(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156340
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 57/22 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A01D57/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070718
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷上 智洋
(72)【発明者】
【氏名】三宅 達也
(72)【発明者】
【氏名】上田 光瑠
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伯郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 豊文
【テーマコード(参考)】
2B081
【Fターム(参考)】
2B081AA01
2B081BB05
2B081CC25
2B081CC35
2B081DD02
2B081DD32
2B081DD57
2B081DD60
(57)【要約】
【課題】刈取装置の搬送装置の前側に大きな作業空間を確保し、搬送装置に詰まった穀稈の取除き作業中に、作業者が誤って頭部を引起装置にぶつけるのを防止することができ、また、引起装置の摺動部等に圃場の土が付着するのを抑制することができるコンバインを提供する。
【解決手段】刈取装置(3)の刈取フレーム(10)に、穀稈を分草する分草体(16)と、分草された穀稈を引起こす引起装置(17,70)と、引起こされた穀稈の株元を切断する刈刃装置(18)と、切断された穀稈を挟持して脱穀装置(4)に搬送する搬送装置(19)を設け、引起装置(17,70)の背面の上部に第1フック(87)を設け、引起装置(17,70)の背面の上下方向の中間部の左右方向に一側に偏移した部位に上下方向に所定の間隔を隔てて一対の第2フック(88)を設けた。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)を設け、前記刈取装置(3)の後方右側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取装置(3)の刈取フレーム(10)に、穀稈を分草する分草体(16)と、分草された穀稈を引起こす引起装置(17,70)と、引起こされた穀稈の株元を切断する刈刃装置(18)と、切断された穀稈を挟持して前記脱穀装置(4)に搬送する搬送装置(19)を設け、
前記引起装置(17,70)の背面の上部に第1フック(87)を設け、
前記引起装置(17,70)の背面の上下方向の中間部の左右方向に一側に偏移した部位に上下方向に所定の間隔を隔てて一対の第2フック(88)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記第1フック(87)は、前記エンジンの出力回転が伝動される駆動スプロケット(50)よりも上側に配置されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記第2フック(88)は、前記駆動スプロケット(50)に係回されたチェンの設けられた引起ラグ(35)を起立させて穀稈を引起こす側に配置されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
前記刈取装置(3)の両側部に配置された分草体(16)と操縦部(5)の昇降ガイド(5A)には、前記刈取装置(3)から取外された引起装置(17,70)の第1フック(87)を係止する留め具が形成されている請求項2記載のコンバイン。
【請求項5】
前記留め具には、前記第1フック(87)を検出するセンサが設けられ、該センサが前記第1フック(87)を検出した場合には、前記エンジンの出力回転を刈取装置(3)に伝動しない構成とした請求項4記載のコンバイン。
【請求項6】
前記第1フック(87)と第2フック(88)の内周部には、弾性部材が積層されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項7】
前記刈取フレーム(10)の上部に配置された左右方向に延在する伝動筒(15)の中間部に、該伝動筒(15)の中間部から下側に向かって延在する少なくとも1個以上の上下伝動筒(41)と、該上下伝動筒(41)の下部から左右方向に延在する左右伝動筒(42)を設け、
前記分草体(16)を支持する前後フレーム(22)の中間部を連結する左右方向に延在するフレーム(23)の中間部に、該フレーム(23)の中間部から上側に向かって延在する少なくとも1個以上のステー(43)と、該ステー(43)の上部から左右方向に延在する左右フレーム(44)を設け、
前記引起装置(17,70)の左右方向の中間に配置された引起装置(17,70)の上部を左右伝動筒(42)に、下部を左右フレーム(44)に着脱自在に固定した請求項1記載のコンバイン。
【請求項8】
前記引起装置(17)の左側から2番目に位置する引起装置(17B)の引起こし反対側の右部と、前記引起装置(17)の左側から3番目に位置する引起装置(17C)の引起こし反対側の左部を対向して配置し、
前記引起装置(17B)の上部を左右伝動筒(42)の左部に左係合部品(47L)で、下部を左右フレーム(44)の左部に左挟持部品(48L)で着脱自在に固定し、
前記引起装置(17C)の上部を左右伝動筒(42)の右部に右係合部品(47R)でに、下部を左右フレーム(44)の右部に右挟持部品(48R)で着脱自在に固定した請求項7記載のコンバイン。
【請求項9】
前記引起装置(70)の左側から2番目に位置する引起装置(70B)の引起こし反対側の右部と、前記引起装置(70)の左側から3番目に位置する引起装置(70C)の引起こし反対側の左部を対向して配置し、
前記引起装置(70)の左側から4番目に位置する引起装置(70D)の引起こし反対側の右部と、前記引起装置(70)の左側から5番目に位置する引起装置(70E)の引起こし反対側の左部を対向して配置し、
前記引起装置(70B)の上部を、左側の前記上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の左部に左係合部品(47L)で、下部を、左側の前記ステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の左部に左挟持部品(48L)で着脱自在に固定し、
