と第1幹線係合部39とを段階的に係合させることにより、第1幹線引出部21から引き出される幹線(コルゲートチューブ)の径の違いを吸収することができる。
【0018】
第2幹線蓋体31は、本体3の幹線部7が位置する開口部11に対して、第2幹線引出部23と幹線部7の中央とに位置する開口部11を閉塞可能な形状に形成されている。第2幹線蓋体31は、第2幹線ヒンジ部41を介して開口部11を開閉可能に本体3と連続する一部材で形成されている。第2幹線蓋体31には、内面から内部に向けて突出し、周方向に連続して形成されたリブ13が複数設けられている。リブ13は、コルゲートチューブの外面の凹部に係合され、コルゲートチューブの移動を規制し、コルゲートチューブを分岐クランプ1に保持する。第2幹線蓋体31の第2幹線引出部23側には、第2幹線引出部23の第2幹線被係合部43に対して、段階的に係合可能な第2幹線係合部45が設けられている。第2幹線係合部45は、第2幹線蓋体31が本体3の開口部11を閉塞した状態で、第2幹線被係合部43に係合される。第2幹線被係合部43と第2幹線係合部45との係合により、第2幹線蓋体31が本体3の開口部11を閉塞した状態が保持される。第2幹線被係合部43と第2幹線係合部45とを段階的に係合させることにより、第2幹線引出部23から引き出される幹線(コルゲートチューブ)の径の違いを吸収することができる。
【0019】
分岐蓋体33は、本体3の分岐部9が位置する開口部11を閉塞可能な形状に形成されている。分岐蓋体33は、分岐ヒンジ部47を介して開口部11を開閉可能に本体3と連続する一部材で形成されている。分岐蓋体33には、内面から内部に向けて突出し、周方向に連続して形成されたリブ13が複数設けられている。リブ13は、コルゲートチューブの外面の凹部に係合され、コルゲートチューブの移動を規制し、コルゲートチューブを分岐クランプ1に保持する。分岐蓋体33には、分岐引出部25の分岐被係合部49に対して、段階的に係合可能な分岐係合部51が設けられている。分岐係合部51は、分岐蓋体33が本体3の開口部11を閉塞した状態で、分岐被係合部49に係合される。分岐被係合部49と分岐係合部51との係合により、分岐蓋体33が本体3の開口部11を閉塞した状態が保持される。分岐被係合部49と分岐係合部51とを段階的に係合させることにより、分岐引出部25から引き出される分岐線(コルゲートチューブ)の径の違いを吸収することができる。
【0020】
このように蓋体5を複数(ここでは3つ)の引出部19に対応して、複数(ここでは3つ)に分割することにより、それぞれの引出部19において、幹線及び分岐線(コルゲートチューブ)の径の違いを独立して吸収することができる。例えば、第1幹線引出部21において、図4に示すように、幹線53(コルゲートチューブ)の径が最小である場合には、第1幹線係合部39が、第1幹線被係合部37の深い位置に係合する。一方、幹線55(コルゲートチューブ)の径が最大である場合には、第1幹線係合部39が、第1幹線被係合部37の浅い位置に係合する。このような係合をそれぞれの引出部19で行うことにより、幹線及び分岐線(コルゲートチューブ)の径の違いを独立して吸収することができる。このため、複数の引出部19から引き出される幹線及び分岐線の径の違いにそれぞれ対応することができる。
【0021】
このような分岐クランプ1の組付けは、まず、本体3から蓋体5を開いた状態で、本体3を固定部15を介して製造治具(不図示)に固定する。次に、幹線部7に幹線を配置し、幹線からガイド部17に沿って分岐線を形成し、分岐線を分岐部9に配置する。次に、分岐クランプ1から露出する幹線及び分岐線の外周にコルゲートチューブを配置する。そして、本体3の開口部11を閉塞するように、第1幹線蓋体29と第2幹線蓋体31と分岐蓋体33とを閉じて、分岐クランプ1の組付けを完了する。
【0022】
このような分岐クランプ1では、幹線が配置される幹線部7と幹線から分岐する分岐線が配置される分岐部9とを有し、一面側に幹線と分岐線とを収容可能な開口部11が設けられた本体3を備えている。また、開口部11を閉塞可能に設けられた蓋体5を備えている。そして、蓋体5は、少なくとも幹線及び分岐線が本体3から外部に引き出される複数の引出部19に対応して、複数に分割されている。
【0023】
蓋体5を複数の引出部19に対応して、複数に分割することにより、それぞれの引出部19において、幹線及び分岐線の径の違いを独立して吸収することができる。
【0024】
従って、このような分岐クランプ1では、複数の引出部19から引き出される幹線及び分岐線の径の違いにそれぞれ対応することができる。
【0025】
また、蓋体5は、ヒンジ部27を介して本体3に開閉可能に設けられている。
【0026】
このため、本体3と蓋体5とを1つの部材として取り扱うことができ、部品点数を削減することができる。
【0027】
また、本体3には、幹線から分岐する分岐線を沿わせて分岐線を分岐部9にガイドするガイド部17が設けられている。
【0028】
本体3にガイド部17を設けることにより、幹線から分岐線を形成させた後に、本体3に幹線及び分岐線を配置させる工程を省略することができる。このため、分岐クランプ1を分岐線を形成させる製造治具として用いることができ、製造コストを低減することができる。
【0029】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0030】
例えば、蓋体は、複数の引出部と同数となるように、3つに分割されているが、これに限らず、例えば、4つ以上に分割するなど、複数の引出部以上であれば、蓋体をどのように分割してもよい。
【0031】
また、分岐部は、1つとなっているが、これに限らず、幹線から分岐する分岐線が2本以上である場合には、分岐線に合わせて、分岐部を2つ以上としてもよい。
【0032】
さらに、ガイド部は、軸状に形成されているが、これに限らず、例えば、湾曲面を有する突部など、分岐線を分岐部にガイドできる形状であれば、ガイド部はどのような形状であってもよい。
【0033】
また、蓋体は、ヒンジ部を介して本体と一体に設けられているが、これに限らず、蓋体を本体と別体で形成し、蓋体を本体に組付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 分岐クランプ
3 本体
5 蓋体
7 幹線部
9 分岐部
11 開口部
17 ガイド部
19 引出部
27 ヒンジ部
図1
図2
図3
図4
図5