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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156331
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/47 20200101AFI20241029BHJP
   D06F 33/06 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
D06F33/47
D06F33/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070704
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】荒井 英行
(72)【発明者】
【氏名】八田 聡
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA04
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE12
3B167AE14
3B167BA08
3B167BA12
3B167BA82
3B167KA63
3B167KA71
3B167KA90
3B167LA23
3B167LC02
3B167LC09
3B167LD12
3B167LE04
3B167LE07
3B167LF11
3B167LF30
(57)【要約】
【課題】噛み込みを高精度に検知すると共に、噛み込みを検知した際において、以降の制御を的確に実施すること。
【解決手段】ドラム式洗濯機1は、水槽12と、回転ドラム10と、モータ14と、制御部30と、を備える。そして、制御部30は、脱水工程において、モータ電流検知部40により検知されたモータ14の電流値が所定のモータ電流閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、洗濯物の噛み込みが発生していると判定することと、噛み込みが発生している場合において、温度検知部41により検知された温度に応じて、水槽12内に水が供給された状態で回転ドラム10を回転駆動させる噛み込み解消運転の態様を決定することと、決定した態様に応じて回転ドラム10が回転駆動するようにモータ14を制御し、態様に応じた噛み込み解消運転を行うことと、を実行するように構成されている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
前記水槽内に配置され、水平軸又は水平方向に対して傾斜した傾斜軸を中心に回転可能な回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転駆動するモータと、
前記モータの駆動電流を検知するモータ電流検知部と、
前記モータを実装する基板の温度を検知する温度検知部と、
前記モータを含む制御対象の構成を制御することにより、脱水工程を含む各工程に係る制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記脱水工程において、前記モータ電流検知部により検知された前記モータの電流値が所定のモータ電流閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、洗濯物の噛み込みが発生していると判定することと、
前記噛み込みが発生している場合において、前記温度検知部により検知された温度に応じて、前記水槽内に水が供給された状態で前記回転ドラムを回転駆動させる噛み込み解消運転の態様を決定することと、
決定した前記態様に応じて前記回転ドラムが回転駆動するように前記モータを制御し、前記態様に応じた前記噛み込み解消運転を行うことと、を実行するように構成されている、ドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記温度検知部により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、前記温度検知部により検知された温度が前記温度閾値を下回っている場合と比較して、前記噛み込み解消運転における前記回転ドラムの回転速度が遅くなるように前記態様を決定する、請求項1記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
前記水槽内に水を供給するための給水弁を更に備え、
前記制御部は、
前記温度検知部により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、前記温度検知部により検知された温度が前記温度閾値を下回っている場合と比較して、前記水槽内に供給される水の水位が高くなるように前記態様を決定し、
決定した前記態様に応じて前記水槽内に水が供給されるように前記給水弁を制御し、前記態様に応じた前記噛み込み解消運転を行う、請求項1又は2記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記噛み込みが解消していない状況において連続的に実施される前記噛み込み解消運転の実施に応じた値をカウントすることと、
カウントした前記実施に応じた値の累計値が所定の実施回数上限以上となった場合に、停止制御を行うことと、を更に実行するように構成されている、請求項1又は2記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
前記制御部は、