前記引起装置(70C)の上部を、左側の前記上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の右部に右係合部品(47R)で、下部を、左側の前記ステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の右部に右挟持部品(48R)で着脱自在に固定し、
前記引起装置(70D)の上部を、右側の前記上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の左部に左係合部品(47L)で、下部を、右側の前記ステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の左部に左挟持部品(48L)で着脱自在に固定し、
前記引起装置(70E)の上部を、右側の前記上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の右部に右係合部品(47R)で、下部を、右側の前記ステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の右部に右挟持部品(48R)で着脱自在に固定した請求項7記載のコンバイン。
【請求項10】
前記左係合部品(47L)を、前記左右伝動筒(42)に設けられた係合部(60)と、前記引起装置(17B,70B,70B)の後面に立設された第1被係合部(61)で形成し、
前記右係合部品(47R)を、前記左右伝動筒(42)に設けられた係合部(60)と、前記引起装置(17C,70C,70E)の後面に立設された第1被係合部(61)で形成し、
前記第1被係合部(61)に凹凸を形成した請求項8又は9記載のコンバイン。
【請求項11】
前記左挟持部品(48L)を、前記引起装置(17B,70B,70D)の下部に設けられた上挟持部(65)と下挟持部(66)で形成し、
前記右挟持部品(48R)を、前記引起装置(17C,70C,70E)の下部に設けられた上挟持部(65)と下挟持部(66)で形成し、
前記上挟持部(65)に、左右方向に延在するピン(65B)を設け、
該ピン(65B)に、前記上挟持部(65)の円弧状の上挟持本体部(65C)の前部を固定し、
前記ピン(65B)に、前記下挟持部(66)の円弧状の下挟持本体部(66A)の前部を回転自在に固定し、
該下挟持本体部(66A)の後部に第2被係合部(66B)を設け、
前記第2被係合部(66B)の後部を後方下方に湾曲させた請求項8又は9記載のコンバイン。
【請求項12】
前記上挟持本体部(65C)と下挟持本体部(66A)の内周面に弾性部材を積層した請求項11記載のコンバイン。
【請求項13】
前記左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)の左部を、上下方向に延在する左上下フレーム(45L)で連結し、前記左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)の右部を、上下方向に延在する右上下フレーム(45R)で連結した請求項7記載のコンバイン。
【請求項14】
側面視において、前記左上下フレーム(45L)と右上下フレーム(45R)を引起装置(17,70)の後面と平行に配置した請求項13記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置に複数の引起装置を備えるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
刈取装置の上部に配置された左右方向に延在する伝動筒と左右方向の中間に配置された引起装置を2本のアームで形成されたリンクで連結して、刈取装置の搬送装置に詰まった穀稈を取除く場合には、リンクを前側に移動させて引起装置を前側に引出す技術が知られていた。(特許文献1参照)
【0003】
また、刈取装置の上部に配置された左右方向に延在する伝動筒と左右方向の中間に配置された引起装置を上下方向に延在する支軸に回転自在に固定して、刈取装置の搬送装置に詰まった穀稈を取除く場合には、引起装置を支軸回りに回転させる技術が知られていた。(特許文献2参照)
【0004】
さらに、刈取装置の上部に配置された左右方向に延在する伝動筒と左右方向の中間に配置された引起装置を上下方向に延在する支軸に回転自在に固定して、刈取装置の搬送装置に詰まった穀稈を取除く場合には、一側の引起装置を支軸回りに時計方向に回転させ、他側の引起装置を支軸回りに反時計方向に回転させる技術が知られていた。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-29568号公報
【特許文献2】特開2012-139118号公報
【特許文献3】特開2013-99301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1~3の技術では、刈取装置の搬送装置の前側に大きな作業空間を確保できないので、作業姿勢が制限されて搬送装置に詰まった穀稈を容易に取除くことが難しいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、刈取装置の搬送装置の前側に大きな作業空間を確保し、搬送装置に詰まった穀稈の取除き作業中に、作業者が誤って頭部を引起装置にぶつけるのを防止することができ、また、引起装置の摺動部等に圃場の土が付着するのを抑制することができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジンを搭載した機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)を設け、前記刈取装置(3)の後方右側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取装置(3)の刈取フレーム(10)に、穀稈を分草する分草体(16)と、分草された穀稈を引起こす引起装置(17,70)と、引起こされた穀稈の株元を切断する刈刃装置(18)と、切断された穀稈を挟持して前記脱穀装置(4)に搬送する搬送装置(19)を設け、前記引起装置(17,70)の背面の上部に第1フック(87)を設け、前記引起装置(17,70)の背面の上下方向の中間部の左右方向に一側に偏移した部位に上下方向に所定の間隔を隔てて一対の第2フック(88)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記第1フック(87)は、前記エンジンの出力回転が伝動される駆動スプロケット(50)よりも上側に配置されている請求項1記載のコンバインである。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記第2フック(88)は、前記駆動スプロケット(50)に係回されたチェンの設けられた引起ラグ(35)を起立させて穀稈を引起こす側に配置されている請求項1記載のコンバインである。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記刈取装置(3)の両側部に配置された分草体(16)と操縦部(5)の昇降ガイド(5A)には、前記刈取装置(3)から取外された引起装置(17,70)の第1フック(87)を係止する留め具が形成されている請求項2記載のコンバインである。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記留め具には、前記第1フック(87)を検出するセンサが設けられ、該センサが前記第1フック(87)を検出した場合には、前記エンジンの出力回転を刈取装置(3)に伝動しない構成とした請求項4記載のコンバインである。
