(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156336
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】印刷方法、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 109
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070710
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 友寿
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB27
2C056EB36
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC28
2C056FA09
2C056FB09
2C056FB10
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】ロボットが印刷ヘッドを移動させるとき、駆動振動が生じる。駆動振動によって、インクの着弾位置が変動し、画質が低下する。
【解決手段】印刷方法は、ロボット、前記ロボットに支持されるステージ、及び前記ステージに支持される印刷ヘッドを用いる印刷方法であって、前記印刷ヘッドが前記インクを吐出しているとき、前記ステージは、前記ロボットの駆動によって生じる駆動振動に対して逆位相の補正振動で動作し、前記補正振動は前記ロボットの共振周波数が除去されている。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット、前記ロボットに支持されるステージ、及び前記ステージに支持される印刷ヘッドを用いる印刷方法であって、
前記印刷ヘッドがインクを吐出しているとき、前記ステージは、前記ロボットの駆動によって生じる駆動振動に対して逆位相の補正振動で動作し、
前記補正振動は前記ロボットの共振周波数が除去されている、
印刷方法。
【請求項2】
前記駆動振動に係る着弾データを予め記憶し、
前記着弾データに基づいて、前記補正振動に係る補正データを生成し、
前記補正データに基づいて、前記ステージは、前記補正振動で動作する、
請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記着弾データは、前記印刷ヘッドが所定の方向に移動するときに所定の時間間隔で吐出した前記インクの着弾位置を検出し、前記着弾位置に基づいて生成される、
請求項2に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記駆動振動に係る振動データを予め記憶し、
前記振動データに対して周波数解析を行って周波数データを生成し、
前記補正振動は前記周波数データから前記ロボットの共振周波数が除去されている、
請求項3に記載の印刷方法。
【請求項5】
予め検出した前記駆動振動に基づいて、前記補正振動に係る補正駆動信号を生成し、
前記ロボットの共振周波数を減衰するバンドフィルターを介した前記補正駆動信号に基づいて、前記ステージは前記補正振動で動作する、
請求項1に記載の印刷方法。
【請求項6】
インクを吐出する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを支持するステージと、
前記ステージを支持し、前記ステージに支持された前記印刷ヘッドを搬送するロボットと、
前記印刷ヘッド、前記ステージ、及び前記ロボットを制御する制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、
前記ロボットに前記印刷ヘッドを所定の方向に搬送させながら前記インクを吐出させ、
前記印刷ヘッドが前記インクを吐出するとき、前記ステージは、前記ロボットの駆動によって生じる駆動振動に対して逆位相の補正振動で動作し、
前記補正振動は前記ロボットの共振周波数が除去されている、
印刷装置。
【請求項7】
前記駆動振動に係る着弾データを記憶する記憶ユニットを備え、
前記制御ユニットは、
前記着弾データに基づいて、前記補正振動に係る補正データを生成し、
前記補正データに基づいて、前記ステージに前記補正振動で動作させる、
請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御ユニットは、
前記駆動振動に係る振動データを予め記憶し、
前記振動データに対して周波数解析を行って周波数データを生成し、
前記補正振動は前記周波数データから前記ロボットの共振周波数が除去されている、
請求項6に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷方法、及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットに設けられる印刷ヘッドを用いて印刷を行う印刷方法が知られている。特許文献1に記載されるシステムは、ロボットと、印刷ヘッドと、ピエゾアクチュエーターと、を備える。ロボットは、印刷ヘッドを対象物の表面に移動させる。印刷ヘッドは、ロボットによって移動するときに印刷軌道の印刷を行う。印刷ヘッドは、所定の方向に複数の印刷軌道の印刷を行う。ピエゾアクチュエーターは、印刷ヘッドをロボットに対して相対移動させる。ピエゾアクチュエーターは、印刷軌道間に生じるストリップ形成を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットが印刷ヘッドを移動させるとき、駆動振動が生じる。駆動振動によって、インクの着弾位置が変動し、画質が低下する。特許文献1では、駆動振動によって生じるインクの着弾位置の補正方法は検討されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の印刷方法は、ロボット、前記ロボットに支持されるステージ、及び前記ステージに支持される印刷ヘッドを用いる印刷方法であって、前記印刷ヘッドが前記インクを吐出しているとき、前記ステージは、前記ロボットの駆動によって生じる駆動振動に対して逆位相の補正振動で動作し、前記補正振動は前記ロボットの共振周波数が除去されている。
【0006】
本開示の印刷装置は、インクを吐出する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを支持するステージと、前記ステージを支持し、前記ステージに支持された前記印刷ヘッドを搬送するロボットと、前記印刷ヘッド、前記ステージ、及び前記ロボットを制御する制御ユニットと、を備え、前記制御ユニットは、前記ロボットに前記印刷ヘッドを所定の方向に搬送させながら前記インクを吐出させ、前記印刷ヘッドが前記インクを吐出するとき、前記ステージは、前記ロボットの駆動によって生じる駆動振動に対して逆位相の補正振動で動作し、前記補正振動は前記ロボットの共振周波数が除去されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】多関節ロボットに接続されるエンドエフェクターを示す図。
【
図7】ロボットシステムで実行される制御フローを示す図。
【
図11】プレ印刷データを生成する制御フローを示す図。
【
図12】ロボットシステムで実行される制御フローを示す図。
【
図13】ロボットシステムのブロック構成を示す図。
【
図14】時間周波数解析の解析結果の一例を示す図。
【
図15】フーリエ変換データに対するデータ処理結果の一例を示す図。
【
図16】修正フーリエ変換データに対して逆短時間フーリエ変換を行った結果を示す図。
【
図17】プレ印刷データの一部と修正プレ印刷データの一部を示す図。
【
図18】修正プレ印刷データを生成する制御フローを示す図。
【
図19】ロボットシステムのブロック構成を示す図。
【
図20】ロボットシステムで実行される制御フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、ロボットシステム100の全体構成を示している。ロボットシステム100は、多関節ロボット200と、エンドエフェクター300と、制御装置500と、を備える。ロボットシステム100と制御装置500は、通信可能に接続される。
図1では、ロボットシステム100と制御装置500は、異なる構成として示しているが、制御装置500はロボットシステム100に内蔵されてもよい。ロボットシステム100は、印刷装置の一例に対応する。
【0009】
多関節ロボット200は、6つの駆動軸を有する6軸ロボットである。多関節ロボット200は、基台210と、ロボットアーム220と、ロボットコントローラー230と、を備える。多関節ロボット200は、ロボットの一例に対応する。
【0010】
基台210は、床等の設置面に固定される。基台210は、ロボットアーム220と接続する。基台210は、ロボットアーム220を回転可能に支持する。基台210は、制御装置500と接続するインターフェイス等を備える。
【0011】
ロボットアーム220は、基台210と接続する。ロボットアーム220は、複数のアーム部材を有する。
図1に示すロボットアーム220は、第1アーム221と、第2アーム222と、第3アーム223と、第4アーム224と、第5アーム225と、第6アーム226とで構成される。アーム部材は、6個に限定されない。ロボットアーム220は、2個以上のアーム部材で構成される。
【0012】
第1アーム221は、第1関節J1を介して基台210と接続する。第1関節J1には、第1関節モーターJ1Mと第1関節エンコーダーJ1Eが配置される。第1関節モーターJ1Mは、第1アーム221を回転させる。第1関節エンコーダーJ1Eは、第1関節モーターJ1Mの回転量、もしくは第1アーム221の回動角を検出する。第1関節J1は、ねじり関節である。
【0013】
第2アーム222は、第2関節J2を介して第1アーム221と接続する。第2関節J2には、第2関節モーターJ2Mと第2関節エンコーダーJ2Eが配置される。第2関節モーターJ2Mは、第2アーム222を回転させる。第2関節エンコーダーJ2Eは、第2関節モーターJ2Mの回転量、もしくは第2アーム222の回動角を検出する。第2関節J2は、曲げ関節である。
【0014】
第3アーム223は、第3関節J3を介して第2アーム222と接続する。第3関節J3には、第3関節モーターJ3Mと第3関節エンコーダーJ3Eが配置される。第3関節モーターJ3Mは、第3アーム223を回転させる。第3関節エンコーダーJ3Eは、第3関節モーターJ3Mの回転量、もしくは第3アーム223の回動角を検出する。第3関節J3は、曲げ関節である。
【0015】
第4アーム224は、第4関節J4を介して第3アーム223と接続する。第4関節J4には、第4関節モーターJ4Mと第4関節エンコーダーJ4Eが配置される。第4関節モーターJ4Mは、第4アーム224を回転させる。第4関節エンコーダーJ4Eは、第4関節モーターJ4Mの回転量、もしくは第4アーム224の回動角を検出する。第4関節J4は、ねじり関節である。
【0016】
第5アーム225は、第5関節J5を介して第4アーム224と接続する。第5関節J5には、第5関節モーターJ5Mと第5関節エンコーダーJ5Eが配置される。第5関節モーターJ5Mは、第5アーム225を回転させる。第5関節エンコーダーJ5Eは、第5関節モーターJ5Mの回転量、もしくは第5アーム225の回動角を検出する。第5関節J5は、曲げ関節である。