前記温度検知部により検知された温度が前記温度閾値以上である場合において、前記温度検知部により検知された温度が前記温度閾値を下回っている場合と比較して、前記噛み込み解消運転の実施に応じた値として大きな値をカウントする、請求項4記載のドラム式洗濯機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記温度検知部により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、通常のすすぎ工程における前記回転ドラムの回転速度よりも前記噛み込み解消運転における前記回転ドラムの回転速度が遅くなるように前記態様を決定する、請求項2記載のドラム式洗濯機。
【請求項7】
前記制御部は、
前記温度検知部により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、通常のすすぎ工程における前記水槽内に供給される水の水位よりも前記噛み込み解消運転における前記水槽内に供給される水の水位が高くなるように前記態様を決定する、請求項3記載のドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、ドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム式洗濯機では、例えばドアガラスとドアパッキンとの隙間等において、洗濯物の噛み込みが発生する場合がある。噛み込みが発生した状態で脱水運転が実施されると、脱水回転数が低下し、脱水性能及び乾燥性能が低下する。また、噛み込みが発生した状態で運転が継続されると、ドアパッキンの破れ(削れ)による水漏れが発生したり、モータ等に長時間過電流が流れることにより異常温度上昇が生じ部品故障の原因になることがある。
【0003】
上述した噛み込みを防止するための構成として、水槽の開口部に噛み込み防止部材を設ける構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-68803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような噛み込み防止部材が設けられている構成においても、洗濯物の量や種類、状態によっては、噛み込みが発生する場合があった。このため、噛み込みを検知すると共に、噛み込みを検知した際において、噛み込みの解消等の以降の制御を的確に実施することが求められている。
【0006】
本発明の一態様は上記実情に鑑みてなされたものであり、噛み込みを高精度に検知すると共に、噛み込みを検知した際において、噛み込みの解消等の以降の制御を的確に実施することができるドラム式洗濯機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るドラム式洗濯機は、水槽と、水槽内に配置され、水平軸又は水平方向に対して傾斜した傾斜軸を中心に回転可能な回転ドラムと、回転ドラムを回転駆動するモータと、モータの駆動電流を検知するモータ電流検知部と、モータを実装する基板の温度を検知する温度検知部と、モータを含む制御対象の構成を制御することにより、脱水工程を含む各工程に係る制御を行う制御部と、を備える。そして、制御部は、脱水工程において、モータ電流検知部により検知されたモータの電流値が所定のモータ電流閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、洗濯物の噛み込みが発生していると判定することと、噛み込みが発生している場合において、温度検知部により検知された温度に応じて、水槽内に水が供給された状態で回転ドラムを回転駆動させる噛み込み解消運転の態様を決定することと、決定した態様に応じて回転ドラムが回転駆動するようにモータを制御し、態様に応じた噛み込み解消運転を行うことと、を実行するように構成されている。
【0008】
本発明の一態様に係るドラム式洗濯機では、脱水工程においてモータの電流値がモータ電流閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、洗濯物の噛み込みが発生していると判定される。このように、噛み込み発生時に上昇するモータの電流値に応じて、噛み込みが発生しているか否かが判定されることにより、高精度に噛み込みを検知することができる。また、単にモータの電流値が大きくなっているか否かのみではなく、モータの電流値が大きくなっている状態が所定時間以上継続している場合に噛み込みが発生していると判定されることによって、より高精度に噛み込みを検知することができる。そして、本発明の一態様に係るドラム式洗濯機では、噛み込みが発生している場合において、モータを実装する基板の温度に応じて、水槽内に水が供給された状態で回転ドラムを回転させる噛み込み解消運転の態様が決定され、決定した態様に応じて噛み込み解消運転が行われる。モータを実装する基板の温度は、噛み込みの度合いに応じて高くなる。このため、上記温度に応じて噛み込み解消運転の態様が決定されることにより、噛み込みの度合いに応じて的確な噛み込み解消運転を実施することができる。以上のように、本発明の一態様に係るドラム式洗濯機によれば、噛み込みを高精度に検知すると共に、噛み込みを検知した際において、噛み込みの解消等の以降の制御を的確に実施することができる。
【0009】
制御部は、温度検知部により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、温度検知部により検知された温度が温度閾値を下回っている場合と比較して、噛み込み解消運転における回転ドラムの回転速度が遅くなるように態様を決定してもよい。検知された温度が高いほど、噛み込みの度合いが高いことが想定される。このような噛み込みの度合いが高い場合に噛み込み解消運転における回転ドラムの回転速度が遅くされることにより、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制することができる。
