(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156341
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 61/00 20060101AFI20241029BHJP
A01D 41/02 20060101ALI20241029BHJP
A01D 41/12 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A01D61/00 301M
A01D41/02 K
A01D41/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070719
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 一志
【テーマコード(参考)】
2B074
2B084
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074AD05
2B074AD06
2B074BA04
2B074BA06
2B074GC01
2B074GC05
2B084AA03
2B084BB57
2B084BB70
2B084BD30
2B084BH08
2B084BH11
(57)【要約】
【課題】フィーダハウスから漏下してくる異物と貯留箱の後壁等との衝突を抑制して、貯留箱の後壁等の破損を防止することができるコンバインを提供する。
【解決手段】刈取前処理装置(3)のフィーダハウス(3D)の下壁(10)に、フィーダハウス(3D)に搬送された異物を漏下させる開口部(12)を形成し、下壁(10)の下側に、開口部(12)から漏下した異物を貯留する貯留箱(20)を装着し、貯留箱(20)を、上面が開放された箱状の貯留本体部(21)と、貯留本体部(21)の前壁の上端部から前側に向かって延在する上流板部(22)と、貯留本体部(21)の後壁の上端部から後側に向かって延在する下流板部(23)で形成し、貯留本体部(21)の後壁の前側に、上下方向に所定の長さを有する防止壁(40)を設けた。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)に設け、該刈取前処理装置(3)の後方右側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取前処理装置(3)のフィーダハウス(3D)の下壁(10)に、該フィーダハウス(3D)に搬送された異物を漏下させる開口部(12)を形成し、
前記下壁(10)の下側に、前記開口部(12)から漏下した異物を貯留する貯留箱(20)を装着し、
該貯留箱(20)を、上面が開放された箱状の貯留本体部(21)と、該貯留本体部(21)の前壁の上端部から前側に向かって延在する上流板部(22)と、前記貯留本体部(21)の後壁の上端部から後側に向かって延在する下流板部(23)で形成し、
前記貯留本体部(21)の後壁の前側に、上下方向に所定の長さを有する防止壁(40)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記防止壁(40)を貯留本体部(21)の後壁の上端部から前側に向かって延在する水平部(40A)と、該水平部(40A)の前端部から下側に向かって延在する垂直部(40B)で形成し、該垂直部(40B)の上下方向の長さを、前記貯留本体部(21)の後壁の上下方向の長さの1/3~2/3に形成した請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)に設け、該刈取前処理装置(3)の後方右側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取前処理装置(3)のフィーダハウス(3D)の下壁(10)に、該フィーダハウス(3D)に搬送された異物を漏下させる開口部(12)を形成し、
前記下壁(10)の下側に、前記開口部(12)から漏下した異物を貯留する貯留箱(20)を装着し、
該貯留箱(20)を、上面が開放された箱状の貯留本体部(21)と、該貯留本体部(21)の前壁の上端部から前側に向かって延在する上流板部(22)と、前記貯留本体部(21)の後壁の上端部から後側に向かって延在する下流板部(23)で形成し、
平面視において、前記貯留本体部(21)の前壁の上端部に、後側に向かって延在する矩形状の弾性部材(42)の前部を固定したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
前記弾性部材(42)の後部を貯留本体部(21)の後壁の近位部まで延在させた請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記下壁(10)の下面に、左右方向に延在する支軸(16)を設け、