【0017】
第6アーム226は、第6関節J6を介して第5アーム225と接続する。第6関節J6には、第6関節モーターJ6Mと第6関節エンコーダーJ6Eが配置される。第6関節モーターJ6Mは、第6アーム226を回転させる。第6関節エンコーダーJ6Eは、第6関節モーターJ6Mの回転量、もしくは第6アーム226の回動角を検出する。第6関節J6は、ねじり関節である。第6アーム226は、エンドエフェクター300を支持する。
【0018】
ロボットコントローラー230は、ロボットアーム220の駆動を制御する。ロボットコントローラー230は、第1関節モーターJ1M、第2関節モーターJ2M、第3関節モーターJ3M、第4関節モーターJ4M、第5関節モーターJ5M、及び第6関節モーターJ6Mの駆動を制御する。ロボットコントローラー230は、第1関節エンコーダーJ1E、第2関節エンコーダーJ2E、第3関節エンコーダーJ3E、第4関節エンコーダーJ4E、第5関節エンコーダーJ5E、及び第6関節エンコーダーJ6Eで検出される各アームの回転量、もしくは回動角を取得する。ロボットコントローラー230は、各アームの回転量、もしくは回動角に基づいて各種制御を行う。
【0019】
エンドエフェクター300は、対象物の表面に対してインクを吐出する。エンドエフェクター300は、インクを対象物に吐出することによって、対象物の表面に印刷を行う。エンドエフェクター300の詳細構成は、後述される。
【0020】
制御装置500は、多関節ロボット200及びエンドエフェクター300を制御する。制御装置500は、エンドエフェクター300に含まれる印刷ヘッドユニット310、ステージ駆動機構325等を制御する。印刷ヘッドユニット310、ステージ駆動機構325は、後述される。制御装置500は、多関節ロボット200及びエンドエフェクター300と通信可能に接続する。制御装置500は、多関節ロボット200に動作制御データを送信する。制御装置500は、動作制御データによって、多関節ロボット200の駆動を制御する。制御装置500は、エンドエフェクター300に印刷データを送信する。制御装置500は、印刷データによって、エンドエフェクター300による印刷を制御する。制御装置500は、多関節ロボット200及びエンドエフェクター300から各種データを受信する。制御装置500は、外部装置と通信可能に接続してもよい。制御装置500は、外部装置から画像データ等を受信する。制御装置500は、制御ユニットの一例に対応する。
【0021】
図2は、多関節ロボット200に接続されるエンドエフェクター300を示している。
図2は、多関節ロボット200の一部とエンドエフェクター300とを示している。
図2は、多関節ロボット200に含まれる第4アーム224、第5アーム225、及び第6アーム226を示している。
図2は、エンドエフェクター300に含まれる印刷ヘッドユニット310、及びステージユニット320を示している。
【0022】
図2を含む複数の図は、XYZ座標系を示している。X軸は、印刷ヘッドユニット310がインクを吐出するときに多関節ロボット200の駆動によって移動する方向と平行な軸である。+X方向は、
図2の奥から手前に向かう方向である。-X方向は、
図2の手前から奥に向かう方向である。Y軸は、印刷ヘッドユニット310を支持する移動ステージ323の面内で、X軸と直交する軸である。+Y方向は、ステージ駆動機構325から印刷ヘッドユニット310へ向かう方向である。-Y方向は、印刷ヘッドユニット310からステージ駆動機構325へ向かう方向である。Z軸は、X軸及びY軸と直交する軸である。+Z方向は、
図2の固定ステージ321から第6アーム226へ向かう方向である。-Z方向は、
図2の第6アーム226から固定ステージ321へ向かう方向である。
【0023】
多関節ロボット200は、エンドエフェクター300を対象物に対して印刷可能な位置に移動させる。多関節ロボット200は、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するときに、+X方向もしくは-X方向にエンドエフェクター300を移動させる。印刷ヘッドユニット310は、対象物の表面に対して印刷を行うときに、多関節ロボット200の駆動によって+X方向もしくは-X方向に移動する。印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って印刷を行ったのち、多関節ロボット200は、エンドエフェクター300を+Y方向もしくは-Y方向に移動させる。多関節ロボット200が+Y方向もしくは-Y方向にエンドエフェクター300を移動させたのち、印刷ヘッドユニット310は、対象物の表面に印刷を行う。多関節ロボット200は、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面に印刷を行うときに、エンドエフェクター300を+X方向もしくは-X方向に移動させる。+X方向もしくは-X方向は、所定の方向の一例に対応する。
【0024】
エンドエフェクター300は、対象物の表面に対して印刷を行う。エンドエフェクター300は、第6アーム226の先端に固定される。エンドエフェクター300は、印刷ヘッドユニット310と、ステージユニット320と、を備える。
【0025】
印刷ヘッドユニット310は、対象物の表面にインクを吐出する。印刷ヘッドユニット310は、多関節ロボット200の駆動によって+X方向もしくは-X方向に移動するときに、所定の時間間隔でインクを吐出する。印刷ヘッドユニット310は、印刷ヘッドの一例に対応する。
【0026】
ステージユニット320は、第6アーム226に支持される。ステージユニット320は、印刷ヘッドユニット310を支持する。ステージユニット320は、多関節ロボット200に対して、印刷ヘッドユニット310を相対的に移動させる。ステージユニット320は、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310を移動させる。
図2に示すステージユニット320は、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿って移動させる。ステージユニット320は、固定ステージ321と、移動ステージ323と、ステージ駆動機構325と、を備える。
【0027】
固定ステージ321は、第6アーム226に支持される。固定ステージ321は、直接もしくは他の部材を介して、第6アーム226に固定される。固定ステージ321は、ステージ駆動機構325を介して移動ステージ323を移動可能に支持する。固定ステージ321は、第6アーム226を含む多関節ロボット200と移動ステージ323との間に配置される。
【0028】
移動ステージ323は、固定ステージ321を介して多関節ロボット200に支持される。移動ステージ323は、固定ステージ321に対して移動可能に支持される。移動ステージ323は、印刷ヘッドユニット310を支持する。移動ステージ323は、図示しない開口を有する。開口に印刷ヘッドユニット310は配置される。移動ステージ323は、固定ステージ321の+Y方向の位置で印刷ヘッドユニット310を支持する。移動ステージ323は、ステージの一例に対応する。
【0029】
ステージ駆動機構325は、固定ステージ321に対して移動ステージ323を移動させる。ステージ駆動機構325は、制御装置500の制御に基づいて移動ステージ323を移動させる。
図2に示すステージ駆動機構325は、Y軸に沿って、+Y方向もしくは-Y方向に移動ステージ323を移動させる。ステージ駆動機構325は、Y軸に沿って移動ステージ323を移動させることによって、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿って移動させる。ステージ駆動機構325は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って移動してインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿って移動させる。ステージ駆動機構325は、X軸に沿って、+X方向もしくは-X方向に移動ステージ323を移動させてもよい。ステージ駆動機構325は、X軸に沿って移動ステージ323を移動させることによって、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿って移動させる。ステージ駆動機構325は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って移動してインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿って移動させる。ステージ駆動機構325は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って移動してインクを吐出するときに、移動ステージ323をX軸及びY軸に沿って移動させてもよい。
【0030】
図3は、エンドエフェクター300の概略構成を示している。エンドエフェクター300は、印刷ヘッドユニット310と、ステージユニット320と、を備える。印刷ヘッドユニット310は、液体吐出ヘッド311、及びインクタンク313を有する。ステージユニット320は、固定ステージ321、移動ステージ323、ステージ駆動機構325、ネジ335、及びステージコントローラー350を有する。
【0031】
液体吐出ヘッド311は、対象物に向けてインクを吐出する。液体吐出ヘッド311は、-Z方向の位置に固定された対象物の表面にインクを吐出することによって、印刷を行う。液体吐出ヘッド311は、ステージユニット320を介して、多関節ロボット200に取り付けられる。液体吐出ヘッド311は、多関節ロボット200の駆動により、エンドエフェクター300が+X方向もしくは-X方向に移動するときに、インクを吐出する。液体吐出ヘッド311は、X軸に沿って所定の時間間隔でインクを吐出する。液体吐出ヘッド311は、内部に図示しないインク供給経路、プリントコントローラー340等を有する。液体吐出ヘッド311の対象物と対向するインク吐出面には、複数のノズルが形成される。ノズルは、対象物の表面にインクを吐出する開口である。ノズルは図示されない。
【0032】
インクタンク313は、インクを貯留する。インクタンク313は、インク供給経路と接続し、液体吐出ヘッド311にインクを供給する。
図3に示す印刷ヘッドユニット310は、複数のインクタンク313を有する。複数のインクタンク313のそれぞれは、異なる色のインクを貯留する。複数のインクタンク313は、同色のインクを貯留してもよい。
図3に示す印刷ヘッドユニット310は、4個のインクタンク313を有しているが、これに限定されない。インクタンク313の数は、3個以下でもよいし、5個以上でもよい。インクタンク313の数は、適宜設定される。
【0033】
図3に示す印刷ヘッドユニット310は、インクタンク313を有するが、これに限定されない。インクタンク313に代わり、インク貯留容器が印刷ヘッドユニット310の外部に設けられてもよい。インク貯留容器は、インク流路を介して、液体吐出ヘッド311にインクを供給する。
【0034】