【0010】
上記ドラム式洗濯機は、水槽内に水を供給するための給水弁を更に備え、制御部は、温度検知部により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、温度検知部により検知された温度が温度閾値を下回っている場合と比較して、水槽内に供給される水の水位が高くなるように態様を決定し、決定した態様に応じて水槽内に水が供給されるように給水弁を制御し、態様に応じた噛み込み解消運転を行ってもよい。検知された温度が高く噛み込みの度合いが高い場合に噛み込み解消運転時の水位が高くされることにより、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制することができる。
【0011】
制御部は、噛み込みが解消していない状況において連続的に実施された噛み込み解消運転の実施に応じた値をカウントすることと、カウントした実施に応じた値の累計値が所定の実施回数上限以上となった場合に、停止制御を行うことと、を更に実行するように構成されていてもよい。このように、所定の回数以上噛み込み解消運転を実施しても噛み込みが解消されない場合に停止制御が行われることにより、噛み込みが解消される見込みがない場合に運転を停止して、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制すると共に、運転の停止後に人手等によって噛み込みの解消を試みることができる。
【0012】
制御部は、温度検知部により検知された温度が温度閾値以上である場合において、温度検知部により検知された温度が温度閾値を下回っている場合と比較して、噛み込み解消運転の実施に応じた値として大きな値をカウントしてもよい。これにより、検知された温度が高く噛み込みの度合いが高い場合には早期に停止制御が行われることになる。このことで、噛み込みの度合いが高く洗濯物の損傷等が生じやすい場合に、早期に停止制御を行うことができる。
【0013】
制御部は、温度検知部により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、通常のすすぎ工程における回転ドラムの回転速度よりも噛み込み解消運転における回転ドラムの回転速度が遅くなるように態様を決定してもよい。検知された温度が高く噛み込みの度合いが高い場合に噛み込み解消運転時の回転ドラムの回転速度が遅くされることにより、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制することができる。
【0014】
制御部は、温度検知部により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、通常のすすぎ工程における水槽内に供給される水の水位よりも噛み込み解消運転における水槽内に供給される水の水位が高くなるように態様を決定してもよい。検知された温度が高く噛み込みの度合いが高い場合に噛み込み解消運転時の水位が高くされることにより、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、噛み込みを高精度に検知すると共に、噛み込みを検知した際において、噛み込みの解消等の以降の制御を的確に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係るドラム式洗濯機の縦断面図である。
図2図2は、図1に示されるドラム式洗濯機のブロック回路図である。
図3図3は、図2に示される全体制御部のハードウェア構成図である。
図4図4は、噛み込み時及び正常時のモータ電流及びモータ回転速度の一例を示す表である。
図5図5は、噛み込み時及び正常時のモータ電流を示すグラフである。
図6図6は、脱水工程の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更をすることが可能である。
【0018】
[ドラム式洗濯機]
図1は、本実施形態に係るドラム式洗濯機1の縦断面図である。ドラム式洗濯機1は、回転ドラム10と、水槽12と、モータ14と、を含む水槽ユニットを備えている。
【0019】
回転ドラム10は、水槽12内に配置されており、水平方向に対して傾斜した傾斜軸13を中心に回転可能に構成されている。回転ドラム10の傾斜軸13は、ドラム式洗濯機1の正面側から背面側に向けて下向きに傾斜している。なお、回転ドラム10は、水平方向の水平軸を中心に回転可能に構成されていてもよい。回転ドラム10は、有底円筒形に形成されている。回転ドラム10の外周部には、多数の通水孔11が形成されている。回転ドラム10の内壁面には、洗濯物を攪拌するための複数の突起板15が設けられている。
【0020】
モータ14は、傾斜軸13における水槽12の背面側に取り付けられており、回転ドラム10を回転駆動する。モータ14は、ベルト39を介して傾斜軸13に連結されている。モータ14が動作することにより、回転ドラム10が正転又は逆転方向に回転駆動する。モータ14は、例えばIPM(Interior Permanent Magnet)モータである。
【0021】
水槽12は、回転ドラム10を収容している。水槽12は、回転ドラム10と同様に傾斜している。水槽12は、ドラム式洗濯機1の外観を構成する筐体16の内部において支持されている。水槽12は、例えば、筐体16から延びるばね体21及び防振ダンパー22によって、揺動自在に支持されている。ばね体21は、例えば、筐体16の上部の内壁面から水槽12の上部の外壁面に向かって延びている。防振ダンパー22は、例えば、筐体16の下部の内壁面から水槽12の下部の外壁面に向かって延びている。