【0013】
請求項6記載の発明は、前記第1フック(87)と第2フック(88)の内周部には、弾性部材が請求項1記載のコンバインである。
【0014】
請求項7記載の発明は、前記刈取フレーム(10)の上部に配置された左右方向に延在する伝動筒(15)の中間部に、該伝動筒(15)の中間部から下側に向かって延在する少なくとも1個以上の上下伝動筒(41)と、該上下伝動筒(41)の下部から左右方向に延在する左右伝動筒(42)を設け、前記分草体(16)を支持する前後フレーム(22)の中間部を連結する左右方向に延在するフレーム(23)の中間部に、該フレーム(23)の中間部から上側に向かって延在する少なくとも1個以上のステー(43)と、該ステー(43)の上部から左右方向に延在する左右フレーム(44)を設け、前記引起装置(17,70)の左右方向の中間に配置された引起装置(17,70)の上部を左右伝動筒(42)に、下部を左右フレーム(44)に着脱自在に固定した請求項1記載のコンバインである。
【0015】
請求項8記載の発明は、前記引起装置(17)の左側から2番目に位置する引起装置(17B)の引起こし反対側の右部と、前記引起装置(17)の左側から3番目に位置する引起装置(17C)の引起こし反対側の左部を対向して配置し、前記引起装置(17B)の上部を左右伝動筒(42)の左部に左係合部品(47L)で、下部を左右フレーム(44)の左部に左挟持部品(48L)で着脱自在に固定し、前記引起装置(17C)の上部を左右伝動筒(42)の右部に右係合部品(47R)でに、下部を左右フレーム(44)の右部に右挟持部品(48R)で着脱自在に固定した請求項7記載のコンバインである。
【0016】
請求項9記載の発明は、前記引起装置(70)の左側から2番目に位置する引起装置(70B)の引起こし反対側の右部と、前記引起装置(70)の左側から3番目に位置する引起装置(70C)の引起こし反対側の左部を対向して配置し、前記引起装置(70)の左側から4番目に位置する引起装置(70D)の引起こし反対側の右部と、前記引起装置(70)の左側から5番目に位置する引起装置(70E)の引起こし反対側の左部を対向して配置し、前記引起装置(70B)の上部を、左側の前記上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の左部に左係合部品(47L)で、下部を、左側の前記ステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の左部に左挟持部品(48L)で着脱自在に固定し、前記引起装置(70C)の上部を、左側の前記上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の右部に右係合部品(47R)で、下部を、左側の前記ステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の右部に右挟持部品(48R)で着脱自在に固定し、前記引起装置(70D)の上部を、右側の前記上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の左部に左係合部品(47L)で、下部を、右側の前記ステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の左部に左挟持部品(48L)で着脱自在に固定し、前記引起装置(70E)の上部を、右側の前記上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の右部に右係合部品(47R)で、下部を、右側の前記ステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の右部に右挟持部品(48R)で着脱自在に固定した請求項7記載のコンバインである。
【0017】
請求項10記載の発明は、前記左係合部品(47L)を、前記左右伝動筒(42)に設けられた係合部(60)と、前記引起装置(17B,70B,70B)の後面に立設された第1被係合部(61)で形成し、前記右係合部品(47R)を、前記左右伝動筒(42)に設けられた係合部(60)と、前記引起装置(17C,70C,70E)の後面に立設された第1被係合部(61)で形成し、前記第1被係合部(61)に凹凸を形成した請求項8又は9記載のコンバインである。
【0018】
請求項11記載の発明は、前記左挟持部品(48L)を、前記引起装置(17B,70B,70D)の下部に設けられた上挟持部(65)と下挟持部(66)で形成し、前記右挟持部品(48R)を、前記引起装置(17C,70C,70E)の下部に設けられた上挟持部(65)と下挟持部(66)で形成し、前記上挟持部(65)に、左右方向に延在するピン(65B)を設け、該ピン(65B)に、前記上挟持部(65)の円弧状の上挟持本体部(65C)の前部を固定し、前記ピン(65B)に、前記下挟持部(66)の円弧状の下挟持本体部(66A)の前部を回転自在に固定し、該下挟持本体部(66A)の後部に第2被係合部(66B)を設け、前記第2被係合部(66B)の後部を後方下方に湾曲させた請求項8又は9記載のコンバインである。
【0019】
請求項12記載の発明は、前記上挟持本体部(65C)と下挟持本体部(66A)の内周面に弾性部材を積層した請求項11記載のコンバインである。
【0020】
請求項13記載の発明は、前記左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)の左部を、上下方向に延在する左上下フレーム(45L)で連結し、前記左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)の右部を、上下方向に延在する右上下フレーム(45R)で連結した請求項7記載のコンバインである。
【0021】
