(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156337
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ロボットシステム、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20241029BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B41J2/01 303
B41J2/01 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070711
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 友寿
(72)【発明者】
【氏名】荒川 豊
【テーマコード(参考)】
2C056
3C707
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056FA09
2C056FB09
2C056HA07
2C056HA37
2C056HA38
3C707AS13
3C707BS12
3C707CY22
3C707DS01
3C707HS27
3C707KS07
3C707KS21
3C707KT01
3C707KV01
3C707LT13
3C707LV04
3C707MT05
(57)【要約】
【課題】インクの着弾位置のずれを補正するために印刷ヘッドを振動させようとした場合、その反力によりロボットアームが振動してしまい、着弾位置を補正することが難しい。
【解決手段】ロボットシステムは、液体を吐出する吐出ヘッド、前記吐出ヘッドを支持するステージ、及び前記ステージを移動させるステージ駆動機構を有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを支持し、前記吐出ヘッドが前記液体を吐出するときに前記吐出ヘッドを所定の方向に移動させるロボットと、を備え、前記ステージ駆動機構は、前記吐出ヘッドが前記液体を吐出するときに前記ステージを移動させ、前記ロボットが移動することによって生じる変位を補正し、前記ヘッドユニットは、前記ロボットの先端アームの軸に対して前記吐出ヘッドとは反対側に配置されているおもり部を有し、前記おもり部は前記ステージの前記移動とは逆位相で振動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出ヘッド、前記吐出ヘッドを支持するステージ、及び前記ステージを移動させるステージ駆動機構を有するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを支持し、前記吐出ヘッドが前記液体を吐出するときに前記吐出ヘッドを所定の方向に移動させるロボットと、を備え、
前記ステージ駆動機構は、
前記吐出ヘッドが前記液体を吐出するときに前記ステージを移動させ、前記ロボットが移動することによって生じる変位を補正し、
前記ヘッドユニットは、前記ロボットの先端アームの軸に対して前記吐出ヘッドとは反対側に配置されているおもり部を有し、
前記おもり部は前記ステージの前記移動とは逆位相で振動する、
ロボットシステム。
【請求項2】
前記ステージ駆動機構は、前記ステージを前記所定の方向に対して直交する直交軸に沿って移動させる、
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記ヘッドユニットは、
前記所定の方向に対して平行な平行軸に沿って前記吐出ヘッドを移動させる調整ステージと、
前記調整ステージを前記平行軸に沿って移動させる調整ステージ駆動機構と、
を有する請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記ステージ駆動機構は、前記ロボットが前記吐出ヘッドを前記所定の方向に移動させるときの変位情報に基づいて前記変位を補正する、
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記おもり部は、第2のステージ駆動機構を有する、
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記おもり部は、第2の吐出ヘッドを有する、
請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
ロボットアームに取り付けられる取付部を有する基部と、
インクを吐出する印刷ヘッド、前記印刷ヘッドを支持するステージ、及び前記ステージを移動させるステージ駆動機構を有するヘッドユニットと、を備え、
前記ステージ駆動機構は、
前記印刷ヘッドが前記インクを吐出するときに、ロボットが移動することによって生じる変位を補正し、
前記ヘッドユニットは、前記ロボットの先端アームの軸に対して前記印刷ヘッドとは反対側に配置されているおもり部を有し、
前記おもり部は前記ステージの前記移動とは逆位相で振動する、
印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットシステム、及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷ヘッドとロボットとを備えるシステムが知られている。特許文献1に記載されるシステムでは、ロボットは、印刷ヘッドを対象物の表面に沿って移動させる。ロボットは、一次運動を生じさせて、印刷ヘッドの側方に相並んで位置する少なくとも2つの印刷軌道を形成する。ピエゾアクチュエーターは、一次運動に対してほぼ垂直に行われる二次運動を生じさせて、印刷軌道を側方で互いに隣接させる。システムは、二次運動によって、印刷軌道間で形成されるストリップを低減させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットが所定の方向に印刷ヘッドを移動させて印刷を行うときに、ロボットの軌道にぶれが生じてしまい、インクの着弾位置にずれが生じる。これを補正するために印刷ヘッドを振動させようとした場合、その反力によりロボットアームが振動してしまい、着弾位置を補正することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のロボットシステムは、液体を吐出する吐出ヘッド、前記吐出ヘッドを支持するステージ、及び前記ステージを移動させるステージ駆動機構を有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを支持し、前記吐出ヘッドが前記液体を吐出するときに前記吐出ヘッドを所定の方向に移動させるロボットと、を備え、前記ステージ駆動機構は、前記吐出ヘッドが前記液体を吐出するときに前記ステージを移動させ、前記ロボットが移動することによって生じる変位を補正し、前記ヘッドユニットは、前記ロボットの先端アームの軸に対して前記吐出ヘッドとは反対側に配置されているおもり部を有し、前記おもり部は前記ステージの前記移動とは逆位相で振動する。
【0006】
本開示の印刷装置は、インクを吐出する印刷ヘッド、前記印刷ヘッドを支持するステージ、及び前記ステージを移動させるステージ駆動機構を有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを支持し、前記印刷ヘッドが前記インクを吐出するときに前記印刷ヘッドを所定の方向に移動させるロボットと、を備え、前記ステージ駆動機構は、前記印刷ヘッドが前記インクを吐出するときに、前記ロボットが移動することによって生じる変位を補正し、前記ヘッドユニットは、前記ロボットの先端アームの軸に対して前記印刷ヘッドとは反対側に配置されているおもり部を有し、前記おもり部は前記ステージの前記移動とは逆位相で振動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ロボットシステムと制御装置とを含む全体構成を示す図。
【
図2】多関節ロボットに接続されるエンドエフェクターを示す図。
【
図4】ロボットシステムと制御装置のブロック構成を示す図。
【
図7】多関節ロボットに接続されるエンドエフェクターを示す図。
【
図10】多関節ロボットに接続されるエンドエフェクターを示す図。
【
図11】多関節ロボットに接続されるエンドエフェクターを示す図。
【
図12】多関節ロボットに接続されるエンドエフェクターを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、ロボットシステム100と制御装置500とを含む全体構成を示している。ロボットシステム100は、多関節ロボット200と、エンドエフェクター300と、を備える。制御装置500は、ロボットシステム100と通信可能に接続される。
図1では、ロボットシステム100と制御装置500は、異なる構成として示しているが、制御装置500がロボットシステム100に含まれてもよい。
【0009】
多関節ロボット200は、6つの駆動軸を有する6軸ロボットである。多関節ロボット200は、基台210と、ロボットアーム220と、ロボットコントローラー230と、を備える。多関節ロボット200は、ロボットの一例に対応する。
【0010】
基台210は、床等の設置面に固定される。基台210は、ロボットアーム220と接続する。基台210は、ロボットアーム220を回転可能に支持する。基台210は、制御装置500と接続するインターフェイス等を備える。
【0011】
ロボットアーム220は、基台210と接続する。ロボットアーム220は、複数のアーム部材を有する。
図1に示すロボットアーム220は、第1アーム221と、第2アーム222と、第3アーム223と、第4アーム224と、第5アーム225と、第6アーム226とで構成される。アーム部材は、6個に限定されない。ロボットアーム220は、2個以上のアーム部材で構成される。
【0012】
第1アーム221は、第1関節J1を介して基台210と接続する。第1関節J1には、第1関節モーターJ1Mと第1関節エンコーダーJ1Eが配置される。第1関節モーターJ1Mは、第1アーム221を回転させる。第1関節エンコーダーJ1Eは、第1関節モーターJ1Mの回転量、もしくは第1アーム221の回動角を検出する。第1関節J1は、ねじり関節である。
【0013】
第2アーム222は、第2関節J2を介して第1アーム221と接続する。第2関節J2には、第2関節モーターJ2Mと第2関節エンコーダーJ2Eが配置される。第2関節モーターJ2Mは、第2アーム222を回転させる。第2関節エンコーダーJ2Eは、第2関節モーターJ2Mの回転量、もしくは第2アーム222の回動角を検出する。第2関節J2は、曲げ関節である。
【0014】
第3アーム223は、第3関節J3を介して第2アーム222と接続する。第3関節J3には、第3関節モーターJ3Mと第3関節エンコーダーJ3Eが配置される。第3関節モーターJ3Mは、第3アーム223を回転させる。第3関節エンコーダーJ3Eは、第3関節モーターJ3Mの回転量、もしくは第3アーム223の回動角を検出する。第3関節J3は、曲げ関節である。
【0015】
第4アーム224は、第4関節J4を介して第3アーム223と接続する。第4関節J4には、第4関節モーターJ4Mと第4関節エンコーダーJ4Eが配置される。第4関節モーターJ4Mは、第4アーム224を回転させる。第4関節エンコーダーJ4Eは、第4関節モーターJ4Mの回転量、もしくは第4アーム224の回動角を検出する。第4関節J4は、ねじり関節である。