【0022】
筐体16の正面部は、中央部から上部にかけて傾斜し、上向き傾斜面とされている。当該上向き傾斜面に、洗濯物の投入口である開口部17が形成されている。開口部17は、ドアガラス18によって開閉自在に覆われている。開口部17に対向するように、水槽12における洗濯物の投入口である洗濯物出入口19、及び、回転ドラム10における洗濯物の投入口である洗濯物出入口20が形成されている。ドアガラス18が開かれることにより、開口部17、洗濯物出入口19,20を介して回転ドラム10内に洗濯物を入れ、回転ドラム10内から洗濯物を取り出すことができる。ドアガラス18が筐体16の上向き傾斜面に設けられているため、使用者は、腰を屈める度合いを少なくして洗濯物の出し入れを行うことができる。
【0023】
水槽12の下部の内壁面(内底部)には、傾斜軸13の方向に沿って凹状の排水溝23が形成されている。排水溝23の背面側には、排水口24が接続されている。そして、排水口24に排水経路25の一端が接続されている。排水経路25の他端は、排水弁26に接続されている。排水弁26が開かれることにより、水槽12内の洗濯水の排水が行われる。
【0024】
筐体16の上部内方には、給水弁27と、水位検知部29と、制御部30と、が設けられている。なお、これらの構成は、筐体16の上部内方以外の場所に配置されていてもよい。給水弁27は、洗剤ケース28及び給水経路28aを介して水槽12内に洗濯水を供給するために設けられている。水位検知部29は、水槽12内の水位を検知するために設けられている。制御部30は、モータ14を含む制御対象の構成を制御することにより、脱水工程を含む各工程に係る制御を行う。
【0025】
筐体16の正面部の上部(ドアガラス18よりも上方)には、入力設定部33及び表示部34が設けられている。入力設定部33は、使用者が運転コースや水位等を設定し、運転の開始、停止等の指示操作を行う部分である。表示部34は、設定内容及び運転の進行度合い等を表示する部分である。また、表示部34は、動作に何らかの異常があった場合にも、その旨を表示する。
【0026】
次に、ドラム式洗濯機1における動作の一例について説明する。ドラム式洗濯機1においては、使用者がドアガラス18を開いて回転ドラム10内に洗濯物を投入し、洗剤ケース28内に所定量の洗剤を投入した後、運転が開始されると、まず、洗い行程が実施される。
【0027】
洗い行程では、給水弁27が開かれて洗濯水が給水され、当該洗濯水が洗剤ケース28および給水経路28aを介して、洗剤とともに水槽12内に入る。所定の水位まで洗濯水が給水された後、モータ14が制御されて、回転ドラム10が所定の回転速度まで立ち上げられて、正転、休止、反転、休止の動作を繰り返す洗い動作が所定時間実施される。回転ドラム10の回転によって、回転ドラム10内に収容された洗濯物は、回転ドラム10の内周壁に設けられた突起板15によって回転方向に持ち上げられ、持ち上げられた適当な高さ位置から落下させられる撹拌動作が繰り返し行われる。これにより、洗濯物には叩き洗いの作用が及ぶこととなる。洗い動作が所定時間行われた後、洗い行程が終了し、第1排水行程が実施される。
【0028】
第1排水行程では、排水弁26が開かれて排水が実施される。この場合、水槽12内の洗濯水は、排水口24、排水経路25及び排水弁26を介して、機外に排水される。その後、第1脱水行程に移行する。
【0029】
第1脱水行程では、回転ドラム10が所定の回転速度まで立ち上げられて、当該所定の回転速度で所定時間回転させられ、洗濯物に含まれた洗濯水が脱水される。第1脱水行程を所定時間行われた後、給水弁27が開かれて、洗剤ケース28及び給水経路28aを介して水槽12内に洗濯水が注水され、第1すすぎ行程が実施される。
【0030】
第1すすぎ行程では、回転ドラム10の回転速度が、所定の回転速度に設定され、正転、休止、反転、休止の動作が繰り返される。これにより、洗濯物が回転ドラム10の内周壁に設けられた突起板15によって回転方向に持ち上げられ、持ち上げられた適当な高さ位置から落下する撹拌動作が繰り返されるすすぎ動作が所定時間実施される。
【0031】
その後、第1排水行程、第1脱水行程、及び第1すすぎ行程と同様に、第2排水行程、第2脱水行程、及び第2すすぎ行程が実施される。さらに、第3排水行程が実施され、その後に、最終脱水行程が実施される。以上が、ドラム式洗濯機1における動作の一例である。
【0032】
[制御部]
図2は、図1に示されるドラム式洗濯機1のブロック回路図である。図2に示されるように、制御部30は、全体制御部31と、モータ制御部32とを含んで構成されている。全体制御部31は、一又は複数のマイクロコンピュータ等により構成されており、電源スイッチ37がON状態とされることにより、商用電源36から電力が供給されて動作する。
【0033】
図3は、図2に示される全体制御部31のハードウェア構成図である。図3に示されるように、全体制御部31は回路190を有する。回路190は、少なくとも一つのプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194と、を含む。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ193は、ドラム式洗濯機1における各種制御を制御部30に実行させるためのプログラムを記憶している。メモリ192は、ストレージ193の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、各機能モジュールを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に応じて各構成との間で電気信号の入出力を行う。