移動ステージ323は、液体吐出ヘッド311を支持する。移動ステージ323の図示しない開口に液体吐出ヘッド311は配置される。開口によって、液体吐出ヘッド311のインク吐出面は、移動ステージ323の-Z方向の位置に配置された対象物と対向する。インク吐出面に形成されるノズルは、対象物の表面にインクを吐出することができる。
【0035】
ステージ駆動機構325は、固定ステージ321と移動ステージ323との間に配置される。ステージ駆動機構325は、支持部327、超音波モーター329、キャリッジ331、及びレール333を有する。
【0036】
支持部327は、移動ステージ323上に配置される。支持部327は、印刷ヘッドユニット310の-Y方向の位置に配置される。支持部327は、キャリッジ331、及びレール333を支持する。
【0037】
超音波モーター329は、移動ステージ323を移動させる駆動力を発生する。超音波モーター329は、ピエゾ駆動することによって、駆動力を発生する。超音波モーター329は、固定ステージ321に対して、移動ステージ323をY軸に沿って、+Y方向もしくは-Y方向に移動させる。
【0038】
キャリッジ331は、固定ステージ321に対して移動ステージ323をY軸に沿って移動させる。キャリッジ331は、超音波モーター329の駆動力によって、移動ステージ323を移動させる。
【0039】
レール333は、支持部327の+Z方向の面に配置される。レール333は、図示しないリニアガイドボールを介して、キャリッジ331と接続する。レール333は、キャリッジ331をY軸に沿ってスライド移動可能に支持する。
【0040】
ネジ335は、第6アーム226と固定ステージ321とを固定する。ネジ335は、第6アーム226と固定ステージ321とを直接、もしくは他の部材を介して固定する。ネジ335が固定ステージ321を第6アーム226に固定することによって、エンドエフェクター300は多関節ロボット200に固定される。
【0041】
ステージコントローラー350は、ステージ駆動機構325の駆動を制御する。ステージコントローラー350は、移動ステージ323の移動タイミング、移動方向、移動量等を制御する。
図3に示すステージコントローラー350は、移動ステージ323上に配置されるが、これに限定されない。ステージコントローラー350の配置位置は、適宜設定される。
【0042】
図3に示すエンドエフェクター300は、移動ステージ323を移動させることによって、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿ってスライド移動させることができる。移動ステージ323による印刷ヘッドユニット310の移動距離は、多関節ロボット200による印刷ヘッドユニット310の搬送距離よりも短い。エンドエフェクター300は、移動ステージ323を移動させることによって、+Y方向もしくは-Y方向のインクの着弾位置のずれを補正することができる。
【0043】
図3に示すエンドエフェクター300は、超音波モーター329を用いて移動ステージ323を移動させるが、この構成に限定されない。移動ステージ323は、圧電駆動、電磁ダイレクト駆動、電磁減速機構等で移動されてもよい。
【0044】
図4は、エンドエフェクター300の概略構成を示している。
図4に示すエンドエフェクター300は、移動ステージ323をX軸及びY軸に沿って移動可能に構成される。
図4に示すエンドエフェクター300は、印刷ヘッドユニット310と、ステージユニット320と、を備える。
図4に示す印刷ヘッドユニット310は、
図3に示す印刷ヘッドユニット310と同じ構成である。
図4に示すステージユニット320は、
図3に示すステージユニット320の構成に加えて、第2移動ステージ361、及び第2キャリッジ363を有している。
図4に示す固定ステージ321、移動ステージ323、ステージ駆動機構325、ネジ335、及びステージコントローラー350は、
図3に示す固定ステージ321、移動ステージ323、ステージ駆動機構325、ネジ335、及びステージコントローラー350と同じ構成である。
【0045】
第2移動ステージ361は、固定ステージ321とステージ駆動機構325との間に設けられる。第2移動ステージ361は、固定ステージ321に移動可能に支持される。第2移動ステージ361は、移動ステージ323を移動可能に支持する。第2移動ステージ361は、第2キャリッジ363を含む第2ステージ駆動機構によって、X軸に沿って+X方向もしくは-X方向にスライド移動する。第2キャリッジ363以外の第2ステージ駆動機構の構成は、図示されない。
【0046】
第2キャリッジ363は、第2ステージ駆動機構に含まれる。第2キャリッジ363は、固定ステージ321に対して第2移動ステージ361をX軸に沿って移動させる。第2キャリッジ363は、図示しない第2超音波モーターの駆動力によって、第2移動ステージ361を移動させる。
【0047】
図4に示すエンドエフェクター300は、移動ステージ323を移動させることによって、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿ってスライド移動させることができる。移動ステージ323による印刷ヘッドユニット310の移動距離は、多関節ロボット200による印刷ヘッドユニット310の搬送距離よりも短い。エンドエフェクター300は、移動ステージ323を移動させることによって、+Y方向もしくは-Y方向のインクの着弾位置のずれを補正することができる。
【0048】
図4に示すエンドエフェクター300は、第2移動ステージ361を移動させることによって、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿ってスライド移動させることができる。第2移動ステージ361による印刷ヘッドユニット310の移動距離は、多関節ロボット200による印刷ヘッドユニット310の搬送距離よりも短い。エンドエフェクター300は、第2移動ステージ361を移動させることによって、+X方向もしくは-X方向のインクの着弾位置のずれを補正することができる。ロボットシステム100は、
図3に示すエンドエフェクター300、もしくは
図4に示すエンドエフェクター300を有して構成される。
【0049】
図5は、インクの着弾位置を模式的に示している。
図5は、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出したときのインクの着弾位置を示している。
図5は、多関節ロボット200が印刷ヘッドユニット310を+X方向に搬送するときに吐出したインクの着弾位置の一例を実着弾位置APとして模式的に示している。実着弾位置APは、対象物の表面に形成されるインクドットを示している。印刷ヘッドユニット310は、所定の時間間隔でインクを対象物の表面に吐出する。
図5は、複数の実着弾位置APと複数の制御着弾位置CPを示している。
図5は、印刷仮想線VLを示している。印刷仮想線VLは、X軸に平行な仮想線である。
【0050】
制御着弾位置CPは、印刷データに基づいて印刷ヘッドユニット310がインクを対象物の表面に吐出するときの想定位置である。制御着弾位置CPは、印刷仮想線VL上に位置する。印刷ヘッドユニット310は、制御着弾位置CPに向けてインクを吐出する。印刷ヘッドユニット310に変位が生じていないと、実着弾位置APは、制御着弾位置CP上に位置する。
【0051】
図5に示すように、実着弾位置APは、制御着弾位置CPと異なる。多関節ロボット200がエンドエフェクター300をX軸に沿って搬送すると、多関節ロボット200に駆動振動が生じる。印刷ヘッドユニット310の位置は、駆動振動によって変位する。印刷ヘッドユニット310の変位によって、インクの実着弾位置APは制御着弾位置CPに対してずれた位置に位置する。実着弾位置APは、制御着弾位置CPに対して、X軸もしくはY軸に沿った方向にずれた位置に位置する。複数の実着弾位置APは、それぞれの制御着弾位置CPに対してずれた位置に位置する。
図5に示すように、k番目の実着弾位置APである第k実着弾位置AP
kは、一例として、k番目の制御着弾位置CPである第k制御着弾位置CP
kに対して、-Y方向にずれた位置に位置する。ここで、kは任意の整数である。
【0052】
図6Aは、着弾位置のずれを模式的に示している。
図6Aは、ロボットシステム100がX軸に対して平行なラインの印刷を行ったときの実着弾位置APのずれを模式的に示している。多関節ロボット200は、X軸に沿って印刷ヘッドユニット310を搬送する。印刷ヘッドユニット310は、所定の時間間隔でインクを対象物の表面に吐出する。
図6Aの横軸は、ラインの印刷を行うときの時間を示している。横軸は、印刷されたX軸に対して平行なラインの内のインクドットの位置に対応する。
図6Aの縦軸は、Y軸に沿った実着弾位置APの印刷仮想線VLに対するずれを変位として示している。
【0053】
多関節ロボット200は、一例として、X軸に沿って+X方向にエンドエフェクター300を搬送する。エンドエフェクター300の搬送中、エンドエフェクター300に配置された印刷ヘッドユニット310は、所定の時間間隔でインクを対象物の表面に吐出する。インクの実着弾位置APは、多関節ロボット200の駆動によって生じる動作振動に起因して、制御着弾位置CPに対してずれた位置に変位する。各実着弾位置APは、インクを吐出するタイミングの印刷ヘッドユニット310の変位方向及び変位量で変動する。各実着弾位置APの変位は、一例として、
図6Aに示すグラフとなる。
図6Aは、インクを吐出するタイミングごとの制御着弾位置CPに対する実着弾位置APの変位を曲線で示している。
図6Aは、動作振動の一例を模式的に示している。動作振動は、駆動振動の一例に対応する。
【0054】
図6Bは、移動ステージ323の動作を模式的に示している。
図6Bは、印刷ヘッドユニット310がX軸に対して平行なラインの印刷を行うときの移動ステージ323の移動方向及び移動量を模式的に示している。
図6Bの横軸は、ラインの印刷を行うときの時間を示している。横軸は、X軸に沿って移動する印刷ヘッドユニット310のX軸に沿った位置に対応する。
図6Bの縦軸は、Y軸に沿った移動ステージ323の移動方向及び移動量を変位として示している。
【0055】
印刷ヘッドユニット310がインクを対象物の表面に吐出するとき、実着弾位置APは、動作振動によって制御着弾位置CPに対して所定の方向及び所定量変位する。印刷ヘッドユニット310がインクを対象物の表面に吐出するとき、移動ステージ323は、実着弾位置APが動作振動によって制御着弾位置CPに対して変位する方向と逆方向に移動する。実着弾位置APが制御着弾位置CPに対して変位する方向と逆方向に移動ステージ323が移動することによって、実着弾位置APの制御着弾位置CPに対する変位が低減する。
図6Bに示すように、移動ステージ323が
図6Aに示す動作振動と逆位相のステージ振動で動作することによって、動作振動によって生じる着弾位置のずれが低減される。
図6Bは、ステージ振動の一例を模式的に示している。ステージ振動は、補正振動の一例に対応する。
【0056】
図7は、ロボットシステム100で実行される制御フローを示している。
図7は、移動ステージ323を用いて、動作振動を低減させる制御フローをフローチャートで示している。
図7に示す制御フローは、制御プログラムを実行することによって行われる。
図7に示す制御フローは、一例として、