【0016】
第5アーム225は、第5関節J5を介して第4アーム224と接続する。第5関節J5には、第5関節モーターJ5Mと第5関節エンコーダーJ5Eが配置される。第5関節モーターJ5Mは、第5アーム225を回転させる。第5関節エンコーダーJ5Eは、第5関節モーターJ5Mの回転量、もしくは第5アーム225の回動角を検出する。第5関節J5は、曲げ関節である。
【0017】
第6アーム226は、第6関節J6を介して第5アーム225と接続する。第6関節J6には、第6関節モーターJ6Mと第6関節エンコーダーJ6Eが配置される。第6関節モーターJ6Mは、第6アーム226を回転させる。第6関節エンコーダーJ6Eは、第6関節モーターJ6Mの回転量、もしくは第6アーム226の回動角を検出する。第6関節J6は、ねじり関節である。第6アーム226は、エンドエフェクター300を支持する。
【0018】
ロボットコントローラー230は、ロボットアーム220の駆動を制御する。ロボットコントローラー230は、第1関節モーターJ1M、第2関節モーターJ2M、第3関節モーターJ3M、第4関節モーターJ4M、第5関節モーターJ5M、及び第6関節モーターJ6Mの駆動を制御する。ロボットコントローラー230は、第1関節エンコーダーJ1E、第2関節エンコーダーJ2E、第3関節エンコーダーJ3E、第4関節エンコーダーJ4E、第5関節エンコーダーJ5E、及び第6関節エンコーダーJ6Eで検出される各アームの回転量、もしくは回動角を取得する。ロボットコントローラー230は、各アームの回転量、もしくは回動角に基づいて各種制御を行う。
【0019】
エンドエフェクター300は、対象物の表面に対して液体を吐出する。
図1に示すエンドエフェクター300は、液体の一例であるインクを対象物に吐出する。エンドエフェクター300は、インクを対象物に吐出することによって、対象物の表面に印刷を行う。エンドエフェクター300は、ヘッドユニットの一例に対応する。エンドエフェクター300がインクを用いて対象物の表面に印刷を行うとき、エンドエフェクター300は、印刷装置の一例に対応する。
【0020】
制御装置500は、多関節ロボット200及びエンドエフェクター300の駆動を制御する。制御装置500は、多関節ロボット200及びエンドエフェクター300と通信可能に接続する。制御装置500は、多関節ロボット200に動作制御データを送信する。制御装置500は、動作制御データによって、多関節ロボット200の駆動を制御する。制御装置500は、エンドエフェクター300に印刷データを送信する。制御装置500は、印刷データによって、エンドエフェクター300による印刷を制御する。制御装置500は、多関節ロボット200及びエンドエフェクター300から各種データを受信する。制御装置500は、外部装置と通信可能に接続してもよい。制御装置500は、外部装置から画像データ等を受信する。
【0021】
第1実施形態
第1実施形態は、
図2に示すエンドエフェクター300を備えるロボットシステム100の構成を示す。第1実施形態のロボットシステム100は、対象物の表面に対してインクを吐出することによって、印刷を行う。対象物は、3次元形状の構造物である。対象物は、平面もしくは曲面の表面を有する。
【0022】
図2は、多関節ロボット200に接続されるエンドエフェクター300を示している。
図2は、エンドエフェクター300の一例である第1エンドエフェクター300aを示している。
図2は、多関節ロボット200の一部と第1エンドエフェクター300aとを示している。
図2は、多関節ロボット200に含まれる第4アーム224、第5アーム225、及び第6アーム226を示している。
図2は、第1エンドエフェクター300aに含まれる印刷ヘッドユニット310、及び第1ステージユニット320aを示している。第1ステージユニット320aは、ステージユニット320の一例である。
【0023】
図2を含む複数の図は、XYZ座標系を示している。X軸は、印刷ヘッドユニット310がインクを吐出するときに多関節ロボット200の駆動によって移動する方向と平行な軸である。+X方向は、
図2の奥から手前に向かう方向である。-X方向は、
図2の手前から奥に向かう方向である。Y軸は、印刷ヘッドユニット310を支持する移動ステージ323の面内で、X軸と直交する軸である。+Y方向は、移動ステージ駆動機構325から印刷ヘッドユニット310へ向かう方向である。-Y方向は、印刷ヘッドユニット310から移動ステージ駆動機構325へ向かう方向である。Z軸は、X軸及びY軸と直交する軸である。+Z方向は、
図2の固定ステージ321から第6アーム226へ向かう方向である。-Z方向は、
図2の第6アーム226から固定ステージ321へ向かう方向である。
【0024】
多関節ロボット200は、第1エンドエフェクター300aを対象物に対して印刷可能な位置に移動させる。多関節ロボット200は、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するときに、+X方向もしくは-X方向に第1エンドエフェクター300aを移動させる。印刷ヘッドユニット310は、対象物の表面に対して印刷を行うときに、多関節ロボット200の駆動によって+X方向もしくは-X方向に移動する。印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って印刷を行ったのち、多関節ロボット200は、第1エンドエフェクター300aを+Y方向もしくは-Y方向に移動させる。多関節ロボット200が+Y方向もしくは-Y方向に第1エンドエフェクター300aを移動させたのち、印刷ヘッドユニット310は、対象物の表面に印刷を行う。多関節ロボット200は、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面に印刷を行うときに、第1エンドエフェクター300aを+X方向もしくは-X方向に移動させる。+X方向もしくは-X方向は、所定の方向の一例に対応する。
【0025】
第1エンドエフェクター300aは、対象物の表面に対して印刷を行う。第1エンドエフェクター300aは、第6アーム226の先端に固定される。第1エンドエフェクター300aは、印刷ヘッドユニット310と、第1ステージユニット320aと、を備える。
【0026】
印刷ヘッドユニット310は、対象物の表面にインクを吐出する。印刷ヘッドユニット310は、多関節ロボット200の駆動によって+X方向もしくは-X方向に移動するときに、所定の間隔でインクを吐出する。
【0027】
第1ステージユニット320aは、第6アーム226に支持される。第1ステージユニット320aは、印刷ヘッドユニット310を支持する。第1ステージユニット320aは、多関節ロボット200に対して、印刷ヘッドユニット310を相対的に移動させる。第1ステージユニット320aは、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310を移動させる。
図2に示す第1ステージユニット320aは、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿って移動させる。第1ステージユニット320aは、固定ステージ321と、移動ステージ323と、移動ステージ駆動機構325と、を備える。
【0028】
固定ステージ321は、第6アーム226に支持される。固定ステージ321は、直接もしくは他の部材を介して、第6アーム226に固定される。固定ステージ321は、移動ステージ駆動機構325を介して移動ステージ323を移動可能に支持する。固定ステージ321は、第6アーム226を含む多関節ロボット200と移動ステージ323との間に配置される。固定ステージ321は、基板ステージの一例に対応する。
【0029】
移動ステージ323は、固定ステージ321に対して移動可能に支持される。移動ステージ323は、印刷ヘッドユニット310を支持する。移動ステージ323は、図示しない開口を有する。開口に印刷ヘッドユニット310は配置される。印刷ヘッドユニット310のインク吐出面は、印刷ヘッドユニット310の-Z方向に位置する対象物と対向する。移動ステージ323は、固定ステージ321の+Y方向の位置で印刷ヘッドユニット310を支持する。移動ステージ323は、ステージの一例に対応する。
【0030】
移動ステージ駆動機構325は、固定ステージ321に対して移動ステージ323を移動させる。
図2に示す移動ステージ駆動機構325は、Y軸に沿って、+Y方向もしくは-Y方向に移動ステージ323を移動させる。移動ステージ駆動機構325は、Y軸に沿って移動ステージ323を移動させることによって、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿って移動させる。移動ステージ駆動機構325は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って移動してインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿って移動させる。移動ステージ駆動機構325は、ステージ駆動機構の一例に対応する。
【0031】
図3は、エンドエフェクター300の概略構成を示している。
図3は、エンドエフェクター300の一例である第1エンドエフェクター300aの概略構成を示している。第1エンドエフェクター300aは、印刷ヘッドユニット310と、第1ステージユニット320aと、を備える。印刷ヘッドユニット310は、液体吐出ヘッド311、及びインクタンク313を有する。第1ステージユニット320aは、固定ステージ321、移動ステージ323、移動ステージ駆動機構325、ネジ335、及びステージコントローラー350を有する。
【0032】
液体吐出ヘッド311は、対象物に向けてインクを吐出する。液体吐出ヘッド311は、-Z方向の位置に固定された対象物の表面にインクを吐出することによって、印刷を行う。液体吐出ヘッド311は、多関節ロボット200の駆動により、第1エンドエフェクター300aが+X方向もしくは-X方向に移動するときに、インクを吐出する。液体吐出ヘッド311は、X軸に沿って所定の間隔でインクを吐出する。液体吐出ヘッド311は、内部に図示しないインク供給経路、プリントコントローラー340等を有する。液体吐出ヘッド311の対象物と対向するインク吐出面には、複数のノズル315が形成される。ノズル315は、対象物の表面にインクを吐出する開口である。液体吐出ヘッド311は、吐出ヘッドの一例であり、印刷ヘッドの一例である。
【0033】
インクタンク313は、インクを貯留する。インクタンク313は、インク供給経路と接続し、液体吐出ヘッド311にインクを供給する。
図3に示す印刷ヘッドユニット310は、複数のインクタンク313を有する。複数のインクタンク313のそれぞれは、異なる色のインクを貯留する。複数のインクタンク313は、同色のインクを貯留してもよい。
図3に示す印刷ヘッドユニット310は、4個のインクタンク313を有しているが、これに限定されない。インクタンク313の数は、3個以下でもよいし、5個以上でもよい。インクタンク313の数は、適宜設定される。
【0034】
図3に示す印刷ヘッドユニット310は、インクタンク313を有するが、これに限定されない。インクタンク313に代わり、インク貯留容器が印刷ヘッドユニット310の外部に設けられてもよい。インク貯留容器は、インク流路を介して、液体吐出ヘッド311にインクを供給する。
【0035】
