(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156344
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】切断装置および切断方法
(51)【国際特許分類】
B23K 7/10 20060101AFI20241029BHJP
B23K 37/047 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B23K7/10 G
B23K37/047 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070725
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 清文
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 法典
(57)【要約】
【課題】切断作業の安全性および作業性の向上に寄与することができる切断装置および切断方法を提供する。
【解決手段】切断対象物Sをガス切断する切断火口12を有する切断装置10であって、切断対象物Sを載置する載置手段24と、切断対象物Sを載置した状態で前記載置手段24を回転軸C周りに回転する回転手段26と、前記切断火口12を回転軸C方向に直交する方向に移動可能に前記切断火口12を保持する保持手段30と、前記保持手段30を回転軸C方向に沿って昇降可能に支持する支持手段28と、前記回転手段26で前記載置手段24を回転させながら、前記保持手段30および前記支持手段28により位置決めした前記切断火口12により切断対象物Sをガス切断する制御手段20とを備えるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物をガス切断する切断火口を有する切断装置であって、
切断対象物を載置する載置手段と、切断対象物を載置した状態で前記載置手段を回転軸周りに回転する回転手段と、前記切断火口を回転軸方向に直交する方向に移動可能に前記切断火口を保持する保持手段と、前記保持手段を回転軸方向に沿って昇降可能に支持する支持手段と、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断する制御手段とを備えることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
切断対象物と前記切断火口の間の距離を測定する距離測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記距離測定手段で測定した距離に基づいて前記保持手段を制御し、所定の位置まで前記切断火口を移動させることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の切断装置を用いて切断対象物をガス切断する切断方法であって、
前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断することを特徴とする切断方法。
【請求項4】
請求項2に記載の切断装置を用いて切断対象物をガス切断する切断方法であって、
前記距離測定手段で測定した距離に基づいて前記保持手段を制御し、所定の位置まで前記切断火口を移動させた後、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断することを特徴とする切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電等に用いられる風車などの解体部材の切断に好適な切断装置および切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、風力発電用の風車を解体する工事が行われている(例えば、特許文献1を参照)。
図3に示すように、風車1から解体される部材として、羽根2を取り付けるハブ3(羽根取付部)がある。
図4(1)に示すように、このハブ3は、プラズマでは切断不能な非常に厚い鋳鉄(例えば、厚さ150mm程度)で製作された大型の部材である。このため、
図4(2)に示すように、熟練した作業員が強力なガス切断装置(例えば、特許文献2を参照)を手持ち操作し、ハブを溶鉱炉に収容可能な大きさ(例えば、1m×1m程度)に切断してから、解体現場から搬出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-175883号公報
【特許文献2】特開2001-321932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ガス切断装置を用いたハブの切断作業は非常に難度の高い作業であり、作業員は火傷しないよう注意しながら、長い時間をかけ、慎重に切断作業を行う必要があり、作業安全性および作業性に劣るという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、切断作業の安全性および作業性の向上に寄与することができる切断装置および切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る切断装置は、切断対象物をガス切断する切断火口を有する切断装置であって、切断対象物を載置する載置手段と、切断対象物を載置した状態で前記載置手段を回転軸周りに回転する回転手段と、前記切断火口を回転軸方向に直交する方向に移動可能に前