【0034】
全体制御部31は、入力設定部33及び水位検知部29等からの出力を受け付ける(取得する)。すなわち、全体制御部31は、使用者の入力によって入力設定部33に設定された情報を取得する。また、全体制御部31は、水位検知部29によって検知された水槽12内の水位を示す情報を取得する。全体制御部31は、表示する情報を表示部34に出力する。
【0035】
全体制御部31は、入力設定部33において設定された情報、及び、モータ制御部32における制御内容等に応じて、排水弁26及び給水弁27の開閉を制御する(詳細は後述)。また、全体制御部31は、モータ制御部32の電源をON/OFFする信号をモータ制御部32に出力する。
【0036】
モータ制御部32は、モータ14を制御する、モータ制御基板に含まれる制御素子である。モータ制御部32は、双方向サイリスタ及びリレー等を含むパワースイッチング手段を含んでいてもよい。モータ制御部32は、モータ電流検知部40、温度検知部41、回転数検知部14a、及び全体制御部31等からの出力を受け付ける(取得する)。
【0037】
モータ電流検知部40は、モータ14の駆動電流を検知する。モータ電流検知部40は、検知したモータ14の電流をモータ制御部32に出力する。温度検知部41は、モータ14を実装する基板の温度を検知する。温度検知部41は、例えばIPM内臓サーミスタである。温度検知部41は、検知した温度をモータ制御部32に出力する。回転数検知部14aは、モータ14の回転数を検知することで回転ドラム10の回転数を検知する。回転数検知部14aは、検知した回転ドラム10の回転数をモータ制御部32に出力する。モータ電流検知部40、温度検知部41、及び回転数検知部14aは、検知した情報を、所定の時間間隔で継続的にモータ制御部32に出力する。
【0038】
モータ制御部32は、脱水工程において、以下の判定処理、態様決定処理、噛み込み解消運転制御処理を実行する。なお、これらの処理の一部又は全部は、全体制御部31により実行されてもよい。以下では、判定処理の全部、態様決定処理の全部、及び噛み込み解消運転制御処理の一部をモータ制御部32が実行し、噛み込み解消運転制御処理の一部を全体制御部31が実行するとして説明する。
【0039】
判定処理では、モータ制御部32は、モータ電流検知部40により検知されたモータ14の電流値が所定のモータ電流閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、洗濯物の噛み込みが発生していると判定する。ここでの洗濯物の噛み込みとは、例えば、ドアガラス18とドアパッキン(不図示)との隙間において発生する洗濯物の噛み込みである。また、洗濯物の噛み込みとは、回転ドラム10と水槽12との隙間において発生する洗濯物の噛み込みであってもよい。
【0040】
ここでのモータ電流閾値は、例えば、脱水工程の正常時(噛み込みが発生していない状態)において検知される最大電流よりも大きな値が設定される。図4は、噛み込み時及び正常時のモータ電流及びモータ回転速度の一例を示す表である。図4に示される例では、正常時においては、モータ回転速度の指示(設定)が1600rpmである場合に検知される最大電流が2.09Aであり、モータ回転速度の指示(設定)が1400rpmである場合に検知される最大電流が2.01Aであり、モータ回転速度の指示(設定)が1200rpmである場合に検知される最大電流が1.96Aであったことが示されている。また、噛み込み時においては、モータの回転速度の指示(設定)が1200rpmである場合に検知される最小電流が2.35A及び2.30Aであったことが示されている。このような場合には、モータ電流閾値は、正常時において検知される最大電流(2.09A)よりも大きな値が設定されればよい。なお、図4に示されるように、噛み込み時においては、回転数検知部14aによって検知される回転数から導かれる回転速度について、指示とは異なる値となっている(図4中の「指示」列及び「実測」列を参照)。このため、判定処理では、モータ制御部32は、電流値に加えて(或いは電流値に代えて)モータ回転速度の情報を考慮して、洗濯物の噛み込みを判定してもよい。
【0041】
ここでの所定時間は、例えば、噛み込みとは異なる一時的な電流増大と区別できる程度の継続時間が設定される。図5は、噛み込み時及び正常時のモータ電流を示すグラフである。図5において、横軸は時間、縦軸はモータ電流を示している。図5右側の凡例に示されるように、モータの回転速度の指示(設定)が800rpmであり噛み込みが生じている場合、モータの回転速度の指示(設定)が1000rpmであり噛み込みが生じている場合、モータの回転速度の指示(設定)が1200rpmであり噛み込みが生じていない(正常である)場合、モータの回転速度の指示(設定)が1400~1600rpmであり噛み込みが生じていない(正常である)場合、のそれぞれについて、経時的なモータ電流の変化が示されている。いま、モータ電流閾値が2.3Aに設定されているとする。図5に示されるように、正常時においても、一時的にモータ電流閾値を超える場合があるが、正常時においてはその状態が継続されず、概ね30秒程度でモータ電流はモータ電流閾値を下回っている。これに対して、噛み込み時においては、10分以上、モータ電流がモータ電流閾値以上である状態が継続されている。このような継続時間の違いから噛み込み時と正常時とが区別できるように、継続時間の閾値(上述した「所定時間」)が設定されればよい。すなわち、上述した正常時の継続時間(30秒)と噛み込み時の継続時間(10分)との間の時間であって、多少の誤差があっても正常時では継続され得ない時間が設定されればよく、例えば、120秒等が上述した「所定時間」として設定されてもよい。