前記下流板部(23)の後部に、前記支軸(16)に回転自在に外嵌される円筒部(24)を設け、
前記円筒部(24)に、前記支軸(16)の軸心回りに円筒部(24)を回転させる操作レバー(44)を設け、該操作レバー(44)の上部を操縦部(5)に臨ませた請求項1又は3記載のコンバイン。
【請求項6】
前記下壁(10)の下面における上流板部(22)に対向する部位に圧縮部材(17)を設けた請求項5記載のコンバイン。
【請求項7】
前記貯留本体部(21)に異物の貯留量を測定するセンサ(25)を設け、異物の貯留量が所定の貯留量以上になった場合には、前記操縦部(5)の警報手段(5A,5B)を起動させる請求項6記載のコンバイン。
【請求項8】
前記フィーダハウス(3D)の上壁(11)の上側に送風ファン(31)が内装された塵埃排出箱(30)を設け、
前記貯留箱(20)と塵埃排出箱(30)の側壁に形成された連通口を送風通路(32)で接続した請求項7記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀稈を搬送するフィーダハウスに砂利を貯留する貯留箱を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、収穫した穀稈を脱穀装置に搬送するフィーダハウスの下部に貯留箱を設け、フィーダハウスの下壁に形成された開口部から漏下してくる穀稈に混在してフィーダハウスに搬送された砂利を貯留する技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、フィーダハウスから漏下してくる砂利が貯留箱の後壁等に衝突して、貯留箱の後壁等の表面が削られて後壁等の厚みが薄くなったり、変形が生じたりする恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、フィーダハウスから漏下してくる異物と貯留箱の後壁等との衝突を抑制して、貯留箱の後壁等の破損を防止することができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)に設け、該刈取前処理装置(3)の後方右側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取前処理装置(3)のフィーダハウス(3D)の下壁(10)に、該フィーダハウス(3D)に搬送された異物を漏下させる開口部(12)を形成し、前記下壁(10)の下側に、前記開口部(12)から漏下した異物を貯留する貯留箱(20)を装着し、該貯留箱(20)を、上面が開放された箱状の貯留本体部(21)と、該貯留本体部(21)の前壁の上端部から前側に向かって延在する上流板部(22)と、前記貯留本体部(21)の後壁の上端部から後側に向かって延在する下流板部(23)で形成し、前記貯留本体部(21)の後壁の前側に、上下方向に所定の長さを有する防止壁(40)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記防止壁(40)を貯留本体部(21)の後壁の上端部から前側に向かって延在する水平部(40A)と、該水平部(40A)の前端部から下側に向かって延在する垂直部(40B)で形成し、該垂直部(40B)の上下方向の長さを、前記貯留本体部(21)の後壁の上下方向の長さの1/3~2/3に形成した請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3に係る発明は、穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)に設け、該刈取前処理装置(3)の後方右側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取前処理装置(3)のフィーダハウス(3D)の下壁(10)に、該フィーダハウス(3D)に搬送された異物を漏下させる開口部(12)を形成し、前記下壁(10)の下側に、前記開口部(12)から漏下した異物を貯留する貯留箱(20)を装着し、該貯留箱(20)を、上面が開放された箱状の貯留本体部(21)と、該貯留本体部(21)の前壁の上端部から前側に向かって延在する上流板部(22)と、前記貯留本体部(21)の後壁の上端部から後側に向かって延在する下流板部(23)で形成し、平面視において、前記貯留本体部(21)の前壁の上端部に、後側に向かって延在する矩形状の弾性部材(42)の前部を固定したことを特徴とするコンバインである。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記弾性部材(42)の後部を貯留本体部(21)の後壁の近位部まで延在させた請求項3記載のコンバインである。