図3に示すエンドエフェクター300を有するロボットシステム100で実行される。制御フローは、印刷方法の一例に対応する。
【0057】
制御装置500は、ステップS101で、動作振動を取得する。制御装置500は、動作振動に係るヘッド振動データを取得する。制御装置500は、予めヘッド振動データを取得し、後述する記憶部530に記憶してもよい。制御装置500は、センサー等で印刷ヘッドユニット310の振動を検出し、検出結果に基づいてヘッド振動データを取得してもよい。ヘッド振動データを取得する方法の詳細は、後述される。
【0058】
制御装置500は、動作振動を取得したのち、ステップS103で、移動データを生成する。移動データは、移動ステージ323を移動させるデータである。移動データは、印刷ヘッドユニット310がインクを吐出するときの移動ステージ323を移動させる方向及び移動量を含む。制御装置500は、移動ステージ323をステージ振動で動作させる移動データを生成する。制御装置500は、予め取得したヘッド振動データに基づいて移動データを生成する。もしくは、制御装置500は、センサー等で検出された印刷ヘッドユニット310の振動に基づいて、各タイミングでインクを吐出する直前に、リアルタイムで移動データを生成する。移動データは、補正データの一例に対応する。
【0059】
制御装置500は、移動データを生成したのち、ステップS105で、X軸に沿って印刷ヘッドユニット310を搬送させる。制御装置500は、多関節ロボット200を駆動させて、エンドエフェクター300をX軸に沿って搬送させる。制御装置500は、エンドエフェクター300を搬送させることによって、エンドエフェクター300に配置される印刷ヘッドユニット310を移動させる。多関節ロボット200は、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿った+X方向もしくは-X方向に移動させる。
【0060】
制御装置500は、印刷ヘッドユニット310の移動中に、ステップS107で、移動データに基づいて移動ステージ323を移動させる。制御装置500は、インクを吐出する位置もしくは時間の移動データの制御値を取得する。制御装置500は、インクを吐出する位置もしくは時間の移動ステージ323の移動方向及び移動量を取得する。制御装置500は、取得した移動方向及び移動量で移動ステージ323を移動させる。制御装置500は、多関節ロボット200の駆動によって生じる動作振動と逆位相のステージ振動で移動ステージ323を動作させる。
【0061】
制御装置500は、移動ステージ323を移動させたのち、ステップS109で、インクを吐出させる。制御装置500は、印刷データに基づいてインクを対象物の表面に吐出させる。印刷ヘッドユニット310は、制御着弾位置CPに向けてインクを吐出する。移動ステージ323が印刷ヘッドユニット310を移動させることによって、実着弾位置APと制御着弾位置CPとのずれは低減する。
【0062】
制御装置500は、インクを吐出させたのち、ステップS111で、ラインの印刷が終了したか否かを判定する。制御装置500は、X軸に沿ったインクの吐出が終了したか否かを判定する。
【0063】
制御装置500は、X軸に沿ったインクの吐出が終了したと判定すると、X軸に沿ったラインの印刷を終了する(ステップS111;YES)。制御装置500は、多関節ロボット200を駆動させて、Y軸に沿った+Y方向もしくは-Y方向にエンドエフェクター300を移動させる。または、制御装置500は、印刷を終了させる。
【0064】
制御装置500は、X軸に沿ったインクの吐出が終了していないと判定すると、ステップS105に戻る(ステップS111;NO)。制御装置500は、X軸に沿ったラインの印刷を継続する。制御装置500は、印刷ヘッドユニット310を+Y方向もしくは-Y方向に移動させる。制御装置500は、印刷ヘッドユニット310を+Y方向もしくは-Y方向に移動させたのち、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿って移動させる。制御装置500は、次のラインの印刷を印刷ヘッドユニット310に実行させる。
【0065】
制御フローは、多関節ロボット200、多関節ロボット200に支持される移動ステージ323、及び移動ステージ323に支持される印刷ヘッドユニット310を用いる。印刷ヘッドユニット310は、多関節ロボット200によって+X方向もしくは-X方向に搬送されるときに、所定の時間間隔でインクを吐出する。印刷ヘッドユニット310がインクを吐出しているとき、移動ステージ323は、多関節ロボット200の駆動によって生じる動作振動に対して逆位相のステージ振動で動作する。
移動ステージ323が、多関節ロボット200の駆動に起因する動作振動と逆位相で動作することによって、実着弾位置APと制御着弾位置CPとのずれが減少する。ロボットシステム100が印刷を行ったときの画質の低下が抑えられる。
【0066】
ロボットシステム100は、インクを吐出する印刷ヘッドユニット310と、印刷ヘッドユニット310を支持する移動ステージ323と、移動ステージ323を支持し、移動ステージ323に支持された印刷ヘッドユニット310を搬送する多関節ロボット200と、印刷ヘッドユニット310、移動ステージ323、及び多関節ロボット200を制御する制御装置500と、を備える。制御装置500は、多関節ロボット200に印刷ヘッドユニット310を+X方向もしくは-X方向に搬送させ、多関節ロボット200が印刷ヘッドユニット310を+X方向もしくは-X方向に搬送させるときに、印刷ヘッドユニット310に所定の時間間隔でインクを吐出させ、印刷ヘッドユニット310がインクを吐出するとき、移動ステージ323に多関節ロボット200の駆動によって生じる動作振動に対して逆位相のステージ振動で動作させる。
移動ステージ323が、多関節ロボット200の駆動に起因する動作振動と逆位相で動作することによって、実着弾位置APと制御着弾位置CPとのずれが減少する。ロボットシステム100が印刷を行ったときの画質の低下が抑えられる。
【0067】
第1実施形態
第1実施形態は、予めヘッド振動データを取得し、ヘッド振動データに基づいて移動ステージ323の動作を制御するロボットシステム100を示す。制御装置500は、ヘッド振動データに基づいて生成される移動データを用いて移動ステージ323を動作させる。移動ステージ323の動作によって、ロボットシステム100は、多関節ロボット200の駆動に起因する動作振動の印刷画質への影響を低減させる。
【0068】
図8は、エンドエフェクター300の概略構成を示している。
図8は、+Y方向から見たエンドエフェクター300の概略構成を示している。
図8に示すエンドエフェクター300は、ビジョンカメラ401を除き、
図3に示すエンドエフェクター300と同じ構成である。
【0069】
ビジョンカメラ401は、対象物の表面に吐出されるインクによって生成されるインクドットを検出する。ビジョンカメラ401は、固定ステージ321に支持される。ビジョンカメラ401は、エンドエフェクター300と異なる部材に支持されてもよい。ビジョンカメラ401は、X軸に沿って移動可能に支持される。ビジョンカメラ401は、インクドットをインクの実着弾位置APとして検出する。ビジョンカメラ401は、検出結果を制御装置500に送信する。ビジョンカメラ401は、検出結果に基づいてデータ処理を行ってもよい。ビジョンカメラ401は、データ処理を行うとき、データ処理の処理結果を制御装置500に送信する。
【0070】
ロボットシステム100は、印刷データに基づいて対象物に表面に印刷を行う前に、X軸に沿ったラインの印刷をプレ印刷として行う。プレ印刷では、多関節ロボット200は、エンドエフェクター300をX軸に沿って+X方向もしくは-X方向に搬送する。多関節ロボット200は、エンドエフェクター300を搬送することによって、印刷ヘッドユニット310を+X方向もしくは-X方向に搬送する。印刷ヘッドユニット310が、+X方向もしくは-X方向に搬送されると、印刷ヘッドユニット310は、所定の時間間隔でインクを吐出する。ビジョンカメラ401は、印刷されたインクドットを検出する。
【0071】
図9は、ロボットシステム100のブロック構成を示している。
図9は、第1実施形態のロボットシステム100のブロック構成を示している。
図9は、多関節ロボット200、エンドエフェクター300、及び制御装置500のブロック構成を示している。
【0072】
多関節ロボット200は、ロボットコントローラー230と、アーム駆動機構240と、を有する。多関節ロボット200は、制御装置500から送信される動作制御データに基づいて動作する。
【0073】
ロボットコントローラー230は、アーム駆動機構240を制御するコントローラー回路である。ロボットコントローラー230は、一例として、CPU(Central Processing Unit)を有するプロセッサーである。ロボットコントローラー230は、1又は複数のプロセッサーで構成される。ロボットコントローラー230は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスで構成されてもよい。ロボットコントローラー230は、アーム駆動機構240を制御することによって、ロボットアーム220の動作を制御する。ロボットコントローラー230は、ロボット記憶部231と、アーム制御部233と、を有する。
【0074】
ロボット記憶部231は、多関節ロボット200の動作に係る動作制御データ等を記憶する。ロボット記憶部231は、制御装置500から送信される動作制御データ等を記憶する。ロボット記憶部231は、ロボットコントローラー230で実行されるロボット制御プログラムを記憶する。ロボット制御プログラムは、ロボットコントローラー230をアーム制御部233等の機能部として動作させるプログラムである。ロボット記憶部231は、アーム駆動機構240から送信される各種検出データを記憶する。ロボット記憶部231は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の半導体メモリーで構成される。
【0075】
アーム制御部233は、ロボットコントローラー230で動作する機能部である。アーム制御部233は、ロボットアーム220の動作を制御する。アーム制御部233は、制御装置500から動作制御データを受信する。アーム制御部233は、ロボット記憶部231に記憶される動作制御データを受信してもよい。アーム制御部233は、動作制御データに基づいて、モーター駆動信号等を生成する。アーム制御部233は、モーター駆動信号をアーム駆動機構240に送信し、ロボットアーム220を動作させる。アーム制御部233は、アーム駆動機構240から検出データを受信する。アーム制御部233は、検出データに基づいて、動作制御データもしくはモーター駆動信号を補正する。
【0076】
アーム駆動機構240は、ロボットアーム220を動作させる。アーム駆動機構240は、関節モーター群241及び関節エンコーダー群243を含む。アーム駆動機構240は、関節モーター群241及び関節エンコーダー群243とは異なる機構、センサー等を含んでもよい。
【0077】
関節モーター群241は、第1関節モーターJ1M、第2関節モーターJ2M、第3関節モーターJ3M、第4関節モーターJ4M、第5関節モーターJ5M、及び第6関節モーターJ6Mを含む。関節モーター群241は、アーム制御部233の制御によって、ロボットアーム220の各アーム部材を駆動させる。
