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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156319
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】掛け布団
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/02 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A47G9/02 B
A47G9/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070684
(22)【出願日】2023-04-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】520113413
【氏名又は名称】安徽華興羽絨制品有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】505329808
【氏名又は名称】有限会社エルーチーリビング
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洪 宇
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102BA04
3B102BA07
3B102BA08
3B102BA10
3B102BA12
(57)【要約】
【課題】位置ずれしにくい掛け布団を提供する。
【解決手段】本発明の掛け布団10は、中央部分20と、中央部分20の少なくとも一部を囲む周囲部分30とに区画され、周囲部分30に充填される第2の充填材31は、中央部分20に充填される第1の充填材21よりも目付が大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部と、前記中央部の少なくとも一部を囲む周囲部分とに区画され、
前記周囲部分に充填される第2の充填材は、前記中央部に充填される第1の充填材よりも目付が大きい、掛け布団。
【請求項2】
前記第2の充填材は、平均直径が1mm以下の粒状体を含む、請求項1に記載の掛け布団。
【請求項3】
前記第2の充填材は、前記粒状体を含む粒状体層と、前記粒状体層を上下から挟んで支持する上下の支持層とを含む、請求項2に記載の掛け布団。
【請求項4】
上側の前記支持層の上面および下側の前記支持層の下面に積層され、クッション性を有するシート層を備える、請求項3に記載の掛け布団。
【請求項5】
上側の前記シート層の上面および下側の前記シート層の下面に積層され、前記粒状体層と前記支持層と前記シート層とを保護する保護層を備える、請求項4に記載の掛け布団。
【請求項6】
前記中央部にはキルティングが施され、前記周囲部分にはキルティングが施されない、請求項1に記載の掛け布団。
【請求項7】
前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分からなる、請求項1に記載の掛け布団。
【請求項8】
前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分と、長さ方向の両側とに設けられる第3および第4の各周囲部分とからなり、
前記第3および第4の各周囲部分は、それぞれ、前記第1の周囲部分に連続する一方側部分と、第2の周囲部分に連続する他方側部分とからなり、前記一方側部分と前記他方側部分との間は前記中央部が位置する、請求項1に記載の掛け布団。
【請求項9】
前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分と、長さ方向の一方側に前記第1および第2の各周囲部分に連続して設けられる第3の周囲部分とからなる、請求項1に記載の掛け布団。
【請求項10】
前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分と、長さ方向の両側に前記第1および第2の各周囲部分に連続して設けられる第3および第4の各周囲部分とからなる、請求項1に記載の掛け布団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掛け布団に関する。
【背景技術】
【0002】
掛け布団として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この掛け布団は、充填材が充填されてキルト加工されており、縦キルト線及び/又は横キルト線が曲線状に設けられている。これらのキルト線により形成した各区画の面積(体積)をそれぞれ異ならせ、当該面積(体積)に応じた量の充填材を充填する。これにより、掛け布団と体とのフィッティング性、保温性、寝姿の美しさを向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3212011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の掛け布団は、就寝中に使用者が静止している場合には体にフィットするものの、使用者が寝返り等で体を動かすと浮き上がって体から離れ、体からずれたり剥がれたりしやすい。