移動ステージ駆動機構325は、固定ステージ321と移動ステージ323との間に配置される。移動ステージ駆動機構325は、支持部327、超音波モーター329、キャリッジ331、及びレール333を有する。
【0036】
支持部327は、移動ステージ323上に配置される。支持部327は、印刷ヘッドユニット310の-Y方向の位置に配置される。支持部327は、キャリッジ331、及びレール333を支持する。
【0037】
超音波モーター329は、移動ステージ323を移動させる駆動力を発生する。超音波モーター329は、ピエゾ駆動することによって、駆動力を発生する。超音波モーター329は、固定ステージ321に対して、移動ステージ323をY軸に沿って、+Y方向もしくは-Y方向に移動させる。
【0038】
キャリッジ331は、固定ステージ321に対して移動ステージ323をY軸に沿って移動させる。キャリッジ331は、超音波モーター329の駆動力によって、移動ステージ323を移動させる。
【0039】
レール333は、支持部327の+Z方向の面に配置される。レール333は、図示しないリニアガイドボールを介して、キャリッジ331と接続する。レール333は、キャリッジ331をY軸に沿ってスライド移動可能に支持する。
【0040】
ネジ335は、第6アーム226と固定ステージ321とを固定する。固定ステージ321は、印刷装置としてのエンドエフェクター300を、ロボットアーム220に取り付ける取付部の一例である。ネジ335は、第6アーム226と固定ステージ321とを直接、もしくは他の部材を介して固定する。ネジ335が固定ステージ321を第6アーム226に固定することによって、第1エンドエフェクター300aは多関節ロボット200に固定される。
【0041】
ステージコントローラー350は、移動ステージ駆動機構325の駆動を制御する。ステージコントローラー350は、移動ステージ323の移動タイミング、移動方向、移動量等を制御する。
図3に示すステージコントローラー350は、移動ステージ323上に配置されるが、これに限定されない。ステージコントローラー350の配置位置は、適宜設定される。
【0042】
図4は、ロボットシステム100と制御装置500のブロック構成を示している。
図4は、ロボットシステム100に含まれる多関節ロボット200及び第1エンドエフェクター300aのブロック構成と、制御装置500のブロック構成とを示している。
【0043】
多関節ロボット200は、ロボットコントローラー230と、アーム駆動機構240と、を有する。多関節ロボット200は、制御装置500から送信される動作制御データに基づいて動作する。
【0044】
ロボットコントローラー230は、アーム駆動機構240を制御するコントローラー回路である。ロボットコントローラー230は、一例として、CPU(Central Processing Unit)を有するプロセッサーである。ロボットコントローラー230は、1又は複数のプロセッサーで構成される。ロボットコントローラー230は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスで構成されてもよい。ロボットコントローラー230は、アーム駆動機構240を制御することによって、ロボットアーム220の動作を制御する。ロボットコントローラー230は、ロボット記憶部231と、アーム制御部233と、を有する。
【0045】
ロボット記憶部231は、多関節ロボット200の動作に係る各種動作制御データを記憶する。ロボット記憶部231は、制御装置500から送信される動作制御データ等を記憶する。ロボット記憶部231は、ロボットコントローラー230で実行されるロボット制御プログラムを記憶する。ロボット制御プログラムは、ロボットコントローラー230をアーム制御部233等の機能部として動作せるプログラムである。ロボット記憶部231は、アーム駆動機構240から送信される各種検出データを記憶する。ロボット記憶部231は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の半導体メモリーで構成される。
【0046】
アーム制御部233は、ロボットコントローラー230で動作する機能部である。アーム制御部233は、ロボットアーム220の動作を制御する。アーム制御部233は、制御装置500から動作制御データを受信する。アーム制御部233は、ロボット記憶部231に記憶される動作制御データを受信してもよい。アーム制御部233は、動作制御データに基づいて、モーター駆動信号等を生成する。アーム制御部233は、モーター駆動信号をアーム駆動機構240に送信し、ロボットアーム220を動作させる。アーム制御部233は、アーム駆動機構240から検出データを受信する。アーム制御部233は、検出データに基づいて、動作制御データもしくはモーター駆動信号を補正する。
【0047】
アーム駆動機構240は、ロボットアーム220を動作させる。アーム駆動機構240は、関節モーター群241及び関節エンコーダー群243を含む。アーム駆動機構240は、関節モーター群241及び関節エンコーダー群243とは異なる機構、センサー等を含んでもよい。
【0048】
関節モーター群241は、第1関節モーターJ1M、第2関節モーターJ2M、第3関節モーターJ3M、第4関節モーターJ4M、第5関節モーターJ5M、及び第6関節モーターJ6Mを含む。関節モーター群241は、アーム制御部233の制御によって、ロボットアーム220の各アーム部材を駆動させる。
【0049】
関節エンコーダー群243は、第1関節エンコーダーJ1E、第2関節エンコーダーJ2E、第3関節エンコーダーJ3E、第4関節エンコーダーJ4E、第5関節エンコーダーJ5E、及び第6関節エンコーダーJ6Eを含む。関節エンコーダー群243は、関節モーター群241に含まれる各モーターの回転量、もしくは関節モーター群241によって駆動する各アーム部材の回動角を測定する。関節エンコーダー群243は、測定した各モーターの回転量、もしくは測定した各アーム部材の回動角をアーム制御部233に送信する。
【0050】
図4に示す第1エンドエフェクター300aは、液体吐出ヘッド311と、移動ステージ駆動機構325と、プリントコントローラー340と、ステージコントローラー350と、を有する。液体吐出ヘッド311とプリントコントローラー340は、
図3に示す印刷ヘッドユニット310に含まれる。移動ステージ駆動機構325とステージコントローラー350は、
図3に示す第1ステージユニット320aに含まれる。
【0051】
液体吐出ヘッド311は、対象物の表面にインクを吐出する。液体吐出ヘッド311は、一例として、インクジェットヘッドである。液体吐出ヘッド311は、対象物と対向する吐出面に複数のノズル315を有する。液体吐出ヘッド311は、プリントコントローラー340から送信されるノズル制御データに基づいて、ノズル315からインクを吐出する。
【0052】
プリントコントローラー340は、液体吐出ヘッド311の動作を制御するコントローラー回路である。プリントコントローラー340は、一例として、CPUを有するプロセッサーである。プリントコントローラー340は、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスで構成されてもよい。プリントコントローラー340は、制御装置500から印刷データを受信する。プリントコントローラー340は、印刷データに基づいて、ノズル制御信号を生成する。ノズル制御信号は、各ノズル315によるインクの吐出を制御する信号である。プリントコントローラー340は、ノズル制御信号を液体吐出ヘッド311に送信することによって、液体吐出ヘッド311の動作を制御する。
【0053】
移動ステージ駆動機構325は、移動ステージ323を動作させる。移動ステージ駆動機構325は、複数の超音波モーター329を含む。移動ステージ駆動機構325は、超音波モーター329の駆動力によって移動ステージ323をスライド移動させる。移動ステージ駆動機構325は、ステージコントローラー350からステージ駆動信号を受信する。移動ステージ駆動機構325は、ステージ駆動信号に基づいて動作する。
【0054】
ステージコントローラー350は、移動ステージ駆動機構325の動作を制御するコントローラー回路である。ステージコントローラー350は、一例として、CPUを有するプロセッサーである。ステージコントローラー350は、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスで構成されてもよい。ステージコントローラー350は、制御装置500から移動データを受信する。移動データは、インクの吐出位置を補正するデータである。ステージコントローラー350は、移動データに基づいてステージ駆動信号を生成する。ステージコントローラー350は、ステージ駆動信号を移動ステージ駆動機構325に送信することによって、移動ステージ323のスライド移動を制御する。
【0055】
制御装置500は、各種制御データを生成する。制御装置500は、各種制御データを多関節ロボット200及び第1エンドエフェクター300aに送信することによって、ロボットシステム100に印刷を実行させる。制御装置500は、印刷制御ユニット510と記憶部530とを有する。
【0056】
印刷制御ユニット510は、ロボットシステム100による印刷動作を制御するコントローラー回路である。印刷制御ユニット510は、CPUを有するプロセッサーである。印刷制御ユニット510は、1または複数のプロセッサーで構成される。印刷制御ユニット510は、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスで構成されてもよい。印刷制御ユニット510は、印刷制御プログラムを実行することによって、印刷データ生成部511、印刷データ補正部513、動作制御部515、及び移動データ生成部517として機能する。印刷データ生成部511、印刷データ補正部513、動作制御部515、及び移動データ生成部517は、機能部である。印刷制御ユニット510は、印刷データ生成部511、印刷データ補正部513、動作制御部515、及び移動データ生成部517以外の機能部として機能してもよい。
【0057】
印刷データ生成部511は、印刷データを生成する。印刷データ生成部511は、外部装置から取得した画像データ、記憶部530に記憶される画像データ等に基づいて、印刷データを生成する。印刷データは、液体吐出ヘッド311で吐出されるインクの吐出位置、吐出量等に係るデータである。印刷データ生成部511は、印刷データを印刷データ補正部513に送信する。
【0058】
印刷データ補正部513は、印刷データを補正する。印刷データ補正部513は、記憶部530もしくは外部装置から対象物の形状データを取得する。印刷データ補正部513は、制御装置500と接続するカメラから送信された撮像データに基づく形状データを取得する。カメラは、図示されない。印刷データ補正部513は、記憶部530もしくは動作制御部515等からアーム軌道データを取得する。印刷データ補正部513は、形状データ、アーム軌道データに基づいて、印刷データを補正する。印刷データ補正部513は、インクの吐出位置、インクの吐出順等を補正する。印刷データ補正部513は、補正した印刷データをプリントコントローラー340及び移動データ生成部517に送信する。
【0059】