【0078】
関節エンコーダー群243は、第1関節エンコーダーJ1E、第2関節エンコーダーJ2E、第3関節エンコーダーJ3E、第4関節エンコーダーJ4E、第5関節エンコーダーJ5E、及び第6関節エンコーダーJ6Eを含む。関節エンコーダー群243は、関節モーター群241に含まれる各モーターの回転量、もしくは関節モーター群241によって駆動する各アーム部材の回動角を測定する。関節エンコーダー群243は、測定した各モーターの回転量、もしくは測定した各アーム部材の回動角をアーム制御部233に送信する。
【0079】
エンドエフェクター300は、液体吐出ヘッド311と、ステージ駆動機構325と、プリントコントローラー340と、ステージコントローラー350と、を有する。液体吐出ヘッド311とプリントコントローラー340は、
図3に示す印刷ヘッドユニット310に含まれる。ステージ駆動機構325とステージコントローラー350は、
図3等に示すステージユニット320に含まれる。
【0080】
液体吐出ヘッド311は、対象物の表面にインクを吐出する。液体吐出ヘッド311は、一例として、インクジェットヘッドである。液体吐出ヘッド311は、対象物と対向する吐出面に複数のノズルを有する。液体吐出ヘッド311は、プリントコントローラー340から送信されるノズル制御信号に基づいて、ノズルからインクを吐出する。
【0081】
プリントコントローラー340は、液体吐出ヘッド311の動作を制御するコントローラー回路である。プリントコントローラー340は、一例として、CPUを有するプロセッサーである。プリントコントローラー340は、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスで構成されてもよい。プリントコントローラー340は、制御装置500から印刷データを受信する。プリントコントローラー340は、印刷データに基づいて、ノズル制御信号を生成する。ノズル制御信号は、各ノズルによるインクの吐出を制御する信号である。プリントコントローラー340は、ノズル制御信号を液体吐出ヘッド311に送信することによって、液体吐出ヘッド311の動作を制御する。
【0082】
ステージ駆動機構325は、移動ステージ323を動作させる。ステージ駆動機構325は、複数の超音波モーター329を含む。ステージ駆動機構325は、超音波モーター329の駆動力によって移動ステージ323をスライド移動させる。ステージ駆動機構325は、ステージコントローラー350からステージ駆動信号を受信する。ステージ駆動機構325は、ステージ駆動信号に基づいて動作する。
【0083】
ステージコントローラー350は、ステージ駆動機構325の動作を制御するコントローラー回路である。ステージコントローラー350は、一例として、CPUを有するプロセッサーである。ステージコントローラー350は、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスで構成されてもよい。ステージコントローラー350は、制御装置500から移動データを受信する。移動データは、インクの着弾位置を補正するデータである。ステージコントローラー350は、移動データに基づいてステージ駆動信号を生成する。ステージコントローラー350は、ステージ駆動信号をステージ駆動機構325に送信することによって、移動ステージ323のスライド移動を制御する。
【0084】
制御装置500は、各種制御データを生成する。制御装置500は、各種制御データを多関節ロボット200及びエンドエフェクター300に送信することによって、多関節ロボット200及びエンドエフェクター300に印刷を実行させる。制御装置500は、印刷制御ユニット510と記憶部530とを有する。
【0085】
印刷制御ユニット510は、ロボットシステム100による印刷を制御するコントローラー回路である。印刷制御ユニット510は、CPUを有するプロセッサーである。印刷制御ユニット510は、1または複数のプロセッサーで構成される。印刷制御ユニット510は、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスで構成されてもよい。印刷制御ユニット510は、印刷制御プログラムを実行することによって、印刷データ生成部511、データ処理部512、印刷データ補正部513、動作制御部515、及び移動データ生成部517として機能する。印刷データ生成部511、データ処理部512、印刷データ補正部513、動作制御部515、及び移動データ生成部517は、機能部である。印刷制御ユニット510は、印刷データ生成部511、データ処理部512、印刷データ補正部513、動作制御部515、及び移動データ生成部517以外の機能部として機能してもよい。
【0086】
印刷データ生成部511は、印刷データを生成する。印刷データ生成部511は、外部装置から取得した画像データ、記憶部530に記憶される画像データ等に基づいて、印刷データを生成する。印刷データは、液体吐出ヘッド311で吐出されるインクの吐出位置、吐出量等に係るデータである。印刷データ生成部511は、印刷データを印刷データ補正部513に送信する。
【0087】
データ処理部512は、ビジョンカメラ401から送信された検出結果に基づいて、プレ印刷データPDを生成する。プレ印刷データPDは、ヘッド振動データの一例である。プレ印刷データPDは、ロボットシステム100がプレ印刷を行ったときのインクを吐出するタイミングごとの制御着弾位置CPに対する実着弾位置APのずれを示す。実着弾位置APは、着弾位置の一例に対応する。プレ印刷データPDは、動作振動に係るデータである。プレ印刷データPDは、着弾データの一例に対応する。データ処理部512は、プレ印刷データPDを生成し、記憶部530に送信する。
【0088】
図10は、プレ印刷データPDの一例を示している。
図10は、プレ印刷データPDをグラフで示している。
図10の縦軸は、基準位置に対する実着弾位置APのずれを変位として示している。基準位置は、
図5に示す印刷仮想線VLに平行な線上の位置である。
図10は、X軸に対して平行な基準線を基準位置としている。
図10の横軸は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って印刷を行うときの時間を示している。横軸の時間は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿ってラインの印刷を行ったときのインクドットの形成位置に対応する。
図10は、基準位置に対する実着弾位置APのY軸に沿ったずれを変位として示している。
【0089】
図10に示すように、インクの実着弾位置APは、多関節ロボット200の駆動に起因して基準位置に対してY軸に沿って変位する。実着弾位置APの変位によって、印刷ヘッドユニット310によって印刷されるラインは蛇行する。ラインの蛇行によって、印刷画質は低下する。
【0090】
図10は、Y軸に沿った変位を示しているが、データ処理部512は、X軸に沿った変位をプレ印刷データPDとして生成してもよい。エンドエフェクター300が移動ステージ323をY軸に沿って移動する構成である場合、データ処理部512は、
図10に示すプレ印刷データPDを生成する。エンドエフェクター300が移動ステージ323をX軸に沿って移動する構成である場合、データ処理部512は、X軸に沿った変位に基づくプレ印刷データPDを生成する。エンドエフェクター300が
図4に示す構成である場合、
図10に示すプレ印刷データPD及びX軸に沿った変位に基づくプレ印刷データPDを生成する。
【0091】
図11は、プレ印刷データPDを生成する制御フローを示している。
図11は、ロボットシステム100で行われるプレ印刷データPDの生成方法を示している。ロボットシステム100は、印刷データに基づいて対象物の表面に印刷を行う前にプレ印刷を実行する。プレ印刷は、X軸に沿ったラインの印刷を行う。プレ印刷は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って移動するときに所定の時間間隔でインクを吐出してインクドットを生成する印刷である。
【0092】
制御装置500は、ステップS201で、印刷ヘッドユニット310にプレ印刷を実行させる。多関節ロボット200は、X軸に沿って+X方向もしくは-X方向にエンドエフェクター300を搬送する。多関節ロボット200は、エンドエフェクター300を搬送することによって、印刷ヘッドユニット310を+X方向もしくは-X方向に搬送する。印刷ヘッドユニット310は、一例として、印刷ヘッドユニット310が+X方向に移動するときに所定の時間間隔でインクを吐出し、インクドットを含むラインの印刷を行う。
【0093】
制御装置500は、プレ印刷を実行したのち、ステップS203で、印刷結果を検出する。制御装置500は、ビジョンカメラ401に印刷されたインクドットを検出させる。ビジョンカメラ401は、エンドエフェクター300が+X方向に搬送されるときに、印刷ヘッドユニット310によって生成されたインクドットを検出する。ビジョンカメラ401は、インクドットを検出することによって、インクの実着弾位置APを検出する。ビジョンカメラ401は、インクドットの検出結果をデータ処理部512に送信する。
【0094】
制御装置500は、印刷結果を検出したのち、ステップS205で、プレ印刷データPDを生成する。データ処理部512は、ビジョンカメラ401の検出結果に基づいてプレ印刷データPDを生成する。データ処理部512は、各インクドットの検出結果からインクの実着弾位置APを算出する。データ処理部512は、実着弾位置APと基準位置とのずれを変位として算出する。データ処理部512は、各実着弾位置APの変位を含むプレ印刷データPDを生成する。
【0095】
制御装置500は、プレ印刷データPDを生成したのち、ステップS207で、記憶部530にプレ印刷データPDを記憶させる。データ処理部512は、プレ印刷データPDを記憶部530に送信する。記憶部530は、プレ印刷データPDを受信し、記憶する。制御装置500は、プレ印刷データPDを記憶部530に記憶させ、処理を終了する。
【0096】
図9に示す印刷データ補正部513は、印刷データを補正する。印刷データ補正部513は、記憶部530もしくは外部装置から対象物の形状データを取得する。印刷データ補正部513は、制御装置500と接続する外部カメラから送信された撮像データに基づく形状データを取得してもよい。外部カメラは、図示されない。印刷データ補正部513は、記憶部530もしくは動作制御部515等からアーム軌道データを取得する。印刷データ補正部513は、形状データ、アーム軌道データに基づいて、印刷データを補正する。印刷データ補正部513は、インクの吐出位置、インクの吐出順等を補正する。印刷データ補正部513は、補正した印刷データをプリントコントローラー340及び移動データ生成部517に送信する。
【0097】
動作制御部515は、ロボットアーム220の動作に係るアーム軌道データを生成する。アーム軌道データは、多関節ロボット200がエンドエフェクター300を移動させるときのロボットアーム220の移動軌道に係るデータである。アーム軌道データは、対象物の形状データ、ロボットアーム220の動作範囲条件等によって生成される。動作制御部515は、記憶部530等から形状データ、動作範囲条件等を取得する。動作制御部515は、形状データ、動作範囲条件等に基づいてアーム軌道データを生成する。アーム軌道データは、一例として、ロボットアーム220がX軸に沿ってエンドエフェクター300を搬送するときのインクの吐出位置情報を含む。動作制御部515は、アーム軌道データをアーム制御部233、印刷データ補正部513、移動データ生成部517等に送信する。
【0098】
移動データ生成部517は、移動ステージ323の移動に係る移動データを生成する。移動データ生成部517は、動作振動による変位を補正する移動データを生成する。移動データ生成部517は、記憶部530に記憶されるプレ印刷データPDを取得する。移動データ生成部517は、データ処理部512からプレ印刷データPDを取得してもよい。移動データ生成部517は、プレ印刷データPDを逆位相に変換して移動データを生成する。移動データは、動作振動による変位の変位方向と逆方向に移動ステージ323を移動させるデータである。プレ印刷データPDが
図10に示すデータである場合、移動データは、Y軸に沿った動作振動による変位方向に対して逆方向に移動させるデータである。ステージ駆動機構325は、移動データに基づいて移動ステージ323を移動させることによって、多関節ロボット200が移動することによって生じる動作振動を低減する。
【0099】
移動データ生成部517は、記憶部530等からアーム軌道データ、補正した印刷データ、対象物の形状データ等を取得する。移動データ生成部517は、アーム軌道データ、補正した印刷データ、形状データに基づいて、移動データを補正する。移動データ生成部517は、移動データをステージコントローラー350に送信する。
【0100】
記憶部530は、各種データ、プログラム等を記憶する。記憶部530は、データ処理部512から送信されるプレ印刷データPDを記憶する。記憶部530は、印刷制御ユニット510で生成されるアーム軌道データ、対象物の形状データ等を記憶する。記憶部530は、補正した印刷データ、移動データ等を記憶してもよい。記憶部530は、外部装置から取得した画像データを記憶してもよい。記憶部530は、印刷制御ユニット510で実行される印刷制御プログラムを記憶する。記憶部530は、RAM、ROM等の半導体メモリーで構成される。記憶部530は、記憶ユニットの一例に対応する。
【0101】
図12は、ロボットシステム100で実行される制御フローを示している。
図12は、移動ステージ323を用いて、動作振動を低減させる制御フローをフローチャートで示している。
図12に示す制御フローは、制御プログラムを実行することによって行われる。
図12に示す制御フローは、一例として、
図3に示すエンドエフェクター300を備えるロボットシステム100で実行される。
【0102】
制御装置500は、ステップS301で、プレ印刷データPDを読み出す。制御装置500の移動データ生成部517は、プレ印刷データPDを記憶部530から読み出す。移動データ生成部517は、記憶部530からアーム軌道データ、対象物の形状データ等を読み出してもよい。
【0103】
制御装置500は、プレ印刷データPDを読み出したのち、ステップS303で、移動データを生成する。移動データ生成部517は、プレ印刷データPDに基づいて、移動データを生成する。移動データ生成部517は、プレ印刷データPDの位相と逆位相のステージ振動で移動ステージ323を動作させる移動データを生成する。移動データ生成部517は、移動データをステージコントローラー350に送信する。
【0104】
制御装置500は、移動データを生成したのち、ステップS305で、X軸に沿って印刷ヘッドユニット310を搬送させる。制御装置500は、多関節ロボット200を駆動させて、エンドエフェクター300をX軸に沿って搬送させる。制御装置500は、エンドエフェクター300を搬送させることによって、エンドエフェクター300に配置される印刷ヘッドユニット310を搬送させる。多関節ロボット200は、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿った+X方向もしくは-X方向に移動させる。
【0105】
制御装置500は、印刷ヘッドユニット310の搬送中に、ステップS307で、移動データに基づいて移動ステージ323を移動させる。制御装置500は、移動データに基づいてインクを吐出する位置もしくは時間の移動ステージ323の移動方向及び移動量を取得する。制御装置500は、取得した移動方向及び移動量で移動ステージ323を移動させる。制御装置500は、多関節ロボット200の駆動によって生じる動作振動と逆位相のステージ振動で移動ステージ323を動作させる。
【0106】
制御装置500は、移動ステージ323を移動させたのち、ステップS309で、インクを吐出させる。制御装置500は、印刷データに基づいてインクを対象物の表面に吐出させる。印刷ヘッドユニット310は、制御着弾位置CPに向けてインクを吐出する。移動ステージ323が印刷ヘッドユニット310を移動させることによって、実着弾位置APと制御着弾位置CPとのずれは低減する。
【0107】
制御装置500は、インクを吐出させたのち、ステップS311で、ラインの印刷が終了したか否かを判定する。制御装置500は、X軸に沿ったインクの吐出が終了したか否かを判定する。
【0108】
制御装置500は、X軸に沿ったインクの吐出が終了したと判定すると、X軸に沿ったラインの印刷を終了する(ステップS311;YES)。制御装置500は、多関節ロボット200を駆動させて、Y軸に沿った+Y方向もしくは-Y方向にエンドエフェクター300を移動させる。または、制御装置500は、印刷を終了させる。
【0109】
制御装置500は、X軸に沿ったインクの吐出が終了していないと判定すると、ステップS305に戻る(ステップS311;NO)。制御装置500は、X軸に沿ったラインの印刷を継続する。制御装置500は、印刷ヘッドユニット310を+Y方向もしくは-Y方向に移動させる。制御装置500は、印刷ヘッドユニット310を+Y方向もしくは-Y方向に移動させたのち、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿って移動させる。制御装置500は、次のラインの印刷を印刷ヘッドユニット310に実行させる。
【0110】
制御フローは、動作振動に係るプレ印刷データPDを予め記憶し、プレ印刷データPDに基づいて、ステージ振動に係る移動データを生成し、移動データに基づいて、移動ステージ323は、ステージ振動で動作する。
ロボットシステム100は、印刷を実行する前に移動データを用意することができる。移動データ生成部517は、リアルタイムで移動データを生成する負荷が低減される。
【0111】
プレ印刷データPDは、印刷ヘッドユニット310が+X方向もしくは-X方向に移動するときに所定の時間間隔で吐出したインクの実着弾位置APを検出し、実着弾位置APに基づいて生成される。
プレ印刷データPDは、印刷を実行することによって得られるデータであることから、動作振動の測定精度が高い。ロボットシステム100は、プレ印刷データPDを用いることによって、動作振動をより低減させることができる。
【0112】
ロボットシステム100は、動作振動に係るプレ印刷データPDを記憶する記憶部530を備える。制御装置500は、プレ印刷データPDに基づいて、ステージ振動に係る移動データを生成し、移動データに基づいて、移動ステージ323にステージ振動で動作させる。
ロボットシステム100は、印刷を実行する前に移動データを用意することができる。移動データ生成部517は、リアルタイムで移動データを生成する負荷が低減される。
【0113】
第1実施形態では、エンドエフェクター300は、ビジョンカメラ401を備えるが、これに限定されない。多関節ロボット200の動作振動が予め検出可能であれば、その構成は限定されない。エンドエフェクター300は、ビジョンカメラ401に代えて、加速度センサー等を備えてもよい。ロボットシステム100は、加速度センサー等を用いて、プレ印刷時の多関節ロボット200の動作振動に係る振動データを取得する。振動データは、プレ印刷データPDの一例である。
【0114】
第2実施形態
第2実施形態は、予めプレ印刷データPD等のヘッド振動データを取得し、ヘッド振動データに基づいて移動ステージ323の動作を制御するロボットシステム100を示す。第2実施形態では、制御装置500は、ヘッド振動データに対して周波数解析を行い、解析結果に基づいて移動データを修正する。制御装置500は、修正移動データを用いて移動ステージ323を動作させる。ロボットシステム100は、多関節ロボット200の共振に起因する印刷画質の低下を抑えることができる。
【0115】
図13は、ロボットシステム100のブロック構成を示している。
図13は、第2実施形態のロボットシステム100のブロック構成を示している。
図13は、多関節ロボット200、エンドエフェクター300、及び制御装置500のブロック構成を示している。
【0116】
図13に示すロボットシステム100のブロック構成は、記憶部530が共振データRDを記憶していることを除き、
図9に示すロボットシステム100のブロック構成と同じである。
【0117】
記憶部530は、共振データRDを記憶する。共振データRDは、多関節ロボット200の共振周波数を含む。共振周波数は、多関節ロボット200の製造者等によって予め測定される。製造者等は、記憶部530に共振データRDに記憶させる。共振データRDは、共振周波数の値、もしくは共振周波数を含む範囲データの形式を含む。共振データRDは、ロボット記憶部231に予め記憶され、記憶部530に共振データRDが送信されてもよい。記憶部530は、ロボットシステム100の使用者が測定した共振データRDを記憶してもよい。
【0118】
移動データ生成部517は、共振データRDを用いて移動データを補正する。移動データ生成部517は、記憶部530からプレ印刷データPDを取得する。移動データ生成部517は、一例として、
図10に示すプレ印刷データPDを取得する。
【0119】
移動データ生成部517は、プレ印刷データPDに対して短時間フーリエ変換等の時間周波数解析を行う。移動データ生成部517は、プレ印刷データPDに対して短時間フーリエ変換を行うことによって、周波数情報を解析する。移動データ生成部517で実行される時間周波数解析は、短時間フーリエ変換に限定されない。プレ印刷データPDに対する周波数情報が、解析可能な手法であれば、その手法は限定されない。移動データ生成部517は、一例として、ウェーブレット変換等を行ってもよい。時間周波数解析は、周波数解析の一例に対応する。
【0120】
図14は、時間周波数解析の解析結果の一例を示している。
図14は、
図10に示すプレ印刷データPDに対して短時間フーリエ変換を行った結果であるフーリエ変換データFDを示している。フーリエ変換データFDは、プレ印刷データPDに対して短時間フーリエ変換を行うことによって算出される。
図14は、各周波数ごとの変位の強度を示している。フーリエ変換データFDは、周波数データの一例に対応する。
【0121】
移動データ生成部517は、フーリエ変換データFDを算出するときに、記憶部530から共振データRDを読み出す。移動データ生成部517は、共振データRDを用いてフーリエ変換データFDに対してデータ処理を行う。移動データ生成部517は、プレ印刷データPDに対して共振データRDに含まれる共振周波数、もしくは共振周波数を含む領域の成分を加工する。