【0005】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、位置がずれにくい掛け布団を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0007】
項1: 中央部と、前記中央部の少なくとも一部を囲む周囲部分とに区画され、
前記周囲部分に充填される第2の充填材は、前記中央部に充填される第1の充填材よりも目付が大きい、掛け布団。
【0008】
項2:前記第2の充填材は、平均直径が1mm以下の粒状体を含む、項1に記載の掛け布団。
【0009】
項3:前記第2の充填材は、前記粒状体を含む粒状体層と、前記粒状体層を上下から挟んで支持する上下の支持層とを含む、項2に記載の掛け布団。
【0010】
項4:上側の前記支持層の上面および下側の前記支持層の下面に積層され、クッション性を有するシート層を備える、項3に記載の掛け布団。
【0011】
項5:上側の前記シート層の上面および下側の前記シート層の下面に積層され、前記粒状体層と前記支持層と前記シート層とを保護する保護層を備える、項4に記載の掛け布団。
【0012】
項6:前記中央部にはキルティングが施され、前記周囲部分にはキルティングが施されない、項1から5のいずれか1項に記載の掛け布団。
【0013】
項7:前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分からなる、項1から6のいずれか1項に記載の掛け布団。
【0014】
項8:前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分と、長さ方向の両側とに設けられる第3および第4の各周囲部分とからなり、
前記第3および第4の各周囲部分は、それぞれ、前記第1の周囲部分に連続する一方側部分と、第2の周囲部分に連続する他方側部分とからなり、前記一方側部分と前記他方側部分との間に前記中央部が位置する、項1から6のいずれか1項に記載の掛け布団。
【0015】
項9:前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分と、長さ方向の一方側に前記第1および第2の各周囲部分に連続して設けられる第3の周囲部分とからなる、項1から6のいずれか1項に記載の掛け布団。
【0016】
項10:前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分と、長さ方向の両側に前記第1および第2の各周囲部分に連続して設けられる第3および第4の各周囲部分とからなる、項1から6のいずれか1項に記載の掛け布団。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、位置がずれにくい掛け布団を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る掛け布団の全体の概略構成を示す平面図である。
図2図1のA-A線に沿う断面図である。
図3】掛け布団の他の実施形態を示す平面図である。
図4】掛け布団の他の実施形態を示す平面図である。
図5】掛け布団の他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(全体構成)
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態の掛け布団10を平面から見た図であり、掛け布団10は矩形状である。以下の説明では、幅方向の長さL1が150cm、長さ方向の長さL10が210cmのシングルサイズの掛け布団10を例に説明する。なお、本発明の掛け布団10はシングルサイズに限定されず任意のサイズであってよく、例えば、幅方向の長さL1が170cmのセミダブルサイズ、190cmのダブルサイズ、210cmのクイーンサイズ、230cmのキングサイズであってもよい。いずれのサイズも長さ方向の長さL10は210cmであることが多い。なお、特に断らない限り、図1における左右方向に沿う方向を幅方向といい、図1における上下方向に沿う方向を長さ方向という。また、図2における上下方向に沿う方向を上下方向または厚み方向という。なお、図1~5は実際の掛け布団を表したものではなく、説明のために用いられるものである。例えば、図2において、表地11と裏地12と第1の充填材21、第2の充填材31との間の隙間は存在しない場合もある。
【0020】