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記下壁(10)の下面に、左右方向に延在する支軸(16)を設け、前記下流板部(23)の後部に、前記支軸(16)に回転自在に外嵌される円筒部(24)を設け、前記円筒部(24)に、前記支軸(16)の軸心回りに円筒部(24)を回転させる操作レバー(44)を設け、該操作レバー(44)の上部を操縦部(5)に臨ませた請求項1又は3記載のコンバインである。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記下壁(10)の下面における上流板部(22)に対向する部位に圧縮部材(17)を設けた請求項5記載のコンバインである。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記貯留本体部(21)に異物の貯留量を測定するセンサ(25)を設け、異物の貯留量が所定の貯留量以上になった場合には、前記操縦部(5)の警報手段(5A,5B)を起動させる請求項6記載のコンバインである。
【0013】
請求項8に係る発明は、前記フィーダハウス(3D)の上壁(11)の上側に送風ファン(31)が内装された塵埃排出箱(30)を設け、前記貯留箱(20)と塵埃排出箱(30)の側壁に形成された連通口を送風通路(32)で接続した請求項7記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、刈取前処理装置(3)のフィーダハウス(3D)の下壁(10)に、フィーダハウス(3D)に搬送された異物を漏下させる開口部(12)を形成し、下壁(10)の下側に、開口部(12)から漏下した異物を貯留する貯留箱(20)を装着し、貯留箱(20)を、上面が開放された箱状の貯留本体部(21)と、貯留本体部(21)の前壁の上端部から前側に向かって延在する上流板部(22)と、貯留本体部(21)の後壁の上端部から後側に向かって延在する下流板部(23)で形成し、貯留本体部(21)の後壁の前側に、上下方向に所定の長さを有する防止壁(40)を設けたので、開口部(12)から漏下してくる異物が貯留本体部(21)の後壁に衝突するのを防止して、貯留本体部(21)の後壁が破損するのを抑制することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、防止壁(40)を貯留本体部(21)の後壁の上端部から前側に向かって延在する水平部(40A)と、水平部(40A)の前端部から下側に向かって延在する垂直部(40B)で形成し、垂直部(40B)の上下方向の長さを、貯留本体部(21)の後壁の上下方向の長さの1/3~2/3に形成したので、開口部(12)から漏下してくる異物が貯留本体部(21)の後壁の上部に衝突するのを防止して、貯留本体部(21)の後壁の上部が破損するのを抑制することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、刈取前処理装置(3)のフィーダハウス(3D)の下壁(10)に、フィーダハウス(3D)に搬送された異物を漏下させる開口部(12)を形成し、下壁(10)の下側に、開口部(12)から漏下した異物を貯留する貯留箱(20)を装着し、貯留箱(20)を、上面が開放された箱状の貯留本体部(21)と、貯留本体部(21)の前壁の上端部から前側に向かって延在する上流板部(22)と、貯留本体部(21)の後壁の上端部から後側に向かって延在する下流板部(23)で形成し、平面視において、貯留本体部(21)の前壁の上端部に、後側に向かって延在する矩形状の弾性部材(42)の前部を固定したので、開口部(12)から漏下してくる異物が弾性部材(42)の上面に沿ってゆっくり移動して、貯留本体部(21)の下壁が破損するのを抑制することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明による効果に加えて、弾性部材(42)の後部を貯留本体部(21)の後壁の近位部まで延在させたので、開口部(12)から漏下してくる異物が弾性部材(42)の上面に沿ってよりゆっくり移動して、貯留本体部(21)の下壁が破損するのをより抑制することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1又は3記載の発明による効果に加えて、下壁(10)の下面に、左右方向に延在する支軸(16)を設け、下流板部(23)の後部に、支軸(16)に回転自在に外嵌される円筒部(24)を設け、円筒部(24)に、支軸(16)の軸心回りに円筒部(24)を回転させる操作レバー(44)を設け、操作レバー(44)の上部を操縦部(5)に臨ませたので、操縦部(5)から操作レバー(44)を操作して貯留本体部(21)を前下がり傾斜の開放姿勢に移動させて、貯留本体部(21)内の異物を外部に排出することができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明による効果に加えて、下壁(10)の下面における上流板部(22)に対向する部位に圧縮部材(17)を設けたので、下壁(10)に上流板部(22)が密閉して、貯留本体部(21)内に異物を確実に貯留することができる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明による効果に加えて、貯留本体部(21)に異物の貯留量を測定するセンサ(25)を設け、異物の貯留量が所定の貯留量以上になった場合には、操縦部(5)の警報手段(5A,5B)を起動させるので、異物が満杯になる前にコンバインを移動させて異物を排出場所に排出することができる。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明による効果に加えて、フィーダハウス(3D)の上壁(11)の上側に送風ファン(31)が内装された塵埃排出箱(30)を設け、貯留箱(20)と塵埃排出箱(30)の側壁に形成された連通口を送風通路(32)で接続したので、貯留本体部(21)内の異物を外部に効率良く排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】フィーダハウスの下壁に形成された(a)は第1実施形態の開口部、(b)は第2実施形態の開口部の説明図である。
【
図4】フィーダハウスの下壁の下面に装着される貯留箱の斜視図である。
【
図5】第1実施形態の貯留箱の前後方向の縦断面図である。
【
図6】第2実施形態の貯留箱の前後方向の縦断面図である。
【
図7】第3実施形態の貯留箱の弾性部材が(a)は水平姿勢、(b)は後下がり姿勢の前後方向の縦断面図である。
【
図8】第4実施形態の貯留箱の(a)は閉鎖姿勢、(b)は開放姿勢の前後方向の縦断面図である。
【
図9】第5実施形態の貯留箱の(a)は閉鎖姿勢、(b)は開放姿勢の前後方向の縦断面図である。
【
図10】フィーダハウスの上壁に装着された塵埃排出筒と貯留箱を接続する送風路の(a)は正面図、(b)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1,2に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0024】
操縦部5の下側にエンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。
【0025】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する掻込装置3Aと、掻込装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、掻込装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0026】
フィーダハウス3Dの下壁10の前後方向の略中間には、フィーダハウス3D内に侵入した砂利等を貯留する貯留箱20が設けられ、フィーダハウス3Dの上壁11の前後方向の略中間であって貯留箱20に対向する部位には、塵埃排出箱30が設けられている。
【0027】
塵埃排出箱30内には送風ファン31が設けられている。塵埃排出箱30から排気された空気はフィーダハウス3Dを通って貯留箱20に向けて送風される。
【0028】
<第1実施形態の開口部>
図3(a)に示すように、フィーダハウス3Dの下壁10における貯留箱20に対向する部位には、第1実施形態の矩形状の開口部12が開口されている。これにより、穀稈に混在してフィーダハウス3D内に搬送された小石、砂等の砂利を開口部12から貯留箱20に漏下させることができる。
【0029】
<第2実施形態の開口部>
図3(b)に示すように、第2実施形態の矩形状の開口部12は、下壁10の上流側に位置する矩形状の上流開口部12Aと、下流側に位置する略二等辺三角形の下流開口部12Bから形成され、下流開口部12Bの頂部は、フィーダハウス3Dの下壁10の左右方向の中心に形成されている。これにより、穀稈に混在してフィーダハウス3Dに搬送された小石、砂等の砂利をフィーダハウス3Dの下壁10の左右方向の中心部から貯留箱20に効率良く漏下させることができる。
【0030】
図4に示すように、フィーダハウス3Dから漏下した砂利を貯留する貯留箱20は、上面が開放された貯留本体部21と、貯留本体部21の前壁の上部端部から前側に向かって延在する上流板部22と、貯留本体部21の後壁の上部端部から後側に向かって延在する下流板部23と、下流板部23の後部の左右方向に延在する円筒部24から形成されている。
【0031】