請求項14記載の発明は、側面視において、前記左上下フレーム(45L)と右上下フレーム(45R)を引起装置(17,70)の後面と平行に配置した請求項13記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、刈取装置(3)の刈取フレーム(10)に、穀稈を分草する分草体(16)と、分草された穀稈を引起こす引起装置(17,70)と、引起こされた穀稈の株元を切断する刈刃装置(18)と、切断された穀稈を挟持して脱穀装置(4)に搬送する搬送装置(19)を設け、引起装置(17,70)の背面の上部に第1フック(87)を設け、引起装置(17,70)の背面の上下方向の中間部の左右方向に一側に偏移した部位に上下方向に所定の間隔を隔てて一対の第2フック(88)を設けたので、刈取装置(3)から取外した引起装置(17,70)を第1フック(87)や第2フック(88)を介して機体に係止して、搬送装置(19)の前方に広い作業空間を確保し、作業者が誤って頭部を引起装置(17,70)にぶつけるのを防止することができる。また、引起装置(17,70)の摺動部に圃場の土が付着して作動不良になるのを抑制することもできる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、第1フック(87)は、エンジンの出力回転が伝動される駆動スプロケット(50)よりも上側に配置されているので、引起装置(17,70)の長手方向を上下方向にして第1フック(87)を介して機体、例えば刈取装置(3)や脱穀装置(4)、操縦部(5)に容易に係止することができる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、第2フック(88)は、駆動スプロケット(50)に係回されたチェンの設けられた引起ラグ(35)を起立させて穀稈を引起こす側に配置されているので、引起装置(17,70)の長手方向を上前後方向にして第2フック(88)を介して機体、例えば機体フレーム(1)に装着されたナローガイドに容易に係止することができる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、請求項2記載の発明による効果に加えて、刈取装置(3)の両側部に配置された分草体(16)と操縦部(5)の昇降ガイド(5A)には、刈取装置(3)から取外された引起装置(17,70)の第1フック(87)を係止する留め具が形成されているので、引起装置(17,70)の長手方向を上下方向にして第1フック(87)を分草体(16)や昇降ガイド(5A)の留め具に確実に係止することができる。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加えて、留め具には、第1フック(87)を検出するセンサが設けられ、センサが第1フック(87)を検出した場合には、エンジンの出力回転を刈取装置(3)に伝動しない構成としたので、作業者が搬送装置(19)に詰まった穀稈の安全に取除くことができる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、第1フック(87)と第2フック(88)の内周部には、弾性部材が積層されているので、引起装置(17,70)を第1フック(87)や第2フック(88)を介して機体に確実に係止することができ、走行時の騒音も抑制することができる。
【0028】
請求項7記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、刈取フレーム(10)の上部に配置された左右方向に延在する伝動筒(15)の中間部に、伝動筒(15)の中間部から下側に向かって延在する少なくとも1個以上の上下伝動筒(41)と、上下伝動筒(41)の下部から左右方向に延在する左右伝動筒(42)を設け、分草体(16)を支持する前後フレーム(22)の中間部を連結する左右方向に延在するフレーム(23)の中間部に、フレーム(23)の中間部から上側に向かって延在する少なくとも1個以上のステー(43)と、ステー(43)の上部から左右方向に延在する左右フレーム(44)を設け、引起装置(17,70)の左右方向の中間に配置された引起装置(17,70)の上部を左右伝動筒(42)に、下部を左右フレーム(44)に着脱自在に固定したので、引起装置(17,70)を左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)から取外して搬送装置(19)の前側により大きな作業空間を確保して、搬送装置(19)に詰まった穀稈を容易に取除くことができる。
【0029】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明による効果に加えて、引起装置(17)の左側から2番目に位置する引起装置(17B)の引起こし反対側の右部と、引起装置(17)の左側から3番目に位置する引起装置(17C)の引起こし反対側の左部を対向して配置し、引起装置(17B)の上部を左右伝動筒(42)の左部に左係合部品(47L)で、下部を左右フレーム(44)の左部に左挟持部品(48L)で着脱自在に固定し、引起装置(17C)の上部を左右伝動筒(42)の右部に右係合部品(47R)でに、下部を左右フレーム(44)の右部に右挟持部品(48R)で着脱自在に固定したので、左係合部品(47L)の係合を解除し、左挟持部品(48L)の挟持を開放して引起装置(17B)を、右係合部品(47R)の係合を解除し、右挟持部品(48R)の挟持を開放して引起装置(17C)をより容易に取外すことができる。
【0030】
請求項9記載の発明によれば、請求項7記載の発明による効果に加えて、引起装置(70)の左側から2番目に位置する引起装置(70B)の引起こし反対側の右部と、引起装置(70)の左側から3番目に位置する引起装置(70C)の引起こし反対側の左部を対向して配置し、引起装置(70)の左側から4番目に位置する引起装置(70D)の引起こし反対側の右部と、引起装置(70)の左側から5番目に位置する引起装置(70E)の引起こし反対側の左部を対向して配置し、引起装置(70B)の上部を、左側の上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の左部に左係合部品(47L)で、下部を、左側のステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の左部に左挟持部品(48L)で着脱自在に固定し、引起装置(70C)の上部を、左側の上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の右部に右係合部品(47R)で、下部を、左側のステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の右部に右挟持部品(48R)で着脱自在に固定し、引起装置(70D)の上部を、右側の上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の左部に左係合部品(47L)で、下部を、右側のステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の左部に左挟持部品(48L)で着脱自在に固定し、引起装置(70E)の上部を、右側の上下伝動筒(41)の下部から延在する左右伝動筒(42)の右部に右係合部品(47R)で、下部を、右側のステー(43)の上部から延在する左右フレーム(44)の右部に右挟持部品(48R)で着脱自在に固定したので、左係合部品(47L)の係合を解除し、左挟持部品(48L)の挟持を開放して引起装置(70B,70D)を、右係合部品(47R)の係合を解除し、右挟持部品(48R)の挟持を開放して引起装置(70C,70E)をより容易に取外すことができる。