掛け布団10は、表地11と裏地12との周囲を縫い合わせて内部の空間である室22,36に第1、第2の各充填材21、31を充填したものである。図1に示すように、掛け布団10は、中央部分20と、中央部分20の少なくとも一部を囲む周囲部分30A、30B(特に区別しないときは「周囲部分30」ともいう)とに区画されている。中央部分20と周囲部分30とは表地11と裏地12とを縫い合わせた縫い目(キルティング)13により区画される。中央部分20に充填される第1の充填材21は、周囲部分30に充填される第2の充填材31よりも目付(言い換えると、単位体積当たりの質量)が小さい。
【0021】
(中央部分20)
中央部分20の室22には第1の充填材21が充填される。第1の充填材21は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル綿、ポリエステル綿を含む混綿等の素材がカード加工されたシート状材であってもよい。この場合、シート状材である第1の充填材21が中央部分20の室22に充填される。また、第1の充填材21は、羽毛などの天然繊維やポリエステルなどから構成される合成繊維等(以下、「繊維」という)であってもよい。繊維長さは3mm以下であることが好ましい。繊維は吹き込みにより中央部分20の室22に充填される。中央部分20には、平面からみて幅方向および長さ方向に沿って複数のキルティング23が施されており、本実施形態では、幅方向に沿って伸びる横キルティング23が5本、長さ方向に沿って伸びる縦キルティング23が2本施されている。キルティング23により中央部分20に複数の室22が形成される。複数の室22を形成することで、第1の充填材21が中央部分20の内部を移動して偏りが生じることを防ぐ。
【0022】
なお、キルティング23は必ずしも直線に施される必要はなく、また本数も限定されない。例えば、図3に示すように、長さ方向に沿って延び、掛け布団10の中央に向けて凸となる曲線であってもよい。また、キルティング23は幅方向に沿って延び、掛け布団10の中央に向けて凸となる曲線であってもよく、直線と曲線が組み合わされたものであってもよく、任意の形状のキルティング23が施されてもよい。
【0023】
中央部分20の第1の充填材21の目付(単位:gsm(g/m))は、100以上、800以下が好ましく、より好ましくは200以上、700以下であり、本実施形態では、350以上、500以下となるように設定している。
【0024】
(周囲部分30)
本実施形態においては、周囲部分30は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分30A、30Bからなる。第1および第2の各周囲部分30A、30Bのそれぞれの幅方向の長さL2は、掛け布団10の幅方向の長さL1の1/30以上、1/6以下、より好ましくは、1/10以上、1/15以下に設定される。本実施形態では、第1および第2の各周囲部分30A、30Bのそれぞれの幅方向の長さL2は、掛け布団10の幅方向の長さL1の1/10、すなわち15cmに設定されている。
【0025】
第1および第2の各周囲部分30A、30Bのそれぞれの室36には第2の充填材31が充填される。図2に示すように、第2の充填材31は、粒状体32aを含む粒状体層32と、粒状体層32を上側および下側から挟んで粒状体32aを支持する支持層33と、上側の支持層33の上面および下側の支持層33の下面に積層される上下のシート層34と、上側のシート層34の上面および下側のシート層34の下面に積層される保護層35とを備える積層体から構成される。第2の充填材31は、この積層体を第1および第2の各周囲部分30A、30Bの大きさに合わせてカットしたものである。積層体の側面には、各層32、33、34、35を覆うヘム部38を設けている。ヘム部38は、帯状の布地や不織布から構成され、上下の保護層35の端部とヘム部38とは縫い合わせられている。なお、ヘム部38を設けず、積層体の端部において上下の保護層35同士を縫い合わせてもよい。
【0026】
第2の充填材31の厚みL3(上下方向の長さ)は約25mmであるが、厚みは、粒状体層32、支持層33、シート層34、保護層35の各厚みL4、L5、L6、L7を調整することで任意の厚みに設定できる。第2の充填材31は可撓性およびクッション性を有している。可撓性とは、常温常圧下において柔軟性を有し、力を加えても、せん断したり破断したりすることなしに、撓みや、屈曲、折り曲げ等の変形が可能な性質をいう。クッション性とは、圧縮変形性があり、圧縮時に反発力が生じる性質をいう。
【0027】