【0042】
態様決定処理は、上記判定処理において噛み込みが発生していると判定された場合に実施される。態様決定処理では、モータ制御部32は、温度検知部41により検知された温度に応じて、噛み込み解消運転の態様を決定する。噛み込み解消運転とは、噛み込みを解消するために実施される運転であり、すすぎ工程に類似した運転である。噛み込み解消運転は、具体的には、水槽12内に水が供給された状態で回転ドラム10を回転駆動させ、回転ドラム10の正転、休止、反転、休止の動作が繰り返される運転である。
【0043】
モータ制御部32は、温度検知部41により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、温度検知部41により検知された温度が温度閾値を下回っている場合と比較して、噛み込み解消運転における回転ドラム10の回転速度が遅くなるように噛み込み解消運転の態様を決定してもよい。回転ドラム10の回転速度が遅くされることにより、噛み込みが生じている洗濯物の損傷等が抑制される。モータ制御部32は、温度検知部41により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、通常のすすぎ工程における回転ドラム10の回転速度よりも噛み込み解消運転における回転ドラム10の回転速度が遅くなるように噛み込み解消運転の態様を決定してもよい。
【0044】
温度検知部41により検知された温度が高い状態とは、噛み込みの度合いが高い状態である。ここでの温度閾値は、例えば、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じないようにより慎重な運転が求められる噛み込みの度合いに対応する温度が設定される。すなわち、温度閾値は、それ以上温度が上がる(噛み込みの度合いが上がる)と、通常の噛み込み解消運転では洗濯物の損傷等が生じるおそれがあると想定される温度が設定される。温度閾値は、例えば100℃等とされてもよい。
【0045】
温度が所定の温度閾値以上である場合の回転ドラム10の回転速度は、例えば、25~35rpm程度とされてもよい。温度が所定の温度閾値を下回る場合の回転ドラム10の回転速度は、例えば、36~50rpm程度とされてもよい。通常のすすぎ工程における回転ドラム10の回転速度は、例えば51~70rpm程度とされてもよい。
【0046】
モータ制御部32は、温度検知部41により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、温度検知部41により検知された温度が温度閾値を下回っている場合と比較して、水槽12内に供給される水の水位が高くなるように、噛み込み解消運転の態様を決定してもよい。水槽12内に供給される水の水位が高くされることにより、噛み込みが生じている洗濯物の損傷等が抑制される。モータ制御部32は、温度検知部41により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、通常のすすぎ工程における水槽12内に供給される水の水位よりも噛み込み解消運転における水槽12内に供給される水の水位が高くなるように、噛み込み解消運転の態様を決定してもよい。
【0047】
温度が所定の温度閾値以上である場合の水槽12内の水位は、例えば、250mm~270mm程度とされてもよい。温度が所定の温度閾値を下回る場合の水槽12内の水位は、例えば、184mm~240mm程度とされてもよい。通常のすすぎ工程における水槽12内の水位は、例えば184mm~240mm程度とされてもよい。
【0048】
噛み込み解消運転制御処理では、モータ制御部32は、決定した態様に応じて回転ドラム10が回転駆動するようにモータ14を制御し、態様に応じた噛み込み解消運転を行う。モータ制御部32は、態様決定処理において決定した回転速度となるように、モータ14を制御する。モータ制御部32は、所定の時間だけ噛み込み解消運転が行われるように、モータ14を制御してもよい。モータ制御部32は、態様決定処理において決定した態様に応じて、噛み込み解消運転の時間を変えてもよい。
【0049】
噛み込み解消運転制御処理では、全体制御部31は、態様決定処理において決定された態様に応じて水槽12内に水が供給されるように給水弁27を制御する。具体的には、全体制御部31は、態様決定処理において決定された水位になるように水槽12内に水が供給されるよう、給水弁27の開閉を制御する。
【0050】
モータ制御部32は、脱水工程において、更に、噛み込みが解消していない状況において連続的に実施される噛み込み解消運転の実施に応じた値をカウントすることと、カウントした実施に応じた値の累計値が所定の実施回数上限以上となった場合に、停止制御を行うことと、を更に実行するように構成されている。噛み込み解消運転の実施に応じた値とは、噛み込み解消運転が実施されることに応じてカウントされる値である。
【0051】
モータ制御部32は、温度検知部41により検知された温度が温度閾値以上である場合において、温度検知部41により検知された温度が温度閾値を下回っている場合と比較して、噛み込み解消運転の実施に応じた値として大きな値をカウントしてもよい。例えば、モータ制御部32は、温度が所定閾値以上である場合には「2」をカウントし、温度が所定閾値を下回っている場合には「1」をカウントしてもよい。
【0052】