【0031】
請求項10記載の発明によれば、請求項8又は9記載の発明による効果に加えて、左係合部品(47L)を、左右伝動筒(42)に設けられた係合部(60)と、引起装置(17B,70B,70B)の後面に立設された第1被係合部(61)で形成し、右係合部品(47R)を、左右伝動筒(42)に設けられた係合部(60)と、引起装置(17C,70C,70E)の後面に立設された第1被係合部(61)で形成し、第1被係合部(61)に凹凸を形成したので、係合部(60)を第1被係合部(61)に強固に係合させて、引起装置(17,70)を左右伝動筒(42)に密着して固定することができる。
【0032】
請求項11記載の発明によれば、請求項8又は9記載の発明による効果に加えて、左挟持部品(48L)を、引起装置(17B,70B,70D)の下部に設けられた上挟持部(65)と下挟持部(66)で形成し、右挟持部品(48R)を、引起装置(17C,70C,70E)の下部に設けられた上挟持部(65)と下挟持部(66)で形成し、上挟持部(65)に、左右方向に延在するピン(65B)を設け、ピン(65B)に、上挟持部(65)の円弧状の上挟持本体部(65C)の前部を固定し、ピン(65B)に、下挟持部(66)の円弧状の下挟持本体部(66A)の前部を回転自在に固定し、下挟持本体部(66A)の後部に第2被係合部(66B)を設け、第2被係合部(66B)の後部を後方下方に湾曲させたので、上挟持本体部(65C)と下挟持本体部(66A)で左右フレーム(44)を密着して挟持して引起装置(17,70)の下部を左右フレーム(44)に強固に固定することができる。
【0033】
請求項12記載の発明によれば、請求項11記載の発明による効果に加えて、上挟持本体部(65C)と下挟持本体部(66A)の内周面に弾性部材を積層したので、上挟持本体部(65C)と下挟持本体部(66A)で左右フレーム(44)をより密着して挟持することができる。
【0034】
請求項13記載の発明によれば、請求項7記載の発明による効果に加えて、左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)の左部を、上下方向に延在する左上下フレーム(45L)で連結し、左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)の右部を、上下方向に延在する右上下フレーム(45R)で連結したので、左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)の剛性が高まり、引起装置(17,70)を左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)から取外した場合に左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)に生じる変形を抑制することができる。
【0035】
請求項14記載の発明によれば、請求項13記載の発明による効果に加えて、側面視において、左上下フレーム(45L)と右上下フレーム(45R)を引起装置(17,70)の後面と平行に配置したので、左右伝動筒(42)と左右フレーム(44)の剛性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図9】引起装置を左右伝動筒に固定した左側面図である。
【
図10】分草フレームの上部を前側に移動した左側面図である。
【
図11】引起装置の上部を前側に移動した左側面図である。
【
図12】引起装置の下部を取外した左側面図である。
【
図13】係合部と被係合部を係合した係合部品の左側面図である。
【
図14】係合部と被係合部の係合を解除した係合部品の左側面図である。
【
図15】左右フレームを挟持した係合部品の左側面図である。
【
図16】左右フレームの挟持を解除した係合部品の左側面図である。
【
図18】左サイドミラーフレームに車幅灯を固定した正面図である。
【
図21】引起装置を刈取装置に係止した左側面図である。
【
図22】引起装置を刈取装置に係止した正面図である。
【
図23】引起装置を操縦部に係止した右側面図である。
【
図24】引起装置を脱穀装置に係止した左側面図である。
【
図25】引起装置をナノ―ガイドに係止した左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0038】
操縦部5の下側には、エンジンを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側には、穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。
【0039】
刈取装置3の刈取フレーム10は、エンジンの出力回転が伝動される左右方向に延在する伝動筒11と、伝動筒11の右部から前側に向かって延在する伝動筒12と、伝動筒12の下部から左右方向に延在する伝動筒13と、伝動筒13の左部から上側に向かって延在する伝動筒14と、伝動筒14の上部から左右方向に延在する伝動筒15から形成されている。
【0040】
刈取フレーム10には、圃場に植立する穀稈を分草する分草体16と、分草された穀稈を引起こす引起装置17と、引起こされた穀稈の株元を切断する刈刃装置18と、刈取られた穀稈を挟持して脱穀装置4に搬送する搬送装置19が装着されている。
【0041】
図3,4に示すように、伝動筒11の右部と伝動筒15の中間部は、丸鋼からなる連結部材20で連結され、伝動筒15の右部と伝動筒13の右部は、丸鋼からなる連結部材21で連結されている。これにより、伝動筒15の左部を伝動筒14で支持し、伝動筒15の中間部を連結部材20で支持し、伝動筒15の右部を連結部材21で支持するので、伝動筒15の撓みや捻じり等の変形を抑制することができる。