動作制御部515は、ロボットアーム220の動作に係るアーム軌道データを生成する。アーム軌道データは、多関節ロボット200が第1エンドエフェクター300aを移動させるときのロボットアーム220の移動軌道に係るデータである。アーム軌道データは、対象物の形状データ、ロボットアーム220の動作範囲条件等によって生成される。動作制御部515は、記憶部530等から形状データ、動作範囲条件等を取得する。動作制御部515は、形状データ、動作範囲条件等に基づいてアーム軌道データを生成する。アーム軌道データは、一例として、ロボットアーム220がX軸に沿って第1エンドエフェクター300aを移動させるときの各印刷ドットのインク吐出位置情報を含む。動作制御部515は、アーム軌道データをアーム制御部233、印刷データ補正部513、移動データ生成部517等に送信する。
【0060】
移動データ生成部517は、移動ステージ323の移動に係る移動データを生成する。液体吐出ヘッド311が対象物の表面にインクを吐出するときに、多関節ロボット200は、第1エンドエフェクター300aを+X方向もしくは-X方向に移動させる。多関節ロボット200が第1エンドエフェクター300aを移動させるときに、ロボットアーム220の駆動による振動が生じる。第1エンドエフェクター300aに振動が伝達すると、インク吐出時の液体吐出ヘッド311の位置が変位する。移動データ生成部517は、振動による変位を補正する移動データを生成する。移動データは、振動による変位の変位方向と逆方向に移動ステージ323を移動させるデータである。移動ステージ駆動機構325は、移動データに基づいて移動ステージ323を移動させることによって、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正する。
【0061】
移動データ生成部517は、記憶部530等からアーム軌道データ、補正した印刷データ、対象物の形状データ等を取得する。移動データ生成部517は、記憶部530に記憶される振動データを取得する。振動データは、一例として、多関節ロボット200が移動開始点から移動終了点まで+X方向もしくは-X方向に移動したときの変位情報である。振動データは、予め測定されて記憶部530に記憶される。ロボットシステム100が図示しない振動センサーを有しているとき、振動センサーから振動データを取得してもよい。移動データ生成部517は、振動データ、アーム軌道データ、補正した印刷データ等を用いて、インク吐出位置ごとの変位の変位方向、変位量を算出する。移動データ生成部517は、変位の変位方向、変位量に基づいて、移動データを生成する。移動データは、インク吐出位置ごとの移動ステージ323の移動方向、及び移動量を含む。移動ステージ323の移動方向は、変位の変位方向と逆方向である。移動ステージ323の移動量は、変位の変位量に対応する。移動データ生成部517は、移動データをステージコントローラー350に送信する。
【0062】
記憶部530は、各種データ、プログラム等を記憶する。記憶部530は、印刷制御ユニット510で生成されるアーム軌道データ、対象物の形状データ等を記憶する。記憶部530は、変位情報、補正した印刷データ等を記憶してもよい。記憶部530は、外部装置から取得した画像データを記憶してもよい。記憶部530は、印刷制御ユニット510で実行される印刷制御プログラムを記憶する。記憶部530は、RAM、ROM等の半導体メモリーで構成される。
【0063】
制御装置500は、吐出位置ごとの変位による変位方向、及び変位量を予め取得することが好ましい。ロボットシステム100の使用者は、多関節ロボット200を予め定めた姿勢で、多関節ロボット200の駆動によって第1エンドエフェクター300aをX軸に沿って+X方向もしくは-X方向に移動させる。使用者は、第1エンドエフェクター300aをX軸に沿って移動させたときの各吐出位置ごとの変位の変位方向、及び変位量を取得する。吐出位置ごとの変位の変位方向、及び変位量は変位情報として記憶部530に記憶される。移動データ生成部517は、変位情報に基づいて移動データを生成する。制御装置500は、記憶部530に記憶される変位情報を用いて生成される移動データを予め用意しておいてもよい。
【0064】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、エンドエフェクター300の状態を示している。
図5A、
図5B、及び
図5Cは、エンドエフェクター300の一例である第1エンドエフェクター300aの状態を示している。
図5A、
図5B、及び
図5Cは、第1エンドエフェクター300aを-Z方向から見た状態を示している。
【0065】
【0066】
図5Aは、多関節ロボット200が印刷制御ユニット510によって制御された位置に位置するときの第1エンドエフェクター300aの状態を示している。多関節ロボット200がアーム駆動機構240等の振動によって変位していないと、第6アーム226のアーム中心226aは、一例として、制御位置CP上に位置する。制御位置CPは、多関節ロボット200が第1エンドエフェクター300aをX軸に沿って移動させるときのアーム中心226aの制御軌跡を示している。
【0067】
図5Bは、多関節ロボット200が振動によって変位したときの第1エンドエフェクター300aの状態を示している。
図5Bは、移動ステージ323が動作していない場合の状態を示している。
図5Bは、多関節ロボット200が振動によって-Y方向に変位したときの状態を示している。多関節ロボット200は、第1エンドエフェクター300aを+X方向もしくは-X方向に移動させるときに発生する振動によって変位する。
【0068】
第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって-Y方向の変位位置DPに変位する。変位位置DPは、制御位置CPに対して-Y方向に第1変位量Δd1変位した位置である。アーム中心226aが変位位置DPに変位すると、ノズル315は-Y方向に第1変位量Δd1変位したノズル位置NPに変位する。ノズル位置NPでノズル315がインクを吐出すると、インクの着弾位置は、印刷位置PPから-Y方向に第1変位量Δd1変位した位置にずれる。多関節ロボット200の振動によって、対象物の表面に印刷される画像に乱れが生じることとなる。
【0069】
図5Cは、移動ステージ323を移動させて、インクの着弾位置を補正するときの第1エンドエフェクター300aの状態を示している。
図5Cは、移動ステージ323を+Y方向に移動させた状態を示している。第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって-Y方向の変位位置DP上に位置する。移動ステージ323がY軸に沿った+Y方向に第1変位量Δd1移動すると、ノズル315は、印刷位置PP上に位置する。移動ステージ駆動機構325が移動ステージ323をY軸に沿った+Y方向に移動させることによって、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正することができる。Y軸は、所定の方向に対して直交する直交軸の一例に対応する。
【0070】
図5Cは、移動ステージ323を+Y方向に第1変位量Δd1移動させる場合を示しているが、これに限定されない。移動ステージ駆動機構325は、多関節ロボット200の移動によって生じる変位の変位方向と逆方向に移動ステージ323を移動させることによって、振動によって生じる変位を補正することができる。移動ステージ駆動機構325は、変位の変位方向と逆方向に第1変位量Δd1もしくは第1変位量Δd1よりも小さい距離移動ステージ323を移動させることが好ましい。
【0071】
図6A、
図6B、及び
図6Cは、エンドエフェクター300の状態を示している。
図6A、
図6B、及び
図6Cは、エンドエフェクター300の一例である第1エンドエフェクター300aの状態を示している。
図6A、
図6B、及び
図6Cは、第1エンドエフェクター300aを-Z方向から見た状態を示している。
【0072】
【0073】
図6Aは、多関節ロボット200が印刷制御ユニット510によって制御された位置に位置するときの第1エンドエフェクター300aの状態を示している。多関節ロボット200がアーム駆動機構240等の振動によって変位していないと、第6アーム226のアーム中心226aは、一例として、制御位置CP上に位置する。
図6Aは、
図5Aと同じ状態を示している。
【0074】
図6Bは、多関節ロボット200が振動によって変位したときの第1エンドエフェクター300aの状態を示している。
図6Bは、移動ステージ323が動作していない場合の状態を示している。
図6Bは、多関節ロボット200が振動によって+Y方向に変位したときの状態を示している。多関節ロボット200は、第1エンドエフェクター300aを+X方向もしくは-X方向に移動させるときに発生する振動によって変位する。
【0075】
第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって+Y方向の変位位置DPに変位する。変位位置DPは、制御位置CPに対して+Y方向に第2変位量Δd2変位した位置である。アーム中心226aが変位位置DPに変位すると、ノズル315は+Y方向に第2変位量Δd2変位したノズル位置NPに変位する。ノズル位置NPでノズル315がインクを吐出すると、インクの着弾位置は、印刷位置PPから+Y方向に第2変位量Δd2変位した位置にずれる。多関節ロボット200の振動によって、対象物の表面に印刷される画像に乱れが生じることとなる。
【0076】
図6Cは、移動ステージ323を移動させて、インクの着弾位置を補正するときの第1エンドエフェクター300aの状態を示している。
図6Cは、移動ステージ323を-Y方向に移動させた状態を示している。第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって+Y方向の変位位置DP上に位置する。移動ステージ323がY軸に沿った-Y方向に第2変位量Δd2移動すると、ノズル315は、印刷位置PP上に位置する。移動ステージ駆動機構325が移動ステージ323をY軸に沿った-Y方向に移動させることによって、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正することができる。
【0077】
図6Cは、移動ステージ323を-Y方向に第2変位量Δd2移動させる場合を示しているが、これに限定されない。移動ステージ駆動機構325は、多関節ロボット200の移動によって生じる変位の変位方向と逆方向に移動ステージ323を移動させることによって、振動によって生じる変位を補正することができる。移動ステージ駆動機構325は、変位の変位方向と逆方向に第2変位量Δd2もしくは第2変位量Δd2よりも小さい距離移動ステージ323を移動させることが好ましい。
【0078】
第1実施形態のロボットシステム100は、対象物の表面に対してインクを吐出することによって、印刷を行うが、これに限定されない。液体吐出ヘッド311は、インクに代えて、接着剤等の液体を吐出してもよい。液体吐出ヘッド311が、接着剤等の液体を吐出する場合、ロボットシステム100は、対象物に液体を塗布するシステムとして機能する。
【0079】
ロボットシステム100は、液体を吐出する液体吐出ヘッド311、液体吐出ヘッド311を支持する移動ステージ323、及び移動ステージ323を移動させる移動ステージ駆動機構325を有する第1エンドエフェクター300aと、第1エンドエフェクター300aを支持し、液体吐出ヘッド311が液体を吐出するときに液体吐出ヘッドを+X方向もしくは-X方向に移動させる多関節ロボット200と、を備える。移動ステージ駆動機構325は、液体吐出ヘッド311が液体を吐出するときに移動ステージ323を移動させ、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正する。