【0122】
図15は、フーリエ変換データFDに対するデータ処理結果の一例を示している。
図15は、フーリエ変換データFDに対して、共振周波数を含む領域の成分を0にした状態を示している。ここで、共振データRDに含まれる共振周波数は、一例として30Hzから40Hzの間の値である。
図15は、共振周波数を含む30Hzから40Hzの領域の成分を0にした場合を示している。
【0123】
図15は、共振周波数を含む領域の成分を0にした場合を示しているが、この構成に限定されない。移動データ生成部517は、共振周波数を含む領域の成分を所定の比率で減少させてもよい。移動データ生成部517は、共振周波数を含む領域の成分を予め定めた値に減少させてもよい。移動データ生成部517は、共振周波数を含む領域の成分を除去、もしくは低減する。移動データ生成部517は、共振周波数を含む領域の成分を除去、もしくは低減することによって、プレ印刷データPDから多関節ロボット200の共振周波数の成分を除去、もしくは低減する。移動データ生成部517は、共振周波数を含む領域の範囲を適宜変更してもよい。移動データ生成部517は、フーリエ変換データFDに対してデータ処理を行い、修正フーリエ変換データを生成する。移動データ生成部517は、修正フーリエ変換データに対して逆短時間フーリエ変換を行う。
【0124】
図16は、修正フーリエ変換データに対して逆短時間フーリエ変換を行った結果を示している。
図16は、
図15に示す修正フーリエ変換データに対して逆短時間フーリエ変換を行った結果である修正プレ印刷データCDを示している。移動データ生成部517は、
図10に示すプレ印刷データPDに対して共振周波数を含む領域の成分を除去することによって、
図16に示す修正プレ印刷データCDを生成する。
【0125】
図17は、プレ印刷データPDの一部と修正プレ印刷データCDの一部を示している。
図17は、プレ印刷データPDの一部と修正プレ印刷データCDの一部を重ねて示している。
図17は、
図16に示す拡大領域EAの修正プレ印刷データCDと、拡大領域EAに対応する領域のプレ印刷データPDとを示している。
図17に示すように、修正プレ印刷データCDは、プレ印刷データPDとは異なる。修正プレ印刷データCDは、プレ印刷データPDに含まれる多関節ロボット200の共振周波数を含む領域の成分が除去されたデータである。修正プレ印刷データCDは、着弾データの一例に対応する。
【0126】
移動データ生成部517は、修正プレ印刷データCDを逆位相に変換して修正移動データを生成する。修正移動データは、動作振動による変位の変位方向と逆方向に移動ステージ323を移動させるデータである。修正移動データは、ステージ振動に係るデータである。修正移動データが修正プレ印刷データCDに基づいて生成されることにより、多関節ロボット200の共振周波数を含む領域の成分は修正移動データから除去される。移動ステージ323が修正移動データに基づくステージ振動で動作すると、多関節ロボット200の共振周波数を含む領域の振動での移動ステージ323の動作は低減される。多関節ロボット200が移動ステージ323のステージ振動と共振することによって生じる多関節ロボット200の動作振動の増加が抑えられる。修正移動データは、多関節ロボット200の共振周波数を除去した補正データの一例に対応する。
【0127】
図18は、修正プレ印刷データCDを生成する制御フローを示している。
図18は、ロボットシステム100で行われる修正プレ印刷データCDの生成方法を示している。ロボットシステム100は、印刷データに基づいて対象物の表面に印刷を行う前にプレ印刷を実行する。プレ印刷は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って移動するときに所定の時間間隔でインクを吐出してインクドットを生成する印刷である。
【0128】
制御装置500は、ステップS401で、印刷ヘッドユニット310にプレ印刷を実行させる。多関節ロボット200は、X軸に沿って+X方向もしくは-X方向にエンドエフェクター300を搬送する。多関節ロボット200は、エンドエフェクター300を搬送することによって、印刷ヘッドユニット310を+X方向もしくは-X方向に搬送する。印刷ヘッドユニット310は、一例として、印刷ヘッドユニット310が+X方向に移動するときに所定の時間間隔でインクを吐出し、インクドットを含むラインの印刷を行う。
【0129】
制御装置500は、プレ印刷を実行したのち、ステップS403で、印刷結果を検出する。制御装置500は、ビジョンカメラ401に印刷されたインクドットを検出させる。ビジョンカメラ401は、エンドエフェクター300が+X方向に搬送されるときに、印刷ヘッドユニット310によって生成されたインクドットを検出する。ビジョンカメラ401は、インクドットを検出することによって、インクの実着弾位置APを検出する。ビジョンカメラ401は、インクドットの検出結果をデータ処理部512に送信する。
【0130】
制御装置500は、印刷結果を検出したのち、ステップS405で、プレ印刷データPDを生成する。データ処理部512は、ビジョンカメラ401の検出結果に基づいてプレ印刷データPDを生成する。データ処理部512は、各インクドットの検出結果からインクの実着弾位置APを算出する。データ処理部512は、実着弾位置APと基準位置とのずれを変位として算出する。データ処理部512は、各実着弾位置APの変位を検出する。データ処理部512は、各実着弾位置APの変位を含むプレ印刷データPDを生成する。データ処理部512は、プレ印刷データPDを記憶部530に送信する。記憶部530は、プレ印刷データPDを記憶する。
【0131】
制御装置500は、プレ印刷データPDを生成したのち、ステップS407で、フーリエ変換データFDを算出する。移動データ生成部517は、記憶部530からプレ印刷データPDを読み出す。移動データ生成部517は、プレ印刷データPDに対して短時間フーリエ変換を行い、フーリエ変換データFDを算出する。
【0132】
制御装置500は、フーリエ変換データFDを算出したのち、ステップS409で、修正プレ印刷データCDを生成する。移動データ生成部517は、記憶部530から共振データRDを読み出す。移動データ生成部517は、フーリエ変換データFDから多関節ロボット200の共振周波数を含む領域の成分を除去した修正フーリエ変換データを生成する。移動データ生成部517は、修正フーリエ変換データに対して逆短時間フーリエ変換を行い、修正プレ印刷データCDを生成する。
【0133】
修正プレ印刷データCDは、移動データ生成部517で生成されるが、これに限定されない。修正プレ印刷データCDは、データ処理部512で生成されてもよい。データ処理部512は、プレ印刷データPD及び共振データRDを取得する。データ処理部512は、プレ印刷データPD及び共振データRDを用いて修正プレ印刷データCDを生成する。データ処理部512は、記憶部530に修正プレ印刷データCDを記憶させる。移動データ生成部517は、記憶部530から修正プレ印刷データCDを取得し、修正移動データを生成する。
【0134】
制御フローは、プレ印刷データPDに対して時間周波数解析を行ってフーリエ変換データFDを生成し、フーリエ変換データFDから多関節ロボット200の共振周波数を除去した修正プレ印刷データCDに基づいて、移動データを生成する。
移動ステージ323の移動によって多関節ロボット200が共振し、印刷画質が低下することを抑えることができる。
【0135】
制御装置500は、プレ印刷データPDに対して時間周波数解析を行ってフーリエ変換データFDを生成し、フーリエ変換データFDから多関節ロボット200の共振周波数を除去した修正プレ印刷データCDに基づいて、移動データを生成する。
ロボットシステム100は、移動ステージ323の移動によって生じる多関節ロボット200の共振を抑えることができる。
【0136】
第3実施形態
第3実施形態は、印刷ヘッドユニット310が印刷を行うときに多関節ロボット200の動作振動を検出し、動作振動を補正するロボットシステム100を示す。第3実施形態では、制御装置500は、印刷ヘッドユニット310の印刷中、リアルタイムで多関節ロボット200の動作振動を補正する。制御装置500は、距離センサー403の測定結果を用いて移動ステージ323を動作させる。ロボットシステム100は、多関節ロボット200の動作振動に起因する印刷画質の低下を抑えることができる。
【0137】
図19は、ロボットシステム100のブロック構成を示している。
図19は、第3実施形態のロボットシステム100のブロック構成を示している。
図19は、多関節ロボット200、エンドエフェクター300、及び制御装置500のブロック構成を示している。
【0138】
図19に示すエンドエフェクター300は、ビジョンカメラ401を有していない。
図19に示す制御装置500の印刷制御ユニット510は、データ処理部512を有していない。
図19に示すロボットシステム100は、距離センサー403を備える。
図19に示すロボットシステム100は、ビジョンカメラ401、データ処理部512、及び距離センサー403を除き、
図9に示すロボットシステム100と同じ構成である。
図19に示すエンドエフェクター300のステージコントローラー350は、バンドストップフィルター355を有してもよい。
【0139】
距離センサー403は、印刷ヘッドユニット310の振動を検出する。距離センサー403は、ロボットシステム100を覆う筐体等に設けられる。距離センサー403は、多関節ロボット200がエンドエフェクター300をX軸に沿って+X方向もしくは-X方向に搬送しているとき、印刷ヘッドユニット310までの距離を測定する。距離センサー403は、印刷ヘッドユニット310が印刷を行っているときの印刷ヘッドユニット310までの距離を測定する。距離センサー403は、印刷ヘッドユニット310までの距離を測定することによって、印刷ヘッドユニット310の振動を検出する。印刷ヘッドユニット310は、多関節ロボット200の駆動によって振動する。
【0140】
距離センサー403は、Y軸に沿った印刷ヘッドユニット310までの距離を測定することによって、Y軸に沿った印刷ヘッドユニット310の振動を検出する。距離センサー403は、X軸に沿った印刷ヘッドユニット310までの距離を測定することによって、X軸に沿った印刷ヘッドユニット310の振動を検出してもよい。印刷ヘッドユニット310の振動は、多関節ロボット200の動作振動に起因する。
【0141】
ロボットシステム100は、2つの距離センサー403を備えてもよい。ロボットシステム100は、
図4に示すエンドエフェクター300を備えるとき、2つの距離センサー403を備える。一方の距離センサー403は、Y軸に沿った印刷ヘッドユニット310までの距離を測定することによって、Y軸に沿った印刷ヘッドユニット310の振動を検出する。他方の距離センサー403は、X軸に沿った印刷ヘッドユニット310までの距離を測定することによって、X軸に沿った印刷ヘッドユニット310の振動を検出する。
【0142】