記切断火口を保持する保持手段と、前記保持手段を回転軸方向に沿って昇降可能に支持する支持手段と、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る他の切断装置は、上述した発明において、切断対象物と前記切断火口の間の距離を測定する距離測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記距離測定手段で測定した距離に基づいて前記保持手段を制御し、所定の位置まで前記切断火口を移動させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る切断方法は、上述した切断装置を用いて切断対象物をガス切断する切断方法であって、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の切断方法は、上述した切断装置を用いて切断対象物をガス切断する切断方法であって、前記距離測定手段で測定した距離に基づいて前記保持手段を制御し、所定の位置まで前記切断火口を移動させた後、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る切断装置によれば、切断対象物をガス切断する切断火口を有する切断装置であって、切断対象物を載置する載置手段と、切断対象物を載置した状態で前記載置手段を回転軸周りに回転する回転手段と、前記切断火口を回転軸方向に直交する方向に移動可能に前記切断火口を保持する保持手段と、前記保持手段を回転軸方向に沿って昇降可能に支持する支持手段と、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断する制御手段とを備えるので、作業員の手持ち操作によらないで切断作業を迅速に行うことができる。このため、切断作業の安全性および作業性の向上に寄与することができるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明に係る他の切断装置によれば、切断対象物と前記切断火口の間の距離を測定する距離測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記距離測定手段で測定した距離に基づいて前記保持手段を制御し、所定の位置まで前記切断火口を移動させるので、切断対象物の回転時に、切断対象物の表面の凹凸などによって切断対象物と切断火口の相対位置が変化した場合でも、切断火口を例えば切断に最適な位置に維持可能である。このため、切断対象物を安定して切断することができるという効果を奏する。
【0012】
また、本発明に係る切断方法によれば、上述した切断装置を用いて切断対象物をガス切断する切断方法であって、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断するので、作業員の手持ち操作によらないで切断作業を迅速に行うことができる。このため、切断作業の安全性および作業性の向上に寄与することができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る他の切断方法によれば、上述した切断装置を用いて切断対象物をガス切断する切断方法であって、前記距離測定手段で測定した距離に基づいて前記保持手段を制御し、所定の位置まで前記切断火口を移動させた後、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断するので、切断対象物の回転時に、切断対象物の表面の凹凸などによって切断対象物と切断火口の相対位置が変化した場合でも、切断火口を例えば切断に最適な位置に維持可能である。このため、切断対象物を安定して切断することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明に係る切断装置の実施の形態を示す概略正面断面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る切断方法の実施の形態を示す図であり、(1)はハブの外観写真図、(2)は切断位置を示す正面図、(3)は切断位置を示す上面断面図である。
【
図3】
図3は、従来の風車およびハブの位置を例示する図であり、(1)は正面図、(2)は側面図である。
【
図4】
図4(1)は従来のハブの一例を示す外観図であり、(2)はハブの切断作業状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る切断装置および切断方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る切断装置および切断方法は、各種サイズの切断対象物、特に風車のハブの切断に好適である。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る切断装置10は、略球殻状のハブS(切断対象物)をガス切断する切断火口12を有する装置であって、切断装置10の架台部分となるベース14と、ターンテーブル16と、溶断アーム付き昇降機構18と、制御部20と、操作部22とを備える。
【0017】
ターンテーブル16は、ハブSが載置される円板状のテーブル24(載置手段)と、テーブル24を回転駆動するための駆動手段26(回転手段)を有する。テーブル24は、円の中心軸C(回転軸)周りに回転可能にベース14上に支持されており、ハブSを載置した状態でガス切断に適した速度で旋回可能である。駆動手段26は、モータと、このモータの出力軸に連結した図示しないギヤ機構などを含んで構成される。テーブル24の回転駆動、回転停止、回転速度調整、回転方向調整は、制御部20による駆動手段26の制御によって行うことができる。