モータ制御部32は、噛み込みが解消していない間においては、カウントした値を累計する。そして、モータ制御部32は、累計値が所定の実施回数上限(例えば4回)以上になった場合に、噛み込み解消運転によっても噛み込みが解消する見込みがなく、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等を生じさせてしまうおそれがあるとして、モータ14をエラー停止させる停止制御を行う。エラー停止させた後においては、例えば人手によって噛み込みの解消を図る等を行うことができる。
【0053】
[脱水工程における処理フロー]
図6は、脱水工程の処理を示すフローチャートである。図6に示されるように、脱水工程がスタートすると、最初に、モータ脱水通電が開始される(ステップS1)。ここでのモータ脱水通電とは、全体制御部31によってモータ制御部32の電源がONされて、通常の脱水工程の水位となるように全体制御部31によって給水弁27が制御され、通常の脱水工程における回転ドラム10の回転速度になるようにモータ制御部32によってモータ14が制御された状態である。
【0054】
つづいて、モータ制御部32によって、モータ電流検知部40により検知されたモータ14の電流値が所定のモータ電流閾値(ここでは2.3A)以上である状態が所定時間(ここでは120秒)以上継続しているか否かが判定される(ステップS2)。ステップS2において、モータ14の電流値が所定のモータ電流閾値以上である状態が所定時間以上継続していないと判定された場合には、脱水工程が継続される(ステップS3)。
【0055】
一方で、ステップS2において、モータ14の電流値が所定のモータ電流閾値以上である状態が所定時間以上継続していると判定された場合には、モータ制御部32によって、その時点で、噛み込みが解消していない状況において連続的に実施される噛み込み解消運転に係るカウントした値の累積値(修正回数カウント)が所定値(ここでは4回)以上になっているか否かが判定される(ステップS4)。修正回数カウントが4回以上になっている場合には、モータ制御部32によって、モータ14がエラー停止させられる(ステップS5)。
【0056】
一方で、ステップS4において、修正回数カウントが4回以上になっていないと判定された場合には、噛み込み解消運転を行うことが決定され、まず、モータ制御部32によって、温度検知部41により検知された温度(IPM温度)が100℃以上であるか否かが判定される(ステップS6)。
【0057】
ステップS6において、温度が100℃以上でないと判定された場合には、通常の噛み込み解消運転が実施されることが決定されて、噛み込み解消運転の態様として、通常の噛み込み解消運転時の回転ドラム10の回転速度及び水槽12の水位とされることが決定される。そして、脱水通電が停止されて(ステップS7)、通常の噛み込み解消運転時の水位となるように全体制御部31によって給水弁27が制御されて給水が行われ(ステップS8)、通常の噛み込み運転時の回転ドラム10(すなわちモータ14)の回転速度(例えば50rpm)により噛み込み解消運転(修正運転)が実施されるようにモータ制御部32によってモータ14が制御される(ステップS9)。このように通常の噛み込み解消運転が実施された場合には、噛み込み解消運転の実施に応じた値として例えば「1」がカウントされる(ステップS10)。そして、再度ステップS1の処理から実施される。
【0058】
ステップS6において、温度が100℃以上であると判定された場合には、噛み込みの度合いが高い場合の噛み込み解消運転が実施されることが決定されて、噛み込み解消運転の態様として、噛み込みの度合いが高い場合の噛み込み解消運転時の回転ドラム10の回転速度及び水槽12の水位とされることが決定される。そして、脱水通電が停止されて(ステップS11)、噛み込みの度合いが高い場合の噛み込み解消運転時の水位となるように全体制御部31によって給水弁27が制御されて給水が行われ(ステップS12)、噛み込みの度合いが高い場合の噛み込み運転時の回転ドラム10(すなわちモータ14)の回転速度(例えば30rpm)により噛み込み解消運転(修正運転)が実施されるようにモータ制御部32によってモータ14が制御される(ステップS13)。このように、噛み込みの度合いが高い場合の噛み込み解消運転が実施された場合には、噛み込み解消運転の実施に応じた値として例えば「2」がカウントされる(ステップS14)。そして、再度ステップS1の処理から実施される。
【0059】
[作用効果]
本実施形態に係るドラム式洗濯機1は、水槽12と、水槽12内に配置され、水平軸又は水平方向に傾斜した傾斜軸13を中心に回転可能な回転ドラム10と、回転ドラム10を回転駆動するモータ14と、モータ14の駆動電流を検知するモータ電流検知部40と、モータ14を実装する基板の温度を検知する温度検知部41と、モータ14を含む制御対象の構成を制御することにより、脱水工程を含む各工程に係る制御を行う制御部30と、を備える。そして、制御部30は、脱水工程において、モータ電流検知部40により検知されたモータ14の電流値が所定のモータ電流閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、洗濯物の噛み込みが発生していると判定することと、噛み込みが発生している場合において、温度検知部41により検知された温度に応じて、水槽12内に水が供給された状態で回転ドラム10を回転駆動させる噛み込み解消運転の態様を決定することと、決定した態様に応じて回転ドラム10が回転駆動するようにモータ14を制御し、態様に応じた噛み込み解消運転を行うことと、を実行するように構成されている。