上流板部22には、フィーダハウス3Dの下壁10に係合するボルト等の係合部材15が設けられている。また、円筒部24は、フィーダハウス3Dの下壁10に設けられた左右方向に延在する支軸16に回転自在に外嵌されている。これにより、貯留箱20が砂利で満杯になった場合には、係合部材15を外して貯留箱20を前下がり傾斜姿勢にして貯留箱20内の砂利を外部に排出することができる。
【0032】
貯留箱20内の砂利の貯留量は、貯留箱20の下壁等に設けられた歪ゲージ等の重量センサ(請求項の「センサ」)25で測定されている。また、重量センサ25の測定値は、操縦部5のフロントパネルのモニタに表示されている。これにより、貯留箱20内の砂利の貯留量を操縦部5のモニタに表示して、貯留箱20内の砂利を適時排出することができる。また、重量センサ25の測定値が予め設定した設定値を超えると操縦部5の警報ランプ(請求項の「警報手段」)5Aが点灯し、操縦部5の警報ブザー(請求項の「警報手段」)5Bが鳴るように構成されている。
【0033】
<第1実施形態の貯留箱>
図5に示すように、貯留本体部21の後壁の前側には防止壁40が設けられている。これにより、フィーダハウス3Dの開口部12から漏下してくる砂利が貯留本体部21の後壁の上部に衝突するのを防止して、貯留本体部21の後壁の上部が破損するのを抑制することができる。
【0034】
防止壁40は、貯留本体部21の後壁の上端部から前側に向かって延在する水平部40Aと、水平部40Aの前端部から下側に向かって延在する垂直部40Bから形成されている。また、側面視において、垂直部40Bの上下方向の長さは、貯留本体部21の後壁の上下方向の長さの1/3~2/3に形成するのが好ましい。これにより、貯留本体部21の後壁の上部が破損するのをより抑制することができる。なお、
図5には、垂直部40Bの上下方向の長さを、貯留本体部21の後壁の上下方向の長さの1/2に形成し、垂直部40Bの下端部が貯留本体部21の後壁の上下方向の中心に位置した形態を図示している。
【0035】
<第2実施形態の貯留箱>
図6に示すように、第2実施形態の貯留箱20の貯留本体部21の前壁は、前壁の上端部から後方下側に向かって延在して下壁の前端部に至っている。これにより、フィーダハウス3Dの開口部12から漏下してくる砂利が、前壁に沿って下壁に向かって移動するので、貯留本体部21の下壁が破損するのを抑制することができる。前後方向の仮想線と前壁の交差角度は30~45度に形成するのが好ましい。また、第2実施形態の貯留箱20には、防止壁40を設けているが、防止壁40を省くこともできる。なお、第1実施形態の貯留箱20と同一部材には同一符号を付して説明を省略している。
【0036】
<第3実施形態の貯留箱>
図7(a)に示すように、第3実施形態の貯留箱20の貯留本体部21の前壁の上端部には、貯留本体部21の上面の開口部の内周部に配置されるゴムや樹脂、バネ鋼から形成された矩形状の弾性部材42の前部が固定されている。
【0037】
図7(b)に示すように、フィーダハウス3Dの開口部12から漏下してくる砂利が所定以上になると、弾性部材42の後部が、弾性部材42の固定部よりも下側に移動して、側面視において、後下がり傾斜姿勢になる。これにより、フィーダハウス3Dの開口部12から漏下してくる砂利が、弾性部材42に沿って下壁に向かって移動するので、貯留本体部21の下壁が破損するのを抑制することができる。また、第3実施形態の貯留箱20には、防止壁40を設けているが、防止壁40を省くこともできる。なお、第1実施形態の貯留箱20と同一部材には同一符号を付して説明を省略している。
【0038】
<第4実施形態の貯留箱>
図8(a)に示すように、第4実施形態の貯留箱20の円筒部24の右部には、上方右側に向かって延在する操作レバー44が設けられ、操作レバー44の上部は、操縦部5に至っている。また、操作レバー44の下部には、操作レバー44の回動を測定する回転センサ45が設けられている。
【0039】
貯留箱20の上流板部22は、ゴムやウレタン等の圧縮部材17を介してフィーダハウス3Dの下壁10の下面に圧接されている。
【0040】
図8(b)に示すように、支軸16の軸心視において操作レバー44を反時計方向に回動させると、貯留箱20の上流板部22が圧縮部材17から離間した後に、下方に移動する。これにより、操縦部5から操作レバー44を操作して貯留箱20内の砂利を外部に容易に排出することができる。また、第4実施形態の貯留箱20には、防止壁40を設けているが、防止壁40を省くこともできる。なお、第1実施形態の貯留箱20と同一部材には同一符号を付して説明を省略している。
【0041】
<第5実施形態の貯留箱>
図9(a)に示すように、第5実施形態の貯留箱20の貯留本体部21の前壁と上流板部22は、フィーダハウス3Dの下壁10に固定されている。貯留箱20の円筒部24の右部は、上方右側に向かって延在する操作レバー44が設けられ、操作レバー44の上部は、操縦部5に至っている。また、操作レバー44の下部には、操作レバー44の回動を測定する回転センサ45が設けられている。