ロボットシステム100は、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正することによって、液体を所望の位置に着弾させることができる。
【0080】
移動ステージ駆動機構325は、移動ステージ323を+X方向もしくは-X方向に対して直交するY軸に沿って移動させる。
ロボットシステム100は、Y軸に沿ったインクの着弾位置のずれを補正することができる。
【0081】
移動ステージ駆動機構325は、変位と逆方向に移動ステージ323を移動させる。
ロボットシステム100は、振動による変位と逆方向に移動ステージ323を移動させることによって、変位によるインクの着弾位置のずれを低減させることができる。
【0082】
移動ステージ駆動機構325は、多関節ロボット200が液体吐出ヘッド311を+X方向もしくは-X方向に移動させるときの変位情報に基づいて変位を補正する。
ロボットシステム100は、変位情報に基づいて、補正方向、及び補正量を求めることが可能となる。
【0083】
ロボットシステム100は、インクを吐出する液体吐出ヘッド311、液体吐出ヘッド311を支持する移動ステージ323、及び移動ステージ323を移動させる移動ステージ駆動機構325を有する第1エンドエフェクター300aと、第1エンドエフェクター300aを支持し、液体吐出ヘッド311がインクを吐出するときに液体吐出ヘッド311を+X方向もしくは-X方向に移動させる多関節ロボット200と、を備える。移動ステージ駆動機構325は、液体吐出ヘッド311がインクを吐出するときに移動ステージ323を移動させ、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正する。
ロボットシステム100は、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正することによって、画像の乱れを低減させることができる。
【0084】
第1実施形態では、移動ステージ323は、Y軸に沿って移動するが、これに限定されない。移動ステージ323は、X軸に沿って+X方向もしくは-X方向に移動してもよい。移動ステージ323がX軸に沿って移動することによって、振動によるX軸に沿った変位を補正することができる。
【0085】
第2実施形態
第2実施形態は、
図7に示すエンドエフェクター300を備えるロボットシステム100の構成を示す。第2実施形態のロボットシステム100は、対象物の表面に対してインクを吐出することによって、印刷を行う。対象物は、3次元形状の構造物である。対象物は、平面もしくは曲面の表面を有する。
【0086】
図7は、多関節ロボット200に接続されるエンドエフェクター300を示している。
図7は、エンドエフェクター300の一例である第2エンドエフェクター300bを示している。
図7は、多関節ロボット200の一部と第2エンドエフェクター300bとを示している。
図7は、多関節ロボット200に含まれる第4アーム224、第5アーム225、及び第6アーム226を示している。
図7に示す多関節ロボット200は、
図2に示す多関節ロボット200と同じ構成である。
図7は、第2エンドエフェクター300bに含まれる印刷ヘッドユニット310、及び第2ステージユニット320bを示している。第2ステージユニット320bは、ステージユニット320の一例である。
【0087】
第2エンドエフェクター300bは、対象物の表面に対して印刷を行う。第2エンドエフェクター300bは、第6アーム226の先端に固定される。第2エンドエフェクター300bは、印刷ヘッドユニット310と、第2ステージユニット320bと、を備える。
図7に示す印刷ヘッドユニット310は、
図2に示す印刷ヘッドユニット310と同じ構成である。
【0088】
第2ステージユニット320bは、第6アーム226に支持される。第2ステージユニット320bは、印刷ヘッドユニット310を支持する。第2ステージユニット320bは、多関節ロボット200に対して、印刷ヘッドユニット310を相対的に移動させる。第2ステージユニット320bは、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310を移動させる。
図7に示す第2ステージユニット320bは、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿って移動させる。第2ステージユニット320bは、固定ステージ321と、移動ステージ323と、移動ステージ駆動機構325と、カウンター機構360と、カウンターステージ363と、を備える。
【0089】
固定ステージ321は、第6アーム226に支持される。固定ステージ321は、直接もしくは他の部材を介して、第6アーム226に固定される。固定ステージ321は、移動ステージ駆動機構325及びカウンター機構360をY軸に沿って支持する。固定ステージ321は、移動ステージ駆動機構325を介して移動ステージ323を移動可能に支持する。固定ステージ321は、カウンター機構360を介してカウンターステージ363を移動可能に支持する。
【0090】
図7に示す移動ステージ323は、
図2に示す移動ステージ323と同じ構成である。移動ステージ323は、印刷ヘッドユニット310を支持する。移動ステージ323は、カウンター機構360に対して接触していない。
【0091】
カウンター機構360は、固定ステージ321に支持される。カウンター機構360は、アームの中心軸(アーム中心226aを通り、固定ステージ321と第6アーム226とが並ぶ方向に延びる軸)に対して、印刷ヘッドユニット310とは反対側に配置されている。カウンター機構360は、固定ステージ321に反力である、慣性力を加える。カウンター機構360は、移動ステージ323が+Y方向もしくは-Y方向に移動するごとに、移動ステージ323が移動する方向と逆方向にカウンターステージ363を移動させる。カウンター機構360は、移動ステージ323が移動するごとに移動ステージ323によって固定ステージ321に加えられる移動慣性力を低減させる慣性力を固定ステージ321に加える。カウンター機構360は、慣性力を付加振動として、固定ステージ321に加える。カウンター機構360は、振動付与機構の一例に対応する。慣性力は、補正振動の一例に対応する。カウンター機構360は、おもり部の一例に対応する。
【0092】
カウンターステージ363は、カウンター機構360によって+Y方向もしくは-Y方向に移動する。カウンター機構360は、カウンターステージ363を+Y方向もしくは-Y方向に移動させることによって、固定ステージ321に+Y方向もしくは-Y方向の慣性力を加える。移動ステージ駆動機構325が移動ステージ323を+Y方向に移動させるとき、カウンター機構360は、カウンターステージ363を-Y方向に移動させる。移動ステージ駆動機構325が移動ステージ323を-Y方向に移動させるとき、カウンター機構360は、カウンターステージ363を+Y方向に移動させる。
【0093】
移動ステージ駆動機構325は、+Y方向もしくは-Y方向に移動ステージ323を移動させると、固定ステージ321に対して移動慣性力を加える。移動慣性力は、固定ステージ321を介して多関節ロボット200に伝搬する。多関節ロボット200に伝搬する移動慣性力は、多関節ロボット200を振動させる。多関節ロボット200が移動慣性力によって振動すると、インクの着弾位置が変位し、画質が劣化する。カウンター機構360は、移動ステージ駆動機構325が移動ステージ323を+Y方向もしくは-Y方向に移動させるとき、カウンターステージ363を移動ステージ323が移動する方向と逆方向に移動させる。カウンター機構360がカウンターステージ363を移動させると、固定ステージ321に対してカウンター慣性力が加えられる。カウンター慣性力は、固定ステージ321を介して多関節ロボット200に伝搬する。カウンター慣性力は、多関節ロボット200に伝搬した移動慣性力を減衰させる。カウンター機構360によって、移動ステージ323が移動したことによって生じる移動慣性力が低減される。移動ステージ323の移動によるインクの着弾位置のずれが抑えられる。
【0094】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、エンドエフェクター300の状態を示している。
図8A、
図8B、及び
図8Cは、エンドエフェクター300の一例である第2エンドエフェクター300bの状態を示している。
図8A、
図8B、及び
図8Cは、第2エンドエフェクター300bを-Z方向から見た状態を示している。
【0095】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、固定ステージ321、移動ステージ323、液体吐出ヘッド311、及びカウンターステージ363を示している。
図8A、
図8B、及び
図8Cは、液体吐出ヘッド311の吐出面に形成される複数のノズル315のうちの1つを示している。
図8A、
図8B、及び
図8Cは、第6アーム226及びカウンター機構360を仮想的に示している。
図8A、
図8B、及び
図8Cは、制御位置CP、印刷位置PPを仮想線で示している。
図8A、
図8B、及び
図8Cは、第6アーム226の中心位置であるアーム中心226aを示している。
【0096】
図8Aは、多関節ロボット200が印刷制御ユニット510によって制御された位置に位置するときの第2エンドエフェクター300bの状態を示している。多関節ロボット200がアーム駆動機構240等の振動によって変位していないと、第6アーム226のアーム中心226aは、一例として、制御位置CP上に位置する。
【0097】
図8Bは、多関節ロボット200が振動によって変位したときの第2エンドエフェクター300bの状態を示している。
図8Bは、移動ステージ323及びカウンターステージ363が動作していない場合の状態を示している。
図8Bは、多関節ロボット200が振動によって-Y方向に変位したときの状態を示している。多関節ロボット200は、第2エンドエフェクター300bを+X方向もしくは-X方向に移動させるときに発生する振動によって変位する。
【0098】
第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって-Y方向の変位位置DPに変位する。変位位置DPは、制御位置CPに対して-Y方向に第3変位量Δd3変位した位置である。アーム中心226aが変位位置DPに変位すると、ノズル315は-Y方向に第3変位量Δd3変位したノズル位置NPに変位する。ノズル位置NPでノズル315がインクを吐出すると、インクの着弾位置は、印刷位置PPから-Y方向に第3変位量Δd3変位した位置にずれる。多関節ロボット200の振動によって、対象物の表面に印刷される画像に乱れが生じることとなる。
【0099】
図8Cは、移動ステージ323を移動させて、インクの着弾位置を補正するときの第2エンドエフェクター300bの状態を示している。