粒状体層32は、上下の支持層33の間に配置される粒状体32aからなる層である。粒状体32aは、掛け布団10の使用者が掛け布団10の周囲部分30に触れたときに粒状体32aが含まれることを強く感じない程度の大きさが好ましく、平均直径、すなわち粒状体層32の厚みL4が1.5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。また、第2の充填材21の単位体積当たりの質量を第1の充填材21の単位体積当たりの質量より大きくするために、粒状体32aの素材は比重が0.9以上の物質が用いられることが好ましく、4以上であることがより好ましい。また、粒状体32aは、掛け布団10の通常の使用時において周囲部分30に圧力が加わったときに破壊されない程度の硬度を有することが好ましい。粒状体32aの素材の例として、ガラスビーズ(比重4.6)、鉄(比重7.87)等の金属、セラミック(比重2.5~3.9)、ポリプロピレン(PP)(比重0.9)、ポリエステル(比重1.38)等が挙げられる。本実施形態では粒状体層32の粒状体32aとしてガラスビーズを用いている。ガラスビーズは、比重が4.6、直径が約0.8mm以上、約1.2mm以下であり平均直径が約1.0mmである。粒状体層32の目付は1400gsm(g/m)であり、粒状体層32の厚みL4はガラスビーズの直径である約1.0mmに設定されている。しかし、粒状体層32はこれに限定されるものではない。
【0028】
上下の支持層33は不織布を素材とするシート材より構成されており、支持層33は粒状体32aを上下から挟んでいる。支持層33と粒状体32aとの接触により粒状体32aと支持層33との間に摩擦力が発生し、この摩擦力により粒状体32aを支持し、粒状体32aが上下の支持層33の間で大きく移動するのを防いでいる。特に、上下の支持層33により、掛け布団10を畳むときに重力により粒状体32aが下方向に移動し、粒状体32aが周囲部分30内で偏ることを防ぐ。本実施形態では各支持層33の厚みL5は約1mm、目付が40gsm(g/m)、に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0029】
上下のシート層34は綿を素材とするシート材から構成される。なお、素材は樹脂綿、合成繊維、天然繊維であってもよい。本実施形態では各シート層34の厚みL6は約10mm、目付が140gsm(g/m)、に設定されるが、これに限定されるものではない。シート層34により、周囲部分30がクッション性を有する。また、万が一、粒状体32aが支持層33を突き破って外側に出た場合でも、粒状体32aはシート層34により保持され、第2の充填材31から落下しない。
【0030】
上下の保護層35はシート材により構成されている。シート材の素材はポリエステル等の人口繊維からなる布地であってもよい。各保護層35は粒状体層32、支持層33、シート層34を保護するためのものである。本実施形態では各保護層35の厚みL7は約1mm、目付が105gsm(g/m)、に設定されているが、これに限定されるものではない。なお、保護層35はシート層34の上下面だけではなく、シート層34、支持層33、粒状体層32の側面を覆ってもよい。これにより粒状体32aが第2の充填材31の端部から落下するのを防ぐことができる。なお、第2の充填材31をさらに布地や不織布からなるカバーで覆ってもよい。
【0031】
第1および第2の各周囲部分30A、30Bにはキルティング23は施されておらず、第1および第2の各周囲部分30A、30Bはそれぞれ、内部に1つの室36を有している。すなわち、第1および第2の各周囲部分30A、30Bは、それぞれ、キルティング23により内部が複数の室36に区画されたり区切られたりしていない。
【0032】
周囲部分30(第1および第2の各周囲部分30A、30B)の第2の充填材31の目付(単位:gsm(g/m))は、1000以上、4000以下が好ましく、より好ましくは1500以上、3500以下であり、本実施形態では、1970となるように設定している。
【0033】
第1および第2の各周囲部分30A、30Bに充填される第2の充填材31は、中央部分20に充填される第1の充填材21よりも目付が大きい。言い換えると、第2の充填材31は第1の充填材21よりも単位体積当たりの質量が大きい。第2の充填材31は粒状体32aを含み第1の充填材21よりも目付が大きくなる。第1の充填材21の目付に対する第2の充填材31の目付の比(第2の充填材31の目付/第1の充填材21の目付)は、2以上、40以下が好ましく、2以上、18以下がより好ましく、2以上、10以下がさらに好ましい。第2の充填材31の目付は、掛け布団10として就寝を妨げない程度の重さであり、かつ掛け布団10が体に対して移動しにくい観点から設定される。
【0034】
本実施形態によれば、第1および第2の各周囲部分30A、30Bに充填される第2の充填材31は、中央部分20に充填される第1の充填材21よりも単位体積当たりの質量が大きいため、掛け布団10の周囲部分30が中央部分20よりも重くなる。このため、使用者が就寝中に寝返りを打っても掛け布団10の周囲部分30は持ち上がりにくく、使用者の体に対して位置ずれしにくい。
【0035】
粒状体32aは支持層33により上下より挟まれているため、粒状体32aは支持層33との摩擦力により支持層33の間にしっかりと支持され、自由に移動することが防がれる。また、第2の充填材31は支持層33の上下にシート層34を備えているため、粒状体32aが支持層33を突き破って飛び出しても粒状体32aはシート層34により保持される。
【0036】