【0018】
溶断アーム付き昇降機構18は、ベース14の縁部に固定され、上方に立設した支柱28と、支柱28に沿って上下方向に移動可能に設けられた溶断アーム30とを備える。支柱28は、溶断アーム30を中心軸Cの方向に沿って昇降可能に支持する支持手段である。支柱28のターンテーブル16側に向いた側面には、上下方向に延びる図示しないガイドレールが設けられている。溶断アーム30の基部32は、ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられる。
【0019】
溶断アーム30は、切断火口12を中心軸Cの方向に直交する方向に移動可能に切断火口12を保持する保持手段である。この溶断アーム30は、基部32から中心軸Cに向けて前後方向に延びる第一アーム34と、第一アーム34の上面に沿って前後方向に移動可能に第一アーム34に固定された第二アーム36とを有する。第二アーム36の先端の上面には、中心軸Cに向けてガス炎を噴射する切断火口12が固定される。切断火口12は、作業員の手持ち操作では扱えない高出力の厚物火口であってもよい。溶断アーム30は、第二アーム36を第一アーム34に沿って前後方向に移動させることで、前後方向に伸縮可能である。また、溶断アーム30は、基部32を支柱28に沿って上下方向に移動させることで、上下方向に昇降可能である。溶断アーム30は、任意の切断ラインの高さに位置決めすることができる。
【0020】
なお、基部32よび第二アーム36を移動させるための駆動手段(不図示)は、油圧式、空圧式、電気式等のいずれでもよい。また、溶断アーム30の構成は、上記のものに限るものではなく、例えば、複数のアーム部材を入れ子状に構成し、伸縮可能としてもよい。また、溶断アーム30を昇降させる構成は、上記のものに限るものではなく、例えば、溶断アーム30の基部32を支柱28に移動不能に固定するとともに、支柱28自身が上下方向に伸縮することで、溶断アーム30を昇降させる構成としてもよい。また、支柱28自身がベース14に対して柱軸周りに回転可能であるように構成してもよい。このようにすれば、切断火口12の向きを柱軸周りに変更可能である。また、切断火口12を、第二アーム36の先端に対して回動可能に固定してもよい。
【0021】
制御部20は、溶断アーム付き昇降機構18により位置決めした切断火口12によりハブSをガス切断する制御手段であり、ターンテーブル16、溶断アーム付き昇降機構18、切断火口12を制御する。具体的には、制御部20は、操作部22からの操作指示に基づいて、ターンテーブル16の駆動手段26を制御し、テーブル24の回転駆動、回転停止、回転速度、回転方向を制御する。これにより、テーブル24を所望のタイミングで回転開始、停止ができるとともに、所望の回転速度、回転方向で回転させることできる。また、制御部20は、操作部22からの操作指示に基づいて、溶断アーム付き昇降機構18の図示しない駆動手段を制御し、溶断アーム30の高さ位置、前後方向の長さを制御する。これにより、切断火口12を所望の位置に固定することができる。したがって、テーブル24を回転させながら、位置決めした切断火口12によりハブSをガス切断することができる。
【0022】
操作部22は、制御部20を介してターンテーブル16、溶断アーム付き昇降機構18、切断火口12を操作するための操作ボタンやタッチパネルなどを備えた部分である。操作部22は、制御部20とコード等で有線通信方式で接続してもよいし、無線通信方式で接続してもよい。このようにすれば、ターンテーブル16、溶断アーム付き昇降機構18、切断火口12を遠隔から操作可能である。
【0023】
上記構成の動作および作用について説明する。
まず、ターンテーブル16の上にハブSを設置する。次に、ユーザが操作部22を用いて、切断火口12の位置を指定する操作を行うと、この操作指示が制御部20に送られる。制御部20は、この操作指示に基づいて溶断アーム付き昇降機構18を制御する。これにより、溶断アーム30が上下方向に移動し、指示された高さに配置される一方、第二アーム36が前後方向に伸縮することで、指示された位置に切断火口12が配置される。
【0024】
次に、ユーザが操作部22を用いて、ターンテーブル16の回転速度を指定するとともに、回転開始の操作を行うと、この操作指示が制御部20に送られる。制御部20は、この操作指示に基づいてターンテーブル16の駆動手段26を制御する。これにより、テーブル24が回転を開始し、指示された回転速度に維持される。ハブSは、テーブル24と一体的に回転する。
【0025】
次に、ユーザが操作部22を用いて、ガス切断開始の操作を行うと、この操作指示が制御部20に送られる。制御部20は、この操作指示に基づいて、切断火口12からガス炎を噴射するように切断装置10を制御する。これにより、テーブル24上で回転中のハブSに向けて切断火口12からガス炎が噴射し、回転方向に沿ってハブがガス切断される。
【0026】
本実施の形態によれば、作業員の手持ち操作によらないでガス切断作業を迅速に行うことができる。このため、ガス切断作業の安全性および作業性の向上に寄与することができる。
【0027】
次に、上記の切断装置10でハブSをガス切断して解体する場合の実施例について説明する。