図8Cは、移動ステージ323を+Y方向に移動させた状態を示している。第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって-Y方向の変位位置DP上に位置する。移動ステージ323がY軸に沿った+Y方向に第3変位量Δd3移動すると、ノズル315は、印刷位置PP上に位置する。移動ステージ駆動機構325が移動ステージ323をY軸に沿った+Y方向に移動させることによって、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正することができる。Y軸は、所定の方向に対して直交する直交軸の一例に対応する。
【0100】
移動ステージ323が+Y方向に移動するとき、カウンター機構360は、-Y方向にカウンターステージ363を移動させる。移動ステージ駆動機構325が移動ステージ323を移動させると、移動ステージ323の移動による移動慣性力が発生する。移動慣性力は、固定ステージ321を介して多関節ロボット200に伝搬する。移動慣性力が多関節ロボット200に伝搬すると、多関節ロボット200は、移動慣性力によって振動する。多関節ロボット200が移動慣性力によって振動すると、インクの着弾位置はずれ、画質は低下する。移動ステージ323が+Y方向に移動するとき、カウンター機構360がカウンターステージ363を-Y方向に移動させると、移動慣性力と逆方向のカウンター慣性力が発生する。カウンター慣性力が固定ステージ321に伝達されると、カウンター慣性力によって、移動慣性力は減衰する。カウンター機構360は、移動ステージ323の移動によって生じる移動慣性力を減衰させる。カウンター機構360は、移動ステージ323の移動による振動の発生を抑えることができる。
【0101】
図8Cは、移動ステージ323を+Y方向に第3変位量Δd3移動させる場合を示しているが、これに限定されない。移動ステージ駆動機構325は、多関節ロボット200の移動によって生じる変位の変位方向と逆方向に移動ステージ323を移動させることによって、振動によって生じる変位を補正することができる。移動ステージ駆動機構325は、変位の変位方向と逆方向に第3変位量Δd3もしくは第3変位量Δd3よりも小さい距離移動ステージ323を移動させることが好ましい。
【0102】
カウンター機構360は、-Y方向にカウンターステージ363を第3変位量Δd3移動させてもよいし、第3変位量Δd3と異なる移動量移動させてもよい。カウンター機構360によるカウンターステージ363の移動量は、適宜調整される。
【0103】
図9A、
図9B、及び
図9Cは、エンドエフェクター300の状態を示している。
図9A、
図9B、及び
図9Cは、エンドエフェクター300の一例である第2エンドエフェクター300bの状態を示している。
図9A、
図9B、及び
図9Cは、第2エンドエフェクター300bを-Z方向から見た状態を示している。
【0104】
図9A、
図9B、及び
図9Cは、固定ステージ321、移動ステージ323、液体吐出ヘッド311、及びカウンターステージ363を示している。
図9A、
図9B、及び
図9Cは、液体吐出ヘッド311の吐出面に形成される複数のノズル315のうちの1つを示している。
図9A、
図9B、及び
図9Cは、第6アーム226及びカウンター機構360を仮想的に示している。
図9A、
図9B、及び
図9Cは、制御位置CP、印刷位置PPを仮想線で示している。
図9A、
図9B、及び
図9Cは、第6アーム226の中心位置であるアーム中心226aを示している。
【0105】
図9Aは、多関節ロボット200が印刷制御ユニット510によって制御された位置に位置するときの第2エンドエフェクター300bの状態を示している。多関節ロボット200がアーム駆動機構240等の振動によって変位していないと、第6アーム226のアーム中心226aは、一例として、制御位置CP上に位置する。
図9Aは、
図8Aと同じ状態を示している。
【0106】
図9Bは、多関節ロボット200が振動によって変位したときの第2エンドエフェクター300bの状態を示している。
図9Bは、移動ステージ323及びカウンターステージ363が動作していない場合の状態を示している。
図9Bは、多関節ロボット200が振動によって+Y方向に変位したときの状態を示している。多関節ロボット200は、第2エンドエフェクター300bを+X方向もしくは-X方向に移動させるときに発生する振動によって変位する。
【0107】
第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって+Y方向の変位位置DPに変位する。変位位置DPは、制御位置CPに対して+Y方向に第4変位量Δd4変位した位置である。アーム中心226aが変位位置DPに変位すると、ノズル315は+Y方向に第4変位量Δd4変位したノズル位置NPに変位する。ノズル位置NPでノズル315がインクを吐出すると、インクの着弾位置は、印刷位置PPから+Y方向に第4変位量Δd4変位した位置にずれる。多関節ロボット200の振動によって、対象物の表面に印刷される画像に乱れが生じることとなる。
【0108】
図9Cは、移動ステージ323を移動させて、インクの着弾位置を補正するときの第2エンドエフェクター300bの状態を示している。
図9Cは、移動ステージ323を-Y方向に移動させた状態を示している。第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって+Y方向の変位位置DP上に位置する。移動ステージ323がY軸に沿った-Y方向に第4変位量Δd4移動すると、ノズル315は、印刷位置PP上に位置する。移動ステージ駆動機構325が移動ステージ323をY軸に沿った-Y方向に移動させることによって、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正することができる。Y軸は、所定の方向に対して直交する直交軸の一例に対応する。
【0109】
移動ステージ323が-Y方向に移動するとき、カウンター機構360は、+Y方向にカウンターステージ363を移動させる。移動ステージ駆動機構325が移動ステージ323を移動させると、移動ステージ323の移動による移動慣性力が発生する。移動慣性力は、固定ステージ321を介して多関節ロボット200に伝搬する。移動慣性力が多関節ロボット200に伝搬すると、多関節ロボット200は、移動慣性力によって振動する。多関節ロボット200が移動慣性力によって振動すると、インクの着弾位置はずれ、画質は低下する。移動ステージ323が-Y方向に移動するとき、カウンター機構360がカウンターステージ363を+Y方向に移動させると、移動慣性力と逆方向のカウンター慣性力が発生する。カウンター慣性力が固定ステージ321に伝達されると、カウンター慣性力によって、移動慣性力は減衰する。カウンター機構360は、移動ステージ323の移動によって生じる移動慣性力を減衰させる。カウンター機構360は、移動ステージ323の移動による振動の発生を抑えることができる。
【0110】
図9Cは、移動ステージ323を-Y方向に第4変位量Δd4移動させる場合を示しているが、これに限定されない。移動ステージ駆動機構325は、多関節ロボット200の移動によって生じる変位の変位方向と逆方向に移動ステージ323を移動させることによって、振動によって生じる変位を補正することができる。移動ステージ駆動機構325は、変位の変位方向と逆方向に第4変位量Δd4もしくは第4変位量Δd4よりも小さい距離移動ステージ323を移動させることが好ましい。
【0111】
カウンター機構360は、+Y方向にカウンターステージ363を第4変位量Δd4移動させてもよいし、第4変位量Δd4と異なる移動量移動させてもよい。カウンター機構360によるカウンターステージ363の移動量は、適宜調整される。
【0112】
第2実施形態では、カウンター機構360は、カウンターステージ363を移動させることによってカウンター慣性力を発生しているが、この構成に限定されない。カウンター機構360は、移動慣性力と逆方向のカウンター慣性力を発生させる構成であれば、その構成は限定されない。
【0113】
第2エンドエフェクター300bは、多関節ロボット200と移動ステージ323との間に配置されて移動ステージ323を支持する固定ステージ321と、固定ステージ321に、移動ステージ323が移動する方向と逆方向の慣性力を加えるカウンター機構360と、を有することが好ましい。換言すれば、カウンター機構360がおもり部として、移動ステージ323の移動とは逆位相で振動する。
カウンター機構360は、移動ステージ323が移動するときに多関節ロボット200に生じる振動を低減させることができる。
【0114】
第2実施形態のロボットシステム100は、対象物の表面に対してインクを吐出することによって、印刷を行うが、これに限定されない。液体吐出ヘッド311は、インクに代えて、接着剤等の液体を吐出してもよい。液体吐出ヘッド311が、接着剤等の液体を吐出する場合、ロボットシステム100は、対象物に液体を塗布するシステムとして機能する。
【0115】
第3実施形態
第3実施形態は、
図10に示すエンドエフェクター300を備えるロボットシステム100の構成を示す。第3実施形態のロボットシステム100は、対象物の表面に対してインクを吐出することによって、印刷を行う。対象物は、3次元形状の構造物である。対象物は、平面もしくは曲面の表面を有する。
【0116】
図10は、多関節ロボット200に接続されるエンドエフェクター300を示している。
図10は、エンドエフェクター300の一例である第3エンドエフェクター300cを示している。
図10は、多関節ロボット200の一部と第3エンドエフェクター300cとを示している。
図10は、多関節ロボット200に含まれる第4アーム224、第5アーム225、及び第6アーム226を示している。
図10に示す多関節ロボット200は、
図7に示す多関節ロボット200と同じ構成である。
図10は、第3エンドエフェクター300cに含まれる印刷ヘッドユニット310、及び第3ステージユニット320cを示している。第3ステージユニット320cは、ステージユニット320の一例である。
【0117】
第3エンドエフェクター300cは、対象物の表面に対して印刷を行う。第3エンドエフェクター300cは、第6アーム226の先端に固定される。第3エンドエフェクター300cは、印刷ヘッドユニット310と、第3ステージユニット320cと、を備える。
図10に示す印刷ヘッドユニット310は、
図7に示す印刷ヘッドユニット310と同じ構成である。
【0118】
第3ステージユニット320cは、第6アーム226に支持される。第3ステージユニット320cは、印刷ヘッドユニット310を支持する。第3ステージユニット320cは、多関節ロボット200に対して、印刷ヘッドユニット310を相対的に移動させる。第3ステージユニット320cは、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310を移動させる。
図10に示す第3ステージユニット320cは、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿って移動させる。第3ステージユニット320cは、固定ステージ321と、移動ステージ323と、移動ステージ駆動機構325と、カウンター機構360と、カウンターステージ363と、ウェイト370と、を備える。第3ステージユニット320cは、ウェイト370を備える以外、
図7に示す第2ステージユニット320bと同じ構成である。
【0119】