図19は、距離センサー403を備えるが、これに限定されない。印刷ヘッドユニット310の振動が検出可能であれば、センサーの構成は限定されない。ロボットシステム100は、距離センサー403に代えて、レーザー変位計等の変位計を備えてもよい。ロボットシステム100は、距離センサー403に代えて、加速度センサー、慣性計測ユニット等を備えてもよい。加速度センサー、慣性計測ユニット等は、エンドエフェクター300に設けられる。
【0143】
距離センサー403は、印刷中の印刷ヘッドユニット310までの距離を測定する。距離センサー403は、測定した距離に基づいて、印刷ヘッドユニット310の動作振動に起因する変位を振動データとして検出する。距離センサー403は、振動データを制御装置500に送信する。
【0144】
制御装置500の移動データ生成部517は、振動データを受信する。移動データ生成部517は、振動データに対して逆位相となる移動データを生成する。移動データ生成部517は、移動データをステージコントローラー350に送信する。
【0145】
ステージコントローラー350は、移動データを受信する、ステージコントローラー350は、移動データに基づいて、ステージ駆動信号を生成する。ステージ駆動信号は、ステージ振動に係る信号である。ステージコントローラー350は、ステージ駆動信号をステージ駆動機構325に送信する。ステージ駆動機構325は、ステージ駆動信号に基づいて、移動ステージ323を移動させる。移動ステージ323は、多関節ロボット200の動作振動と逆位相のステージ振動で動作する。ロボットシステム100が
図4に示すエンドエフェクター300を備える場合、ステージコントローラー350は、第2ステージ駆動機構にステージ駆動信号を送信する。第2ステージ駆動機構は、ステージ駆動信号に基づいて第2移動ステージ361を移動させる。第2移動ステージ361は、多関節ロボット200の動作振動と逆位相のステージ振動で動作する。
【0146】
ステージコントローラー350は、バンドストップフィルター355を有してもよい。バンドストップフィルター355は、入力データから予め定めた周波数領域の成分を減衰する。バンドストップフィルター355は、移動データもしくはステージ駆動信号を入力データとして入力する。バンドストップフィルター355は、移動データもしくはステージ駆動信号に含まれる予め定めた周波数領域の成分を減衰する。バンドストップフィルター355には、予め定めた周波数領域として、多関節ロボット200の共振周波数を含む領域が設定される。バンドストップフィルター355は、一例として、30Hzから40Hzの周波数領域を予め定めた周波数領域として設定される。
【0147】
バンドストップフィルター355は、移動データもしくはステージ駆動信号から多関節ロボット200の共振周波数を減衰して補正ステージ駆動信号を生成する。補正ステージ駆動信号は、ステージ振動に係る信号である。ステージコントローラー350は、補正ステージ駆動信号に基づいて移動ステージ323を動作させる。バンドストップフィルター355が多関節ロボット200の共振周波数を減衰することによって、移動ステージ323の移動に対して多関節ロボット200が共振することによって生じる印刷画質の低下が抑えられる。補正ステージ駆動信号は、補正駆動信号の一例に対応する。バンドストップフィルター355は、バンドフィルターの一例に対応する。
【0148】
図20は、ロボットシステム100で実行される制御フローを示している。
図20は、移動ステージ323を用いて、動作振動を低減させる制御フローをフローチャートで示している。
図20に示す制御フローは、制御プログラムを実行することによって行われる。
図20に示す制御フローは、一例として、
図3に示すエンドエフェクター300を備えるロボットシステム100で実行される。
【0149】
制御装置500は、ステップS501で、X軸に沿って印刷ヘッドユニット310を搬送させる。制御装置500は、多関節ロボット200を駆動させて、エンドエフェクター300をX軸に沿って搬送させる。制御装置500は、エンドエフェクター300を搬送させることによって、エンドエフェクター300に配置される印刷ヘッドユニット310を搬送させる。多関節ロボット200は、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿った+X方向もしくは-X方向に移動させる。
【0150】
制御装置500は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って搬送されるとき、ステップS503で、振動データを検出させる。距離センサー403は、印刷ヘッドユニット310までの距離を測定する。距離センサー403は、印刷ヘッドユニット310までの距離を測定することによって、各時間ごとの印刷ヘッドユニット310のY軸に沿った変位を検出する。距離センサー403は、各時間ごとの変位の集合を振動データとして検出する。距離センサー403は、振動データを制御装置500に送信する。
【0151】
制御装置500は、振動データを検出したのち、ステップS505で、移動データを生成する。制御装置500の移動データ生成部517は、振動データに基づいて移動データを生成する。移動データ生成部517は、振動データに対して逆位相の移動データを生成する。移動データは、移動ステージ323を動作振動に対して逆位相のステージ振動で動作させる。移動データ生成部517は、移動データをステージコントローラー350に送信する。
【0152】
制御装置500は、印刷ヘッドユニット310の搬送中に、ステップS507で、移動データに基づいて移動ステージ323を移動させる。ステージコントローラー350は、振動データに基づいてインクを吐出する位置もしくは時間ごとに移動ステージ323の移動方向及び移動量を取得する。ステージコントローラー350は、取得した移動方向及び移動量で移動ステージ323を移動させる。ステージコントローラー350は、多関節ロボット200の駆動によって生じる動作振動と逆位相のステージ振動で移動ステージ323を動作させる。
【0153】
ステージコントローラー350は、バンドストップフィルター355を有するとき、バンドストップフィルター355によって生成される補正ステージ駆動信号に基づいて移動ステージ323を動作させる。バンドストップフィルター355は、移動データもしくはステージ駆動信号を入力し、修正ステージ駆動信号を生成する。バンドストップフィルター355は、多関節ロボット200の共振周波数を含む領域の成分を減衰する。
【0154】
制御装置500は、移動ステージ323を移動させたのち、ステップS509で、インクを吐出させる。制御装置500は、印刷データに基づいてインクを対象物の表面に吐出させる。印刷ヘッドユニット310は、制御着弾位置CPに向けてインクを吐出する。移動ステージ323が印刷ヘッドユニット310を移動させることによって、実着弾位置APと制御着弾位置CPとのずれは低減する。
【0155】
制御装置500は、インクを吐出させたのち、ステップS511で、ラインの印刷が終了したか否かを判定する。制御装置500は、X軸に沿ったインクの吐出が終了したか否かを判定する。
【0156】
制御装置500は、X軸に沿ったインクの吐出が終了したと判定すると、X軸に沿ったラインの印刷を終了する(ステップS511;YES)。制御装置500は、多関節ロボット200を駆動させて、Y軸に沿った+Y方向もしくは-Y方向にエンドエフェクター300を移動させる。または、制御装置500は、印刷を終了させる。
【0157】
制御装置500は、X軸に沿ったインクの吐出が終了していないと判定すると、ステップS505に戻る(ステップS511;NO)。制御装置500は、X軸に沿ったラインの印刷を継続する。制御装置500は、印刷ヘッドユニット310を+Y方向もしくは-Y方向に移動させる。制御装置500は、印刷ヘッドユニット310を+Y方向もしくは-Y方向に移動させたのち、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿って移動させる。制御装置500は、次のラインの印刷を印刷ヘッドユニット310に実行させる。
【0158】
制御フローでは、印刷ヘッドユニット310がインクを吐出しているときの動作振動を検出し、検出した動作振動に対して逆位相のステージ振動で移動ステージ323は動作する。
ロボットシステム100は、リアルタイムで多関節ロボット200の駆動に起因する振動を減少させることができる。
【0159】
検出した動作振動に基づいて、ステージ振動に係る補正ステージ駆動信号を生成し、多関節ロボット200の共振周波数を減衰するバンドストップフィルター355を介した補正ステージ駆動信号に基づいて、移動ステージ323はステージ振動で動作する。
ロボットシステム100は、移動ステージ323の移動に起因する多関節ロボット200の共振による印刷画質の低下が抑えられる。
【0160】
エンドエフェクター300の印刷ヘッドユニット310は、インクを対象物の表面に吐出して、印刷を行うが、インク以外の液体を吐出してもよい。印刷ヘッドユニット310は、インクに代えて、接着剤等の液体を吐出してもよい。印刷ヘッドユニット310は、接着剤等の液体を吐出することによって、ロボットシステム100は、接着剤塗布装置等として機能する。
【0161】
エンドエフェクター300は、印刷ヘッドユニット310に代えて、レーザー加工ユニット、溶接ユニット等の機能ユニットを搭載してもよい。エンドエフェクター300は、機能ユニットを搭載することによって、ロボットシステム100は、加工装置等として機能する。
【符号の説明】
【0162】
100…ロボットシステム、200…多関節ロボット、210…基台、220…ロボットアーム、221…第1アーム、222…第2アーム、223…第3アーム、224…第4アーム、225…第5アーム、226…第6アーム、230…ロボットコントローラー、231…ロボット記憶部、233…アーム制御部、240…アーム駆動機構、241…関節モーター群、243…関節エンコーダー群、300…エンドエフェクター、310…印刷ヘッドユニット、311…液体吐出ヘッド、313…インクタンク、320…ステージユニット、321…固定ステージ、323…移動ステージ、325…ステージ駆動機構、327…支持部、329…超音波モーター、331…キャリッジ、333…レール、335…ネジ、340…プリントコントローラー、350…ステージコントローラー、355…バンドストップフィルター、361…第2移動ステージ、363…第2キャリッジ、401…ビジョンカメラ、403…距離センサー、500…制御装置、510…印刷制御ユニット、511…印刷データ生成部、512…データ処理部、513…印刷データ補正部、515…動作制御部、517…移動データ生成部、530…記憶部、AP…実着弾位置、APk…第k実着弾位置、CD…修正プレ印刷データ、CP…制御着弾位置、CPk…第k制御着弾位置、EA…拡大領域、FD…フーリエ変換データ、J1…第1関節、J1E…第1関節エンコーダー、J1M…第1関節モーター、J2…第2関節、J2E…第2関節エンコーダー、J2M…第2関節モーター、J3…第3関節、J3E…第3関節エンコーダー、J3M…第3関節モーター、J4…第4関節、J4E…第4関節エンコーダー、J4M…第4関節モーター、J5…第5関節、J5E…第5関節エンコーダー、J5M…第5関節モーター、J6…第6関節、J6E…第6関節エンコーダー、J6M…第6関節モーター、PD…プレ印刷データ、RD…共振データ、VL…印刷仮想線。