【0042】
貯留本体部21の下壁の前端部は、フィーダハウス3Dの下壁10に固定された貯留本体部21の前壁の下端部に設けられたゴムやウレタン等の圧縮部材18を介してフィーダハウス3Dの下壁10の下面に圧接されている。
【0043】
図9(b)に示すように、支軸16の軸心視において操作レバー44を反時計方向に回動させると、貯留箱20の貯留本体部21の下壁が圧縮部材18から離間した後に、下方に移動する。これにより、操縦部5から操作レバー44を操作して貯留箱20内の砂利を外部に容易に排出することができる。また、第5実施形態の貯留箱20には、防止壁40を設けているが、防止壁40を省くこともできる。なお、第1実施形態の貯留箱20と同一部材には同一符号を付して説明を省略している。
【0044】
図10に示すように、貯留箱20の左壁と送風ファン31を内装した塵埃排出箱30の左壁に連通穴を形成して、上下方向に延在する送風通路32で接続することもできる。フィーダハウス3Dの搬送チェン35は、フィーダハウス3Dのスプロケット33,34に係回され、搬送チェン35には所定の間隔を隔てて穀稈を搬送する搬送ラグ36が設けられている。
【0045】
フィーダハウス3Dに搬送された砂利を貯留箱20に漏下させる、砂利漏下時には、送風ファン31を一側方向、例えは時計方向に回転させて、空気を塵埃排出箱30からフィーダハウス3Dを介して貯留箱20に向かって排風し、貯留箱20に貯留された砂利を外部に排出する、砂利排出時には、送風ファン31を他側方向、例えは反時計方向に回転させて、空気を塵埃排出箱30から送風通路32を介して貯留箱20に向かって排風する。これにより、フィーダハウス3Dに搬送された砂利を貯留箱20に効率良く漏下させ、且つ、貯留箱20に貯留された砂利を外部に効率良く排出することができる。
【0046】
図11に示すように、コンバインのコントローラ50は、CPU等からなる処理部51と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部52と、外部とのデータ通信用の通信部53から形成されている。
【0047】
処理部51は、重量センサ25の測定値と予め設定した設定値の比較等を行う。
【0048】
記憶部52は、予め設定した貯留箱20に貯留可能な砂利の重量等の保存等を行う。
【0049】
コントローラ50の入力側には、貯留箱20に貯留された砂利の重量を測定する重量センサ25と、送風ファン31の回転方向の切替えを行う切替スイッチ31Aと、操作レバー44の回動角度を測定する回転センサ45が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
【0050】
コントローラ50の出力側には、操縦部5の警報ランプ5Aと、操縦部5の警報ブザー5Bと、貯留箱20に向かって空気を送風する送風ファン31と、エンジンの出力回転を刈取前処理装置3に伝動する刈取クラッチ55と、エンジンの出力回転を脱穀装置4に伝動する脱穀クラッチ56が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
【0051】
処理部51は、重量センサ25の測定値が予め設定した設定値を超えたと判断した場合には、操縦部5の警報ランプ5Aを点滅させ、警報ブザー5Bを鳴らす。これにより、作業者が、コンバインを操舵して所定の場所に移動させた後に、操作レバー44を操作して貯留箱20に貯留された砂利を外部に排出することができる。
【0052】
処理部51は、回転センサ45で操作レバー44の反時計方向の回動が測定された、すなわち、貯留箱20内に貯留された砂利を排出していると判断した場合には、切替スイッチ31Aを入力して送風ファン31の回転方向を切替える。これにより、貯留箱20に貯留された砂利を外部に効率良く排出することができる。
【0053】
処理部51は、回転センサ45で操作レバー44の反時計方向の回動が測定された、すなわち、貯留箱20内に貯留された砂利を排出していると判断した場合には、刈取クラッチ55と脱穀クラッチ56の接続を解除する。これにより、刈取前処理装置3で収穫された穀稈の穀粒ロスを防止すると共に、脱穀装置4に砂利が侵入して機器が作動不良に陥るのを防止することができる。
【符号の説明】
【0054】
3 刈取前処理装置
3D フィーダハウス
4 脱穀装置
5 操縦部
5A 警報ランプ(警報手段)
5B 警報ブザー(警報手段)
10 下壁
11 上壁
12 開口部
16 支軸
17 圧縮部材
20 貯留箱
21 貯留本体部
22 上流板部
23 下流板部
24 円筒部
25 重量センサ(センサ)
30 塵埃排出箱
31 送風ファン
32 送風通路
40 防止壁
40A 水平部
40B 垂直部
42 弾性部材
44 操作レバー