ウェイト370は、カウンターステージ363に設けられる。ウェイト370は、カウンターステージ363、及びカウンター機構360を介して固定ステージ321に支持される。ウェイト370は、カウンター機構360がカウンターステージ363を移動させるときの負荷を増加させる。ウェイト370がカウンターステージ363に設けられることによって、カウンター機構360の駆動によって発生するカウンター慣性力は増加する。ウェイト370の重量によって、カウンター慣性力が調整される。
【0120】
ウェイト370の重量は、印刷ヘッドユニット310の重量と同じであるか、略同じであることが好ましい。ウェイト370の重量にカウンターステージ363の重量を加えた総重量が、印刷ヘッドユニット310の重量に移動ステージ323の重量を加えた総重量と同じが、略同じであることが好ましい。移動慣性力とカウンター慣性力が等しいか略等しくなり、インクの着弾位置のずれがより低下する。ウェイト370は、おもり部の一例に対応する。
【0121】
図10では、カウンターステージ363とウェイト370は、別体で構成されるが、これに限定されない。カウンターステージ363とウェイト370は、一体で構成されてもよい。ウェイト370は、重量を調整可能に設けられてもよい。
【0122】
固定ステージ321は、ウェイト370を有することが好ましい。
ウェイト370が設けられることによって、移動ステージ323の移動によって発生する振動が抑制される。
【0123】
第4実施形態
第4実施形態は、
図11に示すエンドエフェクター300を備えるロボットシステム100の構成を示す。第4実施形態のロボットシステム100は、対象物の表面に対してインクを吐出することによって、印刷を行う。対象物は、3次元形状の構造物である。対象物は、平面もしくは曲面の表面を有する。
【0124】
図11は、多関節ロボット200に接続されるエンドエフェクター300を示している。
図11は、エンドエフェクター300の一例である第4エンドエフェクター300dを示している。
図11は、多関節ロボット200の一部と第4エンドエフェクター300dとを示している。
図11は、多関節ロボット200に含まれる第4アーム224、第5アーム225、及び第6アーム226を示している。
図11に示す多関節ロボット200は、
図10等に示す多関節ロボット200と同じ構成である。
図11は、第4エンドエフェクター300dに含まれる印刷ヘッドユニット310、及び第4ステージユニット320dを示している。第4ステージユニット320dは、ステージユニット320の一例である。
【0125】
第4エンドエフェクター300dは、対象物の表面に対して印刷を行う。第4エンドエフェクター300dは、第6アーム226の先端に固定される。第4エンドエフェクター300dは、印刷ヘッドユニット310と、第4ステージユニット320dと、第2印刷ヘッドユニット380と、を備える。
図11に示す印刷ヘッドユニット310は、
図10等に示す印刷ヘッドユニット310と同じ構成である。
【0126】
第4ステージユニット320dは、第6アーム226に支持される。第4ステージユニット320dは、印刷ヘッドユニット310を支持する。第4ステージユニット320dは、多関節ロボット200に対して、印刷ヘッドユニット310を相対的に移動させる。第4ステージユニット320dは、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310を移動させる。
図11に示す第4ステージユニット320dは、印刷ヘッドユニット310をY軸に沿って移動させる。第4ステージユニット320dは、固定ステージ321と、移動ステージ323と、移動ステージ駆動機構325と、第2移動ステージ駆動機構365と、第2移動ステージ367と、を備える。
図11に示す移動ステージ323、及び移動ステージ駆動機構325は、
図10等に示す移動ステージ323、及び移動ステージ駆動機構325と同じ構成である。
【0127】
固定ステージ321は、第6アーム226に支持される。固定ステージ321は、直接もしくは他の部材を介して、第6アーム226に固定される。固定ステージ321は、移動ステージ駆動機構325及び第2移動ステージ駆動機構365をY軸に沿って支持する。固定ステージ321は、移動ステージ駆動機構325を介して移動ステージ323を移動可能に支持する。固定ステージ321は、第2移動ステージ駆動機構365を介して第2移動ステージ367を移動可能に支持する。
【0128】
第2移動ステージ駆動機構365は、固定ステージ321に対して第2移動ステージ367を移動させる。
図11に示す第2移動ステージ駆動機構365は、Y軸に沿って、+Y方向もしくは-Y方向に第2移動ステージ367を移動させる。第2移動ステージ駆動機構365は、Y軸に沿って第2移動ステージ367を移動させることによって、第2印刷ヘッドユニット380をY軸に沿って移動させる。第2移動ステージ駆動機構365は、第2印刷ヘッドユニット380がX軸に沿って移動してインクを吐出するときに、第2印刷ヘッドユニット380をY軸に沿って移動させる。第2移動ステージ駆動機構365は、移動ステージ駆動機構325と同じ構成である。
【0129】
第2移動ステージ367は、固定ステージ321に対して移動可能に支持される。第2移動ステージ367は、第2印刷ヘッドユニット380を支持する。第2移動ステージ367は、図示しない開口を有する。開口に第2印刷ヘッドユニット380は配置される。第2印刷ヘッドユニット380のインク吐出面は、第2印刷ヘッドユニット380の-Z方向に位置する対象物と対向する。第2移動ステージ367は、固定ステージ321の-Y方向の位置で第2印刷ヘッドユニット380を支持する。
【0130】
第2印刷ヘッドユニット380は、対象物の表面にインクを吐出する。第2印刷ヘッドユニット380は、多関節ロボット200の駆動によって+X方向もしくは-X方向に移動するときに、所定の間隔でインクを吐出する。第2印刷ヘッドユニット380は、印刷ヘッドユニット310と同じ構成でもよいし、異なる構成でもよい。第2印刷ヘッドユニット380は、印刷ヘッドユニット310と同じ構成であることが好ましい。
【0131】
第2印刷ヘッドユニット380は、印刷ヘッドユニット310が吐出するインクと異なる色のインクを吐出してもよいし、同じ色のインクを吐出してもよい。第2印刷ヘッドユニット380は、印刷ヘッドユニット310が吐出するインクと異なる色のインクを吐出することが好ましい。
【0132】
印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するとき、移動ステージ駆動機構325は、+Y方向もしくは-Y方向に移動ステージ323を移動させる。移動ステージ駆動機構325の駆動によって、移動ステージ323が+Y方向に移動するとき、第2移動ステージ駆動機構365は、第2移動ステージ367を-Y方向に移動させる。移動ステージ駆動機構325の駆動によって、移動ステージ323が-Y方向に移動するとき、第2移動ステージ駆動機構365は、第2移動ステージ367を+Y方向に移動させる。印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するとき、第2印刷ヘッドユニット380は対象物の表面にインクを吐出しない。印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するとき、第2移動ステージ駆動機構365は第3実施形態のカウンター機構360として動作する。第2移動ステージ367は、カウンターステージ363として機能する。第2印刷ヘッドユニット380は、第3実施形態のウェイト370として機能する。
【0133】
第2印刷ヘッドユニット380が対象物の表面にインクを吐出するとき、第2移動ステージ駆動機構365は、+Y方向もしくは-Y方向に第2移動ステージ367を移動させる。第2移動ステージ駆動機構365の駆動によって、第2移動ステージ367が+Y方向に移動するとき、移動ステージ駆動機構325は、移動ステージ323を-Y方向に移動させる。第2移動ステージ駆動機構365の駆動によって、第2移動ステージ367が-Y方向に移動するとき、移動ステージ駆動機構325は、移動ステージ323を+Y方向に移動させる。第2印刷ヘッドユニット380が対象物の表面にインクを吐出するとき、印刷ヘッドユニット310は対象物の表面にインクを吐出しない。第2印刷ヘッドユニット380が対象物の表面にインクを吐出するとき、移動ステージ駆動機構325は第3実施形態のカウンター機構360として動作する。移動ステージ323は、カウンターステージ363として機能する。印刷ヘッドユニット310は、第3実施形態のウェイト370として機能する。
【0134】
第4実施形態のロボットシステム100は、対象物の表面に対してインクを吐出することによって、印刷を行うが、これに限定されない。印刷ヘッドユニット310もしくは第2印刷ヘッドユニット380は、インクに代えて、接着剤等の液体を吐出してもよい。印刷ヘッドユニット310及び第2印刷ヘッドユニット380は、インクに代えて、接着剤等の液体を吐出してもよい。液体吐出ヘッド311及び第2印刷ヘッドユニット380の少なくともいずれかが、接着剤等の液体を吐出する場合、ロボットシステム100は、対象物に液体を塗布するシステムとして機能する。
【0135】
第5実施形態
第5実施形態は、
図12に示すエンドエフェクター300を備えるロボットシステム100の構成を示す。第5実施形態のロボットシステム100は、対象物の表面に対してインクを吐出することによって、印刷を行う。対象物は、3次元形状の構造物である。対象物は、平面もしくは曲面の表面を有する。
【0136】
図12は、多関節ロボット200に接続されるエンドエフェクター300を示している。
図12は、エンドエフェクター300の一例である第5エンドエフェクター300eを示している。
図12は、多関節ロボット200の一部と第5エンドエフェクター300eとを示している。
図12は、多関節ロボット200に含まれる第4アーム224、第5アーム225、及び第6アーム226を示している。
図12に示す多関節ロボット200は、
図11等に示す多関節ロボット200と同じ構成である。
図12は、第5エンドエフェクター300eに含まれる印刷ヘッドユニット310、及び第5ステージユニット320eを示している。第5ステージユニット320eは、ステージユニット320の一例である。
【0137】
第5エンドエフェクター300eは、対象物の表面に対して印刷を行う。第5エンドエフェクター300eは、第6アーム226の先端に固定される。第5エンドエフェクター300eは、印刷ヘッドユニット310と、第5ステージユニット320eと、を備える。
図12に示す印刷ヘッドユニット310は、
図11等に示す印刷ヘッドユニット310と同じ構成である。
【0138】
第5ステージユニット320eは、第6アーム226に支持される。第5ステージユニット320eは、印刷ヘッドユニット310を支持する。第5ステージユニット320eは、多関節ロボット200に対して、印刷ヘッドユニット310を相対的に移動させる。第5ステージユニット320eは、印刷ヘッドユニット310が対象物の表面にインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310を移動させる。
図12に示す第5ステージユニット320eは、印刷ヘッドユニット310をX軸、及びY軸に沿って移動させる。第5ステージユニット320eは、固定ステージ321と、移動ステージ323と、移動ステージ駆動機構325と、支持ステージ385と、支持ステージ駆動機構390と、を備える。