図1に示すように、切断ラインA、Bの順序で切断を行うものとする。まず、溶断アーム30の高さを切断ラインAに合わせるとともに、切断火口12をハブSに適正距離まで近づけるように位置決めする。続いて、テーブル24を回転し、適性速度でハブSを回転させる操作を行う。次に、着火して切断火口12によるガス切断を行う。その後、計画した切断箇所までの切断を目視等で確認してから、テーブル24の回転を停止し、火を消す。その後、溶断アーム30の高さを次の切断開始位置(切断ラインB)に移動して切断火口12を位置決めし、切断ラインAの場合と同様の手順でガス切断を行う。このようにすることで、大型のハブSを、例えば、溶鉱炉の投入口寸法(例えば、1m×1m程度)を通過できる寸法に切断可能である。
【0028】
上記の実施の形態において、ハブSと切断火口12の間の距離を測定する距離センサ(距離測定手段)をさらに備えてもよい。そして、制御部20が、距離センサで測定した距離に基づいて溶断アーム30の伸縮動作を制御し、ガス切断に適切な所定の位置になるよう切断火口12を移動させてもよい。このようにすれば、ハブSの回転時に、ハブSの表面の凹凸などによってハブSと切断火口12の相対位置が変化した場合でも、切断火口12を例えば切断に最適な位置に維持可能である。これにより、ハブSを安定して切断することができる。
【0029】
また、上記の切断装置10と、手持ち操作式のガス切断装置とを併用して、ハブを切断、解体することも可能である。例えば、
図2(1)に示すようなハブを解体する場合を考える。この場合、
図2(2)、(3)に示すように、まず、切断装置10による遠隔自動切断により、上下の切断ライン(
図1の切断ラインA、Bを参照)に沿ってハブを切断する。その後、有人による手持ち操作式のガス切断装置で、ハブの上端側と下端側をそれぞれ切断する。これにより、ハブを切断材Aと切断材Bに分断する。切断後の数量は、切断材Aが6枚、切断材Bが3枚である。このようにすれば、手持ち操作式のガス切断装置のみによるガス切断作業に比べて、作業を迅速に行うことができる。
【0030】
以上説明したように、本発明に係る切断装置によれば、切断対象物をガス切断する切断火口を有する切断装置であって、切断対象物を載置する載置手段と、切断対象物を載置した状態で前記載置手段を回転軸周りに回転する回転手段と、前記切断火口を回転軸方向に直交する方向に移動可能に前記切断火口を保持する保持手段と、前記保持手段を回転軸方向に沿って昇降可能に支持する支持手段と、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断する制御手段とを備えるので、作業員の手持ち操作によらないで切断作業を迅速に行うことができる。このため、切断作業の安全性および作業性の向上に寄与することができる。
【0031】
また、本発明に係る他の切断装置によれば、切断対象物と前記切断火口の間の距離を測定する距離測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記距離測定手段で測定した距離に基づいて前記保持手段を制御し、所定の位置まで前記切断火口を移動させるので、切断対象物の回転時に、切断対象物の表面の凹凸などによって切断対象物と切断火口の相対位置が変化した場合でも、切断火口を例えば切断に最適な位置に維持可能である。このため、切断対象物を安定して切断することができる。
【0032】
また、本発明に係る切断方法によれば、上述した切断装置を用いて切断対象物をガス切断する切断方法であって、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断するので、作業員の手持ち操作によらないで切断作業を迅速に行うことができる。このため、切断作業の安全性および作業性の向上に寄与することができる。
【0033】
また、本発明に係る他の切断方法によれば、上述した切断装置を用いて切断対象物をガス切断する切断方法であって、前記距離測定手段で測定した距離に基づいて前記保持手段を制御し、所定の位置まで前記切断火口を移動させた後、前記回転手段で前記載置手段を回転させながら、前記保持手段および前記支持手段により位置決めした前記切断火口により切断対象物をガス切断するので、切断対象物の回転時に、切断対象物の表面の凹凸などによって切断対象物と切断火口の相対位置が変化した場合でも、切断火口を例えば切断に最適な位置に維持可能である。このため、切断対象物を安定して切断することができる。
【0034】
なお、2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施の形態に係る切断装置および切断方法は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「13.気候変動に具体的な対策を」の目標などの達成に貢献し得る。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明に係る切断装置および切断方法は、風力発電等に用いられる風車などの解体部材の切断に有用であり、特に、切断作業の安全性および作業性の向上に寄与するのに適している。
【符号の説明】
【0036】
10 切断装置
12 切断火口
14 ベース
16 ターンテーブル
18 溶断アーム付き昇降機構
20 制御部(制御手段)
22 操作部
24 テーブル(載置手段)
26 駆動手段(回転手段)
28 支柱(支持手段)
30 溶断アーム(保持手段)
32 基部
34 第一アーム
36 第二アーム
C 中心軸(回転軸)
S ハブ(切断対象物)