【0042】
連結部材20は、搬送装置19の上側を超えるように、伝動筒11の右部から前方上側に向かって延在した後に、前側に向かって延在し、その後、前方下側に向かって延在して伝動筒15に至っている。また、連結部材21は、搬送装置19の上側を超えるように、伝動筒13の右部から前方上側に向かって延在した後に、上側に向かって延在し、その後、前方上側に向かって延在して伝動筒15に至っている。
【0043】
図5に示すように、分草体16は、5個の分草体16A~16Eから形成されている。
分草体16A~16Eは、伝動筒13から前側に向かって延在し、左右方向に所定の間隔を隔てて設けられた前後フレーム22の前部に固定されている。また、最も左側に設けられた前後フレーム22と最も右側に設けられた前後フレーム22の中間部を連結する丸パイプで形成されたフレーム23で連結されている。
【0044】
引起装置17は、4個の引起装置17A~17Dから形成されている。引起装置17Bの引起こし反対側の右部と引起装置17Cの引起こし反対側の左部を対向して配置している。これにより、引起装置17A,17Bの間で2条、引起装置17C,17Dの間で2条の計4条の穀稈を同時に引起こすことができる。
【0045】
図6~8に示すように、引起装置17Aの上部に設けられた駆動スプロケットを支持する支軸(図示省略)は、伝動筒15の左部から下側に向かって延在する上下伝動筒30Lの回転軸31Lに連結され、引起装置17Aの下部は、フレーム23の左部から上方右側に湾曲するステー32Lに設けられた矩形状の連結部材33Lに固定されている。これにより、伝動筒15に内装された回転軸に伝動されたエンジンの出力回転は、上下伝動筒30Lに内装された回転軸を介して引起装置17Aの駆動スプロケットに伝動されて引起チェンを回動することができる。また、伝動筒15の前側にはカバー25が設けられている。
【0046】
引起装置17Dの上部に設けられた駆動スプロケットを支持する支軸(図示省略)は、伝動筒15の右部から下側に向かって延在する上下伝動筒30Rの回転軸31Rに連結され、引起装置17Dの下部は、フレーム23の右部から上方左側に湾曲するステー32Rに設けられた矩形状の連結部材33Rに固定されている。これにより、伝動筒15に内装された回転軸に伝動されたエンジンの出力回転は、上下伝動筒30Rに内装された回転軸を介して引起装置17Dの駆動スプロケットに伝動されて引起チェンを回動することができる。
【0047】
伝動筒15の左右方向の中間部には、中間部から下側に向かって延在する上下伝動筒41が設けられ、上下伝動筒41の下部には、左右方向に延在する左右伝動筒42が設けられている。また、フレーム23の中間部には、中間部から上側に向かって延在するステー43が設けられ、ステー43の上部には丸パイプから形成された左右方向に延在する左右フレーム44が設けられている。
【0048】
左右フレーム44の両側部にはワッシャ等からなる規制部材44L,44Rが設けられている。これにより、後述する左挟持部品48Lと右挟持部品48Rが左右フレーム44から左右方向に外れるのを防止することができる。
【0049】
左右伝動筒42と左右フレーム44の左部は、左上下フレーム45Lで連結され、左右伝動筒42と左右フレーム44の右部は、右上下フレーム45Rで連結されている。これにより、左右伝動筒42と左右フレーム44の剛性を高めることができ、引起装置17B,17Cを取外した場合においても左右伝動筒42と左右フレーム44の変形を抑制することができる。なお、背面視において、上下伝動筒41、左右伝動筒42、ステー43、左右フレーム44、左上下フレーム45L、及び右上下フレーム45Rは、引起装置17B,17Cの外周部よりも内側に配置されている。
【0050】
引起装置17Bの上部に設けられた駆動スプロケット50を支持する回転軸51は、左右伝動筒42の回転軸46Lに連結され、引起装置17Bの上部における回転軸46Lに対向する部位に近接する部位は、スナップ錠等の左係合部品47Lを介して左右伝動筒42の左部に固定され、引起装置17Bの下部は、スナップ錠等の左挟持部品48Lを介して左右フレーム44の左部に固定されている。これにより、伝動筒15に内装された回転軸に伝動されたエンジンの出力回転は、上下伝動筒41と左右伝動筒42に内装された回転軸を介して引起装置17Bの駆動スプロケット50に伝動されて引起チェンを回動することができる。
【0051】
引起装置17Cの上部に設けられた駆動スプロケット(図示省略)を支持する回転軸(図示省略)は、左右伝動筒42の回転軸46Rに連結され、引起装置17Cの上部における回転軸46Rに対向する部位に近接する部位は、スナップ錠等の右係合部品47Rを介して左右伝動筒42の右部に固定され、引起装置17Cの下部は、スナップ錠等の右挟持部品48Rを介して左右フレーム44の右部に固定されている。これにより、伝動筒15に内装された回転軸に伝動されたエンジンの出力回転は、上下伝動筒41と左右伝動筒42に内装された回転軸を介して引起装置17Cの駆動スプロケットに伝動されて引起チェンを回動することができる。
【0052】
左上下フレーム45Lの上部には、引起装置17Bの引起チェン(図示省略)にオイルを注油する注油ノズルを支持する支持部材49Lが設けられ、右上下フレーム45Rの上部には、引起装置17Cの引起チェン(図示省略)にオイルを注油する注油ノズルを支持する支持部材49Lが設けられている。なお、引起チェンには所定の間隔を隔てて引起ラグ35が装着されている。
【0053】
図9に示すように、上下伝動筒41の前部に設けられた係合部材52から前方下側に向かって延在する吊下フレーム24の下部は、分草体16Cの後部に設けられた左右方向に延在するピン53に回転自在に支持されている。これにより、
図10に示すように、吊下フレーム24の上部と係合部材52の係合を解除して、ピン53の軸心回りに吊下フレーム24の上部を前側に引き出して引起装置17Bと引起装置17Cの着脱を容易に行うことができる。
【0054】
図9に示すように、引起装置17Bの後面における上部、すなわち、駆動スプロケット50よりも下側の部位は、左係合部品47Lを介して左右伝動筒42の左部に固定され、引起装置17Bの後面における下部は、左挟持部品48Lを介して左右フレーム44の左部に固定されている。
【0055】
引起装置17Bを左右伝動筒42等から取外す場合には、先ず、
図11に示すように、引起装置17Bの回転軸51と左右伝動筒42の回転軸46Lの連結を解除し、引起装置17Bの後面の上部と左係合部品47Lの係合を解除して、左右フレーム44の軸心回りに引起装置17Bの上部を前側に引き出す。次に、