図12に示す移動ステージ323、及び移動ステージ駆動機構325は、
図10等に示す移動ステージ323、及び移動ステージ駆動機構325と同じ構成である。
【0139】
支持ステージ385は、固定ステージ321と移動ステージ323との間に配置される。支持ステージ385は、固定ステージ321の-Z方向の位置に配置される。支持ステージ385は、移動ステージ323を移動ステージ駆動機構325によって移動可能に支持する。支持ステージ385は、固定ステージ321に移動可能に支持される。支持ステージ385は、支持ステージ駆動機構390によって駆動される。支持ステージ385は、調整ステージの一例に対応する。
【0140】
支持ステージ駆動機構390は、固定ステージ321に対して支持ステージ385を移動させる。
図12に示す支持ステージ駆動機構390は、X軸に沿って、+X方向もしくは-X方向に支持ステージ385を移動させる。支持ステージ駆動機構390は、X軸に沿って支持ステージ385を移動させることによって、印刷ヘッドユニット310をX軸に沿って移動させる。支持ステージ駆動機構390は、印刷ヘッドユニット310がX軸に沿って移動してインクを吐出するときに、印刷ヘッドユニット310のX軸に沿った位置を補正する。支持ステージ駆動機構390によるX軸に沿った印刷ヘッドユニット310の移動距離は、多関節ロボット200によるX軸に沿った印刷ヘッドユニット310の搬送距離よりも短い。支持ステージ駆動機構390は、調整ステージ駆動機構の一例に対応する。
【0141】
【0142】
【0143】
図13Aは、多関節ロボット200が印刷制御ユニット510によって制御された位置に位置するときの第5エンドエフェクター300eの状態を示している。多関節ロボット200がアーム駆動機構240等の振動によって変位していないと、第6アーム226のアーム中心226aは、一例として、制御位置CP上に位置する。
【0144】
図13Bは、多関節ロボット200が振動によって変位したときの第5エンドエフェクター300eの状態を示している。
図13Bは、移動ステージ323及び支持ステージ385が動作していない場合の状態を示している。
図13Bは、多関節ロボット200が振動によって+X方向に変位したときの状態を示している。多関節ロボット200は、第5エンドエフェクター300eを+X方向もしくは-X方向に移動させるときに発生する振動によって変位する。
【0145】
第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって+X方向の変位位置DPに変位する。変位位置DPは、制御位置CPに対して+X方向に第5変位量Δd5変位した位置である。アーム中心226aが変位位置DPに変位すると、ノズル315は+X方向に第5変位量Δd5変位したノズル位置NPに変位する。ノズル位置NPでノズル315がインクを吐出すると、インクの着弾位置は、印刷位置PPから+X方向に第5変位量Δd5変位した位置にずれる。多関節ロボット200の振動によって、対象物の表面に印刷される画像に乱れが生じることとなる。
【0146】
図13Cは、支持ステージ385を移動させて、インクの着弾位置を補正するときの第5エンドエフェクター300eの状態を示している。
図13Cは、支持ステージ385を-X方向に移動させた状態を示している。第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって+X方向の変位位置DP上に位置する。支持ステージ385がX軸に沿った-X方向に第5変位量Δd5移動すると、ノズル315は、印刷位置PP上に位置する。支持ステージ駆動機構390が支持ステージ385をX軸に沿った-X方向に移動させることによって、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正することができる。X軸は、所定の方向に対して平行な平行軸の一例に対応する。
【0147】
図13Cは、支持ステージ385を-X方向に第5変位量Δd5移動させる場合を示しているが、これに限定されない。支持ステージ駆動機構390は、多関節ロボット200の移動によって生じる変位の変位方向と逆方向に支持ステージ385を移動させることによって、振動によって生じる変位を補正することができる。支持ステージ駆動機構390は、変位の変位方向と逆方向に第5変位量Δd5もしくは第5変位量Δd5よりも小さい距離支持ステージ385を移動させることが好ましい。
【0148】
図13A、
図13B、及び
図13Cでは、移動ステージ323が移動しない状態を示している。支持ステージ385がX軸に沿って移動するとき、移動ステージ323はY軸に沿って移動してもよい。支持ステージ385及び移動ステージ323が移動することによって、X軸に沿った変位及びY軸に沿った変位を補正することができる。
【0149】
【0150】
【0151】
図14Aは、多関節ロボット200が印刷制御ユニット510によって制御された位置に位置するときの第5エンドエフェクター300eの状態を示している。多関節ロボット200がアーム駆動機構240等の振動によって変位していないと、第6アーム226のアーム中心226aは、一例として、制御位置CP上に位置する。
図14Aは、
図13Aと同じ状態を示している。
【0152】
図14Bは、多関節ロボット200が振動によって変位したときの第5エンドエフェクター300eの状態を示している。
図14Bは、移動ステージ323及び支持ステージ385が動作していない場合の状態を示している。
図14Bは、多関節ロボット200が振動によって-X方向に変位したときの状態を示している。多関節ロボット200は、第5エンドエフェクター300eを+X方向もしくは-X方向に移動させるときに発生する振動によって変位する。
【0153】
第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって-X方向の変位位置DPに変位する。変位位置DPは、制御位置CPに対して-X方向に第6変位量Δd6変位した位置である。アーム中心226aが変位位置DPに変位すると、ノズル315は-X方向に第6変位量Δd6変位したノズル位置NPに変位する。ノズル位置NPでノズル315がインクを吐出すると、インクの着弾位置は、印刷位置PPから-X方向に第6変位量Δd6変位した位置にずれる。多関節ロボット200の振動によって、対象物の表面に印刷される画像に乱れが生じることとなる。
【0154】
図14Cは、支持ステージ385を移動させて、インクの着弾位置を補正するときの第5エンドエフェクター300eの状態を示している。
図14Cは、支持ステージ385を+X方向に移動させた状態を示している。第6アーム226のアーム中心226aは、振動によって-X方向の変位位置DP上に位置する。支持ステージ385がX軸に沿った+X方向に第6変位量Δd6移動すると、ノズル315は、印刷位置PP上に位置する。支持ステージ駆動機構390が支持ステージ385をX軸に沿った+X方向に移動させることによって、多関節ロボット200が移動することによって生じる変位を補正することができる。
【0155】
図14Cは、支持ステージ385を+X方向に第6変位量Δd6移動させる場合を示しているが、これに限定されない。支持ステージ駆動機構390は、多関節ロボット200の移動によって生じる変位の変位方向と逆方向に支持ステージ385を移動させることによって、振動によって生じる変位を補正することができる。支持ステージ駆動機構390は、変位の変位方向と逆方向に第6変位量Δd6もしくは第6変位量Δd6よりも小さい距離支持ステージ385を移動させることが好ましい。
【0156】
第5エンドエフェクター300eは、+X方向もしくは-X方向に対して平行なX軸に沿って印刷ヘッドユニット310を移動させる支持ステージ385と、支持ステージ385をX軸に沿って移動させる支持ステージ駆動機構390と、を有する。
ロボットシステム100は、X軸に沿ったインクの着弾位置のずれを修正することができる。
【0157】
図14A、
図14B、及び
図14Cでは、移動ステージ323が移動しない状態を示している。支持ステージ385がX軸に沿って移動するとき、移動ステージ323はY軸に沿って移動してもよい。支持ステージ385及び移動ステージ323が移動することによって、X軸に沿った変位及びY軸に沿った変位を補正することができる。
【0158】
第5実施形態のロボットシステム100は、対象物の表面に対してインクを吐出することによって、印刷を行うが、これに限定されない。液体吐出ヘッド311は、インクに代えて、接着剤等の液体を吐出してもよい。液体吐出ヘッド311が、接着剤等の液体を吐出する場合、ロボットシステム100は、対象物に液体を塗布するシステムとして機能する。
【0159】
第5実施形態のロボットシステム100は、
図7等に示すカウンター機構360を備えてもよい。カウンター機構360は、固定ステージ321に設けられる。カウンター機構360は、移動ステージ323及び支持ステージ385の移動によって生じる移動慣性力を減衰させる。
【符号の説明】
【0160】
100…ロボットシステム、200…多関節ロボット、210…基台、220…ロボットアーム、221…第1アーム、222…第2アーム、223…第3アーム、224…第4アーム、225…第5アーム、226…第6アーム、226a…アーム中心、230…ロボットコントローラー、231…ロボット記憶部、233…アーム制御部、240…アーム駆動機構、241…関節モーター群、243…関節エンコーダー群、300…エンドエフェクター、300a…第1エンドエフェクター、300b…第2エンドエフェクター、300c…第3エンドエフェクター、300d…第4エンドエフェクター、300e…第5エンドエフェクター、310…印刷ヘッドユニット、311…液体吐出ヘッド、313…インクタンク、315…ノズル、320…ステージユニット、320a…第1ステージユニット、320b…第2ステージユニット、320c…第3ステージユニット、320d…第4ステージユニット、320e…第5ステージユニット、321…固定ステージ、323…移動ステージ、325…移動ステージ駆動機構、327…支持部、329…超音波モーター、331…キャリッジ、333…レール、335…ネジ、340…プリントコントローラー、350…ステージコントローラー、360…カウンター機構、363…カウンターステージ、365…第2移動ステージ駆動機構、367…第2移動ステージ、370…ウェイト、380…第2印刷ヘッドユニット、385…支持ステージ、390…支持ステージ駆動機構、500…制御装置、510…印刷制御ユニット、511…印刷データ生成部、513…印刷データ補正部、515…動作制御部、517…移動データ生成部、530…記憶部、CP…制御位置、DP…変位位置、J1…第1関節、J1E…第1関節エンコーダー、J1M…第1関節モーター、J2…第2関節、J2E…第2関節エンコーダー、J2M…第2関節モーター、J3…第3関節、J3E…第3関節エンコーダー、J3M…第3関節モーター、J4…第4関節、J4E…第4関節エンコーダー、J4M…第4関節モーター、J5…第5関節、J5E…第5関節エンコーダー、J5M…第5関節モーター、J6…第6関節、J6E…第6関節エンコーダー、J6M…第6関節モーター、NP…ノズル位置、PP…印刷位置、Δd1…第1変位量、Δd2…第2変位量、Δd3…第3変位量、Δd4…第4変位量、Δd5…第5変位量、Δd6…第6変位量。