【0060】
本実施形態に係るドラム式洗濯機1では、脱水工程においてモータ14の電流値がモータ電流閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、洗濯物の噛み込みが発生していると判定される。このように、噛み込み発生時に上昇するモータ14の電流値に応じて、噛み込みが発生しているか否かが判定されることにより、高精度に噛み込みを検知することができる。また、単にモータ14の電流値が大きくなっているか否かのみではなく、モータ14の電流値が大きくなっている状態が所定時間以上継続している場合に噛み込みが発生していると判定されることによって、より高精度に噛み込みを検知することができる。そして、本実施形態に係るドラム式洗濯機1では、噛み込みが発生している場合において、モータ14を実装する基板の温度に応じて、水槽12内に水が供給された状態で回転ドラム10を回転させる噛み込み解消運転の態様が決定され、決定した態様に応じて噛み込み解消運転が行われる。モータ14を実装する基板の温度は、噛み込みの度合いに応じて高くなる。このため、上記温度に応じて噛み込み解消運転の態様が決定されることにより、噛み込みの度合いに応じて的確な噛み込み解消運転を実施することができる。以上のように、本実施形態に係るドラム式洗濯機1によれば、噛み込みを高精度に検知すると共に、噛み込みを検知した際において、噛み込みの解消等の以降の制御を的確に実施することができる。
【0061】
制御部30は、温度検知部41により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、温度検知部41により検知された温度が温度閾値を下回っている場合と比較して、噛み込み解消運転における回転ドラム10の回転速度が遅くなるように態様を決定してもよい。検知された温度が高いほど、噛み込みの度合いが高いことが想定される。このような噛み込みの度合いが高い場合に噛み込み解消運転における回転ドラム10の回転速度が遅くされることにより、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制することができる。
【0062】
上記ドラム式洗濯機1は、水槽12内に水を供給するための給水弁27を更に備え、制御部30は、温度検知部41により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、温度検知部41により検知された温度が温度閾値を下回っている場合と比較して、水槽12内に供給される水の水位が高くなるように態様を決定し、決定した態様に応じて水槽12内に水が供給されるように給水弁27を制御し、態様に応じた噛み込み解消運転を行ってもよい。検知された温度が高く噛み込みの度合いが高い場合に噛み込み解消運転時の水位が高くされることにより、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制することができる。
【0063】
制御部30は、噛み込みが解消していない状況において連続的に実施された噛み込み解消運転の実施に応じた値をカウントすることと、カウントした実施に応じた値の累計値が所定の実施回数上限以上となった場合に、停止制御を行うことと、を更に実行するように構成されていてもよい。このように、所定の回数以上噛み込み解消運転を実施しても噛み込みが解消されない場合に停止制御が行われることにより、噛み込みが解消される見込みがない場合に運転を停止して、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制すると共に、運転の停止後に人手等によって噛み込みの解消を試みることができる。
【0064】
制御部30は、温度検知部41により検知された温度が温度閾値以上である場合において、温度検知部41により検知された温度が温度閾値を下回っている場合と比較して、噛み込み解消運転の実施に応じた値として大きな値をカウントしてもよい。これにより、検知された温度が高く噛み込みの度合いが高い場合には早期に停止制御が行われることになる。このことで、噛み込みの度合いが高く洗濯物の損傷等が生じやすい場合に、早期に停止制御を行うことができる。
【0065】
制御部30は、温度検知部41により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、通常のすすぎ工程における回転ドラム10の回転速度よりも噛み込み解消運転における回転ドラム10の回転速度が遅くなるように態様を決定してもよい。検知された温度が高く噛み込みの度合いが高い場合に噛み込み解消運転時の回転ドラム10の回転速度が遅くされることにより、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制することができる。
【0066】
制御部30は、温度検知部41により検知された温度が所定の温度閾値以上である場合において、通常のすすぎ工程における水槽12内に供給される水の水位よりも噛み込み解消運転における水槽12内に供給される水の水位が高くなるように態様を決定してもよい。検知された温度が高く噛み込みの度合いが高い場合に噛み込み解消運転時の水位が高くされることにより、噛み込み解消運転によって洗濯物の損傷等が生じることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…ドラム式洗濯機、10…回転ドラム、12…水槽、13…傾斜軸、14…モータ、27…給水弁、30…制御部、40…モータ電流検知部、41…温度検知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6