図12に示すように、引起装置17Bの下部と左挟持部品48Lの係合を解除して、引起装置17Bの下部を左右フレーム44の左部から取り外す。これにより、引起装置17Bを左右伝動筒42等から取外して引起装置17Bの後側に配置された搬送装置19に絡み付いた穀稈を容易に取除くことができる。
【0056】
左上下フレーム45Lは、引起装置17Bの後面と平行に設けられている。これにより、左右伝動筒42と左右フレーム44の左部の剛性をより高めることができる。
【0057】
同様に、引起装置17Cの後面における上部、すなわち、駆動スプロケット(図示省略)よりも下側の部位は、右係合部品47Rを介して左右伝動筒42の右部に固定され、引起装置17Cの後面における下部は、左挟持部品48Lを介して左右フレーム44の右部に固定されている。
【0058】
引起装置17Cを左右伝動筒42等から取外す場合には、引起装置17Bと同様に、引起装置17Cの回転軸(図示省略)と左右伝動筒42の回転軸46Rの連結を解除し、引起装置17Cの後面の上部と右係合部品47Rの係合を解除して、左右フレーム44の軸心回りに引起装置17Cの上部を前側に引き出す。次に、引起装置17Cの下部と右挟持部品48Rの係合を解除して、引起装置17Cの下部を左右フレーム44の右部から取り外す。これにより、引起装置17Cを左右伝動筒42等から取外して引起装置17Cの後側に配置された搬送装置19に絡み付いた穀稈を容易に取除くことができる。
【0059】
右上下フレーム45Rは、引起装置17Cの後面と平行に設けられている。これにより、左右伝動筒42と左右フレーム44の右部の剛性をより高めることができる。
【0060】
図13,14に示すように、左係合部品47Lは、左右伝動筒42の左部に設けられた係合部60と、引起装置17Bの後面に設けられた被係合部(請求項における「第1被係合部」)61から形成されている。係合部60は、取付プレート60Aと、取付プレート60Aに設けられた上下方向に延在するピン60Bと、ピン60Bに回転自在に装着されたレバー60Cと、レバー60Cに設けられたフック60Dから形成されている。なお、被係合部61は、引起装置17Bの後面から後側に向けて延在し、被係合部61の右部には、フック60Dが係合する凹凸が形成されている。これにより、引起装置17Bの上部を、左右伝動筒42の左部に容易に固定したり、左右伝動筒42の左部から取外すことができる。
【0061】
同様に、右係合部品47Rは、左右伝動筒42の右部に設けられた係合部60と、引起装置17Cの後面に設けられた被係合部61から形成されている。係合部60は、取付プレート60Aと、取付プレート60Aに設けられた上下方向に延在するピン60Bと、ピン60Bに回転自在に装着されたレバー60Cと、レバー60Cに設けられたフック60Dから形成されている。なお、被係合部61は、引起装置17Cの後面から後側に向けて延在し、被係合部61の左部には、フック60Dが係合する凹凸が形成されている。これにより、引起装置17Cの上部を、左右伝動筒42の右部に容易に固定したり、左右伝動筒42の右部から取外すことができる。
【0062】
図15,16に示すように、左挟持部品48Lは、引起装置17Bの後面の下部に設けられた上挟持部65と、上挟持部65の下側に設けられた下挟持部66から形成されている。
【0063】
上挟持部65は、取付プレート65Aと、取付プレート65Aの下部に設けられた左右方向に延在するピン65Bと、ピン65Bに支持された略円弧状の上挟持本体部65Cと、取付プレート65Aの上部に設けられた左右方向に延在するピン65Dと、ピン65Dに回転自在に装着されたレバー65Eと、レバー65Eに設けられたフック65Fから形成されている。また、上挟持本体部65Cの内周面にはゴム等の弾性部材を積層するのが好ましい。また、下挟持部66は、ピン65Bに回転自在に支持された略円弧状の下挟持本体部66Aと、下挟持本体部66Aの後端部に設けられた被係合部(請求項における「第2被係合部」)66Bから形成され、被係合部66Bの後部は後方下側に湾曲している。これにより、引起装置17Bの下部を、左右フレーム44の左部に容易に固定したり、左右フレーム44の左部から取外すことができる。また、下挟持本体部66Aの内周面にはゴム等の弾性部材を積層するのが好ましく、下挟持本体部66Aを高硬度の弾性部材で製作することもできる。
【0064】
同様に、右挟持部品48Rは、引起装置17Cの後面の下部に設けられた上挟持部65と、上挟持部65の下側に設けられた下挟持部66から形成されている。
【0065】
上挟持部65は、取付プレート65Aと、取付プレート65Aの下部に設けられた左右方向に延在するピン65Bと、ピン65Bに支持された略円弧状の上挟持本体部65Cと、取付プレート65Aの上部に設けられた左右方向に延在するピン65Dと、ピン65Dに回転自在に装着されたレバー65Eと、レバー65Eに設けられたフック65Fから形成されている。また、上挟持本体部65Cの内周面にはゴム等の弾性部材を積層するのが好ましい。また、下挟持部66は、ピン65Bに回転自在に支持された略円弧状の下挟持本体部66Aと、下挟持本体部66Aの後端部に設けられた被係合部66Bから形成され、被係合部66Bの後部は後方下側に湾曲している。これにより、引起装置17Cの下部を、左右フレーム44の右部に容易に固定したり、左右フレーム44の左部から取外すことができる。また、下挟持本体部66Aの内周面にはゴム等の弾性部材を積層するのが好ましく、下挟持本体部66Aを高硬度の弾性部材で製作することもできる。
【0066】
図17,18には、6条刈りの他のコンバインを図示している。上述した4条刈りコンバインと同一部品には同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
刈取装置3の引起装置70は、6個の引起装置70A~70Fから形成されている。引起装置70Bの引起こし反対側の右部と引起装置70Cの引起こし反対側の左部を対向して配置し、引起装置70Dの引起こし反対側の右部と引起装置70Eの引起こし反対側の左部を対向して配置している。これにより、引起装置70A,70Bの間で2条、引起装置70C,70Dの間で2条、引起装置70E,70Fの間で2条の計6条の穀稈を同時に引起こすことができる。また、操縦部5はキャビン9で覆われている。
【0068】
引起装置70Aは、引起装置17Aと同様に上下伝動筒30Lとステー32Lに固定され、引起装置70Fは、引起装置17Dと同様に上下伝動筒30Rとステー32Rに固定されている。なお、引起装置70Aは、引起装置17Aと同様に形成され、引起装置70Fは、引起装置17Dと同様に形成されている。
【0069】
引起装置70Bと引起装置70Dは、引起装置17Bと同様に左側の上下伝動筒41の下部に設けられた左右伝動筒42と左側のステー43の上部に設けられた左右フレーム44の左部に固定されている。