さらに、周囲部分30と中央部分20とを区画するためのキルティング13は施されているものの、周囲部分30には内部を区切ったり室36を複数形成するようなキルティング23が施されていない。周囲部分30にキルティング23が施されると、第2の充填材31は表地11、裏地12に縫い付けられ、このキルティング23(縫い目)の隙間から粒状体32aが掛け布団10の外に出てしまうことがある。しかし、本実施形態においては、周囲部分30にはキルティング23が施されていないので、キルティング23の隙間から粒状体32aが掛け布団10の外に出てしまうことが防がれる。また、第2の充填材31の粒状体32aは平均直径が1mm以下の非常に小さいものを用いているため、使用者が周囲部分30に触れてもごつごつした印象を受けず、触り心地が悪化しない。
【0037】
(他の実施形態)
図3に本発明の他の実施形態を示す。図3の実施形態は、図1の実施形態と周囲部分30の形状および中央部分20のキルティング23の形状が異なっている。図3の実施形態の周囲部分30は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分30A、30Bと、長さ方向の両側に設けられる第3および第4の各周囲部分30C、30Dとからなる。第3および第4の各周囲部分30C、30Dは、それぞれ、幅方向に沿って延び第1の周囲部分30Aに連続する一方側部分37Aと、幅方向に沿って延び第2の周囲部分30Bに連続する他方側部分37Bとからなる。言い換えると、一方側部分37Aと他方側部分37Bとは幅方向において連続しておらず、一方側部分37Aと他方側部分37Bとの間に中央部分20が位置する。第3および第4の各周囲部分30C、30Dの一方側部分37Aおよび他方側部分37Bには、第2の充填材31が充填されている。
【0038】
第3および第4の各周囲部分30C、30Dの一方側部分37Aおよび他方側部分37Bは、本実施形態では幅方向の長さL8が15cm、長さ方向の長さL9が15cmに設定されているが、これに限定されない。例えば、第3の周囲部分30Cと第4の周囲部分30Dとにおいて、幅方向の長さL8、長さ方向の長さL9がそれぞれ異なっていてもよい。また、本実施形態では、第3および第4の各周囲部分30C、30Dの長さ方向の長さL9は第1および第2の各周囲部分30A、30Bの幅方向の長さL2と同じに設定しているが、長さL2よりも小さくまたは大きく設定してもよい。
【0039】
また、中央部分20のキルティング23は、本実施形態では、長さ方向に沿って延び、掛け布団10の中央に向けて凸となる曲線状であり、長さ方向に沿って線対称のキルティング23が幅方向に2本ずつ合計4本設けられている。しかし、キルティング23の本数や形状はこれに限定されない。
【0040】
上記の構成によれば、第1および第2の各周囲部分30A、30Bに加え、掛け布団10の長さ方向の両側に中央部分20よりも目付(単位体積あたりの質量)が大きい第3および第4の各周囲部分30C、30Dを設けているので、掛け布団10がよりずれにくくなる。また、第3および第4の各周囲部分30C、30Dの間の中央部分20に首や胸回りが位置するように掛け布団10を使用することで、使用者は第3および第4の各周囲部分30C、30Dの質量による息苦しさや重圧感を感じにくい。その他の構成については、図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0041】
図4に本発明の他の実施形態を示す。図4の実施形態は、図1の実施形態と周囲部分30の形状が異なっている。周囲部分30は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分30A、30Bと、長さ方向の一方側に、第1および第2の各周囲部分30A、30Bと連続して設けられる第3の周囲部分30とからなる。第1から第3の各周囲部分30A~30Cは連続して形成されて連続した1つの室36を有していてもよいが、キルティングにより第1から第3の各周囲部分30A~30Cがそれぞれ室36を有していてもよい。本実施形態では第3の周囲部分30の長さ方向の長さL9は15cmに設定されているが、これに限定されない。また、図1の実施形態とはキルティング23の本数が異なっており、本実施形態では、幅方向に沿って伸びる横キルティング23が5本、長さ方向に沿って伸びる縦キルティング23が3本施されている。
【0042】
上記の構成によれば、第1および第2の各周囲部分30A、30Bに加え、掛け布団10の長さ方向の一方側に中央部分20よりも目付(単位体積あたりの質量)が大きい第3の周囲部分30を設けているので、掛け布団10がよりずれにくくなる。また、周囲部分30が設けられていない長さ方向の他方側に首や胸回りが位置するように掛け布団10を使用することで、使用者は周囲部分30の質量による息苦しさや重圧感を感じにくい。その他の構成については、図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0043】