【0070】
引起装置70Bと引起装置70Dは、引起装置17Bと同様に形成されており、引起装置70Bと引起装置70Dの後面には、左係合部品47Lの被係合部61が設けられ、引起装置70Bと引起装置70Dの後面の下部には、左挟持部品48Lが設けられている。また、左側の上下伝動筒41の下部に設けられた左右伝動筒42の左部には、左係合部品47Lの係合部60が設けられ、右部には、右係合部品47Rの係合部60が設けられている。
【0071】
左側の上下伝動筒41の下部に設けられた左右伝動筒42の左部と左側のステー43の上部に設けられた左右フレーム44の左部は、左上下フレーム45Lで連結され、左側の上下伝動筒41の下部に設けられた左右伝動筒42の右部と左側のステー43の上部に設けられた左右フレーム44の右部は、右上下フレーム45Rで連結されている。
【0072】
引起装置70Cと引起装置70Eは、引起装置17Cと同様に右側の上下伝動筒41の下部に設けられた左右伝動筒42と右側のステー43の上部に設けられた左右フレーム44の右部に固定されている。
【0073】
引起装置70Cと引起装置70Eは、引起装置17Cと同様に形成されており、引起装置70Cと引起装置70Eの後面には、右係合部品47Rの被係合部61が設けられ、引起装置70Cと引起装置70Eの後面の下部には、右挟持部品48Rが設けられている。また、右側の上下伝動筒41の下部に設けられた左右伝動筒42の左部には、左係合部品47Lの係合部60が設けられ、右部には、右係合部品47Rの係合部60が設けられている。
【0074】
右側の上下伝動筒41の下部に設けられた左右伝動筒42の左部と右側のステー43の上部に設けられた左右フレーム44の左部は、左上下フレーム45Lで連結され、右側の上下伝動筒41の下部に設けられた左右伝動筒42の右部と右側のステー43の上部に設けられた左右フレーム44の右部は、右上下フレーム45Rで連結されている。
【0075】
図13,14,19,20に示すように、引起装置17には、駆動スプロケット50に係回された引起チェンの張力を調整する張力調整部80が設けられている。
【0076】
張力調整部80は、テンションスプロケット81と、テンションスプロケット81を上下方向に移動させる移動部82から形成されている。
【0077】
移動部82は、駆動スプロケット50を支持する回転軸51を内嵌するブラケット83に設けられたフレーム84と、テンションスプロケット81を支持する回転軸を内嵌するブラケット85に設けられた調整部材86から形成されている。これにより、調整部材86でブラケット85を上方に移動すると引起チェンの張力は緊張し、調整部材86でブラケット85を下方に移動すると引起チェンの張力は弛緩することができる。
【0078】
フレーム84は、側面視においてフレーム84はJ文字形状に形成され、ブラケット85の上部から上方に向かって延在した後に、上端部から後方に向かって延在し、次に、後端部から下方に向かって延在するフック(請求項における「第1フック」)87が形成されている。また、引起装置17の背面における上下方向の中間部で、引起ラグ35で穀稈を引起こす側に偏移した部位には上下一対のフック(請求項における「第2フック」)88が設けられている。なお、フック87,88の内周面にはウレタンやゴムの振動を抑制する弾性部材を貼り付けるのが好ましい。
【0079】
4条刈りのコンバインの引起装置17B,17Cを取外して引起装置17B等の後側に配置された搬送装置19に絡み付いた穀稈を容易に取除く場合には、
図21,22に示すように、刈取装置3の左右両側に設けられた分草体16の留め具(図示省略)や、
図23に示すように、操縦部5の作業者が昇降時に把持するステップの前側に設けられた上下方向に延長する昇降ガイド5Aの留め具(図示省略)に、引起装置17B等のフック87を係止することができる。これにより、搬送装置19の前方に広い作業空間を確保し、作業者が誤って頭部を引起装置17B等にぶつけるのを防止することができる。また、引起装置17B等の摺動部に圃場の土が付着して作動不良になるのを抑制することもできる。
【0080】
留め具の近傍にはセンサが設けられている。センサが留め具に係止された引起装置17B等を検出した場合には、エンジンと刈取装置3の間に設けられた刈取クラッチの接続は解除されてエンジンの出力回転が刈取装置3に伝動されなくなる。これにより、留め具に引起装置17B等のフック87を係止して搬送装置19に絡み付いた穀稈を安全に取り除くことができる。
【0081】
また、
図24に示すように、4条刈りのコンバインの引起装置17B等を取外して脱穀装置4の扱胴の上部を覆う扱胴カバー4Aを開閉する前後方向に延在する開閉レバー4Bに引起装置17B等のフック87を係止することができる。これにより、引起装置17B等の摺動部に圃場の土が付着して作動不良になるのを抑制することもできる。また、留め具等の付品点数を削減することもできる。
【0082】
さらに、
図25に示すように、コンバインの進行方向の左側に植立する未刈穀稈を左方に寄せる機体フレーム1の前後方向に延在するナローガイド1Aに引起装置17B等のフック88を係止することができる。これにより、引起装置17B等の摺動部に圃場の土が付着して作動不良になるのを抑制することもでき、引起装置17B等がナローガイド1Aから脱落するのを抑制することができる。
【0083】
なお、上述では、4条刈りのコンバインの引起装置17Bを例に取って引起装置17について説明したが、6条刈りのコンバインの引起装置70も同様であり説明を省略する。また、
図21~25には、6条刈りのコンバインの引起装置70Eを分草体16の留め具等に係止した場合を図示している。
【符号の説明】
【0084】
1 機体フレーム
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
5A 昇降ガイド
10 刈取フレーム
15 伝動筒
16 分草体
17 引起装置
17B 引起装置
17C 引起装置
18 刈刃装置
19 搬送装置
22 前後フレーム
23 フレーム
35 引起ラグ
41 上下伝動筒
42 左右伝動筒
43 ステー
44 左右フレーム
45L 左上下フレーム
45R 右上下フレーム
47L 左係合部品
47R 右係合部品
48L 左挟持部品
48R 右挟持部品
50 駆動スプロケット
60 係合部
61 被係合部(第1被係合部)
65 上挟持部
65B ピン
65C 上挟持本体部
66 下挟持部
66A 下挟持本体部
66B 被係合部(第2被係合部)
70 引起装置
70B 引起装置
70C 引起装置
70D 引起装置
70E 引起装置
87 フック(第1フック)
88 フック(第2フック)