図5に本発明の他の実施形態を示す。図5の実施形態は、図1の実施形態と周囲部分30の形状が異なっている。図5の実施形態の周囲部分30は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分30A、30Bと、長さ方向の両側に、幅方向の全長にわたって設けられる第3および第4の各周囲部分30C、30Dとからなる。第1から第4の各周囲部分30A~30Dは連続して形成されて連続した1つの室36を有していてもよいが、キルティングにより第1から第4の各周囲部分30A~30Dがそれぞれ室36を有していてもよい。本実施形態では、第3および第4の各周囲部分30C、30Dの長さ方向の長さL9は15cmに設定されているが、これに限定されない。例えば、第3の周囲部分30Cと第4の周囲部分30Dとの長さ方向の長さL9は異なっていてもよい。また、本実施形態では、第3および第4の各周囲部分30C、30Dの長さ方向の長さL9は第1および第2の各周囲部分30A、30Bの幅方向の長さL2と同じに設定しているが、長さL2よりも小さくまたは大きく設定してもよい。
【0044】
また、図1の実施形態とはキルティング23の本数が異なっており、本実施形態では、幅方向に沿って伸びる横キルティング23が4本、長さ方向に沿って伸びる縦キルティング23が3本施されている。
【0045】
上記の構成によれば、第1および第2の各周囲部分30A、30Bに加え、掛け布団10の長さ方向の両側に中央部分20よりも目付(単位体積あたりの質量)が大きい第3および第4の各周囲部分30C、30Dを設けているので、掛け布団10がよりずれにくくなる。その他の構成については、図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0046】
なお、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。「同じ」、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。四角形状、円形の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。「平行」「直交」とは、実質的に「平行」「直交」であることを意味し、厳密に「平行」「直交」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。
【符号の説明】
【0047】
10 掛け布団
20 中央部分20
21 第1の充填材
22 室
23 キルティング
30(30A~30D) 周囲部分(第1~第4の周囲部分)
31第2の充填材
32 粒状体層
32a 粒状体
33 支持層
34 シート層
35 保護層
36 室
37A 一方側部分
37B 他方側部分
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部と、前記中央部の少なくとも一部を囲む周囲部分とに区画され、
前記周囲部分に充填される第2の充填材は、前記中央部に充填される第1の充填材よりも目付が大きく、
前記第2の充填材は、粒状体を含む粒状体層を備える積層体であり、前記粒状体の平均直径、すなわち前記粒状体層の厚みが1.5mm以下である、掛け布団。
【請求項2】
前記第2の充填材は、前記粒状体層を上下から挟んで支持する上下の支持層とを含む、請求項に記載の掛け布団。
【請求項3】
上側の前記支持層の上面および下側の前記支持層の下面に積層され、クッション性を有するシート層を備える、請求項に記載の掛け布団。
【請求項4】
上側の前記シート層の上面および下側の前記シート層の下面に積層され、前記粒状体層と前記支持層と前記シート層とを保護する保護層を備える、請求項に記載の掛け布団。
【請求項5】
前記中央部にはキルティングが施され、前記周囲部分にはキルティングが施されない、請求項1に記載の掛け布団。
【請求項6】
前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分からなる、請求項1に記載の掛け布団。
【請求項7】
前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分と、長さ方向の両側とに設けられる第3および第4の各周囲部分とからなり、
前記第3および第4の各周囲部分は、それぞれ、前記第1の周囲部分に連続する一方側部分と、第2の周囲部分に連続する他方側部分とからなり、前記一方側部分と前記他方側部分との間は前記中央部が位置する、請求項1に記載の掛け布団。
【請求項8】
前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分と、長さ方向の一方側に前記第1および第2の各周囲部分に連続して設けられる第3の周囲部分とからなる、請求項1に記載の掛け布団。
【請求項9】
前記周囲部分は、幅方向の両側に長さ方向の全長にわたって設けられる第1および第2の各周囲部分と、長さ方向の両側に前記第1および第2の各周囲部分に連続して設けられる第3および第4の各周囲部分とからなる、請求項1に記載の掛け布団。